1 免疫抑制で起こる癌
1-1 ガン治療の間違い
東北大学で医学を修め、米国で免疫に関する研究を進めた阿保徹教授は、胃潰瘍が胃酸によって発生するあるいはピロリ菌が原因であるという従来の定説を覆して注目された。阿保教授は長年の研究の末にたどり着いたのは現代医学に対する疑問符だった。
阿保教授は「たばこが肺ガンの原因であると言われています。しかし、喫煙率は年々低下しているはずなのに、それとは反対に肺ガンによる死亡率はどんどん高くなっているのが現状です。発ガン物質が、ガンを発生させるということを誰も証明していないのです。
ガンと診断されたときにこのガンの原因はたばこですとか、自動車の排気ガスですねと指摘できる医者はいません。ガンは免疫抑制の極限で起こる病気なのです。体の中の免疫が徹底的に抑えつけられるような強いストレスがあったはずです」とおしゃる。さらに、
「ガン患者の話を聞いているとやたらに紫外線を浴び続けていたとか、食品添加物を異常に多くとっていたという話はめったに聞きません。生活環境や食生活の面ではごく普通に暮らしていたという人の方が圧倒的に多いのです。
ガン患者のほとんどが体内のリンパ球の減少によって免疫抑制の状態になっています。こういう状態に陥ると、体全体を調整する自律神経の一つである交感神経が緊張状態になります。これは働きすぎや心に悩みがあるなど肉体的精神的な強いストレスが原因です。
ガン患者に聞くと仕事が忙しく毎日残業が続いている人がいました。仕事と家事の両立がきつくて大変だという女性もいました。これらは肉体的な強いストレスになります。お子さんが不登校で悩んでいる人、家庭内にトラブルを抱えている人もいました。
実に様々な肉体的・精神的ストレスを聞き出せたので、ガン患者には共通して強いストレスが背景にあることが分かりました。この肉体的・精神的ストレスこそが、ガンの真の原因だったのです」。阿保教授の研究室には全国の癌患者から電話がかかってくる。
その多くは手術を受けたり、その後、抗ガン剤や放射線照射の治療を受けたりしている患者で、「辛い副作用に耐えながら治療を受けているのに快方へ向かわない」と、切々とした悩みが語られていた。そのとき阿保教授のアドバイスは一言だった。
「即刻、今受けている治療を止めてください。そうして副交感神経を刺激する生き方をすれば、1~2年もしないうちにガンは治ります」。阿保教授は、誰もが信じてきた手術・抗ガン剤・放射線照射は全て間違っていると言い切る。
1-2 命を縮める癌治療
ガン治療法の筆頭は手術である。最も確実なようにみえるが、疫学の観点では最も危険な治療法であるといえる。手術そのものが免疫を強く抑制してしまうからである。癌ガンは免疫抑制の極限状態で発生することから手術によってさらに免疫抑制が加速される。
身近なことで考えると、カッターナイフで紙を切っているときに、うっかり指を傷つけてしまうことがある。指を傷つけた瞬間、脈が速くなっていることを自覚するだろう。これは、組織が傷つけられたことで交感神経が強い緊張状態になっていることを示す。
組織が破壊されるとその中にあった強い酸化物が交感神経を刺激する。すると、顆粒球は緊急事態に備えるために増加する。手術も同様に組織を切り開く。怪我をしたときのように、交感神経は強い緊張状態になり顆粒球も増加する。
もともと顆粒球がふえたために引き起こされたガンを、手術によってさらに顆粒球を増やしてよいわけはないだろう。リンパ節を取り除くリンパ節廓清も、ガンを抑制するリンパ球の出口を取り去っている。これにより免疫抑制がより強くなってしまう。
早期ガンであることとガンが原発巣だけにとどまっている場合に限り手術をしても良いだろう。癌ガンを簡単に取り除くことができ体への負担も少なくなる。ガンの組織は交感神経を刺激するという性質があるから、できるだけ早く抑えるという意味で効果がある。
現在抗ガン剤で完治が望めるガンは、急性白血病、悪性リンパ腫、睾丸腫瘍などだとされている。進行を遅らせることのできるのは、乳ガン、卵巣ガン、骨腫瘍、小細胞肺ガン、慢性骨髄性白血病などがあげられる。
症状を軽減できるのは、胃ガン、肺ガン、子宮ガン、大腸ガン、前立腺ガン、甲状腺ガン、胆道ガンなどがあげられる。抗ガン剤は決して万能ではなく、効果といえるのはこれだけである。そして、抗ガン剤はガン細胞だけではなく正常な細胞も傷つけてしまう。
最近はガン部位に精確に放射線を照射できるようになり、放射線がガンに向けて照射されるとガン細胞に直接作用して細胞分裂を止めたり細胞を殺したりできる。だが精確に照射できるようになっても、ガン組織との境目にある正常細胞も幾分かは壊されてしまう。
壊された正常細胞から内容物が出てくると交感神経の緊張状態をつくる。したがって顆粒球が増大してしまう。放射線そのものが発ガンを促す性格のものであることを十分に理解し、安易に放射線治療に向かうことを避ける事も大切である。
1-3 健康診断はなるべく受けない
健康診断や癌検診は受けないほうが良い。阿保教授は免疫学の理論にたどり着いてからは無理をやめ、健康診断もガン検診もやめた。検診を受けて、もし癌ガンが見つかったらという恐怖は誰にでもあるだろう。待っているのは、手術、抗癌ガン剤、放射線という恐ろしい治療である。
手術をしなければ手遅れになりますよ、などと言われれば手術した方が良いだろうと動揺する。いざ、自分が病気を抱え、医者にいろいろ言われれば弱い立場になる。おびえてどうしても医者任せになりがちである。そうなると、人間としての尊厳は失われる。
健康診断で初期のガンでも見つかれば、かえって心理的プレッシャーを受けるだけである。日頃から自分の体の声を聞いて、免疫力を高めるような生活を送っていれば、初期のガンが出来たとしても知らないうちに治ってしまう。
検診ですい臓癌がガン見つかった30代の人がいた。すぐ手術したほうが良いと言われ、入院して手術を受けた。すい臓は奥深くにあるので、大手術になり結局病巣を取りきれなかった。リンパ節転移があると言われて、放射線治療を受けた。
ところが一か月後にリンパ節の腫れが見つかり、今度は抗ガン剤投与が行われた。その結果、ガンが発見されてからわずか5か月で死んでしまった。この人が検診など受けずにそのまま生活していたら、たった5か月で死ぬようなことはなかっただろう。
すい臓ガンや食道ガンなどは手術そのものが大変だから、それだけで大きなストレスになり手術が終わると別人のように痩せてしまう。そして、ガン細胞が取り切れないとか転移があるとなると、更に放射線や抗がん剤を使うので生きる力自体が失われることになってしまう。
たとえ末期ガンであっても、生きる力が十分にあれば回復することも可能である。少なくても、すい臓ガンだった若者はガンなど知らなかったもうがかえって長生きできた可能性がある。
自分は体にいいことをやっているので健康なはずだ、と思って生活していた方がストレスもなく健康に暮らせる。高齢者もあまり医者を当てにせず、自分の体は自分で守るという意識を持って生活した方がいい。
1-4 病気が忍び寄るサイン
自分の免疫力を知る方法の一つは体温である。長時間労働や睡眠不足の無理が続くと交感神経が緊張し、血流障害に加え白血球に顆粒球が増えて体温は低下する。平熱が35度台の低体温が続くと免疫力は低下しかけているので、病気の忍び寄るサインである。
免疫力が低下してくると、頭痛や肩こり、腰痛、風邪をひきやすい、疲れやすい、肌荒れなど全身にあらゆる不調が起きる。なかでも、免疫が低下した分かりやすい体調のシグナルが歯周炎や歯周病である。
免疫力が旺盛なのは36・5度~37度くらいで、ガン細胞が最も繁殖しやすい体温は35度と言われる。
無理をして交感神経が緊張すると白血球に顆粒球が増えて、顆粒球は一生を終える際に活性酸素を放出して死んでいく。そんな顆粒球増加に拍車がかかると組織破壊が起きて炎症が発生し、一方では交感神経の緊張が血管を収縮させて血流障害が起きる。
疲れや寝不足が貯まると歯が浮くのも、口の中でこの血流障害が始まるからであり、歯周病はそんな歯が浮く状態よりも進行した疲れの極限である。交感神経がさらに緊張すると口の中の常在菌が炎症を起こし、激しい血流障害をとなり歯に栄養を送れなくなる。
結果は歯茎の組織破壊が起きて溝ができ、歯がグラグラになってしまい、歯茎から膿もでるようになる。長時間労働や夜更かしを改めると、歯は浮かなくなり頭痛や肩こりや腰痛も起きなくなる。一か月ほど睡眠と長時間労働を見直すだけで、改善が期待できる。
15~20歳を境にリンパ球は減少し始める。1万人に健康状態と白血球に占めるリンパ球の比率を調査すると、健康診断で異常が見つからなかった人で特に不快症状もない人のリンパ球は35~40%だった。不快症状のある人のリンパ球は35%以下であった。
また、病気を抱えている人のリンパ球の比率は30%以下だった。調査によって、実際にガンにかかっている人でもリンパ球が18%くらいあることが分かった。この調査結果で、リンパ球の比率が35~40%が免疫力で病気を撃退できる安全圏と考えられた。
1-5 大病院や大学病院へ行くと
45歳の女性に進行した胃ガンがみつかり、医師の勧めに従い胃の全摘手術を受け術後に抗ガン剤治療を受けた。治療後1年位で背骨に転移が見つかり放射線照射を受けたが2か月後に死亡された。このような経過で亡くなる方はかなりの数にのぼりる。
この女性は自分が受けている治療に疑問を感じ、知り合いから紹介されたあるサプリメントを抗ガン剤治療中に摂ったそうだ。すると、食欲が回復したので医師に体調がいいと報告すると、医者は不愉快そうな口調でサプリメントを止めるように言ったそうだ。
大病院や大学病院に勤める医師はガンの三大療法に最初から疑問を持たず、その病院で治療を受ける患者がそれらの治療を受けるのは当然だと考えている。大病院では医師が集団で治療方針を決めるので、個人の力量でガン治療の問題点を考えることはできない。
現状に忠実な真面目な医師たちであり、決して悪気があってガンの三大療法をやっているわけではない。大病院へ行く場合は、このような事情を理解しておく必要がある。このような危険な治療から逃れるには、感性を働かせて自分自身で守らなければならない。
医師は何百人という患者の面倒を見ているが、患者は自分のことだけ考えればいいのだからもっと真剣に病気と向き合う必要がある。病気は自分自身の生き方の偏りから始まっていることが自覚できれば、病気から逃れるのはそれほど難しいことではない。
誰でも病気になればガッカリする。しかし、それは生き方を変えるためのチャンスだと捉えよう。病気が進んでいても、生きていることのありがたさに気づけば、ずいぶんと心の有り様も変わってくる。病気になるには理由がある。病気はそれに気づかせてくれる。
1-6 医者の後始末をする医師
川田信明氏は10年ほど勤めていた公務員を止めて、新潟大学医学部に入り直して医者になったという変わり種である。現代医学のいい加減さに呆れて、医者である奥様とともに東洋医学クリニックを川崎市に開設された。
新医院開設パーテーに呼ばれた阿保教授が、川田医師より「最近はガンの患者に抗ガン剤だけでなくステロイド剤まで投与している」というお話を伺った。スロイド剤を使うと炎症が治まったり痛みがなくなることがあり、プラスの反応と誤解されている。
ガンは免疫抑制の極限で起こっている病気である。そこに抗ガン剤の他にスロイド剤まで使ったら、リンパ球の減少が激しくガンが治る機会が失われてしまう。スロイド剤を使うと短い間は炎症が止まったり痛みがなくなることもありプラス反応と誤解されやすい。
ステロイド外用剤をやめると、それまで抑えられていた炎症が一時的に爆発するので、薬からの離脱経験者のアドバイスは極めて有効である。
恐ろしいことに物事の本質を考える医療が失われつつある。間違った医療を正すには患者が感性を磨き、間違った治療から逃れなければならない。
川田医師の治療の特徴は、対処療法のための薬を一切使わず、漢方薬を補助的に使い、生活指導と栄養指導を行っていることである。これで驚くほど病気が良くなっている。
一般の医師が患者の病気を薬でこじらせ、その後始末をしているという状態であるのが本当のところだろう。
川田医院の看護師さんのうち2人は、アトピー性皮膚炎を長年のステロイド外用薬で悪化させた経験があり、その離脱によって病気から脱却した人たちである。自分が苦しんだ経験があるので、患者へのアドバイスも適切で2人の存在が患者の励みにもなっている。
1-7 現代医療を変える難しさ
いまの日本の医療制度は、対処療法のための薬をたくさん患者に出すことで利益が上がるようにできているので、この流れを断つことは難しいと言える。医学生は勉強する期間が長いので自信過剰に陥りやすい。自分は学問の頂点に達したと勘違いをしがちである。
これに専門領域が加わると、手が付けられない天狗になってしまう。なかには病気が全く治っていないのに、どうしてこんなに自信満々でいられるのかと思える医者もいる。一方で、日本の社会や経済を支えている人々は現代医療の支持者となっていることが多い。
一口に病気といっても、軽い物から重いものまでいろいろある。例えば風邪を引いたときに風邪薬を飲んでも、それほど害は現れずに結局治ってしまう。虫に刺されたときにステロイド軟こうを塗っても、一過性のものだから害は現れずに治るだろう。
高血圧症や高脂血症に降圧剤やコレステロール代謝阻害剤を飲んでも、2~3年くらいは平気だろう。こうして少しの間違いを積み重ねているのが現代医療の現実なのである。対処療法で病気が悪くなっても、自分の病気は歳のせいだと思ってしまう人も多い。
現状を見ているとこのまま極限まで行って破綻してしまうのではないかと思えるほど、現代医療の流れは進んでいる。例えば、抗ガン剤の副作用をステロイド併用で止めようとしているし、膠原病にステロイドの大量点滴療法では飽き足らず、延々とステロイド維持療法をやっている。
潰瘍性大腸炎やクローン病に対しても同様である。極めて病気の悪化が早くなっているのである。どこまで行けば目が覚めるのだろう。