1 給水方式
1) 直結給水方式と貯水槽方式
マンションの給水方式は、直結給水方式と貯水槽方式があります。下図の左側のマンションは貯水槽給水方式です。受水槽にためた水を揚水ポンプで屋上の高架水槽にくみ上げ、水圧を利用して各戸へ送り届けます。
中央の低層マンションは、排水管の水圧だけで最上階まで届く直結給水方式です。右側のマンションは高層のため、増圧ポンプで各戸へ送水する増圧給水方式です。給水管が劣化すると、赤水・異臭・水量減少で悩まされ、漏水の原因にもなります。
マンション共用部で事故の一番多いのは、漏水による水濡れなどが47%、震災28%、物体らkk10%、その他14%となっています。漏水などが約半分を占める給水管尾修繕工事は必要といえます。
マンションで採用されている主な給水管の種類と耐用年数を比較すると、亜鉛メッキ鋼管の耐用年数は15~20年位です。塩化ビニルライニング鋼管の耐用年数は20~25年位で、樹脂管の耐用年数は30年位です。もっとも丈夫なのはステンレス管で耐用年数は40年です。
左の表は、国土交通省の2018年マンション総合調査による築年数ごとの水漏れ事故の発生率です。
この表から、築24年以上で漏水事故が増加していることがお判りいただけるでしょう。
マンションの寿命を60年とすると、給水管設備工事は1杯だけでよいというわけにはいきません。では、いつ実施するべきか。築20~40年にすればよいのか。漏水が多発する前に終えたいものです。
2) 給水給湯管修繕工事
給水給湯管更新工事は修繕委員会の設立から始めます。資金計画と工事範囲の検討、忘れてはならないのは専有部の工事実施の検討です。長期修繕計画に、専有部の配管をどうするかは含まれていないことが多いのです。
専有部のことに理事会は口をはさめないからと放置していると、給水給湯管更新工事終了後に専有部の配管から水漏れが起こり、家具や床が水浸しになってしまった。専有部の配管は古いままですから、水圧に耐えられない場合もあり得るのです。
そんなことは聞いていない。管理組合は損害を賠償すべきだともめごとが起こります。共用部と専有部は同時に工事を行うべきで、工事費は管理組合負担にすべきです。
給水給湯管の厚生工事もあります。配管の内壁についた汚れを水圧洗浄やセラミック・サンドブラストなどで研磨して樹脂塗料でコーティングする方法です。更生費用は1/3~1/2程度ですが、延命効果は10年程度で基本的に1回だけです。
更生は延命ですが、結局は更新する必要があります。長く安心して住むなら更新工事をお勧めします。さらに、あなたのマンションは露出配管ですかそれとも隠ぺい配管ですか。露出背反は内装工事がほとんど発生しないが美観は損なわれます。
隠ぺい配管は、床・壁・天井を剥がすため内装工事が発生し工事費が高くなりますが、美観は損なわれません。
組合員任せでは施工内容・品質が不完全で、マンション全体の資産価値を考えると専有部分との一体工事が望ましいといえます。
私が理事長の時、築14年目に共用部でパイプシャフト内にわずかな漏水痕跡が発見されました。外された給水管の内部を見て様々な方々のご意見をいただき、この状態では給水管の更新が必要と考え翌年11月に給水給湯管更新工事を行いました。
工事開始前に、特別決議で4分の3以上の賛成を得て管理規約を改正し「専有部の配管類を管理組合が一斉更新できる、この場合の工事費は管理組合が負担すること、正当なる理由なく住戸への立ち入りと工事を拒否できないこと」を明記しました。
これにより共用部と専有部の同時更新工事を行い、管理組合が費用を負担して給水給湯管共にステンレス管に更新して万が一の事故に備えました。専有部にはさや管ヘッダー方式を採用して、将来の更新工事対策を施しました。
3) 専有部一体工事が不可能な場合
・ 専有部部分給排水管修繕ルールを作成 全戸に配付し、専有部分修繕の際に、リフォーム業者に渡して図面・仕様書の提出を義務付ける。
・ 専有部分のリホォーム状況を確認
① 入居後、水回りのリホォームを実施しましたか。
② 水回りの間取り変更(キッチンヤトイレなど)を行いましたか。
③ リホォーム箇所はどこですか。(台所・洗面・洗濯・浴室・トイレ)
④ 給水・給湯・排水管の修繕工事を実施しましたか。
個別リホォームにより排水管の接続方法、仕様、施工不完全がないか。業者よって施工内容や品質が異なる場合があります。
・ 各戸専有部分修繕のチャック体制 着手前に図面・仕様書確認ができる申請書を確認s、工事記の作成やチェック者を決めておく。
・ 管理組合として、新たにリホーム規定を作成して細則に追加しておく良いでしょう。
4) 目視調査・抜管調査
給水管の漏水にとどまらず、1回天井裏の汚水、ざる排水管の合流箇所で多伊瀬知睦滞留が起きている場合があります。すでに漏水gは発生していつ場合は早急な対応が必要です。
5) 内視鏡調査
給水管や雑排水管内部の劣化を内視鏡で確認します。