5 資産価値向上への努力
マンションの住人が、マンションの管理は管理会社に任せてあるから何もしなくても大丈夫と考えていたら、そのマンションはスラム化が進行していると言わざるを得ません。年数を経るにつれてマンションの資産価値は下落し、気づいたときには廃墟と化していると言うのが現実です。
法令上マンションの管理はあくまで管理組合に義務づけられていますので、管理会社や専門業者等に業務を依頼した場合であっても、管理組合として実施状況を把握しておく必要があります。しかし、確認もせずに支払いをする背任行為が見受けられます。
管理組合が何もしなければ、マンションは経年劣化で資産価値が落ちていきます。自分たちの財産であるマンションは自分たちで守るとの信念で、マンションの資産価値を上げている管理組合があります。マンション管理新聞の記事からご紹介します。
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5-1 インターホン改修
マンション管理新聞2016(平成28)年6月25日号に「スマホ利用の『インターホン改修』普及へ」の記事が掲載されました。以下、記事の内容を要約しました。
「インターホン改修が手軽にできるようになった」と、マンションの管理組合や管理会社から評判となっている製品があります。防犯システムを専門に手掛ける「西電通(本社大阪)」が開発した、スマートフォンを使ったインターフォン改修システム「てれあ~く」という製品です。
住戸の故障したインターフォンを代用させるもので、集合玄関で部屋番号を押すとスマホにつながり、映像と音声で相客を確認できる画期的な性能を持つ製品となり、首都圏や関西圏だけでなく、地方都市のマンションでも導入が進められています。
管理規約によりますが、分譲マンションの場合は共用部の自動火災報知設備との連動になっているものが多く、インターフォン設備を共用部として長期修繕計画で更新時期を設定しているマンションが多いのが現状です。
全戸が一斉交換となると多額の費用がかかります。その点「てれあ~く」は、現在のインターフォンはそのままにして、故障した住戸から導入することができる手軽さです。費用も格段に安く、一度に支出される金額も抑えられるので資金計画も立てやすい利点があります。
従来のインターフォンメーカーは補修部品の保有期間を生産終了後7年とし、ストックしている部品がなくなり次第修理不可能としています。そのため、数台しか故障していないのに「部品がない」として、やむなく全戸一斉取替を実施したマンションも少なくありません。
ガスや火災等の警報表示付きであっても故障しなければそのままで、故障した場合には警報機能単独のセンサーを設置できる構造のため、問題はありません。
実際の工事は、集合玄関機にインターネット回線と接続する専用機をつなぐだけです。部屋番号とスマホの番号を設定すると、集合玄関で部屋番号を押すとスマホにつながり、共用玄関の開閉もスモホの画面できるというものです。また、一住戸で数台のスマホにも対応できます。
インターフォンの場合は、全戸一斉交換となると室内へ入っての配線工事が必要ですが、「てれあ~く」は室内の工事は不要です。格安で手軽に個別対応を可能とした「てれあ~く」は、分譲マンションに適したインターフォン改修システムと言えます。
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5-2 駐車場ゲートの自動開閉
マンション管理新聞2015(平成27)年10月20日号に「ごみ置き場の改修で資産価値アップ」の記事が掲載されました。以下、記事の内容を要約しました。
高速道路のETCレーンと同様の仕組みで車両を検知・識別して、マンションの駐車場ゲートを自動開閉するシステムが注目を集めています。「マンションETCシステム」を開発したのは、船舶用電子機器総合メーカーの古野電機株式会社(本社兵庫県西宮市)です。
「マンションETCシステム」は、名前の通りETCが搭載されていれば、車を近づけるだけでゲートが自動的に開閉するシステムです。
駐車場利用居住者の車両をゲート前に停車させて専用のカードをかざせば登録が完了し、登録車以外の車はゲートが開かずセキュリティも万全となります。
東京都江戸川区のクレストフォルム東京アクアグランディオ管理組合(築11年332戸)の駐車場に、リモコン式のチェーンゲートが設置されていました。車高や車の形状等でチェーンが見えにくいこともあり、前の車に続いて出入りしようとした際にチェーンが上がってきて破断したり、下がりきっていない状態で侵入したためにチェーンが破断する事故が年に5~6回発生していました。
チェーンのフックが外れた程度であれば管理員でも直せますが、チェーンの破断に伴いメーカーに修理を依頼すると、部費代に加えて出張費や修理作業費等で一回当たり4~5万円を要します。チェーンの昇降速度を変えることも検討しましたが解決策はでません。
「マンションETCシステム」を導入して二ヶ月が経過し、今のところチェーンの破断事故は起きていません。ETCシステムで両手が使えるようになり、安全面も向上したとの声も多いそうです。
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5-3 ゴミドラムの導入
マンション管理新聞2015(平成27)年12月15・25日合併号に「ごみ置き場の改修で資産価値アップ」の記事が掲載されました。以下、記事の内容を要約しました。
ゴミ置き場の衛生管理向上化をきっかけに、マンション全体の環境と美観を激変的に向上させたのは大阪府東大阪市の「東大阪サンハイツ(築40年、10階建て)」です。ゴミ置き場改善の目的がごみを圧縮して貯留する「ゴミドラム(日本クリーンシステク製)」の導入で、行政によるごみ収集日にかかわらず24時間365日のゴミ捨てが可能になりました。
改修前の写真は正月明けの最初のゴミ収集日の状態です。年末最後の収集から一週間以上が経過していることから、不法投棄が重なってゴミの山と化しています。
それが今では改修後の下の写真のように、見違えるように様変わりしました。「ゴミドラム」を導入したことでごみ収集日が長期間空いても、すべてドラムに集積可能となりごみが表に出ることはゼロになりました。
ゴミドラムの導入は、ごみ置き場の改造が必要となるため予算は2千万円強となり、修繕積立金を取り崩しての導入となりました。理事会は「周辺の新築マンションに対抗できるよう、最新の設備を導入してマンションの資産価値を向上させるとともに、衛生管理の向上は資産価値にもプラスすることになる」と訴え、住民の合意を得ました。
衛生管理の向上がマンションの資産価値向上につながっている一つの証でした。
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5-4 宅配レンタカー
マンション管理新聞に「宅配レンタカーでマンションライフが一変」の記事が掲載されました。以下、記事の内容を要約しました。
レンタカーをマンションまで届けてくれて利用後もマンションまで引き取りに来てくれる「宅配レンタカー」に人気が集まっています。宅配ロッカー最大手の「フルタイムシステム」と日産レンタカーが共同で開発した「宅配レンタカー」がマンションライフを大きく変えようとしています。
「宅配レンタカー」は5月末現在、25棟のマンションで導入され770人が会員になっています。
利用方法はマンションに設置されたレンタカーの駐車場を予約した後、パソコンやスマホなどで好みの車種のレンタカーを予約します。配車時にフルタイムロッカー(宅配ロッカー)に預けられた車両キーを受け取り利用します。利用料金は日産レンタカーに事前登録したクレジットカードで支払います。
現在の車の利用状況は、週末に買い物やレジャーで6時間程度、年間に宿泊を伴う旅行で2回、年間に遠出の日帰りレジャーで2回、この程度の利用が平均といったところでしょう。
日産のマーチを例に、車を購入した生活と「宅配レンタカー」でコストを比較すると、宅配レンタカーのほうが年間で約20万4000円安く済みます。購入した車を長期間維持すると、車検代やメンテナンス代、日常の洗車代等のコストが必要になります。
| 車両代 | 自動車税 | 保険 | 維持費 | 駐車場 | 年度計 |
購入 | 468,000 | 34,500 | 84,000 | 21,600 | 120,000 | 728,100 |
レンタカー | 524,160 | 費用に含む | 費用に含む | 費用に含む | 費用に含む | 524,160 |
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