はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第69章 自律神経を正常に6

痴呆と認知症予防は、色の濃い野菜や果物を食べる、ナッツやカボチャの種を食べる、青魚を食べる、加工食品は避ける、40分間×週3回歩く、好奇心を持ち続ける、良質な眠り、常に笑顔、硬いものを噛む、誰かを愛するか誰かの愛を感じることが最も重要。

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1 自己催眠術

 1-1 予備知識

さあ、最終段階です。平井富雄博士が推奨される自己催眠術は、シュルツ博士の自律訓練法が土台として、だれにでも手軽に実行できるよう平井富雄博士が工夫改良を加えたものである。自己催眠術の訓練は六段階に従って進める。

第一段階 ウデガオモイ(腕が重い) 完了

第二段階 ウデガアタタカイ(腕が温かい) 完了

第三段階 シンゾウガシズカニウッテイル(心臓が静かに打っている) 完了

第四段階 コキュウガラクダ(呼吸が楽だ) 完了

第五段階 オナカガアタタカイ(お腹が暖かい) 完了

第六段階 ヒタイガスズシイ(額が涼しい)

これらの六段階は一つ一つが独立したものではなく、一段階をマスターできれば次の段階への移行が容易になるというように、難易度や安全度を勘案したうえで合理的に配列されている。従って、第一段階からひとつずつ順を追って進んでいかなければならない。

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 1-2 練習場所

繰り返しになるが、最初は外的な影響を受けやすいので、自分の部屋など静かで落ち着けるところが良い。自分の部屋に閉じこもるのが理想的で、明るすぎないこと、熱くも寒くもないこと、通風状態が良いこと、などの条件を考慮できれば一層よい。

少し慣れてきたら、電車の中や公園のベンチなど、外的刺激の多いところでもできるようになる。ただし、どんな場所でも一定時間同じ姿勢でいられるところでなければならない。

なお、外的な刺激をなるべく少なくするために、練習中はメガネ、ベルト、ネクタイ、腕時計、靴下止めなど、身に着けているもので窮屈なものはすべてゆるめるか、取り外すことが望ましい。

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 1-3 姿勢

この訓練には「仰向け姿勢」がもっとも適している。就寝直後、または起床前に寝床で行うと効果的である。ベッド、布団、またはたたみなどに仰向けに横たわり静かに目を閉じる。両方の足を適当に緩め体全体の無駄な力を抜く。この場合も、リラックスしすぎてぐったりした感じになってはいけない。仰向け姿勢

足のつま先をV字型に外側へ開く。腕は力を抜いて少し曲げ、胴の脇に、手のひらを下にして置く。指は自然に、いくぶん曲がっている状態であるが、胴に触れてはいけない。

この姿勢では、体の一部が寝台の部品や畳の縁などに触れて気が散ることがある。このような細かい刺激も、中々馬鹿にならないので、練習の初めによく周囲の状況を整えておくように注意しよう。

正しい仰向け姿勢をとったら、気持ちを落ちつけよう。2~3分そのまま何も考えずに心が安静になるまで待つ。原則として練習中は目を閉じる。肢体への注意集中はうまくいくが、雑念が起こりやすく眠り込んでしまうことがある。できれば、半分目を開けた状態の「半眼」をお勧めする。

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 1-4 練習中の心構え

くどいようだが、基本的な暗示を、たえず念頭に持ち続けることが大切で、「ヒタイガスズシイ」と思うとき、これを言葉だけで考えず実際にそう感じるようにいつもつとめることが重要である。別なことを考えても催眠にかかるだろうか、という試みは好ましくない結果を生むことがあるので決してしてはいけない。

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 1-5 練習回数と時間

自己催眠開始から終了・覚醒にいたる一回の練習時間は極めて短く、普通30秒から90秒(慣れてきたら、さらに1分、3分とふえる)くらいである。この短い練習を、何回か間を置かずに集中的に繰り返すのである。このように短時間の練習を何回か繰り返すことを1セッションという。

1セッションは5分ないし2時間である。1日に3度、朝・昼・夜に行うのが理想的である。それが無理なら朝と夜の2セッション、あるいは朝か夜の1セッションでもよい。大切なことは1セッションでもよいから、毎日継続させることである。とくに、練習を始めたばかりのときは、なるべく一日でも中断しないほうが良い。

初心者は1セッションで3回練習する。1回は30~90秒である。1回の練習が終わったら、催眠の自覚がなくてもきっぱり終了・覚醒し、直ちに第2回目に入る。そしてその終了・覚醒後、ただちに3回目にうつる。

1回の練習に連続して3回分の時間を費やすよりも、短く断続したほうが効果的である。もちろんこれは初心者の場合で、少し訓練に慣れてきたら練習を長く続けたほうが効果的である。かつ、1セッションの練習回数も3回に限らず自由に増やしてよい。

なお、練習はいつ行ってもよいが、朝起きたときと就寝前が最も効果的である。要は練習するときを、食事前とか就寝前というように、きちんと決めておくことである。

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 1-6 終了と覚醒

一定の練習が終わったら自分で覚醒する。一定の練習が終わったら自分で覚醒する。目を開けて、まず両腕、次に両足を2回強く屈伸し、次に頭を2回左右に傾けてから深呼吸を2回行う。この順序は各段階とも共通である。終了・覚醒の順序を狂わせると、めまいなど好ましくない結果が出ることがあるので、めんどくさがらずにきちんと守ってほしい。

練習を進めていくと、同じ催眠に入るまでに要する時間は次第に短くなり、外的刺激にあまり影響されずに効果的に暗示を受け入れるようになる。そして、ある段階の自己催眠術をマスターすると、その催眠効果は以後の段階にうつっても持続する。

6段階の基本催眠は、毎日効率よく練習していけば、約四週間でマスターすることができる。練習の継続性や個人差によって、四週間より長くかかることもあるが、練習回数を増やしたり、練習中の条件の改善に留意すれば、案ずるほど長くはかからない。

練習中に眠り込んでしまったら、目覚めた後に必ず最初からやり直すことである。とくに、練習終了・覚醒の手続きを完全に行うこと。四股の屈伸は怠ってはいけない。

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2 第六段階

 2-1 自己催眠に入る準備

第6六段階は、額を涼しくすることによって、頭の働きをより効果的にし、ひいては冷静さと判断力を増す訓練である。この訓練は、脳に直接影響を及ぼすので暗示効果が強く特に「想像力が豊かになる」「自我が強くなる」といったような精神・人格面での効果がいちじるしい。

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 2-2 ヒタイガスズシイ

正しい仰向け姿勢をとったら、頭を空白にして気持ちを落ち着けよう。2~3分、そのまま何も考えず心が安静になるのをまつ。さあ、雑念を追い払い、心は静まってきたら自己催眠に入る。暗示をかけよう。

仰向け姿勢

「ウデガオモタイ…ウデガアタタカイ…シンゾウガシズカニウッテイル…コキュウガラクダ…オナカガアタタカイ…」と二度繰り返そう。次に、「ヒタイガスズシイ…ヒタイガスズシイ」と三度つぶやく。あなたの額に、冷たい風が吹き付け額から熱が逃げていく。

あなたの頬に、冷たい風が吹き付け、額から熱が逃げていく。ここでこんな情景を思い浮かべてみよう。あなたはいま、広々とした湖上を、一人で舟を走らせている。風が時々吹く。時にやさしく、あなたの体をなでるように吹き抜けていく。風はあなたの不安や、心配、悲しみや苦しみ、憎しみや恐怖など、あらゆる不純な感情を運び去っていく。

暗示を再び繰り返そう。「ヒタイガスズシイ…ヒタイガスズシイ…ヒタイガスズシイ…」

第6段階は体への暗示で催眠に入るというより、むしろ心に直接暗示をかけて催眠に至る要素が大きいため無理に力まず、次のような補助的暗示を利用してみるとよい。

黒田清隆の「湖上の女」は、涼感と同時に催眠そのものを誘導する優れた効果を持って湖上の女いる。この絵を練習に入る前に1分ほどじっと見つめ、練習中はそれを思い浮かべるのである。また、過去にさかのぼって、あなたの記憶の中から、爽快な涼感を思い出させるような瞬間の一コマをたどるのもよい。

風鈴のなる縁先で夕涼みをしていたとき、やっと山頂にたどり着き稜線を渡る風に吹かれたとき、打ち水をしたばかりの古寺の境内にたたずんでいた時、幼い恋の相手などが理想的である。

「ヒタイガスズシイ…ヒタイガスズシイ…ヒタイガスズシイ…」。思い出そうとする努力が、必然的に額の付近に注意を集中する助けとなり、それが基本暗示の涼感と結び付くだろうと推察される。

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 2-3 催眠を解く

額に涼しさを実感し、頭の中がさっぱり洗濯されたような気分になったら自分で覚醒する。目を開けて、まず両腕、次に両足を2回強く屈伸し、次に頭を2回左右に傾けてから深呼吸を2回行う。そしてゆっくり立ち上がるか、あるいは就寝前ならそのまま睡眠に入ってもよい。

終了・覚醒の順序を狂わせると、めまいなど好ましくない結果が出ることがあるので、めんどくさがらずにきちんと守ってほしい。ゆっくり立ち上がったあなたは、心身ともに平常な状態に戻っているだろう。

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 2-4 練習中の注意

練習中に、めまい、気の遠くなる感じがしたり、額に蟻が走るような感覚があったり、あるいは額がひどく冷たくなったりした場合は、直ちに練習をやめ、2~3日間置いてから再開する。また、幻聴や幻覚が出てくる場合もあるが、これらは不快な性質のものでなければ、練習には差し支えない。

注意しなければならないのは、第6段階は「脳の病気を治す」訓練ではないということだ。肉体の緊張を解いて心の平静を得るための訓練である。ただ、この段階までくると、単位心の安静を得るというだけでなく、さらに、性格や人格面におかる効果が顕著になってくる

だから第6段階は、性格・人格面での新しい発展性を約束する訓練であるが、けっして脳の病気を治すための訓練ではない。したがって、痴呆症、てんかんなどの症状には、この訓練は必ずしも有効ではない。

頸部外傷を受け、その後遺症がある人も同様である。これらの症状では、脳の血行がこの訓練によって変化し、それが逆効果に働く可能性があるからだ。また、動脈硬化、心臓病のはっきりした兆候のある人も、医師の指示が得られないときはこの訓練を避けていただきたい。

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 2-5 強化訓練

1セッションは5分ないし15分が適当である。練習開始後、6日目くらいで、額の涼感を体得できるだろう。その後もできるだけ長く(2週間~4週間)強化練習を続けることが望ましい。

さらに熟練すると、半分無意識の状態にまで催眠が深まり、いままであなた自身さえ気づかなかった、あなた自身の性格や欲望を知ることができる。

自己催眠術をマスターすると、あらゆる劣等感からの開放や、社会や職場へのより良い適応、生活に対する心のゆとり、同僚との共感、対異性感の変化、趣味や関心の範囲の拡大、精神的安定感からくる幸福感の実現である。

あなたの感想はいかがだろうか。いくらかでもあなたの欠点が治ったらしいと自覚されただろうか。もしその実感がなくてもこだわる必要はない。なぜなら、それはあなた自身でわかる点もあるが、むしろ自分でわからぬところのほうが多いからである。

いつのまにか、同僚や上役、友人や先生、男性と女性、それらの周囲の目があなたの変化に気づいてくれるはずである。そしてあなたは、自分で自分の欠点を美点に変え、美点をおしつけがましくなく周囲に認めさせることができるに違いない。

あなたは気づくだろう。「人間というものは、なんと可能性のあるものなのか」と。いつの間にか新しいあなたに生まれ変わっているのに、あなた自身が気づかないのを別に不思議にも思わず。

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参考資料:新・自己催眠法(長尾盛之助、鶴書房)、自己催眠術(平井富雄、光文社)、公益財団法人長寿科学振興財団ホームページなど。