はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第77章 給水給湯管工事

大規模修繕協議会主催の第35回大規模修繕セミナーが札幌市産業振興センターで開催されました。講師は泉徳彦札幌支部長です。講演内容を要約しました。

1 給水方式

 1) 直結給水方式と貯水槽方式

マンションの給水方式は、直結給水方式と貯水槽方式があります。下図の左側のマンションは貯水槽給水方式です。受水槽にためた水を揚水ポンプで屋上の高架水槽にくみ上げ、水圧を利用して各戸へ送り届けます。

給水方式

中央の低層マンションは、排水管の水圧だけで最上階まで届く直結給水方式です。右側のマンションは高層のため、増圧ポンプで各戸へ送水する増圧給水方式です。給水管が劣化すると、赤水・異臭・水量減少で悩まされ、漏水の原因にもなります。

マンション共用部で事故の一番多いのは、漏水による水濡れなどが47%、震災28%、物体らkk10%、その他14%となっています。漏水などが約半分を占める給水管尾修繕工事は必要といえます。

マンションで採用されている主な給水管の種類と耐用年数を比較すると、亜鉛メッキ鋼管の耐用年数は15~20年位です。塩化ビニルライニング鋼管の耐用年数は20~25年位で、樹脂管の耐用年数は30年位です。もっとも丈夫なのはステンレス管で耐用年数は40年です。

事故発生率左の表は、国土交通省の2018年マンション総合調査による築年数ごとの水漏れ事故の発生率です。
 この表から、築24年以上で漏水事故が増加していることがお判りいただけるでしょう。

マンションの寿命を60年とすると、給水管設備工事は1杯だけでよいというわけにはいきません。では、いつ実施するべきか。築20~40年にすればよいのか。漏水が多発する前に終えたいものです。

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 2) 給水給湯管修繕工事

給水給湯管更新工事は修繕委員会の設立から始めます。資金計画と工事範囲の検討、忘れてはならないのは専有部の工事実施の検討です。長期修繕計画に、専有部の配管をどうスケジュールするかは含まれていないことが多いのです。

専有部のことに理事会は口をはさめないからと放置していると、給水給湯管更新工事終了後に専有部の配管から水漏れが起こり、家具や床が水浸しになってしまった。専有部の配管は古いままですから、水圧に耐えられない場合もあり得るのです。

そんなことは聞いていない。管理組合は損害を賠償すべきだともめごとが起こります。共用部と専有部は同時に工事を行うべきで、工事費は管理組合負担にすべきです。

給水給湯管の厚生工事もあります。配管の内壁についた汚れを水圧洗浄やセラミック・サンドブラストなどで研磨して樹脂塗料でコーティングする方法です。更生費用は1/3~1/2程度ですが、延命効果は10年程度で基本的に1回だけです。

更生は延命ですが、結局は更新する必要があります。長く安心して住むなら更新工事をお勧めします。さらに、あなたのマンションは露出配管ですかそれとも隠ぺい配管ですか。露出背反は内装工事がほとんど発生しないが美観は損なわれます。

露出配管

隠ぺい配管は、床・壁・天井を剥がすため内装工事が発生し工事費が高くなりますが、美観は損なわれません。

隠ぺい配管

組合員任せでは施工内容・品質が不完全で、マンション全体の資産価値を考えると専有部分との一体工事が望ましいといえます。

私が理事長の時、築14年目に共用部でパイプシャフト内にわずかな漏水痕跡が発見されました。外された給水管の内部を見て様々な方々のご意見をいただき、この状態では給水管の更新が必要と考え翌年11月に給水給湯管更新工事を行いました。

工事開始前に、特別決議で4分の3以上の賛成を得て管理規約を改正し「専有部の配管類を管理組合が一斉更新できる、この場合の工事費は管理組合が負担すること、正当なる理由なく住戸への立ち入りと工事を拒否できないこと」を明記しました。

これにより共用部と専有部の同時更新工事を行い、管理組合が費用を負担して給水給湯管共にステンレス管に更新して万が一の事故に備えました。専有部にはさや管ヘッダー方式を採用して、将来の更新工事対策を施しました。

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 3) 専有部一体工事が不可能な場合

・ 専有部部分給排水管修繕ルールを作成  全戸に配付し、専有部分修繕の際に、リフォーム業者に渡して図面・仕様書の提出を義務付ける。

・ 専有部分のリホォーム状況を確認

  ① 入居後、水回りのリホォームを実施しましたか。

  ② 水回りの間取り変更(キッチンヤトイレなど)を行いましたか。

  ③ リホォーム箇所はどこですか。(台所・洗面・洗濯・浴室・トイレ)

  ④ 給水・給湯・排水管の修繕工事を実施しましたか。

個別リホォームにより排水管の接続方法、仕様、施工不完全がないか。業者よって施工内容や品質が異なる場合があります。

・ 各戸専有部分修繕のチャック体制  着手前に図面・仕様書確認ができる申請書を確認s、工事記の作成やチェック者を決めておく。

・ 管理組合として、新たにリホーム規定を作成して細則に追加しておく良いでしょう。

 4) 目視調査・抜管調査

給水管の漏水にとどまらず、1回天井裏の汚水、ざる排水管の合流箇所で多伊瀬知睦滞留が起きている場合があります。すでに漏水gは発生していつ場合は早急な対応が必要です。

漏水配管

 5) 内視鏡調査

給水管や雑排水管内部の劣化を内視鏡で確認します。

内視鏡調査

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2 修繕計画の方針

 1) 工事範囲の検討

共用部分のみとするのか、専有部分も含めるのか。

専有部分を一体的に取り換えるのか、単独で行うのか。

 2) 管財の検討

管財のみに限らず、継ぎ手、支持金物、ポンプなどにより修繕費用が大きく変わります。

 3) 資金計画

公共の助成金、補助金を探す。

長期修繕計画の予定工事金額内か確認する。

予算を超える場合、資金調達方法を検討。

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 4) 給水方式の切り替え

貯水方式から直轄給水方式へ切り替えると、

・ 新鮮な水を供給

・ 維持管理費の低減化(ポンプ電気、定期点検、提起検査、清掃)

・ スペースの有効利用

支払区分

切り替えによってトータルで経済的になります。直轄給水方式と貯水槽給水方式を比較すると、

切り替え

総会承認時は、衛生面、経済面のメリットを説明します。災害時や給水制限時の水の備えを伝えます。受水槽撤去後に、防災倉庫を設置して水などを確保します。

 5) 専有部の取り扱い

給水管の範囲

 住戸給水設備区分図(メーターボックスに給湯器)

共用メーターボックス内のメーターから、住戸内の給水栓までが専有部分になります。

給水設備

共用メーターボックス内に設置されている場合、給湯機から住戸内のすべての給湯器までが専有部分になります。

給湯設備

 6) 支払区分

不公平にならないようにするにはどうすべきでしょう。

支払区分

専有部の配管方式

点検口を追加

ヘッダー方式を採用すると、漏水の恐れが軽減できます

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 7) 瑕疵保険の活用

特約:給水管工事実施部分の期間延長(10年)  給水、給湯、排水管または汚水管の更新または更生について保険期間を10年間に延長します。(通常5年間)

適用範囲

 8) 仮設計画

工事期間中は、工事事務所や資材置き場を用途目的としたプレハブ小屋を設置します。対象の方、施工業者が準備する代替駐車場へのご移動をお願します。

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3 影響と工事監理

 1) 断水期間

① 共用部の工事  共通の排水エリア毎に9時から16時までの断水3日間程度。

② 専有部の工事  各住戸ごとの配管ん取り換えで9時から16時までの断水3日程度。

2日程度お湯が使えなくなる可能性と、工事内容は施工会社により変動があります。

専有部分の修繕工事ができない居室の対応

・ 未修復部はPS内にある減圧弁で調整します。

・ 工事後に給水管などを公示する場合は個人負担になります。

壁紙は選べますか

・ 基本的には現況復旧(汎用クロス)

・ 特殊壁紙などは復旧または新規要望を各住戸ごとに清算して工事は可能。

蛇口の一斉鋼管は可能

・ 各戸の使用蛇口、希望が違うことが予想され、整備が必要です。

水漏れ保障

・ すべての住戸専用う部分で修繕ができるのが最良です。

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 2)工事監理は必要

壁や天井、床の仕上げ材をはがしたら、既存図面と違った……早急な対処が必要になります。

施工業者と工事監理者の違い

・ 現場代理人は、材料、下請け会社、職人などの手配や工程の段取り調整、施工確認など工事全体を取り仕切ります。

・ 工事監理者は第三者の立場にある設計事務所など。現場検査、種類検査、施工会社からの聞き取りを通して仕様書通りに施工されていない場合は監督、是正させます。

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