はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第76章 管理組合の確認

大規模修繕協議会主催の第35回大規模修繕セミナーが札幌市産業振興センターで開催されました。講師の泉徳彦札幌支部長は、大規模修繕を予防保全・計画修繕・長期修繕計画で予定し、トータルコストの縮減に努めますとおっしゃいます。講演内容を要約しました。

1 建物は劣化する

 1) 大規模修繕の考え方

建物は劣化していきます。建物を長持ちさせるためには、計画的に維持管理することは大切です。

予防保全のサイクル

大規模修繕の内容(建築と設備面)

大規模修繕の対象は、主に共用部分で修繕積立金を使って実施します。また、大規模修繕の実施時期は、12~15年周期が一般的で、まとめて工事をすることで効果的に実施できます。

大規模修繕の内容

 2) 大規模修繕の実施時期

築6年目頃に鉄部塗装を行います。築12年目頃に第一回目の大規模修繕を実施します。大規模修繕の対象となるのは、防水・外壁・塗装部・T鉄部・シーリングなどです。築15年目頃に、共用部設備交換、共用灯交換強調設備交換、オートロック交換、エレベータ籠内補修などを行います。

築18年目頃に鉄部塗装、築20年目頃に自動火災警報器交換、機械式駐車場交換。築24年目頃に第二回目の大規模修繕を行い、防水・外壁・鉄部・シーリング・集合郵便箱交換・ガラリ等金物交換などを行います。

築25目頃に受水槽交換・給水管交換・連結送水管交換・消火栓交換などを行います。築30年目頃に送水管交換・埋設ガス管交換・分電盤交換・エレベータ交換・共用空調設備交換・共用灯交換・強調設備交換・オートロック交換等を行います。

築36年目頃に、第三回目の大規模修繕を行い、防水・外壁・鉄部・シーリング・MB扉交換・アルミサッシとドア交換等を行います。

実施時期

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 3) 修繕委員会

修繕委員会の設立検討

修繕委員会は理事会の諮問機関です。場合によっては、理事会で業務を引き受けることもあります。私の住んでいるマンションでは2000年に修繕委員会を設置しましたが、修繕個所を調べることも提案することもなく、会議へ参加するだけで何もしません。

しだいに修繕委員会への参加者が減り始め、理事長が修繕計画を立てるしかなくなりました。管理規約に規定を作ってから設置すると理由をつけて修繕委員会を解散しました。そして、一級建築士のお力をお借りして長期修繕計画を作成しました。

修繕委員会の設立

修繕委員会に理事会のメンバーが数名加わると円滑に進みます。

理想のメンバー

修繕委員会委員の募集は、掲示板や過去へ応募用紙を配付したり、個別に声をかける方法があります。しかし、私の住むマンションでは誰一人興味を持たず、理事たちも理事長にまかせておけばよいという考えでした。みなさんのマンションは違うこと祈ります。

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 4) マンションを取り巻く環境

大規模修繕委向けて事前に情報収集が必要です。法律も時代に即するように改正され続けています。

・ 標準管理規約改正(2021年6月)

・ 長期修繕計画作成ガイドライン改正(2021年9月)

・ マンション修繕積立金に関するガイドライン改正(2021年9月)

・ 地方公共団体の管理計画認定制度(2021年9月)

・ 管理業協会のマンション管理適正評価制度(2022年4月)

・ マンション長寿命化促進税制(2023年4月)

改正された法律を読んでいないと、知らなかったでは済まされません。マンション全体に大きな損失を招くこともあります。

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 5) 大規模修繕を知る

大規模修繕セミナーへ参加して、新建材や新工法を学びます。

セミナーや展示

座談会で他のマンションの取り組みを知ります。個別相談会で悩みや疑問を直接相談できます。

段階や個別相談会

建物の状態を自分たちの目で確認します。(大規模修繕委員会は、建物の自主点検をサポートしています)

建物の自主点検箇所は、建物自主点検

 図書及び文書関係
 屋上
 共用部(階段・廊下・玄関など)
 建物の外回り(外部建具、外壁)
 敷地内(外構、自転車置き場)などです。

建物自主点検


 外壁の膨れとエフェロレッセンス

膨れとエフェロ

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2 パートナーと実施方式

 1) 8割以上の管理組合が採用している方式です。

膨れとエフェロ

透明性・公平性の万から設計管理事務所を推奨します。

総会で組合員に工事実施の承認を得ます。

工事実施の承認…………大規模修繕承認には総会の決議が必要です。(標準管理規約第48条)

実施方式の承認…………設計管理方式で進める場合は、調査診断設計監理費予算の承認と承認と、設計事務所選定の手順位ついても合意を得ておくと総会承認がスムーズになります。
  〇 選定作業は理事会に一任することも承認を得ておきます。

 2) 設計事務所の業務と役割

設計事務所の業務と役割

 3) 設計事務所選定の流れ

設計事務所の業務と役割

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 4) 設計事務所選びで重要なこと

設計事務所選びで重要な点

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 5) 調査診断の目的

  ① 劣化原因を突き止める

同じ劣化を繰り返さないように、原因を突き止めて対処します。排水口の養生


 排水管の付け根にエフェロエッセンスが現れていました。ベランダの床に排水管の太さと同口径の金物がつけられていたので、管と管の継ぎ目から水が漏れだしてコンクリートへ浸み込み、裏面にエフェロエッセンスが現れたことが分かりました。

ベレンダ床の排水金物を取り除き、排水金物を少々大きなじょうご形にして、既存排水管へ差し込と水漏れを防ぐことができました。

調査診断

工事予算承認のためには、適切な工事金額を把握しなければなりません。調査概要は、アンケート調査、掛物共用部調査、ベランダ立ち入り調査など。調査日程は10日ほど、ってもの共用部貯砂は、内外壁面、奥所、鉄部、シーリング、外構など。ベランダ立ち入り調査は10日ほどかかります。

アンケート調査内容は、室内の状況(水漏れの有無と場所)、ベランダ内の状況(水漏れの有無・ひび割れの有無・鉄筋露出の有無・塗膜剥離の有無)、壁面・手すりの状況(水漏れの有無・ひび割れの有無・鉄筋露出の有無・塗膜・タイル剥離の有無)。

床面の状況(水漏れの有無・ひび割れの有無・鉄筋露出の有無・水はけの有無)、玄関ドア・窓サッシ(開閉の不具合・変形・鍵の不調性)、ベランダ立ち入り調査協力(立ち入り協力の有無・立ち入り日程の確認)、大規模修繕の要望・意見。

居住者アンケートを全戸へ実施し、ベランダへの立ち入り調査への協力を確認します。

建物共用部調査

・ 目視調査(防水材・建具などの劣化)

・ 触診食身(チョーキング)

・ 打診調査(タイルやモルタルの浮き)

・ 物資試験(タイル付着力試験。塗膜付着力試験・コンクリート物性試験・アスベスト含有調査試験)

アスベスト調査

20076ねん9月以前い着工したマンションはっすベスト調査が必須です。

・ 有資格者による「調査

・ 書面調査

・ 現地調査

(事前調査の結果は、アスベストの有無にかかわらず行政に報告。)

アスベストの調査報告は施工会社が実施する義務があり、設計事務所は報告の有無を確認します。

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バルコニー立ち入り調査

・ 調査戸数(全住戸の10%程度+東西南北上下階、希望者宅)

・ 調査箇所 外壁、床面、サッシ周り、手すり壁、金物類

居住者の玄関から入室のため立ち合いが必要です。

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3 劣化の種類と原因

 1) タイルの浮きと塗膜剥離

       タイルの浮き              塗膜剥離

タイルの浮きと塗膜剥離


 タイル納期は、経年劣化によって発生し、劣化が進行すると剥離します。経年劣化はもちろん、材料の相性、ケレン不足、洗浄不足など原因はさまざまです。

 2) 鉄筋爆裂とエフェロレッセンス

       爆裂               エフェロレッセンス

爆裂とエフェロ

 3) 調査診断報告書

各種調査と試験結果や建物状況写真をとりまとめた調査診断報告書を作成してもらいます。

タイルの浮きと塗膜剥離

調査診断報告書だけで、すべての組合員に理解を求めることはむずかしいのです。多くの組合員に建物の現状を知ってもらうためには、調査診断報告書に基づいて調査診断報告会を開催します。建物の状況、アンケート集計結果、今後の取り組みについて説明してもらいます。

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4 修繕設計

 1) 修繕設計の考え方

修繕設計の内容

・ 修繕内容、方法の整理、検討・決定

・ 工事予算を明確にする(コスト削減の立案)

・ 図面の作成(仕様書、見積もり内訳書、保証項目)

・ 見積もり要領書に反映(施工か言う社募集時に配布)

工事概算予算書

大規模修繕工事を実施する場合の、工事金額の目安予算を考慮せずに、今必要な工事を反映した工事費概算金額書を作成してもらいます。目先のことだけでなく、マンションの将来を考えた修繕計画を立てるうえで必要なことです。

工事概算請書

劣化の状況

仮説足場の有無や劣化状況で工事に優先順位をつけ、工事の優先順位を予算に合わせて検討します。駐車場や駐輪場利用が普段通りのゴンドラ足場にするか、シートで被わないため眺望や日照りを確保できる移動式昇降足場を採用するかは予算により選択します。

  

工事費の軽減

組合員の生活環境の向上を図り、エントランスの重い開き扉から自動ドアへの改修を実現しました。

  

生活環境改善

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 2) 修繕設計のポイント

設計事務所の知識・技術が試されます。

・ 多くの住民からの聞き取り(マンションの現状を把握することでよりよい提案が
  できます。)

・ 同じ劣化を繰り返さない設計(化粧塗の表面だけでなく、判断できない下地補修も
  大事です)

・ 過剰な設計だけでなくバランスの良い設計(修繕部位によって突出した保証年数が
  無駄になり費用が掛かる)

・ 優先順位を決め、費用対効果の高い設計(足場設置が必要な工事は一緒の機会に行
  う。

修繕計画の作成

修繕計画の作成は理事会と修繕委員会が中心となって決定します。下表は、打合せ結果一覧の例です。

修繕計画

施工会社の承認

総会で管理組合の承認を貰う。総会での承認g、業務委託契約の締結、工事説明会へ進む。契約書の内容は設計事務所も確認してもらいます。

議案書の記入内容

・ 大規模修繕実施について(目的・実施理由)

・ 工事金額(予算費含む)

・ 施工会社選定の経緯

・ 支払条件

・ 工事支出内訳(修繕積立金、金融機関からの借り入れ、マンションすまい・る債の換金等)

・ 予定後期、作業時間

・ 工事項目

・ 保証期間(品質保証、アフターフォロー等)

・ 理事会・修繕委員会への一任事項(実施生産工事項目、色彩計画など)

・ その他報告(ベレンダ内の私物整理、駐車場の資料移動など)

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 3) 工事中の協力

工事中は組合員の協力が不可欠です。

・ 足場養生シートの圧迫感

・ 騒音・ホコリ・臭いの発生

・ ベランダ使用制限(洗濯物干し)

・ エアコンの使用制限

・ バランダの荷物の片づけ(網戸の取り外し)

・ 通航制限

・ エレベータ使用制限

・ 作業員、工事車両の出入り

 4) 工事説明会

工事説明会で住人へ伝えることは次のような内容です。工事前に疑問や不安を解消します。

・ 工事内容 

・ 工事工程・行事スケジール

・ 仮設計画(駐車場の使用制限など)

・ 現場の体制

・ 自転車・バイク

・ 個人負担がある工事の場合は事前打ち合わせ

・ 在宅が必要な工事

・ お知らせの方法・お問い合わせの方法

・ 防犯・安全上の注意

・ 工事時間、休日

・ ベランダの使用制限

・ ベランダの片づけ

・ 網戸の取り外し、エアコンの使用制限

  

工事日程表

 5) 工事期間の延長

k歩宇治期間の延長は心理的な負担だけでなく、工事費の負担が発生します(機材、足場リース代、現場作業員の追加確保など)。費用については協議して決定します。

工事内容の変更・追加

足場を組んで全数検査、施工開始後の問題発覚

天候などによる工期延長

・ 台風、長雨などにより外装塗装、防水工事が進まない

工事内容の変更・追加

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5 工事監理

 1) 書類検査と材料検査

書類検査は、施工会社が提出した使用材料一覧表、施工会要領書が設計図書の内容に適合しているかを確認・指導します。また、工程表や掲示板情報など汲井医院・居住者目線で作成されているか確認・指導します。

材料検査は、搬入された材料と納品書、使用量を確認します。特に、棟梁の管理は大事です。、

 2) 工程検査と中間検査

工程検査は、工程ごとに施工品質検査を実施して工事指導を行い、是正を確認します。試験施工を行い、施工方法、仕様を確認します。

中間検査は管理組合立ち合いで行い、工事の中間期に工事支払い請求が契約に適合しているか確認します胃。

 3) 定例会議

二者定例会議(設計事務所と施工会社)週1~2回、工事進捗状況の確認と調整、工程の協議、じっす生産数量の報告・対策、数量の確認、虎無州発生の指導・調整など

三社定例会議(管理会社・設計事務所・施工会社)突き1回程度、工事進捗状態報告・対策、トラブル発生の報告・相談、色彩委計画の承認。

 4) 施工管理者と工事監理者

施工管理者は現場管理人と呼ばれ、材料、下請け会社、職人などの手配や工程の段取り調整、施工確認など工事全般を管理します。

工事監理者は、監理組合と二人三脚の立場にある設計事務所。現場調査、書類調査、施工会社からの聞き取りを通して仕様書通りに施工されているかを監督・是正させます。

見合内からこそ第三者の工事監理が重要です。

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5 竣工・引き渡し

 1) 竣工検査

管理組合立ち合いで竣工検査を行います。足場解体後の引き渡し前に実施、設計器図書通りに工事が行われているか、施工ムラ、汚れの確認、一時退避物が元通りになっているか、是正箇所の修繕がきちんと行われているかを確認します。

竣工検査後の手直し確認まで行います。区分所有者のベランダ確認後に足場を外します。

竣工図書の確認

引き渡し後にトラブルがないよう竣工図書を確認します。

工事完了届、工事保証書、変更・追加・実数生産工事内訳書・定例会議、下地調査報告書、仕様書・仮設計画書・加工計画書、各検査報告書、使用材料・決定色入り蘭表、工事記録写真。

 2) アフター点検の例

保証範囲

大規模修繕を実施した箇所。竣工図書を確認(仕様書・工事内訳書)、劣化調査図を確認(タイル・下地補修)

保証対象外

仕様書、工事内訳書に基づいて施工した以外の事項、家事・自信・洪水などの天変地異に起因するmの、第三者が濃い・過失により施工箇所に損傷を与えたもの、その他補修責任を請負者に帰することができない場合、経年劣化および居住者の不注意による劣化・破損・汚損。

どちらとも判断がつかない場合、設計事務所が適切にアドバイスし、管理組合と施工会社で協議。

アフター点検(例)

保証期間の例

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