1 価値はメンテナンス次第
マンションの価値はメンテナンス次第と言えます。一般的にマンションの資産価値は、立地条件・物件の価値・管理のクオリティです。管理組合の組合員の努力で変えることのできるのは、物件の価値と管理のクオリティです。
1-1 管理のクオリティ
大規模修繕の築年数とタイミングを計るには、五点についてのチェックが必要です。
・ 管理体制
破損がそのままになっていないか、清掃が行き届いているか
・ ランニングコスト
適正な金額であるか
・ 修繕積立金
積立金の不足がない、釈入や滞納金がない
・ 修繕計画
計画の見直しは常に行われている
・ 大規模修繕
経年劣化対策ができている
1-2 定期的なメンテナンス
10年後も安心して住み続けるために、マンションは定期的なメンテナンスが欠かせません。メンテナンスが重要であることは分かっていても具体的に、どんな工事が必要になるのか、費用はいくらかかるのか、準備からの期間はどの程度かなど、知っておくべきことがたくさんあります。
築年数が同じでも痛み方は異なるのです。
1-3 工事の特殊性
大規模修繕は居住者が住みながら行われる工事です。日常生活の場が工事現場となり、ベランダ・共用部廊下・階段などの使用が制限を受けます。例えば、ベランダでは洗濯物を干せないなど。
監理者が行う工程や品質管理などと同様に、居住者へ工事情報など十分な周知が必要になります。
1-4 工事の時期
1-4-1 大規模修繕1回目
大規模修繕1回目の目的は新築当時の姿に戻すことです。新築時からの不具合や劣化の原因を把握し、現況を考慮して修繕することで2回目の大規模修繕工事費用を低減します。
梁型天端の塗装劣化が激しくなっているのを放置すると、コンクリート躯体に雨水が侵入して内部の鉄筋に影響を及ぼす場合もあります。
1-4-2 大規模修繕2回目
大規模修繕2回目の目的は社会環境に即した改修を行うことです。耐震やバリアフリーなどの社会環境に適合する規格に改めるととや、新築当時にはなかった発想や配慮を修繕工事に付加させます。
組合員へのアンケートにより、集合ポストのリニューアルも考えられます。A4サイズの郵送物がはみ出す、郵便物が抜き取られるなどを防ぐために、完全収納できるタイプに改善することも必要でしょう。
1-4-3 大規模修繕3回目
大規模修繕3回目の目的は設備の経年劣化に即した改修を行うことです。
・ 給水管更新 25年~40年程度
・ 排水管更新 30年~40年程度
・ エレバーター 25年~30年程度
・ オートロック 15年~20年程度
・ サッシ・玄関ドア・手摺り 30年~35年程度
その他:機械式駐車場・スライド式駐車場・消防設備・各種電気盤・連結送水管・ポンプ類・ガス配管・外構や樹木等々。
立地条件や管理のクオリティで劣化の進行は様々です。常に注意して見逃してしまわないよう処置が必要です。マンションの築年数とタイミンウは入居時の年齢と照らし合わせてみましょう。
1-5 大規模修繕のはじめ
大規模修繕工事のパートナー契約までに管理組合がすべきことは、
・ 発意 大規模修繕実施検討の呼びかけ
・ 体制整備 修繕委員会設置と役割の検討
・ 現状把握 建物の現況と資金計画の把握
・ 広報周知 円滑に進めるためには組合員の関心度を高められるか
・ パートナー選定 設計事務所の必要性
・ 総会決議 パートナー選定の承認決議
・ パートナー契約 業務委託契約の締結