1 大規模修繕への準備
1-1 修繕のための組織
2000(平成12)年度の理事長に選出され、築後9年目に当たることからマンション管理セミナーで取り上げられている大規模修繕の準備をしなければならないと考えました。道庁の建築指導課が平成8年に発行した「わかりやすいマンション管理」を見ながら理事会で「長期修繕計画の立て方と修繕積立金の決め方」の必要性を説明をしました。
12月の理事会で修繕計画作成委員会の設置を承認いただき、委員を選出して委嘱しました。第一回の修繕計画作成委員会を開催する直前に、2001(平成13)年1月21日発行の理事会報第75号で「長期修繕計画の目的と作成手順」をお知らせしました。
先月末に、修繕計画作成委員会(中略)の委員を委嘱いたしました。(中略)委員の方々には、ご多忙のことと存じますがどうぞよろしくお願いいたします。
会議に使用する資料を準備すべく、毎月区分所有者へ回覧しているマンション管理通信やインターネットでマンション管理センターの情報を見直しましたが、寒冷地におけるマンションの大規模修繕についての情報は皆無といった状態です。しかたがないので休暇を一日もらい、北海道庁と札幌市役所の建設局やマンション管理センター北海道支部、住宅金融公庫や社団法人北海道マンション管理組合連合会(以下「道管連」という。)などにお邪魔して、修繕についての説明を伺いながら資料を収集してきました。
訪問先で驚かれたのは、平方メートル当たり29円という修繕積立金の額です。「少なすぎると気付かなかったのですか。修繕費の拠出は一時負担にしたのですか。建築会社や管理会社が修繕計画を立てたり、助言をしてくれるわけではありません。すべては自分達で考えることなんですよ。標準的には建築後8年目から修繕工事が始まりますが、築後9年目ですから手遅れにならないよう急いでください」。この日得た資料から、大規模修繕と長期修繕計画の目的や作成手順などの概要をお知らせいたします。
ア. 大規模修繕と長期修繕計画
鉄筋コンクリート造の建設構造物は、60年~100年の耐用年数があると云われています。この耐用年数は建物が適切に維持保全されていることが前提となります。
マンションも建設されてから一定の年数を経ると、日照、雨水、空気中の二酸化炭素等による物理的・化学的要因によって劣化します。さらに、寒冷地特有の凍結融解などによる凍害の影響により、構造体であるコンクリートの劣化は年と共に進行し、使用部材(受水設備やポンプ・給排水管やガス管など)や機器(照明・開閉器・エレベーターなど)の劣化や陳腐化が避けられなくなります。
このようなことから、長期間にわたってマンション居住性の保持と資産価値の保全を図り、健全な状態で建物全体を維持管理するには、一定の大規模修繕が避けて通れない問題となります。大規模修繕を適切有効に、かつ経済的、計画的に行うためには長期修繕計画の策定が必要不可欠です。
イ. 略
ウ. 長期修繕計画作成の手順
1) 事前調査(理事会と修繕計画作成委員会)
ア. 必要書類の整備 計画書作成に必要な資料(図面など)の整備
イ. 修繕箇所の調査 目視など
ウ. 戸別事情のヒアリング
2) 長期修繕計画書の作成(素人には不可能)
事前調査をもとに修繕項目をリストアップして修繕周期や仕様などを
検討して、修繕費用(概算)を算出することになります。
ア. 財団法人マンション管理センターへ依頼(15,000円)
コンピュータによる修繕積立金算出システムの利用。東京を中心と
した平均的データに基づくため、寒冷地対策が甘すぎるとの評価があ
ります。
イ. 道管連へ依頼(50,000円)
一級建築施工管理技士による建物や設備の目視と計画書作成に必要
な資料(図面など)を基に作成。会員ではありませんし会費を払って
いませんが、援助していただけるとのことでした。
ウ. 管理会社へ依頼(費用不明)
紐付きとなりやすく他の建築会社へ発注することはほぼ不可能。
単年度の修繕費用及びその累計を計算し、修繕費用年次計画者の作成は素人には不可能なため、前記同様に専門家へ依頼しなければなりません。
エ. 略
オ. 修繕項目と修繕工事費の設定
修繕項目については大別して建築関係、管設備関係、電気設備関係、その他外構などとなりますが、各項目については管理組合独自の判断によるものとされています。また、工事費用の積算については積算法とモデル批準法がありますが、どの方法を採用するかは作成目的、作成費用から判断すべきと思われます。
カ. 大規模修繕工事の実施
長期修繕計画の最終目的である修繕工事の実施に当たっては、次のような5つの方式があります。それぞれ特徴がありますので、どの方式を採るかはマンションの規模、改修に対する考え方、資金計画など、組合員の合意の下に決定されることです。
工事発注方式
a. 管理会社委任タイプ(責任施工方式)
b. 設計会社委任タイプ(設計管理方式)
c. リホーム業者委任タイプ(責任施工方式)
d. ゼネコン委任タイプ(責任施工方式)
e. 実行委員会タイプ(自主管理方式)
キ. 長期修繕対象項目
1) 建築物関係 体質改善工事、仮設工事、外壁工事、外壁タイル補
修、バルコニー補修、屋上防水など
2) 内装関係 共用部の壁・床・天井など
3) 設備・給排水・ガス関係 受水槽交換、給水ポンプ取替、給水
メータ取替、給水管更正工法、給水管取替、配水管取替、ガス潤取替な
ど
4) 電気設備関係 屋外照明器具、開閉器取替えなど
5) その他 エレベーター、外構関係、駐車場舗装など
※ 修繕積立金の算出方法
例 修繕費が30年間で1億円かかるとした場合の計算
一ヶ月の積立必要額250,000円 ÷ 区分所有者数21戸=
11,905円 ≒ 12,000円
但し、すぐに着手しなければならない工事がでてきた場合は、積立
金が追いつかないために借入金を充当することとなり、借入金に対す
る利息分を加算しなければならなくなります。
2 修繕計画作成委員会
第一回修繕計画作成委員会で検討されたことは、2001(平成13)年1月31日発行の理事会報第76号で「長期修繕計画の作成がスタートしました!」とお知らせしました。
平成13年1月28日(大安の日曜日)午後6時30分より町内会館和室で関係者全員の参加をいただき、「第四回理事会」と合同で「修繕計画作成委員会」(中略)が開催されました。理事会報第73号(中略)に掲載しました「長期修繕計画書の目的と作成手順」の概略説明に引き続いて北海道庁と札幌市役所の建設局や住宅金融公庫、マンション管理センター北海道支部や道管連などで得られた情報をお話したあと、区分所有者の居住が3分の2となったマンションでいま私たちは何をなすべきかについてざっくばらんに話し合いました。
壁面に入った亀裂を修理するために、その部分のタイルを8年間で3回張り替えました。道管連の一級建築施工管理技士は、壁面の亀裂は毛細管現象で雨水を吸い上げてコンクリートに溜め込んでしまい、この雨水が鉄筋を腐食させる元になる。亀裂部分のコンクリートは外気に触れるため炭酸ガスによって劣化してゆく。地面に近い部分に亀裂が入ったら、建物の他の部分、目視できない上の部分にも亀裂が入っていると考えるのが自然であるといいます。
この日お集まりいただいた方々は、長期修繕計画の作成を早急に行わなければならないということで意見の一致をみました。長期修繕計画の作成は専門家の力を借りなければなりませんので「マンション管理センターのコンピュータによる長期修繕計画策定と修繕積立金算出」の資料と、道管連N相談員(一級建築施工管理技士)のおはなしを紹介しました。
その後の話し合いで、温暖地に居住する者がその周辺の資料をもとに推測しても、寒冷地における機材の耐久度など的確に理解することは不可能であり、それを求めること自体に無理があるだろう。若干費用がかかっても、東京を中心とした資料をもとに推測で算出される数値を元にした計画書よりも、マンションまで出向いて外壁や屋上、エレベータや水道水汲み上げ用インバーターモーターなどの機器を目視してから作成する数値や計画書のほうが、信頼性は格段に高いということになりました。
このことから、「長期修繕計画策定と修繕積立金算出」は、北海道と札幌市からの補助金を受けている「道管連」のN相談員に委託し、その費用「5万円」は今年度分の予備費から支出する(中略)ことが合意されました。
N相談員にお尋ねしてから、各戸室の専有使用が認められている共用部のバルコニー(中略)と、目視可能と思われる外壁などの調査にご協力いただきます。その際は図面を配付しますので、共用部に亀裂や部材の剥離が見られないかなどの点検結果の記入をお願いいたします。これは、区分所有者のみならず賃貸契約者もご協力いただきます。共用部に損傷が発見された場合は管理組合役員と修繕計画作成委員が立ち入り調査を行い、状況を的確に把握した上で修繕計画の中に反映させます。
1) 計画書の作成と必要資金の算出
ア. 長期修繕計画策定と修繕積立金算出は、道管連に委託する。
イ. 委託費は、平成12年度予算の予備費より支出する。
ウ. 2月下旬(25日午後予定)に、担当者を招いて全体説明会を開催
する。
2) 共用部の損傷調査
ア. 賃貸契約者を含めた全員で、共用部の目視点検を実施する。
イ. 点検結果は調査報告書に記入して、期日までに理事長へ提出する。
ウ. 共用部の損傷は、管理組合役員と修繕計画作成委員が立ち入り調査
を行う。
エ. 調査漏れで何らかの影響が出た場合は、調査実施者の責任を問う場
合もある。
3 長期修繕計画の勉強
3-1 事前の調査
第一回修繕計画作成委員会と合同で開催した理事会で「長期修繕計画策定と修繕積立金算出」は「N相談員(一級建築施工管理技士)」にお願いしました。お届けしたマンションの図面と外観の目視結果を元に計画の策定と費用の算出を行い、全体会でその結果を区分所有者へ説明することが受託内容ということでした。
建築後8年目で積立金もわずかという現状から、専門家より直接おはなしをいただいて修繕計画に関する全員の共通理解を得たいと少々わがままを云いました。(中略)長期修繕計画勉強会のようすは、2001年(平成13)年3月11日発行の理事会報第79号でお知らせしました。
時ならぬ雪が降りしきる2月25日の正午すぎに、N相談員がお見えになりました。車を14番駐車場へ入れていただいて町内会館へご案内しようとしますとマンション外壁とバルコニーを見せていただきますと、小さなハンマーを取り出されました。
N相談員は雪の中で西側外壁からトランクルームにかけて、背丈ほどの位置をハンマーによる打診法でタイルの浮きをチェックされていました。トランクルームをすぎて、バルコニーの手すりを床面の位置からしばらく覗き込んでいましたが、ヒビの入っている手すりの柱の付け根を指でさされ、この手すりは構造上の欠陥がありますよと指摘されました。
東側外壁タイル(中略)東側玄関ホール内をチェックされてから、雪の深い北側タイルは目視されました。西側玄関ホール内の床タイルを打診するとタイルが数枚浮き上がっている音がします。(中略)もっとも気になる部分をチェックしたいとのご希望に、管理人室床にあるポンプ室の蓋を空けました。N相談員は懐中電灯でしばらく内部全体を見回していましたが、ポンプ室は結露もなく心配する必要がない状態と太鼓判を押されました。
3-2 N相談員のお話
2月25日の正午過ぎにおいでいただいたN相談員は建物の一部をご覧になり、町内会館での長期修繕計画勉強会に望まれました。この時のようすを2000(平成13)年3月11日発行の理事会報第79号でお知らせしました。
道管連は、札幌市内2,500棟、道内3,000棟あるマンションのうち410棟の管理組合が加入しています。大規模修繕に関してはこれまで200件の実績があります。
鉄筋コンクリート造りマンションの耐用年数は60年で、経済的にも財産的価値からもその程度と判断できます。先ほど見せていただきましたがバルコニーの40数mもある手すりが、中間に支えもない状態で柱だけで持っています。柱の足の部分、コンクリートの中に入っている部分は足が腐って劣化しています。ヒカエが(支え?)がない構造ですから、その部分を切ってみれば分かりますが、内部はぐしゃぐしゃになっています。危険ですから寄りかかったり、もたれたりしないよう注意してください。柱をつたった雨水がコンクリート内へ入らないように水を逃がす工法もありますので、修繕計画のなかで考えていくと良いでしょう。
外壁の一部を診断しましたが、タイルの浮きが感じられるところはありませんでした。簡単な検査ですから、大規模修繕を実施するまえには30万円ほどかかりますが、事前に(中略)専門家による劣化診断を行いそのデータを参考にして考えていかれるとよいでしょう。
「修繕積立金はいくらですか。」「平成12年度総会議案書の特別会計収支決算書では45,450円になっています。」「ああ、45万円ですか。」「いいえ、4万5千円です。」「なんですかその金額は。一戸当たりですか。」「いいえ、全戸室の年額です。資産は、国債が630万と積立保険が460万の約1,100万円ほどあります。」「その、4万5千円って、45万円じゃないんですか。大規模修繕費用は1㎡当たり6~7万円というのが相場ですから、現在の積立金の額では一戸あたりで換算すると200万円の一時金が必要という計算になりますよ」。
長期修繕計画は本来管理組合が作るべきもので、計画には管理組合の意志が反映されるものです。とは云っても、素人がつくるのは難しいと思います。今回ご依頼いただきました「長期修繕計画」は一ヵ月半後に完成しますので、そのときにまた皆様方にお集まりいただいて説明させていただきます。
3-3 何年暮らしますか
N相談員にお引き取り頂いてから、大規模修繕費用は1平方m当たり6~7万円で、現在の積立金の額では一戸あたり200万円の一時金が必要との説にこの建物を何年持たせるべきかとの質問がでました。
3-3-1 アンケートの実施
大規模修繕は建物の保全ですが、全区分所有者が60年持たせようと考えるか、15年持てばよいと考えているかで修繕費用のかけ方も異なります。区分所有者の意向をさぐるため2001(平成13)年3月11日発行の理事会報第79号でアンケートを実施しました。
「あなたは、このマンションで何年間暮らしますか」というのが、聞きづらく答えずらい質問のひとつです。鉄筋コンクリート造りマンションの耐用年数は60年で、経済的にも財産的価値からもその程度ということですから、計算基礎を60年とすれば良いわけですが、そんなに持たせなくてもとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
例をあげて考えてみました。私はこのマンションで一生を終わります。父親の年齢より少々長生きするとしても、あと15年ぐらいなものでしょう。昭和16・17年生まれから年金額は5%ずつ減額されることになりました。里塚で灰になる日が目前まできているのに、減額された年金をつぎ込んでまで建物の将来を考えるでしょうか。でも、嫌といえないことも十分知っています。
一方、将来は悠悠自適で暮らそうと35年のローンで退職金を担保にした方はどうでしょう。10年や15年で建物がだめになってしまったらすぐに新しいマンションを購入できるでしょうか。二重三重の借金に苦しむことになりかねません。あの時にきちんとしておけばと気づいたときは手遅れになっているかもしれないのです。
親子が二世代三世代で居住するため広い建物が必要となり、マンションを手放す方もいらっしゃるでしょう。転勤先の土地にほれ込んで、戻る意志の失われる方もあらわれるでしょう。若い方は、マルチメディア完備の近代的なマンションへ移られるかもしれません。それぞれが、それぞれの人生を楽しむ権利があります。管理組合設立総会に出席した方々は、そしてみんないなくなったという時期がくるかもしれません。
このようなことから、マンションをあと何年保全すべきかと考え込みます。誰もが15年しか住まないのなら15年持たせればいいのです。40年住むのであればそれなりに手を打たなければなりません。期間の開きが大きいからといって費用負担を多くするわけにはいきません。月額は同じでなければ平等にはならず、標準管理規約の規定にも抵触します。あれやこれやと考えつづけると、何もしないほうが良いのではと云う考えにたどりつきます。そのうちだれかがやってくれるだろうと思えば、これほど楽な結論はありません。
別紙のアンケートにご協力ください。4月末頃に長期修繕計画の説明を受けながら修繕積立金の月額を考え、どの程度の修繕でいくらかかるかその後はどうするかといった問題を解決していかなければなりません。アンケート内容は長期修繕計画と修繕積立金、話し合いの出来なかった委託管理の問題点のふたつに絞りました。集計結果は理事会報でお知らせしますが、これを基に理事会と長期修繕計画作成委員会(中略)で展望を持ちたいと思います。できるだけご希望を取り入れるためにも、どのようにお考えなのかお知らせください。
3-3-2 アンケートの結果
2000(平成13)年4月13日発行の理事会報第82号でアンケートの集計結果をお知らせしました。アンケート回答は19戸、うち未記名1戸で、回収率90%という結果でした。長期修繕計画と修繕積立金についての設問に対する回答数は次のとおりです。
アンケートの目的
このアンケートは、道管連に依頼した長期修繕計画に基づいて実際
の修繕工事を行う前に、修繕に対する管理組合としての方針を考える
ための資料とするものです。
1) マンションの経済的財産的価値は60年ですから寿命はあと51年
です。あなたはこのマンションを何年ぐらいもたせたいと思います
か。
ア. 10年程度(0票)
イ. 20年程度(2票)
ウ. 30年程度(6票)
エ. 40年程度(2票)
オ. 財産的価値のあるあいだ(9票)
2) 大規模修繕(屋上防水や外壁タイル貼替)を行う場合、修繕積立金
の残高で間に合わないことも考えられます。あなたは、どのようにし
て不足分を工面すべきと考えますか。
ア. 必要な額を修繕工事発注前に一括納入する(3票)
イ. 自前の費用で実施できるように備蓄する(13票)
ウ. 個人名で住宅金融公庫より借りる(1票)
エ. 負担額による(2票)
3) 修繕積立金の月額は10年前で管理費の10~15%程度と言われ
ました。現在では、管理費の最低50%程度は必要と言われます。当マ
ンションは築後12~14年目にかけて大規模修繕の時期を迎えます。
多額の費用が必要となりますし、その後のことを考えると全部使って積
立金をゼロにするというわけにはいきません。現在作成依頼中の長期修
繕計画により算出された額をもとに、修繕積立金月額を改定せざるを得
ないと考えていますが、このような事情をご理解いただけますでしょう
か。
ア. 現在の額にしておき、必要なときに必要な額を集めては(2票)
イ. 一度に数10万円もの金額は払えないので月額を改定すべき
(16票)
ウ. 負担額による(1票)
4) 管理組合の役員については、管理組合業務をご理解いただく目的で
役員輪番制を導入してきましたが、先日の理事会や修繕計画作成委員
会、長期修繕計画勉強会後の話題の中で、輪番制を廃止すべき時期に
至ったとのご意見が多数出てきました。
長期修繕計画にかかわった者は、大規模修繕が一段落するまで任期を
継続しなければ不都合が生じることも考えられる。修繕に対する考え方
や、業者との打ち合わせなどの事情内容をよく知っている者がいないと
きちんとした修繕ができなくなる恐れがあるというご意見でした。役員
任期のあり方についてどのようにお考えでしょうか。
ア. これまでのように輪番でよい(0票)
イ. 大規模修繕が一段落するまで、全員が協力し合うことを前提に一部
の役員任期は固定化すべき(16票)
ウ. 全員で手分けして、業務を分担しては(2票)
4 管理組合のすべきこと
4-1 長期修繕計画の受領
2001(平成13)年4月1日発行の理事会報第81号で長期修繕計画の配付のお知らせと説明会の開催を予告しました。
区分所有法とマンションの管理の適正化推進に関する法律の定めを尊重し、「長期修繕計画書」を区分所有者はもちろん、将来マンションを購入するかもしれない賃貸契約者へも配付させていただきます。
長期修繕計画書によれば、外壁タイルの打診と新築工事竣工図面、修繕積立金の現在高などを考慮されて、大規模修繕時期は築後15年目に当たる「平成19年度」となっています。修繕費は「27,574,000円」ですがそれまでの各種修繕に「1,099,000円」必要であり、総額「28,683,000円」プラスアルファを用意しなければなりません。
N相談員より「給水メーターの取替えは8年毎と定められているので終わりましたね。」と質問されましたが、平成12年度総会議案書の管理会社案には排水管清掃しかありません。しかも、平成7年度と平成11年度に実施した配水管清掃が、平成12年度実施予定となっていることも疑問です。今後は管理組合主導で新長期修繕計画に添って準備することになりますが、給水メーターの交換は平成13年度の早いうちに実施しなければなりません。あの時やっていればと言う反省は嫌ですし、飲み水に関することですから多少神経質になったほうが良いでしょう。
4月中旬過ぎにN相談員を再びお迎えして、長期修繕計画の説明会を開催します。事前に理事会でも検討しますが、区分所有者の方々も疑問点や質問内容をまとめておかれますようお願い申し上げます。この長期修繕計画を基にして、修繕積立金の新しい月額が算出されることになりますことをご承知おきください。
4-2 修繕計画作成委員会の話題
2001(平成13)年4月17日発行の理事会報第83号で長期修繕計画作成委員会と理事会での話題をお知らせしました。
1. 長期修繕計画について
1) マンションの修繕
これからは新長期修繕計画を中心に据え、自らの財産は自らが守るという気概をもって管理組合が率先して取り組みます。そうしなければ、マンションを保全できない事態になっていることを確認し合いました。
2) 新長期修繕計画完成に伴う説明会について
(4月29)日は、詳細かつ綿密な計算をしていただきましたN相談員に区分所有者全員で感謝の意を表したいと思います。ご参加をお願いいたします。
3) 修繕積立金の月額改正
アンケートの集計結果は、「自前の費用で実施できるように備蓄」する「一度に数10万円もの金額は払えないので月額を改定すべき」が大多数を占めました。新長期修繕計画で算出された修繕積立金は月額15,600円です。それでも大規模修繕時には5,880,000円の赤字が予測され、現状ではどうしても借入が必要となります。すべては、新長期修繕計画の説明を拝聴してから具体的な金額を検討することとしました。
2. 管理費の支出抑制策について
新長期修繕計画によれば平成19年度に5,880,000円の赤字が見込まれます。各戸の負担を軽くするために節約が最善というのが一致した意見でしたが、委託管理費の見直しが必要との考えもだされました。具体的な事例をあげて検討を加えていますが、皆様方も委託管理費の額が問題となる理由をお考えください。
1) 庭園保守費
大げさな名前ですが、「冬囲いをする」「冬囲いを外す」「木々の剪定をする」ことです。これは一戸建ての方々なら毎年やっていることです。(退出されたお二人)のご意見を伺えませんでしたが、理事会と長期修繕計画委員会が庭園保守を行い、管理会社が外注するのはやめてもらうことにしました。
2) エレベータ保守費
理事会報第81号でお知らせしましたように、メーカーの紐付きでないメンテナンス専門業者と契約すべきでないかと話し合いました。情報提供者よりいただいた資料を検討して、札幌市指定入札登録業者でありマンションから最も近い業者に見積もりを依頼しています。(中略)
昭和60年から現在まで独立系メンテナンス会社が保守しているエレベータの事故報道はありませんし、N相談員のお話はでは事故が起きこと自体不思議と言われるまでエレベータは完成の域に達しているそうです。(中略)マンション管理に無知だった私たちは、入居以来400万円もの無駄金を支払わされていたことに気づきました。
3) 清掃業者
管理組合が契約すべきです。どの階でもよろしいですから、廊下の床をじっくりご覧ください。歩行者が通行できない壁ぎわのピータイルが、驚くほど汚れているのはなぜでしょう。古くなって汚れが染み付いたから取れないのではありません。清掃用具販売会社の方に見てもらいましたが、剥離剤を使用してきちんと清掃していない証拠と言います。また、エレベータ横にある北側の窓をご覧ください。ガラス窓の下の内側へ張り出している部分、転落防止用パイプの陰になったところは汚れっぱなしの状態で、清掃された痕跡は見当たりません。清掃業者は管理組合が選定して、業務終了後のチェックしてから支払い手続きを取らなければお金は無駄になることがこれで分かりました。
4) 建物のチェックは私達で
管理委託契約書の中に「外壁、屋上等の異常の有無」という点検項目があります。現在の東棟北側外壁タイルのひび割れや屋上の植物の成長状態を放任し、異常の有無を確認している(?)だけで日誌に記録を残さず、管理組合へはなにも知らせてくれません。次のような状態を、あなたはどうお考えですか。
ア. 東側外階段北側側面の陥没
過去のずさんな工事で砂が逃げていったのでしょう、道路に沿って細長く深い穴が空いています。アスファルト補修にこられた作業員に見てもらいますと、砕石と砂を混ぜて入れなければ毎年同じようになるとのことでした。幼児やお年よりの足がはまったら骨折だけではすまないかもしれません。安全性の点から問題がありますので今月中に修繕を行なうため見積もりを取りました。このような異常を発見して、手遅れにならないうちに連絡することを委託しているはずですね。
イ. 進行しすぎた金属腐食
金属製の扉は屋上に三箇所、六階に三箇所、一階に三箇所の計九箇所あります。屋上の出入口一箇所、エレベータ機械室出入口二箇所、自転車置場出入口一箇所の計三箇所は、下の部分がさびてボロボロという状態まで放置されてきました。腐ってどうしようもなくなったら取り替えればいいと考えますか。こうならないうちに手を打てば進行を遅れさせることができたはずです。気づかないところを見てもらうために管理費を支払っているはずです。修繕の見積もりを取っていますが、これまで異常に気づかなかったツケは高額な修繕費となって現れるでしょう。(カラー写真を、掲示板に張り出しましたのでご覧ください。)
5 長期修繕計画の説明会
2001(平成13年)5月6日発行の理事会報第85号で長期修繕計画の説明会のようすをお知らせしました。
好天で迎えた29日の午後、N相談員をお迎えして長期修繕計画の説明会を開催しました。共通仮設の4百万円の内訳は、現場詰所仮設費・資材置場仮設費・人件費・清掃費が含まれています。外壁タイルの1千8万円の中には全タイル面積1,275平方mの5%に当たる90平方mのタイル代が含まれていることなど、専門的なおはなしを伺いました。
バルコニーの事前調査で、各階の支柱付け根に縦のひびが入っていますが、一階のフェンスの付け根を調査用ハンマーで打診するとボコボコという音がします。雨水が浸透してコンクリートを溶かし、アルミの支柱を差し込んでいる基礎の鉄骨はさびて細くなっていると思われます。これは大変危険なので、東棟と西棟の中間に当たる部分のフェンスに天井から床までの補強材を入れる工事が必要でしょう。大規模修繕時期までは待てない状態になっていますとの指摘に、参加者は息を呑みました。
講師が退席されたあと、管理会社の担当者より「大規模修繕の時期が築後15年目になっていますが、延ばせば延ばすほど建物の劣化は進行しますし、費用もその分かかります。10~12年目に実施されたほうが建物のためには最良ですし、大規模修繕にいくらかかるか見積もりを取って考えるのが現実的ではないでしょうか。2~3社ほど無料で見積もりをしてくれる会社がありますので依頼し、見積内容を見ながら納得いくように説明を受けて、その結果から修繕積立金月額を算出するほうが良いと思います。それまでのあいだは暫定的な額を集めてはいかがでしょう。」とのご意見を検討し、大規模修繕の見積もりを取ることをお願いしました。できあがるまでに相当の日数が必要なため、総会では現在の長期修繕計画に基づいたキリの良い月額を提案することになります。
6 定期総会の特別決議
6-1 石橋でも叩いて渡ろう
2001(平成13)年7月4日発行の理事会報第90号で、6月24日開催の定期総会のようすをお知らせしました。定期総会は、大規模修繕の実施時期と修繕積立金改定及び役員改選が目玉です。組合員21名中、出席組合員13名と委任状が6通で90%となり特別決議が必要な4分の3以上となりました。
N相談員が指摘されたバルコニーのフェンスについて、2001(平成13)年度の定期総会議案書で次のようにお知らせしました。
N相談員(一級建築設備施工管理技士)にマンションの外観をご覧いただいたさいに、バルコニーのフェンスは危険な状態であると指摘されました。理事会報第79号で警告しましたがフェンスに敷布団を干すなど「使用細則に違反する」危険な行為が目立っています。
大規模修繕時期まで放置できる状態なのか、前倒しで基礎補修と補強工事を行うべきかの決断を下さなければ人身事故が起きてからでは遅すぎます。マンションの建築施工会社にバルコニーの立ち入り検査を依頼しましたので、その結果によって修繕等の可否を提案いたします。
6-2 修繕時期と修繕積立金
N相談員(一級建築設備施工管理技士)にマンションの外観をご覧いただいたさいに、バルコニーのフェンスは危険な状態であると指摘されました。理事会報第79号で警告しましたが、フェンスに敷布団を干すなど「使用細則に違反する」危険な行為が目立っています。
第三号議案 大規模修繕の実施時期と修繕積立金改定について
この議案は、区分所有法並びにマンションの管理規約に定める「特別決議」を必要とします。特別決議とは、区分所有者の4分の3の賛成を得なければ議案は無効となります。
否決された場合、平成13年度の管理組合役員選出は、民主的な運営を目指す観点から相反する票を投じた方々で構成すべきと考え、第七号議案のところで指名します。
また、原案が議決された場合は、これまでの経過を知っている現在の役員は、承認いただければ大規模修繕完了時まで留任します。更に、修繕計画作成委員会は修繕委員会と名称を変更し、2~3名を補充してお手伝いいただきます。
・大規模修繕時期
建築後11年目に当たる平成15年秋(9月~11月)の実施を承認。
・修繕積立金改訂
修繕積立金月額を(7,944円×20戸)+(7,063円×1戸)に改定し、平成
13年8月より実施を承認。
・役員改選
大規模修繕が完了するまで全理事の留任を承認。
6-3 定期総会議事録
2001年(平成13)年度の定期総会終了後、区分所有者と居住者へ配付した定期総会議事録には次のように調査結果が記録されています。
6月16日にマンション建築施工会社より3名の技術者がおいでになり管理会社職員の立ち会いのもとN相談員が指摘した箇所を中心に調査しました。
指摘1.各住戸との間にある隔壁アルミ枠の強度は十分と言えず、40
数mにわたって支柱がない状態である。
回答1.設計の段階で強度を計算しているので、隔壁アルミ枠は支柱の
役割を十分果たすことができる。
指摘2.フェンスの付け根は雨水が浸透してグシャグシャになり、非常
に危険な状態である。
回答2.打診報による調査結果でそのような部分はないし、すぐにそう
なるという恐れもない。
指摘3.大規模修繕時期まで待っていられない状態なので、天井から支
柱を入れるなどの補強工事がすぐに必要。
回答3.ここ1~2年で危険な状態になるとは考えにくい。
素人はどちらを信じて良いのかわかりません。取り敢えずはこのままにしておき、大規模修繕を実施する前に行われる建物診断結果をみて判断すべきと提案します。
6-4 受け止めた誠意
2001(平成13)年7月4日発行の理事会報第90号に次の記事もありました。
総会が終了して5日後、27日の消印がある手紙が届きました。封筒の裏にボールペンで文字がかかれています。「投函するのを忘れておりました。申し訳ございません。」
カバンの中に入れていたのでしょう。はっと気づいたときに、総会は終わっている。でも、義務は履行しなければと、封筒に裏書して投函される姿が目に浮かびます。大事にしすぎて、忘れてしまうことがあります。忘れてしまっていまだに思い出せないこともあります。
気づかれたあなたの誠意をたしかに受領しました。マンションを思い出してくださりありがとうございます。あなたが戻られるその日まで、力を合わせてしっかりマンションを守っています。
7 信頼できる方との出会い
7-1 きっかけは熊本の人
2001(平成13)年2月12日の夜、インターネットで道管連を検索していると「マンション管理組合からの発信・熊本版」というホームページが目に入りました。「全くのシロウト管理組合役員の体験記。悪戦苦闘を綴った個人ページです。」という書き出しに引き込まれました。
悪戦苦闘の体験を理事会報第78号に転載する承認をいただき、リンクされている「札幌発マンション大規模修繕全記録」を発見してアクセスしました。建築会社に勤務されている北海道大学建築工学科卒業の、寺地信義一級建築士(以下、「寺地さん」という)が主宰されています。
札幌在住の一級建築士で、マンション大規模修繕を経験されている方を発見できたのは大きな喜びでした。マンションの改修工事の経験を綴った「個人のページ」開設のご挨拶で「自分がいちばん欲しかった情報だから、ホームページを作ろう」に次の文章があります。
友人と話していて「欲しいと思う情報が、インターネットで検索できなかったのなら、その情報こそ価値ある情報なのだ。おまえの手元にある情報こそ、いますぐ発信すべきなのだ。」と言われ、目から鱗が落ちた。
繰り返すが、私が欲しかったのは、「うまくいったことも、失敗したことも含めて、うそも隠しもない、生々しい事実の記録」である。プライバシー保護のため、マンションの入居者に関係する情報や、全ての固有名詞を、仮名に書き換えるなどの煩わしい作業を進めながら、私は「この情報は、欲しいと思っている人にとっては、きっと価値あるものになる。」と確信した。
事実の記録が役立つことに同感であることを告げ、壁面の白華現象(エフェロレッセンス)が建物に及ぼす影響を質問すると、仕事で近くへ行くついでに見ていただけたのが最初の出会いでした。
7-2 新聞記事を紹介
2001(平成13)年4月13日発行の理事会報第82号に、4月2日発行の北海道新聞朝刊の記事「業務不履行、ずさん経理 次々管理会社、委託費を返還」が引用掲載されています。
「マンション管理委託費に問題がある」としてマンション住民らでつくる管理組合が、管理会社から委託費の一部を返還させる例が札幌市内で増えている。判明しているだけで6件、2千万円。管理組合有志でつくる北海道マンション問題支援ネットワーク(笹間一瑛代表)は、今後、同様の問題解決の先例になると評価している。
マンションは、各戸の所有者が管理組合をつくり、廊下やエレベータといった共用部分の清掃、保守などを行う。組合は個々の業者と直接契約すればよいが、マンション管理会社に一括して委託するところが多い。
ところが豊平区内のAマンションの場合、管理組合によると管理会社の業務不履行などが分かり1994年から99年までの委託費の一部535万円を返還させた。例えば建物の法定点検は築後6年目から始めたのに、5年目まで検査料計15万円を経費として支出していた。また、管理会社に委託していないエレベータの保守を取引先にさせていた。気付いた組合が直接保守会社と契約すると月約4万円安くなり、約5年間で242万円の損失が判明した。
中央区内のBマンションは管理組合によると約270万円返還させた。全戸に緊急通報システムを完備しているが、利用するかどうかは、全戸が判断して申し込む。しかし、管理会社は全戸申し込んだことにして料金を取るなどしていた。Cマンションも、管理会社が物品を購入した際の領収書が無いなど経理がずさんで100万円を返させた。中には、住民から集めたはずのガス代を納期に遅れて払ったため、延滞金をガス会社から請求された例もあった。6件の返金はいずれも99年から今年にかけて。こうした問題に対し、会社側は、「返金したが、理由、金額はいえない」(Aマンションの管理会社)、「通報システムを全戸に設置した以上使うのが自然だ。ただ、ほかに領収書がきちんとしてないなど事務ミスがあり和解金として払った」(Bマンションの管理会社)などと説明している。
北海道マンション問題支援ネットワークは「住民が管理組合活動に無関心で管理会社任せにした結果、高くてずさんな業務が横行している」と指摘。同様の問題で会社と交渉中の組合もあり、今後、返還事例が増えるのではという。
北海道マンション問題支援ネットワークという団体は、寺地さんが発起人となって誕生した団体です。毎週例会を開いてマンション管理について話し合ったり、困っている管理組合の相談にのっていることがわかってきました。
7-3 ネットワークに参加
寺地さんと、「本州資本の管理会社が悪いのではなく、雇用されている管理担当者に問題がある場合が多い。札幌市内の小規模管理会社は、清掃業の会社が仕事の延長としていることから建物管理の知識は素人。」などとメールで意見を交換していると、どのようなマンション管理をしているのか説明を求められました。
喫茶店に持参した「理事会報や総会議案」で実情を説明し、数年後に予定している大規模修繕が完了するまで全理事は留任する了解を得た旨を説明すると感銘されました。バルコニーのフェンス基礎をご覧になり、基礎は傷みかけているが当分は問題ないとの見解をいただきました。
7月に北海道マンション問題支援ネットワークの例会へ参加のお誘いがあり、参加した例会で分からないことに明確な示唆をいただき、他のマンションでの困った事例や解決策なども伺うことができました。勉強をさせていただき心より感謝しています。
7-4 専門家の必要性
2001(平成13)年10月20日発行の理事会報第99号で「大規模修繕はみんなの合意で実現しよう 役員への損害賠償請求や手抜き工事防止のためにも」とお知らせしました。
先日、管理会社より電話がありました。「大規模修繕は平成15年度実施と承知していますが、そのための外壁診断をしなければならない時期がきています。ゴンドラを吊り下げて診断すると相当の費用がかかりますしロボット診断や赤外線診断よりも人間の手で調査したほうが確実です。うちの会社では、ロープを使って体を吊り下げて診断することができます。寒くなると不可能ですから、この方法で外壁診断をするかどうかを早急に決めてください。また、外壁のタイルは一度に焼かなければ色むらがでます。千枚必要となれば予備を含めて二千枚焼くほうがよいと思います。早めに注文しなければ大規模修繕時期に間に合わなくなる恐れがあります。近日中に理事長さんにお会いしたいので時間をとってください」。
大規模修繕については、様々なセミナーでいろいろなご指導をいただきました。アドバイスの中には、管理組合の役員を守るためにという事項もありました。修繕が完了して年数がたつと、手抜き工事をさせてリベートをもらったのではないか、知っていて安かろう悪かろうの工事をさせたのではと痛くない腹を探られることがあるといわれます。感情的になりすぎて賠償責任に発展した例もあり、素人判断は後日問題を抱える例が多いといわれます。建築業界の紹介料や推薦料は一割というのが常識で、契約成立後にさらに歩合を要求している事例もありました。
この費用でコンサルタントに依頼し、管理組合の希望を盛り込んだ同一条件の見積依頼書を作成してもらい、数社に競争見積を依頼したほうがいいでしょう。建築会社へはコンサルタントから説明してもらい、管理組合の理事や修繕委員も立ち会って要望もしっかり伝えます。工事監理はコンサルタントが、施工管理は施工者が行い、手抜き工事がないか、使用材料が指定したものかどうかをきちんとチェックします。素人の私たちが監視しているよりも、専門家に任せたほうが責任を持って専門家の目で管理してくれるので安心です。
そんなお話をずいぶん聞かされました。予算内で間に合うのであれば安心を買ったほうがベターと思うのですがいかがでしょう。過日配本しました「大規模修繕のすすめ方」に基づいて、コンサルタントが作成した「修繕の手順資料」を添付しました。理事会と修繕委員会で方向が見えしだい臨時総会で皆様方へおはかりいたします。
7-5 信頼できるのはこの方
2002年(平成14)年3月31日発行の理事会報第109号で「北海道マンション問題相互支援ネットワーク主宰者の寺地さんをご紹介」しました。
過日、札幌市が主催しましたセミナーのまとめ「もっと快適なこれからのマンションライフへ」を回覧して、パネリストの寺地さんを紹介させていただきました。
寺地さんは様々な人材の協力を得て、ボランティアの北海道マンション問題相互支援ネットワークを組織され、居住の根拠をマンションにおかれた建築の専門家としての立場から、様々なマンション問題の解決に腐心されてきた方です。
道庁をはじめとする行政機関もその真摯なご努力を評価され、マンション問題解決の専門的かつ実践的な指針をいただける方として助言を求めています。昨年暮れに実施された、マンション管理士試験にも合格され、北海道職業能力開発大学校では「(建築工事)現場運営管理実習」を、来月からは「建築生産管理」と「創造的開発技法」の講義を担当されます。
今月末で道内大手の建設会社を円満退社され、四月から建築設計事務所を開設されます。大規模修繕を経験されたマンション管理組合の副理事長でもある寺地さんにご協力をいただき、雪解けをまって大規模修繕の進め方についての勉強会を開催いたします。建築の専門家である寺地さんの、経験と技術を反映できればと考えています。