1 病院へ行くべき理由
札幌心臓血管クリニックには外科と内科に21名の医師が勤務しています。多くの患者さんを受け入れるために札幌市内に20ヶ所の外来施設と、道内に17ヶ所の外来施設があります。
どのような方が病院へ来るかと言うと、症状が強くなって救急車で運ばれてくる人、症状が弱かったり症状をあまり感じないが病院へ行くのを勧められた人です。症状が弱かったり症状をあまり感じな人ほど病院へ来てほしいのです。
皆さんが病院へ行きたくない理由は何でしょう。小さいときに注射をされて痛かったから、採血をするとき中々採血ができず何度も針を刺し直されたから、苦しいけど治ったから行かなくてもいいか、行ったら先生に怒られるからなどで、できれば病院へ行きたくないというのが本音でしょう。
本日の説明を聞いて、症状がなくても病院へ行った方がいいんだと思ってくれると大成功です。不整脈の外来で病院へ来る患者は、今困っている症状が強い方と将来困るかもしれないという症状が弱い方です。将来困るかもしれないという方は、健康診断やかかりつけの医師から精密検査を受けるように勧められた患者です。
健康診断の場合は、心電図の所見欄に心臓細動という表示がある方です。今困っていない人がなぜ病院へ行くべきか、理由は2つあります。一つは心電図異常が心臓病発見の第一歩となることがあるからです。
心臓は循環器系の中心的な臓器です。胸部中央(縦隔)に位置し、大きさは大体握りこぶしくらいになります。重量は男性で330g、女性で250g程度です。心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割があります。ポンプが弱って全身に血液を上手に遅れない状態を心不全と言います。
心臓は、筋肉・弁・血管・刺激伝達系の四つの要素で成り立ちます。弁の病気は、弁膜症、弁が狭い、逆流する等です。筋肉の病気は、心筋症、肥大、薄くなる、痛む等です。血管の病気は、狭心症、心筋梗塞、詰まる、細くなる等です。
刺激伝達系は洞結節から信号が出ています。刺激伝導系の病気は、不整脈、脈が遅い、脈が速い等です。また、複数の要素がそれぞれ絡み合って複数の症状が出ていることもあります。
循環器内科の仕事は、4つの要素をまんべんなく調べて治療することです。健康診断で行う検査は、レントゲン、心電図、聴診と問診などですから、毛管や筋肉ついてはほとんど診られていないのです。
ですから、循環器の病院へ来ると、エコ-検査で心臓の筋肉が発達し過ぎていないか傷んでいないか、弁のうごきが正常か血液が逆流していないかを診ます。CTで調べると、左冠状動脈回旋枝、左冠状動脈前下行枝、右環状動脈などの血管の状態を見ます。
重要なことは、心電図異常は病院にかかる大事なきっかけで、病院で「問題がない」と言われることが大事です。自己判断の問題がないではなく、筋肉・弁・血管・刺激伝達系の四つの要素に問題がないということですから安心してよいわけです。