1 いま、すべきこと
いま、すべきことは「良好なコミニュケーション形成の再構築」です。
1-1 管理組合運営の公表
居住者と組合のコミュニケーションが重要です。
ア. 管理組合の活動報告を、広報紙や提出物を活用する。
イ. 負担が少なく、楽しい組合活動から参加できるようにする。
1-2 活動を通じて人材発掘
マンションという限られた中での人材発掘が必要です。
ア. 企画業務に通じている、会計処理に通じている。
イ. 建物の構造や設備に通じている。
ウ. 居住者の得意分野や適性を詳しく把握します。
1-3 課題の共有化
連携で結びついていくことが課題の共有化につながります。
ア. マンションと町内会と話し合える土台作り。
イ. 企業や自治体とも話し合える土台作り。
1-4 維持管理への参加
コミュニティ内で「見える」活動から発展し、交流・親睦で効果を生むことが大切です。このためには、イベント実行委員会など無理なく始められるメニューから組合活動の第一歩にします。
2 放置できないこと
単身者世帯や高齢者世帯が増加しています。近所付き合いがなくなり、居住者と地域との交流が立たれて孤立しやすくなっています。これは放置できる状態ではありません。
2-1 当事者意識の欠如
管理組合の当事者意識が薄く、管理会社の担当者任せにしていませんか。
建物や設備の維持管理、管理員業務のチェック、維持管理書類の整理保管、理事会での協議内容の広報など、管理組合業務のうちどこまでを管理会社へ委託しているのか契約書で確認していますか。
管理組合の理事はほとんどが輪番制で、組合員への対応も十分でなく修繕工事に専門的な知識もなく、マンション管理セミナーや大規模修繕セミナーで学ぶこともなく、せっかくの休日も少なくなるので、「早く任期気が過ぎないかな~」という本音に支配されています。
管理会社の担当者がこれらにすべて対応してくれたら、これほど楽なことはありません。しかし、そんな契約にはなっていないので、管理組合の無関心が管理会社の担当者は大好きです。
マンション管理の「主役」は管理組合であり、マンション管理は管理会社がするものではなく、区分所有者の集まりである「管理組合」が行うべきものです。
2-2 管理費は管理会社費用?
毎月の管理費は、全て管理会社へ支払うものと思っていませんか。区分所有者や賃貸居住者が納める管理費は、管理会社への支払いではありません。居住する私達の組織である管理組合の運営や、居住者のために使用するのが目的です。
2-3 委託業務のチェック
管理会社の委託業務内容にある業務内容をチェックしていますか。
ア. 管理業務主任などが定期的に巡回していますか。
清掃状態、設備点検の広報、管理員への指導なども含まれます。
イ. マンション内の滅失、毀損、瑕疵の報告がありますか。
速やかに報告されていますか、築地の点検報告書も提出されていますか。
ウ. 依頼したことに迅速に対応していますか。
質問事項やメール、管理費未収金などの督促などへの対応はどうですか。
エ. 総会、理事会等の運営に関する助言がありますか。
諸官庁からの通知など、適切な情報提供が行われていますか。
2-4 重要書類の保管状況は
総会議案書と議事路気宇、理事会議案書と議事録、設計文書や修繕関係書類一式、広報などはきちんと整理保管されていますか。
きちんと整理保管されていないのは管理会社の責任ではありません。きちんと整理保管していない管理組合(突き詰めれば理事長)の無責任さの表れです。
2-5 管理会社の管理は
管理会社に「管理費を支払っているのに何もやってくれない。」という声を聞きます。委託業務内容を理解していますか、管理組合が当然行うべき業務ではありませんか。管理会社の担当者は走り使いではありません。
委託業務の範囲内できちんとや役目を果たしているかを「管理」するのは、理事会の役目です。
往々にして、管理会社の担当者に足元を見られ、担当者の言いなりになっている理事会も見受けられるそうです。
2-6 こんな理事会は
こんな理事会にはならないように注意しましょう。
ア. すぐ感情的になる。・・・論理的ではない。
イ. 無気力。・・・なにもかも先送り、消極的。
ウ. 信頼されない。・・・組合員の後押しなしではダメ。
2-7 資産価値ゼロを防ぐ
ア. 長期を見据えた修繕・資金計画。
イ. 組合員の当事者意識。
ウ. 管理会社任せにしない管理組合運営。
3 まじかで経験した事例
3-1 管理費の滞納者問題
ア. 管理費を3年以上滞納し続ける組合員、先月分で滞納額は133万円。
イ. 対策:仕様書士に依頼して簡易裁判所で裁判となり、7月に76万円が入金した。
ウ. 弁護士に比べ司法書士は費用負担が少なくてすみます。
滞納が発生した時点ですぐに対応しなかった理事会の責任が問われます。2~3ヶ月分の滞納は督促により納入可能ですが、半年分となると右から左へと云うわけにはいきません。
3-25 理事長の暴走
理事会は毎月開催の案内が出されていたが、理事が集まらないときは書面を配付して「承認印」で済ませていた事例が紹介されました。
この状態が2年間も続き、大規模修繕のための設計コンサルタントを同じように承認印を集めて、一社特命で決めてしまいました。
突然、設計コンサルタントの調査が開始され、何かと組合員数名が理事長へ確認すると「理事会で全員一致で決まったこと。」との回答です。
不信感がわいた状態で開催された説明会は反対者多数で紛糾し持ち越しになりました。そして、陰険なムードが漂う中で総会が開催され、理事会で承認したはずの理事が組合員席から質問する珍事です。
結局、何も進展することなく、最後は「理事長解任案」が提出されました。
3-3 規約改正までの道のり
副理事長や修繕委員長の経験者から、「理事の任期は3年間ですが、なり手がいない状態です。理事会開催時はいつもぎりぎりの人数でした。一人でも欠席者が出ると、理事会決議がすべて翌月へ延期となります。
理事の不足の一番の原因は、マンション標準管理規約の中にある「居住または組合員のうちから、総会で選出する」という条文です。
規約を改正しようと総会議案に取り上げられたものの、四分の三の決議がえられずに流会となります。
このままでは理事会運営が危うくなるとの危機感から管理会社に協力してもらい、全組合員に事情を説明して、総会の出席もしくは委任状の提出をお願いしました。
総会で無事決議されて理事の定数が5名から10名になり、ようやく正常は理事会運営が可能になる条件が整いました。
3-4 規約改正が終わって
理事が増ええても順風満帆とはいきません。マンションの経年とともに組合員も高齢化し、愛着もありも思い入れが大障壁になりました。
時折、理事会にオブザーバーとして出席し、理事会で話し合い決めた内容に真っ向から反対意見を押し通したり、既に実行していることにまでブレーキをかける始末です。
丁寧に説明して辛抱強く支えていくことが必要ですが・・・。
3-5 新旧理事の引継ぎ
新理事長から全員の理事長に質問がありました。
ア. 施工業者はいつ決まったのか。
イ. 工事金額の減額交渉はできなかったのか。
ウ. いままでの理事会で決議されてきたことはなにか。
新理事会が発足して3ヶ月が経過しても、「忙しくて書類の整理をしていないので引継ぎができない。」という始末です。しかし、議事録を紐解きながら新理事長の質問に対する答弁書を作成し、裏付けとなる書面を添付しました。
3-6 引継ぎの問題点
理事会の半数以上が輪番制で総入れ替えになると、公平性・透明性は担保されますがはたしてその方法が正しいのでしょうか。理事の任期に終了はありますが、管理組合の運営に終わりはありません。
不十分な引継ぎが管理の質を下げるため、新理事会への引継ぎをルール化すべきです。
ア. 印鑑・通帳、有価証券、各種台帳、契約書類。
イ. 前理事会で継続して協議していること。
ウ. 組合以内で問題になっている事項や現状。
エ. 管理会社との間で問題になっている事項など。
チェックリストを作成して、無駄のないスムーズな引継ぎが望まれます。
3-7 オブザーバーの参加
理事会に、理事経験者や組合員に参加してもらい、開かれた理事会運営が望まれます。
但し、管理規約には「理事会は理事によって構成される。」とあるので、オブザーバーで参加する方の承認が必要になります。オブザーバーで参加する方は理事会での議決権がありません。
引継ぎ書類や議事録だけではわからないことがある場合は、経験上での知恵やアドバイスを貰えることがありますが、注意を要するのは「開かれた理事会」ではなく「無秩序な理事会」になってしまうことです。
オブザーバーでも参加などは、事前にルール化しておくことが重要です。
3-8 理事長の理想像
ア. 理事全員の意見を取りまとめられる人
決して権限を振りかざすことなく、風通しの良い組織に。
イ. マンション内の問題を把握できる人
組合員とコミュニケーションを通じて。
ウ. 組織の長としての経験がある人
管理職経験者を、理事の協力を仰いでお願いする。