1 暖かい仲間
1996年7月19日のことです。午後6時ころから集まり始めた仲間たちは、並べられた料理を見つめながら主賓の訪れを待っていました。
「山本さん、このお店に来たことあるんですか」「おれに聞いてもわかんないよ。発起人代表でも初めて来たんだよ。会場はNくんが手配してくれたのさ」「そうでしょ。
いくら好きでも、真駒内まできて飲んでるはずがないと思ったわ。Nさんなら近所の学校ですし」「山本さんは大丈夫だよ。奥さんが知っている店だし、車で送ってくれることになっているから」
久しぶりの集いに近況を語り合いながら、宴会の練習と称してかるく飲み始めております。時間制限がない飲み放題と申しましても、主賓がいないと盛り上がらず、出入口で音がするたびに雑談はとぎれます。
ふすまを開放したので座敷へ差し込んでおりました光がかげると、杖で前方をさぐりながらすり足であらわれたのが待ち人。いよいよ、山本さんを励ます会の開宴です。