第3章 脊柱管狭窄症の手術
1 リスクを最小限に
8月2日に中央区の整形外科病院で院長の診察を受けた。MRI写真を撮ると狭窄を起こしている部分へ、黄色靭帯が飛び出して色が変わっている。この状態は放置しておけませんね、余病や後遺症などの弊害が出る前に手術したほうが良いでしょう。
右足のくるぶし付近に痛みを感じ、現在は痛みが治まっているが傷みだすような兆候があるとお話ししするとレントゲン写真を撮った。院長は写真を詳細にみていたが、変形性足首関節症が発症しているようには思えません。軟骨は年齢相応ですよと安心させた。
さらに、脊柱管が狭窄している部分と狭窄していない部分を表示していただき、比較できるように写真を撮影した。左側の写真が狭窄していない部分、右側の写真が狭窄している部分である。写真中央部のY字型椎弓の左右の隙間が右側写真は狭まっている。
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手術前に内頚動脈閉塞を診断された病院で、手術をしても問題ないか診察を受けるよう指示された。超音波診断で頸動脈が3分の2詰まっているといった内科や、プローブを当てて動脈内壁のプラークをはがしてしまった病院へは行きたくない。
8月13日に中央区の脳神経外科で手術前検査を受けると、MRIの画像を見ながら医師は「かなり脊柱管は狭窄が進んでいますね。内頚動脈の状態は手術に問題ありません。手術のときは血圧の大きな変動に注意するようお伝えください」とおっしゃった。
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脳神経外科で撮影した写真と診断と伝え、8月18日にPCR検査を受けて翌日陰性であることが確定した。8月23日に入院して24日の10時50分から手術。1時間で手術が終わり2時間後に麻酔から覚醒した。腰に痛みはまったく感じられないが、朝昼晩と毎日痛み止めを飲まされた。
25日に血液を抜くための管と小水を抜くための管が外され、専門家が立案された「総合実施計画書」に基づきリハビリテーションが始まった。変形性膝関節症の診断で紹介された「足上げの運動」と似ている運動である。
手術の翌日からリハビリ中は毎日1kmを歩いても間欠性跛行は起きなかった。退院してから5000歩や8000歩を10年前と同様に普通の状態で歩るくことができた。
しかも、変形性膝関節症と変形性足首関節症の症状が消え、脊柱管狭窄症に関連した症状のようだった。便失禁は完治していないが、退院してから失禁のない日が月の三分の一に増え、体が普通の状態に戻すために努力しているように感じられた。
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2 リハビリ担当者推奨の運動
腹横筋(ふくおうきん)は、横隔膜(おうかくまく)、多裂筋(たれつきん)、骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)と共に腹筋群のインナーマッスルとして知られ、主に腹式呼吸で息を吐く(呼気)場合に最も働く筋肉である。
いわゆる、お腹を凹ませる時に働く筋肉で、腹横筋の上部は胸郭を固定し、中部下部は体幹の安定性を高める働きがあるとされ、多裂筋と共に体幹をコルセットのように締め付けることで体を安定させ、姿勢を保つ役割としても働くようである。
姿勢を保つと言っても脊椎の働きには関与しないため体幹の動きは特に起こらないが、背筋が伸びた美しい姿勢や正しい姿勢を保持するために重要な筋肉となる。また、体のふらつきを抑制することができる。
腹横筋は直接的に体の動きに関与していないが、この筋肉をトレーニングすることで日常生活の中でこのような効果が期待できるとされている。
【腹横筋の日常生活での効果】
・ 腹式呼吸時に息が強く、深く吐けるようになる
・ 腰の安定性が高まる(コルセットの役割)
・ 体幹全体の姿勢を安定させる
・ せきやくしゃみがしっかりとできるようになる
・ 排便や分娩時に腹圧を高めて出やすくなる
・ ぽっこりお腹を引き締める
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1) 足上げの運動
第三章 変形性膝関節症紹介したリハビリ担当者が推薦した運動とほぼ同様だが、左右の腰に手を当ててお腹を引っ込めるという動作が加わる。呼吸時はお腹を膨らませないで普通の呼吸を行い、運動中は呼吸を止めてはいけない。
仰向けに寝て、強くするほうのひざを延ばし、反対側のひざは立てておく。そして、左右の腰に手を当ててお腹を引っ込める。伸ばした足を約10CM程度上げたところで足首をそらし、そのままその足を上げたままで20秒間停止する。
この時、曲げた反対側のひざより高くならないように注意する。反対側の膝は腰痛を防ぐために立てておく。この状態で足を保持し、声を出して20秒数えたら足を下す。これを1回とし、同じ動作を10回繰り返えす。この時、太腿の筋肉を意識しながら行う。
次に足を変え、もう片方も同様に行う。両腿の筋肉を付けることが重要で、左右各10回を朝・昼・晩と計3セット行うとよい。慣れてきたらセット数を増やしていく。力が強くなったら足首に1kg(市販の砂糖程度)重りをつけて鍛えるとよいだろう。
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2) 足広げ運動
仰向けの姿勢で両膝を立て、片足ずつ体の外側に膝を床につくまで倒す運動である。ゆっくりと20秒かけて、倒したら再び20秒かけて元の位置へ戻す。片方の足の運動が終わったら、もう片方も20秒かけて元の位置へ戻す。
運動はゆっくり、交互に両方の足を行い両方を行って1セットとし、計5セットを朝・昼・夜と行う。
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3) 腰かけた状態の運動
イスに腰掛けて足首を伸ばしたまま片足を膝が延びるところまで伸ばす。運動はゆっくり、20回行う。交互に両方の足を行い両方を行って1セットとし、計5セットを朝・昼・夜と行う。
この運動の時も、お腹を引っ込めるという動作が加わる。呼吸時はお腹を膨らませないで普通の呼吸を行い、運動中は呼吸を止めてはいけない。力が強くなったら足首に重りを着けて鍛えるとよいだろう。初めは1kg(市販の砂糖程度)から始めよう。
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4) 挟みつける運動
バスタオルなどを丸めて両ひざの間に入れ、両ひざでタオルを挟みつけるように力を入れる。挟みつけたまま20秒停止し、20秒を1セットとして5セット、朝・昼・晩と計3セット行う。写真は室内消臭剤の容器を袋に入れて挟んでいる。
この運動の時もお腹を引っ込めるという動作が加わる。呼吸時はお腹を膨らませないで普通の呼吸を行い、運動中は呼吸を止めてはいけない。筋力には個人差があるので初めから無理をしない。また、継続することが重要です。3日坊主にならないように頑張ろう。
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5) スクワット運動
両足を少し開いて立ち、脚の付け根に手を当てて正面を向いたまま腰を後ろへ引くようにしてしゃがみ込む。しゃがみ込むまで20秒かけ、元の姿勢へ20秒かけて戻す。これを1セットとして5セット、朝・昼・晩と計3セット行う。
リハビリ担当者が推奨される運動を行う場合の秒数の数え方は「1・2・3」ではなく、「101・102・103」と数えると、ほぼ正確に秒数をカウントできる。これは、自衛隊が採用している数え方である。
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3 薬害を恐れて調査
退院時に痛み止めを二週間分受領した。病院から渡された薬は、ロキソニン60mg・レバミピド錠100mg・メチコバール500mgである。ロキソニンは体内で炎症などを引きおこす体内物質プロスタグランジンの生成を抑えて炎症や痛みなどを抑え、熱を下げる薬である。製薬会社は原則として1日2回までとし最大1日3錠を限度としている。
レバミピド錠は防御因子増強薬に分類される胃薬で、比較的効き目がマイルドである。胃粘液を増やしたり、胃粘膜の血流をよくしたりで、胃粘膜を胃酸からの防御機能を高める。そのため防御因子増強薬と呼ばれている。
入院前より、手首から指先までしびれを感じる末梢性神経障害があった。メチコバール500mgは、神経の核酸・蛋白合成を促進し、傷ついた末梢神経を修復してしびれ痛みなどを改善するため、末梢性神経障害の治療に用いられる。
ロキソニンの副作用は、胃部不快感、みぞおちの痛み、腹痛、吐き気・嘔吐、食欲不振、浮腫・むくみ、発疹、蕁麻疹、眠気、発熱、かゆみなどが報告されている。レバミピド錠は、発疹、そう痒感 、薬疹様湿疹、過敏症状、蕁麻疹 、しびれ、 眩暈、眠気、便秘、腹部膨満感、下痢などが報告されている。
メチコバールの副作用は、発疹、食欲不振、吐き気・嘔吐、下痢などが報告されている。ロキソニン、レバミピド錠、メチコバーは、いずれも長期間飲用による薬害や薬に対する耐性ができるとの注意事項はなかった。
人間には「自然治癒力(自己治癒力)」という素晴らしい力がある。それを引き出す手助けをするのが良い医療者であり、施術者と言える。そして、「自分の主治医は自分」ということを忘れてはならない。
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