はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第34章 心臓病で死なせない

2018(平成30)年10月20日、新札幌アークシティホテルで開催された医療法人札幌ハートセンター主催の第11回ハーとセミナーで札幌心臓血管クリニック最高経営責任者の藤田勉理事長の講演「心臓病で死なせない」の要約に調べた資料を加えました。

1 動脈硬化の発見

健康診断や人間ドックで、動脈硬化(心臓病)は見つけられません。循環器の病院にかかっていても安心できません。心臓の病院にかかっていて心筋梗塞で死ぬ人も以外に多いのです。なぜそうなるかと言いますと、脳梗塞も狭心症や心筋梗塞、腎動脈狭窄や下肢動脈狭窄などの動脈硬化の病気は全身病なのです

冠動脈疾患の末梢動脈硬化疾患をみると、末梢動脈硬化は冠動脈疾患の10%、末梢動脈硬化の50%は冠動脈疾患、末梢動脈硬化疾患は30%に他の末梢動脈硬化疾患があります。

脳梗塞を起こした人は確率的に30~40%心臓病を持っている可能性があります。逆に心臓病になった人は、頭とか足をチェックしなければなりません。これらを調べないとせっかく脳梗塞で助かりましたが心筋梗塞で死にましたということになる。そうならないように、すべてをチェックすることが大切です。

日本人の死因を2009年の統計でみると、総死亡数114万人のうち高血圧系を除く心疾患での死亡数は18万人(15.8%)で、そのうち虚血性心疾患は7.5万人もいます。この60年間で急速に増えているのです。

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高血圧の治療が進歩することで頭の病気が減りましたが、現在でも、実に亡くなった日本人の約15人に1人が虚血性心疾患が原因なのです。心疾患としては約6人に1人にもなります。

ですから、自分の症状に注意をする必要があります。胸部圧迫感が5~10分あった、喉・歯・手・胃がしびれたり痛む、冷や汗が出るなどの放散痛を感じたことはありませんか。特に冷や汗が出たらすぐ病院へ行ってください。冷や汗が出るというのは危険サインなのです

これらの症状は狭心症と言われる冠動脈狭窄が発生し、血管が詰まってきています、大変危ない状態になっていますという合図なのです。動脈硬化とは何かというと、血管内に脂肪などが貯まり一部は骨みたいに硬くなってしまうことです。

血管が細くなると、その先の臓器などが血流不全を生じて狭心症や意識消失などを起こします。血管の75%が閉塞するとこのような症状が現れると言われます。さらに血管が詰まるとその先の臓器は壊死を起こし、心筋梗塞、脳梗塞、腎梗塞などになります。

動脈硬化が50%程度ですと症状は表れません。動脈硬化が75%以下であれば症状はでずに一見健康の見えます。症状の出る狭窄は75%以上血管が細くなると血流不全が生じて症状がでます

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2 心電図ではわからない

心電図を取られた方は多いと思いますが、心電図を見て医師から大丈夫ですと言われたら安心しますね。これは間違いなのです。なぜかというと、心電図で心臓の血管が詰まっているかどうかは分からないのです。血管が99%詰まらないと心電図に異常は現れないのです。

医師の判断が間違っているわけではありません。心電図には異常がないと言っているのです。医師は心臓が大丈夫だとは一言も言っていないのです。心電図が大丈夫と言われても心臓のことではありません。みなさん方が勝手に勘違いしているのです。

つまり、動脈硬化で狭心症が生じるためには75%以上の狭窄が必要である。症状がないから、動脈硬化がないというのは間違いです。症状がなくても動脈硬化はあるのです。安心できないのです。

動脈硬化で詰まるのは2つのパターンがあります。徐々に悪くなって、血管が詰まると思っている方がほとんどです。しかし、心筋梗塞の7割の方が発症するまで健康でした。心筋梗塞は突然生じたのです。血管は突然詰まるのです

なぜ、血管は突然詰まるのか。心臓の動脈硬化は心電図では発見できません。特定健診や人間ドックでも発見は無理です。

最近会った症例は、まったく無症状で毎年の健康診断では異常なしと言われている。たまたま糖尿病があり、主治医が心配して調べるために心臓血管クリニックへ行きなさいと言われて受診しました。

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CTを取ってみると、赤丸で囲んだところが動脈硬化を起こしています。これは大変ですよと言うと、本人は何も症状がないので健康だと思っています。そこでカテーテルで診断すると冠動脈の赤丸の部分が詰まっている状態です。

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この患者の病名は無症状性心筋虚血で、右冠動脈と左旋回動脈に有意狭窄、左前下行枝に50%の狭窄がわかり、突然死のリスクが高いことが分かりました。2本の冠動脈のカテーテル治療を受けることになりました。

この患者は急に悪くなったわけではなく、いままで調べていなかったのです。「毎年健康診断を受けているのにどうして、症状がないのにどうして、本当に自分は悪いの」と疑問を持ちました。症状が出たときには死にます。本当に自分は悪いのというのが患者の現実なのです。

大切なことは、予防をして病気にならなければ、病院や医者はいりません。予防しても病気になるので、病院や医者がいるわけです。循環器の治療後でも、同様に病気が進行するかもしれないと思ってください。

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3 循環器病院の注意点

循環器病院を受診して、心電図・エコー・運動負荷心電図など通常の検査を受けてもなにも見つかりません。循環器病院にかかっていても、採血・心電図・エコーだけでは安心できないのです。結局カテーテルをするしかなくなるのです。

循環器病院で動脈硬化が心配なので冠動脈を見てくださいと言うと、なにか症状があるのですかと問われていいえと答えると、症状が出てから検査しましょうと言われます。これが現実なのです。心臓を詳しく見てはくれないのです。

心臓のカテーテル検査は、細い管(カテーテル)を手又は足の血管から心臓などに入れて、心臓に栄養を送っている血管や心臓の部屋を撮影したり、心臓の部屋の圧力や心臓が押し出ている血液量の測定などを行う検査です。

狭心症の患者はカテーテル検査を受けることになりますが、動脈から細いカテーテルという管を入れるので、ある程度の危険が伴います。極めて少ないが痛みを伴うこともあります。そして、検査後の安静時間があります。

カテーテルによる血管の損傷により、心筋梗塞や血管剥離が起こることや、動脈硬化片が剥がれやカテーテルの空気エンボリによる脳梗塞の発症にもつながります。穿刺部分の出血などがあり、熟練の医師が担当しなければなりません。

このようにカテーテルは危険性が伴うためやらないほうがいいのです。100%安全な治療はありませんが、私たちは100%安全になるように努力しています。カテーテルを使わずに動脈硬化を調べるため、64&256列CTAという装置を使います。

CTという装置で動脈硬化疾患に対するスクーリングができるので、カテーテル検査は不要になります。心臓カテーテルの代わりになり、カテーテル治療、バイパス治療後の定期的なフォローアップが安全にできます。

CTにも問題点があります。本来はカテーテル検査の代わりに患者の負担を軽減するのが目的ですが、石灰化・ステント・脈のブレなどによりきれいに撮影ができなかったり、解析力がないばかりに狭窄の判定ができず、結局受けなくてもよいカテーテルを受けるはめ目になることもあります。CTは撮影回数の多い病院を選びましょう

最新のカテーテル治療である薬物溶出性ステント治療は、ステントの表面に再狭窄予防の薬剤が塗ってあります。通常で再狭窄率が15~20%であるのに対して、薬物溶出性ステント治療の再狭窄率は3%とされています。薬は免疫抑制剤や抗がん剤の自然に存在する薬を使用しています。

大動脈弁狭窄症は動脈弁が開かなくなる病気で、僧帽弁閉鎖不全症は僧帽弁が閉じれなくなり漏れ出す病気です。高齢者にとても多い病気で、今までは心臓を止める外科治療しかありませんが、カテーテルによる治療が可能になり、施術の侵襲に耐えられない方には福音となる治療です。

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4 ジャンキーフード

ジャンキーフードは、栄養価のバランスを著しく欠いた調理済み食品のことです。高カロリーで高塩分であり、他の栄養素であるビタミンやミネラルや食物繊維があまり含まれていない食べ物を指します。

例を挙げると、ファーストフードのハンバーガーやホットドッグ、ドーナツ。清涼飲料水。糖分や食品添加物が多く含まれるお菓子。コンビニの食品(お弁当、唐揚げ、中華まんなど)。インスタントの麺類やスープ、リゾットなどです

ハムやソーセージには、化学調味料、酸化防止剤、pH調整剤、保存料、着色料など、おびただしい数の添加物が使われています。ハムやソーセージの鮮やかなピンク色を出す「発色剤(亜硝酸Na)」は、肉や魚に含まれるアミンという物質と胃の中で化学反応を起こし、ニトロソアミンという発がん性物質を生成します。

スーパーで売っている梅干しの添加物は、梅としそに、漬け原材料「還元水飴、食塩、醸造酢、しそ液」、調味料(アミノ酸等)、野菜色素、クエン酸、甘味料(スクラロース)、ビタミンB1などが使われています。

たくあんの添加物は、塩漬けのだいこんに、漬け原材料「ぬか、食塩、果糖ぶどう糖液糖、酒精」、調味料(アミノ酸等)、酸味料、甘味料(サッカリンNa)、リン酸塩(Na)、保存料(ソルビン酸K)、酸化防止剤(ビタミンC)、ミョウバン、着色料(黄色4号)などが使われています。

ジャンクフードをつくる食品メーカー各社は、脳を刺激し、何度でも繰り返し食べたくなるような、塩、砂糖、脂肪の完璧な組み合わせを追求しています。この結果、1975年以降、日本で清涼飲料水とインスタント食品ばかりを食べる若年者が栄養不足となり、特にビタミンB1が不足し脚気が増えました。

世界保健機関は、カロリーが高く微量栄養素の少ない食品を肥満のリスク増加と関連付け、肥満は糖尿病や心血管疾患、がんと関連付けられると報告しています。また、ジャンキーフードの摂りすぎにより、従来は成人病の一傾向であった肥満や糖尿病などの若年化が生じ、生活習慣病の原因になるとされる報告もあります。

フロリダの分子治療学研究所のポール・ケニー博士の研究によると、コカインやヘロインなどのドラッグを使用するのと、ジャンクフードなど高カロリー・高脂肪の食品を食べ過ぎることは、どちらも同じように脳の快楽中枢を刺激し続け、そして最後には脳細胞を破壊してしまうのだそうです。

食の欧米化事態が悪いわけではありませんが、ジャンキーフードを小学生の時から食べ続けると、間違いなく30代で心筋梗塞になります

2011年5月18日に550を超える団体が、マクドナルドに対して子どもを対象とした飲食品に高カロリー・高脂肪・多い砂糖・高塩分のジャンクフードの販売の中止と、おまけをつけないことや、マクドナルドのコレクタブルフィギュアであるロナルド・マクドナルドの引退を要請しました。

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5 まとめ

① 通常の健診は予防の意味しかない。

② 心電図で安心してはいけない。

③ 動脈硬化の早期発見は別にする必要がある。

④ 動脈硬化は、症状が出たら手遅れ。

⑤ 循環器にかかっても安心できない。

⑥ 心血管ドックを受けましょう。

⑦ 一人でも動脈硬化や心臓病で死なないように我々は努力しています。

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謝辞:文中に掲載した写真は、プロジェクターで投影されたものを撮影して掲載しました。ありがとうございます。