はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第33章 給水給湯設備改修
          (3-2)

給水配管の断熱材を剥がすと表面は腐食し、はずされた配管を覗くと共用部も専有部もキノコが密集しているような詰まり具合でした。ポンプを交換して受水槽を解体撤去し、専有部の給水給湯にさや管ヘッダー方式を導入して直結加圧給水方式へ切り替えました。

1 建物内の工事

1-1 工事開始で思わぬ朗報

2007年(平成19)11月24日発行の理事会報第237号で、「地下ピット内の配管は1日で完了」をお知らせしました。

15日午前9時にプレハブの建築事務所が搬入され、共用部のカギ(東西棟玄関、管理員室、駐輪場共通)を現場責任者へお貸ししました。16日にいただいた工事日程表を掲示板に張り出し、共用部のカギ借用書を管理員さんへお渡ししました。17日、建築事務所内に配管の継ぎ手などを収納する棚が作られ、資材置場の様相を呈してきました。19日に共用部床やエレベータ内の養生が行われ、共用部のコンセントの位置と管理員室での飲料水及びトイレ利用方法をお知らせしました。工事説明会の時は給水管類をバルコニー下に保管する予定でしたが、現地の確認で衛生的に問題があると思われ、めんどうでもその都度運搬することになりました。


 20日午前9時から本格的な工事が始まりました。階段下から地下(以下「地下ピット」という)へ入り、スミだしで指定された位置を確認しながら、基礎コンクリートにダイヤモンドカッターを固定して給水管を通す穴を開けます。午後は西棟地下ピットの天井に支持金具を取り付けて配管を固定し、給水管と給水管は耐震性のある継ぎ手で接続され、この日のうちに配管敷設は東棟地下ピットまで達しました。一階パイプスペース内から地下ピットへの穴が開けられ、給水縦管との接続部にバルブもつけられました。

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作業員は、他のマンションと違って階段の裏側も50mmのスタイロフォームで断熱されていることに感心し、地下ピット内の空間が広くとられているので作業がやりやすいとの感想でした。

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1-2 埋設電線で工事中断も

午前9時、西棟よりも少々狭いことから作業に時間がかかると予想されている、東棟六階のパイプスペース内にダイヤモンドカッターが固定されました。カッターの刃の摩擦熱を水で冷やしながら、高速回転する筒状の先につけられた刃がコンクリートを切り抜いていきます。五階のパイプスペース内は水が飛び散らないように、穴の開く位置が容器で密閉されていました。カッターは約6分間で五階のパイプスペース内へ貫通しました。

西棟の地下ピットから出発した給水配管は、21日中に東棟の地下ピットから四階までつながりました。ステンレスの給水管にはコンクリート床の穴を通過する部分に防蝕テープが巻かれて建物との絶縁が図られていました。各階のスラブの厚さは切り抜かれたコンクリートのコアで18cmありました。
 地下ピットで繰り抜かれたコアに異物が混じっていました。生コンの注入中に風で飛ばされてきたものが混入したと思われます。

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21日午後、西棟六階のパイプスペース内にカッターが固定され、ダイヤモンドの刃が高速回転を始めました。12cmまで掘り進んだところで刃を冷やす水の動きを見ていた技術者は機械を止めました。わずかな変化を見逃さないスーパーマンと呼ばれる技術者が、コンクリート内に電気の配線が埋もれているのを発見しました。五階のパイプスペース内を調査し四階へ下りると廊下に漏水痕跡があります。蛍光灯器具のカバーと管を外して漏電有無を確認のため工事は中断しました。

22日は好天に恵まれましたが気温は依然として低く路上の所々にうっすらと氷が張っています。西棟六階のパイプスペース内で、中断した位置から15cmほど離れた位置にダイヤモンドカッターが固定されました。掘り進んでいくと12cmほどのところで水の動きが変わり、またも電気の配線が現われました。電線の向きから504号住戸の玄関天井裏へ水が流れ込んでいるかも知れず、恐縮でしたがお邪魔して漏水の有無を確認させていただきました。水の量はコップ一杯程度ですが漏水の痕跡が見当たらず安堵しました。

西棟の他の階もコンクリート内に電線埋設の恐れがあります。この位置に穴を開けることは不可能と判断されましたが、パイプスペース内にダイヤモンドカッターを固定できる空間は他にありません。手掘りにすると騒音が長時間続き、配線切断は回避不可能と考えられ工事はまたも中断しました。

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1-3 建物内工事の完了

東棟の給水管敷設は順調に進み、22日午前中に六階までの配管が完了してパイプスペース内の清掃が行われました。一方西棟では午前11時20分に結論が出ました。給水管から水抜き用の排水管へと接続されている銅製の配管(理事会報第222号で紹介した緑青が吹いている管)を外し、振動ドリルで排水管周囲のコンクリートをはつり、六階から一階までの水抜き用の排水管を取り除きました。排水管を取り除いたあとへ給水管を新設し、現在の給水管位置に排水管を移設することになり、外された管は再利用のため保管されました。

午後から床に接する部分の断熱材を取り除き、東西棟の給水管を外す準備が始まりました。給水管周囲のコンクリートをはつる振動ドリルの音がマンション中に響きます。配管を傷つけないように3時間半を超えての慎重な作業が要求され、氷点下の気温でも作業をされる方々の額には汗が滲みでていました。

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2007(平成19)年12月1日発行の理事会報第238号で「新しい給水管への切り替え完了」をお知らせしました。

24日(23日祝日と25日はお休み)は新給水管が動かないように簡易固定され、各住戸の給水管へつなぐためのバルブが取り付けられました。現給水管とメータまでの保温材が取り除かれてむき出しとなると、管の継ぎ手部分のほとんどに腐食が見られました。

26日に地下のポンプ室に加圧給水ポンプへつなぐための配管が伸びました。地下ピット内の配管とバルブとの接続部には、耐震用の継ぎ手が使われていることを配管のそばまでもぐり込んで自分の目で確認しました。ステンレス製の配管は壁を通過して受水槽室の天井を走り、西棟と東棟のパイプスペース(パイプシャフト)内の給水縦管へつながっています。

27日は加圧試験実施後に各住戸と新給水管との接続工事が始まりました。住戸ごとに水道の使用量メータと減圧弁を外して使用量メータは同一品ですが減圧弁は新品と交換され、バイパスを通して住戸への給水管へ接続されます。新品の使用量メータに取り替えるのは12月中旬以降になります。

来週27日火曜日に新給水管の水圧試験が行われます。加圧して水漏れなどの問題がなければ住戸毎に新給水管への切り替え工事が行われます。このときに一時的な断水が発生しますのでご協力をお願いいたします。

切り替え工事が終われば、新品のステンレス管で供給される飲料水を利用できます。豊平峡ダムと定山渓ダムを水源とし、白川浄水場で処理された飲料水が直接届くのはもう少々お待ちください。

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1-4 管理員室の工事

管理員室のシンクを外した壁のボード内にある給水管の継ぎ手はかなり腐食していました。以前から炊事ができるような大きなシンクの必要性について理事会で疑問を呈してきましたが、管理員さんのご意見を伺ったうえで全理事の意見一致で撤去することにしました。ついでにガス瞬間湯沸器とガス管の取り付け位置を左方向へ移動してもらい、シンクと壁との間の棚も三分の二ほど取り除きます。

シンクを外した部分に中古の書戸棚を購入して設置すると、東棟から屋上への塔屋に保管している図面や竣工時の書類、西棟エレベータ横にある会計書類の保管庫、保存が必要な修繕記録などの書類を分類して収納するスペースが確保でき、管理員室で理事会を開くゆとりも生まれます。管理組合関係書類は全区分所有者の財産記録で、情報公開に対応可能な望ましい文書管理システムを任期中に整備しなければならないと考えています。

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1-5 専有部への配管

8日は、旧西棟給水管の撤去作業が行われました。電動のこで枝管を切り落とし、縦管を二等分して抜き取ります。下の階のパイプスペース内で穴をふさぎ、コンクリートを詰めて補修しました。保温材を取り除いて切断された枝管を見ると、ライニング鋼管のバルブの付け根はかなり腐食していました。配管とバルブの素材が違うことで起こる異種金属腐食で、絶縁対策が万全でないことが一目瞭然でした。

枝管を覗くと、管の内部をコーティングしている樹脂皮膜が異種金属腐食で破れ、膨れ上がったサビは動脈硬化を起こした血管のようでした。水に含まれる鉄分は樹脂皮膜の破れた突起部分に付着し、その上に重なるように層を形成しながら成長します。

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脳梗塞や心筋梗塞を起こす血管と似た症状ですが、同一時期に製造されたライニング鋼管の一部にのみ発生している症状で、(中略)この状態から三分の一強の住居では毎朝若干の赤水が出ていたと推測されます。

赤水は管内壁に生じた鉄さびが水に溶け、水の使い始めに赤い水となって出てくる現象をいいます。鉄は生体の必須元素で人体への毒性はほとんどないとされています。多量の赤水や鉄の濃度が異常に高い水を飲用した場合に嘔吐をもよおすことがありますが、鉄分は人体への吸収率が低く大部分は排出されるので心配いりません。

枝管の状態から住居内の配管内壁にも酸化沈殿物が付着しているとの推測ができます。住居内配管は一本の給水管からキッチン、洗面台、風呂、洗濯機置場、給湯器の五箇所へ枝分かれしているので、継ぎ手が使われているところで異種金属腐食が発生している可能性があります。

右側のちょっとぶれた写真はある住戸の給水管内部写真です。工事をしていた技術者は「このような状態で水が出ていたんだろうか。苦情がなかったなんて信じられないよ。と驚いていました。

昨年11月に西棟共用部203号への給水管で発生した漏水で、外した配管内部の腐食状態をみて飲料水の水質検査や管内部の状態を調べる抜管検査を検討してきました。かなり高額な調査費用をかけるよりも、外した配管で他の配管内部の腐食状態を推測し、給水設備大規模改修工事の実施を早めたのは結果的に正解でした。現在より時期を遅らせれば、水がチョロチョロしか出ない住戸や赤水を摂取して嘔吐に悩む方々が出たかもしれません。

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1-6 専有部の配管

11月29日午前9時、工事手順を確かめる目的もあり理事長宅の工事がおこなわれました。玄関、廊下、トイレ、洗面所、キッチンが養生されて現在の配管と躯体確認の調査が始まりました。トイレ用給水管の上壁を開けて内部をのぞき、さや管を固定させる支柱を建てる位置を大工さんが確認していました。洗面所への給水管を調べるために壁の物入れを外して横に小さな窓をあけ、洗面台の下に開口部を作りました。配管は玄関の靴入れと洗面場の鏡の間を通過する面倒な構造で、洗濯機置場は単純に天井から直線の配管でした。

キッチンはシンクの下に窓を三箇所開けて配管を追跡すると、居間の電話置台裏側を通過しているのでキッチンの廊下側天井に開口部をつくるとスムーズに配管ができそうです。大小12ヶ所の窓を要所毎に開けて確認し、午後から難しそうな順にさや管を通しました。下の写真は左からキッチンへの給湯管と給水管、洗濯機置場への給湯管、洗面台への給水管の配管状態です。
 所々で引っかかることもありましたがほぼ予想通りに配管できました。この結果、ほとんどの住戸では6箇所程度の開口部を設けることで作業を効率化でき、作業時間も短縮できる工法が確認されました。

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30日は1日配管を電動のこで切りながら取り除き、脱衣所兼洗濯機置き場の天井裏に給水用と給湯用のヘッダーを取り付けて末端への配管が行われました。広い天井裏で配管を曲げるのは容易ですが、部屋の面積を確保するために壁の内部はゆとりのない造りとなっています。このためさや管を曲げるために工夫が必要となり、折り曲げるように体を固定しながらの作業が続いていました。ヘッダーには給水用5本と給湯用4本のさや管が接続されています。

開口部は大工さんが寸法を取って塞ぎ、一部は水道局が検査しやすいように点検口が付けられます。この工事が完了すれば管理組合の飲料水に関する責任は解除され、すべての配管は水道局の管理下となります。

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1-7 異なる構造に困惑

2007(平成19)年12月11日発行の理事会報第239号で「日々の努力で作業時間の短縮が実現」をお知らせしました。

11月28日から12月3日にかけて東棟最上階の工事は順調に進みましたが東棟五階の工事が始まると難題が待ち受けていました。最上階の天井裏は浴室が53.5cmで洗面所は44.5cmありますが、他の階は37.5cmと18.5cmしかないため作業が思うように進みません。

さや管を無理に曲げると内部の樹脂管を引き抜くことは不可能となり、さや管の特性を生かすことができません。ガラス繊維の光ファイバーのように折れることはなくても、十分なゆとりを与えて曲線を描くように配管しなければならず工夫が要求されました。

このような事情で12月1日の配管撤去と新給水管の配管工事は午後7時半までかかりました。12月3日は1時間短縮できて18時半までに終わりましたが、4日はほぼ18時で作業が終了できる目途が立ちました。居住者のご都合で工事開始時間が遅れ、18時を過ぎても騒音が聞こえることがありますのでご容赦ください。

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1-8 大規模改修工事の見学者

12月1日午前9時半に視察者が見えられました。さや管ヘッダー工法用部材メーカーの主任、センチュリー美しが丘管理組合顧問(前修繕委員長)と修繕副委員長、株式会社アーバン・プラニング一級建築士事務所設計部課長の4名が、2時間かけて熱心に理事長宅の天井裏配管と五階パイプシャフト内工事の様子を見学されました。

マンション管理の勉強仲間であるメーカーの主任より「さや管とヘッダーの接続部分の密閉方法」について質問があり、工事担当者は「これまでに当社が行ってきた工事では水漏れの事例がなく、ほかの工事関係者からも水漏れのうわさを聞いていません。」との回答がありました。

センチュリー美しが丘は五棟のマンション群で来春二億円規模の大規模修繕工事を実施するため、株式会社アーバン・プラニングと設計監理契約をしています。給水設備も検討対象のため視察報告会を予定しているそうで、修繕副委員長さんに写真撮影の箇所や角度を指示していました。

株式会社アーバン・プランニングの設計部課長は、酸化沈殿物が隆起した給水管内部を見るのは初めてと驚きながら、給水設備の大規模修繕を決断した根拠を質問されました。配管内の酸化沈殿物や断熱材を剥がしてみたライニング鋼管の表面サビ、露出銅管の緑青や減圧弁の腐食劣化、パイプスペース内の漏水痕跡などを説明しながら写真をお見せすると驚いていました。

視察者は一様に「給水配管の更新を見せてくれる所はないので勉強になりました。」と感謝していました。12月1日付の北海道建設新聞にパシフィック美しが丘弐番街の「大規模修繕工事施工会社公募広告」がでていました。(広告料は6万円とのことでした)。

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1-9 住戸内給水管にも緑青

2月7日までに東棟全住戸内の給水管と給湯管が外されました。建築当時は最高級と言われる被覆銅管が使われていましたが、管が曲がっている部分や継ぎ手のある部分に緑青が吹いていました。 理事会報第222号でお知らせしましたが、緑青は銅が酸化することで生成する青緑色のサビのことで銅銹(どうしゅう)ともいいます。緑青は昔から毒物と考えられてきましたが、金属製錬技術が未発達な時代に多量の砒素が混入して砒素中毒を引き起こしたのが原因らしいとされ、過剰に摂取しない限り毒性は低いそうです。

給水管の中は内壁が緑色になっているもの、酸化沈殿物が付着しているもの、水垢が付着して内径が細くなっているもの、内壁が変色しているものがありました。この管を通った水を二度と飲みたいとは思いません。

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2 建物外の工事

2-1 上水引き込み工事

2007(平成19)年12月16日発行の理事会報第240号で「上水引き込み工事は10~11日で完了」をお知らせしました。

12月10日は朝から上水引込工事のため、NTTの職員が見えて電話線の埋設位置を調査しました。測定器を使うと西側の照明塔横を通過して斜めに駐輪場の扉右端へ延びています。埋設配線を確認して水道メータと散水栓のある場所を掘り返し、建物の基礎に水道管の通る穴と散水栓への穴を開けました。ダイヤモンドカッターを操作している技術者に質問すると基礎部のコンクリートは400mmの厚みがありました。上水引込管は現在25mmですが直結加圧給水のため50mmの上水引込管となりました。

竣工図では、水道本管の位置は北側道路のサイクリングロード側になっていますが、実際は建物側に埋設されていました。寒空の下をほぼ二日で上水配管は地下のポンプ室まで敷設され、道路などの舗装も終わりました。舗装しなおした跡が汚れていますが、水を使うと凍結するので雪解け後に洗浄することになりました。

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パイプシャフト内の給水管に最新の住居用水抜弁が付けられ、以前は排水管に直結して緑青が吹いていた部分にホッパーが付けられました。これにより、排水管をよじ登ってきた雑菌類はホッパーより上へ進むことは不可能になります。

ポンプ室のポンプから各棟の給水縦管へつながる管が外されると、ねじ込み部分は異種金属腐食が進んでいました。管の内側も腐食が進み、この部分を通過した水を飲んでいたのですからゾーッとします。ポンプ室へ下りて確認しましたが、役員のだれもが触ってみる勇気はありませんでした。このまま使っていると腐食が進みポンプ室内は水浸しになったでしょう。

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2-2 働き者のポンプとお別れ

2007(平成19)年12月20日発行の理事会報第241号で「住戸のメータ交換で配管は札幌市管理に」をお知らせしました。

12月15日午後、給排水設備会社の社長と設備メンテナンスサービス部常務取締役がポンプ室から地下ピット内、一階から六階までのパイプシャフト内配管状態について社内検査を行いました。この検査で指摘が出ればその部分はやり直しとなるので、工事責任者は朝からピリピリしているようでしたが何事もなく終わりました。

17日の午前中はメータの指針を記録しながら新しいメータへの交換作業が行われました。新しいメータの耐用年数は27年8月迄で、時期が来れば札幌市水道局が無償で交換します。平行して地下ピットから順に配管が保温材でくるまれていきました。寒冷地用減圧弁は発泡スチロールの箱で覆われています。

18日10時に16年間お世話になった給水ポンプは解体されて管理員室の点検口から運び出されました。ポンプは一台70キロを超える重量のため、脚立に滑車を取り付けてクサリで吊り上げていました。ポンプに繋がれている配管の保温材を剥がしてみるとどれも真っ赤にサビています。

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給水管内の水圧が下がると受水槽からくみ上げ、常に一定の圧力を加えていたため16年ものあいだ働きづめでした。そろそろ壊れるのではないかと心配していたポンプですが、新しいポンプと交換するまで働き続けてくれました。この種のポンプのなかでは長持ちしたほうといわれます。長い間ご苦労様でした。

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2-3 受水槽とのお別れ

12月18日午後、新しいポンプが据え付けられました。水道本管から50mmの管を通ってポンプを経由し、パイプシャフト内の25mm給水縦管へ飲料水が供給されます。太い管を通った水は細い管内へ入ることで水圧がかかり、一気に六階まで上がっていきます。マンションの前をとおる水道本管内の水圧は計算上ほぼ六階まで届くという答えがでています。しかし、19戸が一斉に水を使うと六階の水は出なくなります。また、町内で火災などが発生して大量の水を使うと五階も水の出が悪くなります。こんなときに働いてもらうのが加圧給水ポンプです。

古いポンプは給水管内の水圧が下がると、受水槽からくみ上げる方式で水を使うたびに稼動していました。新しいポンプは水圧が低下して六階まで飲料水が届かないときに働くポンプですから、稼働時間はわずかと予想され電気代は10分の1程度ではないかと考えられます。

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12月18日午後3時10分、豊平峡ダムと定山渓ダムを水源とした水は、白川(しらいかわ)浄水場で安心して飲める水道水に処理された状態で各住戸へ届きました。ポンプが稼動前でも六階の蛇口からかなりの勢いで水が出ました。これまでのようにマンションの受水槽というため池に保存され、古くなった水から順に供給されることはもうありません。管理組合は安全管理義務から解放されました。

12月19日に受水槽が解体されました。前日のうちに水抜きで空になった水槽を固定している鉄枠がはずされ、水槽の壁は小さく切り刻まれて鉄枠や水槽の架台も半分に切断されて、駐輪場から搬出されていきました。平成13年秋は塗装屋さんにお願いし平成19年春は理事長がサビを落として防錆剤入り塗料を塗った鋼鉄架台とお別れしました。

給水設備の工事申請時に水道設備の所有者変更手続きが必要になり給排水設備会社の社長に代行していただきました。管理組合設立時の管理委託会社が変更手続きを怠り、所有者はマンションを販売した不動産会社のままだったのです

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3 工事完了

3-1 水道局による現地検査

2007(平成19)年月31日発行の理事会報第242号で「水道局による給水設備検査に合格」をお知らせしました。

12月20日午後、札幌市水道局の担当者が給水設備大規模改修工事の図面を手に現われ、管理員室で工事責任者に図面上での説明を求めてから現地検査が実施されました。地下のポンプ室へ下りて、ポンプ会社北海道支店職員の操作で「直結給水ブースターポンプ」の作動状態を丹念に確認していました。異常事態を発生させて管理員室内の警報が連続鳴動することを確認し、異常の信号が警備会社へ伝わったことも確認してポンプユニットの点検は終了しました。

管理員と間違われた理事長へ「管理員室の警報が鳴っていることに気づいた居住者は、ポンプのメンテナンス会社ではなく水道局へ電話してくると考えられます。この間違いをどう防止しますか。」「理事会報という広報で周知し、自衛消防計画の緊急連絡先に追加します。自衛消防計画は電話機のそばに掲示をお願いしています。」「居住者の全員が消防計画を掲示して、内容を理解しているわけではないでしょう。」「常識があれば義務を履行しますよ。水道局へ電話をかけたら物笑いの種です」。

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工事責任者の発案で管理員室の出入口扉の外に、「水道用給水ポンプユニット緊急連絡先」を掲示することにしました。管理員室内で連続する「ブー」という大きな警報音に気づいたら、理事長や役員へ連絡してください。

東西棟地下ピット内と六階から一階までのパイプシャフト内を一ヶ所毎に図面で確認しながら点検し、施工図面に東棟と西棟の構造が同じでも反転した図面を一枚加えるよう指示して点検は二時間で終了しました。

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3-2 管理組合の確認業務

2007(平成19)12月31日発行の理事会報第242号で「水道使用量と料金にご注意」をお知らせしました。

12月21日午前10時、給排水設備会社の社長に同行いただいて工事責任者の案内で管理組合の竣工検査を行いました。専有部以外の工事箇所はほとんど立ち会いましたが、改めて水道メータ指針記録表を回収しながらパイプシャフト内を点検しました。とくに問題となりそうな箇所は発見できずこれまでのご苦労に感謝の意を表しました。

建物を管理するうえで管理組合が行う点検時に留意すべき点をお尋ねすると、「パイプシャフト内のホッパー上に排水管が正しく下りているか、減圧弁を覆う発砲スチロールの箱下が濡れていないかの確認をする」ようご指導いただきました。共用部と専有部に万一異常があれば、櫻井工業へ電話連絡をお願いします。

給水設備大規模改修に伴い各住戸の指針を記録して水道メータを外しました。今月分として請求されるのは12月15日分までとなります。以後は水道局の管理下となり、戸建て住宅と同様に水道局から請求書が届きます。工事前は耐用年数を超えた水道メータを利用していたため、多少の誤差が生じていたと推測できます。水道料金の多いご家庭や少ないと感じるご家庭が現われるかもしれません。数ヶ月様子を見て異常であれば理事長へ連絡ください。

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3-3 省エネ効果

2007(平成19)年12月31日発行の理事会報第242号で「水道使用量と料金にご注意」をお知らせしました。

ポンプ室に設置された直結給水ブースターポンプは、最低一日に二回は稼動するようにプログラムされていました。人間の頭脳と同様に使わないと劣化するので、自動的に短時間稼動するように組まれているそうです。

12月21日午前11時25分、ブースターポンプに表示されている水道水の水圧は43mでした。地表から六階天井までの高さ+ポンプ室の深さを建築竣工図面で調べると、17.51+3.6=21.11mです。単純計算ですが12階まで届きそうな水圧ですから専有部の配管を取り替えていなければ、住戸内部で管の腐食部分から水が噴出しているでしょう。水圧が高いとポンプの稼動率は極端に減り、ここでも省エネ効果が現われます。

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3-4 適正管理の承諾

2008(平成20)年1月6日発行の理事会報第243号で「水道局の直結加圧装置設置条件に承諾」をお知らせしました。

今月中に給排水設備会社の社長のお世話で、札幌市と各住戸が水道を利用するための契約していただきます。水道料金は、札幌市がメータを検針して契約された方の口座より引き落としになります。12月分の水道料金は1日から15日分までを管理組合がお預かりして支払います。なお、管理組合は札幌市水道事業管理者に直結加圧装置を設置するにあたり、下記の条件に基づき適正に管理することを承諾しました。

1.使用者への通知

次の特徴を理解し、使用者等に周知させるとともに、直結加圧装置の給水についての苦情を水道局に一切申し立てません。

 ア. 停電や故障等により直結加圧装置が停止したとき、または水圧低下に伴い出水不良及び濁水が発生したときには直圧共同水栓を使用いたします。

 イ. 直結加圧装置を設置した場合は、計画的な断水及び緊急的な断水の際に、水の使用ができなくなることを承諾いたします。

2.定期点検につい

直結加圧装置の機能を適正に保つため、適宜保守点検及び修理を行うとともに、1年以内ごとに1回の定期点検を行います。

3.損害の賠償について

直結加圧装置の設置に起因して、逆流または漏水が発生し、水道局若しくはその他の使用者等に損害を与えた場合は、責任を持って補償いたします。

4.直結加圧装置管理人等の変更届について

直結加圧装置の所有者または管理人を変更するときは、変更後の所有者または管理人にこの装置が条件付きのものであることを熟知させた上、水道局に書面で届け出ます。

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5.既設配管使用の責任について

既設の装置を使用し、直結加圧給水方式にした場合は、これに起因する漏水等の事故については、所有者(設置者)または使用者等の責任において解決するとともに、水道局の指示に従い速やかに改善します。

6.水道メータの管理について

直結加圧装置以下の給水装置に水道局のメータを設置した場合、水道メータの維持管理及び計量に支障が生じないようにいたします。

7.水道メータの取替えの措置について

計量法に基づく水道メータの取替え及び水道メータの異常等による取替えの際には、水道局に協力し断水することを承諾します。

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8.関係法令の遵守

上記各項の他、取扱い上必要な事項は、水道法及び札幌市給水条例などの関係条例を遵守して施行いたします。

9.紛争の解決

上記各項の条件を使用者等に周知徹底させ、直結加圧装置に起因する紛争等については、当事者間で解決し、水道局に一切迷惑をおかけしません。

10.その他

水道局が行う水量・水圧・断水作業後の通水復帰等の調査・操作について協力いたします。

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注1:1.の「停電や故障等により直結加圧装置が停止したとき」は直結水圧で五階まで給水できます。また、1.ア.の直圧共同水栓は第一止水栓と減圧式逆防止器の間に設置されていますが、緊急時に直結加圧装置所有者である理事長の操作が必要となるため任期満了の交代時に引き継ぎます。

注2:2.の定期点検は給排水設備会社が実施します。

注3:3.の損害の賠償は損害保険で行います。

注4:4.の直結加圧装置の所有者は、管理組合の理事長を指します。理事長交代時には変更届が必要となります。

注5:5.の既設配管はすべて廃棄しました。専有部の給水給湯配管はさや管ヘッダー工法で施行しているので問題は生じないと考えています。

注6:6.の「水道メータの維持管理及び計量に支障が生じないように」、パイプシャフト(パイプスペース)内に私物を置くことは (共用部の私物化は使用細則でも禁止) 禁止します。

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3-5 工事完了報告で書類受領

3-5-1 工事完了報告会の案内

2008(平成20年)年1月29日発行の理事会報第247号で「給水設備改修工事完了報告会と慰労会」をお知らせしました。

給水設備大規模改修工事で師走中に入手できなかったピンが入荷し、1月22日にポンプ室西壁の断熱材固定工事が完了しました。また、水道料金の口座振替手続き用紙は22日に配付しました。残務整理が完了しましたので、給水設備大規模改修工事の完了説明会を下記により開催いたします。この説明会で図面を含む工事関係書類一式とCD-ROMに記録した工事写真一式を引き継ぎ説明会終了後は工事関係者の慰労会を行います。

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3-5-2 全書類を受領

2008(平成20年)年2月7日発行の理事会報第248号で「工事完了報告会兼慰労会終わる」をお知らせしました。

2月1日午後7時から町内会館で、給水設備大規模改修工事を請け負われた給排水設備会社の社長よりご挨拶をいただき、工事責任者より工事概要の説明をいただいてから工事関係書類一式とCD-ROMに収録された工事写真一式を受領しました。その後短い時間でしたが、若干の酒肴を用意して現場でお仕事をされた配管技術者や大工さんのご苦労をねぎらいました。

引継ぎを受けました竣工図書とCD-ROMは、将来給排水管工事を行うときの参考資料となりますので管理員室の書戸棚で保管します。閲覧をご希望の方は理事長へご連絡ください。竣工図書は管理員室でCD-ROMはパソコンで閲覧いただきます。

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A.竣工図書目次
  1.工事完成届
  2.工事補償
  3.全体工程表
  4.専有部実施工程表
  5.見積書
  6・周知用チラシ
  7.出荷証明書
  8.品質証明書試験成績表12通)
  9.架橋ポリエチレン管専用Wタイプ継手カタログ
  10.月星印ステンレス鋼管カタログ(鋼材検査証明書2通添付)
  11.ステンレス鋼管屋内配管用メカニカル継手モマ・サスフィット
   カタログ(RIKEN、製品出荷証明書・国土交通省機械設備工事共
   通仕様書適合品証明書)
  12.ねじ込み形仕切弁完成図面
  13.ねじ込み形仕切弁検査証明書
  14.ゴム製フレキシブル継手PTコネクタ検査成績書
  15.ゴム製フレキシブル継手PTコネクタ完成図
  16.出荷証明書・検査証明書・品質証明書(ドレンバルブ・取り付
   けユニオンS・自動吸気弁)
  17.出荷証明書(減圧弁・空気抜弁)
  18.品質証明書(減圧弁・空気抜弁)
  19.出荷証明書(ボールバルブ)
  20.官庁申請書類(給水装置新設兼設計審査申込書、給水装置撤去
   兼設計審査申込書、給水装置所有者変更届、給水装置工事新設申込
   書、中部事務所検針記録、道路使用許可申請書、白石警察署道路使
   用許可条件、道路占用許可申請書、道路占用許可書、NTT地中配
   電グループ埋設物調査社外工事受付協議書、北海道ガス工事受付協
   議書)
  21.しゅん功図(付近見取図、管路平面図、管路平面詳細図2枚、
   各階平面図、パイプシャフト断面詳細図、パイプシャフト平面詳細
   図、ポン室平面詳細図、ポンプ室断面詳細図、直圧給水系統図、給
   水配管図、給湯配管図3枚、水理計算書、管路平面詳細完成図、枝
   番一覧)
  22.エバラ直結給水ブースタポンプカタログ(荏原製作所)
  23.エバラ直結給水ブースタポンプ取扱説明書(荏原製作所)
  24.減圧弁逆流防止器取扱説明書
  25.鍵預り書(理事長鍵返却受領証明)
  26.廃棄物処理証明書
  B.CD-ROM目次
  1.竣工図面9枚
  2.水理計算書4枚
  3.水道局提出写真10枚
  4.屋外写真2枚
  5.屋内写真(PS内、SUS加工手順、SUS継手、ポンプ室、管
   理員室、受水槽室、水圧試験、地下ピット内、廃棄物保管場所な
   ど)

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