1 平成21年度の勉強会
町内広報紙の6月1日号で「さっぽろの地震対策の案内」をして7月24日号で「さっぽろの地震対策の概要」、9月24日号で「白石区の防災対策の案内」をして10月24日号で「白石区の防災対策の概要」、平成22年1月1日号で「あなたは家族の命を救えますかの案内」をして2月1日号で「あなたは家族の命を救えますかの概要」をお知らせしました。
1-1 第1回文化的事業の案内
私たちの町内は30年以内に震度6.7の地震が発生しても不思議でない地域とされています。地震に伴う液状化発生の可能性は極めて低い地域ですが、10%以上20%未満の家屋は全壊がさけられないと予測されています。
天災は忘れたころにやってくる。札幌市の危機管理事業について理解を深め、被害を最小限に抑える方法を学びましょう。
第一回文化的事業
日時所 6月27日(土) 18時15分~ 町内会館
内容 震災に備えて「さっぽろの地震対策」
講師 札幌市危機管理対策室危機管理対策課
参加者へ:地震の備えと心構え・地震発生時の行動を含めた最新の「地震防災マップ(白石区・厚別区編)」を配付します。なお、札幌市に対する苦情や要望する場ではありません。札幌市の事業に理解を深めるためのものです。ご留意ください。
1-2 第1回文化的事業の概要
6月27日の第一回文化事業「さっぽろの地震対策」に札幌市危機管理対策室の山形防災計画担当課長をお迎えして、阪神淡路大震災で得られた教訓から地域の防災体制の整備についてお話をいただきました。
平成7年1月の阪神淡路大震災は、マグニチュード7.3の地震で死者は6,434名でした。東北地方では昭和58年に日本海中部地震(M7.7)、平成5年に北海道南西沖地震(M7.8)、平成8年の宮城秋田県境付近地震(最大M5.9)などを体験した教訓から日常的に避難訓練が行われています。このため、平成20年6月14日の岩手宮城内陸地震はマグニチュード7.3でも死者17名と人的な被害を大幅に食い止めることができました。
札幌市の第三次地震被害想定で、月寒断層が地震減の場合、全壊する木造家屋は112,490棟で負傷者33,810人、倒壊家屋から発生する火災は310件と予想され、2時間以内に救出ができないと冬期間の凍死者は8,234人に上ると予想されています。
私たちの町内会の位置は月寒断層と西札幌断層が重なり合っている地域で、木造家屋は1番地、3番地、4番地に集中し、耐火建築物は多いと言えません。地震の発生を防ぐことはできませんが、事前の準備で被害を減らすことは可能です。札幌市発行の「自主防災マニュアル」と「災害時支え合いハンドブック」に基づいて町内会は防災対策を検討します。
1-3 第2回文化的事業の案内
町内会防災組織は、町内にいることが多く役員会で意思を確認できた4名で編成しています。各家庭の働き手がいない午前8時型午後6時までの災害時に、要援護者の人命救助と応急手当てに対応します。
大きな災害が発生した直後など一刻を争うときは行政による支援は間に合いません。隣近所をはじめとした地域の主体的な対応がもっとも重要で、要援護者の避難支援などは自助や地域(近隣)の共助により取り組みを進めることが基本になります。
白石区の防災対策はどの程度まで考えられているのか、私たちはどのような点を補い合えばよいのかを学びましょう。
第二回文化的事業
日時所 9月12日(土) 18時15分~ 町内会館
内容 白石区の防災対策
講師 白石区役所総務企画課
白石区の防災対策を知って手が回らない部分を各自が準備しましょう。
災害発生時の町内会防災組織は、人命救助と応急手当、トイレの確保が急務となります。
町内会の位置は月寒断層と西札幌断層が重なり合っている地域で、木造家屋は1番地と3番地、4番地に集中しています。耐震強度は関東大震災を基準とした旧法適用建物と十勝沖地震を基準とした新法適用建物があり、住宅地図でみると町内の分布は次のとおりです。
1番地 旧法の耐震強度適用 3棟 新法の耐震強度適用 7棟
最新の耐震強度適用 1棟
3番地 旧法の耐震強度適用 5棟 新法の耐震強度適用 3棟
4番地 旧法の耐震強度適用 5棟 新法の耐震強度適用 11棟
5番地 旧法の耐震強度適用 0棟 新法の耐震強度適用 2棟
最新の許容応力度計算と限界耐力計算を含む性能設計で、構造計算適合性判定に該当した建物は一番地の新築住宅一軒のみしかありません。二つの分譲マンションは、ピロティ(一階を柱だけにした構造)がないので比較的安全といえそうです。
1-4 第2回文化的事業の概要
9月12日(土)午後6時30分より町内会館へ白石区役所総務企画課より講師をお招きし、「白石区の防災対策」と題して「地域住民の取り組み」についてのお話をいただきました。
阪神淡路大震災では6,434人が犠牲となり、死者の約50%は65歳以上でした。続いて多かったのは20歳~24歳の若者達でした。死因は窒息死や圧死が約3%を占めていたそうです。災害が発生して一刻を争うときに行政の支援がなぜ間に合わないのか、阪神淡路大震災では何が起こり、私達はどのような備えをしておくべきかを学びました。
災害の発生が官公庁の勤務時間外の場合、公務員はどこにいても職場へ向かいます。しかし、自宅が被災していれば当然家族の救出が優先されます。ご近所の方々が被災されれば救助に参加し、交通機関が使えなければ徒歩で出勤します。途中で苦しんでいる人を見かければ放置するわけにいきません。このようなことが重なり、時間は容赦なく過ぎていきます。
区役所などの官公庁が被災したときは机上から落ちた書類の整理収納を急ぎます。重要書類が散逸すれば損失を被る方々が出る可能性があります。住民からの問合せは頻繁となり、消防や警察との連絡に追われ、報道機関の取材も断るわけにはいきません。
消防車や救急車など、緊急車両の出動が可能か道路の状況を目と体で確認します。幹線道路に乗り捨てられた無数の車を撤去し、倒壊した建物の瓦礫が撤去不能であれば迂回路を造ります。道路の通行が確保されるまではなにをするにも自分の足に頼らざるを得ません。これだけで1日や2日は過ぎてしまいます。
阪神淡路大震災のとき、高齢の方々は体の上へ倒れた大型家具を取り除くことが不可能でした。普段は元気のように見えても加齢は想像以上に体力と気力を衰えさせます。足の骨にヒビが入ったり肋骨が折れたりで、二人暮らしの老夫婦も崩れた家具を取り除くことができず、下敷きとなったまま絶命していました。
一人暮らしの若者は、木造のアパートで天井や壁などの下敷きになりました。瓦礫や家具にはさまれて身動きがとれず、大声をあげて助けを呼びましたが挨拶もしない若者達を記憶している人はいません。被災地の上空は報道機関のヘリコプターが飛び交い、エンジンの轟音は「助けて!」と叫ぶ声を掻き消していたのです。
淡路島北淡町の被害は全世帯の6割の家屋が全半壊し、約300人が倒壊した建物の下敷きになりました。毎日のように顔をあわせていた人々は家族構成やおおよその部屋の配置を知っています。おばあちゃんの寝ている部屋はこのあたり、もう一人子供がいたはずと瓦礫を取り除いて探しました。窒息や圧死する前に全員救出され、当日中に行方不明の人はゼロとなりました。
阪神淡路大震災の被災地全体で倒壊した建物に閉じ込められたのは3万5千人、78%は消防や自衛隊が駆けつけるまでに近隣住民の力で救出されました。
災害で命を失った方々は家具の固定が身を守ると教えてくれました。タンスや食器棚などはしっかり壁に固定しましょう。地震が発生したらまず身を守ります。地震が治まってからガスの元栓を締めましょう。避難するときは電気のブレーカーを切りましょう。
避難して、喉が渇いても、おなかがすいても、周囲はみんな被災者です。飲料水は一人3リットル、非常食は一人3日分、簡易トイレは若干多めに、防炎加工のリックに入れて玄関へ置きましょう。救援がくるまでは最低でも3日間、非常用の水と食料は5年間保存可能です。
6,434人の死は無駄にしますか、それともあなたは生かしますか。
1-5 第三回文化的事業の案内
私達は、いつ、どこで、突然のけがや病気におそわれるか分かりません。心筋梗塞や脳卒中などは何の前触れもなく起こることがあります。
けがや病気の中でも緊急を要するのは、心臓や呼吸が止まってしまった場合です。喉にお餅を詰まらせたり、大量の出血があったときなど、呆然としていたら助かる命も助けられなくなります。救急車が来るまでの迅速な処置が後遺症の予防に役立つのです。
心肺蘇生法やAED(自動体外式除細動器)の使い方をご存じですか。のどに詰まったものを取り除く、ハイムリック法や背部叩打法のコツを知っていますか。出血量が多い時は迅速な止血が必要ですが、あなたへの感染症予防対策を知っていますか。
第三回文化的事業では救急救命法の基礎を身に付けていただきます。救急救命法は難しいものではなく、ちょっとしたコツを覚えるとだれもが簡単にできます。実技が中心になりますので、動きやすい服装の上に防寒衣を着てご参加ください。
第三回文化的事業
日時所 1月30日(土) 18時15分~ 町内会館
内容 あなたは家族の命を救えますか(救急救命について、心肺蘇生法、AEDの
使い方、ハイムリク法と背部叩打法、直接圧迫止血法と感染症予防)
講師 札幌市豊平消防署美園出張所員
1-6 第三回文化的事業の概要
第三回目の文化的事業は、1月30日土曜日午後6時10分に札幌消防局白石消防署菊水消防出張所から講師をお招きして「あなたは家族の命を救えますか(救急救命法)」の実技講習を実施しました。救急隊員4名と消防士3名をお招きし、一次救命処置の基本的な説明をいただきました。途中に緊急出動要請が入り、救急救命隊は講師を消防士と交代して直ちに現場へ向かわれました。
◆ 救急救命の基本について
人の命を救うために、そばに居合わせた人ができる応急手当てのことを救命処置といいます。実際は少々複雑ですが最も重要なことのみに絞って実習しました。
・ 見て・聞いて・感じて
傷病者の右横に膝を着き、相手が急激に起き上がらないよう左手で右肩を押さえ、右手で左肩を叩きながら「どうしました。大丈夫ですか。」と声を掛けます。
反応がなければ気道を確保して呼吸を確認します。呼吸の確認は「見て・聞いて・感じて」と覚えます。呼吸をしていれば傷病者の胸が上下しています。傷病者の胸の動きを目で「見て」、口元に耳を近づけ呼吸音を「聞いて」、吐息はほおで「感じて」ください。5~10秒間で胸の動きが見られず呼吸音が聞こえず、吐息を感じないときは呼吸をしていません。呼吸の状態がわからない場合は正常な呼吸はないものと判断し、この判断に10秒以上はかけないでください。
・ 救急車の手配を依頼する
なんだろうと見ている1人を指差して指示を与えます。「あなたは119番通報してください。倒れている人は、年齢60歳前後の男性で外傷と出血はありません。心停止のため人工呼吸を行ないますと伝えて下さい」。
・ AEDの手配を依頼する
更にもう一人を指差し「あなたはAEDのある場所を知っていますか。地下鉄白石駅のコンコースからもってきてください。」と指示を与えます。
・ 心肺蘇生法
大人のダミー人形を使って人工呼吸と胸骨圧迫法を実習しました。胸骨圧迫回数は15回から30回に変更されていました。
・ AEDの使い方
近年話題となっているAED(自動式体外除細動器)を使って、心臓停止直前に起こる心室細動の除去方法を実習しました。
・ 防災資機材の使い方
札幌市より町内会へ交付された「防災資機材」を会場へ搬入しました。救急救命隊より災害が発生した時は、警察も、消防も、自衛隊も来ません。救助に向かわなければならないところへ急行するため、みなさんはこの防災資機材を利用して消火や下敷きになった人の救出を行なってください。収納されている資機材を取り出して紹介いただき、どのようなときに何を使えばよいかを説明いただきました。ABホールを貸し切っても19名が入ると狭く感じ、講習時間が短すぎてあっという間の出来事でした。
・ 119番通報する前に
救急車の出動件数は年々増えています。救急出動したうちで六割が入院の必要がなかった軽症と言われます。このため一刻を争うようなとき、到着時間が遅れて助けられなかったという事態も起きています。救急車は何百台も用意されているわけではありません。119番通報の前に「本当に救急車が必要か」いま一度考えましょう。救急車を呼ぶほどではない場合や入院のときなどは、有料の民間救急車(患者搬送事業者)の利用も考えましょう。