1 過剰反応という現状
1-1 議論のきっかけ
個人情報についての議論は、平成19年7月16日発生の新潟県中越沖地震がきっかけとなり、不正確な知識で過剰反応している人が多いことが明確になったのです。
阪神淡路大震災は、神戸市で要救助者の85%が地域住民によって救出されています。新潟県中越沖地震で柏崎市の倒壊家屋などから地域住民の力で救出された人は三分の一でした。一人暮らしの高齢者など約9千人の安否確認に柏崎市は6日かかりました。
柏崎市の防災課は、災害時要援護者リストを作成して厳重に保管していただけでした。他機関や地域を含めて、情報を共有しなかったことが救助の手を遅らせた原因でした。個人情報保護法に過剰反応していたことが判明したのです。
1-2 国の動き
H19.08.10
災害時などに避難支援が必要な要援護者の名簿を自主防災組織と共有できるような体制作りを全国の自治体に求める通知(厚生労働省)。
H19.12.18
災害時要援護者の避難支援対策の推進について(内閣府、消防長、厚生労働省、国土交通省)地方公共団体に対し、平成21年までに避難支援プランの策定を要求。
H20.02.19
内閣府が避難支援プランのモデルを公表。
H20.04.25
個人情報の保護に関する基本方針に「いわゆる「過剰反応」が生じている」という文言を加えることを閣議決定。
緊急時における充実した要援護者のために、行政機関と自主防災組織との間の情報の共有が必要かつ不可欠であることは国も認めている。では、具体的にどうすれば良いいのだろう。