はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第20章 超音波でわかる血管の病気

2017(平成29)年7月5日午後、札幌市白石区民センターで開催された札幌市徳洲会病院主催の医療公開講座、「超音波でわかる血管の病気」と題した沖野久美子臨床検査技師の講演要約です。

1 超音波検査について

やまびこをご存知ですね。やまびこ(エコー)は、山に向かって「ヤッホー」と叫ぶとしばらくしてから「ヤッホー」と返ってくる現象です。超音波も「音」ですからこのような反射するという性質を持ってます。

超音波検査は、からだの表面から超音波を送受信する医療器具(プローブと呼びます)をあてて、やまびこ(エコー)をみるものです。やまびこのように反射してくる超音波を捉えて映像化することにより、体の内部の状態を検査する方法をエコー検査と呼んでいます。

 1-1 聞こえない音

ヒトには聞こえる音と聞こえない音があります。高齢になると聞こえにくいと言われる音と異なり、通常2万ヘルツ以上の高い音は、健康で良い耳を持っている人でも聞くことができません。これが「超音波」と呼ばれる音です。

しかし、私たちには聞こえない超音波を利用して生活する動物たちがいます。よく知られているのがコウモリやイルカ、クジラなどです。

イルカは暗い海の中でも、えさとなる魚を探すことができます。イルカは超音波を出して「やまびこ」のように戻ってきた音をキャッチして方向や距離がわかるのです。目には見えなくても、超音波を使うことにより方向や距離を知ることができるのです。

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 1-2 超音波の安全性

超音波検査は人体にとって無害で苦痛をともなわない検査ですから、健康診断や産婦人科の領域でも広く実施されています。何度も繰り返して行える手軽な検査で、おなかの赤ちゃんにも使えるほど影響がありません

超音波を使うと体内の様々な症状を知ることができます。左上のエコー写真は肝細胞がんの腫瘍です。中央のエコー写真は堪能内にできた胆石です。右上のエコー写真は頸動脈の狭窄状態です。血管の内壁にコレステロールなどがこびりついてできたプラークが、血管内を狭めて血流を阻害しています。

超音波検査時は、検査する部位にゼリーを塗ってプローブを押し当てます。プローブは超音波を発して反射波を捉える装置です。冷たい、気持ちが悪いと評判がよくありませんが、ゼリーは超音波の伝わり方をよくするために必要で

超音波検査は、医師以外に国家資格(免許)を持った臨床検査技師、または診療放射線技師が主に行っています。超音波検査を担当することになった技師は、専門知識や特殊技量の向上を重ねてつねにレベルアップを図り、安心して検査を受けていただけるように研鑽しています。

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 1-3 検査を受ける方へ

腹部エコー検査は、食事による影響が大きいので、検査前は5時間以上(施設によって異なります)の絶食をお願いしています。また、「できるだけ尿を貯めてから来てください」と説明することもあります。その他の領域の検査は、とくに指示がない限りいつでも検査を受けることができます。

検査時間は対象領域によって異なりますが、15分から45分程度です。目的とする臓器が見えにくい場所にあったり、呼吸の影響で見え隠れしたりする場合もあります。したがって検査が予定の時間より早く終わったから正常、時間が掛かったから異常というものではありません。

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2 血管の病気

 2-1 血管に重要な2つの役割

生命活動には十分な酸素や栄養が必要ですし、生命活動で生じる老廃物の処理もです。酸素と栄養を供給して老廃物を処理するという二つの役割を担っているのが「血液」で、血液が体の中をめぐっていることを「循環」と言います。また、心臓を出発して再び心臓へ戻ることから「還流」とも呼んでいます。

血液が流れる「通路、パイプ」が血管で、全身に血液が行き渡るよう見事なネットワークが作られています。血管には、主に栄養分を運ぶ「動脈」と、老廃物を運びだす 「静脈」の二種類があることをご存知でしょう。

この血管が病気になって血液が流れにくくなれば、幹線道路で交通渋滞が起きたと同じです。栄養分も老廃物も運べず、物資の輸送が止まるという深刻な事態が生じます。血管が破れた場合は、水道管が破裂したと同じように全身に与える影響は深刻です。

脳の血管の病気には脳出血、脳梗塞などが、心臓の血管の病気には心筋梗塞や狭心症などがあります。このように脳や心臓など特定の「臓器」の中を循環する血管の病気はよく知られています。しかし、これら以外にも「血管自体」の病気は少なくありません。

血管の病気を大きく分けると、「こぶ」ができる場合と「詰まる」場合の二種類になります。「こぶ」には大動脈瘤や静脈瘤など、「詰まる」場合には動脈閉塞症、静脈血栓症などがあります。「こぶ」も「詰まる」場合も、動脈と静脈では事情が違います

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 2-2 動脈の「こぶ」

動脈の壁には常に強い圧力(血圧)がかかっています。壁に弱い部分があるとそこが膨らみ、拡張して「こぶ」、つまり「瘤(りゅう)」ができた状態になります。これが「動脈瘤」です

動脈瘤は、どこにできているかによって「胸部大動脈瘤」、「腹部大動脈瘤」、「大腿動脈瘤」、「脳動脈瘤」などに、瘤のできた動脈壁の状態によって「真性」、「仮性」、「解離性」に、瘤の形によって「紡錘状」「嚢状」などに分類されています。

こぶのうち最も多いのは、おなかにできる「真性腹部大動脈瘤」です。「真性」は「本当、本物の」という意味で、真性のこぶは徐々に膨らんでくるので自覚症状がないことが多く、ほとんどは検診などで偶然見つかります

胸部はレントゲン撮影で、腹部は「おなかの診察」や腹部の超音波検査で発見される場合がほとんどです。しかし、解離性のこぶ(最近は「大動脈解離」と呼ばれます)は、胸や背中に突然、痛みを伴って急に起こるのが特徴です。

大動脈瘤は解離性の場合を除いて、普通は何も症状が出ないので本人に苦痛はありません。しかし、急にこぶが破れてその部分(胸、腹など)が痛み、出血による貧血やショックなどが起こり、すぐに治療を受けなければ深刻な事態になります

こぶが大きくなって周囲が圧迫され、胸部では声がかすれたり食物が喉を通らなくなったり、血の混じったたんが出たりします。こぶができた場所から、さらに先にある脳や心臓、腎臓や手足などに循環障害が起こることもあります。これらの障害が生じない間に、こぶを処置するのが治療の原則です。

外科手術でこぶのできた部分を人工血管に置き換える方法が最も信頼できる治療法と言われます。最近は、細い管(カテーテル)を血管の中に入れて、こぶの部分を治療する方法がしだいに普及してきました。

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 2-3 動脈が「詰まる」

動脈が詰まってしまったために、手足の血流障害が起きた状態を「末梢動脈閉塞症」と言います。急に生じる「急性」と、徐々に進む「慢性」があります。

  急性の動脈閉塞

動脈硬化などで狭くなった動脈に、血が固まりやすくなる条件(例えば脱水状態など)が重なると血の塊ができて詰まった状態を「血栓症」と言います。また心臓の弁膜症や不整脈が下地となって心臓の中にできた血の塊や、大動脈内にできた血栓がはがれて流れ出し、手足の末梢動脈をふさいでしまった状態を「塞栓症」と言います。

血栓症も塞栓症も、急に手足の激痛や冷感・しびれ感などが生じ、皮膚の色も白くなって皮膚も冷たくなります。血栓を取り出し、血流を再開すれば症状はまさに劇的に改善されます。そのためにはとにかく、一時間でも早く専門医にかかることです。

日ごろから、腕や足の脈をみる習慣をつけていれば発見しやすいので、家族の間で互いに脈をとる練習をお勧めします。急性動脈閉塞は、不整脈のある方や動脈硬化の進んだ方には、とくに注意してほしい血管の病気です。

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  慢性の動脈閉塞

最近、とくに増えてきた「閉塞性動脈硬化症」と「バージャー病」があります。閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化によって手足の末梢動脈が詰まったり、狭くなったりした状態でしびれ、冷感、歩行障害などいろいろな症状が出てきます。

動脈硬化は全身に起こります。脳や首の動脈、心臓に栄養を与える冠状動脈、大動脈、腎動脈、腹部や足の動脈などに程度の差はあれ、だれしも60~70歳台になると循環障害が起こり得ます。

下半身に起こる慢性の動脈閉塞の症状で、最も多くみられるのは歩行障害です。「ある距離を歩いたときに、ふくらはぎや太ももに凝りや痛みを感じ、休息すると痛みが改善して再び歩ける」という障害で「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」と呼ばれています

運動中の筋肉は、じっと安静にしている場合に比べて何十倍もの血液が必要ですから、歩行中に十分な血液を供給できない循環障害では、このタイプの歩行障害が起こるわけです。さらに循環障害が進むと、壊疽(壊死に陥った部分が腐敗・融解する状態)になる恐れもあり、細心の注意が必要です。

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  末梢血管循環障害の診断

末梢血管の循環障害を調べるには皮膚の色や温度をみます。次いで、全身の脈拍を調べれば、大まかな循環状態をチェックすることができます。簡単に、しかも客観的に血流の状態をみる方法は、足関節での血圧測定です。

時々、腕と足関節での血圧をお医者さんに頼んで測ってもらってください。健康な人では足関節の血圧は、腕で測った血圧と同じか、少し上回っていますが、足に血流障害がある人では、逆に腕の血圧の8割以下に下がっています。

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 2-4 静脈の「こぶ」

  女性を悩ます下肢静脈瘤

静脈のこぶで多いのは、太ももや下腿部の表面の静脈がはれて「こぶ」になった下肢静脈瘤です。「瘤」と名がついても「動脈瘤」とは異なり、たとえ破裂しても大事にいたることはまずありません。紫色になる内出血も数分間、押さえていれば出血は止まります

症状は足の鈍痛や、時々皮膚炎が起き皮膚が黒くなることなどですが、なによりも美容上で女性を悩ませる病気です。妊娠をきっかけに症状が出るようになったり、立ち仕事の人によくみられますが、静脈瘤ができやすい家系もあるようです。

静脈瘤かどうかは立ってもらい足を見ればわかりますが、どの静脈に起きているのか、原因は何かを調べて治療する必要がありますから、まず専門医の診察を受けてください。

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 2-5 静脈が「詰まる」

足の表面でなく、より深い部分を流れている静脈が血栓(血の塊)によって閉塞し、血液が下肢に滞留してしまう状態が「深部静脈血栓症」です。静脈が「詰まる」場合に最も問題になるのがこの血栓症で、症状は滞留した具合によって、自覚症状がまったくない場合から、足のむくみ、痛み、激痛などいろいろな程度があります。

病気や手術後のため長期間、ベッドから離れられない場合や妊娠中などによる「血液のうっ帯(滞留)」が原因になります。このほか、血液を固める凝固因子の異常、けがやカテーテルで静脈の壁に傷がついた場合も原因になります。

静脈血栓症の診断には、検査で「血栓」があることを確かめることが必要です。下肢に「むくみ、痛み、発赤」などの症状が現れて血栓症が疑われる場合は、他の病気(全身疾患、表在静脈炎、蜂巣炎、リンパ浮腫など)と鑑別しなくてはなりません。

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 2-6 動脈の硬化

動脈が固くなるとしなやかさが失われ、心臓は血液をうまく送り出せなくなるので負担がかかるようになります。血管内にコレステロールが溜まり始めると血液の流れが悪くなり、血管の内壁にコレステロールの塊り(プラーク)ができて血栓が形成されると血管が完全にふさがってしまいます

マンションの給水給湯管大規模改修工事の際に外した給水管の内部は、酸化沈殿物が内壁に付着していました。給水管を血管に例えるなら、コレステロールの塊り(プラーク)はこのような状態になっているのでしょう。ゾットします。

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 2-7 動脈硬化の検査

病院では、動脈硬化の危険因子である「高血圧」「脂質異常症」「糖尿病」「高尿酸血症」の有無を調べるために、血圧測定や採血をして血液中のコレステロール値、中性脂肪値、血糖値、尿酸値を検査します

この検査で動脈硬化の危険因子が見つかった場合は、「直接異常を確認する心電図」、「眼底検査」のほかに、大きく分けて「血管の状態(厚さ・硬さ)を知る画像診断検査」と「血管の機能(硬さ)を知る精密検査」を行います。

下の2枚の写真はエコー検査結果の写真です。足の付け根に当たる鼠径部の浅大腿動脈をエコー検査すると、左側の写真は正常な状態で血管壁に付着物はありません。右側の写真は動脈内壁にプラークが付着して8割が詰まった状態であることが分かります。

エコー検査で調べた結果で動脈硬化の状態を比較すると、右下の写真が正常な状態、中央下の写真が血管内に狭窄がある状態、右下の写真は血管がプラークなどにより完全に閉塞して(詰まって)いる状態です。

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3 血管の病気予防

血管の主な病気は、「胸部大動脈瘤」「腹部大動脈瘤」「解離性大動脈瘤」「下肢閉塞性動脈硬化症」です。これらの病気の原因と症状、現在とられている対策などをお知らせします。

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 3-1 胸部大動脈瘤

体の中で最も太い血管である胸の中の大動脈が、何らかの原因で膨らんだ状態を胸部大動脈瘤と言います。

胸部大動脈の正常の太さはおよそ3cmと言われています。大動脈の太さ(直径)が正常の1.5倍を超えた場合ですから、4.5cmを超えて膨らんだ場合を胸部大動脈瘤と呼びます。

胸部大動脈瘤には、壁の一部が膨らんだ「環状大動脈瘤」と、大動脈の全周にわたって膨らんだ「紡錘状大動脈瘤」の二種類があります

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  胸部大動脈瘤の原因

胸部大動脈瘤の原因としては、動脈硬化が最も多いと言われます。そのほかに、梅毒などの感染症、炎症を引き起こす病気(各種血管炎)、交通事故などのケガ、生まれつき血管の壁が弱い(遺伝性)場合なども原因の一つです。

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  胸部大動脈瘤の症状

およそ60%は症状がないため、検査でたまたま発見されることがあります。

胸部大動脈瘤が大きくなって周囲の臓器を圧迫するようになると、声がかすれ(反回神経麻痺)たり、飲み込みにくさ(食道圧迫)を感じることがあります

感染症によるもの、炎症を引き起こす病気によるものの場合は、痛みを感じることもあります。

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  胸部大動脈瘤の診断

左下のように胸部レントゲン写真で胸部大動脈瘤が疑われることがあります。中央下の写真のように、超音波(エコー)検査で胸部大動脈瘤の一部が見えることがあります。右下の写真のようにCT検査が最も簡便で、信頼できる検査方法として用いられています。

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  胸部大動脈瘤の治療

胸部大動脈瘤は破裂すると生命にかかわる病気ですから、破裂を予防することが治療の目標になります。血圧が高い場合は血圧を下げる薬を使用しますが、現在のところ胸部大動脈瘤を治すくすりはありません。破裂の可能性が高い場合は手術をします

破裂しやすい胸部大動脈瘤は、最も太い箇所が5.5cmを超え、半年で5mm以上拡大してきた、形が嚢状であるものを言います。このうち一つでも当てはまる場合は手術の対象になります。

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 3-2 腹部大動脈瘤

大動脈が正常の太さの1.5倍以上に瘤状(コブ)に膨らんだものですが、腹部大動脈は正常な太さが約2cmであるため、3cm以上に膨らんだ場合を腹部大動脈瘤と言います。

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  腹部大動脈瘤の原因

腹部大動脈瘤の原因は、動脈硬化が最も多いと言われます。50~70歳が発生にピークで、平均年齢は65歳前後であり、男女比は7:1と圧倒的に男性に多い傾向があります

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  腹部大動脈瘤の症状

健康診断や他の病気の治療中に偶然見つかることがほとんです。定期健康診断やエコー検査が有効ですから、早期発見のためにすすんで検査を受けましょう。

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  腹部大動脈瘤の治療

破裂した腹部大動脈瘤は手術以外に命を救う方法がありません。すでに症状が現れている場合は緊急手術が行われ、症状がないものでも瘤が大きいほど破裂しやすいため、5cm以上の場合には手術が行われることが多くなります。

小さな動脈瘤については血圧を下げる高圧療法を行い、定期的なCT検査で経過を観察します。

腹部大動脈瘤が張れるする前に手術を行った場合98%以上の命を救うことができます。破裂してしまった場合の死亡率は50%と高くなりますので、破裂前の診断と治療が重要になります。

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 3-3 解離性大動脈瘤

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  解離性大動脈瘤の原因

大動脈は、外膜・中膜・内膜の三層構造で十分な強さと弾力を持っています。なんらかの原因で内側の膜に裂け目ができ、その外側の中膜の中に血液が入り込んで長軸方向に大動脈が裂けることがあります

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  解離性大動脈瘤の症状

突然、胸あるいは背中に杭が刺さるような激痛が起こり、病状の進展につれて胸から腹、さらに脚へと痛みが下向きに移っていくのが特徴です。いきなり意識消失状態やショック状態となるかたも少なくありません。

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  解離性大動脈瘤の治療

痛みを和らげ、収縮血圧を100~120mmHg以下に保つことを目標に、十分な薬物療法がおこなわれ、できるだけ早く治療方針を決めることが重要です。

裂け目が心臓に近い箇所(上行大動脈)にまでおよんでいる場合には手術が必要です

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 3-4 下肢閉塞性動脈硬化症

足の動脈が狭くなったり詰まったりして血液の流れが悪くなり、足にさまざまな症状を引き起こす病気です。原因の多くは動脈硬化で、同じ動脈硬化を原因とする狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを合併することが多いので、末梢動脈疾患の方は全身の動脈硬化症についても目を光らせておく必要があります

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  下肢閉塞性動脈硬化症の症状

一定の距離を歩くとふくらはぎの部分が痛くなる。立ち止まってしばらく休むと足の痛みが消える。このような症状(間欠性跛行)に心当たりがある場合は、動脈硬化症を疑われます。

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  間欠性跛行に注意

間欠性跛行(かんけつせいはこう)は、足の血管が細くなり必要な血液がいきわたらないために起こる症状です。主な自覚症状は3点あります。

① 歩くと足が痛くなる。

② しばらく休んでいるとその痛みが良くなるので、休み休みなら歩くことができる。

③ 連続して歩くことができなくなる。

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  下肢閉塞性動脈硬化症の診断

間欠性跛行は腰部脊柱管狭窄症だけの症状ではなく、下肢閉塞性動脈硬化症でも同様な症状が出ることがでます。腰部脊柱管狭窄症を疑って整形外科を受診しても、骨や筋肉に異常がなければ循環器科を受診しましょう

勝手の思い込みで診断を受けないまま過ごすと、足の切断にもなりかねないので注意が必要です。下肢閉塞性動脈硬化症は、足の動脈に触れる、足の血圧を測る(ABI検査)、超音波検査などでわかります。

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  下肢閉塞性動脈硬化症の治療

動脈硬化症を引き起こす要因となる、喫煙・高血圧・高脂血症・糖尿病の治療が必要です。その上で、運動療法や薬物療法、カテーテル治療やバイパス手術を考えます。症状に心当たりがある方は専門医の診察を受けましょう。

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4 生活習慣の改善

動脈硬化は「動脈が固くなり頑丈になる」ことではなく、血管の弾力が失われてもろくなることです

動脈硬化が進行しやすい血管は、脳の血管(脳梗塞)、心臓の血管(心筋梗塞)、腎臓の血管(腎不全)、足の血管(下肢閉塞性動脈硬化症)などです

日本人の死因は、動脈硬化が原因となる「脳心血管疾患」がガンと並んで30%占めています。

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 4-1 人は血管と共に老いる

血管の老化現象が、その人の寿命や健康状態を決めます。血管が置いている人は病気がちで寿命にも影響します。人も欠陥も若々しさの秘密は柔軟性です。血管が若い人はいつまでも元気です。

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 4-2 動脈硬化症の危険因子

動脈硬化を進める危険因子を忘れずに、生活習慣を改善していきましょう。

    第一位  高血圧

    第二位  高脂血症

    第三位  糖尿病

    第四位  肥満

    第五位  喫煙

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謝辞:文中に掲載しました写真類は、講演のレジメから転載させていただきました。ありがとうございます。