はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第2章 住宅での事故と防犯対策

2009 (平成21)年4月26日、札幌市産業振興センターで開催された「第7回マンション大規模修繕セミナー」で、「いつまでも家族みんなが笑顔で暮らせるように、マンションの防犯対策」の講演から『住宅での事故と防犯対策』の要約です。

赤丸防災カバン 赤丸防災カバン

東日本大震災を経験された防災士と消防士が協力監修された、あかまる防災カバンには他の非常持ち出し袋などにはない防災携帯用除水器や簡易トイレなど、いざという時に必要になる用品が揃っているので、区分所有者へ備えるよう推薦しましょう。
       アフィリエイト広告  ⇒

1 事故死の実情

1-1 事故死の内訳

平成19年の警視庁統計「事故死の理由調査」で一年間の交通事故死者は5,744名ですが、住宅に起因する事故で死亡した方は12,415名という衝撃的な結果でした。住宅の部屋別にみると、浴室での死亡事故が3,566人、廊下や玄関ホールでの死亡事故は1,167人、階段での死亡事故は433人、その他の死亡事故は403人でした。

トップへ戻る

1-2 浴室での事故

浴室での事故死者3,566人中、65歳未満は404人(11,3%)で65歳以上は3,162人(88,7%)と、圧倒的に高齢者が多いことが分かります。事故死の原因は浴槽内での溺死と浴槽内への転落による溺死です。浴室内の床や浴槽の縁と浴槽内が滑ること、段差によりつまづくことなどが要因といわれます。

浴室での事故死を防ぐ具体的な対策は「滑らせない」ことですから、浴室の床材を粗として濡れても滑りにくいものに変更することです。また、浴槽内への身体の滑り込みを防ぎ、万一滑っても背中と足先が浴槽壁面に届くように浴槽のサイズは幅95~105cm×奥行60cmのものを選定するのがベターでしょう。

浴室内には、いざというときに身体を支えることができる手すりの設置が重要です。洗い場で腰を下ろす時や立ち上がるときに身体を支える手すり、洗い場と浴槽との間の浴室に設置した手すり 移動用手すり、浴槽出入り用手すり、浴槽内での腰下げや立ち上がり用の手すり、浴室出口の身体支え用手すりなどを設置すべきです。

また、滑る事故を防止するために、脱衣室から浴室へ入るさいに体を支える手すりと浴室から脱衣室へ出るときに体を支える手すりがあれば最善です。浴室内の面積に応じて手すりは縦型又は横型を選択し、場合によっては兼用できるような配慮も必要です。

高齢者はすり足で歩くことが多くなり、歩いているときは足の上がっている高さを意識していないため、脱衣室から浴室へ入るときや浴室から脱衣室へ出るときに、扉の下に段差があるとつまづく事故が発生します。リフォーム時には段差を解消しましょう。

その他、介護が必要になる場合を考えると浴室は1坪タイプ以上が理想的です。乳幼児が一人で浴室へ浸入するのを防ぐために、浴室出入口の扉は脱衣室側から施錠できるようにすべきです。また、清掃時や乳幼児の浴槽への転宅を防止するために、浴槽の蓋は強度のあるものを選択しましょう。

トップへ戻る

1-3 廊下と玄関ホール事故

廊下と玄関ホールでの事故死者は1,167人で、65歳未満は164人(14,1%)ですが65歳以上の高齢者は1,003人(85,9%)と非常に多い状態です。事故死の原因は「転倒」によるもので、滑らせない、つまずかせない配慮が必要になります。

玄関ホールの外は、北海道特有の現象である冬期間の圧雪と凍結路面の対策が必要になります。圧雪と凍結を熱により融かすロードヒーティングがあります。熱源として灯油・電気・ガスなどを利用できますが、設置費用と維持費がかかります。

そこで、圧雪や凍結した外階段やスロープ表面を、ゴムの柔らかさを利用して人の歩く圧力で砕くステップラバーの利用が増えています。設置費用も割安で熱源が不要、維持費のかからないことが最大の利点です。

廊下や玄関ホールの床は濡れても滑りにくい床材に張り替えることも必要です。ホームセンターで見かけるタイルカーペットはすべり止め効果があり、転倒時の怪我の軽減や防音効果もあり、張り替えも容易なことから採用するマンションが増加しています。

共用部には、滑ったときやつまずいたときに身体を支える手すりが必要です。一般的な手すりの高さは75~85cm、車椅子や子ども用は60~65cmです。大人用手すりと子ども用手すりの二段式もあります。手すりはしっかり握れるように、直径34mmの太さで、手すりの材質は滑りにくく安全性が高い樹脂製をお勧めします。

段差があることを意識しないことがつまづく原因ですから、段差を意識させるとつまづく可能性が減少します。段差のあるところでは床の色を変えることで意識させる工夫も必要でしょう。

高齢者や車いす利用者、小さな子どもや雪対策をかねて、玄関ドアを自動ドア化することも重要ですが、防犯対策は万全を期す必要があります。

トップへ戻る

1-4 階段での事故

廊階段での事故死者は423人で、65歳未満は115人(26.6%)、65歳以上の高齢者は318人73.4%)になっています。事故死の原因は「転落・転倒」によるもので、滑らせない・つまずかせない配慮が必要になります。

玄関は外階段からスロープへ転換し、車椅子が自力で登れるよう幅90cm以上で勾配は1/15以下にすることが理想です。スペースがあれば玄関横に屋根付きスロープを検討し、車椅子やベビーカーの脱輪防止のため両端に立ち上がりをつける配慮も大切です。

玄関ホールと1階エレベーターホールとの間に5~6段の階段がある場合は、この段差をスロープで解消することは不可能で、簡易的な昇降装置設置の検討も必要です。また、エレベーターがない建物では、階段に椅子がエスカレーター式に昇降する装置を設置することもできます。

階段には身体を支えることができる手すりと、階段の先端滑り止めは踏み面より5mm以上の滑り止めがついていますが、つまずく原因になるので3mm以下に修正します。蓄光の発光タイプを使うと、転落防止や災害時などに有効です。

トップへ戻る

2 防犯対策

2-1 犯罪者の手口

マンションはオートロックがついているのでセキュリティが万全で、泥棒に入られることはないというのは間違いです。泥棒はオートロックの鍵がなくても、暗証番号を知らなくても簡単に開錠できるのです。住居への侵入経路は玄関からがほとんどで、マンションの一階は窓からの侵入が多く二階以上の建物は上層階ほど玄関からの侵入が多いのです。

トップへ戻る

2-2 泥棒認知件数

平成20年度上半期の泥棒の手口別発生件数は、住宅空き巣3,132件(55%)、出店荒し783件(14%)、事務所荒らし505件(9%)、忍び込み428件(8%)居空き165件(3%)、金庫破り163件(3%)のほか、学校荒らし86件(2%)、病院荒らし83件(1%)、その他303件(5%)となっています。

泥棒の場所別発生状況は、一戸建て1,308件(23%)、木造やアパートを含めたマンションなどの中高層住宅が787件(14%)、会社や事務所636件(11%)、飲食店456軒(8%)、商店403件(7%)、病院94件(2%)、学校90件(2%)で、その他165件(3%)となっています。

トップへ戻る

2-3 恐怖の体験談

泥棒に遭遇したときの恐怖はもちろんですが、泥棒が捕まった後でも恐怖感は後遺症として残ります。インターネットにでている泥棒に入られた体験談を5つほど紹介しましょう。

ピッキングの例1
 オートロックのマンションでキチンと戸締りしていました。あの晩、仕事がいつもより早く終ったので19時に帰宅して22時ごろ就寝しました。異変に気が付いたのは深夜2時前ごろ。玄関のドアが小さく「キュッ、カリッ」と、普段あまり聞きなれない音がしたんで目を覚ましました。どうせ風か隣の部屋で何かやっているんだろうと思い、再び眠りにつこうとすると「カリカリッ、カチャッ」、ドアの開く音が。あの音はたぶん一生忘れることはできません。ドアがすーっと静かに開き、部屋に細長い光が入ってきました。そして白いニット帽をかぶった人が頭だけ出して周りを伺っています。思わず「ひっ!」と声を漏らしてしまいました。しばしの沈黙後、足音が遠ざかりドアがバタンとしまりました。その後は、お風呂で髪を洗っているときも、振り向くと誰かいるんじゃないかと常に想像してしまいます。朝日が出ないと安心して寝ることもできません

ピッキングの例2
 結婚する前、実家に住んでいるときに泥棒に入られました。夜部屋で寝ていると何かがバーンと落ちる音で目が覚めると、部屋の中を懐中電灯の光がゆれていて本当にびっくりしました。もちろん声もだせず、体も金縛り状態です。入られた後は家に帰っても、ベッドの下や押入れなどありとあらゆるところに潜んでいるのではないかと不安で夜も寝られませんでした。5年以上たち結婚して違う場所に住んでいる今でも、夜窓越しに車のヘッドライトが横切ると目が覚めてしまい寝ることができません。犯人は別件で逮捕され、私の家に泥棒に入ったこともわかりました。

ピッキングの例2
 明け方5時くらいにふと目をさますと、帽子をかぶった男の人が運動靴のまま部屋の中に立っていました。本当に声がでなくて、恐ろしかったです。犯人はちょうど部屋からでていこうとしていたところだったので、後ろ姿しかみていません。もし、もう少し早く目を覚まして犯人の顔を見てしまっていたら、と思うと今でも震えてしまいます。その後1週間友達の家にお世話になり、その後の1か月は友達に家まで送ってもらったりしていました。自分が安心できるまでテレビと電気を夜中つけっぱなしにしていました

ピッキングの犯人と鉢合わせ
 見たいテレビもなかったので、一人静かに雑誌を読んでいました。玄関の向こう側でカチャカチャと音がするので、隣人が帰宅したのだと思っていました。ところが、その音がいつまでも止まないのです。気になってドアスコープから覗いてみようと玄関につながる居間の戸を開けたんです。そうしたら、侵入しようとしている犯人と玄関で鉢合わせしてしまいました。犯人は踵を返して逃げていきました。浴室に設置した手すり その後、バルコニーの向こうに誰かいるんじゃないか、風の音ではなく誰か動いている音ではないかと、ちょっとした音にも敏感になり眠れなくなってしまいました。脅かすようで申し訳ないのですが、オートロックだけでは防犯対策にはなりません。(簡単に開けることが出来るんですよ)。玄関の鍵を2つにする、チェーンロックも忘れずにかけるとか、手元に催涙スプレーを常備するとか、逃げ道のイメージトレーニングとか、自分を守ることを万全にして下さい。

窓から侵入の空き巣狙い
 仕事から帰って来るとなぜか扉が開いていたので「まさか!」と思い、中に入ると部屋中がちらかっていて窓のガラスが破られていました。警察に連絡しても1時間も来てくれなくて、その間もし犯人が戻ってきたらどうしよう!と一人で震えていました。空き巣に入られた日からは、毎日彼に泊まってもらいすぐに引っ越しました。結婚してオートロックのマンションに主人と二人で住んでいる今でも、誰かが入ってくるのではという不安がつきまとい、悪夢を見るのです

トップへ戻る

2-4 侵入手段

四階以上の中高層マンションは、無施錠の住居が意外なほど多いと言われます。オートロックを過信するこのような行為を、強盗や性犯罪者が狙っています。階段室のうえから見ている泥棒がいないわけではありません。

ほとんどの泥棒は、家族数や一人暮らしかどうか調査してから狙いを定めます。面倒だからと施錠しないでごみを出しにいった一人暮らしの若い女性の住居へ、階段室のうえでようすを見ていた泥棒が扉を開けて侵入しました。ごみを出して家へ戻り、玄関を施錠して居間へ入ったら泥棒が待っていた。これは実際にあった事件です。あなたの大切な財産がなくなるだけではすまない場合もあるのです。

合鍵カギをポストや新聞受けに入れている人や、表札の裏側に差し込んでいる人がいます。持ち歩いているカギは落とすこともあるので、近くに置いていれば便利と考えたのでしょう。当然ですが泥棒も同じように考え、まず住居の近くにカギがないか探します。これほど危険なことはないのです。

トップへ戻る

2-5 出入口の防犯対策

2-5-1 ふたつの錠をつける

泥棒は、侵入に時間を掛けたくないのです。扉を開けるまで5分以上かかれば58%があきらめ、10分以上かかると91%があきらめます。扉に2つの錠がついていると、侵入に要する時間は二倍以上かかるので泥棒は近寄りません。玄関扉には錠を2つ付けることは警察も勧めています。

2-5-2 ディンプルキー

特殊な工具を使って錠を開けることをピッキングといいます。従来利用されていた山型のキーはピッキングに弱く、多くの場所でピッキングに強いディンプルキーが現在の主流になっています。

2-5-3 サムターンカバー

サムターンは扉の室内側についている錠の開け閉めを行うために使うツマミのついた金具のことです。扉を閉めてサムターンのツマミを回すと施錠されて戸締まりができます。

住居侵入窃盗犯などが、扉の外側からサムターンのツマミを回転させて開錠する手法をサムターン回しといいます。サムターン回しで侵入して室内を荒らさずに金品を盗んだのち、サムターンを逆に回して施錠してから逃走した例もあります。このような場合、被害者が侵入されたことも被害にあったことも気づくのが遅れます。

簡単に回せないような仕掛けのついたものや、カバーをつけてサムターンを簡単に回させないなどの防犯対策が必要です。

2-5-4 U字ロックとチェーンロック

住居の扉にはU字ロックとチェーンロックがついています。この二つのロックは応対時の安全確保が目的の補助錠であり、施錠が目的ではありません。チェーンロックは輪ゴムを使うと簡単に開錠できます。自宅にいるときは必ず施錠し、U字ロックとチェーンロックをかけたままにしておきましょう

トップへ戻る

3 窓の防犯対策

3-1 フィルムを張る

窓からの侵入でもっとも多いのはクレセント錠をはずす方法です。クレセント錠をかけても、窓の上下にゆするとゆるんではずれます。ゆするときに音がしますが、室内に誰もいなければ気づかれることはありません。

一戸建て住宅への空き巣の侵入手段は、ガラス破りが70%近くを占めています。手泥棒に侵入される経路のグラフ口は窓サッシのガラスを割り、手を入れてカギを開けるという方法です。手が入るらいの大きさなら、ドライバー1本であっという間に音をたてることなく簡単に開けることができます。

クレセント錠近くのガラスを強力なライターやバーナーを使い、音をたてずにガラスを破りカギをあけて侵入する「焼き破り」という手口もあります。塀に囲まれていたり、樹木や物置で周りから見えにくい窓が特に危険です。

窓からの侵入に時間が掛かるようにするには、ガラスの間にシートを挟んだ防犯ガラスにリフォームしたり、室内側からガラスに防犯フィルムを張る方法もあります。この方法はガラスを割られにくくなるだけでなく、割れても破片が散乱しないので地震や台風、竜巻対策にもなります。

3-2 窓をロックする

サッシの上下兼用補助錠は、窓枠に差し込んで締め付けるだけでサッシにキズをつけずに鍵をかけることができます。全国防犯協会連合会推薦で、少し開けたままでも施錠可能ですから、換気用や中間止めとして利用することもできます。窓枠を外して侵入できなくし、取り付けた後は鍵を外すと解錠ができません。

トップへ戻る

4 注意したいこと

ポストにチラシを貯めると犯罪者は留守と思います。ポスト内のチラシや郵便物は毎日こまめに回収するようにしましょう。

自宅にいるときは必ず施錠して、U字ロックとチェーンロックをかけたままにしておきましょう。

玄関の入口やロビー、廊下などの共用部には人感センサーで反応する照明を設置する方法もあります。

泥棒は人の目を嫌がり、記憶されることをもっともおそれます。建物のそばや玄関で不審者を見かけたら、「どうされました、管理人さんをお探しですか」「工事に来られた方でしたら、理事長をお呼びしますよ」などと声をかけることも重要です。

防犯カメラはダミーでも効果がありますが、防犯カメラがあっても犯罪者はあきらめません。居住者が防犯意識を持ち続けることが大切です。

謝辞:文中に掲載した写真は、プロジェクターで投影されたものを撮影して転載しました。ありがとうございます。

トップへ戻る