1 パートナーに何を求めるのか
2009(平成21)年5月24日発行の理事会報第278号で「私たちは大規模修繕でなにを望むのか」をお知らせしました。
5月17日の午後6時15分より町内会館で開催された平成20年度第17期定期総会で、「第三号議案の大規模修繕の出直しと延期」が承認されました。二度と後戻りをしないために、詳しいことは分からないから専門家に任せようではなく、自分達のマンションは自分達で守るとの自覚を持って大規模修繕に立ち向かいます。
まず、大規模修繕で何をどうとすべきか皆さまと共に考えます。これまでの理事会提案事項やアンケートによる区分所有者のご意見などを整理して、「大規模修繕の工事箇所と修繕方針」としてまとめました。建築設計事務所や施工業者の見積もり依頼時に私達の共通した考え方として示します。
建物と敷地全体のためかなりの量になりますが、すべての工事を実施できるわけではありません。費用の点で延期せざるを得ない工事や、現在の状態から延期できると考えられる工事なども含まれています。
○ 工事箇所と修繕方針
1-1 屋上工事箇所と基本方針
1) 屋上防水層の更新
砂利を撤去し、既存の防水層を補修してかぶせ工法の採用を予定しています。
2) 笠木の新設
防水層と固定用アルミアングルとの隙間を変性シリコンで理事会が補修してきました。隙間からの雨水や融雪水の浸透防止を目的に、パラペットをすっぽり覆う笠木を取り付けることを予定しています。
3) 避雷針固定用鋼鉄ボルトの交換
避雷針を固定している鋼鉄ボルトは酸化がすすんでいるため、必要であればステンレス製をボルトへの更新を予定しています。
4) 屋上フェンス支柱の補修
屋上フェンス支柱の基部に穴を開けて樹脂を流し込み、雨水が抜けるように改修してコンクリート基礎の保護を予定しています。また、フェンスの留めネジが欠損している箇所があるので固定を考えています。
5) 六階屋上出入口の改修
六階屋上は四季を通して西風が強く、降雪時には屋上出入口の扉の前に吹き溜まりができます。出入口は外開きのため扉の下部を蹴飛ばすことから凹凸ができ、扉全体も変形して鍵が掛かりづらい状態です。六階屋上の戸枠を床より30cm程度高くし、五階屋上出入口と同様にアルミ製扉の導入を予定しています。また、屋上出入口の扉の前に吹き溜まりができないような工夫も併せて考えます。
6) 五階屋上出入口の改修
東西棟五階屋上の出入口は、平成19年度の理事長の建物点検で扉下に防水層の爆裂が発見しました。応急処置としてシーリング材で密閉しましたが、業者は建物内部へ入った雨の影響で鉄部の腐食が進んでいると推測しています。出入口周囲の内壁に亀裂が多いため東西棟五階屋上出入口の戸枠と扉を外し、内部を調査して劣化部分の除去と必要な補強を施し、内壁の補修も予定しています。(3の4)と関連)
1-2 外壁工事箇所と基本方針
1) 外壁タイルの補修
平成16年度実施の南面と東西面の外壁打診調査結果は以下のとおりです。平成21年4月21・24日に知り合いの一級建築士にお願いした建物調査で、浮いているタイルを全てはがして交換するよりも接着剤を注入して固定するほうが良いかもしれないとのご意見をいただきました。ともあれ、一般的な修繕係数であるタイル不良率2.5%程度の更新を予定しています。
ア. 南面浮きタイル劣化部と枚数(平成16年調査結果)
階数 | 平板 | 曲がり | マグサ |
---|---|---|---|
六階 | 955枚 | 204枚 | |
五階 | 35枚 | 24枚 | |
四階 | 1,086枚 | 480枚 | 38枚 |
三階 | 1,744枚 | 524枚 | 200枚 |
二階 | 222枚 | 70枚 | |
一階 | 95枚 | 82枚 | |
合計 | 4,137枚 | 1,384枚 | 238枚 |
ア. 東西面浮きタイル劣化部と枚数(平成16年調査結果)
階数 | 浮き | ひび割れ | 階数 | 浮き | ひび割れ | |
---|---|---|---|---|---|---|
東面五階 | 1枚 | 4枚 | 西面五階 | 0枚 | 5枚 | |
東面四階 | 5枚 | 15枚 | 西面四階 | 69枚 | 11枚 | |
東面三階 | 13枚 | 13枚 | 西面三階 | 4枚 | 43枚 | |
東面二階 | 6枚 | 13枚 | 西面二階 | 7枚 | 21枚 | |
東面一階 | 0枚 | 0枚 | 西面一階 | 4枚 | 17枚 | |
東面合計 | 25枚 | 45枚 | 西面合計 | 84枚 | 97枚 |
2) シーリング打ち替え
外壁の全シーリングの打ち換えを予定しています。
3) 外窓下の水きり補修
全外窓水きり台の側面溶接部の点検と補修、窓枠などのサッシ建具とコンクリートとの隙間を埋めたシーリングも打ち換えを予定しています。
4) サッシ用ビートの更新
カビで黒く変色している北側外窓のサッシ用ビートの更新を予定しています。
5) 通気金物の一部更新
一階北側庭園側の地下ピット用通気金物(換気用具)は二箇所とも変形しているので更新します。また、管理員室西側外壁の通気金物と暖房用排気筒からの汚れが壁伝いに流れ落ちているので、水きりの付いているものに更新を予定しています。
6) 外壁の洗浄
若干の研磨剤入り中性洗剤で外壁洗浄を予定しています。(なお、窓用の網戸は個人所有です。)
1-3 内部工事箇所と基本方針
1) パイプシャフト内のブロック固定
パイプシャフトがある廊下側の壁はブロックを積み上げていますが、パイプシャフト内部から見るとモルタルの劣化が著しく、触ればボロボロと落ちて接着の用をなさなくなっています。平成21年4月21・24日に知り合いの一級建築士にお願いした建物調査で、細い鉄筋を入れていると思われるが構造計算書がないので壊して見なければ分からないとの説明を受けました。地震対策が必要と考え補修を予定しています。
2) 共用部内床の補修とタイル更新
廊下の床にひび割れが発生している階は七箇所で、西側六階エレベータ前には幅0.9mmの亀裂が31cm、東棟六階エレベータ前には幅0.5mmの亀裂が190cmにわたって開いています。床のPタイルは各階とも通行部分が磨耗で薄くなり、表面の傷も多く壁付近は変色していますが階段の床タイルは経年劣化程度です。在庫しているPタイルはもろくなり持ち上げると簡単に崩れます。
Pタイルをはがして床の補修を行い、一階エントランスホールを含めた建物内部の床を靴の衝撃を吸収して防音に優れ、万一倒れても衝撃を吸収する床材への更新を予定しています。
3) 風除室床シート更新
東西棟風除室床の靴底泥落とし用のシートは経年劣化も伴って隙間が空いています。玄関は来客への顔であることから新品へ更新を予定しています。
4) 共用部内壁の補修
各階エレベータ横の明り取り窓と非常警報装置の周囲の壁にひび割れが多く、パイプシャフトの扉左右と上部にもひび割れがありエフェロレッセンスも現れています。六階から五階屋上への出入口周囲はひび割れが目立ち、一部は崩れ落ちそうな様相を呈していることから補修を予定しています。
5) 風除室内とエントランスホール内壁の
補修
風除室内北側壁と玄関ホール北側壁のエフェロレッセンスを除去しての補修を予定しています。
6) 新聞受けの大型化
構造計算書がないため素人判断ですが、各住戸の新聞受けを現在より少々大きな規格のものへ更新を予定しています。
1-4 外回り工事箇所と基本方針
1) トランクルーム出入口の調整か補修
トランクルームの出入口向かって右側の扉は調整しても上部の擦れが直らず塗料が剥がれ始めています。扉の調整で直らなければ戸枠を含めた補修を予定しています。
2) 縁石・飾り枠・マンション銘盤の補修
北側庭園飾り枠の東北側亀裂補修,庭園縁石の継ぎ目モルタルの打ち直しマンション銘盤のエフェロレッセンス除去などの補修を予定しています。
3) 駐車場照明塔の補修
駐車場照明塔は駐車場舗装下の基礎に埋め込まれ照明塔の地表付近は雨水で酸化が進み躯体の一部に腐食痕跡が見られます。照明塔基部を防水加工し地表1mの高さまでコンクリートで覆う予定をしています。
4) 駐車場のオーバーレイ
駐車場の陥没箇所は大中11箇所になり、コンクリートに練りこまれている砕石が表面全体に現れています。陥没箇所を補修してからオーバーレイによる表面の化粧直しとライン引きを予定しています。
1-5 塗装工事箇所と修繕基本方針
1) 屋上関係の塗装
ア. 雨樋と支持金具の塗装
エレベータ機械室屋上からの雨樋は五階屋上へ下り塔屋屋上からの雨樋は六階屋上へ下りています。また、六階から一階までのバルコニーの雨樋も平成15年に塗装をしましたが再塗装を予定しています。
イ. エレベータ機械室庇の塗装
東西棟エレベータ機械室出入口上の庇は平成15年に塗装しましたが再塗装を予定しています。
ウ. エレベータ機械室出入口の塗装
今年の4月21・24日の建物調査に立ち合った際に、戸枠と扉をステンレス製に改修するよりも5年毎のケレンと塗装を続けたほうが良いとの説明を受け再塗装を予定しています。
エ. 屋上のドレン塗装
六階・五階・東西棟一階風除室屋上のドレン金物再塗装を予定しています。
2) 外壁関係の塗装
ア. 玄関ボンデ鋼板の塗装
東西棟の風除室屋上側面を囲うボンデ鋼板は平成15年度の塗装時に腐食が散見されました。シーリングをブリッジにして水抜き穴を開けて塗装しましたが再塗装を予定しています。
イ. 駐輪場庇の塗装
駐輪場出入口上の庇は平成15年に塗装しましたが再塗装を予定しています。庇上には毎年かなりの量の積雪があり、自家用車への通路そばであることから落雪による事故防止も必要で三角屋根を設置して積雪量を減少させる工夫が必要と考えています
ウ. 駐輪場出入口の塗装
駐輪場の出入口は平成19年度に再塗装しましたが、5年毎のケレンと塗装を続けたほうが良いとの説明を受け再塗装を予定しています。
3) 建物内部の塗装
ア. 風除室内と玄関ホール内壁の塗装
塗料が同一であることから風除室内と玄関ホール内の塗装を予定しています。(4)のア.と関連)
イ. 共用部内壁の塗装
壁面は黒ずんで薄暗い感じを与え、壁面のひび割れを補修した痕跡を隠すためにも塗装を予定していますが費用の点で後回しとなることもありえます。また、平成15年12月に実施した日本ペイント販売北海道株式会社リ・ウォールグループの「共用部内壁調査報告書及び内壁塗装提案書と色彩提案書」を基に、風除室・玄関ホール・廊下・階段室などの天井と壁面を塗装と塗装色の検討も必要と考えています。
4) 外回りの塗装
ア. 縁石・飾り枠・マンション銘盤の塗装
塗料が同じ部分をまとめて塗装を予定しています。(3)のア.と関連)
イ. 駐車場照明塔の塗装装
本体の塗装とフードの耐熱塗装(要、一部遮光工夫)を予定しています。
1-6 改良改善工事箇所と基本方針
1) 弱者対策
ア. 階段室と廊下の手摺り設置
障害を負われた方々や高齢者の廊下歩行と非常災害の避難時に備え、六階から一階まで内側に連続した光触媒(抗菌)で蓄光(暗い状態で発光)タイプの二段式(一般75~85cm、高齢者や障害のある方56~60cm)手摺の取り付けを予定しています。
イ. 階段室ノンスリップの更新
階段の段先端部につけられたノンスリップは床との段差が5mm以上でつまずきやすく、床との段差が3mm以下で蓄光(暗い状態で発光)タイプへの更新を予定しています。
ウ. マンション風除室出入口の階段滑り止め工
事
外階段には,寒冷期に氷が張り危険な状態となります。体重によるマットのたわみで氷が割れるマットの設置を予定しています。
エ. マンションと風除室の出入口扉の更新
東棟の風除室からマンションへ入るオートロックの扉は、調整不能状態できちんと閉まらないことが多いため管理員室の警報が頻繁に鳴っています。また、施錠されていない状態が時々あり犯罪者の出入りが可能なことから防犯上の問題もあります。東棟と西棟に差ができるのは好ましいことではなく、二箇所の扉の同時交換を予定していますがかなりの費用がかかるので悩んでいます。
風除室のドアノブはコーティングされた塗装が剥げて上部は素材が現われています。機能的に問題はありませんが見た目は貧粗であることから類似品に交換すべきか、マンション出入口扉に合わせて風除室の扉も同等品に更新すべきか専門家の提案を待ちたいと考えています。
オ. インターロッキングのバリアフリー化と風
除室外扉の自動化
寸法を測ってみると非常に難しいことが分かりますが、専門家の提案をお願いしたい部分です。
・ 東棟側は,風除室外の東向き階段を取り除いて床面を道路ぎわまで延長し、マンション銘盤を撤去して手摺り付きで傾斜角1/15以下のスロープを東側庭園内へ延ばします。距離が長くなるのでスロープの途中に平らな休憩場所を設ける必要があります。
・ 西棟側は、風除室外の西向き階段を取り除いて手摺り付きで傾斜角1/15以下のスロープを西側庭園内へ延ばします。距離が短いので平らな休憩場所を設け、直角に曲がって21番駐車場へスロープを延ばし、さらに平らな休憩場所を設けてから20番駐車場を西へ向かってスロープを延ばします。このようにすると、駐輪場へ行くときはごみステーションを越えて大きく迂回することになります。
・ 階段最上段の風除室前の幅は150cmのため自動扉を片開きにすると車椅子の通過は不可能です。外側への観音開きにすれば車椅子がスロープ側へ押し戻されて危険です。内側への観音開きにすれば風除室内に人がいなくても車椅子の方向転換は困難となります。
2) 防犯防災対策
ア. インターホンの更新
来客を確認できるカメラ付きインターホンの設置位置と台数は、カメラ付集合玄関機2台、カメラ付住戸玄関外子機21台、住戸内情報盤21台です。見知らぬ人は入れない防犯の観点から更新を予定しています。
イ. 建物内部の死角除去
住戸内からドアアイを覗くと扉の左右と階段及びエレベータ方向は死角になります。この死角を解消すると犯罪者は身を隠すことが不可能で、犯罪を断念する可能性がでてきます。専門家の提案をお願いします。
ウ. 防犯カメラの設置
防犯カメラは犯罪の抑止力になりますが、防犯カメラを設置したから犯罪が減るのではなく全国的にカメラに記録された画像が犯人逮捕の決め手となるケースが相次いでいます。アンケートの回答傾向は、他人は別にしても自分だけは襲われるはずがなく被害者にはならないとの意識が強く感じられます。
2 設計事務所に見積参加を要請
2009(平成21)年5月24日発行の理事会報第278号で「設計事務所選定基準」をお知らせしました。
これまでのアンケート結果や提案を参考に、4月21日と24日に実施した建物調査の立会い結果を含めて、「設計事務所選定基準」を作成しました。何をするのか分からない状態で頼むのではなく、頼みたい事項を明らかにして設計事務所に見積もりを求めるべきとの助言に納得しました。
マンションの修繕が少なかった数年前は、官公庁が工事の予算計画を立てているうちに修繕の発注が最善とされていましたが、現在はまったく異なった様相を呈しています。公共事業が削減され、新築件数が激減した建築会社は建物修繕に活路を求めてマンションの修繕に力を発揮する専門業者が増加し始めました。多くの管理組合は古い常識に縛られて春の着工を目指すため人夫の奪い合いが発生して人件費が高騰しています。しかし、晩夏にはマンションの修繕がなくなり多くの設計事務所へどんな仕事でも良いからと紹介依頼がきています。このような社会現象を把握し管理組合に伝えることができる設計事務所は真のパートナーと呼べます。
設計事務所は、戸建て住宅の新築、ビルの新築、戸建て住宅の修繕、ビルの修繕などと得意分野が全く異なる場合があります。管理組合として求めているのは、区分所有法や管理組合の運営に精通し、外壁がタイルで防水層の更新を含むマンションの大規模修繕実績が10件以上ある設計事務所です。また、資本金が1千万円以上で複数の一級建築士とマンション管理士が常勤し、理事会への提案力や区分所有者への説明力のある設計事務所でなければなりません。管理組合としての考えをまとめた設計事務所募集要項を作成しました。
2-1 設計事務所へ提示の業務内容
1) 大規模修繕の物件
ア. 物件名 私たちのマンション(正式名称を略)
イ. 所在地 札幌市白石区東札幌条○丁目○番○号
ウ. 竣工 平成4年5月8日
エ. 構造等 鉄筋コンクリート造 地下一階地上六階建(一部五階建)
建築面積 366.00㎡ 述床面積 1,929.27㎡
オ. 戸数 21戸
カ. 修繕略史(最近の概略)
a. 平成15年度12月竣工 南面大規模改修工事
バルコニーのウレタン防水、バルコニー排水溝とドレンの補修、軒
天と鉄部塗装等。
b. 平成19年5月竣工 共用部照明改修工事
マンション玄関省エネ照明器具への更新、階段室の非常灯兼用照明
器具更新、各階に人感センサー付スポットライト増設。
c. 平成19年10月竣工 屋上防水補修工事
防水層押さえ砂利を部分的にシュイプメントで固定、エレベータ機
械室への階段表面防水、フェンス支柱架台の上部防水、五階屋上出入
口扉下の防水層爆裂部を簡易防水(大規模修繕時に内部状態点検し状
態によっては鉄筋等のケレンと防水塗装が必要)。
d. 平成19年12月竣工 給水設備大規模改修工事
受水槽を撤去して加圧直結工事、加圧給水ポンプの更新、共用部給
水管をステンレス製へ更新、専有部の給水給湯管にさや管ヘッダー方
式を導入。
e. 平成19年12月竣工 駐車場照明灯の安定器を交換してメタ
ルハライドランプを導入。
f. 平成20年1月竣工 管理員室のリフォーム。
g. 平成20年6月竣工 電気引き込み盤に動力用電子ブレーカー
の導入。
h. 平成21年3月竣工 東棟一階玄関ホールの照明器具一ヶ所を
非常灯照明器具へ更新。
i. 平成21年4月竣工 東棟の避雷針設置極新設工事(60Ωから
25.7Ωへ改善)。
j. 発注者 マンション管理組合
2) 大規模修繕で予定している工事箇所と
修繕方針
具体的な内容は別紙「大規模修繕の工事箇所と修繕方針」をご覧ください。(前段「1-1」に掲載)
3) 大規模修繕の実施時期
平成23年晩夏~初冬(築後20年目の秋)
4) 工事の予定
ア. 平成21年8月 委託設計事務所決定
イ. 平成21年10月 調査診断業務の開始
ウ. 平成22年10月 施工業者決定
エ. 平成23年8月 工事着工
5) 設計事務所委託業務内容及び見積内容
ア. 建物調査診断及び基本設計業務(「設計事務所委託業務内容A.建物
の調査と診断」をご覧ください。)
a. 調査方法 外観目視とテストハンマーによる打診等の調査としま
すが、精密な検査が必要な場合はご提案ください。
b. 調査診断結果報告 管理組合が主催する全組合員を対象とした説
明会で、調査結果の現況報告と修繕仕様や工事項目の費用概算などに
ついての修繕計画の提案などをお願いいたします。
イ. 設計業務(「設計事務所委託業務内容」の「B.修繕実施設計」を
ご覧ください。)
ウ 工事監理業務(「設計事務所委託業務内容」の「C-1.施工業者選定
(施工業者候補選定の支援)」と「C-2.着工・工事監理」をご覧く
ださい。)
エ. 長期修繕計画の補正(「設計事務所委託業務内容」の「D.長期修繕
計画書の見直しと作成」をご覧ください。)
6) 提出書類
ア. 設計事務所委託業務内容に関する項目別見積書
イ. 設計事務所委託業務内容に関する項目別仕様書
ウ. 付加提案 理事長の案内で説明しますが概況を見た感じでのご提案を
お願いします。
エ. 会社案内 資本金の額、常勤の有資格者数(一級建築士、マンショ
ン管理士等)。
オ. 大規模修繕の設計監理実績書 過去三年間の、外壁がタイルで防水
層の更新を含むマンションの大規模修繕設計監理の実績書(元請、下請
けの別を明記)
カ. 提出部数 5部
7) 提出期日
提出方法 平成21年7月31日(金)必着で理事長宛に郵送をお願いします。
郵送先 略
8) 審査後のプレゼンテーションの実施
ア. 提出いただいた書類をもとに書類選考をいたします。
イ. 書類選考で残った業者様には理事会で説明をお願いいたします。
ウ. 詳細につきましては書類選考の文書で連絡いたします。
9) 問い合わせ先
理事長宅電話番号
2-2 設計事務所委託業務見積内容
A 建物の調査と診断
ア. 調査項目(建物の内外は理事長が案内します。)
a. バルコニー立入検査(4戸)
b. 概観目視調査(外壁、屋上防水、鉄部)
c. 共用部目視調査(共用廊下、階段、パイプシャフト、エントラン
スホール)
d. 膜引張り試験(6ヶ所)
e. コンクリート中性化試験(4ヶ所)
イ. 調査診断報告書 調査結果に基づいて追加をお願いいたします。
a. 総合所見、部位別評価
b. 修繕標準仕様書
c. 修繕工事概略
d. 工事概算金額書
ウ. その他、提案事項がございますなら追加をお願いいたします。
B 修繕実施設計
a. 修繕方法の整理、決定
b. 修繕方法、材料の仕様の比較
c. コスト削減計画の立案
d. 修繕図面の作成
e. 修繕仕様書の作成
f. 内訳書の作成
g. その他、提案事項がございますなら追加をお願いいたします。
C-1 施工業者選定(施工業者候補選定の支
援)
a. 資料作成、選定基準(案)の作成
b. 施工業者(複数)からの見積徴収の支援、代行
c. 改修工事図面の説明、配付
d. 見積要領書の作成
e. 見積査定、比較所作成
f. ヒアリング立会い
g. 減額提案、値引き交渉
h. 契約時のアドバイス(管理組合が不利にならないように)
i. 施工業者の工事説明会立会い(居住者の立場で工事体制を検討)
j. その他、提案事項がございますなら追加をお願いいたします。
C-2 着工・工事監理
a. 定例会議の開催(管理組合・施工業者・設計事務所)
b. 管理組合からの要望、工事に関する連絡事項、注意事項
c. 施工会社への指導、助言(安全管理、広報、品質、工期)
d. 工事の検査(各工区ごと、竣工検査)
e. 仕様変更への対応、追加工事金額の査定
f. 現場見学会、色彩アンケート、組合検査
g. 竣工書類の検査(各種保証書、連絡先、工事書類)
h. アフターサービス
i. その他、提案事項がございますなら追加をお願いいたします。
D 長期修繕計画と資金計画の見直し業務
平成15年に実施した南面大規模改修工事の結果を受け、平成16年3月に「2009長期修繕計画及び修繕積立金経計画」が完成しています。平成23年度実施の大規模修繕完了後に見直しを行い、平成24年度以降30年間の「長期修繕計画及び修繕積立金経計画」の作成をお願いいたします。
a. 定例会議の開催(管理組合・施工業者・設計事務所)
b. 管理組合からの要望、工事に関する連絡事項、注意事項
c. 施工会社への指導、助言(安全管理、広報、品質、工期)
d. 工事の検査(各工区ごと、竣工検査)
e. 仕様変更への対応、追加工事金額の査定
f. 現場見学会,色彩アンケート、組合検査
g. 竣工書類の検査(各種保証書、連絡先、工事書類)
h. アフターサービス
i. その他、提案事項がございますなら追加をお願いいたします。
2-3 パートナー候補者選定
引き続き、2009(平成21)年5月24日発行の理事会報第278号で「北海道建築新聞で設計事務所を選定」をお知らせしました。
札幌圏を中心に分譲マンションの大規模修繕工事が増加し、建築技術の専門知識を有しない素人の管理組合がプロの設計者・施工者を選定する難しさが浮き彫りになってきています。良質なマンション改修を促進していくためにはどんな課題があるのか北海道建築新聞で「マンションストックを生かせ~大規模修繕の極意~」と題し、設計者、施工者などに良質な改修工事を進めるためのポイントを聞く特集が組まれました。インタビューを受けた方々の中から、理事会はマンション大規模修繕工事の経験が豊富な一級建築設計事務所を5社を選定しました。
信頼できる設計事務所をご存知の方は「6月10日まで」に理事長へご推薦いただければ、「設計事務所募集要項」に「大規模修繕の工事箇所と修繕方針」を添付して郵送させていただきます。
区分所有者推薦の設計事務所を加え、6月20日締め切りで簡易建物調査後に届いた見積内容を理事会で検討して3社に絞り、臨時総会で一社を決定していただきコンサルタント契約を締結する予定です。
○ 大規模修繕パートナーの見積について(依頼)
むせ返るような甘い香りに包まれたライラック祭りが過ぎ、ボタンの大きな花が開いて夏の訪れを感じるようになりました。貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、私共のマンションは平成4年6月に管理組合を設立して18年目を迎え、築20年目に当たる平成23年度に大規模修繕を計画しております。入居世帯の21戸は建築関係についてまったくの素人であることから、パートナーをお願いして後顧の憂いを取り除くべきと総会で決議されました。
このたび、各機関主催のマンション管理セミナーや北海道建築新聞の情報を基に、理事会は建築設計事務所を五社選考して見積もりをお願いすることにいたしました。ご多忙中まことに恐縮ですが、つぎの参考資料を添付いたしますので大規模修繕に対する貴社の見積もりをお願い申し上げます。末尾になりましたが、貴社益々のご発展を祈念申し上げます。
1. 添付資料
ア. 建築設計事務所募集要項
イ. 建築設計事務所委託業務見積依頼内容
ウ. 大規模修繕の予定工事箇所と修繕方針
2. 保存していない資料
平成19年度に建築施工会社へ照会すると「平成17年度に会社更生法の適用申請をした新聞報道があったときに、構造計算書の引取り請求をされた管理組合様にはお渡ししましたが、残った書類は年末にすべて廃棄しました。」との回答がありました。現在の理事会は設計者や下請け施工業者へ保存可否の照会を続け、平成20年10月22日付でマンション販売会社より構造計算書不存在連絡を受けて入手不可能が確定しました。
3. 整理済みの資料
ア. 2004長期修繕計画修正(検討案)について(寺地信義一級建築士
作成)
イ. 2009長期修繕資金計画並びに長期修繕計画(理事会作成)
ウ. 保存資料目録・修繕箇所履歴書・実施アンケート一覧(理事会作
成)
エ. 南面大規模修繕時の外壁タイル調査表(施工会社作成)
2-4 パートナーの選考基準
理事会は、設計事務所の見積書などに基づいて大規模修繕パートナーの選考を行います。5社に見積もりを依頼し、3社(提出が2社であれば2社)に絞ります。大規模修繕に取り組む情熱を重点に次の選考基準で選考します。
ア. 見積依頼を受けた設計事務所から見積もり前に建物見学の申し出が
あったか。
イ. 建物調査にみえた一級建築士は修繕予定箇所を見て回られたか。
ウ. 設計事務所が用意した書類は予定通り整備されていたか。
エ. 事務所の安定性はあるか(資本金の額は1千万円以上が目安)。
オ. 過去3年間の外壁がタイルで防水層の更新を含むマンションの大規
模修繕設計監理の実績はあるか。
カ. 技術力のある事務所か(一級建築士やマンション管理士など技術者
の人数、提案力、説明能力)。
キ. 見積内訳書の内容は前回の見積内訳書内容と比較して充実し
ているか。
ク. 診断改修設計仕様書は前回の診断改修設計仕様書と比較して充実し
ているか。
ケ. 5年後、10年後までのアフターを考えている事務所か。
理事会は選考基準を重視し、見積内訳と診断改修設計仕様の比較表を作成します。大規模修繕パートナーの理事会選考経過と結果は理事会報で公表します。
2-5 パートナーの決定方法
私達のパートナーとなる設計事務所は臨時総会で区分所有者のみなさまに決定していただきます。設計事務所の選考に不在区分所有者以外は委任状を使えないので、過半数以上の出席がなければ臨時総会は流会となります。
ア. プレゼンテーションの実施
臨時総会で設計事務所三社によるプレゼンテーションを行います。大規模修繕に取り組む姿勢を観察しながら見積内訳と診断改修設計仕様の説明を受け、理事会は比較表に基づいて可否理由とや専門的な質問を行います。
イ. パートナーの決定
設計事務所の説明内容と大規模修繕にかける情熱を確認し、理事会の質問に対して適切で分かりやすく区分所有者のみなさま方に説明できるかをご判断ください。三社の説明と質問への回答終了後、理事会の参考意見を述べてから区分所有者の過半数以上の賛否で決定します。
3 パートナーの応募をいただく
2009(平成21)年6月28日発行の理事会報第281号で「大規模修繕パートナーへの応募は三社」をお知らせしました。
私達はこれからも長く安全で安心して暮らしていけるような住環境を整えなければなりません。しかし、限られた資金内で大規模修繕工事予定箇所のすべてを満足させることは難しく、資金の範囲内で工事箇所の優先順位を決め将来に禍根を残さない住環境を確保しなければなりません。
理事会はこれまで学んだことを基に大規模修繕計画書をまとめました。相手にされないのではと不安でしたが、大規模修繕パートナーへの応募もありました。7月中旬に開催予定の「大規模修繕計画説明会」で、パートナーへ応募された設計事務所のプレゼンテーションを実施します。7月下旬に開催する臨時総会でパートナーを決定し、契約を締結する予定で準備を進めています。大規模修繕パートナーへの応募結果をお知らせします。
3-1 パートナーへの応募依頼
ア. 解約解除に伴う違約金について
また、平成21年6月28日発行の理事会報第281号で、設計事務所より「契約解除に伴う違約金の請求はいたしません。貴マンションの大規模修繕が成功しますようお祈りいたします。」とのメールが届きました。とお知らせしました。
イ. 変更していない方針
建築や修繕に関して素人である私達は、南面改修工事のときに設計監理と施工を違う立場の人が行う設計監理方式を採用しました。給水給湯設備改修工事は、札幌市が飲料水と配管に全責任を負う加圧給水方式を選択したことから責任施工方式を採用しました。
昨年度まで平成23年度に予定していた大規模修繕は、設計監理と施工を違う立場の人が行う設計監理方式を選択してコンサルタントを委嘱しました。コンサルタントとの契約を解除して出直しを決めましたが、設計監理方式に変更はありません。
ウ. パートナーの推薦募集結果について
出直しに当たって理事会報第279号で6月10日までに「設計事務所選定基準に基づいて設計事務所の推薦」を区分所有者へお願いしました。反応は皆無でした。
エ. パートナーへの応募依頼について
修繕箇所が複雑多岐にわたるので、パートナーはかなりの専門的知識と能力や経験が要求されます。理事会選考の5社へ、6月1日付けで大規模修繕パートナーへの応募を求める文書を発送しました。なお、理事会報第279号の設計事務所募集要項で見積書の提出期日は7月31日となっていますが、他の管理組合は2週間程度と伺い、応募締め切りを6月20日に大幅修正しました。
3-2 設計事務所の反応について
建築設計事務所の建物調査時は修繕希望箇所をすべてお見せするのではなく、来られた方が見たいと希望されたところへ理事長がご案内する方法を採りました。
A建築設計事務所 6月5日午前中に企画部長がお見えになり、希望される順序で建物内外を理事とご案内しました。六階と東棟五階屋上、一階まで階段を下りられて西棟五階屋上、階段室を一階まで階段を下りられ外壁、駐輪場と受水槽室、トランクルームと駐車場内、ポンプ室と旧受水槽室内を見て回りました。
見積のみで比較されると、見積額は私共がもっとも高いと思います。私共は施工業者よりいわゆるバックマージンを受けません。その金額でマンションをよくするために何ができるかを施工業者に考えてもらいます。見積書作成中に何度か確認に訪れることを告げて帰られました。
B建築設計事務所 郵便物が二度返送されたので8日に電話で照会すると代表理事の一級建築士がお見えになり、ホームページの住所訂正忘れのお詫びをいただきました。六階屋上、東棟五階屋上と六階バルコニー、階段室を一階まで下りられ外壁を観察されました。生前寺地さんとは何度かお会いしましたがバルコニーの状態を見るとさすがにきちんとした仕事をされています。見積もりについてはがんばりますと告げて帰られました。
C建築設計事務所 6月10日に一級建築士がお見えになり、希望された六階と東棟五階の屋上を理事とご案内しました。寺地さんと私は北海道マンション管理組合連合会で初代の相談員を勤め、設計料は不当に安すぎると話し合ったことがあります。設計料は安ければ良いというものではないので十分注意してくださいと念を押され、エレベータで一階へ下りて帰られました。
D建築設計事務所 貴管理組合ご計画のスケジュールと同時期にすでに決定している業務と重なり、調整が困難なため誠に残念ですが辞退させていただきます。
E建築設計事務所 現在繁忙を極めご指示の日時に見積もりをおだしできず、このたびは辞退のお許しをいただきたく伏してお詫び申し上げます。
3-3 設計事務所の見積額
金額のみの比較で決めるわけに行きませんが、見積内訳を一覧表にすると設計事務所が力を入れている業務を理解できます。コンクリート中性化試験のように建物の点検結果から削除すべき項目も含まれているので、理事会は設計事務所ごとに内容を確認します。なお、参考の金額は解約した設計事務所の見積額です。(内訳は略します)
A社 3、360,000円
B社 2,047,500円
C社 1,365,000円
参考 1,785,000円
4 パートナーを決定
4-1 プレゼンテーション
2009(平成21)年7月6日発行の理事会報第278号で「大規模修繕計画説明会と設計事務所のプレゼンテーション」をお知らせしました。
故寺地一級建築士とはマンション管理の研究仲間という気安さと、飲みながら建物の維持と保全方法について激論を交わしたという親しさもありました。しかし、寺地さんをご存知と建築士とは、何度も理事会に出席されて修繕計画を検討しながら共にスケジュールを煮詰めていくとは限らないことを知りました。理事会は他人を当てにしないで自らの建物は自ら守るしかないことを悟り、これまで学んだことを基に大規模修繕計画書をまとめました。理事会がまとめた大規模修繕計画書は完璧なものではありません。工事の時期、工事費の概算、工事の箇所など、すべておおよその目安となるものです。
7月12日に町内会館で「大規模修繕計画説明会」を開催します。大規模修繕計画の説明後は、引き続き大規模修繕パートナーへ応募された「設計事務所のプレゼンテーション」を実施します。理事会の説明会と設計事務所のプレゼンテーションをお聴きいただいたうえ、7月26日の「第17期臨時総会」で大規模修繕のパートナーとなる設計事務所を決定していただきます。
大規模修繕計画の承認と設計事務所の決定をいただくため、7月26日午後6時から平成21年度第17期臨時総会を開催します。建築設計事務所の選考に不在区分所有者以外は委任状を使えません。過半数以上の出席がなければ臨時総会は流会となります。大規模修繕工事パートナーとして応募された設計事務所の事前対応、提出された書類の状態、プレゼンテーションの状況と質問への回答などを思い出していただき、区分所有者の過半数以上の賛否で大規模修繕工事パートナーを決定します。
4-2 プレゼンテーションの内容
A建築設計事務所の内容要約
建物を視察された企画部長(二級建築士)と、パートナーに選ばれたときに担当者となる一級建築士のお二人がプロジェクター持参で見えました。
6月の上旬、理事長と理事の方にご案内いただき建物の状態を拝見しました。素人の処置とはっきり分りますが、メンテナンスがしっかりされているので築後17年を経過している割に建物の状態は良好です。15年度にバルコニーの改修、19年度には給水管の改修工事が行われ、管理会社に任せきりにされず建物をきちんと管理にされていることに敬服しました。
マンションの大規模修繕計画概要(プレゼンテーション投影資料)4頁の写真はタイルの割れですが、上階にも同様の割れがあると推定できます。5頁上段の写真でシーリングの上部分のタイルが張り替えてありますが、張り替えたタイルのひびから雨水が内側へ入りシールの上段から漏れ出して下の壁に汚れをつくっています。シールは補修されていますがタイルは張り替えが必要です。6頁の屋上防水は非常によい方法ですが本州仕様です。経年劣化で断熱材が痩せて隙間ができ、砂利が落ち込むことで表面に筋上の凹みが現れています。信じられない理事長の説明でしたが、パイプシャフト内部からみた壁面のブロック押さえは無造作で、せめて戸枠上に鉄のアングルが入っていると信じたい造りですが無いかもしれないとも思えます。
私どもは大規模修繕の専門会社です。説明会では専門用語を使わず、ほかに適切な用語がない場合は補足説明をしています。日事連の建築士事務所賠償責任保険に加入し、これまで適用事例はありませんが万一の事態が生じても管理組合様にはご迷惑をおかけしない配慮もしています。施工業者については膨大なデータを所有し、業者選定時には安全確実な情報を提供できます。
これは、施工業者からバックマージンを一切もらわないからできることです。利害関係がないから管理組合の立場に立って建物の10年先20年先を見据えた工法を施工業者に指示することができます。
感想 明内容は整然とし、これこそがプレゼンテーションという感想が参加者から聞かれた。マンションの写真を基に説明され、建物診断をした結果で長期修繕計画を補正して設計に着手するとの説明があった。プレゼンテーションが始まる前にも一級建築士と共に建物外周を調査されている。
B建築設計事務所の内容要約
一級建築士と女性事務員が見えました。私たちは5つの設計事務所で構成された協同組合で詳しくは会社案内をご覧ください。それぞれの専門性を生かし、歴史的建造物の保全で培われた技術や官公庁の建物修繕などで得られた技術をマンションの修繕に役立てています。大規模修繕工事の流れを図式化し、管理組合と設計事務所が担当する業務を明確にしました。管理組合の業務はステップ毎にまとめ、どの段階で設計事務所がどのようにかかわるかを明示しています。
ここのマンションと同様に防水層上に断熱シートを置き、砂利をカチトールで固めた16戸のマンションの防水層更新工事を担当しました。カチトールで固めた砂利は再利用ができず、産業廃棄物として処理しなければなりません。この砂利を捨てるだけで500万円という見積もりが出てきました。デベロッパーを通して様々な処分場を探してもらい、最終的に200万円で廃棄しましたが、かなりの費用がかかることを考慮してください。
感想 内容は整理されていたが、ボソボソという説明で意欲が伝わらない。カチトールで固めた砂利の処理以外に具体的な事例は示されなかった。長期修繕計画には触れず予定5分前に終了した。
C建築設計事務所の内容要約
一級建築士とアルバイトの女性事務員がプロジェクター持参で見えました。技術職員は2名の事務所のため学生アルバイトを使っています。大規模修繕に対し私達は2つの考え方を基本としています。まず、設計事務所は管理組合の意見の代表と考えます。組合員の意見を理事会が汲み上げ、技術者は理事会と意見を交換しながら具現化を図ります。問題を解決するため、工法、価格、工程を住民側の立場で補い、マンションの長生きを図る(資産価値を下げない)方法を提案します。
また、居住者の生活環境をいかに守るかを常に考えます。普通に生活している中での工事ですから、騒音、振動、部屋の中が暗くなるは当たり前ではありません。どのようすれば居住者の精神的苦痛を下げることができるか、技術を超えた我々のアイデアであり経験に裏付けられた能力です。
このように「技術=ハード」と「居住者への気配り=ソフト」が大規模修繕に必要な能力と考えています。
感想 説明内容が整理されていない印象を与え、私達のマンションの大規模修繕について具体的な事例は示されなかった。長期修繕計画には触れる余裕はなく、5分前に始め8分オーバーした。
4-3 パートナーの決定
2009(平成21)年7月26日の臨時総会議事録には次のように記録されています。
設計事務所のプレゼンテーションへ参加されない方々へ、紹介文章に若干の主観が入っていることを認めますが理事会は知り得た情報の大部分をお知らせしました。
プレゼンテーションに参加されない方々はおいでいただいた設計事務所の方々のコミュニケーション能力や人柄を観察されず、マンションの10年後20年後を考えた説明を聴く機会を放棄されました。予定していた投票によるパートナーの決定は不可能と考え、設計事務所の決定方法を変更し、理事会は全員一致で信頼できると評価した設計事務所を一ヶ所に絞って提案します。
管理組合がしっかりしていれば問題が生じないと思われるとのご意見ご要望を踏まえて、「設計施工方式で大規模修繕のパートナーをA社にお願いする」ことを提案します。
議決:出席者6名、委任状6名(議長委任5名、理事長委任1名)、口頭委任1名の計13票で「設計施工方式で大規模修繕のパートナーは株式会社A建築設計事務所にお願いする」ことが承認されました。
4-4 気が付かなかった
2009(平成21)年8月8日発行の理事会報第284号に「現役員は大規模修繕完了まで義務の履行」をお知らせしました。
7月26日(日)午後6時15分から平成21年度の臨時総会が開かれました。久しぶりに不在区分所有者6名全員より委任状が届きましたが、居住されている区分所有者の参加は役員を含めて7名という寂しさでした。役員以外に3名もの方々が参加されたことに感謝しながら議案を審議いただきました。
第一号議案の文章表現はやや感情的ですが、定期総会や臨時総会、説明会などへの参加要請が本来の趣旨です。町内会の夏祭りに参加されてジンギスカンを楽しんでいた区分所有者にお話を伺うと、「出席してもわからないから」というご意見が多数を占めていました。
分らないものに興味を示さないのは常識ですが、興味を持ってもらう方法がないかマンション管理の勉強仲間に聞いてみました。「ヘタだな~、修繕積立金の範囲内で工事をするというのがそもそもの失敗だよ。工事費を10円でも徴収するといえば目の色を変えて集まるよ。」と笑われました。
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