3 科学は幸せを呼ぶ
1) 人体の骨について
成人の骨は全部で206本あり同じ形の骨はありません。一番大きい骨は太股の長さ約40センチある「大腿骨」で、体重を支え足を大きく動かす働きがあります。一番小さい骨は耳の長さ約3ミリの「あぶみ骨」で、鼓膜で受けた音を内耳に伝える働きをします。
骨は皮膚と同じように「新陳代謝」が行われています。毎日「骨代謝」により、古くなった骨を溶かす「破骨細胞」と、新しい骨を生成する「骨芽細胞」が一定の形と密度を保ちながら、1つ1つの骨を新しい骨に入れ替えています。
私たちの体は、1日に約1グラムずつ新しい骨に作り替えられ、1本の骨が新しい骨に入れ替わるのに約3~4か月かかります。全身の骨が新しい骨に入れ替わるには、約3年(長い人で約5年)かかるといわれています。
破骨細胞は血液細胞の一種です。ホルモンの刺激によって破骨細胞に変わり、酸や酵素を放出して古い骨のカルシウムやコラーゲンを溶かします。溶けたカルシウムは、新しい骨の材料や血液に取り込まれてカルシウム源になります。
骨芽細胞は、建物でいうと鉄筋にあたる「コラーゲン」をつくり出し、カルシウムを付着させるためにたんぱく質の一種である「オステオカルシン」を骨の表面に分泌します。そこへ血液中から運ばれてきた「カルシウム」が付着し、新しい骨ができあがります。
骨は夜間眠っているあいだに「骨芽細胞」が働き、昼間は「破骨細胞」が働きます。しかし、睡眠障害や不眠症などがあると、生成されるはずの骨に影響があるといわれています。睡眠時間が短い人の骨は弱く折れやすい、という研究結果もあるようです。
若いころは破骨細胞と骨芽細胞の活動が、ほとんど同じ量になるため骨の強度は保たれています。しかし、高齢期をむかえると、破骨細胞の量が増えてくるために骨が弱くなったりもろくなったりします。
特に女性は、閉経をむかえると女性ホルモンが少なくなるため、破骨細胞の抑制がきかなくなり骨や関節の障害が起こりやすくなります。60~70歳代の女性に「骨粗鬆(しょう)症」や「変形性膝(ひざ)関節症」が多く発症するのはそのためです。
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2) 我が家の食事
2003年の3月末日をもって私は地方公務員を定年退職しました。当時は1年間の再雇用制度がありましたが、マンション管理組合の理事長で南面改修工事の準備中だったため再雇用を断念して工事に専念することにしました。
5月のある日妻が口を開きました。「お父さん退職したんだから、家事を少し手伝ってよ」「いいよ、何をすればいいんだ」「そうね、布団の上げ下ろしと毎食後の食器洗いをしてくれているけど、お掃除はどうかしら」
部屋の掃除は中学校の事務室で3年間経験していました。「全部の部屋に掃除機をかけるのかい。そのあとは、家具を拭いてキッチンの床の拭き掃除も必要だな。トイレ掃除はやっているから浴室も清掃しようか」「そうね、それに食事のことも考えて」
50代に入った頃に、財団法人ベーターホーム協会の料理教室で2年間学んだことがあります。「食事かい。朝食の冷凍ご飯を温めて味噌汁をならつくれるよ。そうだ、昼食時にスムージを作って飲むのもいいな」「スムージを作るの」
「カルシウムが多い小松菜、大葉にバナナ、大麦若葉の青汁にアマニ油と牛乳を加えミキサーで粉砕したものを二人で飲もうよ」「そうね、そんなことも考えていたの」「うん、昼食はこれまでのように軽いものでいいよ」「そう、ついでに夕食の献立も考えて」
我が家の食生活は単純です。朝食は昆布と煮干しでだしを取ってワカメと豆腐を加えたみそ汁、焼き鮭を少々と納豆にしらす干しを載せて米飯は茶碗に半杯ほど、昼食時は小松菜等のスムージを200ccに、スライスチーズをのせた角食か焼きもちを一枚程度。
夕食はうどんやそば、スパゲッティにお好み焼き、シメサバとサーモンの刺身、餃子や沖縄のタコライス、湯豆腐や冷や奴、豚肉のステーキ、ジンギス汗、きりたんぽ汁、月に二回程度はチーズフォンヂュを楽しみます。夕食後は無糖のヨーグルトを食べています。
定年退職してから一日おきに午後6時50分からベビーチーズ1個に赤ワインを200cc飲んでいます。さらに、毎日午後7時半~午後8時半の間に牛乳を200ccを飲み始めました。テレビを見終わると午後9時に就寝するのが日課です。
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3) カルシウムの摂取
我が家の朝食でのカルシウム摂取量は、みそ汁に用に10センチ角の昆布71mg、煮干しのカタクチイワシ3匹で15mg、ワカメ1食分19mg、絹ごし豆腐4分の1丁で67mg。塩鮭10mg、納豆27mg、ご飯1.5mgで計210mgです。
昼食のスムージだけで、小松菜58mg、大葉11mg、バナナ4mg、大麦若葉の青汁は不明、牛乳136mgで計209mgです。夕食後のヨーグルトは130mg、ベビーチーズは112mg、低脂肪乳273mgで計515mg。
朝食210mgと昼食の209mgを2で割ると、1人分のカルシウム摂取量は209mgです。これに夕食後の楽しみ515mgを加えると、私の1日の摂取量は934mgということになります。みそ汁のだしを取った昆布と煮干しは棄てずに食べています。
日本人の食事摂取量(2020年版)で1日のカルシウム必要量は、75歳以上の男性で700mg、75歳以上の女性で600mgとなっています。食事内容から考えると、私も妻も1日のカルシウム必要量を摂取していることになります。
牛乳には100gあたり110mgのカルシウムが含まれています。また、牛乳には100gあたり10mgのマグネシウムが含まれています。マグネシウムには、カルシウムの吸収を助ける効果があります。
カルシウムが不足しても過剰すぎても体に様々な健康障害が起こります。日本人の通常の食品からの摂取では耐容上限量(1日2500mg)を超えることはまれと思われますが、カルシウム強化食品やサプリメントを利用する場合はとりすぎに注意が必要です。
牛乳は温めた方が胃にやさしくコップ一杯にします。ゆっくりで飲めば乳糖不耐症の人でも乳糖を分解することができるそうです。チーズやヨーグルトなどの発酵乳食品は、乳糖の含有量が少なくなっているため、牛乳よりはお腹に優しく食べることができます。
また、夜に牛乳を飲むとカロリーが気になるという方は、味は落ちますがスキムミルクをオススメお勧めします。牛乳は苦手という人はヨーグルトでもよいのです。
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4) 必要なビタミンD
ビタミンDは腸管からのカルシウム吸収を助け、体づくりをサポートするビタミンですが、脂溶性ビタミンのため過剰に摂取すると排泄することができず体に蓄積してしまうリスクがあります。摂り過ぎた場合は身体に悪影響が生じる可能性のある栄養素です。
ビタミンDを体に供給する方法は2つあり、食品から摂取する方法と日光に当たることです。日本人は食事での摂取量はわずかで、健康障害はないでしょう。実際の日光浴時間は、夏なら木陰で30分程度、冬なら1時間程度を目安にすると良いとされてます。
人間の骨は常に入れ替わっていますが、骨へのカルシウム沈着は夜が優位になります。骨の栄養は「カルシウム」と「ビタミンD」で、主にこの2つが骨を形成する際に必要になります。さらに、骨の形成にはもう一つ重要なものがあります。
それは「成長ホルモン」です。成長ホルモンは子どもたちの身体を大きくするために必要なホルモンで、昔から「寝る子は育つ」といわれますが、その言葉通りに成長ホルモンは夜間に分泌が多くなります。
骨の破壊と形成は夜間が活発になり、成人になっても成長ホルモンを分泌して骨の形成を行っています。骨を作るのに必要な成長ホルモンの分泌が夜間に多いなら、骨の材料であるカルシウムも夜に摂るのが理想的です。
成長ホルモンは睡眠に入って1時間半後くらいから分泌されます。だから牛乳は寝る前の時間帯に飲むのが最善なのです。古い映画ですが「ローマの休日」でオードリー・ヘップバーンが演じるアン王女がホットミルクを飲んで就寝するシーンがありました。
鏡森氏が就寝前の牛乳、およびアルコール飲用の睡眠の質への影響について研究したデータがあります。それによると、睡眠の質の自覚的総合判断であるスタンフォード睡眠スコアでは、牛乳200ml飲用が熟睡に相当する2点台のスコアを示しています。
同様にアルコール+牛乳飲用も2.5点と近い数値を示しました。入眠から1時間半後の最初の深いノンレム睡眠中に成長ホルモンが出ます。何時に寝ても最初に深いノンレム睡眠が出現すれば成長ホルモンが分泌されます。
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5) カルシウムの含有量
小松菜は古来から日本人が取り入れてきた食材です。一束で783mgのカルシウムが含まれています。根の部分を切り落としてから洗浄して6等分し、葉と茎を混ぜてから6等分してラップで包み冷凍しています。解凍してから生で使っています。
みそ汁のだしを取る昆布は10センチ角で、素干しのまこんぶなら71mgのカルシウムが含まれています。三石昆布は67mg、利尻こんぶは91mg含まれています。早煮こんぶからはダシ用ではありません、注意しましょう。
生わかめは1食分15gで15mg、素干しの乾燥わかめは1食分2gで19mg、湯遠し塩蔵わかめは10gで19mg、くきわかめは30gで21mg、芽かぶわかめの素干しは10gで66mgです。干しひじきは8gで112mgもあります。
もめん豆腐は1丁300gで360mg、絹ごし豆は1丁300gで270mg、油揚げは100gで120mg、焼き豆腐は1丁300gで45mg、生揚げは1舞200gで48mgもあるので、様々な使い方で楽しみましょう。
塩鮭は1切れ100gで30mgですが、ビタミンDが32mgも含まれています。我が家では鮭の切り身を食べるのは大晦日と元旦ぐらいで、他の日は塩鮭のかまを焼いて食べています。切り身よりも安くしかも筋肉が発達しているので美味です。
全脂無糖ヨーグルトはカップ1杯210gに231mg、含脂加糖はカップ1杯100gに130mg、脱脂加糖はカップ1杯100gに120mg、脱脂粉乳(スキムミルク)は大さじ1杯6gで66mgも含まれています。
また、カマンベールチーズ1食分20gに92mg、ゴーダーチーズは1食20gに136g、パルメザンチーズは大さじ1杯6gに78mg、Q・B・Bのベビーチーズでプレーンは84mg、ナチュラルチーズで71mgです。
カルシウムの含有量を参考にして各自で献立を工夫してください。一言アドバイスできることは、牛乳は午後8時前後にコップ一杯飲むことと、小松菜は毎日の食事に使用することです。
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参考文献:WHO、公益財団法人骨粗鬆症財団、日本アレルギー学会、ベターホームの食品成分表、All About公式SNS、ホスピタクリップなど。