1 大規模修繕計画
マンションの大規模修繕の築年数とタイミングは次のようになります。入居時の年齢と照らし合わせてみてください。
1-1 本来の大規模修繕工事とは
本来の大規模修繕工事は、建物の傷んだ箇所を修繕するだけではなく、より長持ちできる建物に改良することです。精度の高い大規模修繕工事を行うためには何をすればよいか考え、どうすれば設計事務所、施工会社が精度の高い大規模修繕工事を実施できるか考えます。
マンションと一生付き合うためには、大規模修繕工事の目的と改修回数により目的が異なることを認識し、次の大規模修繕を視野に入れた準備が重要です。
大規模修繕1回目・・・劣化に強い改修
新築時からの不具合と劣化の原因を把握します。現況を考慮し、修繕することで2回目の大規模修繕工事費用を低減します。
大規模修繕2回目・・・社会環境に即した改修
改修時点での社会環境に適合する規格(耐震やバリアフリーなど)の付加、また新築時にはなかった発想や配慮を修繕工事に盛り込みます。給排水設備の劣化状況の調査診断を行うことなどにより将来の修繕計画の見直しにも備えます。
1-2 大規模修繕工事の特殊性
・ 居住者が住みながらの工事を行う、日常生活の場が工事現場となる。
・ バルコニー・共用廊下・階段などの使用制限を受ける。(洗濯物を干せない等)
・ 監理者による工程や品質管理同様、居住者へ工事情報等の十分な周知が必要。
1-4 失敗のない大規模修繕工事
・ 組合員に建物の劣化状況を的確に伝える
工事内容をイメージ化できない、ということのないように。
・ 理事会や組合員とのコミュニケーション
居住者全員での意見交換でよりよい修繕工事へ。
・ 大規模修繕の必要性を納得してもらう
周知のための勉強会や資料提供、近隣の施工現場見学も。
1-5 スケジュールの確認
・ 工事実施について検討・・・工事実施2年前から
大規模修繕の準備は、工事の2年前から始まる。
修繕委員会の設置、現状確認、工事の実施を決定、パートナーの選定など。
・ 大規模修繕工事の準備期間・・・工事実施1年前から
事前アンケート調査、バルコニー調査、調査報告会、設計説明会。
業者選定、業者ヒアリング、施工業者契約、工事説明会。
・ 大規模修繕工事の実施期間・・・工事の実施年
施工立ち合い、完了検査立ち合いなど。
1-6 修繕委員会
1-6-1 修繕委員会の立ち上げ
大規模修繕での立場を明確にします。
一部の理事が修繕委員会の委員を兼務することで、理事会の意向も伝わり業務がスムーズに運びます。
但し、理事長は委員を兼務しないほうが良いとされます。
1-6-2 修繕委員会の役割
大規模修繕は何年にも渡り続けるプロジェクトです。
・ 相談できるパートナーを探す
工事スケジュールや工法も検討します。
・ 工事時期の仕分け
調査診断の緊急工事の判断。
・ 施工会社の検討
緊急性がある場合、数社から見積もり徴収し比較。
理事会の諮問機関として修繕委員会を立ち上げます。人選は2年以上共に活動するため、チームワークが取れる人、まとまった時間が取れる人を選出します。
1-6-3 修繕委員の募集
・ 組合員から公募します
・ 理事長や理事経験者が望ましい
・ 建築関連実務者は知識があるのでベター
集まらない場合は理事会にて候補者を選出し、個別にお願します。
1-6-4 トラブル防止
理事会と修繕委員会のトラブルを避けるために、理事会委と修繕委員会の意思決定の方法を決めておきます。
○ 多数決 × 全員一致
○ 無記名投票 × 挙手