はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第60章 緊急時以外薬は不要

いつも医師が見るのはパソコンの画面で、診断基準は検査データのみ。別の不調があれば患者の顔色を見ることなく、では検査しましょうというだけです。あなたは体内の百人の名医に気づかず、薬を飲み医者の言うことを守れば健康になれると錯覚しています。

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1 医者は薬を勧める

 1-1 私の体験談

10月28日に後期高齢者健康診断で検査を受けると、最高血圧が154で、測りなおしても152です。「血圧が高いですね。いつも高いのですか」「いいえ、自宅で測ると117前後ですよ」「じゃあ、もう一度測りますね」。結果は151です。

「自宅ではいつごろ測っていますか」「寝る前ですから8時50分ごろです」「数値はいつも同じですか」「ええ、130以上のことはありません。なんで今日はこんなに高いんだろう」。他の検査を済ませて帰宅しました。

血圧測定結果に疑問があるので自宅の血圧計を出して測ってみると、最高血圧が127最低血圧が71でした。2015年8月25日に購入したテルモのESーW100という血圧計です。まだ7年しかたっていないので狂っているとは考えられません。

健康診断で血圧を測定したのは30代の看護師さんです。美形とまでは言えなくとも十人並みの容貌の女性でしたが、おじいちゃんの胸の鼓動が高鳴るほどでもありません。かといって、検診センターの血圧計が狂っているはずもないでしょう。

20年ほど前に自宅で測定した血圧が220を超えたことがありました。血管が切れるのでないかと大騒ぎしましたが、220ぐらいで血管が切れたら、高血圧の人はすべて死んでしまいますよと笑われたことがあります。血管はかなり丈夫なようです。

血圧が220を超えたときに循環器病院で、ジルチアゼム塩酸塩徐放カプセル100mgの服用を勧められました。錠剤で14日分を受領しましたが、2日分を飲んで血圧が下がったことを確認するとごみ箱へ捨てました。

二週間後に検査のため循環器病院を訪れると薬を出しますといいます。血圧が下がったのでいりませんと答えると、薬は全部きちんと飲んでください。悪化しても知りませんよといいます。そんな馬鹿なことがあるかと薬の受領を拒絶しました。

宇多川久美子薬剤師の「薬で病気は治らない」を読むと、私の判断は間違いでないことが分りました。薬はその時の症状を抑えるもので、長期間飲み続けるものではなかったのです。

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 1-2 メタボ検診の問題

宇多川久美子薬剤師は、薬を使わない薬剤師として活動されています。「薬を使わずにどうやって病気を治すの」とよく質問されるそうです。多くの方は「薬を飲めば病気が治る」と信じているようです。でも、本当にそうでしょうか。

医学は日々進歩しているはずです。毎年、たくさんの新薬が承認され、すぐれた医療技術が次々と世の中に出てきます。ほんとうなら、病気が治って健康になる人が増えていくのが当然でしょう。

私自身も、担当医の指示のままに「これは新しく発売された、とってもよく効くお薬ですよ。副作用も少ないと言われています」と、患者さんにどんどん新薬を出していました。

もちろん新薬が出るたびにそれがどんなに良い薬なのかは、製薬会社の勉強会に出席したり、資料を読んだりして勉強もしていましたし、その薬を飲むことでみんなが健康を取り戻せると信じていたのです。

ところが、病気を抱える患者さんの数も医療費も増加の一途をたどるばかり、1人ひとりの患者さんが飲む薬の種類や量も、年を追うごとに増えていく一方だったのです。

医学が進歩すればするほど患者が増え、薬漬けになっていく…目の前に立ちはだかる矛盾は、薬剤師である私にとって、徐々に無視できない大きな問題となっていきました。

2000年に厚生省(現、厚生労働省)が「生活習慣病を予防するために生活習慣を改善しましょう」 というプロジェクトをスタートさせました。みんなが健康になれば、増大していく医療費を抑えることができるだろうというわけです。

そんな流れの中で「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群・代謝症候群)」という病名と「メタボ検診(特定検診・特定保健指導)」が登場しました。深刻な事態になる前に、食生活や運動習慣などの日常生活を改善すればいろいろな病気を予防できます。

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 1-3 自覚しない患者さんたち

ところがメタボ検診が義務化されたのをきっかけに、薬を服用する患者が一気に増えていくことになってしまったのです。メタボリックシンドロームの診断基準が「数値」として決められ、数値が決められると数字のマジックが生じることになります。

注意を喚起しなければならない人を見逃さないため、多少低い数値でも「要経過観察」や「再検査」と言った判定が出るようになり、それまで健康とされていた人が病人と診断されるケースが急増してしまったのです。

問題となるのは内臓脂肪で、外からでは皮下脂肪か内臓脂肪かわかりません。メタボ予備軍の場合、内臓脂肪量や糖尿病・高脂血症・高血圧症などに対する積極的な治療により生活習慣病のリスクを下げるとされているのですぐ「薬」となってしまいます。

メタボリックシンドロームの診断基準が数字として決められた結果、患者数が急増し医療費もますます増大していくことになってしまったわけです。まさに、数字のマジックと言ってもいい現象です。

メタボ検診の本来の目的を考えれば投薬に踏み切る前に栄養指導や生活指導などがしっかり行われるべきで、メタボ検診で「要経過観察」や「再検査」と判定された人に対する有益な指導も実施されています。

ところが、看護師や栄養士がどんなに熱心に指導しても、大多数の人はなかなか自分の健康と結び付けて考えることができず、ピンとがこないことが多いようです。つまり、自覚できないのです

病院での栄養指導や生活指導には診療報酬点数がほとんどつきません。そのため多くの医師はメタボ検診の結果を見ながら「生活習慣を改めてくださいね」とか「少しやせないとまずいですよ」などと助言はします。

そして「とりあえず、軽い薬を出してようすを見ましょう」と薬を処方してしまうのです。それは私たち薬剤師でも同じです。

現場で1人ひとりにきちんと薬の話をしたり日常生活で注意すべきことをお話ししたいと思っても、それでは大勢の患者さんを長時間またせて迷惑をかけることになってしまいます。まして、医師が処方した薬について薬剤師があれこれ言えるはずがありません。

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 1-4 病院教と薬信仰

白衣を着た薬剤師として患者さんの前に立つ限り「こんなにたくさんの薬を一度に飲んでも大丈夫だろうか…」と不安に思いながらも、自分の思いとは裏腹に「飲み忘れのないよう、しっかり飲んでください」と言わなければなりませんでした。

それに加えて、患者さん側の問題も浮き彫りになってきました。薬を出してもらったことで安心してしまい、日常生活の見直しまでしてくれる人は、本当に残念なことですがきわめて少数派なのです。

もし、検診で何らかの病気が発見され、すぐに治療が必要とされるほどの検査結果がでたのなら薬を服用することも必要です。でも、薬を飲むだけでは意味がありません。薬を飲んでとりあえず数値を下げつつ、根本的な治療を行わなければ健康を取り戻すことはできません。

ところが多くの人は、病院でもらった薬を飲んでさえいれば、必ず健康になれると思い込んでいるのです。まるで「病院教」「薬信仰」の信者そのものです。

その結果、生活習慣を見直して、薬を服用せずにすむ健康な人が増えるどころか、逆にメタボ検診をきっかけに病院で薬を処方され、服用を開始する病人が急増していくことになってしまったのです。

しかもそうなると、言葉は悪いけれどあなたは医師にとって一生のお客様…エンドレスの関係が続くことになってしまうのです。薬はそのほとんどが自然には存在しない合成化合物で、人の身体にとっては「異物」だということです。

あなたは、医師が処方してくれた薬は絶対安全だと思っていませんか。そのせいか、自分が飲んでいる薬がどんな成分の薬なのかも知らないし、自分が飲んでいる薬の名前も知らない人が多くいます。

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 1-5 薬の副作用

薬を服用して血圧が下がれば、医師から「これで安心ですね」と言ってもらえるし、患者さん本人もホッとするでしょう。しかし、効きがいい薬ほどどこかで悪さをしていることは確実で、副作用のない薬なんてありません。

では、副作用とはいったいどんなものなのでしょう。そのメカニズムにはいろいろあるのですが、ごく簡単に説明しておきましょう。薬を飲むとその成分は身体を巡りますが最後は酵素で分解されます。

たとえば、血圧の薬の成分もある程度の時間が経つと、肝臓から出る酵素によって分解され手無害なものになり最終的には体外に排出されます。この解毒作用は人によってかなり差があり、薬の副作用がいつどんな形で現れるかは人それぞれなのです。

かっての私は、「きちんと薬を服用することこそが患者さんのためになる」と信じて、飲み忘れの多い人に対しては「薬を飲んだらカレンダーに○をつけましょう」とか「薬をもらったら1日分ずつ袋分けしておくと飲み間違いや飲み忘れを防げますよ」などとアドバイスしていました。

また、たとえば医師に血圧の薬を処方された患者さんにこう話しかけていました。「血圧の薬は一生のお付き合いですからね。しっかり飲んでください。いっしょに、ゆっくりお付き合いしていきましょう」。患者さんは笑ってこう答えます。「先生にもそういわれたわ」

それを私は当たり前のことだと思っていました。でも、ふと思ったのです。「一生のお付き合いということは、結局、病気を治せないということなんじゃないかしら…」。そして、私は少しずつ疑問を感じるようになっていったのです。

メタボ検診を義務化した背景には、まず検診でメタボリックシンドロー予備群を発見し、生活改善をしても数値が下がらなかったら薬にしましょうという大前提があったはずです。

でも、現実には、少しでも「要経過観察」や「再検査」の数値が出たら「まず軽い薬から」と処方されることが圧倒的に多いのです。薬を出さずに生活改善の大切さを熱心にで説明して「一か月後にまたいらっしゃい」と言う医師はほとんどいないでしょう。

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2 薬は毒と同義語

1995年の阪神淡路大震災をひとつのきっかけに「21世紀の医療・医学を考える会」を発足された岡本裕医学博士は、薬はあなたの健康を損ないこそすれ、健康を増進することはないと断言します。

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 2-1 薬を飲まないから長生き

「なんだか体の調子が悪い…」そんなときどうしますか?答えを聞くだけで、私はその人が「元気で長生きする」か「不健康で早死にする」か、おおよその見当がつきます。「すぐ薬を飲む」こう答えた人は要注意です。

薬はあなたの健康を損ないこそすれ、健康を増進することはないからです。つまり「薬に頼らない体」=「薬がいらない体」をつくることが「元気で長生き」を可能にする大きなポイントなのです。

「薬がいらない体」とは言い換えれば「免疫力(自己治癒力)が高い体」です。そんな体をつくっていけば、今現在薬を飲んでいる人は、すぐさま薬と決別できます。そして今現在薬を飲んでいないという人は、今後の一生「薬と縁のない人生」となるでしょう

ハッキリ言いましょう。長生きする人は体が丈夫だから長生きするのではなく、必要最小限しか薬を飲まないから長生きするのです。反対に、必要のない薬を飲みすぎたために健康寿命を縮めてしまったといえるケースも多々あるのです。

薬を飲めばたしかに辛い症状はたちどころに消えるでしょう。たしかに薬は目先の症状を消しても結果的には体の免疫力を下げてしまうのです。このように体本来の力を阻害するのが薬のもっとも恐ろしいところです。

薬の副作用で死んだりしないためにも、まずはあなたのなかの「薬=安全でいいもの」という思い込みを、「薬=危険で悪いもの」と書き換えてしまいましょう。それだけでも、元気で長生きできる確率は格段に高まるはずです。

「薬」と「毒」は反対語ではなく、同義語なのです。私たち医者は薬を処方しますが、薬を全面的に肯定しているわけではありません。毒を以て毒を制するという、とても危険な綱渡りのようなことをやっているのです。

だからと言って「薬」を「毒」と言ってしまえば身もふたもありませんし、言うほうも気が引けます。だからさも「いいもの」であるかのようなイメージを与えるように「毒」を「薬」とうまく言葉を置き換えているだけなのです。

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 2-2 腕に自信のない医者

ちなみにほとんどの医者は義理堅い性分のせいなのか、お上品なのか、中々悪い事実をストレートに述べようとはしません。メディアも立場上、やはりスポンサーに気を使わなくてはいけませんので、これまたなかなか事実を述べることができません。

薬のCMの多さからも、製薬会社が巨大なスポンサー群であることが分ります。では、誰が事実を言えばいいののか。こういった意味での、患者さんの視点で、ありのままを述べる代弁者も、時には必要ではないでしょうか。

人の体は千差万別ですから、どんな名医でも薬の効果や副作用を100
%事前に予測することはできません。薬をだすことは、医者にとってギャンブルみたいなものです。

薬をいくつ出しているか、これだけで医者の力量が簡単にわかります。処方内容を見なくても、薬をたくさん出す医者にいい医者はいないとみて間違いありません。能のない医者ほど薬をたくさん出したがります。

一言でいえば、自分の腕で患者さんを治療する自信がないからです。それ以外の理由があるとすれば、単も儲けたいからにほかなりません。薬が多くなるのは、患者さんが訴えた症状の数の分だけ、あるいはそれ以上に薬を処方しているだけだからです。

もちろん、そんな医者をありがたがる患者さんにも問題があります。怠慢な医者と無知な患者、この組み合わせが溢れすぎている日本の現状を生んでいるのです。自信のない医者は、薬を出しておけば分だと考えます。

なぜなら、たまたま薬の効果が出ればラッキーですし、たとえうまく効果がでなくても、あるいは薬の副作用で少々患者さんが苦しんだとしても薬のせいにすれば済むからです。

みなさん自身や家族のカタガタガ医者にかかっておられるなら、まずは1日に処方されている薬の種類を数えてみてください。5種類以上の薬が処方されていれば、自分の腕に自信のないちょっと危ない医者かもしれません。

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 2-3 ヤブ医者と善良な医者

薬を飲むことにはものすごいリスクを伴う。ここまでの話で、大体わかっていただけたと思います。薬はあなたの健康をそこなうことはあっても健康を促進することはありません。だから常用は断じていけないのです。

「胃腸薬くらいなら大丈夫だろう…、害なんてないはず」といった例外も認められません。次のようなケースを知ったら、今後おいそれと胃腸薬など飲めなくなることでしょう。

元気に暮らしていた78歳のおじいさん、少し胃腸の調子が悪いと訴え近くの開業医にかかりました。開業医は急性胃炎と診断して、ごく普通の胃腸薬(シメチジン)を処方しました。

おじいさんは早速その薬を服用し始めました。ところが翌日から、わけのわからないことを言い出したり、奇声を発したりし始めました。まわりは、急に認知症が進んでしまったのかと騒然となりましたが、怪しいとにらんだ胃腸薬をやめると、たちどころに症状はなくなり、事なきを得ました。

医師の世界には「新しい薬を飲みだすと、何が起こるかわからない」という格言があります。それほど新しい薬を処方する際は要注意なのです。なぜ「ごく普通の胃腸薬」がそんな状態を引き起こしたのでしょうか。信じがたいかもしれませんが、ここが薬の恐ろしいところです。

シメチジンはもちろん胃に作用する薬なのですが、実は頭、つまり神経や精神にも作用するのです。とくにお年寄りや腎臓の機能の低下した人などd少し解毒能力の弱い人が安易に服用すると、まれに「せん妄」や「痙攣」が起きたりするのです。

こうしたことを政府はあまり公表しませんし、処方する医師のほうもリスクに無頓着すぎるケースが大半です。たかが胃腸薬であっても、薬は薬、けっしてあなどってはいけないのです。

だからこそ、できる医者ほど薬を処方しないのです。ただ、こうした善良な医者たちはおうおうにして「ヤブ医者」のそしりを受けがちです。薬を安易にたくさん、気前よく出してくれる医者が「いい医者」だと誤解している患者さんがたくさんいるからです。

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 2-4 血圧が高いは問題ない

血圧が高くなったら降圧剤を飲まなければいけない。現にあなたがかかっている医者もきっとそういうでしょう。でも、はたしてそれが正しいのでしょうか。もちろん、血圧の上の値がつねに200を超える場合などはたしかに少しは血圧を下げたほうがいいかもしれません。

期間限定で降圧剤を服用するのも可ですが、ストレスをうまく回避したり生活習慣を改めたり、自然な形で血圧を下げるのが望ましいでしょう。その程度の気配りで十分だと私は考えています。

その根拠として指摘したいのは、血圧が上がることはそれほど恐ろしい事態ではないということです。言い換えれば体は何らかの理由があって血圧をあげているのだから、無理やり下げる必要はないということです。

では、なぜ血圧が上がるのでしょう。私たちの体の隅々にまで酸素や栄養素が送られるのも、二酸化炭素や老廃物が排出されるのもスムーズな血流のおかげです。加齢などにより血管が細くなれば、その分だけ血液を押し流す力も高くならないと、スムーズに流れなくなってしまいます。

つまり血圧が上がるということは、体が血流をスムーズに保とうとしていることから生まれる現象なのです。そんな状況でいきなり薬で血圧を下げてしまうとどうなるでしょう。

当然いきなり血流(とくに肝心な毛細血管の血流)が悪くなります。血流が悪くなればもちろん体温も下がりますし、栄養素の取り込みも老廃物の排出も滞ってしまって、自己治癒力(免疫力)もみるみる低下してしまいます。

これでは、せっかく血の巡りをよくしようとしている体に対して、あまりにもひどい仕打ちと言わざるを得ません。私たちの体はけっこう賢明です。全身の血の巡りを悪くすると、健康度(自己治癒力)を低下させてしまうということとをよくわかっています。

だからこそ、血圧をあげてでも血の巡りをよくしようと、鋭意努力してくれているのです。だからこそ降圧剤を飲むことは、体からしてみれば「余計なお世話」なのです。

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にもかかわらず、国からのお達しは「血圧を下げなさい」の一点張りです。具体的に言えば65歳未満は上の血圧を129以下、下の血圧を84以下に、65歳以上は上の血圧を139以下、下の血圧を89以下にしなさいというのです。

しかし、もともと血圧が高くても何ともないお年寄りに降圧剤を処方し急に上の血圧を139以下、下の血圧を89以下に下げたらどうなるでしょう。

当然、いきなり全身の血の巡りが悪くなるわけですから、元気がなくなり、食欲もなくなり、人によってはボケ(認知症)の症状が出てくることもあります。

しかし、私に言わせれば、こんな症状が出てしまうのは何ら驚くことではありません。血圧が出てしまうまくいっていたところを、強制的かつ急激に血圧をさげてしまうのですから、当然の結果なのです。

国際高血圧学会が出した基準も根拠がないわけではありません。それは「血圧を下げたほうが心筋梗塞になる確率が少なくなる」という根拠で、確かにそのとおりです。

この根拠には、続けて次のような但し書きがつかなければ公平ではないからです。「血圧を下げると、トータルで死ぬ確率は高くなります」

血圧が多少上がっても悪阻るるに足りません。私が患者さんに言っているいる基準そしては、上の値が200以下を保っている限りは、体が血流を調整しているのだな」考えればいいのです。

ただ、血圧をあげている何らかの原因があるはずですから、ストレスへの対処を含め、生活習慣を見直し、自助努力によって血圧を自然に下げることは不可欠です。

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3 自己治癒力を高める

 3-1 自助努力の必要性

これだけ言っても、まだ「病気には薬がつきもの」という考えが消えませんか。もし、そんな方がいらっしゃったならここで質問です。健康に薬はつきものでしょうか。これは[NO」ということで異存はないでしょう。

では「未病」に薬はつきものでしょうか。これも考えるまでもなく「NO」なのです。「未病」というのは病気の手前、まだまだ十分自分の力で健康に戻れる状態を指しています。つまり「未病」の段階では、薬は不必要だということです。

仮にあなたが、検診で「メタボリックシンドロークム」と言われたとしましょう。そう言われた途端、きっと心なしか、自分が病人になったような気がするはずです。「さそっそく医者にかかって薬を揉まなくては」と思う方もいらっしゃることでしょう。

でも、早合点はいけません。メタボリックシンドロークムは、本来「病気」ではなく「未病」と呼ぶべきだからです。平たく言い直せば「ただの食べ過ぎ+運動不足」。ただそれだけのことです。

では、どうすればいいか。もう、分っているははずです。少し心を入れ替えて、「ただの食べ過ぎ+運動不足」を自分で解消すれば、それで解決することなのです。

たとえば、膵臓にはインスリンをせっせとつくって分泌してくれる「ランゲルハンス細胞」という細胞があります。これも、ご主人であるあなたが自助努力をしないでまったくの薬まかせになれば、自分の努力しなくてもいいのだと思い込んでしまいます。

幸い、コレステロール値はみごとに低下したまま(…いや、実は低下しすぎているのですが…)だとあなたは油断したままです。コレステロールは低すぎるのも問題です。正常値をはるかに下回ると、ガンになる可能性が高くなります。

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 3-2 薬のやめ方

医者であれば必ず知っている「ドクターズルール425(医師の心得集)」にもこんなフレーズがちゃんとのっていて、皆さんの後押しをしてくれています。中止して具合が悪くなる薬などほとんどない」。

いみじくも医者で去れば、間違っても「ドクターズルール425)」を知らないなんて言えるはずはありません。もしいたら、聖書を知らないキリスト教徒のようなものです。

「お医者様」に飲みなさいと言われうと、中々それを突っぱねることのできン歳患者心理が多くの人のなかに巣くっているのです。あなたも、そんな一人ではありませんか。

自分で薬をやめるにはコツがあります。それは「だましだまし、ぼちぼち減らしていく」という方法です。すぐにでも決別したい薬ですが、いきなり全部やめてしまうのはやはり得策ではありません。

私は現在80歳ですが薬は飲んでいません。過去に薬は、朝昼晩と一日三度、数十年間も飲み続けていました。それが、宇多川久美子薬剤師の「薬で病気は治らない」と、岡本裕医学博士の「一生薬がいらない体のつくり方」を読んで薬がいらない体にしたのです。

ほぼすべての薬は四週間でやめられます。ただし何度でも言いますが、患者さんの自助努力は必要不可欠ですし、慎重に経過を見守ることも必須です。四週間でやめられるという根拠は経験です。

経験を後追いする形で「四週間で薬から離脱できる理由」を考えてみると、四週間くらいでおおよその体質が変わりうるからでしょう。基本j的には四週間かkせて「ぼちぼち」減らしていくという方法です。

第一週 まずは薬の量を半分に減らしてみる。こことが最も気をつけなければいけないところです。この局面をうまく乗り切ればおおむね薬からの離脱は成功します。

第二週 第一週で何も不都合がなければ、さらに半分の量(最初の量の4分の1)に減らします。

第三週

 ここまで問題がなければ第三週はさらに半分の量(最初の量の8分の1)に減らします。

第四週 ここまで問題がなければ第四週はさらに半分の量(最初の量の16分の1)に減らします。

第四週がすぎても不具合がなければ薬からの離脱は成功です。第一週で薬の量を減らして体調に不具合が出たら、第二週目も薬の量を半分にします。それでも不具合があれば第三週目も同様にします。薬の量を半分にして乗り切ってください。

これでほとんどの場合、問題なく離脱に成功しています。一番気を使わなくてはならないのはやはり第一週目です。薬の量が4分の1、8分の1と減っていくにつれて、「薬効はどんどん薄れていくので、第二週以降はさほど注意も心配も必要ありません。

ごくまれにですが、最初の「薬を半分にする」段階に2~3週間ほどかかる場合もあります。ただ、今のところはほぼ全例、問題なく四週間で薬と決別しています。

消炎鎮痛剤、脂質異常症治療薬(コレステロールや中世s棒を下げる薬)、痛風治療薬、胃薬、降圧剤、便秘薬、睡眠薬、糖尿病治療薬(2型)などでも、離脱症状はほとんどないはずです。もちろん薬を減らすと同時に、免疫力を高める自助努力をわすれてはなりません。

ちなみに、どうしても痛みがきついときに、1~2回、鎮痛剤を飲むというのは問題ありません。

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参考文献:薬で病気は治らない(宇多川久美子、PHP文庫)、一生薬がいらない体のつくり方(岡本裕医学博士、知的生き方文庫など。