はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第37章 認知症サポーター
        (セミナー)

2019(平成31)年3月9日、社会福祉センターで開催された札幌市社会福祉協会主催の講演会で、独立行政法人地域医療機能推進機構、北海道病院付属介護老人保健施設の山谷修主任介護福祉士の講演「認知症サポーター養成講座」の要約プラス資料です。

1 認知症サポーターとは


 誰もが認知症についての正しい知識をもち、認知症の人や家族を支える手立てを知っていれば尊厳ある暮らしをみんなで守ることができます。

現在、認知症キャラバンが全国で展開されています。認知症を理解し、認知症の人や家族を見守り、認知症サポーターを一人でも増やし、安心して暮らせる街をみんなでつくっていくことを目指しています。

山谷修主任介護福祉士が勤務される北海道病院付属介護老人保健施設は、豊平区中の島1条8丁目ー18にあります。独立行政法人地域医療推進機構北海道病院に附属した施設です。札幌市中心部に近い環境ながら、藻岩山や豊平川を眺めることができ、落ち着いた環境の中にある介護老人保健施設です。

2004年12月に痴呆の呼び名が認知症に改まり、つづく2005年度が認知症を知る1年と位置づけられました。単なる呼称変更にとどまらず、今後多くの人々に認知症が正しく理解され、また認知症の方が安心して暮らせる町がつくられていくよう、その第一歩として、普及啓発のためのキャンペーンが開始されました。

厚生労働省の認知症を知り 地域をつくる10ヶ年の構想のもと、認知症の方とそのご家族を地域の中で支える地域づくりをめざしています。民間の有識者や団体を中心とした認知症になっても安心して暮らせる町づくり100人会議の支援をうけ、平成17年度から全国で展開されています。

ロバ隊長は、地域や職域・学校などで 認知症サポーターを養成する講師役を認知症キャラバン・メイトと言います。認知症サポーターキャラバンのマスコットキャラクターです。認知症サポーターキャラバンの隊長として、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりへの道のりの先頭を歩いていきます。ロバのように急がず、しかし一歩一歩着実に進んでいきます

認知症サポーター養成講座を受けた人が認知症サポーターです。認知症サポーターには何かを特別にやってもらうものではありません。認知症を正しく理解してもらい、認知症の人や家族を温かく見守る応援者になってもらいます。そのうえで、自分のできる範囲で活動できればいいのです。

たとえば、友人や家族にその知識を伝える、認知症になった人や家族の気持ちを理解するよう努める、隣人あるいは商店・交通機関等、まちで働く人として、できる範囲で手助けをするなど活動内容は人それぞれです。

サポーターのなかから地域のリーダーとして、まちづくりの担い手が育つことも期待されます。認知症サポーターには認知症を支援する目印として、ブレスレット(オレンジリング)をつけてもらいます。このオレンジリングが連繋の印になるようなまちを目指します。みんなで認知症の人とその家族を支え、見守り、ともに生きる地域を築いていく運動を推進しています。

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2 認知症施策推進総合戦略

厚生労働省の認知症施策推進総合戦略 ~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)では、認知症の人が住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けるために必要としていることに的確に応えていくことを旨としつつ、以下の7つの柱に沿って、施策を総合的に推進していくこととしています。

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 1-1 認知症への理解を深めるための
            普及・啓発の推進

社会全体で認知症の人を支える基盤として、認知症の人の視点に立って認知症への社会の理解を深めるキャンペーンや認知症サポーターの養成、学校教育における認知症の人を含む高齢者への理解の推進など、認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進を図ります。

認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守り支援する応援者です。市町村や職場などで実施されている認知症サポーター養成講座を受講した人が認知症サポーターとなります。

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 1-2 認知症の容態に応じた
      適時・適切な医療・介護等の提供

本人主体の医療・介護等を基本に据えて医療・介護等が有機的に連携し、認知症の容態の変化に応じて適時・適切に切れ目なく提供されることで、認知症の人が住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができるようにします。

このため、早期診断・早期対応を軸とし、行動・心理症状や身体合併症等が見られた場合にも、医療機関・介護施設等での対応が固定化されないように、退院・退所後もそのときの容態にもっともふさわしい場所で適切なサービスが提供される循環型の仕組みを構築します。

地域の中で認知症の人を支えていくには、何よりも身近なかかりつけ医が認知症に対する対応力を高め、必要に応じて適切な医療機関につなぐことが重要であり、かかりつけ医の認知症対応力を向上させるための研修を実施し、また、初期集中支援チームのバックアップや、かかりつけ医の認知症診断等に関する相談役等の役割を担う認知症サポート医の養成を進めています。

歯科医師等による口腔機能の管理や薬剤師による服薬指導等を通じてこれらの専門家が高齢者等と接する中で、認知症の疑いがある人に早期に気付き、かかりつけ医等と連携して対応するとともに、その後も認知症の人の状況に応じた口腔機能の管理や服薬指導等を適切に行うことを推進しています。

認知症疾患医療センターは、認知症の速やかな鑑別診断や、行動・心理症状と身体合併症に対する急性期医療、専門医療相談、関係機関との連携、研修会の開催等の役割を担います。

認知症初期集中支援チームは、医療・介護の専門職が家族の相談等により認知症が疑われる人や認知症の人及びその家族を訪問し、必要な医療や介護の導入・調整や、家族支援などの所為の支援を包括的、集中的に行い、自立生活のサポートを行うチームです。

身体合併症対応等を行う医療機関での認知症への対応力の向上を図る観点から、関係団体による研修も積極的に活用しながら、病院勤務の医療従事者に対する認知症対応力向上研修の受講を進め、また研修受講者が同じ医療機関等の看護職員に対して伝達することで医療機関内等での認知症ケアの適切な実施とマネジメント体制の構築を進めています。

認知症の人への介護等に当たっては、認知症のことをよく理解し、本人主体の介護を行うことで、できる限り認知症の進行を緩徐化させ、行動・心理症状を予防できるような形でサービスを提供することが求められています。このような良質な介護を担うことができる人材を質・量ともに確保していくための研修事業があります。

認知症ケアパスとは、地域ごとに、発症予防から人生の最終段階まで、生活機能障害の進行状況に合わせ、いつ、どこで、どのような医療・介護サービスを受ければよいのか、これらの流れをあらかじめ標準的に示したものです。

地域ごとに認知症ケアパスを確立し、認知症の人やその家族、医療・介護関係者等の間で共有され、サービスが切れ目なく提供されるようにその活用を推進しています。

認知症地域支援推進員は、医療・介護等の支援ネットワーク構築、認知症対応力向上のための支援、相談支援・支援体制の構築等を行います。

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 1-3 若年性認知症施策の強化

若年性認知症の人については、就労や生活費、子どもの教育費等の経済的な問題が大きい、主介護者が配偶者となる場合が多く、時に本人や配偶者の親等の介護と重なって複数介護になる等の特徴があることから、居場所づくり、就労・社会参加支援等の様々な分野にわたる支援を総合的に講じていきます。

若年性認知症の方やその家族に対する相談支援、医療・介護、労働等の関係者による支援体制の構築、企業や関係者等の若年性認知症に対する理解を促進するための普及・啓発等の支援を行うため、各都道府県、指定都市に若年性認知症コーディネーターの配置を進めています。

若年性認知症の総合相談窓口として、全国若年性認知症コールセンターが設置されています。

若年性認知症ハンドブックは、若年性認知症の人が発症初期の段階からその状態に応じた適切なサービスが利用できるよう、若年性認知症と診断された本人と家族が知っておきたいことをまとめたものです。

若年性認知症ガイドブックは、若年性認知症の相談業務の担当者等が、本人や家族から相談を受けて対応したり、支援する際に、きめ細かく対応するためのものです。

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 1-4 認知症の人の介護者への支援

高齢化の進展に伴って認知症の人が増えていくことが見込まれる中、認知症の人の介護者への支援を行うことが認知症の人の生活の質の改善にも繋がるとの観点に立って、介護者の精神的身体的負担を軽減する観点からの支援や介護者の生活と介護の両立を支援する取組を推進します。

認知症の人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有しお互いを理解し合う認知症カフェ等の設置を推進しています。地域の状況に応じて、様々な共有主体により実施されています。

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 1-5 認知症の人を含む高齢者に
        やさしい地域づくりの推進

65歳以上高齢者の約4人に1 人が認知症の人又はその予備群と言われる中、高齢者全体にとって暮らしやすい環境を整備することが、認知症の人が暮らしやすい地域づくりに繋がると考えられ、生活支援(ソフト面)、生活しやすい環境の整備(ハード面)、就労・社会参加支援及び安全確保の観点から、認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進に取り組んでいます。

認知症の人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有しお互いを理解し合う認知症カフェ等の設置を推進しています。地域の状況に応じて、様々な共有主体により実施されています。

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 1-6 認知症の予防法、診断法、治療法、リ
   ハビリテーションモデル、介護モデル等
   の研究開発及びその成果の普及の推進

認知症をきたす疾患それぞれの病態解明や行動・心理症状を起こすメカニズムの解明を通じて、認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発の推進を図ります。

また、研究開発により効果が確認されたものについては、速やかに普及に向けた取組を行います。なお、認知症に係る研究開発及びその成果の普及の推進に当たっては、健康・医療戦略及び医療分野研究開発推進計画に基づき取り組んでいます。

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 1-7 認知症の人やその家族の視点の重視

これまでの認知症施策は、ともすれば、認知症の人を支える側の視点に偏りがちであったとの観点から、認知症の人の視点に立って認知症への社会の理解を深めるキャンペーンのほか、初期段階の認知症の人のニーズ把握や生きがい支援、認知症施策の企画・立案や評価への認知症の人やその家族の参画など、認知症の人やその家族の視点を重視した取組を進めていきます。

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◎ 終わりに

認知症施策推進総合戦略は1~7の柱を踏まえ、こうした締めくくりを行っています。

◎ 認知症高齢者等にやさしい地域の実現には、国を挙げた取組みが必要。
    関係省庁の連携はもとより、行政だけでなく民間セクターや地域住民自らなど、
   様々な主体がそれぞれの役割を果たしていくことが求められる。

◎ 認知症への対応に当たっては、常に一歩先んじて何らかの手を打つという意識を、
  社会全体で共有していかなければならない。

◎ 認知症高齢者等にやさしい地域は決して認知症の人だけにやさしい地域ではない。
    コミュニティの繋がりこそがその基盤。認知症高齢者等にやさしい地域づくりを
   通じ地域を再生するという視点も重要。

◎ 認知症への対応は今や世界共通の課題。
    認知症ケアや予防に向けた取組についての好事例の国際発信や国際連携を進める
   ことで、認知症高齢者等にやさしい地域づくりを世界的に推進。

◎ 本戦略の進捗状況は、認知症の人やその家族の意見を聞きながら随時点検。

◎ 医療・介護サービス等の提供に関し、個々の資源の整備に係る数値目標だけでなく
  これらの施策のアウトカム指標の在り方についても検討し、できる限りの定量的評価
  を目指す。
    これらの点検・評価を踏まえ、本戦略の不断の見直しを実施。

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2 日本の現状

 2-1 超高齢化社会の到来

日本経済新聞は2025年問題として、ベビーブームで生まれた段階の世代が75歳以上になり、全人口の二割に当たる約22000万人が75歳以上になる超高齢化社会が到来するとしています。

今後10年間で予測されるととは、外国人介護福祉士の増加、介護福祉士でない介護職の増加(他業種・障がい者・中高齢者)、ろぼって技術やICT導入などによる介護人材確保が進むでしょう。

札幌市の総人口に占める割合を見ると、平成30年12月31日現在で要介護者の数は108、264人です。これに対して要介護者のメイト+サポーターは5.619%しかいないのです。

厚生労働者が発表した平成24年の認知症高齢者の現状は次のようなものです。

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 2-2 認知症対策の商品

認知症の方々が間違わないように、ご家族に注意を喚起する認知症の方の誤飲を防ぐためという表示をした商品が増えています。


 購入された商品の説明書をご覧になってください。

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3 認知症とは

 3-1 認知症を理解する

認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、脳の司令塔の働きに不都合が生じ、さまざまな障害が起こり、生活するうえで支障がおよそ6ヶ月以上継続している状態を指します。

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 3-2 認知症の誘因

アルツハイマー型認知症が67.6%で圧倒的に多く、続いて血管性認知症が19.5%、レビー小体型認知症4.3%となっています。

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 3-3 認知症の症状

脳の細胞が壊れて直接起こる症状を中核症状といいます。

・ 記憶障害  体験や出来事などを忘れるなど新しいことが覚えられない。

・ 理解・判断力の障害  考えるのが遅い。二つのことが重なると混乱する。

・ 実行機能障害  調理の手順がわからなくなるなど、計画を立てて段取りができな
          い。

・ 見当識障害  時間や季節の感覚が薄れる。道に迷う。周囲の人との関係が分から
         ない。

・ 本人の要因・体調等  環境の要因:対応等

・ 行動・心理症状  本人の心身の状況や新しい環境、介護者の関わり方などが影響
           して出現する症状 

・ 不安・焦り、うつ、幻覚・妄想、徘徊、興奮・暴力、不潔行為等

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 3-4 認知症の種類

  3-4-1 アルツハイマー型認知症

神経細胞が減っていき、小さく委縮することで様々な症状が出る。アルツハイマー病などの変性疾患は、脳の神経がびまん性に死んで脳が委縮する。

アルツハイマー型認知症の経過の初期は、記憶障害、失計算、先行。中期は、失見当、徘徊、精神錯乱、厳格・妄想(夜間せん妄)。後記は、身体の機能障害も加わり寝ている時間が増加。加えて、異食、所在不明、褥瘡、誤嚥の危険性など。

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  3-4-2 脳血管性認知症

脳の血管が詰まったり破れたりし、その部分の脳細胞の働きが悪くなるために症状が出る。

脳血管性認知症の経過は、頭痛・めまい・しびれ感・せん妄・感情失禁などの症状が現れ、片麻痺・言語障害・嚥下障害などの運動障害が診られ、脳祖中発作の起こるたびに階段状に認知症の程度が進行します。点灯・誤嚥・意識消失の危険性があります。

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  3-4-3 レビー小体型認知症

症状は認知期の障害に加え、幻視、パーキンソン症状(手足が震えたり、筋肉が固くなる)がある。うつ症状がでたり入院中レム睡眠障害が出現することがある。

末期には、パーキンソン症状が進行し寝たきりになることもある。点灯、転落、褥瘡の危険性がある。

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4 違いの検証

 4-1 加齢と記憶障害の違い

    加齢による物忘れ           認知度の記憶障害

目の前の人の名前が思い出せない    目の前の人がだれなのか分からない

者の置き場所を思い出せない事がある  置き忘れ・紛失が頻繁になる

何を食べたか思い出せない       食べたこと自体を忘れている

物覚えが悪くなったように感じる    数分前の記憶が戻らない

曜日や日付を間違えることがある    月や季節を間違えることがある

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 4-2 アクティビティと記憶

記憶内容による分類  体験したこと、食卓、人と会う、ついさっきの事・・・


 手続き記憶を念頭に置いたアクティビティを活用することが効果的です。

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 4-3 治る認知症と現段階では治らない

認知症には、治る認知症と現段階では治らない(治せない)認知症があります。

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 4-3 認知症には適切なケアが必要です

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 4-4 認知症の人への対応

認知症のへとへの対応の心得は3つのない

① 驚かせない

② 急がせない

③ 自尊心を傷つけない

そのためには、

◎ まずは見守る

◎ 余裕を持って対応する

◎ 声をかける時は1人で

◎ 後ろから声をかけない

◎ 相手の目せんにあわせて優しく

◎ おだやかに、はっきりした話しかたで

◎ 相手の言葉に耳を傾けてゆっくり対応する

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 4-5 家族の気持ちの理解

認知症の肩を介護されている家族の気持ちを理解しましょう。

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 4-6 主な相談先

 認知症かもしれない?と思ったら(札幌市)

まずは相談、介護サービスも上手に活用しましょう、ご家族の方の健康も大切にしましょう、家での生活が難しくなったとき、などの支援が受けられます。

認知症の方が入所できる施設については、「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」、「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」、「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」などがあります。

施設の所在地や連絡先は「白石区の指定事業者及び施設一覧」をご参照ください。

実際に見学をしたり、相談窓口から情報得て、適切な施設を選択しましょう。介護保険サービスを利用している場合は、担当のケアマネージャーにも相談しましょう。

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