はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第15章 第八惑星海王星

海王星を訪れた探査機は、1989年8月25日のボイジャー2号の一機だけです。私たちが知っているほとんどすべては、この探査機からの情報によるものです。1979年以来、海王星は太陽から最も遠い天体になりました。

トップへ戻る

1 海王星は巨大氷惑星

 1) 海王星の概要

地球からおよそ45億キロ離れた宇宙空間、もはや太陽は明るく輝く一つの点に過ぎずかすかに届くその光は地球上の千分の1に弱まっています。探査機ボイジャー2号は12年にも及ぶ航海の末に、ようやくその領域にたどり着きました。

地球からは青くぼやけた光の円盤にしか見えなかった海王星、まるで地球の海を思わせる深い青色ですが、海ではなく惑星を包む大気の層です。海王星に海はなく、陸地すら存在しません。惑星の上空には海王星白く輝く筋雲が見えます。おそらくメタンが結晶化した氷の雲でしょう。

一見ゆったりたなびくように見えて氷の雲は赤道方向へ激しく流れています。海王星の上空には秒速600メートルと言う暴風が吹き荒れています。海王星のダイナミックな大気の動きは巨大な渦を生み出します。その大きさは地球をすっぽり飲み込むほどの大きさです。

これらの現象はわずかに届く太陽エネルギーでは到底説明ができません。海王星はどうやら内部から熱エネルギーを放出しているようです。探査機は海王星の4本のリングをとらえました。太陽系では木星と土星、天王星と海王星はリングを持ちます。

海王星の組成は、何種類かの氷と15%の水素と少々のヘリウムを含んだ岩石により成っているに違いありません。木星や土星と違って海王星ははっきりした核を持たないようですが、何らかの固体成分はあるかも知れません。

外層大気は水素とヘリウムを主成分とし、海王星の総質量に占める水素とヘリウムの割合は少ないようです。天王星と海王星の組成および内部構造は似ているので、木星や土星とは区別して巨大氷惑星と呼ぶことも多いのです。

海王星の自転軸には地球と同様に傾き (約28度) があり、四季が訪れます。太陽の周りを165 年以上かけて公転し、ひとつの季節は40年以上かけてゆっくりと移り変わります。

研究者たちを驚かせたのは海王星の気温が低下していたことでした。例えば成層圏の平均気温が、2003年から2018年の間におよそ8度も下がっています。研究者は「この変化は予想外で、2003年は海王星の南半球の初夏にあたり、地球から見える平均気温は徐々に高くなると考えていました」と述べています。

トップへ戻る

 2) 宇宙望遠鏡に期待

その後、さらに劇的な変化が起きます。2019年のジェミニ北望遠鏡と2020年のすばる望遠鏡の観測により、海王星南極域での成層圏の気温が2018年から2020年にかけて11 度も急上昇し、これまでの冷却傾向を逆転させたことが分かりました。このような極域の温暖化が海王星で見つかったのは初めてです。

これらの予想外な気温変化の原因は今のところ不明です。海王星の気温変化は、大気の化学的性質の季節による変化と関係している可能性があります。しかし、気象パターンのランダムな変動や、11年の太陽活動周期も影響しているかもしれません。

太陽の活動が海王星の可視光域での明るさに影響を与えることは以前から指摘されていましたが、今回、成層圏の温度や雲の分布にも相関のある可能性が示唆されました。

暫定的ながら新たに見つかった、太陽活動と海王星成層圏の状態の相関の検証には、長期的な追観測が必要です。海王星は天王星とともに、彗星のような氷天体が集積してできたガス成分が比較的少ない「巨大氷惑星」の仲間です。

この2惑星は未だに周回探査機による調査がなされておらず、次世代の惑星探査の目標として国際的な注目を集めています。この点からも海王星の追観測は重要ですが、その一番手となるのが、2021年末に天王星と海王星の観測を予定しているジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の中間赤外線観測装置MIRIです。

しかし、2021年12月の打ち上げ後に予想以上に大きな小隕石がのミラーセグメントの1つを直撃しました。望遠鏡の18枚の金メッキ鏡の1枚に小さな石が衝突し、大きな損傷を与えたとのことです。

ハッブル宇宙望遠鏡は円筒形の筐体の中に観測装置が収まっているので、ある程度衝突に対して耐性がありました。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、宇宙空間に開かれた巨大な反射鏡のため保護筐体はないのです。

ステファンの五つ子


 上の画像にある「ステファンの五つ子」は、約2億9000万光年の距離で近接している4つの銀河と、かなり手前の4000万光年の距離にある1つの銀河で構成されています。4つの近接した銀河を観察することで、相互作用する銀河が互いに星形成を促す状況や銀河内のガスがどのように撹乱されているかがわかります。

科学者たちはあまりにも美しい光景に息をもみました。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、海王星大気の化学的性質と温度について前例のない新しいデータを提供することが期待されます。

トップへ戻る

2 海王星の大気

海王星が青い色をしているのは、大気中に含まれるメタンによる赤い光の吸収の結果です。典型的なガス惑星のように、海王星には緯度帯に閉じ込められた強い風が吹いて嵐や渦があります。海王星に吹く風は太陽系で最も早く、時速2000kmにも達します。

今回の大気モデルにはエアロゾルを含む層が3つ存在しますが、色に影響を与えるのはもやの粒子からなる真ん中の層です。天王星と海王星の大気に含まれるメタンは赤い光を吸収しやすいため、もやがなければ両惑星とも深い青色に見えるはずですが、もやが多いと青以外の光も反射されやすくなり結果としてより淡い色になります。

このように惑星を白くするもやですが、研究チームのモデルによれば絶えずもやを除去する作用が働いています。もやの層の最下部はちょうどメタンが凍って雪になる環境で、このときにもやも雪にと一緒に下層へ引きずり下ろされてしまうからです。

下層の方が暖かいため、メタンは再び蒸発して戻ってきますが、海王星の方が大気の動きが活発なので、メタンがかき混ぜられて上へ戻されやすいのです。もやも除去されやすく中間のエアロゾル層が薄くなり、結果として天王星と比べて青色が強く見えるということになります。

火星や水星など、岩でできた天体の自転速度の決定は簡単です。画像で表面を観察し、特徴的な地形の動きを追跡すればよいのです。しかし、海王星は厚い雲に覆われていて地表面は見えません。外側から見える唯一の特徴は大気中の嵐です。この嵐は移動しますが、それは惑星の自転と大気中の前線の移動があいまったものです。

東京大学情報基盤センターの飯野孝浩特任准教授は、地上大型望遠鏡「アルマ望遠鏡」を用いて、海王星の大気に有毒ガスの一種であるシアン化水素(青酸ガス)が、赤道上の成層圏に帯状に分布していることを世界で初めて明らかにしました。

海王星の自転軸には地球と同様に傾きがあり四季が訪れます。太陽の周りを165年以上かけて公転し、ひとつの季節は40年以上かけてゆっくりと移り変わります。研究者たちを驚かせたのは、海王星の気温が低下していたことでした。成層圏の平均気温が2003年から2018年の間におよそ8度も下がっています。

その後、さらに劇的な変化が起きます。2019年のジェミニ北望遠鏡と2020年のすばる望遠鏡の観測により、海王星南極域での成層圏の気温が2018年から2020年にかけて11度も急上昇し、これまでの冷却傾向を逆転させたことが分かりました。

すばる望遠鏡は自然科学研究機構国立天文台が運用する大型光学赤外線望遠鏡で、文部科学省・大規模学術フロンティア促進事業の支援を受けています。すばる望遠鏡が設置されているマウナケアは、貴重な自然環境であるとともにハワイの文化・歴史において大切な場所を利用できることに深く感謝しています。

トップへ戻る

3 不思議な大黒班

木星や土星のように海王星は内部に熱源を持ち、太陽から来る熱の約2倍の熱を発生しています。ボイジャーが接近したときの海王星の最も顕著な特徴は大黒班でした。大きさは木星の大赤班(地球の直径とほぼ同暗斑じ大きさ)の約半分です。

海王星の風に吹かれて、大黒班は西方に秒速440kmで移動しています。またボイジャー2号は、不規則な白色の雲が海王星を16時間ほどで一周するのを観測し、「スクーター」命名されました。これは大気の下層から沸き上がる雲かも知れません。

高気圧の渦である海王星の暗斑は中緯度で形成された後に赤道へ向かって移動しています。暗斑はコリオリの力の作用で回転しつつ安定して存在していますが、赤道へ近づくにつれてコリオリ力が弱まるためにやがて崩れて消滅します。

コリオリとは、北極上空から地球を見ると、地球は反時計回りに回転しています。 この動きを自転といいます。 地球が自転しているので動きがそれるということが起こります。台風の進路が、地球の自転のために曲がるのはコリオリの力という見かけの力がはたらいたといえます。

ところが、冒頭の画像に写る暗斑は2018年9月の発見から1年後の観測において赤道に向かって南下していることが示されたものの、北へ向かってUターンしたことが2020年8月までに確認されたそうです。

そのころ暗斑の赤道側に幅およそ6200kmの別の大黒班が出現しました。冒頭の画像でも中央上に見える暗斑の右側に、新しい暗斑がうっすらと写っています。

新たに出現した暗斑が数か月後に消滅したいっぽうで、もとからあった暗斑は北に反転して赤道を離れていきました。2018年に発見された頃の暗斑は周囲にメタンの氷の結晶でできた白い雲をともなっていましたが、暗斑が北に反転した頃にこの雲は消滅したとみられています。

しかし、1994年にハッブル宇宙望遠鏡が海王星を観測したところ大黒班が消えていました。これは単純に消えてしまった大黒班ものか、または大気の他の部分に隠されているかのいずれかと思われます。数ヶ月後、海王星の北半球に新たな黒班を発見しました。

これは海王星の大気が短い期間に変化することを示し、雲の下層と上層で温度が微妙に違うことが原因かもしれません。海王星にも環があります。地上からの観測では完全な環は見えず、わずかな弧が見えるだけですが、ボイジャー2号の画像では完全な環を一部が明るく太くなっている様子とともに見ることができました。

このモデルは、海王星で頻繁に見られ、天王星でもごくまれに観測される暗斑についても説明できるかもしれません。これまでは大気のどの層が暗斑に関わっているかは不明でしたが、科学者たちは一番下のエアロゾルの層が暗くなることで海王星や天王星の暗斑が形成される可能性を指摘しています。

トップへ戻る

4 平均運動共鳴

海王星は、現在の軌道よりも太陽に近い場所で形成され、その後、現在の位置に移動したと考えられています。海王星が移動する際に外側の軌道にある太陽系外縁天体は、海王星との平均運動共鳴の位置に捕獲される場合があります。

太陽系外縁天体とは、海王星の軌道の外側にある準惑星や小惑星のことを太陽系外縁天体と呼んでいます。太陽系外縁天体は、太陽系が誕生する時にできた微惑星の名残なのではないかと考えられています。

平均運動共鳴とは、天体の重力を受けて楕円軌道を描く天体について、一周期で平均した公転角速度を平均運動と呼びます。中心天体の周りを公転する2つの天体の公転周期の比で、平均運動の比が1:2や2:3など簡単な整数比となっている状態のことを平均運動共鳴といいます。

現在の太陽系外縁天体の中にはこの共鳴の位置に濃集しているグループがあり、海王星が外向きに移動した証拠と考えられています。

海王星は太陽から地球までの距離の30倍の位置にあり、直径は地球のほぼ4倍。主に水やアンモニア、メタンの氷でできた巨大氷惑星です。公転周期は約165年と長く、人類が1846年に発見してから、まだ海王星の1年相当が経ったばかりです。自転軸が公転面に対して約28度傾いており、地球と同様に季節が移ろいます。

太陽系の惑星は原始太陽系星雲が凝縮してできました。このため、海王星は原始太陽系星雲がもっと濃い太陽の近くででき、その後外側へ移動したと考えられています。しかし、ほかの惑星系の海王星質量の惑星の多くは、外側ではなく内側へ移動したようだという説もあります。

カリフォルニア大学バークレー校の天文学者は、「海王星の謎は、海王星に外見上似ている数百個の太陽系外惑星の謎でもある」と話しています。こうした謎の解明には、将来海王星の大気中に進入できる探査機を送ることが最善の策ですと語った。

トップへ戻る

5 海王星の磁場

海王星に星に磁場があるというのは、星が磁石のような特徴を持っているということを意味します。たとえば、地球には磁場があり磁石のような性質を持っています。地球上で方位磁石を使うと、N極が北を向き、S極が南を向きます。

不思議なことに、天王星と海王星も磁石のようになっていました。天王星と海王星は「氷惑星」と呼ばれることもある、ほとんどが水や氷でできている惑星なのです。天王星と海王星に鉱石はないので永久磁石ができるはずはありません。

磁石には、地球のように鉱石がとてつもない圧力を受けることでできる「永久磁石」と電気が流れることで作り出される「電磁石」の2種類があります。水は電気を通しにくい性質があります。水は銅や鉄などと比べるとはるかに電気を通しにくく電磁石にはなりません。

それなのになぜ磁場が発生しているのか、この謎に挑んだのが、大阪大学大学院工学研究科の尾崎典雅准教授や、岡山大学惑星科学研究所の奥地拓生准教授らの研究グループです。実験には、大阪大学にある世界有数の大規模なレーザー施設を使いました。

12本のレーザービームを1か所に集めて対象物に当てることで、大きな圧力をかけることができます。研究グループは、天王星や海王星と同じ成分の液体を用意しました。この液体をレーザー研究所の実験装置に取り付け、2つの惑星の深さ5000キロほどと同じおよそ300万気圧の圧力をかけて2つの惑星で何が起きているのか探りました。

その結果、液体が高い圧力で圧縮されることで液体の原子どうしが近づき、原子の周りを飛び交う電子も近づくことで電子が動けるようになり、電気が流れる状態になった様子を観測することができました。

電気を通しにくいはずの水が、電気を通す金属のような状態に変化したのです。この状態を再現できたのは、10億分の1秒という極めて短い時間でしたが、研究グループはこの様子を撮影することに成功しました。

この結果から、研究グループは2つの惑星では、内部の液体が高い圧力の影響で電気を通すようになり、電磁石のような形で磁場を発生させていると分析しています。これらの氷惑星の内部から、地球の数十倍の強さの磁場が発生していることが明らかになりました。

トップへ戻る

6 海王星の環

海王星には、この青い惑星を研究した天文学者にちなんで名付けられた5つの主要な環があります。それはガレ環、ルヴェリエ環、ラッセル環、アラゴ環、アダムズ環です。

これらの明瞭な環に加え、ガレ環とルヴェリエ環の間に非常に薄い物質のシートがあり、恐らくさらに内側にもあるります。環のうち3つは細く、幅は約100kmかそれ以下であるのに対して、ガレ環とラッセル環は広く、その幅は2000kmから5000km程度です。

4つの小さな衛星が環の内側を公転し、ナイアドとタラッサはガレ環とルヴェリエ環の間を回り、デスピナはルヴェリエ環のすぐ内側、ガラテアはアダムズ環のすぐ内側、名前のない薄い暗い環の上を回わっています。海王星の環

海王星の環は、多量のμmサイズの塵を含み、その割合は20%から70%に達します。この面で、海王星の環は、塵の割合が50%から100%になる木星の環と似ています。塵の含量が0.1%以下と少ない土星の環や天王星の環とは異なります。

海王星の環を構成する粒子は暗い物質からなり、それは恐らく放射線によって生成した有機物からなる氷の混合物と思われます。環の色は赤みがかり、ボンドアルベドの値は天王星の環や海王星の内惑星の値に近いようです。通常は透明であり、光学的深さは0.1を超えない。全体として、海王星の環は木星の環と似ています。

海王星の環は、天王星の環と同様に比較的若く、その年齢は太陽系の年齢よりかなり小さいと考えられています。また、同じく天王星の環と同様に、海王星の環はかつての内惑星の衝突による破片でできていると考えられています。この衝突によって小衛星帯ができ、環の塵の供給源になったのでしょう。これは、ボイジャー2号が天王星のメインの環の間に観測した薄い塵の帯と似ています。

また、最も外側の環であるアダムズ環はアークと呼ばれる4つ明るい部分が含みます。それはフラテルニテ・アーク、エガリテ・アーク、リベルテ・アーク、クラージュ・アークといいます。

アークは、力学の法則に従って、均一な環に結合されるべきであったという事実にもかかわらず、それらは非常に安定な構造があります。科学者たちは、海王星の衛星ガラテアの重力効果によってアークが安定する可能性があると信じています。

海王星の環は暗く赤みがかり、サイズと密度が変化します。それらのほとんどはかすかなものです。科学者は海王星の環の構成を詳細に理解していません。それらはおそらく氷と有機化合物で構成されています。環は比較的若いと考えられており、海王星の破壊された衛星によって形成された可能性があります。

トップへ戻る

7 海王星の衛星

海王星には14個の衛星が確認されています。このうち最大であるトリトンは逆行衛星であり、海王星によって捕獲されたものと考えられています。恒星の掩蔽観測から海王星に環があることが明らかにされましたが、ボイジャー2号が撮影した画像で極めて密度の低い細い5本の環が確認されました。

もう1つの海王星の衛星はネレイドです。3番目の発見された衛星はラリッサで、ボイジャー2号はタラッサ衛星の発見を確認し、ナイアド、タラッサ、デスピナ、ガラテア、プロテウスの5つの内衛星を発見しました。

2001年には、ハリメデ、サオ、プサマテ、ラオメデイア、ネソの5つの外衛星が発見されました。2013年にヒッポカンプという名前の小さい衛星が発見されました。

トップへ戻る

 1) 衛星トリトン

トリトンの南極付近が映っています。ボイジャー2号は1999年に海王星のそばを通過しながら、海王星や衛星などの観測を行いました。写真にトリトンの南極付近が映っています。

トリトンの直径は約2700kmで、13個発見されている海王星の衛星の中で最大の天体です。太陽系にある衛星の中では7番目の大きさです。太陽系にある大きな衛星の中では唯一、惑星の自転とは逆方向に公転しています。

このような衛星は「逆光衛星」と呼ばれます。海王星以遠にあるカイパーベルト天体がかつて海王星の重力にとらえられて衛星になったのではないかと見られています。トリトンは、太陽系で最も温度の低い天体トリトンの一つです。

ボイジャー2号はトリトンの表面温度がマイナス239度であることを確認しました。トリトン表面にはクレーターはまばらで、ボイジャー2号の画像には火山性の平原や、氷の溶岩流によって形成された丘や円形の穴などが映っていました。表面は窒素の氷で覆われています。

トリトンには、少量のメタンを含む窒素が主成分の薄い大気が存在します。画像の下の方に見られる暗い筋は、巨大な間欠泉から噴き出して堆積した氷や炭素質の塵と考えられています。

海王星の10を超える衛星のうち、最大のトリトンは直径は2700キロに達します。トリトンは海王星の自転と逆向きに自転する謎の天体です。トリトンの表面は窒素を主成分とする氷が全体を覆っています。

ところが探査機が見た北半球と南半球はまるで違う天体のように表情が異なります。北半球にはマスクメロンのような奇妙な筋状の地形が広がり、クレーターがほとんど存在しません。一方南半球は褐色を帯びた氷の平原に白く滑らかな雪原が点在するします。

表面温度はー239度、太陽系で最も表面温度が低い天体です。このトリトンで探査機は驚くべき現象をとらえました。火山の噴煙です。ただし、地球のようにマグマを噴き上げる火山ではありません。氷の下で気化した窒素を空へ噴き上げる氷火山です。

トップへ戻る

 2) 衛星ネレイド

ネレイドは海王星 の知られている衛星の中で3番目に大きく、もっとも外側にあります。太陽系の惑星と衛星の中で軌道のネレイド離心率がもっとも大きな衛星です。ネレイドの海王星からの距離は1353600km から9623700kmまで変化します。

ネレイドは奇妙な軌道なので、小惑星やカイパー・ベルトの天体が海王星に捕らえられたのだろうと考えられています。

タラッサの軌道は海王星の静止軌道半径よりも下にあります。そのため潮汐力によって徐々に内側へ螺旋状に落下しています。いずれ海王星の大気に突入するか、ロッシュ限界を超えて潮汐力により砕かれ、海王星の環になると考えられています。

トップへ戻る

 3) 衛星デスピナ

デスピナは海王星の衛星の中で3番目に海王星に近い軌道を公転する衛星です。デスピナは不規則な形状をしており、地質学的に変化を起こした兆候は見られません。

デスピナの軌道はタラッサの軌道に近く、タラッサの軌道の外側でありルヴェリエ環のすぐ内側です。この軌道は海王星の静止軌道の下にあります。そのためデスピナは潮汐力によってらせん状に軌道が減衰してるので、いずれ海王星の大気に突入するか、ロッシュ限界を超えて潮汐力で粉砕され海王星の環になると予想されます。

トップへ戻る

 4) 衛星ガラテア

ガラテアは海王星の衛星の中で4番目に海王星に近い軌道を公転する衛星です。ガラテアは不規則な形状をしており、地質学的に変化を起こした兆候は見られません。

他の衛星と同じく、トリトンが海王星によって非常に軌道離心率が大きい軌道に捕獲された直後の摂動によって破壊されたかつての海王星固有の衛星の破片が、再び降着して形成されたラブルパイル天体だと考えられています。

トップへ戻る

 5) 衛星プロテウス

プロテウスは海王星の知られているプロテウス衛星のうち、内側から数えて6番目に位置し2番目に大きな衛星です。ボイジャー 2号 によって1989年に発見されました。 直径: 418km

とても暗いうえにまばゆく光る海王星に近かったので、 見ることが難しかったからです。プロテウスはいびつな(球形でない)形をしています。表面には多くのクレーターがあり、地質活動は見られません。

トップへ戻る

参考文献:国立天文台、NASA(アメリカ航空宇宙局)、BS12ディスカバリー傑作選「解明宇宙の仕組み」など。