2 睡眠時無呼吸症候群
2-1 SASとは
SAS(Sleep Apnea Syndrome) 睡眠中に呼吸停止または低呼吸になる病気
10秒以上続く無呼吸が一晩(7時間以上の睡眠)に30回以上、もしくは一時間
に平均5回以上起こること。
● 睡眠中無呼吸症候群は日本の人口の2~4%の有病率と言われています。
日本の人口 約1億2000万人
⇒ 約240万人~480万人が睡眠中無呼吸症候群?
● 現在、日本では米国に比べ終夜睡眠ポリグラフィ検査(PSG)を行うことのでき
る施設が極めて少ない。
そのため睡眠呼吸障害に対する治療を満足に行うことができていないのが現状。
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2-2 SASの症状
■ ひどい「いびき」のほかに日中の「眠気」を伴う。
⇒ 交通事故・職場や家庭での事故に直結
■ 集中力の欠如・意欲の低下
■ イライラしやすい
■ 血圧が高い
■ 夜中に頻繁にトイレに起きる
■ 起床時のだるさ、頭痛
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2-3 無呼吸の種類
2-3-1 閉塞性無呼吸
上気道の閉塞に起因する無呼吸、呼吸努力(胸郭・腹壁の動き)が認められる。
2-3-2 中枢性無呼吸
呼吸中枢から呼吸筋への出力が消失するため、呼吸努力がなくなる。
2-3-3 光合成無呼吸
無呼吸中に中枢型から閉塞型に移行する。
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2-4 SASへの注目
2003年2月26日にJR西日本の山陽新幹線運転士の居眠り事故により、睡眠時無呼吸症候群が広く知られるようになりました。この事故は、800名の乗客を乗せた新幹線が運転士が眠ったまま時速270kmで8分間走行し、岡山駅100m手前で自動列車制御装置(ATC)の作動により停車したというものでした。
駅員が不審に思い乗務員室のドアをたたいたが応じず、車掌が先頭車両の運転台に行くと運転士(33)は停車した事実にも気付かないまま居眠りしていた。ATCが正常に作動して列車は停車したが、作動していなければ大惨事となっていたかもしれない。
この運転士の新幹線運転歴は1年7カ月で、事情を聴取したところ「病気ではない、居眠りしてしまった」と話した。自動列車制御装置により列車がホーム前で緊急停車したおかげで事故はなかったが、上り3本が遅れるなどの騒ぎがあった。
運転士は広島市内の病院で検査を受け、医師に「5~6年前から寝ている最中に何回も目が覚める」「家族から、いびきをかいているときに息が止まっているようだと指摘されたことがある」と話していたという。運転士は体重約100kgで、睡眠中のいびきも多かった。
大きな社会問題となり、当初は「気のゆるみ」が原因と発表されたが、精密検査の結果で睡眠時無呼吸症候群と診断された。
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2-5 SASは放置できない
● 睡眠中に呼吸が止まると肺に酸素が取り込めず、血液が酸欠状態となるので身体へ
の影響は重大です。
● 健康な人の睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠を一晩に90分周期で繰り返します。
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2-5 SASの検査
パルスオキシメーター
指先にセンサーを付けて、血液中の酸素の状態と脈拍数を測定し、睡眠中の無呼吸を予測します。
〇 睡眠中の血中の酸素量をチェックします。
〇 睡眠中前に手首と指先に機器を装着します。
〇 これで眠っている間の酸素の血中濃度(酸素
飽和度)を測定します。
〇 睡眠中の動脈血の酸素量をモニタリングします。
〇 睡眠中の無呼吸や低呼吸に伴う酸素量に伴う酸素量の低下回数から、呼吸障害の程
度を客観的に把握できます。
〇 簡単な検査機器を使って、自宅でチェックできます。
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2-6 簡易検査
呼吸の状態や血中の酸素の状態などを測定し、睡眠呼吸障害の程度(AHI)を求めることができます。AHIが40以上で眠気などSASの症状が明らかな場合、CPAP療法の対象となります。AHIが40未満であれば、さらに精密検査(PSG検査)が必要です。CPSP両方の手領効果測定の検査として行うこともできます。
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2-7 PSG検査
専門の検査施設等に入院して確定診断を行います。様々なセンサーを取り付け、実際の睡眠の質(深さや分類の状態)を評価します。また、睡眠中の行動異常、不整脈などの評価も行い、他の睡眠障害、合併症の有無について診断します。
PSGの検査は、専門の検査担当者が様々なセンサーを装着していくこともあり、入院して行うことになります。また、脳波という微細な信号を捕らえていくため、検査指摘した部屋での入院いなります。しかし、痛みは全くありません。センサーも眠っている間に取れてしまわないようにしっかりと取り付けます。
睡眠時無呼吸症候群の主な治療法は、持続性陽圧呼吸補助装置(CPSP)を使用します。鼻マスクを着けて空気を送り込み、上気道の閉塞を防ぐ方法を取ります。成人の閉塞性無呼吸の治療に最も効果的です。
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CPSP(持続性陽圧呼吸補助装置)
閉塞性睡眠時無呼吸は寝ているときに、上気道がふさがり無呼吸が発生します。
CPSP療法は、CPSP装置からホース、マスクを介して処方された空気を起動へ送り、常に圧力をかけて空気の通り道が塞がれないようにします。
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2-8 CPSPの効果
〇 健康で睡眠力が高く、深く眠れているAさん
Aさんはステージ4まで深く眠れています。
〇 BさんのCPSP治療前の睡眠状態
Bさんの治療前は、ほとんどステージ2以下で、10時間近く寝ても目が覚めません。
〇 BさんのCPSP治療後の睡眠状態
BさんはCPSP治療で、深い眠りが取れるようになりました。
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2-9 CPSP治療までの流れ
平成18年4月から診断報酬改定によりCPAPの治療効果を判定するために、6ヶ月に1回を限度として保険診療が可能となりました。
AHIが40以上、または20以上でCPAP治療となるのは、あくまでも保険診療によるものであり、これに限りません。
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