1 創立三十周年の事業
1-1 過去は公園で植樹
2003(平成15)年の7月初旬、町内会長より「ちょっと、相談したいことがあります。」との連絡を受け、社会福祉部長兼総務部長のわたしは町内会長宅へ伺いました。
「実は今年、町内会ができてから30年目に当るんですよ」。えっ、総会の議案にはありませんでしたよね。「迷っていたんで載せなかったんです。他の町内会では区切りをつけるようなことをしていますが、どうしますか」。知らん顔はできませんし、事業案と予算案にでていないのでどうすべきか考え、七夕祭りの打ち合わせをする役員会でみなさんのご意見を伺いましょう。
役員会で七夕祭りの業務分担が終わって、今年は町内会設立30周年目に当ります。総会で提案されていませんが、記念の事業は「本会の目的に適する事業」のひとつに該当するので、いかがでしょうかと提案しました。環境部長が「なにをやるつもりなのさ。」と口火を切りました。
会長さんは10周年と20周年のときの記念事業をご存知ですか。「10周年のときは桜の木を植樹しました。公園の北西側の角にあり大木になっています。20周年のときは北側と東側の出入口の門になるようにオンコ(イチイ)を植樹しました。」「あれがそうか、知らなかった。」と、副会長が素っ頓狂な声を上げました。
「公園に木が多すぎるから植樹はやめようや。他になんかないのかい。」と環境部長に促されて、お隣の町内会のように町内会の歴史を記録した記念誌を編纂して配付するとか、町民に記念品を配っている町内会もあります。「記念品ってどんなものさ」。祝何周年と町内会の名前を印刷したフエースタオル類が多いようです。
「文字を印刷すると高くなるしょ。顔を拭くものに文字なんかいらないよ。」「無地のタオルのほうが使い道があるな。」と副会長が賛同しました。今年度の町内会員数は83世帯ですからタオルを100枚購入するとして、1枚100円なら1万円です。昨年度の雑費は予算10万円で支出は約7万円、今年の予算も同額ですから、雑費から1万円の支出は可能です。会長さん、タオルの配付でいかがでしょう。
1-2 栞をつくります
「そうですね、フエースタオルならもらっても役に立ちますね。」「タオルをどこで買うのさ」。町内会長の相槌に、環境部長が問いかけました。すると、「わたしがむかし取引をしていた卸問屋がありますから、そこにお願いするというのでどうでしょう」。会長さんが卸問屋をご存じなら、少々タオル生地の厚いものをお願いしませんか。
役員会へ参加したのは会長を含めて四人、会計は体調を崩して欠席された。「おれは昼間仕事があるからタオルのことは任せるわ。」「俺もまかせるよ」。では会長さんよろしくお願いします。「わかりました。ひとつ気になることがあるんですが、いいですか」。
「無地のタオルを班長さんに配ってもらうことになりますが、もらった人はなぜ町内会がタオルを配るのか分からないでしょう。質問されたり、受取らない人がでたときはどうしますか。」「タオルに30周年記念という文字を入れれば分かるけど、それはそれでいいんじゃないかい。無理やり受取れというのも変だし」。
受取りやすくするため町内会結成30周年の記念品と分かるようにしましょう。千円でおつりが来ますが、A4判の上質紙で「祝町内会結成三十周年」と題した栞(しおり)をつくります。町内会ができた頃のことや公園のリニューアル、ごみステーションの管理や夏祭りのジンギスカンなど、みんなの町内会が30周年を迎えたお祝いに「タオル」を配りますと書いた栞です。
班長さんに「栞とタオル」を同時に配付していただくというのはどうですか。栞は原稿をつくって印刷するのに1日もあれば十分ですし、タオルを受取った方は栞を読んで町内会の概略や活動がわかるでしょう。手伝おうという人が現れるかもしれません。
1-3 三十周年のしおり
A4判の薄い若葉色で、少々厚めの上質紙にプリンタで両面印刷しました。
祝 町内会結成三十周年のしおり
1-3-1 町内会の誕生と現状
昭和50年3月に東札幌の単一町内会として発足しました。佐野清町内会長を中心に、街路灯の設置とごみステーションの整備、公園の清掃受託管理をはじめとして、七夕祭りやラジオ体操などの青少年育成事業などを活発に行ってきました。
平成3年度に近代化の波が押し寄せ、本格的な分譲マンションの建設工事が始まりました。翌年6月に鉄筋コンクリート6階建て21戸が完成し、完売されて全戸室への入居が開始されました。マンション管理組合が設立され、自衛消防組織もつくられて管理体制が整備されていきました。
その後、公園の街路灯増設やリニューアルが行われる一方、単身者用アパートの建設や家主不在のアパートなども増加して、在住の確認もできないまま回覧書類が滞るという弊害もでてきました。
1-3-2 公園リニューアル事業
平成5年度に阿部章胤会長のご努力が実り、公園内を照らす街路灯が増設されました。樹木の成長に伴い薄暗くなっていた公園内は、ともすると防犯上危険な印象を与えていました。
平成9年度事業として、札幌市緑化推進部公園計画課と札幌市白石区土木部土木事業所公園緑化係による「公園リフレッシュ事業」が決定し、住民打ち合わせ会が数回もたれました。公園内には古くて形の良い樹木が多く大きい子と小さい子が遊ぶ場所を分けて、近くを鉄道が走っていた思い出となる公園にふさわしい設備をつくり、トイレも設置したいという計画でした。概要説明を受けた後の役員会で、公園内にトイレを設置することについては、あれば便利だ、見通しや臭気で迷惑を蒙る方々がでるのは好ましくない、との二つの意見に別れました。
その後の打ち合わせで、トイレは本当に必要なのかという疑問が参加者から出され、この規模の公園にはどこでもトイレは設置していないとの説明があると、不要との意見が多数を占めました。
既存の生け垣を残し、出入口は線路にたとえ、遊ぶところはダスト舗装部分にする。いまある築山は北西側の角へ移動し、高さを2メートル位に盛り上げて、ソリ遊びなどができるようにする。小さい子と大きい子用の遊具を配置して、大きい子用の遊具は既存の樹木を利用したユニークなものを設置するとの説明に住民は合意し、平成9年8月中旬過ぎに工事が開始されて12月に完成しました。
1-3-3 ボランティア活動
25年間にわたって公園の除草などの清掃奉仕に当られた佐藤光雄氏は、平成12年6月27日付で東札幌連合町内会では唯一人、白石区クリーンさっぽろ衛生推進協議会長表彰を受けられました。なお、佐藤氏は平成14年2月に逝去されました。ご冥福をお祈りいたします。
1-3-4 夏祭り
恒例となっている夏祭りは例年8月上旬に開催され、最も多くの町内会員が参加する行事として定着しています。普段顔を合わせることが少ない町民同士がジンギスカンを囲んで和気合い合いと楽しむようすは、町内の風物詩として定着しました。
1-3-5 ゴミステーションネット
平成12年12月19日に札幌市の助成を受けてゴミネットを購入し、町内五ヶ所に設置しました。これによりゴミをあさるカラスの姿を見かけなくなりましたが、かわいいからとエサを与える人がいるためノラネコが繁殖し、駐車場などは排せつ物の置き去りで悩むようになりました。
1-3-6 賃貸型マンションの増加
平成10年ころより独身者用貸室型賃貸マンションが増加し始めました。
1-3-7 東札幌会館建替えの寄付
町内会館運営委員会は、東札幌会館建設期成会並びに役員各位宛に平成16年6月10日付で東札幌会館建設建設募金についてのお願いを提出しました。
私共五町内会は、昭和54年12月の町内会館建替え以来、運営委員会の下に独立採算制の会館として町内活動をはじめコミュニテイセンターとして機能を果たし、早くも19年の歳月を経ました。(中略)社会情勢の変化に伴う少子化、近代葬祭場充実などによる長期契約件数等の利用減少が著しく、最近では単年度収支のアンバランスが生じ、このまま推移するならば若干の積立金も底をつき、参加町内会より年間20万円余の負担金を生ずることが明らかとなり、役員一同苦慮しているところであります。
今回の老朽化した東札幌会館建て替えについては、地域住民の永年の念願であったことから慶びをもってその達成を希うことに異存なく、可能な限りご協力を申し上げる次第であります。(中略)さりながら、一般募金に当っては大変申し上げにくいことでございますが、特段のご配慮を賜りますようお願い申し上げる次第であります。具体的には一般会員募金目標の二分の一以下としていただければ幸甚であります。(中略)今後期成会として最大の難関は募金活動であり、かつ一般会員への一律負担要請であると存じます。私共の町内会館所属の一般会員の了解を得るためにも、以下の諸点をご賢察のうえ特段のご配慮と決断をお願い申し上げる次第であります。
独立採算制の町内会館を維持するため、五町内会で組織する運営委員会は的確な認識と近未来の資金計画を考慮しなければならない立場を訴えて理解を求めました。しかし、東札幌会館建設期成会の小委員会において協議されたのち9月16日の臨時総会に報告されましたが、否決取り下げとなりました。
やむをえず町内会の支出を切り詰め、町内会会員が利用することはない会館建設のための寄付を募り、篤志寄付を含めて88万円を捻出して義務を果たしました。
1-3-8 感謝状の受賞
a. 昭和59年6月6日、白石区防犯協会連合会より町内会役員が表彰されました。
・ 白石区防犯協会連合会長感謝状 志賀 博(防犯部長10年)
b. 平成2年11月11日、東札幌町内連合会30周年で町内会役員が表彰されまし
た。
・ 白石区長感謝状
上西至廸氏、佐藤光雄、小林二朗、岩泉春雄、志賀 博、堀江知司
・ 連合町内会長感謝状
上西至廸氏、佐藤光雄、小林二朗、岩泉春雄、志賀 博、堀江知司、
佐藤克則、岩倉トシ子
c. 平成13年4月28日、町内会役員が表彰されました。
・ 札幌市長感謝状 志賀 博
・ 白石区長感謝状 杉山孝之、佐藤克則
・ 連合町内会長感謝状 佐々木忠七
調査漏れを追加し、敬称を略させていただきました。
1-3-9 歴代町内会長
初代 佐野 満 二代 上西至廸(故人) 三代 佐藤光雄(故人)
四代 阿部章胤 五代 志賀 博
敬称を略させていただきました。
1-3-10 町内会結成三十周年記念事業
これまでの周年行事は公園に植樹をしてきました。10周年記念と20周年記念に植樹された桜やオンコ(イチイ)は大きく育ち、見事な景観をつくりだしています。30周年記念事業は町内会会員と喜びを共有する目的で、全世帯へ「タオル」を配付することにいたしました。