1 町内会との出会い
1-1 マンション建築
1989年の夏、当時の町内会長宅北側にあった個人住宅の住人が引っ越し、その北隣にあったキリスト教会も引っ越して住む人がいなくなりました。教会の西側にあった倉庫から資材が運び出されると、建物の解体工事が始まり951.98平方メートルの全体が更地となって柵で囲まれました。
建築計画の立て札に「六階建て1棟21戸の分譲マンション」と表示され、入居予定は1992年4月とあります。町内会の三役は、できればマンションの全戸が町内会へ加入してほしいとの願いを抱きました。とは言え町内会への加入は任意であり、マンションの玄関が最近流行のオートロックになれば戸別訪問で加入を働きかけることは不可能です。
年が明けて町内新年会の参加者より、4月から始まるマンション建築工事に関する要望がでました。大型車両や歩行者などの誘導員を配置させてほしい、工事車両は一方通行にすべきだろう、作業員の路上駐車は禁止して駐車場を確保させるべき、振動や騒音は最小限に抑え18時以降は工事を禁止すべき、電波障害が出た場合は建築主の費用で改善させるべき等々の要望です。マンション入居者に町内会への加入働きかけをどのようにすべきか、結論が出ないまま会長と副会長に一任されました。
新年会の翌日、町内会長と副会長は工事にかかわる問題点を精査しました。マンション使用細則などで暴力団等の構成員を入居させないこと、ごみの処理については清掃事務所と協議すること、入居者への重要事項説明書で「本マンションに入居される方は町内会に加入することになります。会費は月額300円になります」との文書を配付することなどが必要と感じられました。
これらを整理して文章化し、町内会長は建築主と工事施工者合同の話し合いを持ちました。持ち帰った内容に若干の修正が加えられて合意が成立し、架設工事が始まる10日前の1991年4月5日に三者は「協定書」に押印しました。