はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第59章 ボケないために

78歳が目前に迫ると、苦しまず眠るように静かに死んでいくことが願いとなる。問題はその時期が来るまで、寝たきりになったりボケたくはない。ボケないための工夫が様々あるなかで、誰もができてもっとも自分に合った方法を探した。

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1 寿命のメカニズム

 1. テロメア

テロメアは1030年代に、ハーマン・J・マラーはショウジョウバエに対するX線照射によって生じる染色体逆位の細胞学的研究から、バーバラ・マクリントックはトウモロコシを用いた遺伝学的研究から発見された。

テロメアは細胞内にある染色体の先端部分で、染色体の先端部を束ねる蓋の様な形をしている。染色体を保護する役割を果たしているが、細胞が分裂するたびに少しずつ短くなり、およそ50~60回程の分裂を繰り返すと分裂や増殖が止まってしまう。

テロメアの単位は塩基で、生まれたときには約1万塩基のテロメアを持っている。それが細胞分裂によって短くなり、5千塩基になると寿命が尽きる。普通に暮らしている場合は年間に平均して50塩基ずつテロメアが減るといわれる。

テロメアは、A(アデニン)、Y(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)という4種類の塩基配列でできている。DNAの上にはこの4種類の塩基配列があり、その並び方によってすべての遺伝情報が伝えられる。

哺乳類の場合、DNAの末端部分は「TTAGGG」という6個の塩基のセットがいくつも続く形になっている。この6塩基のリピート部分がテロメアである。テロメアには遺伝情報が入っていない。つまり、なくなっても大丈夫なようにできている。

私たちの身体はおよそ60兆個の細胞でできているが、細胞分裂により毎日6千億もの細胞が死んでいる。髪の毛や爪は死んだ細胞の集まりであり、皮膚をこすると出てくる垢(あか)も細胞がはがれ落ちたものである。

細胞が分裂するときDNAがコピーされるが、完全にコピーすることはできず、末端の部分だけ欠けてしまうという。この欠ける部分がテロメアだ。染色体として見ると、細胞分裂する度に末端部分のテロメアが欠けて、短くなっていくことになる。

テロメアは人によって長さが異なり、染色体の端にあり細胞分裂のたびに短くなるため年とともに縮みこれが老化現象をもたらす。癌や脳卒中、心臓や血管の病気も、テロメアが短くなることで発症しやすくなるという調査結果もあるそうだ。

これらのことからテロメアは、別名「命の回数券」とも呼ばれている。定期券ではなく使用期限が決まっていないから回数券と呼ばれ、大事に使えば寿命も長くなるし、雑に扱えば寿命も短くなる。

細胞分裂の回数は限りがあり、細胞のDNAの末端にあるテロメアが細胞分裂の数を覚えていて分裂のたびに短くなる。そして、最後には細胞分裂ができなくなり、すべての細胞の分裂が止まると人間の寿命も尽きてしまう。

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 2. テロメラーゼ

2003年にアメリカのマサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ博士が、酵母の長寿遺伝子「Sirtun2 (サーチュイン)」を発見したことがきっかけで「Sirtun1」から「Sirtun7」まで7種類の「長寿遺伝子」があることが明らかになった。

その後の研究により「長寿遺伝子」が働くことによって100近くあるといわれる老化の原因を抑え、脳や肌、血管など、さまざまな器官が若く保たれることもわかってきた。動物実験によると寿命も20%から30%延びたという。

しかし、2011年9月にロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジの研究チームが、これまで行われてきたサーチュイン遺伝子で寿命を延ばすという実験結果は、多くの研究チームが追試を行ってきたが効果は表れず大きな欠陥があると発表した。

一方、テロメアの発見以降研究は進み、アメリカ合衆国の生物学者エリザベス・H・ブラックバーン博士はテロメアを伸長する酵素・テロメラーゼを発見した業績で2009年にノーベル生理学・医学賞を受賞された。

テロメアの内部で創り出されるテロメラーゼという酵素がある。テロメラーゼは細胞分裂のたびにDNAを補填し、染色体の端を再建してテロメア短縮に対抗する。そのおかげで染色自体は保護され、その正確なコピーが新しい細胞のためにつくられる。

細胞が分裂するたびにテロメアは徐々に短くなり、ある危機的な数値に達すると、細胞分裂をやめるようにサインを出す。だが、テロメラーゼは細胞分裂のたびにDNAを補填し、染色体の端を再建してテロメア短縮に対抗する。

こうして細胞は自己複製を繰り返していくことができる。細胞分裂にともなうテロメアの短縮を、テロメラーゼは遅くしたり、防いだり、覆すことすらできる。テロメアはテロメラーゼによって元どおりになるともいえるそうだ。

老化とは早まったり遅くなったりする動的なプロセスであるが、老化とは長いあいだ考えられてきたように病気や衰退へと一直線に滑り落ちる坂道ではない。人間はみな、年はとる。だが、どのように老いるかを大きく左右するのは細胞の健康状態なのだ。

ただし、テロメラーゼが過剰に活性化すると癌につながる恐れがある。癌細胞ではテロメラーゼが過剰に活性化していることが確認されているからである。従って、テロメラーゼのサプリメントは危険なため製造がおこなわれていない。

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 3. 時計遺伝子

私たちの身体には時計と呼ばれる遺伝子があり、朝日と朝食によって1日24時間のリズムをリセットさせるようになっている。まるで振り子のように時を刻むから時計遺伝子と命名された。時計遺伝子はテロメアの別名である。

普通に暮らしている場合は、年間に平均して50塩基ずつテロメアが減るといわれる。朝日を浴びて朝食を取ることで時計遺伝子をリセットさせ、暴飲暴食をせず、適度に運動をし、夜更かしせずにしっかり睡眠をとる生活のことである。

規則正しい生活をしていれば、テロメアの減り方は年間に50塩基となり、少なくとも100歳までは生きられることになる。テロメアが長い人ほど免疫力が強く、長いテロメアと関係しているのが運動・ビタミン・不飽和脂肪酸である。

そして、普通の生活なら7年間で350塩基しか減らないテロメアを、1000塩基も減らしてしまった人たちがいる。彼らは、朝食抜きの生活や暴飲暴食、睡眠不足などの不規則な生活をして、テロメアを短くしてしまったのである。

短いテロメアと関係しているのは肥満・喫煙・ストレスである。特に、喫煙はテロメアの長さを保つ上で大きな障害となる。テロメアが短い人ほど心臓病、糖尿病、ガンなどに罹りやすいと言われている。

生体リズムと云えば思い出すのはバイオリズムである。バイオリズムは、ドイツのベルリン大学のフリーズ博士が自分の患者を診察した結果、発病が男性では23日、女性では28日周期で起こることを発見してPSI学説として提案した。

Pは身体の頭文字で23日周期で変わると決めた。Sは感情の頭文字で28日周期で変わると決めた。Iは知性の頭文字で33日周期と経験から一律にきめた。したがって科学的根拠はなく、金儲けの手段として多くの人に利用された。

似たようなものに、A・B・AB・Oという4つの血液型にしたがって人の性格を4つに分類するという占いとも言えない、お遊びみたいなものが流行している。血液型性格判断は科学的根拠がなく、人間を単純に4つの型に分類できるはずがない。

生物は本質的に複雑であり、複雑さをいっそう獲得するように分化していくのが生物である。人間を単純に4つにわけるのは、およそ生物の本質を踏まえていない暴論であり、これも科学とは無縁である。

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2 身体を守るために

 2-1 脳のエネルギー確保

人間の生命活動を支えているのは基礎代謝で、呼吸や体温維持など生きていくうえで欠かせない生命活動に費やされるエネルギーは70%と言われる。24時間という1日の中で、エネルギーを補給できない時間帯は夕食から朝食の間である。

近年は朝食はパンとコーヒーといった簡単なものが好まれているが、脳の栄養不足状態が頻繁に起これば、確実に認知症を呼び込む。エネルギー不足になると体を動かすことができなくなり、体を動かさないと筋肉は硬くなって委縮していく。脳も同様である。

栄養不足で脳が機能しなければ、認知症に進むことは十分に想像がつく。朝食を抜いた状態で昼食を取ると、血糖値が一気に上がる。普通の食事であっても、まるで甘いものを食べたと同じ状態になる。上った血糖値は2~4時間後に急降下する事が知られている。

血糖値が急降下すると甘いものが食べたくなり、甘いものを取ると血糖値は再び急上昇する。この繰り返しが習慣になると、血糖値を下げるインスリンが脳へひんぱんに糖分を取るよう指示を送るようになる。ついには脳が暴走し始めて肥満街道まっしぐらとなる。

肥満は長寿の大敵で、朝食を抜くことで肥満を招くことになる。脳はエネルギーとして糖質が必要である。最近ケトン体という脂肪の分解されたものも栄養になっていると分ったが、脳の栄養のほとんどは糖質といってよいだろう。

私たちが主食としてきたご飯、それにパンや麺類はでんぷんと言われる糖質がいくつも集まった多糖類である。糖質が複数集まっているので、分解され吸収されて体の中でエネルギーとなるのに多少時間がかかる。

脳はエネルギーとして糖質が必要であり、多糖類が体内へ入ると最終的にブドウ糖に分解され吸収されていく。血液中にブドウ糖が入ると、ブドウ糖を細胞に取り込むためにインスリンというホルモンが出てくる

パンに甘いジャムをつけると、急激に血液中に多量のブドウ糖が入ってくることになりインスリンの分泌も当然盛んになる。こうしたインスリンが一気に大量に必要となる状態が繰り返されると、インスリンを分泌している膵臓が疲弊してくる。

インスリンの分泌工場である膵臓があまりのフル操業に耐えられなくなってくる。ここまで来ると糖尿病の始まりである。インスリンが一気に必要となる事態を避けなければならない。なんとしてでもインスリンの分泌を押さえなければならない。

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 2-2 インシュリン分泌の抑制

朝食は重要な位置を占めている。朝食を食べない、または軽食にすることで肥満を招き肥満は長寿の大敵である。パンと異なりご飯には副食が必要であり、インスリンの分泌を押さえるのはムチンと言われる。

ムチンは糖とたんぱく質が結合してできた多糖類の一種で、人間の体内にも存在し涙や胃腸や鼻などの粘膜に含まれている。粘膜を保護することで様々な病気を予防する効果を担っている。ムチンはオクラや長芋類に含まれている。

山芋や長芋は、生で食べられる世界でも珍しい芋である。消化酵素であるジアスターゼを含んでいるためでんぷんの一部が分解され、生で食べても胃にもたれることはない。さらに、ムチンは納豆にも含まれている。

納豆を単独で食べず、オクラやシラス干しを入れる、卵を入れたりダイコンおろしと一緒に食べるなどの工夫をすると、納豆も立派な副食になる。朝食には糖質をしっかり取りたいが、インスリンが一気に大量に必要になるのを防がなければならない。

朝食に欠かせないものは果物である。厚生労働省が健康習慣病を予防し健康増進のために提唱しているのは、1日に野菜350g、果物は200gの摂取である。統計によると野菜の摂取量は290g、果物は115gしか摂取されていない。果物が少な過ぎる。

リンゴは中ぐらいのもので230gであり、1個で1日の必要量が取れる。バナナは1本で正味90g、中ぐらいのみかんは正味75g、梨はリンゴと同じくらいで正味240g、桃は正味250g、パイナップルは8~9切れで90gぐらいある。

抗加齢という目的で1日3食べるべき食材は鮭である。サケの赤身にはアスタキサンチンが含まれ、これは抗酸化力が大変強く、史上最強の「カロテノイド」と言われている。しかも、血液脳関門を通り抜けることができ、認知症予防に期待が持たれている。

体の中に活性酸素を除去するシステムがあってもそれだけでは追いつかない。除去しきれなかった活性酸素が体の中のコレステロールを酸化したり、細胞そのものを酸化したりする。これが動脈硬化や老化の原因となる。

サケの栄養は、ビタミンA、B2、D、Eなどのビタミン類や、EPAやDHAも豊富である。最近は養殖物が多いが、養殖物はエサの添加物や薬などが気になるので、できるだけ天然物をお勧めする。サケは中高年の生活習慣病の予防には最適な食材である。

介護が必要な人はアルブミンが不足している。注目したいのは蛋白質の摂取量で、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、男性で60g、女性で50gが必要とされている。1日おきに魚料理と肉料理を交互に食べると蛋白質の必要量を摂取できる。

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 2-3 活性酸素の除去

鮭が魚の王様であれば、野菜の王様はブロッコリーである。野菜の栄養素として注目を集めているのは植物化学物質(ファイトケミカル)で、野菜の中に数千種類も含まれているといわれる。体の酸化を防ぐ抗酸化作用と癌細胞を抑制する抗腫瘍作用がある。

植物に有害な紫外線を防ぐのがファイトケミカルである。このファイトケミカルを2百種類も持っているのがブロッコりーである。発がん物質の活性化を押さえるイオチオシアネート、胃潰瘍を防ぐビタミンU、インスリンの働きを助けるクロム等が含まれている。

食物繊維も豊富で動脈硬化や便秘予防にも効果的と言われる。ブロッコリーは花蕾と茎の部分を食べているが、どちらにもビタミンCが多いので熱で壊れないように素早くゆでる。さっとゆでた茎は薄切りにして洋辛子をつけて食べると美味である。

現代の都市生活では排気ガス、紫外線、電磁波などが加わり、活性酸素が増えていると言われる。私たちの体には活性酸素を除去するシステムがあるが、その働きだけでは不十分である。酸化を抑えてくれる食べ物をもっととる必要がある。

野菜や果物の彩をしている天然色素をカルテノイドといい、リコピン、αカロテン、βカロテン、ルテイン、βクリプトキサンチンなどがある。リコピンはトマトやスイカ、βカロテンは人参やカボチャ、ルテインはホウレンソウなどの青菜、βクリプトキサンチンはみかんに含まれている。

カルテノイドには酸化を防ぐ働きがあり、中でも作用が強いのはリコピンである。リコピンの抗酸化力は抗酸化作用のあるビタミンEの100倍以上と言われる。リコピンは熱に強く油に溶けやすい性質があるので、炒めたり煮込んだりしてもリコピンは壊れない。

トマト以外で赤い野菜はニンジンである。ニンジンに含まれている注目の栄養素はカボチャにも含まれているβカロテンである。βカロテンはプロビタミンAとも呼ばれ、体の中でビタミンAに変化していく。しかも、体に必要な量しかビタミンAに変化しない。

ビタミンAは脂溶性で、体内の脂に溶けてなかなか排出されにくく過剰症になる。ビタミンAは野菜から摂取するほうがサプリメントで取るよりも安全である。βカロテンが豊富なのは人参やカボチャで、ブロッコリーにも多いので積極的に取りたい野菜である。

ショウガはジンゲロールを含み、体を温めたり血行を良くする効果がある。自律神経を活性化して脂肪を燃焼させる効果もある。唐辛子のカプサイシンは交感神経を刺激してアドレナリンの分泌を促し、中性脂肪を燃焼させるので汗が出てくる。

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3 脳と心の活性化

 3-1 脳を元気にする

今の体重から5%減らす努力をする。急がずゆっくり60kgの人は3kg、70kgの人は3.5kgの減量である。体重の減量にお金をかけてはいけない。有り余るお金でも、減量の効果が現れなければ損害となる。無駄金は使わないほうが良いだろう。

太っている人は食べている量を1割減らし、積極的に体を動かすことを心掛けるだけである。毎日の生活の中でエウカレーターやエレベーターを使わない。階段を上り下りするできるだけ公共交通機関を利用する、少しの距離なら歩く、たったこれだけである。

体と同様に動かす習慣をつけてもらうのは顎である。プロスキーヤーで冒険家の三浦雄一郎氏のお父さん、三浦敬三氏は総入れ歯だったが一口60回噛むことを習慣とされていた。このため総入れ歯の調整を歯科医にたびたびしてもらっていた。

100歳を超えた長寿の方々を調査するとほとんどの人が1口30回以上は噛んでいたそうだ。10分程度で食べていたのでは単に生命を維持するためだけで、食文化に対する冒とくと言えるだろう。料理は時間をかけて噛み味わうべきでものある。

しかも、噛むという行動は手足を動かすより綿密で複雑なのだそうだ。確かに、口の中ではごく小さなものを感じ取れるし、それを取り除くこともできる。歯と脳の間には強力な神経のネットワークがあり、噛むことで脳の血流や代謝がよくなり活性化する。

美味しいものを見ると、口の中に唾が出てくる。つばは唾液だが、唾液は耳下腺・舌下戦・顎下腺という大唾液腺と、舌・口唇・口蓋などの章唾液腺から分泌される。成人が1日に分泌する唾液の量は0.5~1.5リットルにもなるという。

唾液は消化を助ける消火液であり、歯の表面を清掃したり歯が酸性に傾くのを防いで虫歯を予防している。加齢により唾液の量は減っていき、生活習慣病薬の服用などでさらに減っていく。唾液には成長ホルモンが含まれているのでよく噛んで分泌を促そう。

101歳で逝去したシスター・マリーを生前許可で認知症研究のために解剖された。通常は1200gある脳は委縮して870gしかなく、神経細胞は脱落が目立ち老人斑も見られ、神経原線維の変化も多数見つかりアルツハイマー病であることは間違いなかった。

しかし、生前シスター・マリーは認知症を判定するテストでは全く正常で、生活もしっかりしていたし、知能テストでも高得点で認知症の症状は見られなかった。彼女は修道院で知的な活動を続け、積極的にボランティアで地域活動に取り組んでいた。

毎日新聞を隅から隅まで詠み世界情勢にも関心を寄せ、「私が引退しているのは眠っているときだけよ」が口癖だった。このように頭を使う日常の活動が、解剖学的にはアルツハイマー病であっても、彼女が正常だった理由ではないかと分析されている。

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 1-2 挑戦を忘れない

自分でいいと思ったらすぐにやってみる。何事にも前向きに取り組むことが脳の活性化には欠かせない。すぐに取り組めるのは脳が若いという証拠でもある。たとえ長続きしなくても、思いついてやるだけでもいい。やってみようと体を動かすことに意味がある。

記憶には短期記憶と長期記憶がある。短期記憶は、約20秒から数日間保持される記憶で、長期記憶は倉庫へ転送された記憶である。転送に必要なのは維持リハーサルと精鋭化リハーサルである。維持リハーサは繰り返して覚える方法を指す。

精鋭化リハーサルは語呂合わせで覚えたり、関連付けて覚える方法である。そのほかカテゴリーで覚えたり、動作で覚えるなどいろいろある。短期記憶は時間と共に失われていくが、長期記憶は忘れない限り覚えている。2日前の出来事を思い出す事で鍛えられる。

本を音読する行為は脳を鍛える。音読するときに脳はどのように働いているのだろう。まず、文字が縦書きか横書きかを認識し、漢字とひらがながどのような読み方をするか、文字知識・音韻知識・意味知識・文法知識を総動員して確認する。

辞書を引く他人に聞くという作業も入ってくる。声に出して読むためには発語という運動機能が関わる。これらの活動を脳の領域で見ると、頭頂部の連合野、側頭部の連合野、大脳左半球の頭頂部連合野、前頭前野の下前頭回等々、様々な領域が活動している。

認知症の患者に音読をしてもらうと、認知機能の低下が防げたという報告もある。音読に加え、簡単な計算を暗算でしてもらいその結果を脳機能から分析すると、明らかに脳が活性化されていたという。脳を使うことは老化防止策である。

探し物をしているうちはボケていない。探すという行為は、置いた場所を思い出すだけではなく複雑な行為である。置いたのはいつだったか、なにをしているときだったか、どのような状況だったか、いくつも思い出さなければならない。

無意識のうちにしたことを一つ一つ思い出していかなければ、探し物にたどり着けないので高度な脳機能を駆使していると言ってもいいかもしれない。認知症が進んでくるとおつりの計算ができなくなり、取り合えず紙幣を出すので財布が釣銭で膨らんでくる。

歳とともに肺の機能が落ち始めるので十分に酸素を取り込むことが必要になる。静かに少しずつ口から息を吐ききり、お腹に手を当ててお腹全体が膨らむのを意識しながら息を鼻から吸い込む。これを1日1回5分間繰り返すことで神経伝達物質が増える。

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 1-3 気持ちの切り替え

大阪大学公衆衛生学の大平哲也准教授グループが、40年以上にわたって2516人について調べた研究によると、笑わない人は毎日笑う人より認知機能の低下がみられた人は2倍以上いたという。普段笑わない人も笑顔をつくるだけで効果があるという。

カラオケは脳の音楽中枢を刺激する。歌を歌うのは、声帯を動かして言語を発する神経活動とよく似ている。音読より複雑で、もっと高度な機能を駆使している。そのひとつが感情表現である。感情をこめて歌を歌うことが若さを保つ秘訣である。

百寿者にくよくよ思い悩む人ほとんどいない。みなさん楽天的であるという。脳の神経細胞は年齢とともに委縮していくと考えられていたが、いくつになっても神経細胞は生まれていることが分かってきた。記憶を司っている海馬の神経細胞は生まれ変わっている。

新たに誕生した神経細胞は、過去の記憶の中で残すべきものと不要と判断されたものを選別している。新しい環境に適応するためには、蓄積された古い記憶を消去して新しい記憶と入れ替える必要がある。この作業が新しい神経細胞によって行われている。

桐島洋子さんの「聡明な女は料理が上手い」という著書がある。料理は、献立を考え、材料を集め、調理する。料理をしない人から考えると、単純と思える作業だが実に頭を使う。認知症が現れると料理を考えるのが嫌になり、美味しい料理はなくなってくる。

精密検査を受けてと言われたことがないだろうか。検査数値が警告を発しているから無視してはいけない。どんな病気でも早期に見つかればそれだけ早く治る。健康診断の結果を整理して保管しておくこと。数値の変化を自分で確認するようになると名医である。

風呂に入るときはすこしぬるめと感じるぐらいにする。湯船につかているだけで汚れは落ちていく。ごしごし洗うと体を守っている層が失われてしまう。気になる汗ばんだとことを、軽く撫でるような感じで洗うだけでよい。リラックスすることが最も重要である。

人に会ってときめくことは脳の活性化に非常に有効と言われる。恋愛とまではいかなくても、すてきな人だなと思うだけでもいい。恋心やときめく感情はあなたを若々しくさせてくれる。異性に対して関心を失うと一気に若さが失われていく。

三浦敬三さんは99歳の時にモンブランを滑った。昇地三男さんは95歳から中国語を学び、中国語でに日記をつけている。フランスのジャンヌ・カルマンさんは85歳になってからフェンシングを始めた。出来ないとあきらめてしまうことが老化の始まりである。

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参考文献:長生き父さん、早死に父さん(宇多川久美子、慶友社)、自然地有力(田村康二、泉書房)、テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム(エリザベス・ブラックバーン、エリッサ・エペル著、 森内薫訳、 NHK出版)、もの忘れは「ぼけ」の始まりか(宇野正威、PHP研究所)、100歳までボケない101の方法(白澤卓二、文春新書)