はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

  第16章 ロコモ克服の秘訣

2015(平成27)年1月24日午後に札幌市医師会館で開催された札幌市医師会主催の医学界特別講演で、福島県立医科大学会津医療センターの白土修整形外科・脊椎外科学講座教授の講演「ロコモ克服の秘訣教えます」の要約に最新データと実践を加えました。

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1 ロコモとは

ロコモティブシンドローム、通称「ロコモ」と呼ばれる言葉をご存じでしょうか?日本語に直すと「運動器症候群」といいます。中高年の人々が加齢とともに、日常生活で大きな支障となっているのが足腰のトラブルで、骨や関節などの運動器の障害が年々深刻化しているのが実情です

このロコモの3大要因として取り上げられているのが、「関節症・骨粗しょう症・脊柱管狭窄症」です。中高年の腰痛や足のしびれの多くはほとんどがこれが原因です。軽いうちは、さほど気にも留めずに見過ごしてしまうことも多いのですが、悪化すると歩けなくなったり寝たきり状態にもつながる厄介でつらい症状になります。

筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じて要介護リスクが高まり、予備軍含めると4700万人が危機的状態にあると言われます。

わが国の腰痛患者は3千万人ともいわれ、なかでも原因のはっきりしない慢性腰痛に悩む人はそのうち約85%といわれています。今回発表された「腰痛診療ガイドライン」は今までに報告された国内外の約200本の研究論文を整理・分析して、現時点での適切な腰痛治療のための指針を示したものです。

慢性腰痛の治療において、非常に高い科学的根拠が認められるグレードAは、運動療法(ストレッチング、ウオーキングほか)、認知行動療法(心理行動的アプローチ)、薬物療法です。それ以外の装具療法(コルセット)、手術療法などは中等度のグレードB、物理療法(けん引)は科学的根拠がはっきりしないグレードIと説明されています。

今までさまざまな腰痛治療を受けてきた患者にとって、「腰痛診療ガイドライン」は何ら進展していないと思われるでしょうが、それだけ慢性腰痛の診断と治療は混沌としていて、治療を受けても改善しない患者が多いことを示しています。

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昨今の超高齢化社会を背景に、日本整形外科学会は「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」というキーワードを提唱し、運動器系、とくに腰痛をはじめとする脊椎脊髄疾患に注目しています。ガイドラインの結果については、整形外科の専門医ではない、地域のかかりつけ医の皆さんにも十分に理解していただき、少しでも多くの腰痛の患者の症状が改善され、予防にも役立つことを望んでいます。

またいちばん大切なことは、治療を受ける患者の皆さんは自分にとって最適な治療を選んでもらうことです。腰痛の治療は多岐にわたりますが、不適切な治療を受けて腰痛を悪化させてしまうケースを臨床現場で数多く見てきました。腰は文字どおり身体の要ですから、慎重に医師を選んでいただきたいと思います。

※ 白土修教授のお言葉ですが、患者が最適な治療ができる
  医師を選ぶことは不可能です。まして、治療について意見を述べることなどできませ
  。なにげなく「テレビ番組でみましたが、自然治癒力を増強する治療というのもあ
  るそうですね。」と話した途端、医師は「私の治療が不適切だというのか」と激怒さ
  れました。学生時代に学んだ不適切な治療で腰痛を悪化させるのを患者は避けること
  ができないのが現実です。研究されている教授の講演を拝聴することで知識を得て、
  自分で自分を救済する道を模索したのがこのノートです。

謝辞:白土修教授の写真は、札幌市医師会の講演会チラシより転載しました。ありがとうございます。

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2 腰痛の診断と治療

 2-1 腰痛とは

日本の「腰痛治療ガイドライン」は、慢性腰痛の治療に詳しい福島県立医科大学会津医療センター整形外科・脊椎外科教授の白土修医師が策定委員会委員長を務められました。

日本整形外科学会では各種の疾患についてエビデンスに基づく診療ガイドラインの作成を行い、日本整形外科学会・日本腰痛学会監修の「腰痛診療ガイドライン2012」が作成されました。

このガイドラインは、定義・疫学・診断・治療・予防の5章からなり、合計17のクリニカルクエスチョンが掲載されています。腰痛は、これを引き起こす病態や基礎疾患が多岐にわたりますが、漠然としているので最初に腰痛の定義を解説しています。

腰痛診療ガイドラインの「腰痛はどのように定義されるか」には次のように書かれています。
 ① 腰痛の定義で確立したものはない。しかし、主に疼痛部位、発症からの有症期間、
  原因などにより定義されるとあります。
 ② 一般的には、蝕知可能な最下端の肋骨と殿溝の間の領域に位置する疼痛と定義され
  るとあります。
 ③ 有症期間別では、有症期間別では、急性腰痛(発症からの期間が4週間未満)、亜
  急性腰痛(発症からの期間が4週間以上3カ月未満)、慢性腰痛(発症からの期間が
  3カ月以上)と定義されるとあります。
 ④ 原因の明らかな腰痛と明らかではない非特異的腰痛に分類されるとありました。

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腰痛を訴える患者の数は、男性では1位、女性では2位を占めています。原因別では、脊椎由来・神経由来・内臓由来・血管由来・心因性の5つに大別できます

原因の明らかな腰痛として、腫瘍(原発性・転移性脊椎腫瘍)、感染(化膿性脊椎炎、脊椎カリエスなど)、外傷(椎体骨折など)の3つが特に重要です。その他に、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、脊椎すべり症など、神経症状を伴う腰椎疾患もこれに含まれます。

エビデンスという言葉の意味は「証拠」です。例えば、「エビデンスがある薬」は「よく効くことが研究によって確かめられている薬」、「エビデンスに基づく治療」は「研究の結果でこれがよいと証明されている治療」という意味になります。

クリニカルクエスチョンは、看護ケアを行う中でわいてくる臨床上の疑問や臨床上解決の必要な問題を指します。患者から発せられる疑問は、ペイシェントクエスチョンと言います。

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 2-2 ガイドラインの目的

ガイドラインは、世界中で発表されている精度の高い論文や臨床現場の声を反映して作られ、医師が日々患者を治療するに当たっての参考書(手引書)のようなものです。

現場で働く医師は忙しいので、最新の医療情報を学ぶ機会を取れません。学生時代やむかし学んだレベルで治療をしていては患者が迷惑です。そこで、最新の医療情報が反映されている、ガイドラインを頭に入れて日々臨床に当たる事が望まれています。

画像診断を行うのはがんや骨折などの恐れがあり、「体重減少・時間や活動性に関係のない腰痛」などのような危険信号のあるときです。しびれなどの神経症状がある場合や鎮痛薬などの治療で症状が改善しないときも対象ですが、それ以外は「すぐに検査」ということにはならないそうです。

日本の「腰痛診療ガイドライン」は2012年に出来ましたが、バイアス(偏りや思い込みなど)が存在するともいわれます。世界で初めて作られたガイドラインはアメリカで1994年に「腰痛」が作成されました。

注目すべきは、2004年のニュージーランドとヨーロッパのガイドラインと言われています。この2つは、世界で初めて「心の状態と腰痛(イエローフラッグ)」「慢性腰痛と予防法」に言及しました。医療費が無料の国のガイドラインですから、日本やアメリカと違って、バイアス(偏り、思い込み)が入りにくいと言われています。

個人病院の医師は、医学図書館で過ごす時間がほとんどなく、質の高い根拠に基づく研究に触れる機会はありません。質の高い研究には多大な努力が注がれていますが、多くの医師は自分の仕事に関する科学的根拠を知ることも、知っても制度的に実行しにくい事もあるようです。

大病院にも個人病院でも患者が溢れています。患者一人に1時間もかけて病気の原因を探ることはできませんし、患者はそれに見合う診療費を支払ってくれるわけでもありません。短時間で数をこなさなければ看護師の給料も払えなくなります

ガイドラインを守れば、腰痛患者に対する画像検査の実施率は7%で済むことになります。しかし、医師はボランティアではないので、画像検査が不要であることを理解していても100%実施します。ガイドラインは算術を考慮していないのです

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 2-3 腰の構造

腰は、腹筋と背筋という「筋肉」と腰椎の「骨」で構成され、この両方で体の上半身を支えています。腰椎は屈曲一伸展、側方屈曲、回旋という3つの複合運動を行います。この腰に痛みを覚えると腰痛といわれます。

日常生活をする上で腰にさまざまな負担がかかります。つまり、腰が無理な姿勢になったり、腰に過剰な力が加わったり、さらに何度も小さな力が加わって蓄積されたりして、腰に障害が起こると腰痛になります。

腰痛は、身体自体の問題はもちろんのこと、精神的なストレスが原因になることもあります。慢性的に腰痛になってしまうと、ストレスとの関係が疑われます。特に、若者に最近、慢性的な腰痛が多く見られるそうです。

私たちの姿勢を維持する中心となるのが脊椎(背骨)です。この脊椎から数多くの骨格が広がって体を構成しています。脊椎は24個の椎骨の結合体で、その間に「椎間板」と呼ばれる衝撃を吸収するためのクッションの役割をする軟組織があります。腰の構造もこの脊椎の一部になっています。

脊椎は横から見ると緩やかなS字のカーブを描いています。脊椎は、上から少し前方に緩く曲がった7個の頚椎、背中の反りを作り出すために後方に緩やかに曲がる12個の胸椎、背中の反りとバランスをとるために前方に緩やかに曲がる5個の腰椎、そして仙骨と尾骨で形成されています

脊椎は小さな24個の椎骨の集合体ですが、骨同士が連結していると磨り減ってしまいます。歩いたときに足から受ける衝撃がそのまま頭の先まで伝わってしまいます。これらを防止するために、1つ1つの椎骨の間に椎間板があり、椎間板が脊椎にかかる負担を吸収して分散する働きをしています。

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椎間板は二段構造になっていて、中心部分に髄核という柔らかい組織があり、髄核を包み込むようにして繊維輪軟骨という軟骨組織から成り立っています。腰痛の中でも比較的症状が多い椎間板ヘルニアは、この椎間板の繊維輪軟骨が破れて中心の髄核が外に飛び出し、脊髄中枢神経や末梢神経が圧迫されてことから起こります

椎骨が24個集まって構成される背骨の中心に脊柱管という空間があり、ここには重要な脊髄中枢神経があります。脊髄中枢神経は、体のあらゆる部分に脳からの信号や生体電流を末梢神経に伝える役割をしています。

背骨は体の姿勢を保つ役割と共に、末梢神経の始まりと生体電流の中継地点として重要な役割を担っています。生体電流が何らかの原因で妨げられた場合は「感覚神経鈍磨」という感覚が鈍る現象、「運動神経鈍磨」と呼ばれる頭でイメージすることと体の動きが微妙にずれてしまう神経疾患が起こります。自律神経に影響が出る場合もあります

腰痛の原因になるのは第4・5腰椎が多いので、腰痛と言えば第4・5腰椎をX線検査などで診察します。脊椎の第4・5腰椎は、骨盤や腹筋と共に上半身の負荷を支える大事に部分で、かかる負担はとても大きく構造的なもろさを持ち合わせている箇所です

構造的なもろさがあっても、日常生活の中では腰椎に負荷をかける動作をとることも多いので腰痛を引き起こしやすくなります。腰痛には数多くの種類があり、加齢によるものや神経の圧迫、腰椎に強い負担がかかったとき、腰椎の関節の炎症、骨量の減少など様々な原因があります。

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 2-4 腰痛の発症原因

腰痛の原因としては、姿勢の悪さ、激しい運動や動労、老化、内臓の病気、精神的なストレスなどさまざまな要因が挙げられます。一般的に腰痛は大きく3つに分けられます。1つは背骨に原因のある腰痛、もう1つが内臓の病気が原因で起こる腰痛、最後は精神的なストレスに原因のある腰痛です

背骨に原因がある腰痛は、椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、変形性脊椎症、骨粗鬆症などです。一方、内臓の病気が原因で起こる腰痛は、腎臓結石、尿管結石、大動脈瘤、婦人科の病気、悪性腫瘍などになります。

内臓が原因の腰痛、精神的ストレスが原因の腰痛を除いて、背骨が原因で起こる腰痛はほぼすべて脊柱、およびそれを支える筋肉が原因と考えられています。他にも、姿勢が悪い、筋肉が疲労している、さらに腰痛症や「ぎっくり腰」もとても多い腰痛の症状です。

精神的なストレスが原因で自律神経に異常が起こり腰痛を引き起こすこともあります。ストレスが原因で起こる心因性の腰痛は、ストレスの元を断たないと回復しない性質があるため社会生活を送る上で大きな支障になってしまいます。

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若者からお年寄りまで、さまざまな年代で腰痛に悩んでいる人はたくさんいるのが現状です。腰痛といっても原因は人それぞれ違います。それぞれのケースにあった腰痛の治療方法を最初に間違えると、いつまで経ってもまったく効果がないこともあります。

腰痛が起きるのは次のようなきっかけです。
 ① 長い時間パソコンをしていた
 ② 会議でじっと座っていた
 ③ 出張で新幹線や高速バスに座り続けていた時
 ④ たまにしか履かないハイヒールで歩いた
 ⑤ ストレスがたまってイライラが続いた
 ⑥ マラソンやサッカーなどの運動をした
 ⑦ 寒い場所にじっとしていた日を境に
 ⑧ 重い荷物を持ち上げた瞬間
 ⑨ 体重が急激に増えてから
 ⑩ 布団や枕を変えてから
 ⑪ 布団や枕を変えてからたくさん寝過ぎてしまったと感じた朝

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 2-5 腰痛の治療

腰痛の治療は、基本的に2つの方法があります。まず、外的な力による腰への負担を減らすことです。腰には通常から大きな力がかかっているので、身体の負担にならない姿勢を覚えることが大事です。もし、腰に激痛が走ったら寝ていることも必要です

一方、腰椎を鍛えたり、腰回りの筋肉を鍛えたりする方法もあります。若者で腰椎分離症ならば腰椎バンドをつけ、高齢者で骨粗鬆症ならば骨を強くする薬をすすめられます。その他、マッサージや電気などの腰痛を改善する方法もあります。

悪い姿勢と腰痛はとてもつながりが深く、腰痛の大きな原因となります。姿勢の悪さは腰部のみならず、骨格・筋肉・内臓など様々な箇所に負担をかけることになり、体に諸々の悪影響を及ぼします。

身体を効率的に動かすためには、正しい姿勢が必要で、これは全ての動きの基本といえます。正しい姿勢で過ごすことで身体にかかる負担が少なくなり、内臓の働きもスムーズになってきます

また筋肉はバランス良く発達し、その結果、骨や関節に無理なく体重をかけることが出来るようになります。また正しい姿勢は、背筋を伸ばすことにつながりますので、全身に適度な緊張感が行きわたり、緩んだ筋肉を引き締めることも可能となります。

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正しい姿勢を維持するための筋肉を「抗重力筋」といいます。抗重力筋は、背中(脊柱起立筋)、お腹(腹直筋)、お尻(大臀筋)、太ももの前(大腿四頭筋)、ふくらはぎ(下腿三頭筋)のように、前・後に位置する筋肉のコンビネーションで、体を立たせる働きをしています。

宇宙飛行士が無重力の宇宙ステーションの生活で衰えるのは「抗重力筋」です。姿勢の悪さが原因の腰痛は、一時期だけ姿勢を良くしても改善されるものでなく、様々な腰痛治療を施してもあまり効果がありません。まずは良い姿勢を心掛け、体に負担をかけないようにしましょう

立った時の正しい姿勢のポイントは
 ① 両足を腰幅くらいに開き、つま先を少し外側に向けます。
 ② 頭のてっぺんを、上に引っ張られるイメージで背すじを伸ばし、お腹に軽く力をい
  れます。
 ③ お尻の横に、少しくぼみができる程度に軽く力をいれます。
 ④ 顔は正面を向き、軽くアゴをひきます。
 ⑤ 移動の際、電車の中、家事をしている時など、ちょっと意識してみましょう。

また、理学療法士などの専門家に指導をしてもらい、きっちりとした正しい姿勢を身につける事もお勧めします。また、姿勢という言葉には「態度」「心構え」という意味もあり、姿勢を正しくすることで気が引き締まるという素晴らしい効果も実感できます。

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3 病院へ行く前に

 3-1 レッドフラッグ

多くの急性腰痛(ぎっくり腰)は自然に良くなりますが、医療機関を受診しなくてはならない目安は、ヨーロッパ腰痛ガイドラインで腰痛診療の「レッドフラッグ」がもっとも参考となります

レッドフラッグのすぐれているところは、
 ・ 急性腰痛だけでなく、慢性腰痛にも踏み込んで取り上げている。
 ・ 腰痛の予防法が記してある。
 ・ 政治的な影響の度合いが低い。
 ・ エビデンスに基づいて「こういう時はこうすることを薦める」という具体的な「現
  時点で最も適切な指針」があることです。日本版ガイドラインには、もっとも大切な
  「判断する指針」が欠けているのです。

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医師が初めて腰痛患者を診断する時、急性・慢性のどちらでも、重大な脊椎病変(悪性腫瘍、脊椎感染症、骨折、解離性大動脈瘤、強直性脊椎炎、馬尾症候群など)の可能性があるかどうかをチェックしますが、その時に「レッドフラッグ」のチェック項目を使います。

レッドフラッグの具体的な項目は次の通りです。
 □ 発症年齢が20歳未満か55歳超
 □ 最近の激しい外傷歴(高所からの転落、交通事故など)
 □ 進行性の絶え間ない痛み(夜間痛、楽な姿勢がない、動作と無関係)
 □ 胸部痛
 □ 悪性腫瘍の病歴
 □ 長期間にわたる副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)の使用歴
 □ 非合法薬物の静脈注射、免疫抑制剤の使用、HIVポジティブ
 □ 全般的な体調不良
 □ 原因不明の体重減少
 □ 腰部の強い屈曲制限の持続
 □ 脊椎叩打痛
 □ 身体の変形
 □ 発熱
 □ 膀胱直腸障害とサドル麻痺

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全腰痛患者の5%以内と少数ですが、「レッドフラッグ」に該当した患者には画像検査や血液検査をして「重大な脊椎病変」の有無を調べるようにと、ヨーロッパ腰痛ガイドラインは勧告しています。

逆に、レッドフラッグに該当しない人であれば、0.04%程度で例外の可能性はありますが、まず「重大な脊椎病変」ではないと考えてもよいとします。時が経てば腰痛は自然に治ってしまうものだと、ガイドラインは捉えています。このような症状を安全で自然に治る痛み「グリーンライト」と云います。

また、腰痛が長引いている人は心理社会的な要因があるとされ「イエローフラッグ」をチェックするように促しています。「イエローフラッグ」は「心の部分・社会の部分」で実はこれこそが極めて重要なポイントとなることが多いそうです。

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 3-2 イエローフラッグ

ニュージーランドの腰痛ガイドラインは、「イエローフラッグ」として次の7項目を取りあげていました。診療でのアドバイスとして、また患者自身による治療でも役立つものと考えられる各ガイドラインの中でも特に詳しいといわれます。

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イエローフラッグの具体的な項目は次の通りです。
A. 恐怖回避行動
 □ 痛みへの恐怖心を抱き、回避行動を取り続けることで徐々に悪化すると信じ込んで
  いる。
 □ 痛みが少しでもあれば完全な日常復帰は不可能と思っている。
 □ 生活を取り戻せるかどうか不安に思っている。
 □ 社会復帰にはあまり期待していない。
B. 腰痛に対する不適切な行動
 □ 安静を無理に長くとったり休息も必要以上にとることが多い。
 □ 運動不足が徐々に慢性化している、またリハビリの指示はあっても運動量に波が大
  きい。
 □ 医師や薬物などに頼る気持ちばかりが先行している。
 □ 睡眠不足やアルコール依存が顕著である。
 □ たばこをよく吸う。
C. 補償問題
 □ 職場への復帰を考える上であまり急がなくていいと考えている。
 □ 生活保護、医療費の紛争経験がある。
 □ 腰痛以外の問題で職場を長期離脱した経験がある。
D. 診断と治療の問題
 □ 治療において機能性の回復、可動域の回復を指示されたことがない。
 □ 診断結果としてQOLの著しい低下を告げられたことがある。
 □ 医者任せの腰痛治療を続けたために腰痛が悪化している。
 □ 腰痛以外の問題があり、また治療を受けている。
 □ 仕事は無理、と強く押された経験がある。
 □ E. 感情の問題
 □ 運動を含む日常生活の影響で痛みが悪化した経験があり、 痛みに対する恐怖心も
  ある。
 □ うつ状態が長く続くことがある。
 □ パニック障害などを持っている。
 □ ストレスによって感情コントロールもうまくできない。
 □ 自分が社会から不要と思われている、役に立たないと考えている。
F. 家族の問題
 □ 親族や結婚パートナーが痛みが起こることを心配し、かえって不安を冗長してい
  る。
 □ あるいは逆に欲求不満の捌け口にされている。
 □ 仕事への復帰をほとんど期待されていない。
 □ 身近な相談相手すら1人もいない。
 □ G. 仕事の問題
 □ 肉体労働系の仕事をしたことがある。
 □ 重いものを頻繁に持つ仕事、一定姿勢を変えずに保持する仕事、夜間を含むスケ
  ジュールの過酷な仕事をしている。
 □ 腰痛があるのに酷使されたり、腰痛が起こると罰せられるような職場、上司経験が
  ある。
 □ 腰痛のケアに対して職場側の意識がまったくない。

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4 腰痛の予防法

 4-1 日常生活での注意

① 買い物をするとき
   荷物は小分けして両手に持つ。ショッピングカートを利用する。

② 者を持ち上げるとき
   片膝を立て、もう一方の膝を十分に曲げて、体を物に近づけてから持ち上げる。

③ 長時間立ち続けるとき
   高さ10cmくらいの台に片足を乗せる(時々左右の足を置き換える)。

④ 寝るとき
   円背(背中が円い)の人が仰向けに寝ると、背骨に無理な力がかかる。横向きで寝
  るのがお勧めで、安定しない時は背中のそばに枕を挟む。

⑤ 運動のすすめ
   運動は腰痛予防に非常に効果があります。腰痛体操以外にも、散歩や水泳など長続
  きする運動を積極的に行いましょう。(圧迫骨折の急性期などでは、最小限の安静も
  必要です。運動は医師の指示のもとに行ってください。)

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 4-2 腰痛を防ぐための姿勢

年齢と共に背骨が曲がり、背中が円くなる「円背」が増えてきます。円背の姿勢は、筋肉や神経に負担をかけ、腰痛の一因となります。円背の人でも、正常な背骨に近づけようと意識することが大切です。

腰部脊柱管狭窄症の人は、背中を反らせすぎないように注意してください。

腰痛を予防し、腰痛を改善したり防止するために、正しい姿勢を意識して出来るところから姿勢矯正に取り組みましょう。悪い姿勢は腰に負担をかけるので腰痛の原因になります。「前かがみ」「中腰」などの姿勢をとらないなど、日頃から腰に良い姿勢を心掛けるとともに、「ひねったり、急な動作をしない」ように注意しましょう

中腰での前かがみが一番あぶない姿勢と言われます。体重70kgの人の腰にかかる力は、立っているだけで100kg、軽くおじぎをした状態で150kgがかかるのだそうです。

  4-2-1 立っている姿勢

軽くアゴを引き、背筋と膝をキチンと伸ばします。真横から見た場合、耳から肩・股関節・膝・くるぶしを結んだ線が直線で描かれていることが、一般的には良いとされているようです

壁を利用した簡単なチェック方法があります。背中を壁にあてて立ちます。この時、後頭部・肩甲骨・仙骨(お尻)・踵、が壁につく状態であり、腰の後ろの隙間に手が入るくらいが、正しい姿勢の目安です。

腰の後ろの隙間に、拳が楽に入ってしまうのは「出っ尻の状態」で腰椎が彎曲しすぎています。逆に、手が入らないようですと、「猫背」の状態で腰椎の彎曲が少なすぎることをあらわしています。

立つときの正しい姿勢、姿勢矯正のためのチェックポイントは次の通りです。
  ① 体が反り過ぎていませんか
  ② 猫背になっていませんか
  ③ あごをひき過ぎていませんか
  ④ 胸をはり過ぎていませんか
  ⑤ ガニマタで立っていませんか
  ⑥ 片方の足だけに重心がかかっていませんか

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  4-2-2 座っている姿勢

正座は、自然に背筋が伸びるため腰にやさしいとされます。背中が丸まらないように注意し、お尻の下に座布団などを挟むと背骨の自然なカーブが維持しやすくなり、ひざへの負担も減ります。

イスに腰かける場合は、お尻が背もたれに密着するように深く腰掛け、軽くアゴを引いて背筋をのばし、お腹をひっこめます。膝がお尻よりわずかに高くなるのが理想です。あぐらや足を投げ出して座る、体育すわりなどは腰に負担をかけてしまいます。また、足を組んだり、片肘をついたりすることも、腰に良い姿勢ではありません。

座るときの正しい姿勢、姿勢矯正のためのチェックポイントは次の通りです。
  ① イスの前の方に座わっていませんか
  ② 足を投げ出していませんか
  ③ 極端に高かったり低いイスにすわっていませんか
  ④ やわらかすぎるソファーに座っていませんか
  ⑤ 20分に一度は立ち上って腰を動かしていますか
  ⑥ 畳の上ではあぐらを組んで座っていませんか

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  4-2-3 重いものの持ち方

まず、どれくらいの重量があるのか、床で荷物を傾けるなどして重さを把握します。一度しゃがみこんでものにできるだけ近づき、膝を十分に曲げてお尻を落とし、腰を曲げずに体全体で持ち上げるようにします

持ち上げるときは、荷物をお腹に抱えた込状態で足の力で立ち上がります。荷物を運ぶときは荷物を体に密着させて運ぶようにしましょう。

上半身を倒して腕の力だけで持ち上げようとしたり、荷物を体から離して持ち上げようとすると腰に大変大きな負荷がかかり、ぎっくり腰などの急性腰痛を起こす危険性があるので絶対にやめましょう。

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  4-2-4 寝る時の姿勢

敷布団(マットレス)は軟らかすぎず硬すぎず、体が軽く沈み込むくらいですと背骨の自然なカーブが維持できるため、腰の負担が小さくなります。軟らかすぎると背中が丸まり、固すぎると反りが大きくなって腰に負担がかかります。

痛みがある時は、横向きでやや前かがみ(横向きエビ型)の姿勢で寝るのが一般的には楽な寝方と言われています。仰向けに寝るのはイビキをかいたり無呼吸になりがちのためお勧めしません。

枕は、高すぎ・低すぎも良くありません。横向きに寝た時に、直線で「頭」「首」「体の中心線」が真っ直ぐになるようになる高さの枕を選択します。

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  4-2-5 歩く時の姿勢

背中を丸めて常にひざが軽く曲がった状態で、上体を揺らしながら歩く「ひざ歩き」は日本人に多く見られます。歩くたびに頭が上下に動き、脚を踏み出すたびに右左へ全身が揺れる歩き方です。見た目にも悪く、腰と膝に余計な負担がかかります。

理想的な歩き方ができていると、体が左右にブレず、頭も上下に動かず一定の高さを保つのが特徴です。歩くときはあごを引いて、首・背筋を伸ばし軽く胸を張ります。足のかかとから着地をすることが基本ですが、勢いを付けて着地しないよう注意してください

目線は水平にして周りに注意しながら、かかとから着地したら親指の付け根で踏み切るのが正しい歩き方の基本です。呼吸は吐くほうを重視しましょう

歩くときの正しい姿勢、姿勢矯正のためのチェックポイントは次の通りです。
  ① 体を斜めにして歩いていませんか
  ② 背中を丸めてあるいていませんか
  ③ 体が反り過ぎていませんか
  ④ ズルズルと靴を引きずっていませんか
  ⑤ 内股・がに股で歩いていませんか
  ⑥ つま先から着地していませんか(かかとから着地しましょう。)

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 4-3 腰痛予防のストレッチ

腰痛は予防が可能であるとされています。腰痛と無縁の生活を送るには、意識して姿勢を良くする、腰を守る深層筋肉をうまく機能できるようにする、日常から腰痛を発症させないように気をつけて行動することが大切です。

腰痛予防には、背骨のS字カーブを維持することができるように姿勢を良くする、腰を守ることができるようにインナーユニットの働きを良くするためのストレッチとトレーニングを行うことです。そして、仕事や生活においてなるべく腰に負担をかけないようにすることが大切です。

まず、良い姿勢を意識しましょう。つぎに、インナーユニットの機能を良くして腹圧を高め、腰が守られるようになるストレッチを行います。ストレッチ前よりも強い痛みを感じた場合は無理せずに中止してください。

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  4-3-1 腹式呼吸

インナーユニットの働きを良くする基本的なエクササイズは腹式呼吸です。
 ① 仰向け寝でヒザを立てます。
 ② お腹に手を当て、息を吐きながらお腹を凹ませていきます。
 ③ 10秒以上かけて、細く長く腰を床に押し付けるようにします。
 ④ 馴れてきたら、より長い時間をかけて行うようにしてください。3~5セット行い
  ます。

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  4-3-2 逆腹式呼吸

腹式呼吸と同様の姿勢ですが、今度は息をゆっくりと細く吐きながらお腹を膨らませていきます。これも息を吐きながら腰を床に押し付けます。3~5セット行います。

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  4-3-3 キャットバック・ストレッチ

猫が寝起きに伸びをするような動きをイメージしてください。肩とももの付け根から、床に垂直になるように手・ヒザをつき四つんばいになります。

背中を丸めながら天井へ引き上げます。この時に息を細く吐きながら、おへそに頭が近づいていくようにします。背中が丸められることで背骨にそった脊柱起立筋へのストレッチがかかります。

息を吸いながら、背中を反らしつつ上と前に伸びていきます。天井を見るように目線を上げて首を前にのばしていきます。両手で床をじんわりと強く押していってください。これを交互に1~2回繰り返し、3~5セット行います。

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  4-3-4 腰痛予防対策指針

厚生労働省は2013年6月に「職場における腰痛予防対策指針及び解説」を改訂しました。職場で、重量の負荷、姿勢の固定、前屈等の不自然な姿勢で行う作業等の繰り返しなどで、労働者の腰部に過重な負担が加わり腰痛の大きな要因となっている。

このため、事業者は次の対策を講じることとしています。厚生労働省の取り上げた腰痛予防対策指針で、誰にでも該当する予防対策をご紹介します。

① 重い物を持ち上げる時や、カラダを曲げる時やひねる時の急激な動作に注意する。

② 前かがみや中腰等の不自然な姿勢を取らないようにする。。

③ 同じ姿勢を長時間取りつづけないようにする。。

④ 不自然な姿勢を取らざるを得ない作業や反復作業等を行う場合は、同じ作業が連続
  しないようにする。

⑤ フィットした靴を履く。腰に負担のかかる作業を行う場合はハイヒールやサンダル
  を使用しない。

⑥ 作業場内の温度が寒すぎないよう、また多湿にも注意する。

⑦ 心理的ストレスが、腰痛を発症させ悪化させる一つの原因となるので、心理的スト
  レスが溜まり続けないように考慮する。

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 4-4 ロコモを予防する食事

脊椎管狭窄症や腰椎すべり症の治療法は、手術で狭まった脊椎管を削って広げたり、腰椎のずれを元に戻す方法などがありますが、いずれも体にかかる負担が大きいのが難点と言われます。症状が進まないうちに食事にも気を配りましよう

望ましい「ロコモを予防する食事」は筋肉を丈夫にする栄養素タンパク質(アミノ酸)を含む肉・魚・タマゴ・大豆製品・牛乳・乳製品などをバランスよく食べ、タンパク質合成を促進し、骨を丈夫にする栄養素ビタミンD、B6、K、カルシウムなどを摂取する必要があるというものです。

私たちが生きていくために、「糖質・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラル」という5つの栄養素が必要です。これらは5大栄養素と呼ばれ、カラダをつくる素になったり、動かすエネルギーになったり、調子を整えたりする役割を担っています。

糖質と脂質はエネルギーを生み出す源で、これがないとカラダを動かすことはできません。タンパク質は筋肉などカラダをつくる素になり、不足すると運動器をはじめカラダ全体が衰えてしまいます。ビタミン、ミネラルは栄養素の消化や吸収を助け、代謝を促したりする働きをします。健康に生活するには、これらの5大栄養素を毎日の食事から摂ることが重要です。

ロコモ予防のために5大栄養素をバランス良く摂ることが大切です。毎日の食事でご飯やパンなどの「主食」、肉・魚料理などの「主菜」、野菜や海藻などを使った「副菜」、「主食+主菜+副菜」を揃えるようにしましょう。

もうひとつの目安としては、1日に主食のほか10種類の食材(肉類、卵、魚介類、乳製品、大豆製品、緑黄色野菜、いも類、果物、海藻類、油脂類)を食べることを目指すことも推奨されています。

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筋肉量を維持するため、肉(タンパク質)をたくさん食べても十分とは云えません。タンパク質の消化・吸収を助ける野菜や果物、海藻など(ビタミン、ミネラル)も一緒に摂取すると吸収の効率がよくなります。栄養素は互いに影響しあうので、どれかひとつの栄養素だけを大量に摂取しても無駄になってしまいます。バランスが重要です

仕事や家事が忙しい、一人なので料理が面倒という理由で、つい簡単な食事で済ませてしまうことはありませんか?ロコモのリスクも下げるには、どんなに忙しくても面倒でも食事を抜かないことが大切です。おにぎり1個、パン1枚でもいいので、三度の食事を食べるようにしましょう。

さらに、おやつを工夫するとさらに有効です。おやつには、乳製品、果物、いも類などを使った食品など、なるべく栄養価の高い食品を選ぶようにすると効果的です。普段から食が細く、あまり食べられないという場合は、スープタイプやゼリータイプの栄養補助食品などもおすすめです。

健康なカラダを維持するためには、食事を摂るタイミングや回数も意識しましょう。理想は1日3食、朝・昼・夜に分けて食べることです。とくに大切なのは朝食です。朝起きてすぐは半眠状態でも、食事をすることでカラダが目覚めてくれます。また朝から活発に動くこともできるので健康的です。朝食を食べる習慣で、夜更かしや朝起きられないといった生活リズムの乱れの改善しましょう。

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 4-5 腰痛の運動療法

運動療法にはさまざまな方法があり、大きく分けて8種類が存在します。
 ① 通常の活動性維持(身体的制限があってもそれに抗して通常の活動を行うように勧
  めるなど)
 ② 柔軟性訓練(ストレッチング)
 ③ 筋力強化訓練
 ④ エアロビック(ウオーキングやサイクリング)
 ⑤ アクア(プール内リハビリテーション)
 ⑥ 腰部安定化運動
 ⑦ 固有受容促通・協調運動
 ⑧ 直接的腰椎体操(McKenzie法など)

日本人の8割が一生に一度は経験する腰痛ですが、この腰痛の治療や診断が変わりつつあります。腰痛で受診したら、医師はまずレントゲンを撮り、骨に異常がなくても「まずは安静に」と指示されましたが、これからの治療はガイドラインの普及で変わると白土修教授はおしゃいます。

痛みを訴えて受診する人のうち、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など原因が特定できる腰痛は約15%でした。ぎっくり腰を含め、病態不明の「非特異的腰痛」のほうが多いといのが現実です。この「非特異性腰痛」の原因の一つに「心理的・社会的なストレスがあり、これが改善を遅らせる要因にもなる」との視点が盛り込まれました。

欧米での研究で、ストレスと腰痛の因果関係が証明されています。「骨に異常がないのに、鎮痛薬などの治療をしても症状が改善しない人は、ストレスが関係している可能性が考えられます。ですから、腰痛のせいで人生真っ暗だと思い込んでいる人もいますが、腰のことばかり考えず、上手にストレスをコントロールして気分転換をしてください。」と白土教授。

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5 腰みがき

腰みがきを習慣化することで虫歯を防ぎますが、歯磨きのように腰の手入れを習慣化させ、腰痛の予防と治療に役立てることです。高齢者でも楽にできる白土教授考案の腰痛体操です。

安静は必ずしも有効な治療法とはいえない、という考え方が広がってきました。発症から72時間未満でも、ベッドで絶対安静にしているより、痛みに応じて普段と同じように活動したほうが回復は早いそうです。介護職など職業が原因の腰痛でも、休職期間は短いほうが再発予防に効果的と言われます。

3カ月以上続く慢性腰痛には運動が効果的です。白土教授らが行った運動療法と薬物療法の比較試験で、痛みを和らげる効果は同程度でしたが、生活の質や機能回復面では運動群が明らかに有効でした。ストレッチや腹筋、背筋を毎日続けることは再発予防にも有効という結果が出ています。

正しい姿勢とは、背中をまっすぐにする。お腹に力を入れる。お尻をすぼめること。膝を軽く曲げること。そして、筋肉は重要ですから、腹筋と背筋を強化します。

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 5-1 腰みがき五ヶ条

① つねに背筋を伸ばすように意識する。

② イスには深く腰掛け、机に近づく。

③ 荷物を持ち上げるときは膝を曲げる。

④ 寝るときは横向きで。

⑤ 毎日かかさず運動を

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 5-2 楽に行える体操

① 壁伝い背伸び(腰部脊柱管狭窄症の人は注意して行ってください。)
   壁から10cm離れて両手両ひじをつき、息を吐きながら両手を壁伝いにあげてい
  き、体全体を十分い伸ばしたら、その姿勢を30秒間保つ。毎日10秒ずつ増やし、
  3~5分保つことを目標とする。

② 上体前倒し
   息を吐きながら体の力を抜いて上半身を前に倒し10秒保つ。朝昼晩5~10回行
  う。

③ 片脚あげ
   背中をつけたまま片脚をあげて10秒保ち、腹筋と脚の筋肉を強くする。朝昼晩5
  ~10回行う。

④ 背中で壁押し
   背中全体でゆっくりと壁をできるだけ強く押す。朝昼晩5~10回行う。

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 5-3 少しだけ頑張る体操

① 状態そらし(腰部脊柱管狭窄症の人は注意して行ってください。)
   うつぶせに寝た状態から両ひじをつき、その姿勢を30秒保つ。毎日10秒ずつ増
  やし、3~5分保つことを目標とする。

② 両もも抱え込み
   ももの裏側を腕で抱え込み、できるだけ胸に近づけて10秒保つ。慣れてきたら
  30秒程度保つ。朝昼晩5~10回行う。

③ 片手片脚あげ
   片手を水平にあげて10秒保ち、背筋の上の方を強くする。次に片脚を水平に上げ
  て10秒保ち、背筋の下の方を強くする。朝昼晩5~10回行う。

④ 両脚あげ
   背中をつけたまま、両脚をあげて10秒保ち、腹筋を強くする。朝昼晩5~10回
  行う。

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 5-4 頑張りが必要な体操

① 両ひざ抱え込み
   両ひざを抱え込み、できるだけ胸に近づけて10秒保つ。慣れてきたら30秒程度
  保つ。朝昼晩5~10回行う。

② 片ひざ抱え込み
   片ひざを抱え込み、できるだけ胸に近づけて10秒保つ。慣れてきたら30秒程度
  保つ。朝昼晩5~10回行う

③ 背筋運動
   うつぶせになり、腰骨の下からお腹にかけてタオルをはさむ。少しあごを引いて背
  中を反らせ、背筋を鍛える。朝昼晩5~10回行う

④ 背つけず両脚あげ
   しっかりした椅子に座り、背中を背もたれにつけずに両脚をあげて10秒保ち、腹
  筋を鍛える。朝昼晩5~10回行う

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6 シトルリン

 6-1 シトルリンの歴史

シトルリンは、1930年に日本で「すいか」から発見された栄養素です。シトルリンは、すいかの原種であるといわれているカラハリ砂漠の野生すいかに特に多く含まれ、強力な日光が降り注ぐ乾燥した過酷な環境で生き抜くために、シトルリンは重要な役割を持つ成分であると考えられています。

シトルリンという名称は、すいかの学名であるシトルラス・ブルガリスから名付けられました。日本では、2007年8月に食品成分として利用可能になり、現在では主に健康食品として利用されています。

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 6-2 遊離アミノ酸

私たちの体の血管や内臓、皮膚、筋肉などのもとになるタンパク質を構成しているのがアミノ酸です。食べ物を消化したり呼吸できるのも、アミノ酸のおかげです。アミノ酸は人間の生命活動を支えるためにとても大切な働きを担っています。

私たちの体の約20%はタンパク質といわれ、タンパク質はアミノ酸からできているので体の約20%はアミノ酸と言えます。体重50kgの成人であれば、10kgものアミノ酸で体が構成されていることになります。

シトルリンは、すいかなどのウリ科の植物に含まれる遊離アミノ酸の一種で、スーパーアミノ酸と呼ばれることもあります。遊離アミノ酸は、たんぱく質を構成せずにひとつひとつバラバラの状態で体内に存在し、細胞や血管を巡りながら必要な時にすぐ働けるような状態のものを指します

シトルリンは遊離アミノ酸の一つとして体内を巡っています。遊離の状態でしか存在していないアミノ酸としては、シトルリンの他に、オルニチンやギャバなどが知られています。遊離アミノ酸は、きゅうり、苦瓜(ゴーヤ)、メロン、冬瓜などの可食部に含まれ、安全性の高さが確認されています。

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 6-3 シトルリンの働き

シトルリンで特に注目されている働きに、血管拡張作用が挙げられます。シトルリンは、血管を拡げる作用を持つ一酸化窒素(NO)づくりをサポートするといわれています。一酸化窒素は、血管の平滑筋を弛緩させる作用があり、それによって動脈を拡張させ、血流を改善することができます

血流を改善することにより、むくみや冷えの改善、新陳代謝の向上などの効果が期待されています。また、シトルリンは肝臓内でアンモニアを解毒するために重要な役割を担う成分であるほか、皮膚の水分保湿因子のひとつとしても知られています。

血のめぐりをスムーズに維持して、体のすみずみまで酸素と栄養素を届けます。これにより、美容やダイエットのサポートはもちろん、脳や心臓など、さまざまな部位の幅広い健康をサポートします。

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 6-4 シトルリンの効果

シトルリンは、血管を拡張して血液の流れをよくし抗酸化作用によって免疫効果を高めるとされ、医薬品の認可を受けたのち食品として認められた新成分で、基本的に副作用はありません

シトルリンにアレルギーがなく、過剰に摂取しすぎなければ安全といえます。但し、これは全ての健康食品について言えることですが、病気を患って病院通いをされている方は念のため医師に相談されてから摂取をお勧めします。

85歳になった現在も医師としてバリバリ活躍している桑原康隆先生は、2年前から脊椎管狭窄の症状に悩まされていました。「飲み始めて半年以上ですが、右足のしびれがあまり気にならなくなったことに驚きますね。医療とサプリメントは違うものですが、上手に使えば非常によい働きをするということがわかりますね。毎日愛用しています。」と、週刊ポスト2012年3月2日号のインタビューに答えています。

シトルリンは、炎症ケア成分として話題の「非変性II型コラーゲン」や神経系のケアとして神経細胞を修復する働きをもつ「ビタミンB12」や、骨量増加をサポートする「卵黄ペプチド」などと複合することによって機能パワーがアップし、ジンジンするしびれや痛みに大きな効果を発揮するということが分かってきました。

また、同じアミノ酸のアルギニンやオルニチンと関わりながら、男性の精力や運動時のパフォーマンスに関与する一酸化窒素(NO)を生成します。非常に幅広い健康パワーを持つシトルリンは、いつまでも若々しくありたい方、スポーツをされる方、ダイエット中の方など、老若男女問わずおすすめのスーパーアミノ酸と言われます

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7 ロコモ防止の実践

2011年の春、歩いているときに両太腿のだるさを感じ、整形外科で診察を受けると医師はレントゲン写真を見ながら「脊柱管狭窄症ですね。歩けなくなったら手術をしますから来てください。」と診断、注射も薬も症状緩和策の説明もありません。

月刊誌「壮快」の2012年2月号に、帝京平成大学健康メディカル学部教授でスポーツ整形外科が専門である、渡會公治先生の「楽々できて痛みもしびれも即解消」が掲載されていました。また、竹谷内カイロプラティックセンター院長で整形外科医である竹谷内安修先生の、「30秒でできる足抱え体操」が紹介されていました。

テレビの医学バラエティ番組で、福岡市みらいクリニック院長の今井一彰医師が考案された「あいうべ体操」が紹介されました。あいうべ体操で口呼吸を鼻呼吸に改善すると、アレルギー改善とインフルエンザ予防になり、風邪をひかなくなるという説明でした。

2016(平成28)年9月30日に開催された白石区保健福祉部健康・子ども課健やか推進係主催のヘルスアップ教室「生活習慣の見直しでメダボ解消宣言」を受講すると、講師の保健師と歯科衛生士より誤嚥性肺炎を防止する口腔ケアを教えていただきました。

寝たきりになりたくない、認知症になりたくないと考えているだけで、ピンピンコロリというわけにはいきません。家族に迷惑をかけずに過ごために、現在の症状を少しでも自力で改善することはできないかと考え、一つ一つ実践しました。

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 7-1 あいうべ体操

人間は生まれてから死ぬまで休むことなく呼吸をしなければなりません。一日の呼吸回数は何と2万回、それを鼻からする鼻呼吸なのか、口からする口呼吸なのかで驚くほど異なるそうです。赤ちゃんはおっぱいを吸いながら鼻呼吸をしています。体にとって優しい空気の取り込み口である、鼻を活用することが呼吸器にとっては正しい呼吸法なのです。

口呼吸がもたらす最大の弊害は、咽頭リンパ組織の乱れや鼻粘膜などの萎縮、口腔内雑菌の繁殖によって引き起こされる免疫異常です。人間の鼻と口の奥には、ワルダイエルのリンパ輪といって外敵から体を守るリンパ組織が備わっています。ここに絶えず炎症が起こると(たとえば慢性扁桃炎)免疫異常が引き起こされてしまいます。

高齢になるとドライマウス、いつも口が渇くという症状が出てきます。口腔や咽頭筋力の低下により、気道抵抗の高い鼻呼吸がつらくなり口が開きやすくなります。気管支喘息でも、気道の過敏性が高まり冷たい空気を吸うことにより気管支が収縮し喘息発作の引き金となることも分かっています。誤嚥性肺炎なども起きやすくなります。

そこで、目覚めると布団の中で横になったままの姿勢で「あいうべ体操」を10セット行い、寝る前にも10セット行っています。年間10回近く風邪をひいていましたが、あいうべ体操を始めてから風邪をひかなくなりました。

下の「あいうべ体操カード」は、福岡市みらいクリニック院長の今井一彰医師のWebページから転載しました。ありがとうございます。

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 7-2 誤嚥の防止体操

食事中の喉の動きを考えてみましょう。食物を口へ入れると舌で味わいながら歯で咀嚼(そしゃく)し、唾液腺から唾液が分泌されて咀嚼の動作を補助します。咀嚼が終わると口が閉じられ、舌で食物を首の下へ送り込みます。このとき軟口蓋(なんこうがい)が上って鼻に流れ入るのを防ぎます。

咽頭が上咽頭から中咽頭の順に収縮して、食物を下へ送り込みます。のどぼとけを中心とした喉頭が持ち上がり、舌の根元と喉頭のてっぺんにある喉頭蓋というふたを挟み込んで、喉頭の内腔(ないくう)へ食べ物や水が入らないよう気管にふたをします。

食べ物や飲みものを飲み込む動作を「嚥下(えんげ)」と云い、この動作が正しく働かないことを「嚥下障害」と云いいます。食べ物や飲み物、胃液などが誤って気管や気管支内に入ることを「誤嚥」と云います。

誤嚥性肺炎は、細菌が唾液や胃液と共に肺に流れ込むことで生じる肺炎です。高齢者の肺炎の70%以上が誤嚥に関係していると言われています。再発を繰り返す特徴があり、それにより耐性菌が発生するので治療が困難なことが多く、高齢者の死亡原因となっています。

あいうべ体操に引き続き、喉頭と喉頭蓋周辺の筋肉を鍛えるために「舌の体操」を行います。舌を上下左右に動かし、回転させたり押し付けるなどの運動を朝夕10セット行います。この体操を始めて一ヶ月ほどが過ぎると、食べ物が気管に入ってむせることがなくなりました。

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  7-2-1 舌の上下体操

舌を出して鼻をなめるように上げて10を数え、続いて、顎をなめるように下げて10を数えます。この動作を10回繰り返します。

  7-2-2 舌の左右体操

舌を出して右へ伸ばして10を数え、続いて、左リへ伸ばして10を数えます。この動作を10回繰り返します。

  7-2-3 舌の回転体操

舌を出し、右へ伸ばして上唇に沿いながら左へ動かし、下唇に沿いながら右へ動かして一回転させ、更に上唇に沿いながら左へ動かして左端で止めます。この動作を逆に繰り返して右端で止まると1回とします。これを10回繰り返します。

  7-2-4 口を閉じた体操

舌で、上唇・下唇・右頬・左頬の順にかわるがわる押します。これを10回繰り返します。

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 7-3 唾液を出す体操

ハンバーグなどのようにやわらかい食物ばかりを食べ、噛まない食生活を続けると唾液腺は退化します。顎に負担がかからないと下顎が弱って変形し、唾液が少なくなると口内菌が増殖して口臭が発生します。唾液腺をマッサージをすると唾液がでてきます。

耳下腺は、耳たぶのやや前方、上の奥歯あたりの頬に人差し指をあて、指全体でやさしく押します。梅干しやレモン汁のような酸っぱい食べ物を想像すると、スーット唾液が出てくるところです。5~10回繰り返してやさしく押します。

顎下腺は、顎の骨の内側のやわらかい部分です。指をあて、耳の下から顎の先までやさしく押します。5~10回繰り返します。刺激を受けることで唾液腺が活性化し、唾液が出やすくなります。

舌下線は、顎の先のとがった部分の内側、舌の付け根にあります。下顎から舌を押し上げるように、両手の親指でグーット押します。5~10回繰り返します。

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 7-4 軽いストレッチ

  7-4-1 足抱え体操

足抱え体操は、腰椎の周囲の筋肉を鍛えて椎間板が飛び出すのを防ぐ目的と、脊柱管狭窄症の症状を緩和させる目的で行っています。

仰向けに寝て、両膝を抱えた姿勢竹谷内カイロプラチックセンターの竹谷内康修院長が推奨された、あおむけに寝て両手で両膝を胸に近づけ、足を抱え込んで「30秒でできる足抱え体操」を1日10セット行います。

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  7-4-2 ワイパー体操

ワイパー体操は、背骨をじゅうぶんに動かして腰椎の周囲の筋肉を鍛え、脊柱管狭窄症の症状を緩和させる目的で行っています。

日本臨床スポーツ医学会理事の渡會公治先生が推奨された、うつぶせ姿勢で両足をそろえて立て、両足首を左右に倒す運動を1日10セット行います。

    うつぶせになり両足を立てた姿勢    両足を左右に振っている姿勢

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  7-4-3 体幹トレーニング

テレビ番組で岡山県の医師が高齢者に指導していたスラビライゼーションというトレー四つん這いからの姿勢ニングで、体幹を鍛えることにより躓くことがなくなったという紹介でした。

四つん這いの状態から、右腕と左足、左腕と右足のペアを交互に上げて20~30秒保つ運動を1日10セット行います。運動を始めてから躓くことがなくなりました。

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  7-4-4 腕立て伏せトレーニング

うつぶせになって両腕で上半身を持ち上げ、つま先で下半身を持ち上げます。腕立て伏せは、両手を肩幅より少々広めに開けて上体を真っ直ぐに保ち、ゆっくり行います。最初は5回くらいから初めて、次第に回数を増やします。

腕立て伏せの姿勢お尻をあげたり背中が動くと、可動範囲が狭くなって胸や腕に与える刺激が少なくなります。反動を使わずにゆっくりした動作を心掛けます。腕立て伏せの場合は、上体を半分降ろすよりギリギリまで降ろした方が可動域が広くなります。

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  7-4-5 背筋トレーニング

チューブ引き上げ運動は、左の図のように体の前に腕を上げる事で三角筋の前部に負荷四つん這いからの姿勢をかけるトレーニングです。後期高齢者になった私は、無理をせずに前かがみの状態からチューブを腰の高さまで引き上げて30秒制止する運動にしています。

これにより背筋に負荷がかかり鍛えることができます。この運動を10回繰り返して行います。

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  7-4-6 ツボへの刺激

・ 湧泉への刺激

湧泉の位置浪越徳次郎氏が「指圧の心、母心、押せば命の泉湧く」と言われた湧泉は、体力や気力を高めて体全体を元気にする万能のツボで、土踏まずのやや上の中央、足の指を曲げてへこんだ所にあります。両手の親指の先を使って少々強く押し揉みます。3秒間隔で押したり弛めたりの刺激を交互におこない、これを10回繰り返します。

・ 足中指への刺激

足の中指をつまんでぐるぐると回したりそらすように伸ばします。足の中指は腎臓に関係している部位と言われ、腎臓に良い影響を与えるとされています。これを20回繰り返して行います。

・ 爪もみ

新潟大学大学院医歯学総合研究科教授の故安保徹博士は免疫学の権威ですが、免疫力を高める方法として「爪もみ」を推奨されました。手足の指の爪の生え際を押しもみす井穴の位置ることでリンパ球を増やし免疫力を高めることができるそうです。

爪の生え際にある「井穴(せいけつ)」というツボを刺激すると、神経繊維が集中する井穴への刺激は瞬時に自律神経に伝わってバランスを整えるそうです。爪の生え際を反対の手の親指と人差し指で挟むように10秒ずつ強く押すだけです。薬指を除いて、両手両足ともに親指から順番にもみます。

薬指は交感神経を刺激するのでさわらないでください。薬指をもむと顆粒球が増え、顆粒球の寿命が尽きると活性酸素を出して臓器や血管などの組織に影響を与える可能性が問題視されています。触らぬ神に祟りなしです。

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  7-4-7 速足歩行運動

東京都健康長寿医療センター研究所の運動科学研究室長の青柳幸利博士は、10年以上にわたって約5千人の高齢者の身体を調査し、そこから導き出された運動の法則を研究されています。

その結果、高血圧症・糖尿病・動脈硬化・がん・認知症などの病気予防、老化や病気を防ぐためには高齢者に限らず、若いころから「1日8000歩、中強度活動時間20分以上の活動」を意識することをすすめています。

時間のある時は、速足で5.4kmを50分で歩くと約7,000歩になります。1時間4kmが普通の歩行速度ですから、時速は6.4kmは少々早い歩き方になります。万歩計で1日の歩行数が8000歩になるように歩いています。

病気の予防ライン

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 7-5 認知症の予防

  7-5-1 筆記用具別の文字練習

文字を書くのが下手で、現職時代はワープロやパソコンで書類を作っていました。ボケ防止は慣れないことに挑戦するのがよいと聞き、70歳になってから文字を書く練習を始めました。

百人一首練習帳は、見開きの2ページを無地のノートに2首を各4回、万年筆で書き写しています。つづけ字くずし字練習帳は、無地のノートに1文字をボールペンで10回書き写しています。般若心経は、百円ショップで購入した半紙を手本に載せ、筆ペンで1日二行を書き写しています。

習字の練習教材

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  7-5-2 脳を鍛える

くもん出版の「脳を鍛える大人の音読ドリル」「脳を鍛える大人の計算ドリル」「脳を鍛える大人の記憶ドリル」「脳の活性化、小学校で習った言葉クロスワード」に毎日挑戦しています。

アルツハイマー病患者に音読や簡単な計算を続けてもらうと、認知機能低下の防止と前頭葉の機能改善に成功したそうです。無地のチラシなどに鉛筆で回答を書き込むと、ドリルは何度も使えるので年金生活者は助かります。

痴呆防止用の教材


 これらのことを一度に始めたわけではありません。学ぶたびにひとつずつ増やしていきました。これまでの効果は、しびれで歩行困難となって座り込むことが減り、外や室内でうっかり躓くことがなくなりました。誤嚥でむせることがなくなり、年に10回以上もひいていた風邪は、この2年間で1度だけに減りました。また、記憶がよみがえる速度が以前より速くなったという実感があり驚いています。

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