はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第2章 赤ワインの考察

私は赤ワインのフルボディが好きです。子どもの頃に飲んだ濃厚な味わいの葡萄酒を思い出させます。エジプトのファラオもクレオパトラ、デカルトもカントも、ソクラテスも飲んでいたのは赤ワインのフルボディです。これにチーズがあれば最高です。

1 高価なワイン

私たちがデパートのワイン売り場へ行くと、目の玉が飛び出すような値札が付いたワインが並べられています。ワインの専門店にも数千円から数万円というワインが並んでいます。スーパーマーケットやコンビニへ行くと数百円というワインが並んでいます。

この値段の差は何でしょう。たかが、葡萄(ぶどう)を原料にした発酵酒じゃないですか。値段が高ければ上品で美味しく、安物は粗悪品でそれなりの味でしょうか。買えもしない数万円もするワインを眺めて、どんな味がするのだろうと思ったこともあります。

ワイン用のぶどう栽培は年間平均気温が10~20℃の暖かさで年間降水量が500~900mm程度、開花から収穫までの日照時間が1300~1500時間程度とされています。これらの条件は北緯30~50度、南緯20~40度の中にほぼ納まっています。

ぶどう栽培は冬の間に剪定や苗木作りを行い、春から夏にかけてぶどうの果実に養分を集中させ、枝や葉に養分を取られて生い茂っても果実がたわわに実り過ぎてもいけないなど、とても難しい生産管理があります。

世界中の名産地でのワイン生産原価に特に差はありません。有名なブルゴーニュでもボルドーでも別に地代が高いわけでもなく、摘み取り専門の季節労働者への賃金が高いわけでもありません。ですから、付加価値で高い安いが決まるようです。

高いワインを生み出すぶどうの木は、栽培条件に適した畑に気候や品種などに加えてより糖分やその他のミネラルが凝縮されるように、単一面積当たりの収穫量が低くなるように間引きをして植えられています。

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狭い畑にぶどうを密集して植えるより、適当に本数を少なくしてぶどうの実ひとつひとつの糖度が上がるように広いぶどう畑でつくられているのが高級ワイン用のぶどうです。当然収穫量は落ちるので、出来上がるワインの値段も上がるというわけです。

このようにして栽培された高級ワイン用ぶどうは、国内で流通してる超高値の生食用ぶどうよりはるかに甘いぶどうになります。あなたがいま住んでいる部屋の中に、ぶどうの木が1本か2本だけ栽培されているのですからいかに価値の高いものか分かるでしょう。

しかも、完熟したぶどうだけを摘み取るのは手摘みで、機械を使わずにすべて手作業で収穫しています。この方法で収穫するとぶどうに傷がつくことが少なく、ぶどう本来の香りや味わいもそれだけワインに反映しやすくなります。

さらに、高価格帯のワインはフリーランと呼ばれる自然に流れ出るぶどうジュースを使用します。時間をかけて流れ落ちるフリーランのぶどうジュースは、香りや味わいともに非常にふくよかなものができます。

値段の差ができるのは原料となるぶどうの差、栽培方法の差や価値を上げようとした努力の差が価格に反映されているのです。希少価値をご理解いただけるでしょうが、あなたが美味しいと思うかどうかは別問題です。

日本ではまだまだワインは高級酒であり、価格が高いものがいいというイメージの人が多いようですが、希少価値で値段が付くこともあるので高ければ必ず美味しいというわけではないのがワインです。

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2 安価なワイン

安いワインは、甘さが少ない安いぶどうから造ります。ぶどうの木は日光が十分当たる斜面の狭い土地に密集して植えられ、写真や映像でぶどう園と紹介されているものはほとんどが安いワイン用の安いぶどうの木です。

ぶどうを搾る作業は、品種にもよりますが1度だけではなく3回~5回絞ります。潰して搾ったジュースは色あいにも混濁が見られたり、えぐみやしぶみも含まれる場合があります。このような製法を採ると、ぶどうの香りという点ではどうしても劣ります。

これらを無駄なく製品化するためにブレンドしたり、液糖を加えて甘く仕上げるという方法を用います。原料を絞ったものはすべて税金の対象となり、簡単に廃棄することはできません。そこでこれらは、低価格帯のワインやリキュールとして販売されています。

日本では海外からぶどうジュースを輸入し、それを発酵させたものと国産ぶどうを発酵させたものをブレンドして製品化することが許可され、安い甘口ワインの場合は海外の濃縮果汁に液糖をまぜたものをベースにしてワインとして販売するのが一般的です。

日本のメーカーが料理用ワインを販売していますが、料理用ワインとして製品化したのは日本だけです。あなたがメーカーの期待に応えて美味しいと思うかどうかは別問題ですが、料理人の実験結果で料理用ワインを使うと料理が不味くなったと言われます。

映画のように古いヴィンテージをありがたるような舌音痴がはびこる世界は消えて、新しくていいワインが好まれるようになりました。コルク栓が廃れてスクリュウキャップの技術が進化したので、新しいワインは開栓してから日持ちもします。

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3 高級品のシャンパン

シャンパンはワインに炭酸を封じ込めたスパーリングワインで、海外からの国賓を招いての宮中晩餐会で最初の乾杯は必ずドンペリです。ドンペリはバランスは良いが個性はなく、万人受けするので宮中晩餐会のように数百人が出席する会では非常に重要です。

シャンパンと名乗れるお酒はシャンパーニュ地方で作られ、定められたぶどうの品種を栽培したもので、伝統的な製造法によって作られ、シャンパンに関する法律で規定された条件を満たしているものを指します。

シャンパンは、発酵中のワインを瓶詰めして放置していたときに偶然できたそうです。有名なシャンパンの正式名称はドン・ペリニヨンと言いますが、ラベルの色は白で俗にドンペリ白と呼ばれる一般的なグレードのものでも価格は約一万円します。

シャンパンは、泡が出てポンと音が鳴るお酒として200年前のパリのキャバレーで人気のお酒だったそうです。うわさで聞いただけですが、ホストクラブや銀座の高級バーの定番はドンペリだったそうです。

銀座の高級クラブでドンペリをオーダーすると30万円とか50万円だった時代もあったようです。現在は原価3万5千円のドンペリが17万円のようです。ただし、三掛けや五掛けという世界ですから、お店によって十掛け以上になる場合もありえます。

平成5~6年頃に原稿料が入ったので、ドンペリの白を一本購入して帰宅しました。冷蔵庫で冷やしてからワイングラスについで夫婦で味わいました。なんだこの酸っぱい味はこんなもの二度と飲むものかというのが感想でした。二人の口に合わなかったのです。

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4 ボジョレー・ヌーヴォー

ボジョレー・ヌーヴォーは、フランスのブルゴーニュー地方の南部にあるボジョレー地区の赤ワインの初物で代表的なワインではありません。その年のブドウの品質が良いか悪いかを確認するために作らた試飲用のワインです。

冷蔵設備のない時代ですから人々は近くの醸造所へ行き、ワイナリーでワインを量り売りで買っていました。周辺の限られたボジョレーの地元住民が、美味しさを味わうというよりブドウの品質を確かめながら新酒を静かに祝うという意味合いが強かったのです。

ボジョレー・ヌーボーは9月頃に収穫したぶどうで造ったワインを11月半ばに販売するので、急ピッチで醸造しなければ間に合わせることができません。このため醸造タンク内を炭酸ガスで充満させることで、果実に圧力をかけて色素等を素早く抽出しています。

このような製法を取るため、ボージョレ・ヌーボーにはイチゴ・キャンディのような甘い香りが副産物として生じ、しっかりと色素を含みながらタンニン分の少ない軽くフレッシュなワインに仕上がっています。

赤ワインは独特の渋味やコクを味わうため16~18度で飲むと美味しいと言われていますが、ボジョレー・ヌーヴォーには渋味が少なく、非常に軽やかなフレッシュなワインなので冷蔵庫で数時間冷やした方が美味しく飲めるといわれます。

原料ぶどうは華やかでフレッシュそしてフルーティさが特徴のガメイ種と呼ばれる品種で、ボジョレー地区の人々は19世紀から飲んでいましたが、国の規定で生産管理が厳しくなると醸造期間が短いためにワインとは認められなくなりました。

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ボジョレー地区の人々はフランス政府と交渉を重ねた結果、通常のワインと異なり早い新酒の解禁日がボジョレー・ヌーヴォーにだけ定められるようになりました。これがバブル最盛期の1985年に日本へ輸入され、ワインブームに火をつけることになりました。

バブル最盛期に輸入されたボジョレー・ヌーヴォーは、時差の関係で世界(先進国)で一番早く解禁日を迎えるというコマーシャルに踊らされ、空輸代金込みで高額になってもいとわないという条件付きで現在も輸入されています。

冷蔵や輸送技術の発達により、醸造家たちがもっと広めようという動きを始めました。商社や百貨店が仕掛けたブームにワインの味が分からない人々が群がり、ワイン=お洒落と勘違いした人々が買い求め、ボジョレー・ヌーヴォーは有り難い存在と化したのです。

最近になってワインとしての価値はそれほどのものではないと人々は気づきました。ワイン好きの方々の間でボージョレ・ヌーボーの話題になると、あの味は今イチとか、今更買わないとか、中にはマズイとバッサリ切り捨てる方もいます。

フランス政府もワインとして認めてはいないボージョレ・ヌーボーは、一口にいってしまうとコストパフォーマンスが悪いのです。価格に見合ったしっかりとした品質のワインを飲まれている方々には、価格よりも価値が低いと分かるのです。

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5 ワインとの出会い

一般的にワインを購入する人は、飲む頻度で手にする銘柄数は限られてきます。特定の銘柄がどうしても飲みたいと言うのでなければ、ワインを買うときの決断はいくらするのか、買える値段であるかで決まります。

子どもの頃に山ブドウを摘んでぶどう酒を造ったことがあります。濃紫色をした液体に高価な砂糖の代用でイタヤカエデの樹液(メイプルシロップ)を加えないと飲めないような代物でしたが、飲みすぎると頭がくらくらしたことを覚えています。

二十代の頃に父が買ってきた「赤玉ポートワイン」を少し飲んだことがあります。美しいと言える赤い色で、それまでのぶどう酒の色とはまるで違っていました。しかも、飲み終わると甘みが口に残るので、女性を対象としたぶどう酒の模造品だと思いました。

デパートやお酒の販売店でワインを見かけましが、輸入品は非常に高価でした。日本産のワインが出回ると、カタカナ表記にしたりローマ字表記にしたりで目を引かせ、値段を釣り上げて儲けようとしても中身は単なるぶどう酒じゃないかと軽蔑していました。

映画館で洋画を見ていると、ワインを飲むシーンが出てくることがあります。お酒が好きなせいもあり、俳優の飲み方を注意深く見ていたのは後日役にたちました。1953年作のローマの休日で、アン王女がジョーのアパートでワインを飲むシーンがありました。

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1964年作のゴールドフィンガーでジェームス・ボンドがドンペリニヨンを飲むときに、「華氏38度以上で飲むのはよくないことだよ、ビートルズを耳栓なしで聞くのと同じようにね」というシーンがあり、そうだと思わず噴き出したことがあります。

レストランに仲間とお客を迎えてイタリア料理のコースを楽しんだことがあります。料理が運ばれる前に、ソムリエがナイフでワインを開栓してコルクを差し出しました。コース料理もワインの注文も初めてなので、戸惑いながらコルクを受け取りました。

コルクを見ると刻印がありましたが何が書いてあるのか分かりません。コルクをソムリエへ返して、ワインのラベルを見ましたが横文字ですから意味が分かりません。ソムリエが私のグラスにワインを注ぎました。白ワインであることは分かりました。

味見をすれと言うのだなと考え、グラスを持ち上げて香りをかいでから一口含みました。そしてゆっくり飲み込みました。口に合いました。美味しかったので、これでお願いしますと言いました。すると参加者のグラスにワインが注がれました。

これはホスト・ティスティングと呼ばれ、銘柄の確認、ブドウの収穫年の確認、コルクで刻印と保存状態の確認、品質の確認を求められていたのだと分ったのは、相当後になってワインに関する本を読んだ時でした。映画の真似をしてよかったとホットしました。

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6 ワインの歴史

ワインの始まりは、紀元前8000年頃と言われます。世界中でまだ石器が使われていた時代、日本の縄文時代にコーカサス山脈(現在のジョージアのあたり)でワインが飲まれていたと考えられています。

文献上でワインの醸造が初めて登場するのは、紀元前5000年頃です。シュメール人が書き残したメソポタミア文明最古の文学作品である「ギルガメッシュ叙事詩」に、洪水対策の一環である船の建造に携わった労働者にワインが振る舞われたと記されています。

紀元前5000年頃と思われる遺跡から、果汁を絞るための道具とされる石臼が発見されたのも、ワインの醸造が始まっていたと考えられる要因の1つです。ワインの原料となるブドウを育てるためのブドウ畑があった痕跡も残っています。

メソポタミアに近いエジプトでも、壁画などにワインを造るための道具が描かれていたことから、紀元前4000年代にワインが造られていたと考えられています。この時期にビールの醸造も始まっていましたが、ワインはビールと比べて高級品だったようです。

メソポタミア、そしてエジプトで造られ始めたワインは、紀元前1500年ごろにギリシャに伝わったとされます。紀元前3000年にはクレタ島やサントリー二島でワインが取引されていた証拠も見つかっているので、もっと歴史は古いのかもしれません。

ワインをギリシャにもたらしたのは、現在のレバノン周辺に住んでいたフェニキア人でした。ギリシャ人に好まれて盛んに造られたワインは、紀元前1100年頃にギリシャを有数のワイン輸出国としました。

古代ギリシャにおけるワインの役割は、飲んで楽しむためのものだけではなく薬としても利用されています。古代ギリシャの医師で、医学の父とも呼ばれるヒポクラテスは、ワインについて解熱作用や利尿作用、疲労回復などの効果があると書き記しています。

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紀元前600年頃にギリシャ人の一部が、南フランスのマルセイユ地方に移り住むことでワインづくりが伝わりました。ローマ帝国の英雄、ジュリアス・シーザーのローマ軍侵攻は、フランス各地にワインづくりを普及させることになったでき事としても有名です。

2~3世紀ごろには、「ブルゴーニュ」「ボルドー」「シャンパーニュ」などにブドウ栽培が伝わりました。さらに、西暦1000年ごろの中世ヨーロッパではワインは単なるお酒ではなくなったのです。

中世ヨーロッパになると、砂漠の民の宗教であったキリスト教が政治にも人々の生活にも深く関わり、キリスト教が大きな影響を与えるようになりました。ワインは「キリストの血」とされ、神聖で貴重なものとされるようになりました。

当時の教会や修道院は、学校や研究所といった役割も果たしていたので、ブドウ畑を開墾したりワイン醸造の技術を高めたりとワイン造りに努力しました。17世紀頃には、現在のワインの販売形態に近い「ビン詰め・コルク栓」のワインが登場しました。

フランスを中心として発展したヨーロッパのワイン造りは、大航海時代の16世紀になると世界中に広がりました。ブドウは地域性が強く出るので、産地によってさまざまな味のワインができ上がります。

日本におけるブドウの歴史も古く、奈良時代までさかのぼります。奈良時代に編纂された「古事記や日本書紀」にはブドウと思われる記述があり、ブドウがモチーフとなっている絵柄も存在するため、奈良時代には「ブドウ」が認識されていたと考えられています。

お米から日本酒を造る文化が先に成立していた古代日本では、ワインの原料があってもワインは誕生しません。ワインが日本史上に登場するのは室町時代後期で、スペインやポルトガルからワインが伝わってきたとされています

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1549年に鹿児島を訪れたイエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルは、キリスト教を布教したい土地の大名にワインを献上することで布教の許しを得ようとしました。これをきっかけに、各地の大名にもワインの存在が知られるようになりました。

ワインはポルトガルやオランダとの交易により少しずつ日本にも浸透してきましたが、庶民にはそれほど広がらず国内で醸造されることはなかったのです。江戸幕府が倒れて武士の時代が終わると事情が一変し、明治政府は海外との交易制限を解きました。

約270年にわたり他国との交流を制限してきた日本は、欧米列強と肩を並べるため早急に国を近代化する必要性に迫られました。このため殖産興業政策を推し進め、その一環としてブドウ栽培やワイン醸造がおこなわれるようになりました。

味の良さや保存性、製造技術といった壁が立ちはだかり、国産ブドウを原料とした「日本ワイン」は失敗続きでした。1927年の川上善兵衛によるブドウの品種改良で、「マスカット・ベーリーA」の開発に成功し、日本ワインの動きはここから好転します

日本の気候に適した「マスカット・ベーリーA」は、今でも日本ワインの原料として使用され、品種改良は日本ワインの歴史における偉業といっても過言ではありません。大東亜戦争(太平洋戦争)に突入すると、日本政府はワインの生産をより一層奨励しました。

政府が推奨したのは敵国文化の1つであり、贅沢品でもある飲用のワインではありません。ワインを造るときに得られる酒石酸が潜水艦などで使われるレーダーの製造に役立ったのです。

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7 ワインの醸造

ワインが造られ始めたころは熟したぶどうを大きな桶に入れ、足で踏んで果汁を搾るところから始まりました。現在は機械化されていますが、その醸造の過程はかつての造り方とほとんど変わっていないといわれます。

一般にワイン造りは赤ワイン造りの工程が原型となっています。秋に成熟し糖度が十分になった頃収穫されたぶどうは、房のまま除梗機で果梗(軸)が取り除かれます。果汁を搾り、果皮、種子とともにタンクに入れて発酵させます。

発酵後は圧搾機にかけて果皮と種子を取り除き、樽に詰めて熟成します。その途中で、澱(おり)と呼ばれる沈殿物が出るため、その上澄みだけを別の容器に移し替える「澱引き」を何度かくり返し、濾過処理で不純物を取り除かれてびん詰めされます。

白ワインは発酵前に果皮や種子が取り除かれるため、色がつきません。ロゼワインについては製造法がいくつかありますが、発酵の途中で果皮と種子を取り除く方法が一般的です。赤ワインと白ワインの違いは、製造における「圧搾」のタイミングの違いです

白ワインの場合は圧搾したぶどう果汁を発酵させますが、赤ワインの場合はブドウ全体を先に発酵させてから圧搾します。皮や種も発酵させれば風味が出るという考えによるものです。皮や種も含めて全部圧搾するので皮から色が染みだして赤くなります

びん詰め後にも貯蔵庫で熟成されるものもありますが、白ワインやロゼワインは比較的熟成期間が短く、最近では赤ワインでもフレッシュな軽い飲み口を楽しむ熟成の浅いものも増えています。

ワインには「ロゼ」というピンク色のワインもあります。ロゼは製造方法にちょっとした変化を加えることで生み出されたワインです。ピンク色のロゼをつくるためには、以下のような製造方法を用いることになります。

製造方法は三種類あり、マセレーション法は赤ワインと同じ方法でつくり濃い色になる前に皮や種を取り除く。直接圧搾法は黒ブドウを使って白ワインと同じ方法でつくる。混醸法は発酵前に黒ブドウと白ブドウを混ぜます。

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8 ブドウの種類

ワインはブドウの種類と製造方法によって、赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、スパーリングワインという四種類あります。さらに、フルボディ、ミディアムボディ、ライトボディという分類や、辛口と甘口という表現も聞いたことはあるでしょう。

赤ワインは黒色の皮をもったブドウで造ります。もっとも有名な品種はカベルネ・ソーヴィニヨンで、ブルーベリーのような力強い香りとブドウの渋みのもとであるタンニンがしっかり感じられるのが特徴です。

世界中で広く栽培されていのはメルローという品種で、プラムやブラックチェリーのような香りを持ち、カベルネ・ソーヴィニヨンよりタンニンや酸味が穏やかでやさしい味わいが特徴です。赤ワインにチャレンジするときはメルローから試されるといいでしょう。

赤ワインの原料は多くの種類があり、2タイプのみで全ての赤ワインを網羅するわけではありません。その産地で赤ワイン用に栽培されているブドウの品種には、「カベルネ・ソーヴィニヨン」や「メルロー」、「ピノ・ノワール」などがあります。

カベルネ・ソーヴィニヨンは、赤ワインに使われる黒ブドウの中でもっとも有名な品種です。カシスやブルーベリーのような力強い香りと、ブドウの渋みのもとである「タンニン」がしっかり感じられるのが特徴です。

メルローは、世界中で広く栽培されている品種で、プラムやブラックチェリーのような香りがします。カベルネ・ソーヴィニヨンと比べると、タンニンや酸味が穏やかで、やさしい味わいが特徴です。

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ピノ・ノワールは、フランスのブルゴーニュ地方を中心に栽培されている品種で、イチゴやチェリーのような香りがします。栽培される国によって風味に違いが出やすいのが特徴で、チリのピノ・ノワールはタンニンと酸味のバランスがいいものが多いようです。

基本的に白ワインは白ブドウからつくられます。白ブドウには「白」という言葉が使われてはいますが、実際は黄緑色のブドウを指します(日本で有名なマスカットも白ブドウの仲間です)。

シャルドネは、世界中で栽培されている有名な白ブドウの品種です。シャルドネは、栽培する土地によって味わいが変幻自在に変わるという特徴があり、チリのシャルドネはコクがあってフルーティ、青リンゴや洋ナシの香りがします。

ソーヴィニヨン・ブランも世界中で広く栽培されている品種です。ハーブや柑橘系のようなフレッシュな香りと、キレのあるスッキリとした味わいが特徴で、栽培される地域によって風味は変わります。

ピンク色のロゼワインの製造方法は三種類あり、マセレーション法は赤ワインと同じ方法でつくり濃い色になる前に皮や種を取り除きます。直接圧搾法は黒ブドウを使って白ワインと同じ方法でつくり、混醸法は発酵前に黒ブドウと黄緑色のブドウを混ぜています。

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9 ワインの種類

濃色の「黒ぶどう」種から作られる赤ワインは、赤といっても赤黒いような濃い色合いが特徴的なワインで、黒葡萄を皮ごと潰して醸造し熟成するという特徴があります。室温による発酵で作られる赤ワインは、室温程度で飲まれるのが一般的です。

熟成期間の短い赤ワインは色が薄く、熟成期間が長くなると濃い赤色へと変化します。長期熟成された赤ワインの中には、明かりに透かしてみても光が通らないほどに濃色な物も存在します。

赤ワインの世界では味や香りの傾向を、大きくフルボディ、ライトボディ、ミディアムボディに分けています。ボディという言葉は直訳すると「身体」をあらわしますが、ワインの味や香りの複雑さを表しています。

フルボディは、渋みが強く、香りも味も濃厚で、色も濃い赤ワインを指します。言葉であらわすと、主張が強く、ズシッと「重い」ワインです。レストランなどで質問される、重いという言葉はフルボディのような香り・味・渋みが強いワインを指しています。

フルボディの赤ワインは飲み方を工夫すると、その渋さの先にある深い味わいを感じることができます。たとえば、ワインを空気に触れさせるために専用の容器にワインを移す「デキャンタージュ」をすることで、その味や香りが大きく変わります。

ライトボディは、フルボディと対極にあり、色が薄く、飲んだ時に渋みが少ない赤ワインです。言葉であらわすと、主張は控えめでサラッと軽いワインです。口当たりが軽く、飲みやすいワインが多いので、初心者でも飲みやすい赤ワインです。

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ミディアムボディは、フルボディとライトボディの中間にあたり、渋みや酸味、香りがほどよいバランスの赤ワインのことです。色もちょうど、フルボディとライトボディの中間色であることが多いようです。

白ワインは主に皮が黄緑の白ブドウで造られたワインです。白ワインは皮や種を取り除いて発酵させるため、赤ワインのような赤色ではなく、透明に近い黄色や黄緑色になり渋みもほとんどありません。白ワインは辛口系と甘口系に分けることができます。

辛口系は、ブドウの実が発酵することにより糖分がほとんどアルコール分に変化し、糖度が低くなった白ワインを指します。色味は薄く、酸味が強くなり、味がキリッと引き締まったワインが多くなります。

甘口系は、ブドウの糖分がなくならないよう発酵を途中でストップさせ、あえて甘味を残したワインを指します。色味は濃く、酸味は穏やかで、味はまろやかなワインが多くなります。

スパークリングワインは炭酸を含んだ発泡性のワインです。炭酸が入っているので口当たりは爽やかで、パーティーなどの場でよく飲まれます。とはいえ、炭酸を含んでいてもシャンパンの仲間ではありません。

シャンパンという称号を名乗るためには、高品質なブドウが栽培されているフランスのシャンパーニュ地方でつくられていることが最低条件で、なおかつ、いろいろな基準をクリアする必要があります

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10 ボトルとラベル

赤ワインには、ブドウの品種に合わせてという考え方があります。赤ワイン初心者は「ボルドースタイルワイン」を選ぶほうが、当たり外れに左右されることが少なくて済みます

たくさんある赤ワインの中から「ボルドースタイルワイン」を選ぶ場合は、「いかり肩のボトル」を選びます。他の国でも、ボルドースタイルのワインをつくる際には伝統的にボルドー型の瓶が使われています。

ボルドースタイルワインといっても、どんなブドウを使っているかによってその味はさまざまです。ボルドースタイルの代表であるカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローの品種だけでも味は大きく違い、どの地域で栽培されているかによっても味は変わってきます。

どの地域のどんなブドウが使われているかを把握するには、ワインに貼られているラベルを確認するのが近道です。ワインに貼られているラベルは「エチケット」と呼ばれ、ワインの名称やブドウ品種、ブドウの収穫年、産地などが記載されています

例えば、商品名・生産者名(例:シャトー・トゥール・カイエ)、生産地方:(例:ボルドー)、ブドウを収穫した年(例:2014年)、生産国(例:フランス)などが記載されています。

エチケット(ラベル)には、ブドウの「収穫年」が書かれ、これがいわゆる「ワインの年代」と呼ばれるものです。たとえば、長期熟成可能なワインの場合は、良好な環境で保管すると熟成されて美味しくなります。

ワインの年代が古ければ古いほうが美味しいわけではありません。どんなワインにも飲み頃があり、単純に年代が古ければ美味しいというわけではないのです。ワインはいつまでも熟成が進むというわけではなく、飲み頃を過ぎてしまうと味は劣化してしまいます。

早飲みに適した品種でつくられたワインは、早いうちに商品化して売り出されます。このようなワインを長期間寝かせても、美味しく熟成することはありません。ボジョレー・ヌーボーは新酒ですから旬を味わうのが基本です。

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試しに購入してみると、ボン・ルージュよりもおいしく感じました。エチケット(ラベル)には、チリの名門サンタ・ヘルナ社がお届けする高品質ワイン「アルパカ」は、ほのかなスパィシーと豊かな果実味が特徴のチリらしい個性のあるワインとあります。

なによりも、年金暮らしの老人には500円を切る価格がうれしく感じます。そして、日本産のワインはなぜ高いのか不思議に思いました。なぜか庶民には手が出ないような高価です。高品質だからという声が聞こえてきます。

外国産のワインは、交通費をかけて届いても国産品より安値で入手できます。生産地ではいくらで購入できるのだろうと考えこみます。外国産のワインと同様な作り方をすれば、日本でも安価に醸造できるのではないでしょうか。

外国産のワインはそんなに品質が悪いのでしょうか。外国の人たちは品質の悪いワインを飲んで満足しているのでしょうか。なぜ、品質の悪いワインを日本は輸入しているのでしょうか。そして、悪かろう安かろうと庶民に勧めているのでしょうか。

飲み物は、飲む人の口に合うかどうかが重要になります。高価なものがおいしいと感じるとは限らないのです。「アルパカ」のラベルに書いてある品質に関する説明は日本人が日本語に訳したものです。安物の粗悪品には似つかわしくない説明です。

ブドウの品質を調べるためのボジョレーヌーボに群がり、それを熟成させたワインを飲まない日本の庶民。外国産より高品質として、庶民が飲めないような高価なワインを作るワイナリー。日本人の醸造家たちは日本人を大切にしない人たちが多いようです。

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11 ワインの最適温度

ワインは、その種類によって美味しく飲める温度帯が決まっています。その温度帯を間違えると、「このワイン、なんだか美味しくない」ということになってしまうので注意が必要です。家でワインを飲む場合は、自分自身で温度の調整をしなければなりません。

 ① フルボディ(重めの渋い赤)

     15~18℃。冬場は室温で、夏場は室温から30分程度冷蔵庫で冷やすと
     ちょうどよい。

 ② ライトボディ(軽めの赤)

     10~15℃。冷蔵庫から出して、10~15分程度待ってからグラスに注
     ぐ。

 ③ 辛口の白とロゼ

     6~13℃、冷蔵庫でよく冷やしてから室温に出しちょっと置いてからグラ
     スに注ぐ。

 ④ 甘口の白とスパークリング

     2~6℃。冷蔵庫の温度までしっかり冷やすか、氷水を使い思いっきり冷や
     す。

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12 ワインの準備

 12-1 ワインを開ける作業

ワインの栓は「旧世界」の「ボルドースタイルワイン」と「ブルゴーニュスタイルワイン」、「新世界」共に変わりなく、スクリューキャップ・縦長のコルク栓・スパークリングワインのコルク栓があり、それぞれに適した道具があります。

新世界のワインによく用いられているのがスクリューキャップで、キャップを開ける際は、スクリューキャップを中心に回すのではなく、ボトルを中心にして回すとスムーズに開けられます。

一方の手でスクリューキャップのミシン目より下の部分を持ち、もう一方の手でボトルの底を持ちます。キャップを持った手を固定し、ボトルを時計まわりに回すと、カチッと音がしてミシン目が切れたらキャップを回して外します。

縦長のコルク栓は、ソムリエナイフの刃の部分を使ってボトルの首の部分に切れ込みを入れます。一周切れ込みが入ったら、下から上に向かって縦方向に切れ込みを入れ、刃先で切り取った上部を切り離します

スクリューをコルクの中心に刺し、回しながら差し込んでいきます。フックをボトルの口に引っかけ、外れないように軽く抑えながらレバーを持ち上げ、最後は手でゆっくりと抜いていきます。

スパークリングワインのコルク栓は、フタ周りの包装をはがします。タオルをかけてフタを親指で押さえながら、針金をゆるめます。タオルの上からコルクを持ちひねるようにしてビンの底を回し、「シュッ」と音をたてないように開栓します。

この「シュッ」という音を、シャンパーニュ地方では古くから「淑女の溜息」と呼んでいます。ちなみに、「ポンッ」と音をたてて開栓すると、ワインが吹き溢れる恐れがあるので注意してください。

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 12-2 ワイングラスの持ち方

ワイングラスの持ち方は国によってまちまちですが、日本ではステム部分(グラスの脚の部分)を持つのがよいとされています。ボウル部分を持つとワインが手の温度で温まってしまうことや、グラスに指紋がついてしまうためです。

ワインに氷を入れるのは、家飲み派に増えています。氷を入れることによりとても飲みやすい口当たりになるため、ワインが苦手という人でも「これなら飲める」という声が多いのです。

ワインに氷を入れると、氷が解けたときにワインが薄くなり水っぽくなります。氷を入れる場合は、糖と酸のバランスがとれたフルーティで濃厚なワインを選ばれることをお勧めします。

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 12-3 スワリング

レストランやバーなどで、ワイングラスをクルクルと回している人を見たことはありませんか。あのしぐさは「スワリング」と呼ばれ、ワインの味わいや香りに変化をもたせるためにおこなわれています。

スワリングには2つの方法があります。グラスを手に持った状態で回す方法と、グラスをテーブルに置いた状態で回す方法です。立食パーティーなどの場合はグラスを手にもった状態で回しますが、それ以外の場合はテーブルに置いた状態で回すと安定します。

スワリングをする際は、ワイングラスを反時計回りに回します。万が一、中身のワインを飛ばしてしまった場合、反時計回りであれば自分にかかり、相手に迷惑をかけることがないからです。

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 12-4 テイスティングのマナー

素人がレストランなどでワインを頼むときに注意すべきことは、メニューに掲載されている説明を読みながら選択するのではなく、「今からこういう料理を食べるんですが、この料理に合うワインはありますか」と聞くのをお勧めします。

食事会など複数人でワインを楽しむような場合は、料理が出る前にその会のホスト(主催者)が皆を代表してテイスティングすることがあります。これを「ホストテイスティング」といいます。

まず、ワインのボトルのラベル(エチケット)を見て、注文したワインに間違いがないかを確認します。グラスに少量のワインが注がれるので、グラスを傾けて不純物が入っていないかどうか、不自然な色をしていないかどうかを確認します。

テイスティングとは、注文したワインが正常な状態であるかどうかを、香りや味などで確認することを指します。問題なさそうであれば「こちらでお願いします」「美味しいです」と伝えます。

ワインを口に含んだ際、異常はないけれど自分の好みと違うような場合でも、ワインの取り換えをお願いしてはいけません。テイスティングは、あくまでワインに異常がないかどうかを確認するためにおこなうものであり、ワインの試飲ではありません

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13 ワインの味わい方

コロンブスがアメリカ大陸を発見した大航海時代以降、ヨーロッパ(旧世界)だけでなく、ブドウが美味しく育つ世界中の地域(新世界)でもワインがつくられるようになりました。そこで伝統的なワインを「旧世界」、革新的なワインを「新世界」呼びます

新世界でつくられているワインは、伝統的な製法に比べて革新的な方法でつくられることがあり、新世界のワインは徐々に注目を集めるようになりました。「旧世界」と「新世界」、どちらのワインが美味しいというわけではありません。

旧世界に属するワインの産地は、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、ポルトガル、オーストリア、ハンガリーなど。新世界に属するワインの産地は、アメリカ、チリ、ニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチン、南アフリカ、日本などです。

ワインと料理の相性は、結婚にたとえて「マリアージュ」と呼ばれます。 ワインは一緒に食べる料理によって、その風味や味わいが劇的に変化するお酒で、 渋すぎると思っても一緒に食べる料理によっては飲みやすいということが起こります。

ワインを選ぶ基本は「料理」に合わせることです。味の「重さ」を合わせるコッテリした料理には、濃くて重いワインが合います。また、サッパリした料理には、スッキリと軽いワインが合います。

肉や魚の色ではなく、素材とソースの全体的な色で合わせます。たとえば、鶏肉のクリーム煮には白ワイン、サーモンのトマトソースにはロゼワイン、 ビーフシチューには赤ワインというように合わせます。

香草を使った料理ならハーブの香りをもつワイン。バターたっぷりの料理は木樽の香りのリッチなワインを合わせます。逆に、揚げ物にはサッパリとしたワインで口の中がスッキリしますし、辛いものには甘口ワインを合わせることで辛さがまろやかになります。

困ったときはスパークリングが最適です。どんなワインを合わせたらよいかわからない場合は、スパークリングを選ぶのも正解です。スパークリングは合わない食材が少ないワインで、どんな場面でも料理に寄り添ってくれます。

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14 ワインの味を知る

ワインの第一印象を決めるのは、原材料に由来する果実味です。白ワインであれば酸味と甘み、赤ワインであればタンニンの渋みと酸味、さらに甘みが決め手になります。自分の好みが明確になればワインを楽しむ選択肢が広がります。

ワインの基本的な特徴を知ると、どんなワインが飲みたいのかを伝えられるようになります。飲んだうえでの表現も、的を射たものになっていきます。自分がどのような味のワインが好みか明確になることで、ワインを楽しむ選択肢が広まってきます。

好きなワインで体験を重ね、味覚になれることでその許容範囲は少しずつ広がっていきます。さらに相乗効果でもっとワインの事を知りたくなります。ワインを知ることは、自分を深く知って視野を広げることでもあるのです。

しかし、美味しいワインを飲みたいと、個人の力であなたに合ったワインを見つけるのは相当にむずかしいことです。銘柄ごとに知識を深めて最終的に目的の1本へ最短距離でたどり着くのも方法ですが、より重要なのは自分の好みを明確にさせることです。

あなたがワインの初心者であれば、最初は白ワインの甘口系が良いでしょう。スーパーやワイン量販店でも品揃えは多くありませんが、白ワインはすっきりした風味で飲みやすく、淡泊な食材にも合わせやすく、甘口から辛口まで幅広い飲み口のものがあります。

白ワインにも、すっきりとしたライトボディから、しっかりしたフルボディまであります。甘みの強弱で甘口と辛口に分かれ、酸味の強弱もあります。また、発酵を途中で止めて果汁の糖分を残すことで甘みを強調することもあります。

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辛口系のワインは、ブドウの実が発酵することによって糖分がほとんどアルコール分に変化したワインです。色や味は薄く酸味が強くなり、味がキリッ!と引き締まったワインになります。白ワインが物足りなくなったら赤ワインへ挑戦しましょう。

あなたが赤ワインにチャレンジするときはメルローのぶどうで造られたワインから試されると良いでしょう。赤ワインには、フルボディ、ミディアムボディ、ライトボディという種類がありますが、あなたの口に最も合うワインを探していきます。

ライトボディは、色が薄く飲んだ時に渋みが少ないサラッと軽い赤ワインです。ミディアムボディは、フルボディとライトボディのちょうど中間にあたり、渋みや酸味と香りがほどよいバランスのワインです。さらに、甘口から辛口までいろいろなものがあります。

フルボディは渋みが強く香りも味も濃厚で、色も濃い赤ワインです。黒ブドウの皮も種もその味わいを造る上で欠かせない構成要素となり、果実味や渋み、酸味、エキス分、アルコール度数などがどっしりとして、主張が強くズシッと重い感じがします。

ロゼワインの風味は特に好き嫌いの対象にならず、ロゼはある意味で万人受けするワインと言えます。飲み手を選ばないので、相手の好みに気を遣わずに選べます。味のタイプも辛口から甘口まで幅広く、どんな料理にも合わせることができます。

スパークリングワインは炭酸がしっかりあるので、キレがあって喉ごしのいいのが特色です。しかし、コルク片がワインの中に入っちゃったり、ワインが大量にこぼれたりという事故が付きまといます。くれぐれもご注意くださいとしか言えません。

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15 プロが勧める一品

高価ではなくてもそれなりのワインがあります。プロのソムリエがお勧めするワインをご紹介します

  15-1 フルボディ

ダークホース・ビッグ・レッドブレンド  価格:約1,280円

濃厚な味わいのワインを生産するアメリカ、スペイン、アルゼンチン、チリ、それぞれの産地のブドウを掛け合わせてつくられたワインです。ギュッと凝縮された濃厚な果実味と豊かなコク、そしてほんのりと感じられるスパイスの香りが特徴です。

使っている品種は、フルボディのワインに向いたカベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック、テンプラニーリョ、シラー、メルロ、プティ・ヴェルド、ジンファンデルの7種類です。

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  15-2 ミディアムボディ

コノスル・ビシクレタ・ピノノワール  価格:約788円

ピノ・ノワールというぶどうの赤ワインで、イチゴやチェリー、プラムに加え、樹木のようなスモーキーな香りを持ち、酸味とタンニンのバランスがよく、スパイス感もある豊かな味わいが特徴です。

鶏肉のローストのような肉料理や、トマトソースのパスタと相性がよく、とても飲みやすいワインです。

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  15-3 ライトボディ

キュヴェ・ボリー・ルージュ 750ml  価格:約1,091円

タンニンによる渋みがほとんどなく、開けた瞬間からまろやかな味が楽しめます。スッキリさわやかな酸味と軽い飲み口が特徴で、ふだん赤ワインを飲まない人にもオススメしたい1本。

塩コショウが効いた料理や、スパイシーな料理とよく合います。

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  15-4 白ワインの辛口

シャブリ・ウィリアム・フェーブ  価格:約2,479円

柑橘系の華やかな香りで、ひとくち飲むと口の中にたっぷりの果実感が広がります。クリーンでフレッシュさのあふれ、寿司飯や、天ぷら、唐揚げなど揚げ物と相性抜群です。

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  15-5 白ワインの甘口

ヴィッラ・ヨランダ・モスカート・ダスティ  価格:約1,500円

飲みごろ温度は6℃前後なので冷蔵庫でしっかり冷やして飲みます。フルーティーな甘みが強く、微炭酸で後味がスッキリし、飲み慣れない方でも飲みやすいワインです。チーズケーキといったチーズ系スイーツとも相性が抜群です。

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  15-6 スパークリングワイン

フレシネ・コルドン・ネグロ  価格:約1,126円

レモンやシトラスといった柑橘系のスッキリとした香りがし、泡立ちはとてもきめ細やかでクリーミー、辛口でキレのある酸味が特徴です。クセが少なく、どんな料理にも合わせやいため、アッサリとした和食にも付き合ってくれます。

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16 自分に合った選び方

あなたが自分に合ったワインを見つけることは難しいと言いました。でも、最短で最善と推薦できる方法をご紹介します。その前に、「13 ワインの味わい方」と「14 ワインの味を知る」をもう一度読み直して的を絞ってください。

あなたの好みは、赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、スパーリングワインのどれでしょうか。さらに辛口と甘口のどちらが好きでしょう。味の好みはフルボディ、ミディアムボディ、ライトボディのどれでしょうか。

あなたが「赤ワインのライトボディで甘口タイプ」を選んだとします。冷蔵庫で冷やしてからグラスに注いで、まず香りをかぎます。それから、一口含んだ舌でかき混ぜてからゆっくり飲み込んで下さい。このようにすると口の中にワインの香りが広がります。

飲み干したら、口の中に広がっている香りの余韻を確かめてください。そして、ゆっくり鼻から息を吐きだすとさらに香りを楽しむことができます。ここで感じたことが、あなたに合ったワインを見つけるための規準になります。

あなたがいま味わったワインの香りよりも、濃い香りが好きですか。舌で感じたワインの味より濃い味がお好きですか。濃い香りや濃い味は、もうちょっと濃い方が好きなのでしょうかでしょうか、それとも香りや味がうすいほうがお好きでしょうか。

ちょっと濃い方がよいのか、もう少し濃い方がよいのか、もっと濃い方がよいのか、濃厚が良いのか考えます。逆にちょっとうすいのか、もう少しうすい方がよいのか、もっとうすいのか、淡泊な方がよいのか、あなたがいま味わったワインを基準にして考えます。

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考えがまとまったらワイン売り場へ行きましょう。ワイン売り場のスタッフは、日々知識を増やそうと提案の腕を磨いている専門家です。その実力を発揮する機会を提供してくれるお客を持っているのです。

胸にソムリエのようなブドウの房のバッジをつけているスタッフは、ワイン輸入・販売業者を対象にしたワインアドバイザーの資格を持っている人です。このようなスタッフは「本日は何かお探しですか」と聞いてきます。この時がチャンスです。

「家で飲むワインを買っていこうかと思って…」と答えるだけで十分です。後の質問はスタッフが考え、答えを導き出してくれます。大切なことは、あなたが味わったワインの名前などの情報を規準にして好みと予算を伝えることです。

安物を買うから恥ずかしいなどと考えないことです。スタッフから何かしらの提案があり、それを基に選んで購入します。高いものを勧められたら断ればよいのです。大切なことは決して無理をしないことです。

勧められたワインンが気に入ったら、近日中に再度購入店を訪ねてそのスタッフに声をかけましょう。予算があれば、更に希望を述べて求めます。購入したワインが気に入らなければ、少々勇気がいりますがその理由を述べて違うワインを紹介してもらいます。

このような関係が持てれば、そのスタッフはあなたの専属ソムリエになり、その販売店はあなたのワインセラーと言える存在になります。あなたが知識を身に付けてソムリエになるよりも、最短で最善の方法と思いませんか。

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17 ワインと健康

 17-1 フレンチパラドックス

世界規模で狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の調査をおこなうため、世界保健機構(WHO)が1989年に組織したプロジェクト「MONICA」は奇妙な調査結果を報告をしました。

冠動脈疾患、とくに心筋梗塞で死亡する人は、アジアでは少なく欧米では何倍も多いと発表しました。欧米での冠動脈疾患による死亡率を日本と比べると男性では6~12倍、女性で5~13倍も高いことが分かったのです。

人口10万人当たり日本では男性33人・女性9人、中国では男性49人・女性27人の死亡に対し、アメリカでは男性182人・女性48人、イギリスでは男性380人・女性132人が死亡しているという調査結果がでました。

ヨーロッパ諸国で比較すると、奇妙なことにフランスは冠動脈死亡率が特に少ないのです。男女合わせてもドイツやオランダの1/2、イギリスやデンマークの1/3程度だったのです。

一般的に「バターや肉などの動物性脂肪の摂取量が多いと心疾患による死亡率が高く」なります。欧米諸国の中でも指折りといわれるほど動物性脂肪を摂取しているフランスのみが当てはまらなかったのです。

1992年にフランスボルドー大学セルジュ・レナウド博士の論文が世界を驚かせました。フランス人は高脂肪食を日々取っているのに、心疾患が少ないのは毎日飲んでいる赤ワインのおかげである

この説を補強するように、日本の国立健康栄養研究所とサントリーが1994年に「赤ワインには動脈硬化を予防する効果がある」とする共同研究内容を発表し、英国の医学誌ランセットに掲載されました。

世界規模で狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の調査と結果と、食生活と医学統計上の定説との食い違いがあるので、「フレンチパラドックス(フランスの逆説)」と言われました

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 17-2 パラドックスの解明

ジョンズ・ホプキンス大学医学部の研究者たちは、キャンティ地方の約800人を実験の対象としてワインの影響を調査しました。誰もが少なくとも3世代は赤ワインを飲み、結果をゆがめる可能性のあるサプリメントを誰も摂取しないイタリアの地域でした。

研究者たちは「キャンティ地方における老化」というタイトルの研究を1998年から2009年まで進め、3つの小さな村落の60歳以上の人々の尿の中のレスヴェラトロールの量を毎日検査しました。

9年の調査の間にお年寄りたちは亡くなったり、病気にかかったりしましたが他の地域とまったく同じような状態でした。少なくともワインによって摂取されたポリフェノールの体内濃度と、炎症マーカー、循環器系の病気、ガン、死亡率一般との間にはいかなる相関関係も存在しなかったのです。

フランス南部の住民が、アメリカ人と同じよう食習慣にも拘わらず平均寿命がより長いのは、1日に1杯飲む美味しい赤ワインによるものだという、「フレンチパラドックス」が誤っているということをこの研究は証明したのです。

一方、フランスボルドー大学の研究チームは65歳以上のおよそ3800名を対象に、アルコール性認知症やアルツハイマー型認知症のリスクや死亡率との関係を3年間にわたって調査しました

赤ワインはブドウの皮も一緒につぶして発酵させます。この果皮には渋みのもとになるタンニンやフラボノイドと呼ばれる色素が含まれ、これらをまとめてポリフェノール化合物といいます。

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ポリフェノールは植物由来の抗酸化成分で、活性酸素によるコレステロールの酸化を抑える効果が期待できます。コレステロールの酸化は生活習慣病の原因とされるので、抗酸化成分の摂取は健康づくりの大切なポイントと言えるのです。

研究で注目されたのが、赤ワインに含まれるレスヴェラトロール影響です。赤ワインはアントシアニンやタンニン、レスヴェラトロール、カテキンといったポリフェノールが豊富で、アルコールと一緒だと体に吸収されやすいのです。

脂肪分を多く摂取すると血液中に悪玉コレステロールと呼ばれるLDLが増え、これが酸化するとコレステロールを血管壁に付着させます。赤ワインに含まれるポリフェノールが、LDLの酸化を防ぐことで動脈硬化が進まないことが明らかになったのです

さらに、ポリフェノールのレスヴェラトロールは認知症の予防に役立つとされ、近年注目を集めています。レスヴェラトロールはピノ・ノワールというぶどうを使ったドイツワインに最も多く含まれています。

数あるポリフェノールの中でも、「レスヴェラトロール」が主役であることが判明しました。このようにして、フランス人の脂肪摂取は多いのに心臓疾患で倒れる人が少ないというフレンチ・パラドックスの謎が解き明かされたのです

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 17-3 ワインの酸化防止剤

ワインには亜硫酸塩が添加されています。亜硫酸塩にはいくつかの種類があり、二酸化硫黄、亜硫酸Na、ピロ亜硫酸Na、などがあり、いずれを使っても「亜硫酸塩」と表示されます。

ワインは、フレッシュなブドウを絞り時間をかけて果汁そのものを発酵させ、水や熱は加えずに造られています。ワインも単にブドウを発酵させただけでは、時間の経過とともに茶褐色になり、酸っぱいにおいのするお酒になってしまうおそれがあります。

ワインの場合は微生物の働きを抑えたり、酸化を防いだりするために醸造過程で何回かに分けて亜硫酸塩が加えられます。亜硫酸塩はワインの醗酵過程で微量ながら生み出される物質でもあり、ワインやドライフルーツなどの酸化防止剤として使われています。

日本は海外に比べると食品規定がとても厳しく、食品に酸化防止剤が使用されている場合は、わかりやすく表示することが義務付けられています。酸化防止剤の添加可能量はフランス等より遥かに厳しい状態です

日本製のワインには酸化防止剤(亜硫酸塩)と明記されています。外国は表記が義務付けられていないので明記されません。輸入ワインを日本へ持ち込む場合は、輸入業者がボトルの裏側に日本語のラベルを張り付け、酸化防止剤の添加量などを明記しています。

ワインは適量を飲むことで、ワインに含まれるポリフェノールが美肌や健康に効果をもたらすと言われてきました。一方で、ワインを飲むと、頭痛を起こす人がいるのも現実です。ワインを飲んで起こる頭痛には、ふたつの原因が考えられています。

ひとつ目は「アミン」という成分で、チーズや納豆、ヨーグルトなどにも含まれています。なかでもワインは高濃度のアミンを含んでいるので、科学成分に敏感な体質の方の場合は、アミンが原因となって頭痛を引き起こしてしまう可能性が高いと言えます。

ふたつ目は酸化防止剤の亜硫酸塩です。ドライフルーツや煮豆、かんぴょうなどにも使用され、酸化防止剤が頻繁に使われる食品やワインを口にしたあと、頭痛を起こす場合があるそうです。

亜硫酸塩が脳や神経さらに血管に作用して、個人差にもより頭痛を引き起こすこともあると言われます。ワインを飲んで起こる頭痛は上記のふたつが理由なので、酸化防止剤が頭痛の直接的な原因とは一概に言い切れません。

いずれの場合も頭痛を感じたときは一種の拒否反応であり、「もうこれ以上摂取できない」という体のシグナルでもあります。頭痛を感じたときは、少しお水を飲んで気持ちを整えるか、飲むのを控える方がいいと思われます。

酸化防止剤はワインに限ったことではなく、ドライフルーツや漬物、魚介加工食品などその他さまざま食品に含まれており、素材本来の味と品質を保ってくれているのです。酸化防止剤については敏感になりすぎず、ワインをおいしく楽しむべきでしょう

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 17-4 ポリフェノールの疑問

赤ワインにはポリフェノールが多いから体に良いと考えていました。主にテレビや雑誌からの情報です。ポリフェノールは、フェノールという物質を多数持っている化合物の総称で、ポリは多数と言う意味ですから、多数のフェノール化合物という意味になります。

ポリフェノールは特定の物質ではなく、構造も大きさも様々な物質の集まりで、カテキン、イソフラボン、アントシアニン、タンニンなど5千種類もあると言われます。植物性の食べ物で、ポリフェノールが含まれていないものはないほどです。

赤ワインにポリフェノールが多く含まれますが、ポリフェノールの測定方法に問題があるのです。ポリフェノールは約5千種類もあるのですからすべてを測定したわけではありません。ポリフェノールの構造が分かり安定しているものの一部を測定しています。

赤ワインにポリフェノールが多く含まれていても、胃腸の消化液でどのような影響を受けるのか、血液中にどの程度吸収されるのか、血液中から細胞へどの程度入り細胞内でどのような働きをしているのか、医学的にはっきり分かっていないのです。

ポリフェノールは、Aという活性酸素をBという活性酸素に変化させてもいます。この現象だけを見ると、ポリフェノールは活性酸素を作っているとも言えます。最終的にポリフェノールは活性酸素を、過酸化水素水と酸素に変化させて無害化しますが、過酸化水素水をヒドロキシラジカルという活性酸素に変えることもあります。

赤ワインにポリフェノールが多く含まれているので、動脈硬化になりにくく心臓病の予防になる。だから赤ワインは体に良いというのは、眉唾ものです。動脈硬化になりにくいのは赤ワインのポリフェノールだけで決まるものではありません。

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 17-5 誰もが気にすること

フランス国立がん研究所は、赤ワインを常飲する習慣が、咽頭がん、食道がん、乳がんなどの罹患率を飛躍的に高めるとしています。赤ワインが、他のアルコール性の飲み物よりも利点を持っているという証拠はなく、毎日コップ一杯の赤ワインを飲むことで口と咽喉癌の発症を168%増大させうると警告しました。

国を挙げて毎日飲む量がどんなに少なくてもあなたの健康に良い影響は与えないとして飲酒の抑制を進めた結果、1900年度のフランス人の平均寿命が男性は72.5歳、女性は81歳でしたが、2016年度に男性は79.3歳まで、女性は85.4歳まで上昇しました。

赤ワインに含まれているポリフェノールは、時間と共に歯の表面に蓄積され着色汚れの原因となります。これを予防するには、ワインを飲んだ後は水で口をゆすいで歯に付着した成分を洗い流します。

赤ワインの飲用直後は、口中が酸性になり歯の表面のエナメル質がもろくなり、歯ブラシでゴシゴシこするとエナメル質が酸で溶ける酸蝕歯になる恐れがあります。飲酒したら10~15分後に水で口をゆすいでから、柔らかめのブラシで磨くのがお勧めです。

2004年12月に鹿児島大学病院内科の納光弘教授の「痛風はビールを飲みながらでも治る(小学館)」が痛風の常識を変えました。ご自身が痛風になったことで自らの体を実験台にして定期的に採血と尿PHを計測し、すべてをデータ付きで解説されています。

実際に薬の効果がどれほどで高尿酸血症のタイプ次第でどう効くのか実験した科学的なデータを示され、尿酸値を上げないアルコールの定量は、日本酒1合は銚子1本半、ビールでは約750ml、焼酎でお湯割り2杯、ワインはグラス2杯が適量としています

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九州大学第二内科の久山町における研究で、酒を飲まない人に比べ1.5合程度の日本酒を飲む人は脳卒中の発症率が低い。少量の飲酒は善玉コレステロールであるHDLコレステロールを増加させると言う結果が出ています

焼酎の好きな人が無理にビールに変えることはないでしょうが、ビールの好きな人は好きなものを適量飲んだほうがいいに決まってます。そのほうが、ストレス解消にはいいからです。

米疾病管理予防センター(CDC)によれば、1杯の量についてはビールで350ml、モルトリカーで240ml、ワインで150ml、アルコール度数40%の蒸留酒では45mlとなっています。

酸化防止剤が入っていないアルコール性飲料は焼酎です。平成14年11月1日に「本格焼酎」の定義が確立し、麹を使用して原料は穀類(麹も含む)・いも類(麹も含む)・酒かす・黒糖及び穀類、芋類を主原料とするその他原料とし、単式蒸留器で蒸留したもので水以外の一切の添加物を加えてはいけないことになっています。

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18 私のワインの楽しみ方

私は子どもの頃に山ブドウを摘んでぶどう酒を造り、家族でそれを飲むのが楽しみでした。山ブドウの実を潰してぶどうジュースを造り、それを一升瓶に詰めて保存するだけですから誰にでも造れました。

ぶどうの実はつぶれてしまっても皮がやぶけても、茎や葉が少々混じってもそんなことは気にもかけません。中には少々腐った実も混じっていたことでしょう。とにかく集めたものを絞ってブドウジュースを造っていたのです。完成した赤ワインはフルボディです。

ワインが生まれた頃は、黒ぶどうの実が摘まれて茎や葉も混じった状態で大きな容器に入れられ、足で踏むことで果汁が絞られました。実がつぶれたり皮がやぶれたり、茎や葉が少々混じっているようなブドウジュースでできた安物こそ、本物のワインなのです。

エジプトのファラオもクレオパトラも、赤ワインのフルボディを飲んでいました。デカルトもカントも、ソクラテスも飲んでいたのは赤ワインのフルボディです。ワインの価格が高ければいいものとは限らないことはこれでお分かりだと思います。

わたしは年金暮らしですから高価なワインを買うことはありません。消費税が10%になるまで気に入っていたのは、メルシャン株式会社のフルボディとミデアムボディの間に位置する「ボン・ルージュ」です。量販店で1本の価格も500円以下で値上げに備えて少々買い置いていました。

ボン・ルージュは、海外からぶどうジュースを輸入して発酵させたものと国産ぶどうを発酵させたものをブレンドした製品ですが、海外のぶどうジュースは安いのに増税に伴い便乗値上げをしました。

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そこで、1本が500円以下の海外製のフルボディかミデアムボディを探していると、やっとこれこそ口に合うフルボディの一品にめぐり逢いました。チリのサンタ・ヘレナ社が製造している「アルパカ」のフルボディで、輸入者はアサヒビール株式会社でした。

地理の名門サンタ・ヘレナ社が2018年に醸造したスパイシィーさと濃厚な果実味が特徴の個性あるワインで、アルコール度数は13%、14~17度に冷やして飲むのがお勧めです。

アルパカには白ワインやロゼワイン、赤ワインのミデアムボディもライトボディもありますが、どれも1本の定価が660円でも量販店やスーパーマーケットへ行くと500円以下で購入できます。私は1日おきに3回に分けて1本を飲み干しています。

カマンベールチーズは脂肪分が高くこってりしているため、渋みのしっかりした赤ワインがよく合います。少々塩分が多めですが、缶詰めで売られているサバの味噌煮は、油っけが多く魚の旨味が凝縮されて赤ワインと相性抜群です。

カマンベールチーズは海外製品と同じ品質で良いものを、ワイン業者と同様に手間暇かけて高品質にすれば我々からお金をむしり取れると考えているようです。輸送費がかかる海外産のカマンベールは安くても美味しいので、それなりの品質で満足するというのに。

どんなに高級品でも口に合わなければ価値はありません。高ければいい、必ず美味しいというわけではないのです。

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謝辞:日本ソムリエ協会認定ソムリエの、出嶋邦彦・柳原亮・石井賢・棚原淳・高木勇生の各氏が監修されている株式会社ウェブライダーの「美味しいワイン」と、サッポロビール株式会社とサントリー株式会社、ワインの製造・販売の岩崎醸造株式会社のサイト、ワインを楽しく飲める本(原子嘉継、㈱PHP株式会社)を参考にしました。ありがとうございます。

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