はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第67章 コミュニティづくり

2019年10月19日TKPガーデンシテイPREMIUM札幌大通で開催の、建装工業株式会社主菜第12回マンションセミナーで、廣田信子先生の講演「豊かに暮らすこれからの管理組合運営とコミュニティづくり」の要約です。

廣田信子先生は一級建築士でマンション管理士です。マンション管理センターの元主席研究員で、マンションコミュニティ研究会代表をされ、マンション総合コンサルティング株式会社の代表取締役をされています。

廣田信子先生は「集まって住むってステキ!」を広げ、力を合わせて豊かに暮らす未来を創造するために、コミュニティ形成、合意形成、防災、高齢化対策を重要視され、マンション再生等のテーマでセミナー、講演、研修、執筆活動をされています。

マンションに関わる「廣田信子のブログ」、コミュニティに関する「マンションコミュニティ研究会」、住宅新報コラム「マンション管理応援歌」連載中、書籍「2020年マンション大崩壊から逃れる50の方法!(宝島社)」などの情報を発信されています。

1 日本の今後は

 1-1 日本の近未来

日本は人口減少時代に突入して、2060年の人口は今の68%まで減少すると言われます。しかも、超高齢化時代に突入し、2060年には40%が65歳以上となり、高齢者の15%は認知症、13%がMCI(認知症予備軍)となります。

一人暮らしの高齢者の増加で、2040年には44%の高齢者が一人暮らしとなり、火器や率は全国で13.6%を超えますがマンションは造り続けられます。また、外国人材受け入れに伴い外国人住民が増加してきます。

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 1-2 管理組合運営の課題

マンションの高経年化で、将来の選択に高度な決断が必要になります。
 ・ 建替えまたは再生(耐震化)又は清算(建替えは簡単ではない)
 ・ 居住者の高齢化
 ・ 空室の増加
 ・ 増加管理費と修繕積立金の不足

価値観の多様化
 ・ 世代間で考え方にギャップ
 ・ 外国人居住者・組合員の増加 
 ・ 居住価値重視派と資産運用重視派

お互いを理解し合う努力をしないと合意形成は難しことになります。

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 1-3 直面する三つの高齢化

組合員の高齢化
 ・ 90歳の関数以上は認知症(本人が書けない委任状は無効)
 ・ 意思表示がきちんとできるように(成年後見制度、家族信託など)

役員の高齢化
 ・ 高齢化で役員のなり手がない ではなく 世代交代ができない
 ・ 若い世代をコミュニティ行事を通じて役員にリクルート
 ・ 若い世代のやり方に任せて世代交代を進める
 ・ 高齢役員の引退ルールをつくる

居住者の高齢化
 ・ 孤独死防止や認知症の見守りの取り組みは避けて通れない
 ・ 地域包括支援センター、民生委員とすぐ連絡がとれるように
 ・ 施設入居、入院中の入院中の人とも子ども世代を通じてつながる

※ 一ヶ月以上過ぎてからマンションの戸室で孤独死が発見された事例
  ・ 日数が経過しているため、遺体は腐敗して液体と化し、床へ浸み込んでいった。
  ・ 床から階下の壁へ腐敗液が伝わって染み出し、その臭気で孤独死が発見された。
  ・ 臭気を消すために消臭剤を使用しても効果はなかった。
  ・ 共用部の壁をはつっても臭気が完全に抜けることはなかった。
  ・ 孤独死をした、遺体が腐敗、臭気が伝わった…マンションの資産価値は下落し
   た。

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 1-4 必要なのは合意形成力

合意形成ができないと次のようなことが起きます。

マンションの再生等の重要案件が決議できなくなる
 ・ マンションの資産価値・居住価値を維持できなくなる

紛争があり、人間関係でもめているマンション
 ・ 住むのに快適な環境ではない
 ・ 人が出ている
 ・ 合意形成がより難しくなると言う悪循環

よい管理会社や専門家の支援が受けられず、問題が多い関係者に付け込まれやすくなる。

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 1-5 合意形成ができると

① マンションの将来ビジョンを明確にする
  ・ 何を目指して管理を行うのかを共有する

② 理事の行動規範明確にする
  ・ 理事がやってはいけないことを具体的に確認する

③ コミュニケーションに配慮する
  ・ 意見をきちんとしっかり聴く
  ・ 相手の感情を理解して、自分も相手を尊重しても、適切な伝え方をしながら話す

④ 専門家、コンサルタント、管理会社、施工会社等の選定は公明正大に行う。

⑤ 理事会で話し合われていることを常にオープンにする。
  ・  A4一枚に分かりやすく書いたものでいいからスピードを重視

⑥ 普段から質問や意見を言いやすい状況をつくる
  ・ 理事の顔が見えることが重要

⑦ 総会議案書は丁寧につくる
 ・  新たな提案は、検討を開始したきっかけから検討過程、メリット・デメリット、
   疑問点の解消など分かりやすく

⑧ 大多数の人が納得する決議を目指す
  ・ 決議要件を満たせばいいという強引な決議はしない

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2 マンションの未来戦略

 2-1 若いマンションの戦略

今から1000年マンションを目指す
 ・ 目標を明確にして100年もたせるマインドを共有する。

将来のお金の心配をなくす
 ・ 50年後までの長期修繕計画をつくり
 ・ 早い時期に50年後まで改定がいらないように修繕積立金を設定
 ・ 未来の安心をつくり出す

コミュニティを育てて居住価値を
 ・ 外に発信する市場での評価が自信に繋がる
 ・ 管理組合運営が積極的になる

市場の状況、マンションの立ち位置、居住者の動向を例さえ位に分析する

将来の管理組合運営の基盤をつくる
 ・ 管理規約、役員体制を自分たちにあった形に見直す
 ・ 長期的に付き合える管理会社・専門家・施工会社を考える
 ・ 現状を整理し、50年後まで現実的な共用部分の改修計画を考える
 ・ 専有部分のリフォ-ムガイドラインをつくる

コミュニティの状況を確認し、顔が見える関係を育てる
 ・ リタイヤ組の活力を活用 ⇒ 合意形成力の基礎をつくる

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 2-2 高経年マンションの戦略

建て替えか修繕かではなく、今から30年間価値を維持することに決める
 ・ 今暮らしている人の生活環境を守ることを第一に考える
 ・ 世代が循環するように積極的に再生に取り組む

建替検討委員愛は安易に作らない
 ・ 未来の居住を考えるワークショップを開催し、他の組合員の価値観や事情を知ると 
  ころから始める
 ・ 自分の人生+マンションの人生を考える

どうしても再生がむずかしい場合に初めて、建替え、生産を考える
 ・ 耐震性の確保ができない、エレベータがないなど、対応策がない
 ・ 建物解体、栃乃市場価値も知っておく
 ・ 将来は、建物ごと売却する選択肢も考えられる(国交省で検討中)

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 2-3 合意形成に必要なことは

〇 人と人とのつながりをコツコツとつくり、信頼関係を育む

〇 集まって暮らすことの意味を常に確認する
  ・ 運命共同体、集まっているからこその様々な可能性

〇 それぞれが相手の立場を思いやる風土を育てる
  ・ 事情をくみ取り、その事情をフォローする方法を検討する
  ・ みんなが望むなら協力しようと思う仲間意識を育てる

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 2-2 合意形成できるベース

日頃の居住者間のコミュニケーション環境が重要
 ・ 意見が分かれる重要案件の合意形成
 ・ 総会・理事会など管理組合運営の仕組みだけではうまくいかない
 ・ ゆるやかな集まりで、非公式に意見を言える場が必要
  ・ コミュニティの役割が大きい
  ・ ワークショップの開催も検討

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4 コミュニティ

 4-1 コミュニティを育てる

① 総会を利用する
  ・ 総会議案書を手渡し
  ・ 丸テーブルで名札、休憩時の懇親、感謝の花束

② 建物診断を利用する
  ・ マンション探検隊、マンションツアー

③ 防災訓練を利用する
  ・ 防災スタンプラリー、安否確認訓練

④ あえてアナログな方法を取る
  ・ 回覧板、カードなど

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 4-2 ワークショップの進め方

ワークショップは、テーマを決めて自由に意見を出し合う場
 ・ ファシリテーターが進行 ⇒ 結論はいらない

ポイント

① 安心して話せるふんいきをつくる(お茶とお菓子は必須)

② 一人の持ち時間を決め、みんなが発言できるようにする

③ 人が話しているときは、集中して耳を傾ける(合図地、メモ)

④ 人の意見を絶対に否定しない

⑤ 人の意見を聞いて発想を膨らませる

⑥ メモを整理し、内容をまとめ広報する

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 4-2 ワークショップの効果

① 隣人の新たな一面が分かる ⇒ 人が立体的に見える

② 自分以外の人の立場や価値観を理解する

③ 自己肯定感を得られる

④ 話し方聞き方の訓練に鳴る

⑤ 話し合いのルールが身に付く

⑥ 内部にファシリテータ―が育つ

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 4-3 これからのコミュニティ

◎ コミュニケーションの機会を工夫する

◎ 未来ビジョンを共有する

◎ 周りを思いやる風土を育て、合意形成力をつける

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謝辞:講演のレジメを参考にしました。ありがとうございます。