1 パイプスペースで漏水
漏水配管は異種金属腐食とキャビテーションで劣化していました。給水管更新マンションで照会された配管業者と水道局の助言をいただき、定期総会で給水設備改修の感触をつかみました。臨時総会議案で事細かに説明を加え、反対ゼロで契約にこぎ付けました。
1-1 管理会社推薦の業者
2006(平成18)年11月20日発行の理事会報第208号で「西棟三階の共用部で管理会社漏水を発見」をお知らせしました。
建物点検をされていた管理会社の担当者(一級建築士)に呼ばれて確認に立ち会うと、西棟三階の共用部パイプスペース内に水漏れの痕跡があり、配管を包む断熱材がグッショリと水を吸っています。二階のパイプスペース内には水が管表面をつたい落ちた痕跡があります。
管理会社連絡の配管業者が六階まで直立している給水管接合部からメーターまでの断熱材を外すと、バルブの左付け根からポタッと水が落ちてきます。配管業者の開口一番は「こんな安物の管を使い、ひどい仕事をしているな~。」でした。バルブの付け根が静電気による異種金属腐食を起こし、給水管接合部までのL字形部分を取り替えなければ水が吹き出すとの判断です。
右下の写真は304号宅へ飲料水を供給する配管です。外した管の約1cmあるネジ込み部分の三分の一は腐食して金属(鉄)部分が消え、管内側のコーティング皮膜のみで一部は破れています。賃貸借をされる方々の入れ替わりが多い住戸ですから、バルブで給水遮断開放の頻繁な操作が影響を与えたのでしょうか。
配管の内部に「配管材の腐食溶液に水垢が混じった朱色の汚泥」が溜まっていました。
他の住戸配管も同様状態と推測され、漏水事故を避けるためにも下写真の交換範囲を早急に取り替えるよう配管業者に勧められました。
給水メーターの交換時期は過ぎ(平成12年)、調整器は耐用年数が切れています。平成16年6月に修理した加圧給水ポンプも、空気圧を加える加圧幕とチャッキ弁や制御器の切り替えスイッチを取り替える時期が過ぎています。しかも、受水層清掃に毎年多額な費用がかかり、ほとんど意味のない残留塩素測定や苦情防止のためのメーター検針記録業務もあります。
これらの費用削減と安全でおいしい水を求めて水道局に相談すると、加圧給水ポンプ・メーター・調整器などを交換して水道水の直結加圧給水方式を導入(検針は水道局実施)すると、数年で十分元が取れると説明を受けました。12日の第五回理事会へ提案し、二社から見積もりを取る了承を得ましたので電話をかけようとする矢先の事故でした。
漏水事故は発生してからでは遅すぎます。飲料水の安全確保のうえから12月に臨時総会を開催し、最小限(右側写真のメーターと調整器を含む交換範囲)の交換工事ですませるか、この際一気に改善してしまうか、結論を急がなければなりません。朱色の汚泥は捨てましたが、飲料水が通っていた管は臨時総会でおみせします。一週間程度一階掲示板にカラー写真を展示しますのでご覧ください。
1-2 札幌市指定登録業者
2006(平成18)年12月7日発行の理事会報第208号で「札幌市指定登録業者に原因調査を依頼」をお知らせしました。
11月17日午後、管理会社の担当者(一級建築士)による建物点検時に共用部パイプスペース内で、304号宅へ飲料水を供給する配管のバルブ付け根からの漏水が発見されました。管理会社手配の配管業者が断熱材を外し、「バルブの付け根が静電気による異種金属腐食を起こし、給水管接合部までのL字形部分を取り替えなければ水が吹き出す。」との判断で配管の一部を交換しました。このとき「他の住戸配管も同様状態と推測されるので、漏水事故を避けるためにすべての住戸配管も早急に取り替える」ようにと勧められました。
理事会報でお知らせしてから、他の階の配管の同じ位置を調べましたが腐食はなく、20年もたない配管というのも納得できません。そこで、現職時代に給食設備の蒸気漏れ修理で何度もお世話になった「株式会社NH工業所」の技術主任にご無理を願って見ていただきました。
「一階パイプスペースの配管は静電気による異種金属腐食は起きないように措置されています。配管自体はそれほど悪いとは言えず、この管の状態を見る限り他の住戸配管に問題が生じているとは思えません。すべての住戸の配管をすぐ取り替える必要はありません。」という助言でした。
漏水原因は中途半端なバルブの開閉により発生したと考えられ、水道局推薦の水道水直結加圧給水方式を導入するのであれば、共用部の縦配管も最新の管に交換したほうが良いとのご助言をいただきました。平成16年3月6日作成の長期修繕計画で、平成19年に「ポンプユニット」を交換することになっているため、今回は取り敢えず水道水直結加圧給水方式の最小工事見積もりをお願いしました。
1-3 酸化沈殿物に訂正
2006(平成18)12月7日発行の理事会報第208号で「配管腐食はキャビテーションが原因」をお知らせしました。
理事会報第208号で右側写真中央のバルブのついている配管内に溜まっていたものを「汚泥」と表現しましたが「酸化沈殿物」に訂正します。インターネットで理事会報をご覧になった方から次のご意見が寄せられました。
「配管内の汚泥という表現がありましたが酸化沈殿物の方が良いかも知れません。汚泥のプロ(下水処理施設、汚泥処理業者)としては、上水道の配管で汚泥という表現は使わない方が良いと感じました。」
現在回覧中の管理会社作成「建物点検報告書」最終ページに、右の指摘がありました。
理事会報第209号でお知らせしました株式会社NH工業所の技術主任は「静電気による異種金属腐食は起きないように措置されています。配管自体はそれほど悪いとは言えず、この管の状態を見る限り他の住戸配管に問題が生じているとは思えません。」とおっしゃいます。
1-4 異種金属腐食
異種金属接触腐食をネットで検索すると株式会社ソフティの「錆・腐食の駆け込み寺」に説明がありました。また、(有)会社コロージョン・テックの「腐食事例集」に写真と説明がありました。(関係部分を転載させていただきました。)
株式会社ソフティの「錆・腐食の駆け込み寺」に、「鋼材とステンレス製ボルトのように、異なる金属製品同士を接して使用するとある一方の金属に集中して激しい腐食が起こります。これが異種金属接触腐食とよばれる現象でイオン化傾向が関係しています。イオン化傾向の大きい金属と小さい金属が接している部分に水が触れることで激しい腐食が起こります。(中略)イオン化傾向の大きい方が陽極(+極)に、小さい方が陰極(-極)となり電流が流れ、陽極となる金属が集中的に腐食(消耗)します。地上の場合は金属接触部分に水が触れた時に起こりますが、水中ではこの現象が常に起こっているのでより激しい腐食になります」。
302号住戸用配管と同程度の腐食配管をインターネットで探すと、(有)会社コロージョン・テックの「腐食事例集」に写真と説明がありました。(関係部分を転載させていただきました。)
右の写真は「高層ビルに18年間使われていた硬質塩化ビニルライニング鋼管。管端部は塩ビが露出しており鋼管の腐食が進行して漏水を生じた。このような管端部の腐食は非常に多い。しかし、現実には、この例でも明らかなように18年間はもったことになる。幸いなるかなである!」
理事会報第209号で「漏水原因は中途半端なバルブ開閉により」と表現しましたが、理事会報をご覧になった方からメールで次のご意見が寄せられました。
「中途半端なバルブの開閉についてですが、写真を拝見して分かることはバルブの種類が仕切り弁であること。そして、仕切り弁は1枚の板状の仕切りを開閉するバルブです。良くあることですが、完全に閉まっていると思っても仕切りのガイドに異物及び錆こぶが出来て閉まらない場合があります。また逆に完全に開けたと思っても半分くらいしかあいていない場合もあります。そのような場合、弁の後でキャビテーションが発生し、被服銅配管等のロウ付け(溶接)部分にピンホールが発生します。」
1-5 キャビテーション
キャビテーションをインターネットで探すと、エム・システム技研の計装豆知識に「キャビテーション」の説明がありました。(要約して転載させていただきました。)
「キャビテーションは、流動している水などの液体の圧力が局部的に低下して蒸気や含有気体を含む泡が発生する現象を言いますが、この泡の発生・崩壊に伴って管路壁やバルブの接液部に大きい力が加わり、損傷を生ずる原因になるものです。
水には圧縮応力には強いが引張応力には弱くすぐ離れてしまう性質がありますので、流れの中に水圧がゲージ圧で0(またはそれ以下)になる箇所があれば、空洞ができる可能性があります。つぎに、水が沸騰する温度は圧力が下がると低くなります(水柱0.125mmの圧力下では10℃で沸騰)ので、常温付近でも沸騰して蒸発することがありえます。また、水の温度を上げるか圧力を下げるかしていって、空気溶存の飽和状態にまで達すると、余分な空気を吐き出してしまうことになり、これによっても泡をつくり出す可能性があります。これらが総合されてキャビテーションの泡になるのだと言われています。
圧力が下がってできたキャビテーションの泡は、再び圧力の高いところに移動すると収縮し消滅してしまう運命にあります。このときに泡の収縮が急激に行われると一種の衝撃圧力が発生します。この衝撃圧力の瞬間的最高値は、理論的に計算した人によれば数百気圧、あるいは数千気圧にもなるということです。キャビテーション現象を起こした状態で使用するとバルブやパイプなどの内面が損傷を受けるのは、この衝撃圧力のせいだと考えられています」。
304号への共用部給水配管での漏水事故は、入退居のたびに開閉していた仕切り弁のバルブのそばでキャビテーションが発生し、泡の衝撃圧力で配管内壁の硬質塩化ビニルに穿孔が起こり、管端部は硬質塩化ビニルが露出するまでに腐食が進行し漏水を生じたと考えるのが妥当でしょう。
1-6 定期総会で配管を披露
2007(平成19年)年6月11日発行の理事会報第221号で「手にとって分かる劣化状態」をお知らせしました。
総会で、昨年11月に漏水を起こした203号住戸への給水管をご覧いただきました。鋼管のネジ部分が溶解して内部の皮膜が露出し、ブヨブヨしている皮膜の内壁に酸化沈殿物がこびり付いています。ライニング鋼管を手にとってご覧になった主婦は一様にこの中を通った水を飲んでいることに顔をしかめましたが、現在までのところ水道管内部の酸化沈殿物で健康被害があったという話は聞きません。
加圧給水ポンプの分解掃除は平成16年の5月に行い、メンテナンス会社のポンプ機器類点検は年二回実施されています。また、毎年作業着を着て長靴を履いた作業員が受水槽内部の清掃を行い、清掃後はタンク内部の消毒を行っています。
飲料水の残留塩素測定は管理員さんの勤務の関係で週二回しか行えず、受水槽に最も近い位置で測定せざるを得ません。このため、受水槽よりもっとも遠い501・502・602号住戸の飲料水は、殺菌状態が適切と言い難い問題を抱えています。
平成16年3月配付の長期修繕計画で平成25年(2013年)となっていた給水管更新は、平成18年度理事会が作成した「2007長期修繕計画及び修繕積立金計画(修正)案」では3年繰り上げて早めに行うことを考えています。
最近は、各住戸内の配管も共用部として工事を行うことが推奨されているため、規約改正も検討しなければなりません。どの程度の更新規模になるかは調査してからですが、水道本管から引き込んだ飲料水をポンプで加圧して直接各住戸へ送り届ける「加圧直結方式」を採用すると、冷たくておいしい札幌市が責任を持つ安全な水を利用することが出来るようになります。
2 同一事象に学ぶ
2-1 給水管更新の見学
2007(平成19)年6月11日発行の理事会報第221号で「あるマンション管理組合の苦悩」をお知らせしました。
高台に立つ11階建てのマンション。道路を挟んだ向かいに樹木が生い茂り、千の風を生み出す平岸霊園が広がっています。84世帯が居住するマンションは、築後13年目で大規模修繕を迎えました。外壁はペンキの薄塗りでモルタルの剥がれや、排気金物下の亀裂や汚れが目立ち、排気筒のあけ間違えた痕跡もかなりの数が見えています。管理棟の玄関は凍害で崩れ始めていますが、水道メーターは更新されて漏水警報器も付けられていました。
昨年の暮れ、修繕委員会が大規模修繕に向けた準備中に水道料金の異変に気付きました。全世帯分を合計した水道料金は例年380~400万円程度ですが、去年は420万円になっています。漏水警報器に「水漏れ」を知らせる表示があり、貯水槽室へ下りてみると水道管は赤さびに覆われ配管のバルブから水滴がしたたり落ちて床に水溜りができています。管理会社作成の決算書に水道差収金は計上されたことがなく、水道会計は赤字と報告していたそうです。
疑問を感じた修繕委員会と理事会は、録音をとりながら管理会社と話し合いました。「確かに漏れている事は事実ですが、日常業務で確認できないので契約上の責任はありません」。ポタポタ水が落ちているのに気付かなかったのかとの質問に、「気付けば当然報告しますが、水漏れについては契約に含まれていません。」と主張する管理会社。何度話し合っても責任を回避する態度に住民は怒りました。設備点検をお願いしてその費用を支払っているのに、払ったお金に対する業務をやっていない。報告義務を怠っていたのは明白と、住民たちは裁判で管理会社と闘うことを決めました。
訪問した日に消防設備会社の職員が集まっていました。11階の廊下で火災報知機を作動させ、通報信号が専用回線で送信されてから管理会社が反応するまでの時間を調べる実験です。火災報知機が作動してから電話がくるまで5分もかかりました。契約書にある常時監視体制は、取られていないことが証明されて裁判用の証拠となりました。
このマンションはもうひとつの難問を抱えていました。修繕積立金の額に疑問を抱いた方がいらっしゃらなかったのか、管理会社が管理しているから心配ないと錯覚していたのでしょう。大規模修繕には8千万円が必要となり、足りない分は金融機関から融資を受けることになりました。着工してまもなく給水管の更新も必要となり、工事費は倍額に膨れ上がったのです。
報告義務を怠り、点検手抜きは契約書に含まれていないとお茶を濁し、再委託業者に業務を丸投げして一割から三割ものバックマージンを要求している管理会社。二度目に訪問したときは、中間搾取に専念して責任を回避する管理会社との管理委託契約を解除していました。マンションのために必要なお金をかけるのは当然とし、金融機関からの融資を受けやすくする目的もあり、今月中に法人化するための臨時総会を開催するとのこと。費用に見合った仕事をしない管理会社は切り捨てられ、このマンションは理事会主導で管理する時代の幕開けとなりました。
大規模修繕の立会いと管理会社提訴、更にマンション管理組合法人化に努力される修繕委員長は「泣き寝入りする必要はない、徹底してやる。」と意気盛んでした。「お宅の管理会社は報告義務や点検の手抜きはありません。」と問われて苦笑するしかありません。
2-2 オブザーバーで総会参加
2007(平成19)年6月18日発行の理事会報第222号で「すべての露出銅管に緑青発生を確認」をお知らせしました。
6月13日午後7時、千の風が見守るマンションの臨時総会にオブザーバーで参加させていただきました。漏水事故から端を発した善良なる管理者としての注意義務違反と、履行遅延や不完全履行などが多い管理会社の責任を問うための提訴、管理組合の法人化と訴訟費用300万円の支出、管理組合役員が連帯保証人となって金融機関借入金9千万円の10年返済計画、給水管の現状説明と更新案など盛りだくさんの議案が議決されました。
私達のマンションと同様、千の風が見守るマンションでは塩化ビニールライニング鋼管で飲料水を供給し、各住戸への飲料水は銅管で引き込んでいます。銅管は丈夫で交換する必要がないと言われていますが、床が湿っている配管の断熱材を取り除くと表面に緑青(ろくしょう)がふいていました。
千の風が見守るマンションで漏水が疑われる四軒分の抜き取り検査(抜管検査)をすると、内部はさびが固まったようなコブができて無数のピンホールが開いています。共用部の給水管である塩化ビニールライニング鋼管と、各家庭へ引き込まれる銅管の間に絶縁ユニットがなく、鉄から銅へと電流が流れて異種金属接触腐食が発生し、この電流が銅管にピンポールをあけたと考えられるそうです。
四軒の蛇口から採取した水の水質検査で銅含有量は札幌市基準値の92~345倍という結果がでました。電気分解された銅は水に溶け、その水を飲んでいたことになります。人体に悪影響を与える数値ではありませんが、どうにもならないでは済まされない状態と判断されての給水管更新でした。
3 放置は危険と判断
3-1 露出銅管に緑青を確認
千の風が見守るマンションの臨時総会で学んだことをもとに、配管の現状を再調査しました。
緑青(ろくしょう)が噴き出た管を見て、私たちのマンションが心配になりました。千の風が見守るマンションの修繕委員長に紹介された給排水設備業者に過日の漏水事故の様子をお話すると、304号住戸への塩化ビニールライニング鋼管で起こったねじ込み部分の溶解はかなりの電流が長期間流れていたはずとのお話でした。14日の早朝、異状が無いことを祈りながら各階の配管状態を調べると、水抜栓から排水管までの繋ぎ銅管のすべてに緑青が発生していました。
緑青は、銅が酸化することで生成する青緑色のサビのことで銅銹(どうしゅう)ともいいます。緑青は昔から毒物と考えられてきましたが、金属製錬技術が未発達な時代に多量の砒素が混入して砒素中毒を引き起こしたのが原因らしいとされています。実際は過剰に摂取しない限り毒性は低いそうです。
下の写真5枚が緑青のもっともひどい繋ぎ銅管の状態です。長い年月を経て発生した緑青ですが、これまでの共用部点検報告書に指摘はありません。
15日午後届いた平成19年5月の共用部点検報告書に、はじめて給水銅管(501号、502号)と水抜き銅管(603号)に緑青発生の指摘がありました。管理会社の点検担当者は「給水銅管」と報告しましたが、理事に17日の朝ご足労願った再調査で「配水管への繋ぎ銅管」であることを確認しました。
3-2 配管業者に点検を依頼
左下写真の左端縦管は給水本管である塩化ビニールライニング鋼管です。飲料水はL字形に下がった(実際は手前に伸びた)配管の給水弁(赤のバルブ)を経て水道メーター(青)を通ります。その右の写真で、水道メーターから量水器を通過して右から左側へ続く肌色の配管でご家庭へ飲料水が供給されます。右端写真で、ご家庭への配管接続部に水抜栓があり、ここから繋ぎ銅管が排水管に接続しています。緑青が見られるのはこの繋ぎ銅管です。
6月5日の受水槽清掃時に、管理員室の蛇口から採取した飲料水の水質検査が行われました。検査機関は北海道の認可を受けた団体で、26項目の検査結果は水質基準適合でした。この検査は法律で義務付けられていますが、東棟と西棟の給水管末端部や各家庭の水質はどのような状態なのでしょう。一度も検査をしたことはありません。
千の風が見守るマンションの臨時総会で、給排水設備業者から「水質検査で銅が含有していると判明したお宅は、毎朝一度だけ蛇口を1分間ほど開けて水を流してください。夜中に溜まった銅を含んでいる水を排出するとあとは安全です。」「配水管と給水管が繋がっている構造で衛生面で問題があり、水抜栓からの排水はホッパーで受ける構造にすべきです。」と説明がありました。私たちのマンションの繋ぎ銅管は水抜栓でブロックされていますが、専門家に見てもらわなければ衛生面での問題は分かりません。むかし職場で水抜栓から出た排水をホッパーで受ける構造を見たことがありますが、排水量が多いと溢れて階下へ漏水したマンションもあります。
各家庭への給水管は銅管が良いと聞いていましたが、黄色の配管が使われていました。施工図面で工事仕様の給水管設備を見ると「被覆銅管」と書かれています。銅管の周りに各種のプラスチックやゴムなどを装着した被覆銅管は、給湯・暖房、水道、燃料などの配管として活躍しているようです。
排水管は「耐火二層管」が使われていました。耐火二層管の耐火被覆層は繊維混入で補強され、モルタル層と塩ビ層が二重に積層されて防音性吸音性に富んでいます。耐薬品性に富む塩ビ管で、腐蝕、発錆、汚れがなく、内側がなめらかで流体抵抗が少ないパイプのようで、住居内の接続器具(排水口)までの配管も耐火二層管、一階床下と屋外配管のみが硬質塩化ビニール管です。参考までに汚水立管(トイレ用)は排水用鋳鉄管が使用されています。
理事会は、千の風が見守るマンションの給水管調査と更新工事をされている給排水設備業者に点検をお願いし、必要に応じて抜管検査などを検討してから正規方法で水質検査をしてみることにしました。
3-3 残留塩素の正規測定
水道法で、蛇口から0.1ppm以上の塩素濃度(遊離残留塩素濃度)が出ないと、飲料水としては使用出来ないことが決められ、通常は0.6~0.8ppmとなるように水道局で調整しています。現在の残留塩素濃度測定方法は、サンプル水にDPD(ジエチル-p-フェニレンジアミン)試薬を投入して色の変化を見る比色法で、以前のオルトトリジン法と比較して薬剤の安全性が高く計測しやすいというメリットがあります。
残留塩素は安全性確保のための殺菌力で、我が国の水道水が世界一安全といわれるゆえんがこの残留塩素にあります。デメリットは残留塩素の酸化力で、一定の濃度を超すと酸化力が胃壁、髪や肌のタンパク質を酸化させてしまう可能性があります。0.4ppmまでであれば一般に味も匂いも感じず、浄水器内の微生物(雑菌)の発生を防止して身体へ与える影響は無視できるとされています。
6月11日と18日の午後、管理員さんにお願いして東棟602号と西棟603号の蛇口から採取した飲料水で計測をしました。東棟602号は0.3ppm、西棟603号は0.35ppmで管理員室の残留塩素濃度0.5ppmより低い値ですが、受水槽から東西二系統の給水管内殺菌状態は法定範囲内数値のため、問題が無いことが確かめられました。
3-4 専門家のご意見を求め
2007(平成19)年7月5日発行の理事会報第224号で「飲料水の安全を願い見積もりを依頼」をお知らせしました。
6月21日午前10時に写真を持参した水道局で、緑青のある排水銅管と排水用ホッパーについてお話を伺いました。受水槽を利用しない加圧直結方式をとる場合は水道法の適用を受けるので、上階からの汚水逆流に備えるための水抜弁の位置にホッパー(右側写真は受水槽のホッパー)が必要になりますが、最近は性能のよい逆流防止弁があるのでこだわらなくても良いそうです。どのようにするかは配管業者と相談してくださいとの説明でした。
6月26日14時に千の風が見守るマンションの給水管更新工事をされている給排水設備業者が配水管の状態を点検にみえました。給水縦管の断熱材を剥がすと、ライニング鋼管の表面にサビが出ていました。配管は15年前の最上級品が使われていますが、給水用と排水用バルブは良質と言いがたいそうです。排水弁と排水管接続は衛生的に問題があると指摘され、絶縁ユニットを設置しないなどサビを防ぐ対策をしていないことも分かりました。抜管検査、給水管更新、各家庭内を含む配管更新などの見積もりを依頼しました。
3-5 給水管専門業者の推薦を
定期総会で腐蝕した配管の状態をご覧になった主婦の表情から、大規模修繕の計画作成を延期しても給水管の更新は早急に取り組むべきと考え、水道局のパンフレットを理事会に提示して協議を続けました。
2007年(平成19)年8月12日発行の理事会報第226号で「信頼できる業者をご存知の方は紹介ください」をお知らせしました。
理事会は配水管から分岐した建物内の給水管に直結加圧装置(ブースターポンプ)を取り付け、受水槽を経由しないで直接「安全でおいしい水」を給水できる「直結加圧給水方式」導入についての検討が終わりました。
理事会で見積業者を選定していますが、信頼できる業者をご存知の方はご紹介ください。
3-6 水漏れと減圧弁変形
2007(平成19)年8月12日発行の理事会報第227号で「東棟三階パイプスペースに漏水痕跡」をお知らせしました。
7月26日早朝、各階パイプスペース内に漏水がないか点検して回ると東棟三階床のサビ水と汚れた水の痕跡(下左端写真)が気になりました。色の変わっている部分や、水抜弁と給水枝管の下を触っても手が濡れる所はありません。301号住戸への給水枝管上(下中央写真)と302号住戸への給水枝管上にサビ水が落ちた痕跡があります。床の黒いシミは、給水枝管の上に積もったごみの色と推定でき、断熱材のようすから給水枝管内部から吹き出た水やサビではなさそうです。
三階パイプスペース内の天井を見上げると、電気の配線(左下右端写真)がまとまって出ている部分の色が変わっています。配線をまとめている金属が腐食して、サビ色は天井のコンクリートに染み付いています。東棟四階のパイプスペース内を確認しましたが漏水の痕跡は見当たりません。
これらのことから、401号住戸と301号住戸を隔てるコンクリートスラブ内に水があったと推定できます。その水は配線をまとめて通しているパイプに沿って、東棟三階パイプスペース内の床へ落ちたと考えるのが自然です。
8月4日早朝、他の階に見落としがないか再調査しました。西棟の給水枝管に設置されている減圧弁11箇所中3箇所が腐食し、水道メーターも減圧弁も耐用年数は過ぎています。給水管を直結加圧方式で更新するとメーターの更新代金は札幌市が負担することになっているため、理事会は配管交換時までもたせたいと考えています。
4時に千の風が見守るマンションの給水管更新工事をされている給排水設備業者へ写真を送り、漏水などの危険性がないか質問しました。6日の11時に技術者がご足労下さり減圧弁を分解調査してくださいました。内部に異常はなく、腐食の原因は結露によるものとされました。
3-7 給水設備改修の三社見積
2007(平成19)年9月7日発行の理事会報第229号で「安心安全を願う加圧直結方式へ」をお知らせしました。区分所有者から信頼できる業者の紹介はなく、建築診断設計事業協同組合(略称「建診協」)のマンション勉強会で配管継ぎ手の説明をいただいた配管工業株式会社と南面大規模改修実施業者、千の風が見守るマンションの給水管更新工事をされている給排水設備業者に見積もりをお願いしました。
お盆明けの24日9時に大手の配管工業株式会社より三人がお見えになりました。管理組合が現在考えているのは「受水槽方式をやめて加圧直結方式を導入し、加圧ポンプと給水縦管と各住戸への枝管、専有部の給水給湯配管をすべて更新したい。各住戸の水道メーターと減圧弁は一度も交換していない。共用部の配管はステンレス、専有部はステンレスが望ましいが調査者の意見を添えてほしい。」とお話しました。
お貸しした竣工図で概要を把握し、水道局との打ち合わせを終えた9月3日に技術者による現場調査がありました。全パイプスペース内、ポンプ室、受水槽室、建物下配管を点検して、602号住戸内の配管状態をすべて写真撮影していました。
これまで見積もりをお願いする会社へ、千の風が見守るマンションの給水管更新工事をされている給排水設備業者の「給水設備大改修工事概算見積書」を参考に説明をしてきました。この給排水設備業者から実際かかる費用は概算見積の八掛けと聞いていましたが、正規の見積書をお届けくださるようにお願いしています。
理事会が必要と考えた給水設備大規模改修工事は約2,000万円の規模で、加圧直結方式は工事完了時に札幌市水道局の検査が行われます。不良箇所はやり直しとなり、工事がずさんであれば業者は指定を外されて仕事ができなくなります。
検査終了後は、札幌市が飲料水と配管の責任を持つことになります。このため、工事費の一割に当たる謝礼が必要な一級建築士のコンサルタントや管理会社などの工事監理は不要と考えました。
9月2日の午後、三回ほど調査にみえられた南面大規模改修実施業者から「給水管改修工事(塩ビライニング鋼管仕様とステンレス加工管仕様の二種類)」の見積書が届きました
3-8 加圧直結工事へ向けて
ア. 臨時総会の招集
2007(平成19)年9月14日発行の理事会報第230号で「9月29日18時より臨時総会」の開催をお知らせしました。
平成18年度総会終了時から建物の状態を調査しながら劣化箇所の状態を把握し、補修方法などについて様々な専門家のご意見を伺い、平成19年度事業は大規模修繕へ向けての準備に加えて建物の保全を図るための事業を進めてきました。理事会が実施する補修として承認された業務はほぼ完了し、残る駐車場の車止め位置を示すライン引きなおし作業は管理員さんへ保管をお願いした用具をみつけてくれましたので今月中に完了する予定です。
外注する小破修繕工事のうち、東棟と西棟風除室扉の格子修理は板金技術者の指導で理事会が補修しました。破損タイルの交換工事は見積内容を理事会で検討して南面大規模改修実施業者へ発注しました。西棟フロアーヒンジと東棟共聴用ブースターは現在のところ問題はありませんが、駐車場照明塔の光拡散防止塗装のみ手配が遅れています。
残されている事業は、屋上防水層上の砂利固定工事と加圧給水ポンプの部品交換ですが、これらの見積もりを依頼しているときに補修が必要な部分が発見され、一部の大規模修繕は繰り上げ実施を急がなければなりません。
9月9日の第五回理事会で、次の四点については「臨時総会で実施の承認」をいただく必要があるとされ、今月末に臨時総会の開催が決定しました。
イ. 給水設備加圧直結工事
長期修繕計画で平成22年度に実施する予定の給水管更新ですが、建築後16年目に入ると様々な問題が出てきました。加圧給水ポンプの部品交換を承認いただきましたが、複数の配水管業者にみていただくと10~12年という耐用年数を超えているポンプは部品交換で延命を図ることが難しく、いつ故障しても不思議ではないそうです。
各住戸用の水道メーターと減圧弁は8年という耐用年数を超え、西棟の劣化が顕著な三箇所の減圧弁は結露による腐食が進んでいます。203号住戸は長期間空き家であることから、304号住居と同様に給水枝管の給水弁接続部が腐食している可能性があります。
西棟だけでも水に溶け出している鉄と銅の含有量を調査すると6万円、異種金属腐食による影響を調べるための抜管検査を行うとさらに費用がかかります。飲料水の消毒状態を調べる残留塩素の測定は週二回しか行えず(原則は、最遠の蛇口で毎日二箇所以上)、給水縦管であるライニング鋼管の表面にも腐食痕跡が発見されました。
管理組合は飲料水の安全を保障できると言い切れず、万一健康被害が発生しても保障することが不可能です。この際、共用部は30年以上もつとされるステンレス配管、専有部の配管は千の風が見守るマンションの給水管更新工事をされている給排水設備業者が推薦する最新のさや管ヘッダー工法で施工し、受水槽を撤去して札幌市が飲料水に対して全責任を負う「加圧給水方式」の本年度施工を提案いたします。
ウ. さや管ヘッダー工法
給水・給湯の配管の寿命はどのくらいと思われますか。旧大蔵省の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」では、建築附属設備として耐用年数15年としています。実際には、築10年を超えた配管の内側にかなりのサビが発生していたという事例も報告されています。給水・給湯管の寿命は状況によっても違うため一概にはいえませんが、普段気にせずにいた配管の中でとんでもないことが起きているかもしれないのです。
お茶やコーヒーの味はいかがでしょうか。洗濯物が赤く染まることはありませんか。なにか変であれば原因のほとんどは給水管内の赤サビです。サビは健康に影響がないといわれますが気持ちが良いわけはありません。腐蝕がすすむと最悪の場合は管に穴があいて水漏れをおこし、部屋中水浸しという事態にもなりかねません。
さや管ヘッダー工法は樹脂製のさや管の中に本来の給水管を通す二重構造の配管工法のことです。中の給水管も樹脂製なので錆びることがなく、軟らかくて曲げやすいので鋼管のような継ぎ手が不要となり水漏れの危険性が少ないといわれます。また、中の給水管が劣化した場合は抜き出して簡単に交換できるので壁や天井などを壊す必要がありません。しかも、樹脂管の耐久性は30年以上、さや管の耐久性は約60年と言われています。左の写真は旭化成のへーベルハウスから借用しました。
ヘッダー工法は、ヘッダーと呼ばれる給水給湯を一元的に分配するユニットから各水栓まで水とお湯を供給する方法です。ヘッダーから各給水栓までの途中に分岐がないので、複数の水栓を同時に使用した場合でも水量変化が少なく安定した給水や給湯量が得られます。さや管内部の空気層による断熱により、裸配管に比べて結露が起きにくく給湯配管では保温効果が期待できます。また、内装工事後に内管を通すため配管への釘打ちなど他業種とのトラブルも低減できるなどのメリットがあります。右図は All Aboutのヘッダー工法資料よりお借りしました。
さや管は弾性のある蛇腹のポリエスチレン製の管で、その中を樹脂製の給水管・給湯管を通す形になります。給湯器とさや管とのつなぎ目にヘッダーと呼ばれる金属管を設置し、ヘッダーからさや管に分岐させる形にすることで水やお湯がスムーズに流れるようになります。さや管ヘッダー工法のメリットは、途中につなぎ目がないのでヘッダーとのつなぎ目と各設備とのつなぎ目をつなぐだけでよく、つなぎ目が少ないということはそれだけ点検や修理もしやすいことになります。
さらに給水管・給湯管が樹脂製なので腐蝕や赤水の発生がほとんどありません。とはいえ、15年~20年で取り替えなければなりませんが、樹脂管そのものも弾性があるのでさや管から引き抜いて中の管だけ取り替えればよく、工事も簡単ですし、マンションの構造部分を傷める心配もほとんどありません。さや管ヘッダー工法は,通常の配管工法に比べてややコスト高ですが、維持管理のしやすさを考えると導入が望ましい工法です。
さや管ヘッダー工法は専有部に採用されます。この作業は、天井裏などにある各樹脂の給水(または給湯管)管のヘッダー部分と、各水栓金具の部分の両端に分かれて2人で行われます。マンションの一住戸なら、一日の工事ですべての給水・給湯管の交換を終わらせることができます。
最近の建物は寿命が長くなり、80年~1000年と長く暮らせる耐久性を備えたものが増えてきました。けれども、安心して長く快適に暮らしていくためには、建物が丈夫なことだけでなく配管などの設備面の寿命も考慮しなければならない重要なポイントになります。配管を消耗パーツと考え、定期的に安価で簡単に交換できるようにしておくのも長く暮らせる家の知恵といわれています
4 後顧の憂いを絶つ
4-1 臨時総会へ提案
2007(平成19)年9月29日18時30分開催の臨時総会で「給水設備の加圧直結工事」について次のように提案しました。
ア. さや管ヘッダー工法
長期修繕計画で平成22年度に実施の給水管更新ですが本年度に入って様々な問題が出てきました。
a. 給水ポンプは10~12年の耐用年数を超え、部品交換で延命を図
れず、故障しても不思議でない状態。
b. 各住戸用の水道メータと減圧弁は耐用年数8年を大幅に超えている
(西棟減圧弁の腐食が顕著)。
c. 過去の事例で、空き家の給水弁接続部に異種金属腐食による鉄と銅
の溶解が起きている可能性がある。
d. 給水縦管であるライニング鋼管表面にサビが発生している。
e. 配管腐食の抜管検査、各住戸の水質検査などは多額の費用が必要。
f. 飲料水の消毒状態は法定点検を行えない状態です(原則は配管最遠
地での毎日検査)。
g. 万一飲料水が原因とされる健康被害が発生した場合、管理組合は賠
償責任能力がないため改修費用や治療費などは区分所有者の一律負担
となります。
イ. 給水設備の改修が必要な現状
a. 304号住戸は、長期間空き家のため給水弁と給水縦管までの配管内に水が滞留していました。給水弁は仕切り弁仕様のためキャビテーションが発生しやすく、泡の衝撃圧力で配管内壁の硬質塩化ビニルに穿孔が起こり管端部の金属は硬質塩化ビニルが露出するまで腐食していました。配管を交換のため外すと、管内には腐食によって生成した橙色の酸化沈殿物がコップに半分ほどの量が溜まっていました。
b. 203号住戸も304号住戸と同様に長期間空き家であり、給水弁は仕切り弁仕様のためキャビテーションが発生して管端部の金属は硬質塩化ビニルが露出するまで腐食している可能性があります。
c. 給水縦管から給水弁までの距離は約30cmあります。給水弁を閉じると給水弁と給水縦管までの間の水は配管内に滞留しています。長期間にわたって給水弁が閉じられたままになると、配管内に滞留した水は腐敗してきます。上下の階で水を使うたびに腐敗した水は少しずつ給水縦管に流れ込んでいます。このときに酸化沈殿物も流れ込むと思われます。
d. 異種金属腐食により、溶け出した鉄と銅の含有量の検査に12万円必要です。理事会報でお知らせした千の風が見守る霊園前マンションでは四軒の蛇口から札幌市の基準値の345倍という銅が検出され、8千万円の予算で給水設備更新工事の年内着工が決まりました。
e. 飲料水消毒状態を見るための残留塩素測定は管理員さんの勤務の関係で週二回、受水槽に最も近い管理員室で測定していました。理事会 報第221号で、受水槽よりもっとも遠い501・502・602号住戸の飲料水は殺菌状態が適切と言い難いと問題提起をした6月11日以降は、毎週月曜日のみ最遠地点の602号住戸飲料水で残留塩素の測定をお願いしました。
f. 加圧給水ポンプ機器類の点検は年二回メンテナンス会社が1万3千 円で実施しています。また、毎年作業着を着て長靴を履いた作業員が受水槽内部の清掃を54,300円で行い、清掃後はタンク内部の消毒を行っています。管理会社にふき取りの徹底をお願いしていますが過去数年間にわたり無視されて受水槽架台に腐食が発生しています。気づいた理事長が第四種ケレンと塗装を二度実施してきました。
g. 各住戸への給水枝管に水抜弁がついています。水抜弁から排水管までの銅管に現れた緑青の写真を水道局で見てもらうと、「水抜弁に逆 流防止弁がついていないので、衛生面で問題が生じたときは管理組合が責任を問われますよ。札幌市が水の安全を保障する加圧直結方式を 導入する場合は、水道法上不適ですから交換が必要になります。」との説明でした。
h. 6月26日14時、千の風が見守るマンションの給水管更新工事をされている給排水設備業者に、配水管の状態を点検していただきました。給水縦管の断熱材を剥がすとライニング鋼管の表面にサビが出ていました。配管は15年前の最上級品が使われていますが、給水用と排水用バルは良質と言いがたく排水弁と排水管接続は衛生的に問題があると指摘され、絶縁ユニットを設置しないなど防錆対策が最善とは いえないとのことでした。
i. 8月4日の調査で、西棟給水枝管の減圧弁11箇所中3箇所が腐食していました。すべての水道メータも減圧弁も耐用年数は過ぎていますが、加圧直結方式にするときにメータの更新代金は札幌市が負担するため、理事会は大規模修繕時までもたせたいと考えてきました。8月6日の午前中に櫻井工業が減圧弁を分解調査すると内部に異常はなく、腐食原因は結露によるものとされました。耐用年数を超えているため水漏れが起きても不思議ではない状態となっています。
k. 加圧給水ポンプの分解掃除は平成16年の5月に行い、本年6月末には圧力ポンプとチャッキ弁の交換費用として 103,845円の見積もりをいただきました。交換工事を保留しているのは、千の風が見守るマンションの給水管更新工事をされている給排水設備業者が給 水管更新の検討中に万一故障が 発生したときは責任を持って応急修理を講じる約束になっているためで、無駄になりそうな出費を極力抑えています。
l. 給水設備は水道事業者よりマンション内の受水槽に水の供給を受けポンプによってマンション内各住戸へ水を供給する設備で建物外の水道メータ以降は管理組合の設備となっています。受水槽から給水管を 経由して各住戸へ供給される飲料水は管理組合に責任があり、汚水や 細菌などが混入した場合は賠償を含め管理組合が一切の責任を負わなければなりません。しかし、ご承知のとおり管理組合に賠償責任能力はありません。
m. 災害対策から考えると、望月寒川が氾濫した場合は受水槽室内へ濁水が入ります。受水槽室内と受水槽内部、給水縦管と低階層の給水枝管の清掃と殺菌が必要になり、衛生面での安全が確認されるまでは飲料水の供給を
受けなければなりません。加圧直結方式は、受水槽が不要となり加圧モーターのメンテナンスで済みます。
4-2 加圧直結工事の判断資料
ア. 調査月日と業者の判断
5月28日 千の風が見守る霊園前マンションの修繕委員長より給排水設
備業者を紹介される。
6月10日 建築診断設計事業協同組合(略称:建診協)主催のマンション
勉強会で、配管工業株式会社社員に配管継ぎ手の説明を受け名刺
交換。
6月11日~ 毎週月曜日に管理員さんにお願いして給水管最末端602
号住戸の飲料水で残留塩素測定を実施。
6月21日 水道局で排水用ホッパーと加圧直結方式の説明を受ける。
6月26日 千の風が見守るマンションの給水管更新工事をされている給
排水設備業者による給水設備加圧直結工事の概算見積もり調査。
6月29日~ 受水槽架台の第四種ケレンと塗装を理事長が実施。
7月21日 南面大規模改修実施業者が給水設備工事も業務としていることを知る。
7月29日 理事会報第226号で給水管専門業者の推薦を呼びかけ。推
薦業者なし。南面大規模改修実施業の配管調査。
8月03日 南面大規模改修実施業者の給水設備調査。
8月20日 千の風が見守るマンションの給水管更新工事をされている給
排水設備業者の受水槽室水濡れ調査(換気扇フル稼働で9月2日
乾燥)。
8月22日 千の風が見守るマンションの給水管更新工事をされている給
排水設備業者の給水設備本格見積もり調査。
8月24日 配管工業株式会社の事前調査。
8月29日 配管工業株式会社の給水設備調査。
8月28日 六階廊下天井内を理事長調査(共用部内の漏水痕跡なし)。
イ. 調査月日と業者の判断
a. 給排水管には共用部分と専有部分が存在し、専有部分については区分 所有者に管理と費用負担の責任があるため管理組合だけの判断で一括工 事を進めることはできません。したがって、配管劣化に伴う交換や漏水修理は個人の負担となり、およそ35万円程度の費用が必要となります。
b. このため、平成9年の標準管理規約の改正で「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体 として行なう必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる」などの条文が追加され、管理規約にこれらの条文がある場合は法的に管理組合の決定で専有部分を含めた一斉工事が可能になります。しかし、 平成16年4月24日に原案提示以降、マンション管理規約の改正は保留となっています。
c. 共用部の給水設備改修工事で配管と加圧ポンプを交換した場合、住戸内の配管をそのままにしておくと16年を経過した配管の劣化部分に圧力がかかり漏水する恐れがあります。漏水が発生すると階下の住戸内は浸水で被害を受け、その棟の住戸は修理が終わるまで断水の影響を受けます。ただし、専有部配管から漏水が発生する可能性は不明で、すべての 住戸に発生する可能性は少なく、一戸だけで終わるか、まったくないか予測することは不可能です。
d. だれもが安心して暮らせるよう、管理規約に定める共用部分の範囲の一部を改正し、専有部に属する給水給湯配管を共用部分に変更します。給水給湯配管の更新を管理組合の
e. 今回の給水設備改修工事で共用部の給水配管と専有部の給水給湯配管を更新すると、一括工事となることから工費を抑えることができ、漏水と配管の劣化は管理組合と札幌市が保障することになります。
f. この方法は、個人の金銭負担軽減と漏水保障ができます。マイナス面は、専有部に属していた給水給湯設備を自己資金で改修する場合は管理組合の承認が必要となります。
ウ. 見積額
a. 千の風が見守るマンションの給水管更新工事業者
・ 専有部枝管分岐工法 ステンレス加工管仕様 12,600,000円
・ 専有部ヘッダー工法 ステンレス加工管仕様 13,207,950円
b. 南面大規模改修実施業者
・ 専有部枝管分岐工法 塩ビライニング管仕様 13,125,000円
・ 専有部枝管分岐工法 ステンレス加工管仕様 13,755,000円
c. 配管工業株式会社
・ 共用部 ステンレス加工管仕様 10,500,000円
・ 専有部給水給湯 ステンレス加工管仕様 19,845,000円
・ 専有部給水 ステンレス加工管仕様 14,994,000円
・ 専有部給湯 ステンレス加工管仕様 13,230,000円
エ. 見積額特別決議の必要性について
給水設備の加圧直結工事は受水槽方式から加圧直結方式への変更となり、マンション管理規約第45条第3項に定める「共用部分等の変更」に該当します。また、専有部の給水給湯配管を共用部分に変更するには管理規約の改正を行う必要があり、マンション管理規約第45条第3項の規定に定める「規約の変更」に該当します。いずれも、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上の賛成が必要なため一括で提案します。
a. 理事会推薦業者の概要
千の風が見守るマンションの修繕委員長は「理事長、契約した給排水設備業者は会社の宣伝を一切していないんですよ。宣伝費用をかけるよりその分だけ良い仕事をしたい、お客様に満足いただけるようにしたいというのが社長の信念で、仕事はほとんどが口コミでもたらされています。私たちも仕事が素晴らしいという噂を聞いて工事現場を見に行き、この社長ならお任せできると感じました。」と給排水設備業者を紹介されました。
理事会は見積依頼した三社の経営状態を調査しました。国土交通大臣又は都道府県知事は、建設業法に基づいて公共工事を受注しようとする建設業者について、その業者の規模や財務内容など経営に関する事項の審査を行っています。年間平均完成工事高評点、自己資本及び職員数評点、技術職員数評点、経営状況評点、その他社会性等評点などが対象になりますが、大規模修繕工事では経営状況評点が重視されています。
千の風が見守るマンションの給水管更新工事業者は私達のマンションと同じ白石区内にあり、困った時にはすぐ見てくれる小回りの良さと分かりやすい説明が素晴らしいと感じました。しかも、給排水設備業者の経営状況を示すY評点は高く、経営が安定していることを示しているので理事会推薦に問題がないと判断しました。
・ 許可登録
・ 北海道建築業許可知事登録
建築工事業、管工事業、塗装工事業、とび・土工事業、内装仕
上げ事業
・ 札幌市指定水道給水装置指定工事業
・ 築物配水管清掃業
・ 札幌市アパート業協同組合 指定工事店
・ 技能技術資格者
・ 一級建築施工管理技士1名、二級建築士1名、二級建築施工管理技士3 名、二級建築業経理事務士1名、管工事施工管理技士4名、給水装置工事 主任技術者5名、一級配管技工6名、土木施工管理技術者1名、排水設備工事責任技術者3名、配水管清掃作業監督者1名、貯水槽清掃作業従事者8名、ガス消費機器設置工事監督者1名、消防設備士(第1~4類)1名、安全衛生推進者4名。
・ 工事経歴(評判を聞いてお願いする「直受け」がほとんどです。)
・ 平成18年 R桜給水設備改修工事 600万円、M白石給排水他設備
大改修工事11,570万円、Eマンション6棟給油暖房設備工事2,000万
円、R桂台給水設備大規模工事 1,240万円、S中島公園給水給湯設
備大規模工事2,100万円など。
・ 平成17年 G琴似C棟雑排水本管改修工事 1,400万円、E麻生第
二給水 設備大規模工事12,100万円、G円山給水直結専有部配管改
修工事 2,000万円、Tマンション 給排水設備大規模工事12,100万
円など。
・ 平成16年 美香保R給水設備改修工事 1,100万円、白石G給水設
備改修工事10,100万円、二十四軒H給水設備改修工事35,000万円、
P薄野給排水設備改修工事83,000万円、GS平岸給水直結直圧工事
60,000万円など。
・ 平成15年 山の手H給排水給湯大規模改修工事52,000万円など。
4-3 加圧直結工事の概略
臨時総会の議案審議に必要とし、休憩をはさんで千の風が見守るマンションの給水管更新工事業者によるプレゼンテーションを行いました。この内容は、2007(平成19)年10月3日発行の理事会報第232号で「給排水設備業者のプレゼンテーション、水道直圧及び給水給湯管大規模改修工事」をお知らせしました。
臨時総会で行われた給排水設備業者提供プレゼンテーションの概略をお知らせいたします。なお、設計図面などと申請書を札幌市水道局へ提出して審査を受けるために、着工まではしばらく時間がかかりますのでご了承ください。札幌市水道局の承認が下り次第工事説明会を開催いたします。
ア. 給水方式の相違点
a. 加圧給水方式
札幌市が提供する水道本管からの水を受水槽に貯水し、加圧給水ポン
プで圧力をかけて各住戸へ届ける方式です。この方式は受水槽の清掃や
加圧給水ポンプのメンテナンスが必要で維持費がかさみ、停電時には飲
料水の供給が不可能です。
b. 水道直結増圧給水方式
札幌市が提供する水道本管からの水を直接、増圧ブースターポンプ
で圧力をかけて各住戸へ届ける方式です。この方式は受水槽が不要と
なるため維持管理費が節約でき停電時にも飲料水の供給が可能です。
イ. 専有部配管工法の比較
a. 信頼性
・ さや管ヘッダー工法 異常時に系統毎の断水による修理交換が可能。
在来工法 床下・壁・天井など隠蔽部での接続箇所が多い
ため、点検や漏水箇所の早期発見が困難。
b. 更新性
・ さや管ヘッダー工法 他の系統は断水せずに、漏水箇所の特定と
対応が可能。
・ 在来工法 全系統断水による調査と対応が必要。
c. 機能性
・ さや管ヘッダー工法 ヘッダーで分岐するため同時使用時の流量
変動が小さい。水激音を管が吸収軽減でき
る。
・ 在来工法 同時使用すると流量変動が大きくなる。
d. 施工性
・ さや管ヘッダー工法 特殊技能を必要としない。工場加工が行
え、工期短縮、施工品質の向上が図れる。接
続箇所が少ないため事故発生が少ない。
・ 在来工法 水激音の衝撃を吸収しない。ねじ切り作業
等の熟練技能を必要とする。現場でのねじ切
りなど施工に時間がかかる。
ウ. 使用材料の特性
a. 専有部
住戸内の新設給水給湯配管には、架橋ポリエチレン管の保温材付き樹
脂管を使用。腐食率がほとんどないため、水中への成分溶け出しがはほ
とんどない。絶縁物質なので他の金属からの電食影響を受けない。
b. 共用部
共用部の新設給水配管には、優れた耐食性・耐熱性・防火性・低音強
度を有し、もっとも衛生的な配管材料として多くの官公庁で採用されて
いるステンレス鋼管を使用する。優れた耐食性のため従来のライニング
鋼管よりも薄い管を使用できる。同径のライニング鋼管に比べ管径が広
いため管の摩擦・曲がり・出入口などで失われるエネルギーが少ない。
ステンレス鋼管はライニング鋼管と比較して軽く、中高層建物の給水本
管として理想的材料とされている。
c. 埋設部
埋設給水配管には札幌市水道局指定のポリエチレン管を使用する。ダ
クタイル鋳鉄管は水密性が高いので大口径管や高圧管また高い外圧のか
かる場所に適している。継ぎ手部分は、力を加え変形しても折れること
なく自在に曲げる事が出来る性質があり、道路に埋設している水道本管
と同一材料である。
エ. 施工範囲及び要領
a. 給水管 道路に埋設されている水道本管より新たに引き込みをし、
建物内部の共用給水本管及び専有部の給水配管(各端末危惧接続部ま
で)を新設する。同時に新しい給水加圧ポンプを設置する。
b. 給湯管 ガス湯沸かし器以降、各給湯栓までの間の給湯配管を新
しい配管に交換する。
c. 水道メータ 札幌市水道局の貸与品に交換する。メータの管理(検
針業務・料金請求・満期メータ取替え作業)は札幌市水道局が行う。
d. 衛生器具 台所・洗面台・浴室・トイレの各水栓金具は現在使用
中の既存品を再使用する。
e. 付帯工事(専有部の給水給湯配管工事) 天井裏と壁の一部を撤去し
て配管するため天井や壁の開口と復旧作業が発生する。他の配管の邪魔
にならないよう場所により天井点検口を設置する。流し台の脱着が必要
な場合もあり新設管が露出する部分も出る可能性がある。
オ. 施工例
a. 一日目
大工工事(断水なし) 養生作業、作業箇所の天井と壁解体及び天井
点検口の設置。新設管敷設部分のコンクリート壁穴あけなど。
b. 二日目
配管工事(9時から17時まで断水) 流し台の取外し、既存配管撤
去及び新設給水給湯管の敷設、新設配管の保温、流し台の取り付けな
ど。
c. 三日目
復旧工事(一時的な断水あり) 新設配管の調整、作業箇所の天井と
壁開口部の復旧など。
d. 四日目
仕上げ工事(一時的な断水あり) 壁のクロス仕上げ、後片付け、
清掃など。
カ. 工期と作業時間など
a. 工期 全体の工期は約二ヶ月、専有部工事全体の工期は約一ヶ月の
予定です。
b. 作業時間 9時から18時までを原則とし、音の出る作業は17時
までに終了する。日曜・祭日は原則として休日とします。
c. 断水 専有部配管工事の対象住戸のみ1日(9時から17時まで断
水)仮 設給水切り替え工事の日で1日(9時から17時まで断水)、
給水本管切り替え工事の日で1日(9時から17時まで断水)、水道
メータ切り替え時に対象住戸のみ約20分程度。
d. 断水対策 極力水の使用頻度が高い時間帯での断水は遠慮しま
す。掲示板に断水予定を掲示して対象住戸には断水予定表を配付しま
す。断水の前後には対象住戸へインターホンで連絡します。ペットボト
ルや容器に生活用水を確保しておくと排水規制はないので水の使用と排
水は可能です。浴槽に水を貯めてバケツ等を利用するとトイレの使用も
可能です。
e. その他 既設管と新設管の交換を容易にするため仮設給水管を設置
します。仮設給水管設置で断水回数はおよそ二分の一に軽減できます。
給水管の交換終了時に仮説給水管は撤去します。
f. 注意 一般工事での要領を推定したもので、実際の工事では要領と
工期の変更がおきる場合があります。
エ. その他
a. 給水本管には大口径用ナイロンコーティングされたハウジング型の継
ぎ手を採用。
b. 給水管には小口径用で管を拡管することで強い引き抜き阻止能力を発
揮するメカニカル継ぎ手を採用。
c. ステンレス鋼管のスラブ貫通部と支持金物接触部には防食テープによ
る絶縁処理を行う。
d. 給水加圧ポンプは荏原テクノサーブ製を設置する。(現在の加圧ポン
プは川本製ですが、荏原製の給水加圧ポンプも同等の性能があり、官公
庁で採用されています。川本製よりメンテナンス料が安いのが選定理由
です。)
4-4 加圧直結工事の提案
ア. 工事の規模
給水給湯配管の更新を含む加圧直結方式への改修と受水槽の撤去工
事
イ. 工事の範囲
a. 北側生活道路側にある「水道本管」から、マンション建物西側にあ
る「水道メータ」までの配管の更新。
b. 水道メータより地中を通過してポンプ室内ポンプまでの配管の更
新(含む、散水栓の更新)。
c. 給水ポンプを加圧直結用ポンプへ変更。
d. 東棟と西棟の給水縦管と各住居への給水枝管の更新。
e. 専有部の給水給湯配管の更新。
f. その他、必要となる関連工事、受水槽の撤去と産廃処理など。
ウ. 管理規約の改正部分
管理規約附則に経過措置「第9条」を加え、別表第2「共用部分の範
囲」に「5.」を新設します。
a. 第9条 平成19年9月30日一部改正(別表第2に「5.」を加え
る。)
b. 5. 加圧直結方式の導入に当たり、専有部に属する給水給湯配管設
備は共用部分の範囲に含める。
エ. 工事業者と見積り額
a. 工事業者 千の風が見守るマンションの給水管更新工事業者
b. 工事費用 13,207,950円(ステンレス加工管仕様、専有部さや管
ヘッ ダー工法)
c. 支出科目 特別会計の長期積立金を充当する。工事中補修を必要
とするなど不測の事態が生じた場合は、理事会の判断により修繕積立金
より「承認を受けた工事費用の二割を限度」として追加充当することが
できる。
4-5 臨時総会の議決結果
2007(平成19)年10月3日発行の理事会報第232号で「全議案は全組合員の賛成で承認」をお知らせしました。
第15期臨時総会は平成19年9月29日(土)18時30分~20時35分まで、町内会館ホールで出席通知のあった組合員5名が参集して定刻に開会しました。18時30分に出席者数5名となり、委任状11通(議長委任7名、理事長委任4名)、議決権行使5通の計16通で総会成立を確認し、管理規約第40条第5項の規定により理事長が議長を務め、議事録署名人に504号氏と603氏を指名しました。
総会に提案された議題は、区分所有法と管理規約の規定により組合員総数と議決権総数で議決します。組合員数と区分所有者による議決権総数で議決するのは、一世帯に複数の区分所有者がいらっしゃる場合があるからです。私たちのマンションの組合員数は「21軒」で、区分所有者数は「23名」です。組合員総数と議決権総数で議決する場合の議決票数は次のようになります。
ア. マンションの組合員数は「21軒」で、区分所有者数は「23人」で
す。
イ. 組合員数「21軒」で計算すると、
a. 議決権総数の4分の3以上は「15.75」ですから「16票」と
なります。
b. 組合員数の2分の1以上は「10.5」ですから「11票」となります。
ウ. 議決権総数「23票」で計算すると、
c. 議決権総数の4分の3以上は「17.25」ですから「18票」と
なります。
d. 組合員数の2分の1以上は「11.5」ですから「12票」となり
ます。
平成5年7月4日の第一期総会時より、同一世帯に複数の区分所有者がいらっしゃる場合は、意見の対立があればその旨の意思表示が理事会にあるはずと考えてきました。申し出がなければ、同一の考えでいらっしゃると判断して組合員数での議決結果をお知らせしてきました。しかしながら議決を要する場合は区分所有者数による議決権数でも確認し、4分の3以上の賛同が得られないと感じた議案は取り下げたこともあり、後日に問題が生じないよう配慮してきました。
平成15年度の臨時総会で提案した「南面改修工事」は、組合員数21名の賛同を得て議決されました。第15期臨時総会で提案の「長期修繕計画の取り扱い」と「平成19年度事業計画」等は、通知なし欠席と連絡なしにあわてましたが組合員数19名の賛同を得て議決されました。いずれの場合も、議決権総数の4分の3である「17.25票」以上の賛同が得られています。
平成19年9月29日(土)午後6時30分より町内会館で開催された「平成15年度臨時総会」は、出席者5名、議長への委任者7名、理事長への委任者4名、議決権行使者5名で、全議題は組合員総数「21票」で可決され、議決権総数の4分の3以上である「18票」の用件も満たしています。
5 飲料水の安全を願い
5-1 工事説明会を開催
2007(平成19)年11月6日発行の理事会報第235号、「給水設備大規模改修工事の説明会、11月3日18時半~町内会館で」をお知らせしました。
平成19年度臨時総会で承認いただきました「給水管直結加圧工事(以下「給水設備大規模改修工事」という)」の工事日程が決まりました。給水横主管新設工事、給水縦本管新設工事、共用配管水圧試験を経て、専有部(各住戸)の工事が行われ、本管への切り替え作業後は社内検査、官庁検査、竣工検査を経て竣工引渡しとなります。全体工事の延べ日数は31日間で、11月15日に着工してクリスマス竣工を予定しています。
専有部(各住戸)内の工事は11月下旬から始まり、一戸当たり4日間の日程で2戸同時に進行します。専有部内工事2日目の配管工事日のみ、該当するお宅は朝から夕方までの長時間断水となりますが、他の工事日で長時間の断水はありません。専有部(各住戸)内の工事概要は次のとおりです。
・ 一日目 解体工事
新規配管を通すための天井点検口の開口、壁の一部解体作業。天井貫通
部分斫工事、洗面化粧台の取り外し(洗面化粧台は工事終了まで使用でき
なくなります。)。
・ 二日目 配管工事
新規給水給湯配管交換、既設配管撤去作業(工事中は断水となりますが夕方以降は通常通り使用可能です。)。
・ 三日目 復旧工事
天井点検口枠取付け、解体した壁部分の復旧作業。
・ 四日目 仕上工事
解体した壁部分のクロス仕上げ作業、洗面化粧台の取り付け(洗面化粧台取付けの際は一時間程度の断水となります。)。
11月9日開催予定の第七回理事会で全役員立会いのもとで給排水設備業者と「給水設備大規模改修工事」の契約を締結することになりました。工事費の支払は着手時に30%、竣工後一週間以内に70%となります。
給水設備大規模改修工事は全体に係わる大工事で、居住者全員のご協力を得なければなりません。詳細な工事日程と専有部の工事内容、工事中に支障をきたす事項についての説明会を開催いたします。賃貸居住の方々も遠慮なく参加され、不安なことがありましたらご質問ください。
5-2 工事説明会は閑散
2007(平成19)年11月15日発行の理事会報第236号で、11月13日(火曜日)午後6時30分から町内会館で開催された説明会 「欠席者は工事日程を承認されたと理解」をお知らせしました。
午後7時に開催した「給水設備大規模改修工事説明会」の理事長挨拶で「平成16年の南面大規模改修の工事を実施した業者は約束を守り、管理員室用のカレンダーを一枚のみ寄贈されましたが管理員さんはメモを記入できないからと廃棄しました。今回の給水設備大規模改修工事でも、役員への金品贈与や接待などは不要のため、そのような費用があるなら残金の請求時にその分を差し引いていただきます。」とお話しました。
参加された方々へ、工事説明資料の一部表記の削除をお願いしました。『2ページの共用部分「各玄関横パイプシャフト内にて作業いたしますので、お荷物を置かれている入居者様は公示前までに移動をお願いいたします」は、「各玄関横パイプシャフト内にて作業いたします。」で切り、後段を削除します。更に、5ページの注意事項「又、パイプシャフトにお荷物を置かれている入居者様は、作業前までにお荷物の移動をお願いいたします。」も削除してください。
管理規約に基づいて共用部分のパイプスペース(パイプシャフトとも云う)の管理は、管理組合がその責任においてこれを行い通常の用法に従って使用しなければなりません。通常の用法というのは、水道メータや電気メータの検針、共聴用ブースターの調整、ガス漏れや漏水有無の点検などを指し、自己都合で共用部に物品をおく行為は認められません。他のマンションにはルールを守らない自分勝手な方々がいるからでしょうが、私たちのマンションにはそのような方はおりませんので、不必要な表現ですから削除をお願いしました。』
給排水設備業者より工事責任者をご紹介いただき、常務取締役より「給水設備大規模改修工事」の全体像と専有部のさや管ヘッダー工法について別紙の資料とプレゼンテーションで1時間にわたる詳細な説明が行われました。専有部の工事中に伴う居住者の協力が必要な事項についての要望もありました。
参加者から「この工事によるメリットは分かりましたが、デミリットは何でしょうか」との質問に、給排水設備業者は「デミリットはさや管ヘッダー工法の費用はかなり高額になることです」と回答いただきました。通常は費用の面で既存の枝管分岐方式を取りますが、今回は30年以上の耐用年数がある樹脂管をサヤ管の中に納めるので使用状態によっては50年以上の耐久性を持ちます。共用部配管に耐久性30年程度のステンレス管を使うのは、火災時に熱で熔ける材質を避けて上下階への延焼被害を防止するためです。
◆ ご留意いただきたいこと
ア. 工事説明会の開催目的のひとつは、都合を申し出て日程を変更できるようにとの配慮で、欠席された方は工事日程を承認されたと受け止めています。自己都合で工事日程の変更を申し出られ、全体の工期が遅れるなどの弊害が生じた場合は、管理組合は工事延長に伴う費用を負担できないため、工期が遅れる原因を作られた方にその費用をご負担いただきます。工事責任者の訪問時に支障が生じないよう打ち合わせをお願いします。
イ. 工事開始時、北側道路のサイクリングロード側からマンション西壁までの区間は、既存配管撤去と配管新設のために掘削が行われます。西棟にお住まいの方々は足元に十分ご注意ください。
ウ. 自転車置き場の奥から解体した受水槽とポンプ類を運び出すため、開口部に事故防止用遮蔽ができ、一定時期は自転車の利用に支障が生じますのでご理解をお願いいたします。
エ. 各住戸の天井や壁の開口部に付けられた、点検口をクロス貼りなどで塞ぐことはできません。工事完了後の配管類は札幌市水道局が責任を持つことになり、法令に基づいた配管の定期検査や臨時検査で点検口より内部の確認が必要となるためご理解ください。天井内や壁内に最適な配管を行うには、一軒だけ壁や天井を壊して工法の実験や確認を行う必要があります。これにより各住戸の開口部を極力減らすことができるため、実験台となる理事長宅で最初の工事を行うことになりました
オ. 工事期間中は給排水設備業者の工事責任者へ共用部専用カギを1本貸し出します。
カ. 管理組合は共用部工事のすべてに立ち会いますが、専有部は区分所有者又は賃貸居住者の立会いをお願いします。万一不在となる場合はご兄弟又は親戚などの立ち会いをお願いいたします。
◆ 専有部の障害物移動と不便解消へのヒント
ア. スーパーから空のダンボール箱を3個もらってきましょう。
キッチンの流し台と洗面化粧台の下の「両開き戸の物入れ」内と、洗面所横の透明扉「化粧用具入れ」内に入っているものはすべて出さなければなりません。収納保管するためのダンボール箱が必要です。
イ. 風呂桶には水を汲んでおきましょう
いまのうちに、ロータンク内の浮き球の位置を確認しておくことをお勧めします。トイレを使うときは風呂桶からロータンクへ水を補給します。ロータンクの上のカバーを少し持ち上げてずらし、隙間から浮き球の状態を見ながら給水します。浮き球が上がりすぎると排水弁が開いて水が流れ落ちるので注意してください。
5-3 手が震えた契約
2007(平成19)年11月15日発行の理事会報第236号で「給水設備大規模改修工事の契約締結、空き住戸の持ち主は管理会社対応に」をお知らせしました。
11月9日午後6時30分開催の第七回理事会で、給排水設備会社の社長より「給水設備大規模改修工事」に関する説明を受け、管理会社の営業主任と全役員立会いのもとで契約を締結しました。請負代金(税込み)は13,207,950円で契約成立後10日以内に400万円、残金は工事完了引渡し後10日以内に支払います。支払手続きがすぐできるように、給排水設備業者が直接管理会社へ請求書を届けることとしました。
契約書は民間(旧四会)連合協定用紙を使用し、瑕疵の担保については「契約の目的物に施工上の瑕疵があるときは,甲は,乙に対して,相当の期間を定めて,その瑕疵の修補を求め,または修補に代えもしくは修補とともに損害の賠償を求めることができる。ただし,瑕疵が重要でなく,かつ,その修補に過分の費用を要するときは,甲は修補を求めることができない。」とされ、「瑕疵担保期間は2年とし,その瑕疵が乙の故意または重大な過失によって生じたものであるときは10年とする。」となっています。
覚書で「工事の保障期間は給水設備工事(後)10年間とし,この間に発生した乙の責任による不具合は乙が無償にて修理もしくは交換するものとする。」となっていますが、保障対象の例外規定があります。再使用した混合水栓、混合栓シャワー、水栓類、衛生器具類、給湯器などは補償の対象となりません。消防品及び製品に保障期間が明示されている機器や器具はメーカーの保障期限補償範囲となります。天災、凍害、故意等を含め、乙の施工不良以外による事由で発生した不良等は補償の対象から外されます。
契約を締結する際に、管理会社の営業主任より「他のマンションでの契約に必要なため調査すると、1千万円を超える請負契約の印紙税額は1万5千円ではなく2万円」とのおはなしをいただきました。印紙税額について給排水設備会社の社長は疑問を呈しましたが、取り敢えず請負契約書には「1万5千円」の印紙を貼付して、給排水設備会社の社長印と管理組合理事長印で割り印をしました。税務署へ金額を確認した上で不足であれば5千円の印紙を追加することにし、翌日国税庁のWebページを調べると次のように公表されています。
「請負に関する契約書のうち,建設業法第2条第1項に規定する工事の請負に係る契約に基づき作成されるもので,記載された契約金額が1千万円を超え,かつ,平成9年4月1日から平成21年3月31日までの間に作成されるものは,印紙税額が軽減されています。記載された契約金額が1千万円を超え5千万円以下のものは1万5千円」と明示されています。建設業法第2条第1項では、この法律において「建設工事」とは土木建築に関する工事で別表第1の上欄に掲げるものをいう、とあり、別表第1の上欄に掲げるものには「管工事や水道施設工事」が含まれています。
契約の翌日、税務署発行の資料をお持ちいただいた給排水設備会社の社長へ国税庁の印紙税額一覧表をお渡ししながら、管理会社の説明を信じたマンション管理組合は無駄な出費で損をしているだろうと嘆き合いました。営業担当者へ最近調査したという根拠資料をメールで照会すると、「印紙税は2万円とはなしていたマンションがあったので業者へ良く調べるようにお願いしただけ」という、詭弁とも取れる回答でした。
現在空き住居の状態となっている203号と404号については、住戸カギの借用手配と保管、使用後の返還業務を管理会社の営業主任にお願いしました。管理会社より連絡がありましたら、お二方にはご協力くださいますようお願い申し上げます。
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