はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第71章 病魔からの脱出

行き過ぎた清潔信仰で、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状や気管支喘息を発症します。花粉症もがんも、善玉菌が活発に働ける環境を整備すれば発症しません。腸内細菌は体を守る自衛隊、腸内細菌を補充して活性化し、体を守ってもらいましょう。

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1 消化管

 1-1 消化管の仕組み

消化管は食物が通る1本の管です。食物はまず口腔・咽頭・食道を通過します。唾液に含まれるアミラーゼでデンプンを分解しますが、この部分の消化管には特に重要な機能はなく、単なる管のようなものです。

胃では、食物に塩酸を含む胃液をよく混ぜてどろどろにし、3~6時間かけて消化・吸収しやすい状態にします。胃液にはペプシンという消化酵素が含まれているので、たんぱく質を分解します。

次に進む小腸は、消化管の中では最も重要な役割を果たします。小腸は、十二指腸・空腸・回腸に分けられます。十二指腸は、胃の幽門から続く小腸の最初の部分です。長さ約25cm程度で、指を12本横に並べた長さであることから十二指腸と呼ばれています。

十二指腸では胃から送られたどろどろになった食物に、膵液や胆汁を混ぜて吸収しやすくします。成人の小腸の長さは5~7mあり、腸の入口から5分の2を占める空腸と肛門側の5分の3を占める回腸で消化吸収を行います。

小腸には、輪状ひだや絨毛があることから表面積が200平方メートルと広く、効率的に栄養素を吸収することができます。大腸は、盲腸、結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)、直腸に分けられます。

大腸では小腸で消化した残りや、水・電解質などを吸収し、栄養素がなくなった残りかすが肛門まで送られます。水の惑星と呼ばれる地球に住んでいる人類は、食物や飲み物から1日におよそ2リットルの水分を摂取しています。

消化管内へ分泌される水分は1日に、唾液が1.5リットル、胃液が1.5リットル、胆汁が0.5リットル、腸液が1.5リットルになります。大便に含まれる水分は100ミリリットル程度で、尿や汗、呼吸などから出ていく水分は1リットル程度です。

口から入る水分や分泌される消化液など、消化管に流入する水分の大半は小腸と大腸で再吸収されます。失われる水分は、尿や汗、呼吸などとなって出ていく1リットル程度ということになります。ですから、殆どの水分は小腸と大腸で再利用されているのです。

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 1-2 消化という化学反応

胃は、食物に塩酸を含む胃液をよく混ぜてどろどろにして消化・吸収しやすい状態にしていますが、栄養素はほとんど吸収していません。ただし、アルコールだけは胃から吸収されています。

消化とは、食物に含まれる栄養分を分解して吸収しやすい状態に変えるはたらきのことで、消化前の炭水化物(デンプン)はブドウ糖に、タンパク質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸(モノグリセリド)に分解されます。

唾液に含まれる消化酵素「アミラーゼ」で炭水化物(デンプン)を分解します。胃液に含まれる「ペプシン」はタンパク質を分解するはたらきがあります。胆汁には消化酵素は含まれませんが、脂肪を小さな粒にして脂肪の消化を助けるはたらきがあります。

すい液には「アミラーゼ」「トリプシン」「リパーゼ」などの消化酵素が含まれ、炭水化物・タンパク質・脂肪を分解します。小腸壁にも消化酵素が含まれ、炭水化物はブドウ糖に、タンパク質はアミノ酸に分解されます。

消化された栄養分はおもに小腸から吸収されます。小腸壁は「柔毛(ジュウモウ)」と呼ばれる小さな突起がたくさんあり、小腸の表面積を大きくして効率よく吸収をおこなうことができるようになっています。

柔毛には「毛細血管」と「リンパ管」の2つの管があり、ブドウ糖とアミノ酸、無機物などが、柔毛の表面から吸収されて毛細血管に入り肝臓を通って全身に運ばれます。脂肪酸とモノグリセリドは、柔毛の表面から吸収されてリンパ管に入ります。リンパ管は首の下で血管と合流するので、脂肪も血管を通り全身に送られます。

胃に関係するホルモンで重要なのは、ガストリンとセクレチンです。ガストリンは、胃に食べ物が入ってきたら逆流しないように食道との通路を閉め、胃酸を出させて胃の出口を開けます。セクレチンは十二指腸から出て胃酸を止め、胃の出口を閉めて脾液を出させます。

口腔から食道までと肛門は、強い刺激に耐えうる頑丈な重層扁平上皮細胞からなり、それ以外は吸収や分泌をつかさどる単層円柱上皮細胞からなります。このため、食道や肛門にできるがんは扁平上皮がんが多く、大腸にできるのは線がんが多くなります。

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 1-3 腸内細菌はどこから

人間の腸内細菌組成パターンは、生後約1年でほぼ決まることが分かってきました。善玉菌多めのパターンの人もいれば、悪玉菌多めのパターンの人も1歳までに決まります。腸内細菌組成パターンは一人一人異なり、基本的には一生変わることはありません。

お母さんの胎盤内は無菌状態なので、胎児の腸内に細菌はいません。赤ちゃんが細菌と出会うのは、母親の子宮から離れるとき、つまり出産のときです。そこから赤ちゃんと細菌との共生が始まります。腸すっきり健康法

赤ちゃんは子宮から産道を下りていくと、母親の膣とすぐそばの肛門にいるビフィズス菌などの細菌に出会います。お母さんの身の回りにいる菌や、お母さんの皮膚にいる常在菌などと接触するので、お母さんの腸内細菌パターンにほぼ似てきます。

お母さんからもらった菌は大腸の壁にくっつく能力が高く、母親の遺伝子を受け継いでいるから大腸壁から流れることなく常在菌となれるのです。大腸内の細菌は3歳までぐらいで腸内菌叢が出来上がってきます。

2013年、ベルギーにあるヤクルト本社ヨーロッパ研究所は、自然分娩の母子12組と、帝王切開の母子5組の腸内細菌を比較しました。すると、自然分娩で生まれた新生児のうち11人が、母親と同じ菌株のビフィズス菌を持っていたのに対し、帝王切開で生まれた新生児からは同じ菌株が見つからなかったのです。

生後1年ぐらいは赤ちゃんの腸内細菌組成パターンを形成する重要な期間となります。赤ちゃんはお母さんやお父さん、お婆ちゃんやおじいちゃんと触れ合うことで、様々な菌が存在している環境の中で過ごすことなります。これが赤ちゃんにとって重要なことです。

この世界に生まれる以上、我が子の可愛さあまり清潔に気をつけ過ぎるのもよくありません。過度に清潔にした状態で育てられた赤ちゃんは、免疫力を付けることはできなくなってしまいます。免疫力が弱いと病魔に狙われます。

腸内細菌はおおまかに善玉菌・悪玉菌・日和見菌に分けられます。日和見菌は、善玉菌が優勢の時には善玉菌に、悪玉菌が優勢の時は悪玉菌に一斉に加勢します。近年培養できない細菌類の多くは日和見菌に相当することが分かってきました。

心身の健康を保つには善玉菌を増やして、腸内を日和見菌の加勢を受けた善玉菌優勢の状態にしておくことです。悪玉菌は少なめが望ましいとはいえ、ゼロにすればいいというわけではありません。すべてはバランスが大切なのです。

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 1-4 ウンコでわかる腸内環境

腸内細菌のパターンを変えることはできませんが、善玉菌そのものであるビフィズス菌や、善玉菌のエサとなる食物繊維をとることで、腸内の善玉菌を優勢にすることができます。善玉菌にエサとなる食物繊維を与えなければ活動できません。

大腸で水や電解質などが吸収され、栄養素がなくなった残りかすが肛門まで送られてきます。大便の80%は水で20%が固形成分で、その3分の1が食べかすで残りの3分の2が腸内細菌と剥がれた腸の粘膜です。

人間の体は、死んだ菌とある程度生きている菌を排出して腸内バランスを保っています。ヨーグルトを食べても、そのの乳酸菌が大腸に留まることはできません。そして、腸内細菌が1千億個以上も住んでいる大腸が病気の発生源になります。

ウンコの大きさは腸内細菌の多さに比例すると考えられています。戦前の日本人はウンコをドッサリ、約500グラムも出していました。一方、現代人のウンコは約150グラム、便秘しがちな若いOLは80グラム程度です。

戦前の日本人は食物繊維が豊富な和食のおかげで、欧米人よりおおきなウンコをしていましたが、戦後は食の欧米化によって食物繊維の摂取量が減り、ウンコも小さくなったのです。食物繊維は有害物質をくっつけて体外へ押し出します。

腸内清掃の手抜きは老廃物が腸に溜まったままです。食物繊維は腸内の掃除をすることで、腸内細菌にとって快適な環境づくりを整えています。この結果、大きなウンコをする人が多い国は自殺率が低く、小さなウンコをする人が多い国は自殺率が高くなります。

各国の自殺死亡率について、世界保健機関の2021年統計を見ると、自殺率の第37位はイタリアです。第27位が英国で、第23位はドイツ、第19位はカナダ、第14位はフランス、第7位は米国、そして第4位は日本なのです。お隣の韓国が第1位です。

腸が健康であればウンコがどっさり出ます。健康な人の腸内細菌はおよそ1.5キログラムです。腸内細菌は生きている腸内細菌と、死んだ腸内細菌の両方がウンコとして排出されながら腸内バランスを維持しています。

腸内で善玉菌が優位の状態であれば、老廃物と共にウンコが適切なタイミングで出ますが、残念なことに現代人の腸内環境は急激に悪化しています。腸内環境が悪化すると、侵入してくる有害な物質を体の外へ追い出すことができなくなります。

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2 病気になる原因

 2-1 消えた家庭料理

なぜ、現代人の腸内環境は悪化しているのでしょう。まず、女性の社会進出が進んだことも関係しているでしょう。勘違いしないでください。社会進出が悪いというのではありません。働く女性が増え、主婦もパート勤めをこなすなど忙しい毎日を送っています。

便利な冷凍食品やお惣菜もたくさん売られているので、手作りの料理を用意する余裕のない家庭にとても便利になりました。しかし、これが食物繊維の摂取量が非常に少なくなってきた原因だったのです。

男性も女性も労働時間が長かったり、家事や育児に追われていると、食事を手軽に済ませるファ-ストフードやコンビニ弁当はとても助かります。これらには、添加物や糖質、体に良くない油がふんだんに使われています。

食生活がアンバランスになると、活性酸素が発生することとなり腸内環境を著しく悪化させていきます。食物繊維をしっかり取って腸内環境を整えることは、便秘解消のカギになります。善玉菌は食物繊維をエサにして増殖していることを忘れてはなりません。

増殖した善玉菌は乳酸や酢酸などの酸を作り出し、大腸の蠕動運動を活発にして便秘を解消させます。食物繊維自体にも体内の有害物質を吸着し、腸内を掃除して善玉菌が増えやすい環境を整える作用があります。食べたビフィズス菌は常在菌を活性化して通過します。

善玉菌が増えれば腸内がきれいな状態になり消化力が高まります。消化力が高まると、老廃物が溜まりにくくなり排出量も高まります。現代人は食物繊維の摂取量があまりにも少なすぎるので、便秘に悩む人々が増加しています。薬で便秘解消は本末転倒です。

腸内細菌のバランスを整え、適度な運動で筋肉量を増やすことも大切です。太っているということは、脂肪細胞の肥大化を招いていることになります。脂肪細胞には食べたものをエネルギーに変換する褐色脂肪細胞と、ためこんでしまう白色脂肪細胞があります。

褐色脂肪細胞は、首回り、わきの下、肩甲骨の下、心臓、腎臓周辺の5か所に分布して余分なカロリーを熱に変換します。人間が1日で消費するエネルギーの3分の1は筋肉で使われます。筋肉量が増えれば基礎代謝上がり、脂肪はさらに燃えやすくなります。

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 2-2 不足し過ぎの食物繊維

腸は免疫力を高め、侵入してくる有害な物質を体外へ排出する役割があります。腸内細菌が働かなければ、体の免疫力は正しく作用しません。免疫力が低下すると、がんを引き起こす要因になったり、アレルギーや関節リュウマチなど自己免疫疾患を誘引します。

小腸にはパイエル板などの免疫組織があります。小腸の壁の内側にあるパイエル板は、リンパ集合組織で強力な免疫組織です。身の回りにある有害物質は、粘膜から侵入することが多いので、栄養素を取り込む小腸は細菌や有害物質の体内への侵入口になります。

パイエル板は、人体に危険な侵入者かどうかをチェックする監視所の役割を担い、有害な侵入者であればその情報を全身に伝えて厳戒体制に入ります。腸内細菌は、侵入者を阻止するパイエル板等の免疫組織が正しく活動できるよう、維持管理をしています。

あなたは人体のなかで、脳こそが体をコントロールしている最も賢い部位だと考えていませんか。本当は腸こそが最も賢く、重要な役割を最も多く担っている器官です。生物の進化の過程を見ると、初めにみみずのような腸だけで生きている生物が出現しました。

しかし、ミミズには脳がありません。目も鼻も口も呼吸器もなく、腸だけでしかありません。でも、ミミズは取り込んだものが体にいいものかどうか、ちゃんと判断することができます。

地球上に生物が発生したのは40億年前です。脳を獲得した生物が出てきたのは5億年前のことです。生物は脳のない時代の方がはるかに長かったので、脳の扱いにまだ成れていないため、騙されやすい処があります。

例えば、「あれが食べたい」「これが美味しそう」と脳が指令を出せば、それを食べてしまいます。一方、腸は正直者で、体にとって良くない食物であれば吐き出して体を守ります。腸内細菌が働かなければ、体の免疫力は正しく作用しません。

腸内細菌がたくさんいて腸内環境が整っていれば、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を抑えることができます。昔の人はアレルギーの原因になるアレルゲンが体内に入り込んでも、体が異物と判断して体外へ追い出すことができました。

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 2-3 病気の原因は

日本に初めてスギ花粉症の患者が現れたのは1963年のことで、それまで花粉症などという言葉もなかったのです。腸内細菌が豊富で腸がうまく機能していたので、当時の日本人は500グラムもの大量のウンコをしていました。

1960年代になると結核や寄生虫の感染者が激減し、寄生虫の罹患者は1960年に10パーセント、1965年には5パーセントを切っていました。花粉症患者が出現したのはこのような時だったのです。医者が教える食事術

牧野善二博士が調べてみると、寄生虫がアレルギー反応を抑える抗体物質を大量に作り出していたのです。結核や寄生虫の感染者が減少するのと反比例して、アレルギー性皮膚炎や気管支喘息と言ったアレルギー疾患がどんどん増加していきました。

行き過ぎた清潔信仰が広がり始めた時期とも合致します。手洗い、洗顔、入浴のしすぎは、私たちを守る菌も体から追いやり、アレルギー疾患にかかりやすくなったのです。手が汚れた時に手を洗い、朝起きたときに洗顔し、入浴は3日に1度で十分です。

過剰に手をかけてキレイすぎる環境に赤ちゃんを置いておくと、腸内細菌の組成パターンが決まるまでに色々な菌と触れ合えず、免疫力がつきにくくなります。生まれたときから過保護にされた赤ちゃんに、アレルギーが多いという結果に結びついているのです。

免疫というのは、血中の白血球に含まれるマクロファージとT細胞とB細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞などで成り立っています。異物が入ってくると、NK細胞が攻撃を繰り返し、NK細胞が負けてしまうと次の段階に進みます。

体内にウイルスが入ると、貪食細胞と言われるマクロファージがウイルスを食べて情報を取り込みます。この情報はT細胞やB細胞に伝えられ、B細胞は入ってきた「はしか」に対する抗体を作ります。「おたふくかぜ」の場合も同様です。

一方、花粉やダニが入ってくると、花粉症やアトピー、喘息の原因になるigE抗体ができます。igE抗体は、体中の粘膜のあちこちに存在している肥満細胞の表面にくっつきます。肥満細胞にはカギ穴がありigE抗体がくっつきやすくなっています。

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 2-4  腸内環境を良好に

花粉やダニなどのアレルゲン由来のigE抗体が吸着した肥満細胞ははじけて破れ、内部のヒスタミンやセロトニンと言った物質をまき散らします。その刺激によってアレルギー反応が起こるのです。

腸内細菌は、幸せ物質と呼ばれる脳内神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンの前駆体を、脳まで送り届ける役割も担っています。脳には血管脳関門という関所があって血液中の物質を簡単に脳へ通さない仕組みになっています。

しかし、乳酸菌がつくった小さな脳内伝達物質の前駆体は、血液脳関門から神経細胞によって脳に運ばれているのです。セロトニンはどちらかというと物事が順調に進んでいる時に、ドーパミンは逆境の中にいるときやピンチが訪れたときに力を発揮します。

ストレスの緩和は、脳内におけるセロトニンの量が増えることが大切です。人間の体内でセロトニンの製造工場の役割を果たすのが腸内細菌なのです。セロトニンはやる気と諦めや落ち込みの感情をコントロールして一方的に偏らないようにしています。

ですから、ストレスによって自律神経が乱れたり、うつ状態になった人は、タンパク質を多く含む食品を食べたり、30分間太陽光にあたったり、規則正しい生活をして、セロトニンを増やすことが有効です。

ただ、腸内細菌の量が少なかったり、腸内のバランスが崩れていれば、セロトニン製造工場はポンコツも同然です。人間の体を構成する細胞や免疫システムは、1万年前からほとんど変わっていません。

体に良くない菌が入ってきた時に「追い出せ!」という指令を出すのは、脳ではなく腸内のセロトニンです。腸管を収縮させるのもセロトニンの役割で、セロトニンはさまざまな役割を担う重要な脳内神経伝達物質なのです。

腸内環境を整えて腸内細菌をたくさん増やし、正しい食事や生活習慣によって腸内環境を良好な状態に変えていけば、セロトニンを生成する機能を維持でき、セロトニン不足が起こることはありません。

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 2-5  がんは予防できる

セロトニンやドーパミンは、タンパク質を構成する物質であるアミノ酸から作られ、セロトニンやドーパミンはフェニルアラニンというアミノ酸がないと合成できません。

トリプトファンは食物からとることができますが、そこからセロトニンの前駆体(化学反応によって、ある物質が生成される前の段階にある物質のこと)にするには、葉酸やナイアシンなどのビタミンが必要です。この前駆体は腸内細菌にしかつくれません。

わたしたちの体では、毎日がん細胞が造られています。その数は3千個~5千個以上だと推測されています。しかし、規則正しい生活をしていて腸内バランスを整えていれば、体内の免疫システムが働いてがんの発症を予防できます。

がん細胞は、新陳代謝の過程で起こるコピーミスです。人間の体には、60兆億個もの細胞がありますが、2%程度が新陳代謝によって毎日生まれ変わります。一兆億個以上もの細胞が生まれ変わるのに対して、コピーミスが5千個程度なら数としてはとても少ないかもしれません。

どんな人にも新陳代謝の過程でがん細胞が発生しているとはいえ、みんなががん患者になるわけではありません。私達の体にがん細胞を攻撃する免疫細胞が備わっているからです。免疫細胞にはマクロファージ、B細胞、Thー1細胞、NK細胞などがあります。

それぞれがそれぞれの方法でがん細胞をやっつけてくれます。免疫力が高まればがんに対する攻撃力は高くなります。なかでも、いち早くがんを攻撃するNK細胞は体内に50億個以上存在しますが、個人差があるため1千億個近くも持っている人もいます。

ただ、NK細胞は朝8時と夕方5時が最も攻撃力が強く、夜9時過ぎに攻撃力が弱くなります。また、楽しいことを考えたり適度に運動するだけで活性化され、気分の落ち込みや嫌なことを考えるだけで動きが鈍くなります。

日本人の3人にひとりは癌で死亡しています。誰でもがんになる可能性があります。血縁者にがん患者が多くみられても、遺伝的な要因が関係してがんになるのは5%程度で、後天的な原因による場合が多いのです。

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 2-6 減るものは補給する

私が子どもの頃は、花粉症にかかっている人などは見当たりませんでした。北海道の函館以北でスギは育ちませんが、シラカバは多量の花粉を飛ばします。春先にシラカバの木をゆすって花粉を浴びていたこともありましたが、くしゃみも鼻水も出ずに平気でした。

私と私の家族は、手が汚れた時に手を洗い、朝起きると洗顔し、入浴は3日に1度だけでした。このローテーションを82歳まで続けてきました。最低限の衛生管理をするだけで、食物アレルギーも花粉症の症状も出たことはありません。

これまでインフルエンザA型に好かれたことは1度だけですし、毎朝定刻に通じがあり便秘になった記憶もありません。ただし、コロナ菌は恐ろしいので人ごみに近づかず、マスクと帰宅時には手の消毒を欠かしていません。

子どもの頃は、お腹がすくと畑へ行ってニンジンを引き抜き、土を手でぬぐい落としてそのまま食べていました。少しぐらい土がついていても平気でした。トマトやキュウリも洗わずに食べていたので、自然に土壌菌が体内に入っていました。

土壌菌とは土の中にいる細菌類のことです。土の中には1グラム当たり数億個の微生物がいます。また、大豆発酵食品には乳酸菌のほかにも数多くの土壌菌が含まれています。これらの土壌菌は腸に入ると日和見菌になります。

加齢により腸内細菌は減少していくといわれます。減っていくのであれば補給してやればよいのです。納豆やみそなどの熟成した発酵食品のほかに、ぬか漬けの漬物やキムチ、チーズにも菌がいます。

土壌菌を含んだ大豆発酵食品は積極的に食べましょう。腸が生き生きと元気であれば、肌や髪を美しく保つことができます。麹菌は食品を発酵させるカビの一種です。ミソや醤油、みりんを作る際には欠かせませんが、これらも腸内細菌を元気づけてくれます。

肌にシミやしわができるのは、細胞を傷つける活性酸素のせいです。腸内細菌が元気に活躍していると活性酸素を退治してくれますが、腸内バランスが崩れていると肌の細胞をはじめ、体のいろいろな細胞が活性酸素によって傷つけられてしまいます。

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 2-7 避けようトランス脂肪酸

活性酸素は、体が酸素をエネルギー減として利用した時に発生する、いわば産業廃棄物のようなものです。タバコや紫外線、放射線などの環境因子のほか、ストレス、激しいスポーツの時にも体内で発生します。

活性酸素は酸化力が非常に強いので、細胞を酸化さえて傷つけ老化を促進させてしまいます。美しくつやのある肌のためには、代謝を促すビタミンB群や、コラーゲンの生成を助け、活性酸素の攻撃を抑える抗酸化作用があるビタミンBが必須です。

ビタミンは体内で作れませんが、食物から摂取した栄養素をもとに腸内細菌によって合成されます。とくに女性にとって大切な女性ホルモンの生産にも大きく影響しています。また、腸内細菌は冷え性の解消や、重力に抗う筋肉への働きかけを行うので、肌のたるみを押さえることにも貢献しています。

ソルビン酸は、食品の腐敗を妨げる保存料です。ハムやソーセージをはじめ、パンやケーキ、チーズ、お菓子、かまぼこなどの練り製品など、工場で大量生産されるような加工食品に使用されています。

食品添加物を多く含む食品を食べている人は、ウンコの量が少ないのです。ウンコの半分は腸内細菌や死骸菌ですから、ウンコが少ないということは腸内細菌の総量が少なく腸の活動が悪いということになります。

ファストフードのフライポテト、フライドチキンなどは中々腐りません。サクサクの触感を出すために、高温で溶かした植物性ショートニングを揚げ油として使っています。ショートニングにはトランス脂肪酸が多く含まれます。

このトランス脂肪酸は分解にものすごくエネルギーがかかる代物で、ミネラルやビタミンが消耗されるうえに活性酸素も発生します。さらに、脳に害を及ぼし認知症を促すという報告もあります。私たちの身の回りにトランス脂肪酸酸を含む食品があふれています。

さらに、マーガリンをはじめ、ビスケット、クッキー、シュークリーム、菓子パン、インスタント麺、アイスクリームなどにトランス脂肪酸酸が含まれています。保存料などの添加物、ショートニングやマーガリンなどのトランス脂肪酸はできるだけ避けましょう。

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3 滅びゆく和人

 3-1 飽食が本能を狂わす

人間が幸せや愛情を感じるのは、セロトニンやドーパミンといったの脳内神経伝達物質が分泌されているためです。これらの物質のもとは腸内細菌によって合成されています。腸内環境が悪くなると、セロトニンやドーパミンがうまく合成できなくなります。

元気がなくなると性欲も減退します。性的に興奮するためにはドーパミンが必要なのです。ドーパミンが脳に入ると、脳が覚醒されて興奮状態になり、目先の快楽を求めるようになります。恋愛初期はドーパミンがたくさん脳に出ています。

すると、相手がどんなにハゲであろうと、デブであろうと、魅力的に見えるという現象が起こります。それが悪いということではありませんが、冷静な判断ができない状態になるのです。これが人間にとっての野生なのです。

そもそも、性欲は腸から発達した原始的な脳である「爬虫類脳」による働きです。これは、生物に最初に備わった臓器が腸であることに由来します。進化の過程で脳の大脳皮質が発達して、爬虫類脳を包み込み、生来の性欲が抑え込まれてしまったのです。

種牛でもしばらく家畜小屋に入れておくと性的に元気がなくなりますが、野に放つと元気になります。つまり、大脳皮質の働きを弱めて「爬虫類脳」を刺激すると、野生を取り戻して元気になるのです。

とくに日本のような超清潔志向かつ便利な社会で暮らす若者は、大脳皮質でものを考えがちです。彼らは爬虫類脳による獣ぽい性行為を気持ち悪く感じるのでしょう。人間もエサがすぐ手に入る家畜小屋のような環境にいると、好奇心を失い元気がなくなります。

日本人は家畜小屋のような環境を見直し、野生を取り戻すことが必要です。私の若い頃は女性に人一倍興味がありましたが、20歳を過ぎても女性と仲良くなるチャンスがなく悶々としていました。わたしだけでなく、当時の若者はみなそうでした。

女性に興味があっても話しかけるきっかけが分かりません。多くの男性は、遠くから眺めてボーっとしているというのが真実です。中には数人もの女友達を従えた暴走族のつわものもいました。これから女性は野生にあこがれることが分かりました。

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 3-2 絶滅回避の遺伝子交換

地球に始めて誕生した単細胞生物には雌雄の区別はなく、単純に細胞分裂をして増えるだけでした。実際に、今でも単細胞生物は細胞分裂で増えていきます。細胞分裂をして増えていくということは、元の個体をコピーしていくことになります。

どんなに増えても、元の単細胞生物と同じ性質の単細胞生物が増えるだけです。すべての単細胞生物が同じ性質であるということは、もし環境が変化して生存に適さない環境になると、全滅してしまうことも起こり得ます。

様々な性質の単細胞生物が存在していれば、環境が変化してもそのうちのどれかは生き残ることができるかもしれません。環境の変化を乗り越えて同じ性質の単細胞生物が増えていくよりも、性質の異なる個体を増やしていった方が生き残るためには有利です。

どのようにすれば自分とは異なる性質を持つ子孫を増やすことができるでしょう。生命は遺伝子をコピーしながら増殖していきますが、正確にコピーするわけではありません。生命はあえてエラーを起こしながら、変化を試みていきます。

エラーによって起こる変化はとても小さく、エラーによって起こった変化がよりよくなる変化である可能性もあります。環境の変化が大きければ、生物もまた大きく変化することが求められます。どうすれば、自分を大きく変えることができるでしょう。

自分と異なる子孫を作ろうとすれば、他の個体から遺伝子をもらうしかありません。やたらに他の個体と交わるよりも、グループを作って異なるグループと交わるようにすれば効率が良いのです。こうして生まれたのがオスとメスという二つのグループです。

生物はオスとメスというグループを作ることによって、より遺伝子の交換が効率的になりました。遺伝子交換システムが機能していれば、生存に適さない環境になっても生物は生き残ることができるかもしれません。

地球に始めて誕生した単細胞生物が恐れた絶滅は、男女のグループが遺伝子の交換を可能にして絶滅を免れました。しかし、現代になって人類の中で、遺伝子の交換が出来ない行動が世界的に広がり始め、しかも温暖化などの環境変化で絶滅の危機が迫っています。

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 3-3 終末期の様を呈した日本

いまの若者達は化粧やファッションに興味を持ち、異性に対する興味は失われてきているようです。髪の毛を伸ばして化粧をし、なよなよとした女性的な男子が増えています。若者の性欲減退は、日本が飽食社会になったことが関係しているのでしょう。

人間の脳で本能行動をつかさどるのは視床下部です。この視床下部では、性欲中枢と食欲中枢が1.5ミ程度の近距離で、隣り合った位置に存在しています。食欲と性欲は同じ水源をもっているので食べ過ぎると性欲がなくなり、性欲が抑えられると食べたくなるのです。

失恋をすると、ヤケ食いすることがこれで説明できます。サルを飽食群と摂食群に分けて観察すると、摂食群のサルは元気で社交的で活発な性交渉をしていました。飽食群のサルには、仲間通しのケンカやいじめ、正常な性交渉が見られません。

近代は女性も男性も、新たに異質な魅力を求めるようになりました。飽食は生命の存続という本能を失わせ、それが同性愛へと走らせます。飽食と異質な快楽を手に入れようとした人々は、自分達さえ良ければいいと子孫を作らず国力を益々衰えさせます。

国民が脱税したら罰する法律を作った政権政党は裏金を作って脱税し、野党は森友学園の国有地売却問題で総理を犯罪者にしようと企み、日本の頭上をミサイルが飛んでも知らん顔です。野党が政権を握っても保育所増設に取り組まず育児不安は解消しません。

働きすぎと言われた日本人の労働を世界並みにすべきは当然ですが、国力が衰えて人口が減少してから取り組むという政治の貧困さには呆れます。日本のために働く政治家は皆無で、探偵ごっこに夢中の野党よりは与党の方が少々ましとしか言えないでしょう。

また、裁判所は犯罪者を裁くことなく被疑者を不起訴処分と、不起訴処分理由も公表しません。おそらく、裁判官は私的な不正行為を暴露すると脅されたのか、裏金を握らされたのだろうと勘ぐられても不思議でないでしょう。裁判所は情報公開もしないのです。

自室に閉じこもった青年が両親を殺害したり、遠くで暮らす親戚をでわざわざ出かけて殺害する犯罪者。子どもをしつけと称し虐待して死に至らしめ、交通事故の被害者を救助せずに平然と放置して逃げるなど、日本民族は滅亡への道を歩み始めています。

国力が衰えると周辺国の異民族に征服され、日本民族は虐殺されて消滅するでしょう。異性との結婚は生命を継続させるために与えられた本能ということを忘れ、飽食と異質な快楽に狂った愚かな民族がいたと歴史の教科書に記録を残して…。

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4 生き残るために

 4-1 腸内環境を整える食品

腸内環境を整える一番簡単な方法は、食品から乳酸菌やビフィズス、酵母菌といった善玉菌を直接取ることです。とくに60歳を過ぎると腸の動きが悪くなり、ビフィズス菌や乳酸菌が減少し、悪玉菌と呼ばれるウィルシュ菌が増えてきます。

乳酸菌にはガゼイ菌、ブルガリ菌など色々な種類があります。ヨーグルトやチーズなどの乳製品には乳酸菌が多く含まれますが、乳酸菌は胃酸に弱く、その90%は腸に届く前に死んでしまいます。腸までやってきても住み着かず、排出されるケースもあります。

乳酸菌は腸に届く前に菌が死んでしまっても、もともと腸にいた善玉菌を増やし、病気予防の役割を果たすなど、死んだ後まで活躍してくれます。乳酸菌の種類にこだわるよりは、まず善玉菌を多く含む食品を直接とることのほうが大切です。

日本の伝統的な発酵食品には、乳酸菌や麹菌、酵母菌などの善玉菌を多く含む食品がたくさんあります。代表的なものが、味噌や納豆、醤油などです。麹菌が含まれる、みりんや塩麹、キムチや漬物の乳酸菌は、腸内を酸性に保ち病原菌を排出します。

発酵食品の中には、本物でない見せかけのものもあります。発酵熟成を強制的に促進する食品類もあります。大量生産品の場合は、乳酸菌を腸に入れると添加物や保存料との相乗効果によって腸内細菌にダメージを与えることもあるので注意が必要です。

本来の発酵食品は家庭で作ることです。漬物などは糠みそを使うなどして、できるだけ家庭で手作りの漬物を作りたいものです。不溶性食物繊維は、玄米などの穀類、大豆やインゲン豆などの豆類、ごぼうなどの根菜類、エビの表皮にも含まれています。

水溶性食物繊維は、リンゴやミカン、イモ類、キャベツやダイコン等の野菜類、コンブやワカメなどの海藻類に含まれます。水に溶けるために腸内で水分を含んで粘りのある状態になり、有害物質をウンコとして出してくれます。海藻を食べて消化できるのは日本人だけです。

食物は1口30回かけてゆっくりと噛んでたベましょう。たったこれだけで、胃や腸の負担を軽減できるうえに、若返り効果まであるのです。歯で食べ物をすりつぶすようにして食べると、野菜や果物の細胞膜を壊すことができます。

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 4-2 飲み水にも配慮を

よく噛むことによって分泌される唾液そのものにも、抗酸化作用のある酵素が含まれています。1日3回の食事をよく噛んで食べれば、活性酸素の害を減らすことができます。時にナッツ類は旧石器時代と縄文時代の常食ですから、無塩のものを選びましょう。

現代社会に生きる我々の体内では、電磁波を浴びるだけで活性酸素が生まれています。1日3回の食事をよく噛んで食べれば、活性酸素の害を減らすことができます。よく噛んでゆっくり食事をすると、脳の中の満腹中枢が刺激されて食欲が押さえられるのです。

太っている人はたいてい早食いで満腹を感じたときには、すでに食べ過ぎている傾向があります。食事をすると体が熱くなりますが、1日の消費エネルギーのおよそ1割りが食事で消費されるといわれています。よく噛むと、この消費割合が大きくなります。

噛むという行為はダイエットにも有効です。脂肪細胞に作用して脂肪の分解、燃焼が促進されるため痩せやすくなるのです。さらに、認知症の予防や記憶力の維持にも役立つということがわかっています。よく噛むことは体にとっていいことだらけです。

あなたは1日に生の水をどの程度飲まれますか。一般的に1日1~1.5リットルの水を飲むことが推奨されています。自然のままの生の水が体にとって良い水ですが、都会ではそう簡単に手に入りません。日本の水道水は細菌を殺すために塩素が加えられています。

塩素は感染や中毒を防ぐ一方で、人体に入ると活性酸素を発生させます。また、塩素殺菌の際にできるトリハロメタンは発がん物質になることがあります。しかも、むかしから言われてきたた、水道水を一度沸騰して湯冷ましにするという方法は間違いです。

水分が蒸発することによって、有害物質の濃度がさらに濃くなる危険があり、酸素やミネラルも少なくなります。水道水を加熱せずに、有害物質除去フィルターなどで濾過して飲むという方法がありますが、そこまで神経質にならなくてもよいでしょう。

喉が渇いたらチビチビ飲む水は、非加熱と表示されている市販のミネラルウォーターを購入する方法があります。私は腎臓内科医にスポーツドリンクを勧められましたが、血糖値が上がると危険なので水道水に切り替えました。

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 4-3 炭水化物と糖分を避ける

中高年で50歳以上の方は、ご飯やパン、麺類などの炭水化物や、砂糖たっぷりの甘いお菓子などの糖類を食べ過ぎないようにします。脳は糖質を欲しがりますが、腸は糖質の取りすぎを嫌がるのです。糖質制限はダイエット効果も抜群です。

糖質制限食事で控えるべきは、精製された米や小麦、砂糖を使った食品です。これらの食品は血糖値を急激に上げ、血管に負担をかけます。10年、30年とこの状態を続くと動脈硬化が起こり、心筋梗塞や脳梗塞などの生活習慣病の危険が高まります。

血糖値が急激に上昇すると、膵臓のβ細胞は血糖値を下げるためにインスリンを分泌します。インスリンが大量分泌されると、エネルギーとして消費されなかった血糖が脂肪となって蓄積し、太っていくことになるのです。

玄米や五穀米などの雑穀、全粒粉を使ったパンや十割蕎麦などは食物繊維が豊富なので血糖値の急激な上昇を抑えられます。糖質制限食は糖質が多い食品を避ければ、カロリ―を気にしなくてもよいという利点もあります。

牛、豚、鶏などの肉類はかまいません。タンパク質である肉類は、腸内で合成される幸せ物質のドーパミンやセロトニンの原料になります。なぜ私たちは糖質を欲しがるのでしょう。それは私たちのエネルギーを生み出すエンジンに理由があります。

私たちは「解糖エンジン」と「ミトコンドリアエンジン」を持っています。私達生物が誕生したのはまだ酸素がない頃の地球でした。そこで生物は糖を原料とした「解糖」という化学反応を起こすことでエネルギーを生み出す「解糖」エンジンを備えました。

しだいに酸素が増えていくと、生物はミトコンドリアという好機的な細菌を取り込み、大気中の酸素を利用してエネルギーを生み出す「ミトコンドリアエンジン」を備えるようになりました。

解糖エンジンは瞬発力があり、急にエネルギーが必要になったときに、血中のブドウ糖を利用してエネルギーを作ります。ストレス時の対応や身体がつかれた時など瞬発的な活動では解糖エンジンを使います。

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 4-4 ミトコンドリアエンジン

現代社会のようにストレスが多い社会では、脳は常に糖質を要求します。糖質を取りすぎは血管に負担をかけ、体中に活性酸素が増え、脳の機能も悪くなります。その結果、うつを発症したり、すぐキレるなどの心の状態にも影響が出てきます。

体の中で分裂が盛んな皮膚、筋肉、骨髄細胞、精子などは解糖エンジンに頼っているからです。10代や20代の若者が炭水化物抜きダイエットをすると、エネルギー総量が減ってしまうので、活力がなくなってしまいます。若者は糖質を抜いてはいけません。

ところが、25歳を超えたあたりからエネルギーは、解糖エンジンからミトコンドリアエンジンに切り替わっていきます。50歳頃になると長時間継続してエネルギーをつくりだすことができる、ミトコンドリアエンジンの働きが弱くなります。

腸の活動はミトコンドリアエンジンのよるエネルギーに支えられているので、糖を取りすぎるとミトコンドリアエンジンの働きは弱くなります。腸を整える上でも糖質を控えることは非常に有効なのです。阿保徹の免疫学入門

運動しないと便秘になりやすくなります。なぜなら、腸は小刻みに震える蠕動運動をすることによって便を排出するので、体と一緒に腸が動けば蠕動運動が活発になり、便が排出されやすくなるのです。週に数回、20~30分程度のウオーキングで十分です。

中高年にとって必要な運動は、酸素を使って筋収縮のエネルギーを作り出すウオーキング、軽度のジョギング、エアロビクスなどの有酸素運動です。男性ホルモンは筋肉からも作り出されるので、有酸素運動に筋肉トレーニングをプラスするとよいでしょう。

ミトコンドリアエンジンは、酸素量が豊富で体温が高い状態でよく働きます。中高年は体を温めることも重要になります。激しい運動は不必要です。ミトコンドリアエンジンがメインエンジンになると、老化を促す活性酸素が生まれやすい体になっているからです。

油の取りすぎは腸に負担をかけますが、サバやイワシなどの青魚の脂やエゴマ油、亜麻仁油などは積極的にとってください。これらはオメガ3系脂肪酸といい、現代人には不足しています。脳が活発に活動するためにはメガ3系脂肪酸が欠かせません。

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 4-5 食品で注意すべき点

飽和脂肪酸のアルチミン酸や一価不飽和脂肪酸オメガ9系のオレイン酸、多価不飽和脂肪酸オメガ6系のリノール酸等は避けて、多価不飽和脂肪酸オメガ3系に含まれている食品を覚えましょう。αーリノレン酸含有は、しそ油、えごま油、亜麻仁油、海藻類です。

ドコサヘキサエン酸含有は、マダイ、マグロ、ブリ、サバ、ハマチ、サケ、サンマ、サワラ、ウナギ、ハモ、イワシ、アジなどです。エイコサペンタエン酸含有は、マダイ、マグロ、サバ、ハマチ、イワシ、ブリ、ウナギ、ハモ、サケ、サワラ、サンマなどです。

現代はコンビニやスーパーで手軽にお惣菜、冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品などを買うことができます。しかし、腐りにくくて便利な食品ほど防腐剤や保存料などの添加物が含まれているのです。ソルビン酸は食品の腐敗を妨げる保存料です。

ハムやソーセージ、パンやケーキ、チーズ、お菓子、かまぼこなどの練り製品など、工場で大量生産されるような加工食品に使用されます。食品添加物を多く含む食品を食べている人は、腸内細菌の総量が少なく腸の活動が悪いのでウンコの量が少なくなります。

ファストフードのフライドポテト、フライドチキンなども中々腐りません。これらの食品はサクサク感を出すために、高温で溶かした植物性ショートニングを揚げ油として使っています。ショートニングにはトランス脂肪酸多く含まれています。

トランス脂肪酸が多い食品はマーガリンをはじめ、ビスケット、クッキー、シュークリーム、菓子パン、インスタント麺、アイスクリームなどです。保存料などの入った添加物や、マーガリンなどのトランス脂肪酸はできるだけさけましょう。

生きたまま腸に届くと宣伝されている乳酸菌やビフィズス菌も、実際には腸に届く前に胃酸で死んでしまいます。しかし、乳酸菌の死骸は腸内にいる仲間を増やす働きがあるので、あまりこだわる必要はありません。最近は乳酸菌のエサが注目されています。

善玉菌のえさはオリゴ糖や水溶性の食物繊維などです。オリゴ糖は消化吸収されにくいので、血糖値やインスリンの分泌とはあまり関係ありません。オリゴ糖は熱や酸に強いので、腸内に届きやすい性質を持っています。

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 4-6 乳酸菌エキスの勧め

オリゴ糖が含まれている食品は、バナナ、ハチミツ、キャベツ、タマネギ、ネギ、ゴボウ、アスパラガス、ジャガイモ、大豆、麦類、トウモロコシ、エダマメ、牛乳などに多く含まれています。

抗酸化力の強い野菜は、キャベツ、ブロッコリー、トマト、レンコン、ナス等。果物ではリンゴ、ライチ、サクランボなどです。活性酸素吸収能力を示すオラック値の高い食品は、アスパラガス、レタス、ブロッコリー、ホウレンソウなどです。

また、イチゴ、ブルーベリー、ラズベリーなども高い値を示しています。ところで、あなたのオナラは臭くありませんか。60代になってから、ヨーグルトを食べるようになると、私の便とおならはほぼ無臭になりました。

団体の責任者をしていた性か強いストレスを受けていたので、脳の視床下部から脳の下垂体、副腎軸を介して腸内細菌に影響を与えていたようです。ストレスによって消化管の局所で、カテコラミンという神経伝達物質が放出されていました。

カテコラミンは、悪玉菌と言われる大腸菌の増殖を促し病原性を高めます。このような状態で、悪玉菌の大好物である油だらけのから揚げや、クリームたっぷりのケーキなどを食べると、悪玉菌は硫化水素やアミン、アンモニアといった毒性物質を作り出します。

こうなった腸は真夏のごみ置き場です。路上のごみ置き場は曜日を守ってごみを出さなければなりません。ごみを放置していると酷いにおいを巻き散らしてしまいます。1日に1回はごみを出すにしましょう。

自分の腸に最適な乳酸菌を見つけ出すことはむずかしいので、乳酸菌の分泌物と菌体成分をエキス化した「乳酸菌エキス」を摂りましょう。16種類の乳酸菌を豆乳のなかで発酵・熟成させて、乳酸菌の分泌物と菌体成分を抽出したものです。

短時間で腸内の悪玉菌を抑えて乳酸菌を増やす働きがあるので、腸内環境は改善されます。様々なメーカーから販売されています。自分に合う乳酸菌を一つ一つ確認して探す手間がはぶけ、自分の腸内に住んでいる善玉菌を増やすことができます。

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 4-6 乳酸菌エキスとは

乳酸菌エキスとは、乳酸菌そのものではなく腸内細菌に働きかける成分が凝縮したエキスです。1908年にロシア人メチニコフは、腸内細菌を腐敗成分を作らない細菌に置き換えることが有効であるとして、「ヨーグルトの不老長寿説」を提唱しました。

この学説に深く感銘した日本人医師、正垣角太郎は1914年にヨーグルトの製造販売を初め、「乳酸菌生成エキス」に至る研究を開始しました。角太郎の意志を受け継いだ一義は、研究を続けて「乳酸菌生成エキス」の開発に成功しました。

東京大学大学院が2008年に行った腸内細菌の遺伝子分析結果で、人間の腸内に約百兆個の細菌が住み着き、その種類は1人1人違うことが分かりました。乳酸菌を腸内に定着させるには、乳酸菌の補充ではなく腸内に元々住み着いている乳酸菌を育むことです。

乳酸菌生成エキスを飲むことで、大腸ポリープの縮小と消失が確認され、8症例中5症例でポリープの消失・縮小が確認されました。虫歯の原因であるミュータンス連鎖球菌が減少しました。また、花粉症などのアレルギー体質が改善されました。

花粉症の人の食事を見ると、野菜が足りない。油ものが多い、甘いものを普段から食べている、四つ足系の肉食が多い 、もち米でできたものが好きという傾向があります。また、野菜嫌いで少ししか食べていませんでした。

厚生労働省調べによると、便秘で悩んでいる女性は48.7%。2人に1人の割合といわれています。さらに別の調査では、便秘女性の6割が、5日に1回しか排便がないという報告もあります。

口から入った食べ物は、胃液、膵液などで消化され小腸までおりてきます。栄養分は小腸でスープ状で体内へ消化吸収されます。その残りカスと水分が大腸へ流れます。大腸では水分が吸収され、スープ状態から半練り状態へと変わります。水分が徐々になくなり便を形成します。

大腸でこうして水分がぬかれる一方で、3リットルもの腸粘液が大腸壁から出て、便をつつんでいきます。S字結腸についたころには、その便は5~6層にもコーティングされています。S字結腸からの超粘液はひどくベタベタした粘度の高いもので、便は腸壁にべったりくっついてしまい簡単に外へ出ることができません。

ところが、朝食後に不思議なことがおこります。自律神経の働きで、腸壁細胞から水分が分泌されるのです。これによってS字結腸に停滞していたベタベタ便は、勢いよく滑り台を滑り落ちるように直腸へ向かい、外へ押し出されます。

ポイントは腸内細菌が作り出す「腸粘液」。これが便の排泄に重要な働きを担っており自然な腸粘液が快便を調整していです。便を構成しやすい食物繊維を意識的に食べ、水分も不足しないようにとりストレスをためないようにするなどを心掛けることも大切です。

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参考資料:腸すっきり健康法(藤田紘一郎、PHP文庫)、医者が教える食事術(牧田善二、ダイヤモンド社)、阿保徹の免疫学入門(阿保徹、宝島社)、B&Aホームページなど。