1 日本の今後は
1-1 日本の近未来
日本は人口減少時代に突入して、2060年の人口は今の68%まで減少すると言われます。しかも、超高齢化時代に突入し、2060年には40%が65歳以上となり、高齢者の15%は認知症、13%がMCI(認知症予備軍)となります。
一人暮らしの高齢者の増加で、2040年には44%の高齢者が一人暮らしとなり、火器や率は全国で13.6%を超えますがマンションは造り続けられます。また、外国人材受け入れに伴い外国人住民が増加してきます。
1-2 管理組合運営の課題
マンションの高経年化で、将来の選択に高度な決断が必要になります。
・ 建替えまたは再生(耐震化)又は清算(建替えは簡単ではない)
・ 居住者の高齢化
・ 空室の増加
・ 増加管理費と修繕積立金の不足
価値観の多様化
・ 世代間で考え方にギャップ
・ 外国人居住者・組合員の増加
・ 居住価値重視派と資産運用重視派
お互いを理解し合う努力をしないと合意形成は難しことになります。
1-3 直面する三つの高齢化
組合員の高齢化
・ 90歳の関数以上は認知症(本人が書けない委任状は無効)
・ 意思表示がきちんとできるように(成年後見制度、家族信託など)
役員の高齢化
・ 高齢化で役員のなり手がない ではなく 世代交代ができない
・ 若い世代をコミュニティ行事を通じて役員にリクルート
・ 若い世代のやり方に任せて世代交代を進める
・ 高齢役員の引退ルールをつくる
居住者の高齢化
・ 孤独死防止や認知症の見守りの取り組みは避けて通れない
・ 地域包括支援センター、民生委員とすぐ連絡がとれるように
・ 施設入居、入院中の入院中の人とも子ども世代を通じてつながる
※ 一ヶ月以上過ぎてからマンションの戸室で孤独死が発見された事例
・ 日数が経過しているため、遺体は腐敗して液体と化し、床へ浸み込んでいった。
・ 床から階下の壁へ腐敗液が伝わって染み出し、その臭気で孤独死が発見された。
・ 臭気を消すために消臭剤を使用しても効果はなかった。
・ 共用部の壁をはつっても臭気が完全に抜けることはなかった。
・ 孤独死をした、遺体が腐敗、臭気が伝わった…マンションの資産価値は下落し
た。
1-4 必要なのは合意形成力
合意形成ができないと次のようなことが起きます。
マンションの再生等の重要案件が決議できなくなる
・ マンションの資産価値・居住価値を維持できなくなる
紛争があり、人間関係でもめているマンションは
・ 住むのに快適な環境ではない
・ 人が出ている
・ 合意形成がより難しくなると言う悪循環
よい管理会社や専門家の支援が受けられず、問題が多い関係者に付け込まれやすくなる。
1-5 合意形成ができると
① マンションの将来ビジョンを明確にする
・ 何を目指して管理を行うのかを共有する
② 理事の行動規範明確にする
・ 理事がやってはいけないことを具体的に確認する
③ コミュニケーションに配慮する
・ 意見をきちんとしっかり聴く
・ 相手の感情を理解して、自分も相手を尊重しても、適切な伝え方をしながら話す
④ 専門家、コンサルタント、管理会社、施工会社等の選定は公明正大に行う。
⑤ 理事会で話し合われていることを常にオープンにする。
・ A4一枚に分かりやすく書いたものでいいからスピードを重視
⑥ 普段から質問や意見を言いやすい状況をつくる
・ 理事の顔が見えることが重要
⑦ 総会議案書は丁寧につくる
・ 新たな提案は、検討を開始したきっかけから検討過程、メリット・デメリット、
疑問点の解消など分かりやすく
⑧ 大多数の人が納得する決議を目指す
・ 決議要件を満たせばいいという強引な決議はしない