1 新型コロナウイルス
1) 風邪のコロナウイルス
ヒトに蔓延している風邪のウイルス4種類と、動物から感染する重症肺炎ウイルス2種類が知られている。ヒトに日常的に感染する4種類のコロナウイルスは、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1である。
風邪の10~15%はこれら4種のコロナウイルスを原因とする。冬季に流行のピークが見られ、ほとんどの子供は6歳までに感染を経験する。多くの感染者は軽症だが、高熱を引き起こすこともある。
HCoV-229、HCoV-OC43が最初に発見されたのは1960年代であり、HCoV-NL63とHCoV-HKU1は2000年代に入って新たに発見された。
2) 重症急性呼吸器症候群
SARSーCoVは、コウモリのコロナウイルスがヒトに感染して重症肺炎を引き起こすようになったと考えられている。2002年に中国広東省で発生し、2002年11月から2007年7月の間に30を超える国や地域に拡大した。
2003年122月時点のWHOの報告によると疑い例を含むSARS患者は8,069人、うち775人が重症の肺炎で死亡した(致命率9.6%)。当初、この病気の感染源としてハクビシンが疑われていたが、今ではキクガシラコウモリが自然宿主であると考えられている。
雲南省での調査では、SARSーCoVとよく似たウイルスが今でもキクガシラコウモリに感染していることが確認されている。人から人への伝播は市中において咳や飛沫を介して起こり、感染者の中には一人から十数人に感染を広げる「スーパースプレッダー」が見られた。
また、医療従事者への感染も頻繁に見られた。死亡した人の多くは高齢者や、心臓病、糖尿病等の基礎疾患を前もって患っていた人であった。子どもには殆ど感染せず、感染した例では軽症の呼吸器症状を示すのみであった。
3) 中東呼吸器症候群
MERSーCoVは、ヒトコブラクダに風邪症状を引き起こすウイルスであるが、種の壁を超えてヒトに感染すると重症肺炎を引き起こすと考えられている。最初のMERSーCoVの感染による患者は、2012年にサウジアラビアで発見された。
これまでに27カ国で2,494人の感染者がWHOへ報告され(2019年11月30日時点)、そのうち858人が死亡した(致命率23.4%)。大規模な疫学調査により、一般のサウジアラビア人の0.15%がMERSに対する抗体を保有していることが明らかになったことから、検査の俎上に載らない何万人もの感染者が存在していることが推察される。
その大多数はウイルスに感染しても軽い呼吸器症状あるいは不顕性感染で済んでおり、高齢者や基礎疾患をもつ人に感染した場合にのみ重症化すると考えられる。重症化した症例の多くが基礎疾患(糖尿病、慢性の心、肺、腎疾患など)を前もって患っていたことが解っている。
15歳以下の感染者は全体の2%程度であるが、その多くは不顕性感染か軽症である。ヒトからヒトへの伝播も限定的ではあるが、病院内や家庭内において重症者からの飛沫を介して起こる。
年に数回程度、病院内でスーパースプレッダーを介した感染拡大が起こっているが、市中でヒトからヒトへの持続的な感染拡大が起こったことは一度もない。2015年に韓国の病院で起こった感染拡大では、中東帰りの1人の感染者から186人へ伝播した。
4) 動物コロナウイルス
コロナウイルスは家畜や野生動物などの、我々の周りに棲息するあらゆる動物に感染し、様々な疾患を引き起こすことも知られている。イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ニワトリ、ウマ、アルパカ、ラクダなどの家畜に加え、シロイルカ、キリン、フェレット、スンクス、コウモリ、スズメからも、それぞれの動物に固有のコロナウイルスが検出されている。
多くの場合、宿主動物では軽症の呼吸器症状や下痢を引き起こすだけであるが、致死的な症状を引き起こすコロナウイルスも知られている。家畜では豚流行性下痢ウイルス(PEDV)、豚伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)、鶏伝染性気管支炎ウイルス(IBV)、実験動物ではマウス肝炎ウイルス(MHV)、ペットでは猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)が致死的である。コロナウイルスの種特異性は高く、種の壁を越えて他の動物に感染することは殆どない。
年に数回程度、病院内でスーパースプレッダーを介した感染拡大が起こっているが、市中でヒトからヒトへの持続的な感染拡大が起こったことは一度もない。2015年に韓国の病院で起こった感染拡大では、中東帰りの1人の感染者から186人へ伝播した。
5) ウイルス学的特徴
電子顕微鏡で観察されるコロナウイルスは、直径約100nmの球形で、表面には突起が見られる。形態が王冠「crown」に似ていることから、ギリシャ語で王冠を意味する「corona」という名前が付けられた。
ウイルス学的には、ニドウイルス目・コロナウイルス亜科・コロナウイルス科に分類される。脂質二重膜のエンベロープの中にNucleocapsid(N)蛋白に巻きついたプラス鎖の一本鎖RNAのゲノムがあり、エンベロープ表面にはSpike(S)蛋白、Envelope(E)蛋白Nembrane(M)蛋白が配置されている。
ウイルスゲノムの大きさはRNAウイルスの中では最大サイズの30kbである。遺伝学的特徴からα、β、γ、δのグループに分類されるHcovー229EとHcovーNL63はαコロナウイルスにMERSーCoV、SARSーCoV、HCovーOC43、HCoVーHKU1はβコロナウイルスに分類されている。
日本国内でSARSーCoVやMERSーCoVの感染者が見つかった場合、病気の伝播を抑えるために、感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)に従って感染拡大防止策がとられる。
SARSーCoVとMERSーCoVは共に、感染症法において二類感染症に分類されている。感染者には感染症指定医療機関への入院措置がとられ、陰圧管理された病室で治療を受けることになる。
同時に疫学調査が行われ、感染経路や接触者が特定される。実験室内でのSARSーCoVとMERSーCoVの所持についても、感染症法によって規制されている。SARSーCoVは二種病原体、MERSーCoVは三種病原体に分類されており、「所持の許可」、「教育訓練」、「滅菌の管理」において、SARSの方がMERSよりも厳しく管理されている。
SARSーCoVとMERSーCoVはいずれもBSL3実験室内に保管して取り扱う必要がある。一方、風邪のウイルスHCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1は特に危険な病原体ではないため、感染症法での指定は無く、BSL2実験室で取り扱うことができる。
2 新型コロナウイルス
1) 人工知能AIの活躍
2006年に設立されたボストン小児病院の研究者で疫学者のジョン・ブラウンスタイン博士が提唱し、ソフトウェア開発者チームの協力を得て世界的な感染症の流行監視と新たな公衆衛生上の脅威をリアルタイム監視のためにヘルスマップのAIが誕生した。
世界中のSNSやニュースをモニタリングすることができる。171件の特定ソース、20万件のウエブサイトを15ヶ国語を使って24時間モニタリングし、その中から感染症に関する単語を抽出することができる自然言語処理というシステムを採用している。
ヘルスマップのAIは、ニュースサイトやソーシャルメディアなどオンラインで収集される各種情報、検証済みの各種報告書、専門家の意見といったデータを組み合わせて分析することで、さまざまな感染症の発生を監視し関連情報を発信している。
ヘルスマップは世界の感染症アウトブレーク情報をアグリゲートし、地図という視覚的表現でわかりやすく提供している。2014年に西アフリカのエボラ出血熱、2016年に中南米を中心にしたジカ熱の発生を初期段階で感知して警告を発してきた。
一方、2001年11月に中国広東省で発生したSARSは、2003年にカナダのトロントで初感染者が確認された。その原因は、香港から旅客機で帰国した人だった。その人物から家族へ、そして病院へと瞬く間に感染が広がってしまった。
トロントの患者のほとんどが、病院に来て感染した一般の人と診療中に感染した医療従事者だった。SARS(重症急性呼吸器症候群)の治療に同意した少数の医師たちが危険を承知でウイルスと闘い、死闘を繰り広げた一人がカムラン・カーン医師だった。
カムラン・カーン医師はその経験を生かすためにベンチャー企業ブルードットを創業した。ブルードットのAIは、人の動きに加えて各国の感染対策の脆弱度(IDVI)も参考にして、昨年12月に武漢肺炎の世界拡散を最も早く予測した。
IDVIは国ごとに感染症に対処する能力があるかどうかを判断する規準である。感染爆発が起きたとき医療体制が整っているか、専門のスタッフがいるか、感染を迅速に抑え込めるかである。AIは最初の感染が拡大する都市を、
バンコク・香港・東京・台北・プーケット・ソウル・シンガポール・コタキナバル・マカオ・デンパサル・シドニー・ドバイ・クアラルンプール・高雄・大阪・クラビー・メルボルン・スラートターニー・チェンマイ・ペナンと予測した。
今では毎年40億人以上の人々が飛行機で世界を移動し、感染の拡大を予測するには人の流れを理解する必要がある。中国武漢における原因不明の肺炎は、民間航空機による国際的拡大の可能性があると2020年1月8日に判断され14日に警告が公表された。
2) 発見者はアイフン医師
2019年12月13日に、武漢の海鮮市場で働く61際歳の男性「旺(ワン)」が外来で風邪と診断され症状が重いので入院した。2019年12月18日の回診で救急課主任のアイフン医師はすべての始まりとなるこの患者と出会う。
呼吸が苦しいと訴える患者にタミフルンを投与したが効果がない。疑問を感じたアイフン医師は遺伝子解析を指示した。このころから武漢市の海鮮市場市場付近で肺炎が流行っているらしいとのうわさが流れはじめた。
12月30日に届いた遺伝子解析結果にアイフン医師は全身に冷や汗が流れ。「このウイルスは近距離の飛沫によって感染する。複数の臓器にダメージを与える特殊な肺炎を起こす」。遺伝子解析結果はSARS重症性呼吸器症候群の疑いを指摘していた。
アイフン医師は病院の上層部へSARSが出たと報告し、遺伝子解析結果をスマホで撮影して医療関係者と情報の共有を図ろうとした。李文亮(り・ぶんりょう)眼科医師は受け取った遺伝子解析結果情報に注意喚起を添えてSNSで拡散した。
アイフン医師の病棟ではN95マスクを配付し、家族や友人たちに外出はなるべく控えてマスクをするようにと連絡した。その夜、アイフン医師へ武漢市衛生健康委員会から「肺炎の情報を勝手に公表してはなかない。パニックが起きた時には責任を追及する」とのメールが届き、1月1日の深夜には「明日の朝監査課まで来るように」というメールが入った。
病院にある監査課は中国共産党の指示に従っているかを監視する部門である。1月2日の朝アイフン医師は監査課幹部より「困ったことになった。あなたを批判するある方からこの件で私たちは糾弾されている。デマを流してもめ事を起こすことは許されない。
今からすぐに、あれはデマだったから外に広めるなと伝えなさい。チャットやメールではなく、直接話すか電話で伝えること」。アイフン医師は間違いではありマ円と反論したが、「この肺炎については絶対人に言わないように。もちろんあなたの夫にも。
指導に従わなければあなたの将来にも影響する」。病院の監察課が情報を統制した。家族にそのことを言わない、もし聞かれたらSARSなどという敏感な単語は使わずインフルエンザが流行っている。そう伝えなさいと指導した。
中国政府は国民へ向けて「多くの患者は海鮮市場と関連しており、ヒトからヒトへの感染は身と認められない。海鮮市場の食べ物からうつったウイルスであり、ヒトからヒトへは感染しない。20120年1月1日に海鮮市場は封鎖された。
謎の肺炎は時期に収まるという空地が漂った。救急課では「例の肺炎、先生に間違いだったって。上から怒られたらしい」とうわさが流れた。しかし、アイフン医師は出勤すると「今日から皆さんに徹底してもらいたいことがある」と訴えた。
「肺炎患者の受け入れですが、みなさん必ずマスクで感染を防いでください」。アイフン医師は「私はただ一生懸命に仕事をするだけの人間です。患者が重大なウイルスに感染しているのに口を閉ざせというのですか。知らせるのは医師の本能だ」との信念があった。
しかし、救急外来はしだいにひっ迫していった。点滴を受ける患者が夜中にも来て明け方まで途切れなかった。肺炎の息子に食事を届けて感染した母親がいた。肺炎患者に注射を打ったクリニックの医師も感染した。ヒトヒト感染は確実に起きている。
でなければ海鮮市場が閉鎖されたのは後に患者が増えるはずはない。看護師も疑問を持ち始めていた。アイフン医師はスタッフに防護服の支給を求めたが、防護服を着たらヒトヒト感染することになる。パニックになったら責任とれるのかと脅した。
アイフン医師は、「パニックを防げというのなら白衣の下に 防護服を着ます」と引かなかった。そして、恐れていた医療関係者への感染が始まった。5日間で26人が入院した。アイフン医師は、自宅へ帰らず妹に二人の子どもの面倒を見てもらった。
1月16日、病院の幹部会議に朱鬱積に出席したアイフン医師は、院内感染は深厚な状況です。対策を講じないと恐ろしい事態となりますと訴えたが、あなたには医師としての常識が不足している。こんなことで大騒ぎしていたらやっていけませんよ。
手を打たなければ取り返しがつかなくなると訴えても、ヒトヒト感染はしないと取り合ってくれない。1月6日から全人代地方会が武漢で開かれるため感染情報を隠蔽した。そして迎えた武漢各地で旧正月前の集まりが各地べ模様された。
ウイルスの感染を知らされないまま数万人の人々がより集い宴会を楽しんだ。その4日後、武漢中央病院は人であふれた。救急科の前に数百メートルの列ができ、看護師は患者の多さに心が折れそうになった。病院という病院はパニック状態になっていた。
やっと中国政府はヒトヒト感染を認めて1月23日に中国政府は武漢市を封鎖したが、24日からの春節で30億人の移動が始まり、中国から日本へ92万にの観光客が訪れた。2月3日のダイヤモンド・プリンセス号が感染者を載せて横浜港へ入港した。
中国政府は、コロナウイルスが武漢で最初に発生したとは認めず、迅速な対応で感染拡大を抑え込んだとしている。アイフン救急課主任の警鐘を受け止めて防御策を講じていれば、世界中の多くの人々の命が助かったはずである。
3) 李文亮医師の悲劇
2019年12月30日、アイフン医師からの遺伝子解析結果を見た中国武漢中央病院の李文亮(り・ぶんりょう)医師は、緑内障の入院患者の診察中にSARS(サーズ)と似たウイルスに感染したと思われる7人の症状に注目した。
チャットグループの医師たちにSNSで「武漢の海鮮市場で原因不明の肺炎で7人が危篤状態」と流行が始まっているので、防護服を着用して感染を防ぐようアドバイスのメッセージを送った。
米ボストン小児病院の研究者らが開発したヘルスマップのAIは、中国武漢の李文亮(り・ぶんりょう))医師がSNSに発信した最初の警告を拾い上げた。
ヘルスマップのAIからアメリカ標準時2019年12月30日23時12分にWHOへ、「中国武漢で原因不明の肺炎が発生した」という警告が、自動的にメールで送信された。
公衆衛生に関する世界的な課題に対処するWHOへ「SARSとは断定できない原因不明の肺炎の患者7名が危篤状態にある」という警告メールだった。この時点で中国の保健機関は公式になにも発表していなかった。
李文亮医師のチャットグループの1人である女性医師が、なんの警戒心もなく李医師の名前と職業を隠さずにスクリーンショットでインターネット上に投稿してしまった。同じ日に同じ内容ものを中国の新聞社がインターネットにニュースとして取り上げた。
12月31日にAIベンチャー企業ブルードットは、中国で原因不明の肺炎を確認したと発表して海外のどの都市に初めに感染が広がるかを予測した。全世界の航空会社の発券データは感染した住民がいつどこへ向かうのかを予測するうえで役立つ。
ブルードットは国際線の航空券予約データにより、300の直行便で1日に8万人が海外へ出かけ世界45都市へ移動している。新型コロナウイルスが最初に出現してから数日後に、武漢からバンコク、ソウル、台北、東京に広がることになると正確に予測した。
1月3日に派出署に呼び出された李文亮(り・ぶんりょう)は、不正確な情報を流したという違法問題を起こしたとして「我々は厳粛に警告する。頑なに無礼な振る舞いを続けたり、こうした違法行為を続けるのであれば、あなたは裁かれることになるだろう。わかったな。」と書かれた「訓戒書」に、強制されて「はい、わかりました」と記入して署名させられた。
200年1月13日にタイのバンコクで初感染者を確認、1月16日に千葉市で初感染者確認、1月19日に韓国ソウルで初感染者確認、1月21日に台湾とアメリカで初感染者確認。1月23日に武漢は封鎖された。
2月1日にコロナウイルスへの感染が判明して、2月7日に武漢中央病院は李文亮医師(享年34歳)の死去を発表した。1週間後に中国は初動体制に問題があったことを認める声明を出した。この時点でも未知のウイルスであることは誰も知らなかった。
4) 中国の隠蔽体質
ウイルスなどのアウトブレイクは時間との戦いだ。中国の当局は病気や大気汚染、自然災害に関しては口を閉ざし情報を公表してこなかった実績がある。しかし、WHOやCDCの担当者らは口が堅い中国当局の情報を当てにする必要があった。
中国公安省は新型ウイルスの流行が本当なのか、調べもせずに虚偽で社会を乱すと断定していた。1月29日のニューヨーク・タイムズは「コロナウイルスが広がり、全世界が中国の独裁帝政への代償を払う」との見出しで、「習近平は自らの強力な支配を感染病の阻止ではなく、情報の統制のために使った」との副見出しを掲げた。
2020年1月6日に、湖北省武漢市で肺炎の集団発生が報告されており、感染源は武漢の「華南海鮮卸売市場」で販売されていた生きた動物の可能性があると情報を流していたのは、米国の疾病管理予防センター(CDC)だった。
こうした状況で、政府はタイミングよく情報を提供せず、アウトブレイクの可能性を伝えるニュースや、何らかの異常な出来事が発生したことを示す小さなつぶやきやフォーラム、ブログを抽出できるAIのほうが情報を素早く収集できるかもしれない。
AIはあらかじめ決められた規準に基づいて評価を割り当て、これが新型のウイルスであるということは考えられなかった。肺炎の発生自体は国際的な警告を出すほどのものではなく、事態がさらに深刻化したという情報もなかった。
3 BCGとワルファリン感受性
日本やアジア圏のコロナウイルスによる致死率は欧米諸国に比べて圧倒的に少ない。その理由として当初、日本人やアジア圏の人々は挨拶のハグやキスをしないからと言われ、靴を脱いで家に上がるからなどと日本の習慣が挙げられていた。
しかし、それだけでは説明できないほど、例えば台湾とスペインでは1800倍の差が出ている。現在の有力な説は「BCGワクチンを接種した国はコロナの致死率が低い」とされ、BCGワクチンの中でも「日本株」の有用性が注目されている。
2020年5月7日時点で人口100万人に対しての死者数を見ると、BCGを接種したことのないアメリカで227人、イタリアは490人。現在はBCGを接種していないフランスは396人、スペインは553人。
人口100万人に対してBCGを接種し続けている日本は4.4人、中国で3.2人、台湾は0.3人という死者数である。しかし、BCGを接種した国がコロナ致死率が低いかもしれないというのは憶測の域をでない可能性で、真偽のほどはまだ不明である。
1) BCG推奨国
感染者数が400万人を超えてなお拡大を続けるアメリカや、229万人を超える感染者を出しながらも「経済優先」を宣言した末に大統領自身が感染してしまったブラジルのように、深刻な被害を受けている国がある。
しかしその一方で、日本や韓国、タイ、台湾、ベトナムのように、今のところ比較的軽微な影響で推移できている国や地域もあるのも事実である。
結核予防のために接種するこのBCGワクチンは、日本では1951年に施行された結核予防法により、いまでは生後1歳未満での接種が推奨されている。
京都大学ips細胞研究所の山中伸弥所長は、まだ解明できていない要因「ファクターX」があるはずだ、と述べている。
ファクターXの候補となるのは「感染拡大の徹底的なクラスター対応の効果、マスク着用や毎日の入浴などの高い衛生意識、ハグや握手、大声での会話などが少ない生活文化、日本人の遺伝的要因、BCG接種など何らかの公衆衛生政策の影響、2020年1月までの何らかのウイルス感染の影響、ウイルスの遺伝子変異」の影響などを指す。
東北大学大学院医学系研究科の大隅典子教授は「国によってこれほど違うのは、公衆衛生的な努力だけではなく別の要因があるはず」と考え、まず興味を持ったのが「BCG」だったとし他の研究者からも賛同されている。
結核予防のために接種するBCGは、日本では1951年に施行された結核予防法によりいまでは生後1歳未満での接種が推奨されている。
新型コロナウイルス感染症による死亡例が多いスペイン、イタリア、フランス、アメリカは確かにBCG接種に積極的ではなく、逆に死亡者数の少ない中国、韓国、日本はBCG推奨国だという事実に行きあたったそうだ。
ヨーロッパで隣接する国同士でも、BCGへの対応の違いで死亡者数に大きな差が出ていることも見えてきたのだ。BCG接種プログラムを持たないドイツでは人口100万人当たり107人の死亡者が出ているのに対して、東隣のポーランドの死者数では同じ条件で37人と圧倒的に少なかっ
100万人あたりの死亡者数は、BCG接種プログラムを持たないスペインの606人に対して、国境を接する隣国ポルトガルは151人と顕著な差が見られたのだ。
BCGと新型コロナウイルス感染症とのあいだに相関関係が見られることは分かった。しかし、なぜ結核菌という「細菌」を対象としたワクチンが、新型コロナという「ウイルス」に効果を示すのか。
オランダの研究チームが見つけたある事象に辿り着く。BCGワクチンを受けた人の血液を調べたところ、免疫細胞にある「増強」を指示するスイッチがONになったままだった、という報告だ。
子どもの頃にBCG接種で強化された免疫が、その後も高い状態で維持する仕組みが働いている可能性を示唆するもので、発見したオランダの研究チームはこの仕組みを「訓練免疫」と名付けている。
これが正しければ、日本をはじめとするBCG推奨国での新型コロナによる重症化率が低いことの説明が付く、と大隅教授は指摘するのだ。
もう一つ、大隅教授が興味を持つファクターXの有力候補に、「ワルファリン感受性」がある。ワルファリンとは血液を固まりにくくする作用を持つ薬で、世界的に使用されている。
但し、高齢になってからBCGワクチンを接種すると副作用がでる恐れがある。BCGワクチンは乳幼児用であることを忘れずに。
2) ワルファリン感受性
ワルファリンとは血液を固まりにくくする作用を持つ薬で、世界的に使用されているが、国や地域によって効果の出方に差があることが以前から指摘されてきた。
大雑把に言えば、アジア系の人には効きやすく、アフリカ系の人は効きにくい。同じアジアでも日本を含む東アジア系は最も効きやすく、南・中央アジアの人には効きにくい。ヨーロッパ人の効き方は、東アジアとアフリカの中間くらいとされている。
ワルファリンの効き方は、遺伝子によって左右される。つまり、ワルファリンが効く遺伝子と効きにくい遺伝子があり、これが新型コロナの重症化に何らかの関与をしている可能性が浮上してくるのだ。大隅教授は「大胆な推測」としてこう述べる。
ワルファリンが効きやすい遺伝子のタイプの人は、ワルファリン服用の有無にかかわらず、血栓ができにくい体質を持っており、このことが新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐことに繋がっているのかもしれない。
ファクターX探しは世界中の研究者が取り組んでいるが、現状では「相関関係」であって「因果関係」までは到達していない。最近では「結局のところ、最大のファクターXはマスク着用率の差なのでは?」という意見も増えてきた。
しかし、大隅教授は「生物学的要因」の追及をあきらめない。生物学的なファクターXが明らかになれば、予防法や治療法の開発に役立つことは明らかだからだ。
国や地域、人種などという大きな括りでの特徴はあるにせよ、感染するか、重症化するかは人それぞれ。最終的には、一人ひとりが感染しないように注意することに勝る取り組みはないのだ。
公衆衛生の学者は「木を見ずに森を見る」ことが仕事だが、森を構成する木、つまり、社会を構成する人間は、たとえ周囲の人たちは元気でも自分が感染してしまったのでは意味がない。その意識を確かに持った上での知的好奇心として、ファクターX探しに注目すべきだろう。
4 報道の事実誤認について
北海道における新型コロナウイルス感染症に関しする一部の報道で、国立感染症研究所職員の発言趣旨に関して事実と異なる報道がされていた。2020年3月1日に国立感染症研究所は報道の事実誤認について具体的に説明した。
1) 前提:積極的疫学調査について
感染症が流行した際には「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」第15条に基づき、「積極的疫学調査」が実施される。厚生労働省ホームページでは次のように説明している。
「積極的疫学調査とは、感染症などの色々な病気について、発生した集団感染の全体像や病気の特徴などを調べることで、今後の感染拡大防止対策に用いることを目的として行われる調査」です。
積極的疫学調査は都道府県・政令市・特別区の業務であり、感染症の発生予防・まん延防止のために緊急の必要がある場合には、国が都道府県等の行う疫学調査について必要な指示を行うとともに、国自らも積極的疫学調査を行うことと定められています。
また、地方公共団体等の調査体制を強化し連携するため、都道府県等は調査のため他の都道府県等に対して職員の派遣等の協力を求めることができることとなっています。今般の新型コロナウイルス感染症においても、感染の急速な拡大を防止するために、本所をはじめ、公的な機関の職員らが連携して、全国各地で実施されています。
2) 職員による積極的疫学調査について
今般の新型コロナウイルス感染症への対応のため、新型コロナウイルス感染症厚生労働省対策本部クラスタ―対策班の指示により、国立感染症研究所等の職員7名が北海道に派遣され、積極的疫学調査に従事しています。
今回の積極的疫学調査では、感染の拡がりを、集団感染単位(クラスター)ごとに封じ込め、地域や国全体の感染の抑制、収束に至らせることを目的として活動しています。具体的な活動は、以下の通りです。
① PCR検査によって感染が確定した人の接触者に何らかの症状が出た場合に、PC
R検査によって感染の有無を確定すること。
② 感染があることが確定すれば、次の感染伝播を防ぐために、その人の接触者に対し
て、行動の制限を依頼すること。
3) 一部報道による事実誤認
一部の報道では、北海道に派遣された職員がPCR検査について「入院を要する肺炎患者に限定すべき」と発言し、「検査をさせないようにしている」との疑念が指摘されています。しかし、積極的疫学調査では、医療機関において感染の疑いがある患者さんへのPCR検査の実施の必要性について言及することは一切ありません。
本所において、職員に対して聞き取り調査を行ったところ、
① 感染者の範囲を調査により特定し、対応を行っていく積極的疫学調査のあり方につ
いてアドバイスを行った。
② 検査に関する議論の中で、「軽症の方(あるいは無症状)を対象とした検査につい
ては、積極的疫学調査の観点からは、「PCR検査確定者の接触者であれば、軽症でも
何らかの症状があれば(場合によっては無症状の方であっても)、PCR検査を行うこ
とは必要である」と述べた。
③ 「一方、接触歴が無ければ、PCR検査の優先順位は下がる」と述べた。
とのことでした。
職員が述べた考え方は、感染伝播の状況を把握することを目的とした、積極的疫学調査における一般的な考え方です。しかし、この考え方は、体調を崩して医療機関を受診する患者さんに対するPCR検査についての考え方ではありません。
現在の政府の方針、すなわち、「医師が総合的に新型コロナウイルス感染症の疑いありとした患者に関しては検査が可能である」という考え方を否定する趣旨はなく、また、医療機関を受診する患者さんへのPCR検査の実施可否について、積極的疫学調査を担っている本所の職員には、一切、権限はございません。
よって、本所職員の発言の趣旨が誤った文脈に理解され、事実誤認が広がった可能性があるものと考えます。
4) 積極的疫学調査にご協力の皆様へ
感染者や接触者の皆様におかれましては、大変な状況のなかで、積極的疫学調査の趣旨をご理解いただき、ご協力くださっていることに心から感謝申し上げます。皆様の多大なご協力によって、新型コロナウイルス感染症への理解が進んできております。
どうぞ今後ともご協力をよろしくお願い申し上げます。また、気になる症状がございましたら、管轄の保健所や帰国者・接触者相談センターにご相談ください。
5) 報道に携わる皆様へのお願い
最近の各種報道では、上記の件以外でも本所が「検査件数を抑えることで感染者数を少なく見せかけようとしている」、「実態を見えなくするために、検査拡大を拒んでいる」といった趣旨の、事実と異なる内容の記事が散見されます。
こうした報道は、緊急事態において昼夜を問わず粉骨砕身で対応にあたっている本所の職員や関係者を不当に取り扱うのみならず、本所の役割について国民に誤解を与え、迅速な対応が求められる新型コロナウイルス感染症対策への悪影響を及ぼしています。
報道に携わる皆様におかれましては、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」とその運用、ならびに本所の役割をよくご理解いただき、新型コロナウイルス感染症の急速な感染拡大の防止にご協力くださるよう、お願いいたします。
5 WHOの問題点
1) 過去に学ばない中国
2020年5月26日のデイリー新潮は次のように報じている。
中国の広東省で最初のSARS症例が確認されたのは2002年11月だが、中国は2003年2月まで発生をWHOに報告しなかった。中国共産党の隠蔽体質が明らかに事態を悪化させていた。
グロ・ブルントラントWHO事務局長は中国を名指しで批判した。「WHOと国際的な専門家たちが、より早い段階で支援できたほうがよかったのは明確だ。WHO事務局長として言いたい。
世界のどこであれ、次に何か新しくて奇異な疾病が察知されたとき、可能な限り早期に我々に関与させるべきだ」。国連機関のトップが加盟国を公然と批判するのは、稀だ。
どの機関も加盟国からの資金拠出で成り立っている。スポンサーの機嫌を損ねるメリットはない。しかし、元ノルウェー首相のブルントラント氏は、あえて中国を批判することが隠蔽を繰り返させない劇薬だと判断したのだ。
今般の新型コロナウイルスでも、中国礼賛に終始したWHOと対照的に一部の識者は中国の医療格差について懸念を表明していた。ブルントラント氏が現在の事務局長だった場合、中国の農村地帯について言及したはずだ。
今さら比較する必要もないという向きも少なくないだろうが、中国寄りと批判されているテドロス事務局長とは雲泥の差である。
2) 中国から学んだ言動
1月末、慌ただしい北京訪問からスイスのジュネーブに戻った世界保健機構(WHO)のテドロス事務局長は、中国指導部による新型コロナウイルスへの初期対応をはっきり称賛したいと考えていた。
習近平国家主席らと会談したテドロス氏は、インフルエンザに似た感染症に関する彼らの知識や、封じ込めに向けた取り組みに感銘を受けた。当時の状況を知る関係者によると、テドロス氏は複数の側近からトーンを落とすべきだと進言された。
だがこの時点で、すでに中国では新型コロナウイルスで多数の死者が発生し国外へも拡散し始めていた。関係者によると、側近らはテドロス事務局長に対し対外的な印象を考慮して、あまり大仰でない文言を使うほうがいいとアドバイスしたという。
しかし、事務局長は譲らなかった。1つには、感染拡大への対処において中国側の協力を確保したいとの思惑があった。
2020年3月11日にようやくWHOのデドロス事務局長は新型コロナウイルスのパンデミックを宣言した。余りにも遅すぎるのでトランプ大統領は、中国が対策を講じれるまで気を使っていると非難した。
要するにテドロス事務局長は、中国共産党にゴマをすることで事態の解決を計ろうとしたのだ。それが失敗に終わったことは何よりも現状が雄弁に物語っている。
3) テドロス氏の背景
WHOのテドロス・アダノム・ケベレイエソス事務局長は現在55歳で、エリトリア(旧エチオピア)のティグレ民解放戦線という政党に所属している。幼児期にマラリアに苦しみ、アスマラ大学で生物学の学士号を取得して旧エチオピアの保険省へ入省した。
エチオピア保健副大臣から外務大臣に任命されると、中国はエチオピアに1兆円の融資を行った。国連貿易開発会議(UNCTAD)は2019年のエチオピアへの直接投資流入額を25億ドルとし、このうち60%は中国によるものとしている。
テドロス氏がWHOの事務局長に選ばれた時も、中国による強い支持を受けていたことも報じられている。テドロス氏がその翌年の2017年に中国を訪問した際、中国当局はWHOに2千万ドル(約21億円)の寄付金を提供したという。
テドロス事務局長は、今回の新型コロナウイルス流行に際し中国に対する過剰な擁護発言をしている。中国の発表を鵜呑みにして渡航&入国制限の指示が遅れたにも拘らず、最初から速やかに適切な指示を出していたと主張した。
しかし、1月10日に「人から人への感染はない」と発言し、22日には「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当するか結論が出ずに緊急事態宣言を見送った。1月31日に「渡航や貿易を不用意に妨げる必要はどこにもない」と語り、2月24日にも「パンデミックには至っていない」と述べている。そして、2020年3月11日にようやく新型コロナウイルスのパンデミックを宣言した。
テドロス事務局長は当初、マスクは効果がないと言って使用を控えるよう指示していたが後にその方針を翻した。欧米諸国からWHOに対して、今回の対応に問題があると指摘されると、コロナウイルスを政治利用していると批判した。
パンデミックを宣言しても、中国が機嫌を損ねるのを恐れて人々の怒りの矛先が中国当局に向かわないように今も当局の感染防止対策を称賛し続けている。中国当局に媚びることで「多くの国では感染防止対策が遅れ、世界的なまん延を招いた」と強く非難されている。
ウイルスなどのアウトブレイクは時間との戦いになる。いち早く対応できれば感染者を減らすことも、死者を減らすこともできる。しかし、アメリカの新型コロナウイルス感染者数は4,426,281人で、死亡者は151、374名となった。
6 怒りを現したアメリカ
1) 呆れ果てる中国の行為
習近平政権が発足して約8ヶ月後の2013年11月23日、中国国防部が突然、東シナ海における防空識別圏(ADIZ)を設定したと発表した。尖閣諸島上空などを含む東シナ海の広い範囲に戦闘機による緊急発進(スクランブル)の基準となる。
防空識別圏の設定発表と同時に発表された公告によると、防空識別圏を飛行する航空機は、中国側の指示に従わなければならないとしており、従わなければ武力で防衛的緊急措置が取られることも書かれている。
中国の識別圏は、日本が1968年8月29日に設定した防空識別圏と一部重なる。中国海軍の関係者が新華社通信に語ったところによると、中国は日本の識別圏が違法だと主張している。
中国国防省は新たな識別圏について、特定の国へ向けた措置ではないと説明した。発表された海図と座標によれば、尖閣諸島を含む東シナ海の上空に設定されている。日本と中国はともに同諸島の領有を主張しているが、中国人が居住した痕跡はない。
1885年の調査で中国の支配が及んでいる形跡が見当たらないとして、1895年に国際法の規定に基づき日本領土に編入し、尖閣諸島は1932年に開拓者の親族に払い下げた。最盛期には200人以上の住人が尖閣諸島で暮らし税徴収も行われていた。
福建省の漁民が尖閣諸島の魚釣島近海で遭難した際に日本人が救助を行い、1920年5月に当時の中華民国駐長崎領事から「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島」と記載された感謝状が発出された。
敗戦とともに尖閣諸島も米占領軍の管轄下に入ったが、1972年の沖縄返還に伴い日本に返された。また、現在においても、警備・取締りや国有地としての管理等が適切に行われている。
新華社通信によれば日中両国は78年に尖閣問題の棚上げで合意したとされる。日本政府が2012年9月11日に20億5千万円で尖閣諸島の一部を地権者から買い取った。単なる岩の塊に見える無人島だが、領有することで油田や鉱床の開発権、周辺海域の漁業権を独占できる。
南シナ海が自国の海と称して
2) 動き出した米海軍
南シナ海の岩礁などに軍事施設を建設して海域の実効支配を強める中国が、南シナ海にも新らたな防空識別圏を敷く準備を進め、まもなく宣言するものと思われる。日本固有の領土である尖閣諸島が含まれ、日本の防空識別圏とも重なっている。
中国は以後尖閣諸島海域への公船の進入を増加させ、7月16日まで94日も連続で中国の公船が尖閣諸島の接続水域に進入している。7月14日には4隻もの公船が尖閣諸島の領海にまで侵入している。
中国の識別圏には中韓が管轄権を争う暗礁、中国名・蘇岩礁(韓国名・離於島)の上空も一部含まれる。同島には韓国が建設した海洋科学基地がある。
アメリカの独立記念日にあたる4日、アメリカ海軍は「三つの空母打撃群が自由へのアメリカの関与を強化」と題する発表を行った。空母ニミッツとセオドア・ルーズベルト、横須賀港を母港とする空母ロナルド・レーガンを南シナ海に派遣した。
この3隻が搭載するジェット戦闘機数はアジアの大半の国が保有する機数を上回る。空母を派遣した目的は「力による平和」だと、ロナルド・レーガンの指揮官であるパット・ハンニフィン大佐は、「われわれは同盟国とともに、自由で開かれたインド太平洋に力を注ぐ」と言う。
ニミッツ空母打撃群は6月17日に第7艦隊エリアに到着した。「われわれの活動は国際法によって保証される海域と空域の権利、自由、合法的な使用を強化するものだ」と空母ニミッツ第17空母航空団の司令官であるトッド・シミカータ大佐は語った。
中国と南シナ海の領有権を争うフィリピンの国防省は声明を発表し、「南シナ海に法と秩序がもたらされることを望む国際社会の立場を強く支持する」として、アメリカを支持する姿勢を示した。
そのうえで「中国には、国際的な仲裁裁判の判断と国連海洋法条約に従うよう強く求める。国際法の順守などを求める国際社会の呼びかけに、中国が応えることが地域の安定にとって最も重要だ」として、中国を名指して批判した。
フィリピンは、中国が南シナ海のほぼ全域の管轄権を主張していることは「国際法に違反している」として、国際的な仲裁裁判を申し立て、4年前に中国の主張を全面的に退ける判断を勝ち取っている。
4) 生命を脅かす大気汚染
また、OECD(経済協力開発機構)34ヶ国のうち、韓国の大気汚染は4位となっている。韓国全土の人口は5500万人だが、ソウルと京幾道のどちらかに住んでいるのはそのうち2000万人と人口が一ヶ所に集まっている。
ソウルと北京は直線距離で950kmであることを考えると、確かに韓国は中国の大気汚染を受けていると考えられる。北京や瀋陽など中国の都市のPM2.5濃度が高まると12~30時間後にソウルのPM2.5濃度が高まる。
中国メディアは2009年から10年間で中国の二酸化炭素排出量が35%減少した中国北部での長期にわたる大気汚染により、平均寿命が5.5年縮んだ可能性があると発表した。中国北部の河北省では38年間で肺がん死亡率が3倍になったことも発表された。
2014年度から、日本の大気汚染対策分野における知見やノウハウを中国の主要都市部における能力構築や人材育成などに活用した。揮発性有機化合物の測定方法の明確化や発生源解析などによる重点対策地域の特定などにも日本の対策技術が導入されている。
アメリカはコロナウイルスの感染で、ベトナム戦争で戦死した兵士47、434人を凌駕する死者を出した。しかも、依然としてとどまることなく感染者が増加している。いち早く正確な情報があれば感染を防止して死者を押さえることができた。
新型コロナウイルスへの対策ができるまで感染拡大の警告を出さなかった中国よりのWHOを信じたために、戦争の犠牲者よりも多くの犠牲者を出した。政治家とっては国民にお詫びすることもできない大失態である。
WHOへの最大の資金拠出国であり、特に感染被害が大きいアメリカのドナルド・トランプ大統領は、WHOが中国寄りのスタンスを取り続け世界に不適切な提言を行っていると批判し、WHOへの拠出金を停止して脱退することを表明した。
2020年3月から本格的にアメリカを襲い始めた新型コロナウイルスは、共和党と民主党の力関係に決定的な作用を及ぼした。中国に対してより強硬な「軍事強硬派」が「通商強硬派」を圧倒した。
5) ポンペイオ国務長官の演説
2020年7月23日、マイク・ポンペオ米国務長官がロバート・オブライエン国家安全保障顧問、クリス・ウォレイFBI長官、ウイリアム・バール司法長官を伴いカリフォルニア州のニクソン大統領記念図書館で「共産主義の中国と自由世界の未来」と題した演説を行った。
ポンペオ米国務長官の演説の内容をほぼ全訳されたものが「Youtube」で発見した。表現は易しいがアメリカの決意を正確に伝えていると感じ、できるだけこなれた日本語に意訳した。(以下要約)
① 中国の軍事力が増大
本日の私の発言は、ロバート・オブライエン国家安全保障担当補佐官、クリス・レイFBI長官、バー司法長官に私と一緒に行ってもらった、一連の中国演説の4回目の発言です。三人には私が演説をお願いしました。
私たちには非常に明確な目的、真のミッションがありました。それは、アメリカにとって中国と関係の様々な側面や、米中関係において何十年にもわたって蓄積されてきた巨大な不均衡、そして、中国共産党の覇権への目論見を説明することでした。
私たちの目標は、トランプ第楼量の中国政策が取り除こうとしているアメリカ人への脅威が疑いのないものであること、アメリカ人の自由を守るための私たちの戦略がしっかりと定まっていることを、はっきりとわかってもらうことでした。
オブライエン大使はイデオロギーについて話しました。ウォレイ長官はスパイ活動について話しましした。バール司法長官は経済について話しました。そして本日、私の目標はアメリカ国民のためにこれらすべての面をまとめてお話しし、アメリカ経済の自由、そして世界の自由民主主義の未来にとって、中国の脅威が何を意味するものかを詳しく説明することです。
キッシンジャー博士が密使として訪中した出来事から、来年で半世紀となります。ニクソン大統領訪中50周年は2022年ですから、それほど先の事ではありません。当時の世界は今とはだいぶん違いました。中国と積極的に付き合えば、親交と協力の約束された明るい未来が訪れると思い描いていたのです。
ですが今日、今日に至っても、私たちはマスクをして新型コロナウイルスによる死者数の増加を注視しています。中国共産党が世界との約束を破ったからです。私たちは毎朝、香港や新疆における抑圧についての新たな見出しも目にしています。
私たちは驚くべき統計も銘にしています。統計からは、貿易における中国の不当な慣行により、アメリカの雇用が犠牲になり、このカリフォルニア南部をはじめとするアメリカ全土の経済が大きな打撃を受けていることが分かります。
さらに私たちが目の当たりにしているように中国の軍事力がますます増大し、私たちにとってますます脅威となってきています。中国と積極的につき合いだして50年がたつ今、中国は自由と民主主義の方向に変化しているだろう」と言っていた私たちの指導者たちの考えはその通りになったでしょうか。
② ニクソン大統領の戦略
「中国は自由と民主主義の方向に変化していくだろう」と言っていた私たちの指導者達の考えは実現だろうか。これが、中国の言うウインウインの状況なのか。国務長官としての目で見た場合、アメリカはさらなる安全に向かっているのか、私たちは後世の人たちにとって平和の実現の可能性は大きくなっているだろうか。
今後数年、数十年にわたり私たちの道しるべとすべき事実、つまり、習近平氏が夢見ている「中国の世紀」ではなく、自由の存在する21世紀を望むならこれまでのやり方にならって、中国との盲目的のつき合っていてもそれに絶対かなわないという厳しい事実を認めなければならないでしょう。
トランプ大統領が非常に明確にしてくださっていますが、私たちにはアメリカ経済、ひいては私たちの生活の在り方をまもる戦略が必要なのです。自由世界はこの新たな圧政に勝利しなければならないのです。
ただし、ニクソン大統領の功績を否定しようと躍起になっていると思われては困りますから、確認しておきたいと思います。ニクソン大統領は、掃除のアメリカ国民にとって最善だと思われたことをしたまでです。それは、おそらく正しかったのです。
ニクソン大統領は、中国のことをよく研究していましたし、冷戦においてはひるみませんでした。私たちもそうであると思うのですが、中国の人々にいたく敬服していました。中国が共産主義に基づく残虐行為を自らはたらいて弱っていた当時にもかかわらず、中国が無視できないほど重要な国であることに気づいたのですから、ニクソン大統領は大いに評価されるべきです。
1967年に「フォーリン・アフェアーズ」に発表した非常に有名な論文で、自分自身の戦略を説明しています。ニクソン大統領の言葉を紹介します。
「長期的に見れば、中国をずっと仲間外れにしていおくことはまず不可能である。中国が変わるまでは世界は安全ではありえない。それゆえわれわれの目的として、できる限り何が起こるかを左右していなければならない。われわれの目標は、変化を促すこととすべきである。」
私は「変化を促す」という言葉こそこの論文全体のキーワードだと思います。ですからニクソン大統領は、あのように歴史的な北京訪問を実現して、関与戦略をスタートさせたのです。ニクソン大統領は、より自由で安全な世界を気高く追及しました。そして中国共産党がそれに応えてくれることを期待したのです。
③ 中国共産党へのへつらい
時がたつにつれ、アメリカの政策立案者たちはますますこう考えるようになりました。中国はより発展していく従って開かれた国になり、国内の自由が増してひいては外国に対して脅威となることも減り、より友好的になるだろう。こうした成り行きが定めのように思えたのではないでしょうか。
ですが「定め」を信じる時代は終わりました。私たちが行ってきた関与は、ニクソン大統領が促そうと望んでいたような変化を中国はもたらしませんでした。実際には私たちの政策、それに他の自由主義諸国の政策は、うまくいっていなかった中国経済を救いましたが、その救いの手は中国政府に噛みつかれるだけでした。
私たちは、中国の人々を両手を広げて迎え入れましたが、私たちの自由で開かれた社会が中国共産党にいいように利用されただけでした。中国は、私たちの記者会見や研究センター、高校、大学に、さらにPTAの集まりにさえ、宣伝要員を送り込んできました。
私たちは台湾の人々を阻害してしまいましたが、台湾ではのちに民主主義が力強く花を咲かせました。私たちは中国共産党とその政権を経済面で特別扱いしましたが、欧米企業が中国入りする代価として中国共産党から人権侵害につて沈黙を強いられる結果となっただけでした。
オブライエン大使が先日いくつか例を挙げていたように、マリオット、アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空が、中国政府を怒らせないように、自社のウェブサイトから台湾への言及を削除しました。
ここからそれほど遠くないハリウッド、アメリカの創造的自由の中心地であり、社会主義の裁定者を自任するハリウッドでは、中国に不都合な言及がどんな軽いものでさえも自己検閲されています。
企業によるこうした中国共産党への妥協は世界中で行われています。ですが、企業のこうした忠誠は功を奏したですようか。へつらいは報われたでしょうか。バー司法長官が行ったスピーチから引用しましょう。先日のスピーチでこう述べています。「中国の支配者たちの究極の野望は、アメリカと取引することではない。アメリカから取り上げることだ」。
中国は私たちの貴重な知的財産と企業秘密をだまし取り、アメリカ全土で何百万もの雇用が失われました。中国はアメリカのサプライチェーンを吸い尽くし、そこに奴隷労働からなる怪しい仕組みを持ち込みました。中国のせいで貿易のための世界の主要航路の安全性が低下しました。
④ フランケンシュタイン
ニクソン大統領は、自分は中国共産党に世界を開いたことでフランケンシュタインのように「怪物」をつくってしまったのかもしれないと語ったことがあります。今日、その不安は的中しています。
もしかしたら私たちは、中国の共産主義の毒性株に無知だったのかもしれませんし、冷戦での勝利に酔い過ぎていたのかもしれませんし、中国政府のいう「平和的台頭」という言葉に騙されていたのかもしれません。
理由が何であれ、今日、中国は国内ではますます独裁的になり、国外では自由主義に対して益々攻撃的になっています。ですからトランプ大統領は言ったのです。「もう許さないと」。
共和党でも民主党でも多くの人は、私がお示しした事実に異論を唱えないと思います。ですが今でも、対話のための対話という形を維持すべきだと主張する人がいます。ですから、はっきりと確認しておきます。私たちは対話を続けていきます。ですが、昨今の対話は対話とは言えないものなのです。
私は数週間前にホノルルで楊中国共産党中央政治局委員と会談しました。いつもと同じでした。言葉を並べ立てるのですが、行動を改めるという申し出は全くありません。楊氏の約束は、これまで中国共産党がしてきたたくさんの約束と同じようにカラッポでした。
思うに楊氏は、私が彼らの要求に屈すると見込んでいたのでしょう。なぜなら、率直に言って、それがトランプ政権以前の多くの政権がしてきたことだからです。オブライエン大使が詳しく説明してくださったように、私たちは中国共産党政権がマルクス・レーニン主義政権であることを忘れてはならないのです。
習近平総書記は、破たんした全体主義イデオロギーの真の信奉者なのです。このイデオロギーこそが、中国共産主義によって世界の覇権を握るという習総書記の数十年来の野望の本質なのです。
中国共産党がこれまでこの違いを無視することがなかったように、アメリカは政治面やイデオロギー面における力国間の根本的な違いをもはや無視してはいけないのです。
下院情報問題常設特別調査委員会での経験、CIA長官としての経験、そして、今や2年以上になるアメリカ合衆国国務長官としての経験から、私は次のような中核をなす認識に至りました。つまり、唯一の方法は、中国の指導者たちの言葉ではなく、彼らの行動から判断して動くことだ、という認識です。
⑤ 信頼するな、そして確かめよ
レーガン大統領が、ソ連への対処において「信頼せよ、しかし確かめよ」を原則としていると言っていました。思うに、中国共産党への対処において私たちは「信頼するな、そして確かめよ」を原則にしなければならないのです
私たちは、より創造的で断固たる方法で中国に変革を促さなければいけません。なぜなら、中国政府の行動が私たちの国民と繁栄を脅かしているからです。私たち、自由を愛する世界の国々は、ニクソン大統領が望んでいたように中国に変革を促さなければいけません。
私たちは、私たちの国民や友邦の中国共産党に対する見方を変えることから始めなければいけません。私たちは真実を語る必要があります。私たちは、通語句の生体を他の国と同じように、普通の国として扱うことはできないのです。
私たちは知っています。中国との貿易は普通の遵法国との貿易とは違うのです。中国政府は、国際的合意事項を脅かし、国際的提唱事項を、国際的合意事項を提唱事項程度のものとみなし、世界支配への道具として使っています。
公正な条件を主張すれば、ちょうどアメリカ合衆国通商代表が貿易交渉の第一段階合意を達成するためにそうしたように、私たちは中国に対して知的財産の搾取やアメリカの労働者に損害をもたらす政策を是正することを強いることができるのです。
私たちは、中国共産党を後ろ盾とする企業とのビジネスは、他のたとえばカナダの企業とのビジネスとは違う、ということを知っています。中国共産党を後ろ盾とする企業は、独立した取締役会に従っていないし多くは国営で利益を追求する必要がないのです。
その典型的な例はファーウェイです。人々が友人と通信できるようにしようと登場した安全な通信機器メーカーであると、この企業をみなしてあげることはやめました。私たちはその実態を明らかにしました。ファーウェは真意国の安全保障上の脅威なのです。ですから私たちは手を打ちました。
アメリカ企業が中国で投資をすれば、知ってか知らずかにかかわらず中国共産党による重大な人権侵害を支援することになるかもしれないということも私たちは知っています。ですから財務省と商務省は、世界中の人々の基本的な権利を侵害している中国の指導者や企業・団体などに制裁を科し、エンティティリストを作成しました。
⑥ 中国共産党の手口
中国から来ている学生や労働者のすべてが、勉強のため、お金を稼ぐためだけに来ている普通の学生や労働者とは限らないことも私たちは知っています。彼等の非常に多くは、アメリカの知的財産を盗んで国に持ち帰るためにきているのです。司法省などは、こうした犯罪を精力的に罰してきました。
私たちは、人民解放軍が普通の軍隊でないことも知っています。人民解放軍の目的は、中国の人々を守ることではなく、中国共産党のエリートたちによる絶対的な支配を守り中国共産党を拡張することなのです。ですから、国防省総省は取組を強化してきており、東シナ海と南シナ海、それに台湾海峡でも「航行の自由」作戦を実施しました。
また、私たちは中国に最後の未開拓空間である宇宙への侵略をやめさせるために、宇宙軍を創設しました。実のところ、私たち国防省でも同様の理由から新たな一連の対中政策を策定し、公平性と互恵の実現というトランプ大統領の目標に取り組み、数十年にわたって蓄積されてきた不均衡の是正を図ってきたのです。
まさに今週、私たちはヒューストンの中国領事館の閉鎖を発表しました。スパイ活動や知的財産の奪取の拠点だったからです。私たちは二週間前に、南シナ海での中国の国際法違反に関して8年も続けてきた弱腰な姿勢を転換しました。
私たちは、中国に対してその各能力を時代の戦略的現状に合わせるよう求めています。そして国務省は、あらゆるレベルでそして世界中で中国側と接し、ただただ公平性と互恵を求めていきます。ですが私たちは、強硬策をとるだけではいけません。強硬策だけでは望む結果は得られないでしょう。
私たちは中国の人々を味方につけ、彼らに力を与えるべきでもあるのです。中国の人々は、中国共産党とは全く違います。活動的で自由を愛する人です。これは人対人の外交から始まります。私は行く先々で、大変優秀で精力的な中国の方々とお会いしてきました。
私は、新疆の強制収容所を脱出したウイグル人やカザウ族の方々とお会いしてきました。香港の民主化運動のリーダーの方々、陳日君枢機卿から黎智英氏までいろいろな方々とお話をしてきました。二日前にもロンドンで、香港の自由の闘士・羅冠聡とお会いしたばかりです。
⑦ 共産主義者はうそをつく
それに先月は、国務省で天安門事件の生存者の方々からお話をうかがいました。そのうちのお一人が今日ここにお見えになっています。王丹氏は中国の人々の自由のために戦うことを決して辞めなかった中心的な学生でした。
本日は中国民主化運動の父、魏京生氏もお見えになっています。儀氏は民主化を訴えたために中国の労働収容所で20年ちかくも過ごしました。
私は冷戦時代に育ち、陸軍に服役しました。その経験から学んだことがあるとすれば、それは、共産主義者は常にうそをつく、ということです。14億の人々は監視され、抑圧され、恐怖で声をあげることができずにいるのに、中国共産党の言っている言葉は14億の国民のために発せられているというものです。
実際はまったく逆なのです。中国共産党はどんな敵よりも中国の人々の正直な意見を恐れているのです。その理由はただ一つ権力を失うことにつながるからです。考えてみてください。中国国内の人々はもとより、世界の状況は今どんなに良かったことでしょうか。
もしも、私たちが武漢の医師の方々の声を聞けていたならば。もしも、彼らが新型コロナウイルスのアウトブレイクについて警報を鳴らすことを許されていたならば。ですがもう無視することはできません。私たちは以前の状態に決して戻ってはいけないと、彼等を含めみんなが気づいたからです。
何十年にもわたり、私たちの指導者たちは勇敢な中国の反体制派の人たちの声を無視したり、軽視したりしてきました。私たちが向き合うあの政権の性質について警告してくれていたのに、私たちの指導者たちは勇敢な中国の反体制派の人たちの声を無視したり軽視したりしてきました。
ですから、もう無視することはできません。私たちは以前の状態に決して戻ってはいけないと、みんなが気づいたからです。しかし、中国共産党の行いを変えることを中国の人々だけの役割りにしてはいけません。きわめて大変なことではありますが、自由主義諸国でも自由を守るために力を尽くさなければいけません。
私たちにはそれができると私は確信しています。なぜなら、私たちはそれをやったことがあるからです。わたしたちにはこのたどる道筋が分かっているのです。私は確信しています。なぜなら、中国共産党がソ連の犯したのと同じ過ちのいくつかを繰り返しているからです。
⑧ 時が来たのです
彼等はパートナーとなりうる国を阻害し、国内でも国外でも約束を破り、財産権と公明な法の支配を拒絶しています。私は確信しています。なぜなら、依然の状態に戻ってはいけないということに、他の国々が目覚めてきているのが分かるからです。
アメリカで私たちが気づいているように、他の国々も気づいています。私はそれをシドニーでもブリュッセルでもハノイでも聞きました。そして何より、私たちの自由を守ることができると私は確信しています。なぜなら、自由それ自体が人々を強く引き付けるからです。
中国共産党が誇り高き都市・香港への締め付けを強める中、アメリカの国旗をふりながら、香港の人々は海外への移住を叫んでいます。もちろん違いもあります。ソ連と違い中国は世界経済と深く融合しています。ですが、彼等への私たちの依存度より私たちへの中国政府の依存度の方が高いのも事実です。
云っておきますが、私たちが先の決まった時代を生きているとか、前々から罠が仕掛けてあるとか、中国共産党の勝利が未来であると云った考えを私は受け入れません。アメリカが衰退してきているから私たちの方策は必ず失敗すると云うのは誤りです。
今年2月にミュンヘンでお話ししましたように、自由世界は依然として優勢です。私たちはこのことを信じ、知り、誇りに思えばいいだけです。開かれた社会に、今でも世界中の人々が来たがっています。世界中の人々がアメリカに来て学び、働き、家族の生活を築いています。彼等は中国に定住しようと必死になっていません。
時が来たのです。最高のタイミングです。自由主義諸国が行動を起こすときです。すべての国が同じやり方で中国に対することはないでしょうし、そうすべきでもありません。中国共産党の魔の手から主権を守る方法、経済繁栄を守る方法、理想を守る方法、各国がそれぞれしっかりと考えることが必要になるでしょう。
ですが、私は各国の指導者に呼びかけます。アメリカが既にやっていることから始めてください。つまり、中国共産党に対して互恵、透明性、説明責任を強く求めてください。中国共産党の指導者たちは一枚岩からほど遠い集団です。
⑨ 同じ原則に沿って行動を
あまりにも長い間、私たちは付き合ううえでの条件を中国共産党に決めさせてきました。ですがそれもこれまでです。自由主義諸国こそが条件を決めなければなりません。私たちは同じ原則に沿って行動しなければなりません。私たちは、越えてはいけない共通の一線を設けるべきです。
中国共産党のエサや甘言に、越えてはいけない共通の一線を設けるべきです。アメリカは先日、南シナ海における中国の主張を「違法である」ときっぱりはねつけました。アメリカはまた、各国の人々の個人情報が中国共産党の手に渡らないように、各国に「クリーンな国」になるよう促してきました。アメリカが規準を設けることでこれを行いました。
もちろん、これはむずかしいことです。小さな国にとってはむずかしいことです。小さな国は、狙い撃ちにされる事を恐れています。いくつかの国はこうした恐怖から、居間の私たちと共に立ち上がる力も気概もありません。
実際、NATOのなかにも、香港の問題について立ち上がるべきなのに、中国政府によって中国市場へのアクセスが制限されることを恐れて立ち上がっていない国が存在します。これは、歴史的な失敗につながる臆病な態度です。失敗を繰り返してはいけません。私たちは過去の過ちを繰り返してはいけません。
中国の脅威に立ち向かうには民主主義諸国のがんばりが必要です。欧州、アフリカ、南米、そしてとくにインド太平洋地域の民主主義国の頑張りが、私たちが今行動しなければ中国共産党は最終的に自由を侵害し、私たちの社会が苦労して築き上げたルールに基づく秩序を破壊してしまうことでしょう。
中国共産党の行いは今日の自由世界における最大の脅威ですが、私たちが今屈すれば私たちの子孫がその脅威、共産党のなすがままに成ってしまうかもしれないのです。習近平総書記は、私たちがそれを許さなければ、中国の内と外で永遠に圧政を行えるわけではありません。
ただし、これは封じ込めとは違います。過去に直面したことのない新たな複雑は脅威にどう立ち向かうかということなのです。ソ連は自由世界から隔離されていましたが、共産中国はすでに私たちの内側にいるのです。
⑩ 過ちを繰り返さない
ですから、アメリカは自国だけでこの脅威に立ち向かうことはできません。国連、NATO、G7、G20と協力し、私たちの経済・外交・軍事の力を意組み合わせ、その力を迷わず大きな勇気をもって注げば、この脅威に十分対処できるはずです。
志を同じくする国々の新たな集団、民主主義諸国の新たな同盟を結成するときがきたのかもしれません。私たちには手段があります。私たちにはできます。いま私たちに必要なのは意志です。
自由世界が変わらなければ、共産中国が確実に私たちを変えてしまいます。これまでのやり方の方が気が楽だとか、便利だからと言って、そのやり方に戻ることはゆるされません。
中国共産党から私たちの自由を守ることは現代の使命です。そして、アメリカはこの使命を導く立場にぴたりとあてはまります。なぜなら、建国の理念が私たちにそれを命じていますから。
先週フィラデルフィアで独立記念館をまじかに見つめながらお話させていただいたように、アメリカはすべての人間には犯すことのできないいくつかの権利があるという前提に立って建国されたのです。ですから、それらの権利をも盛ることはアメリカ政府の仕事です。
これはシンプルで力強い真実です。このことがアメリカを中国国内の人々を含む世界中の人々にとっての自由のかがり火にしてきました。事実に、リチャード・ニクソンが1967年に「中国が変わるまで世界は安全ではありえない」と書いたとき、彼は正しかったのです。
そして、彼の警告を聞くか聞かないかは私たち次第です。今日、危険は明白です。今日みんなが目覚めてきています。私たちは決して過去へ戻ることはできません。中国の人々に神の祝福がありますように。そして、アメリカ合衆国の国民に神の祝福がありますように。
6) 核武装時代と日本の防衛
中国は日本を照準にした核弾頭を130基あると推定される。日本列島を完全に海の底へ消し去ることができる戦力である。そして、歴史教育や靖国参拝に反対するなどの内政干渉を行っている。中国政府報道官の言動は支配者のごとく過激である。
これほどにまでされても対抗しない日本は独立を放棄したとも受け取れかねない。米国は自国の安全を危険にさらしてまで、救いの手を差し伸べるだろうか。アメリカ大統領が不公平という理由は当然である。
日本を照準にした130基もの核弾頭を問題にせず、誤報で有名な朝日新聞は「憲法上許されるのは敵が攻撃に「着手」した後になるが、実際の見極めは困難で判断を誤れば国際法に違反する先制攻撃になりかねない」と報じている。
日本が攻撃されて国民が殺戮されるま何もせずに傍観を推奨しているようだ。憲法に問題があれば改正を推進し、国民の生命財産を守るべきではないのか。多数の犠牲者がでてから日本に攻撃を受ける原因があるといいたいのだろうか。いや、きっと云うだろう。
1962年5月に、元海軍中将の福留繁が「核武装時代と日本の防衛」のなかで次のように考察した。「日本は量的に小さな軍備であろうとも中国の主要部を完全に破壊せしめる威力を持てば、防衛的に見て中国とのバランスとすることができる。
中国が日本を破壊しても、日本の報復力が中国の主要部を破壊することが予想されるならば、中国は決して日本を攻撃することはしないだろう。また、このバランスを保つ限り、中国に対する日本の発言力も弱体化することはない理である」と説いている。
敵の攻撃基地を攻撃する準備よりも、北朝鮮のように移動式のミサイル発射台を用意して的を絞らせない戦法を学ぶべきだろう。「攻撃したら報復しますよ」という戦略の方が朝日新聞をはじめとするマスコミ各社の対策になるだろう。
謝辞:国立感染症研究所、デイリー新潮、マイク・ポンペオ米国務長官の演説日本語訳、ポンペイオ国務長官の対中演説などの資料を参照しました。写真はインターネットの画像を転載しました。ありがとうございます。