1 ノラネコ騒動
1-1 なぜか好かれた
2000(平成12)年12月中旬ころ、買い物から戻ると駐車場の駐車位置に小山状の塊があります。車から降りて確かめると3回分と言える量のネコの糞でした。ごみ置き場に落ちていた割り箸で集め、ポリのレジ袋へ詰め込んで燃えるごみに出しました。
2日後に車を動かすと2回分らしいネコの糞が凍りかけています。正月用品を購入して帰るとまた小山があります。元旦の初詣から戻ると小山が初日を拝んでいます。年末年始の6日間はごみ収集車が来ないので、袋へ詰めて車の後側に置くしかありません。
南側駐車場に11台分の駐車スペースがあり、好かれたのは私が利用している9番でした。借りている者が借りている場所を汚したままにできないので清掃しましたが、いつも見事な健康体とわかる形状で残されています。自家用車の下を覗き込んで燃えるゴミに出すのが日課になってきました。
数日後に5番~8番でもネコの糞尿汚染が始まりました。次第に量が増え始めたので気の毒にと思っていると、車がいないときにきた除雪車が雪と共に多量のネコの糞を運び去りました。翌朝、車の下に新しい小山ができていましたが車の持ち主は気にも留めない様子です。
雪が減ると10番の車の下もトイレになりました。その右隣の車の下にも小山ができタイヤでつぶされています。なぜか理事たちも他の車の持ち主も問題視せず、ネコの糞を片づける様子はありません。南側駐車場の車の下は完全にネコのトイレにされてしまいました。
1-2 忌避剤を購入
百円ショップで「ネコの忌避剤」を見つけ、車の下の糞を清掃した後に置きました。翌朝見に行くと小山があり、忌避剤は風に飛ばされたようで見当たりません。二度目は2箱購入して中に石ころを詰めて重くし、並べて車の下に置くと翌朝忌避剤は胸を張っていました。
忌避剤をごみに出してほくそえんでいると3日後にまた小山が現れました。あわてて購入した忌避剤の箱に、石を詰めて置きっぱなしにしました。車の下で溶けた雪水にひたった紙箱は破れ、忌避剤だけが風で飛ばされてなくなっています。
再び購入した忌避剤の箱に小石を入れて2つ並べ、絹糸でぐるぐる巻いてから縛りました。車の下からネコの糞が消えてホットしていると、「車を降りるときになにか落していませんか。車の下に小さな箱が落ちていますよ。」と注意されました。たしかに車がないときは落し物のように見えます。
2001 (平成13)年3月19日の理事会報第80号で、「アイデアはありませんか臭気に満ちた駐車場」をお知らせしました。
駐車場では風向きによって吐き気を覚える糞便の臭気がありましたが、今度は車の下に汚物が落ちています。人間と同様にトイレは暖かいほうがよいと、エンジンが冷えないうちにくるのでしょうが、置かれた車の持ち主は迷惑です。ネコが駐車場へ入ってこなくするアイデアはありませんか。これ以上の臭気はもうたくさんです。
車の後ろ側にあるブロック塀の下部に穴があり、塩ビ管が差し込まれていることに気づきました。駐車場は表面を削って平らにしたので段差ができ、隣家の土台はブロック塀の中ほどの高さに位置します。水抜きのためにつくられた穴の中へ忌避剤を差し込んでおくと、ノラネコも飼い猫も近寄らなくなりました。
1-3 町内の苦情
2001(平成13)年4月1日の理事会報第81号で「町内会の総会終わる、深刻な問題となった ネコ と イヌ の糞尿」をお知らせしました。
理事会報第80号で「アイデアありませんか、臭気に満ちた駐車場」でお知らせしましたが、ネコの糞尿で汚染されている駐車位置は「5番」「6番」「7番」「8番」「9番」です。特に好かれたのか「9番」には見事な原型がそのまま残されていたため、車を3日ほど14番へ移動させて氷の溶けるのを待ち、3月25日にポリ袋へ収納して燃えるゴミに出しました。
借りている者が借りている場所を汚したままにできませんが、アスファルトに染み付いた痕跡は水を流しながらデッキブラシ等でこすらなければ落ちないようです。糞を撤去したあとに、ネコが嫌うという顆粒状の薬剤を所々に置いてみたところ、新しいぶつにはお目にかからなくなりました。
3月25日に開催された「町内会の総会」で、マンションの駐車場がネコのトイレと化していることをお話し、どうすればよいかと問題を投げかけました。すると、社会福祉部長より「申し訳ないが、うちのネコがその原因かもしれない」と謝罪がありました。マンション西側にある建物の二階で、3匹のネコが飼われていることはご承知のことと思います。
平成8年の8月末、マンション北側道路の側溝周辺にゴミが散乱し、道路上をポリ袋が風に舞っていました。当時は二度目の理事長であったことから、ゴミ袋をもって火バサミで集めて歩きました。マンション西側から環状線のそばまで行くと、環状夢の橋へ上る階段の後ろのほうでガサガサという物音がします。
なんだろうと回り込んで見ると小さなダンボールの箱が時折動いています。その中から、子ネコが5匹も転がり出てきました。しまったと思ったときは、両足にまとわりついています。あわてて、環状線の方へ逃げました。ついてこないのでマンションへ戻ろうとすると、草むらから飛び出して追ってきます。東側道路へ走りこんで見ていますと、鳴きながら元の場所へ戻りかけていました。いまのうちにとマンションの中へ逃げ込みました。
かすかな鳴き声が聞こえたので窓から見下ろすと、小ネコ達が北側道路上を歩いています。そこへ運悪く社会福祉部長のお子さんが通りかかりました。まだ、しっかり目が開いていない子ネコ達が車に引かれてしまう。このままにしておいたら死んでしまうと命の大切さを父親へ訴えました。私達が世話するからうちで飼ってもいいでしょう、という子供達の願いを拒否できなかったとおっしゃいます。
2匹のネコは知合いへ貰われていきましたが、残されたのはオスが二匹にメスが一匹です。増えたら近所に迷惑をかけるし、一代限りの飼育という条件をつけて社会福祉部長はメスネコに5万円の不妊手術をしました。ネコ専用のトイレも用意し、過食させないように注意しているそうです。
町内には、マンションが建つ前から一匹のノラネコが住んでいました。だれかがエサを与えているらしく、現在はそのほかにも二匹ほどいるようです。うちの車庫に入り込まれ、糞だらけにされたことがあるという役員もいました。
ネコも困るが、イヌの散歩をさせながら糞の粗末をしなくなった人がいる。雪が解けたサイクリングロードも糞だらけだと嘆く役員もいました。町内にも、とびっきり大きいのを置いていくから匂いもすごい。飼っている人は鼻が馬鹿になっているからいいが、ほとんどの人は匂いでも迷惑していることが分からないのだろうか。
はじめのうちはきちんと始末していたがここ数年は垂れ流しの状態で、あの人が後片付けをしている姿を見たことはない。なにか対策を考えなくては、というところで9時半が過ぎて総会は閉会しました。自宅で排便させてから外へ出るように躾るからと社会福祉部長さんが謝罪されていましたが、ノラだけはどうにもなりません。
ネコの習性に関する本によれば、ネコの小便はクサク、糞のクササは動物界でもピカ一といいます。ネコは待ち伏せして突然獲物に襲いかかるという狩の習性があるため、体臭が弱いことが必要条件になります。イヌのように近寄っただけでムットにおう体臭の強さでは、隠れていても相手に気づかれてしまいます。入念に体をなめて身づくろいするのも、体臭を消すことと関係がある。そして、クサイ素を体臭で使わない分だけ、排泄物が臭うといいます。せっかく買ってきた本ですが、トイレとして使わせない方法はのっていませんでした。
やはりネコの嫌いな匂いがするという顆粒状の薬剤を購入し、メッシュの袋へ入れて車の下にぶら下げるという方法しかないのではと思います。ぶら下げていれば雨に当たらず地表の水で溶かされることもありません。比較的ながく効果が持続するのではないかと考えます。そろそろ夏タイヤに取り替える時期です。この機会に、私はやってみます。
ネコの嫌いな薬剤をメッシュの袋へ入れて、落ちないようにしっかり結んでおけばノラネコだって近寄らないはずです。絶対こないようにと祈りますが、私の車をあきらめたネコはほかの車の下をトイレ代わりにするかもしれません。みんなが同じ方法をとれば拒絶できると思いますが、思っているだけで本当に効果があるかどうかはニャンともいえません。でも、挑戦する価値はあると思います。
雪解けが進むと駐車場内は糞だらけで、風向きによっては吐き気を覚える糞便の臭気が漂い、車のそばへ行くのも気持ちが悪くなります。百円ショップでネコの忌避剤を10箱購入し、ブロック塀の2メートルごとに開けられた水抜き用塩ビ管へ差し込みました。風が吹くと忌避剤のにおいが漂いますが、だれからも苦情が出ないうちにネコは近寄らなくなりました。
1-4 ベランダ下にも
2011(平成23年)年12月2日の理事会報第359号で「一階バルコニー下は猫のトイレに」をお知らせしました。
先月からバルコニー下に猫の糞があり、その都度片付けていると管理員さんより連絡を受けました。10年前の理事会報第81号で、ネコが駐車場へ入ってこなくするアイデアを募集したことがあります。
ネコの習性に関する本によれば、ネコの小便はクサク、糞のクササは動物界でもピカ一といいます。ネコは待ち伏せして突然獲物に襲いかかる狩の習性があるため、体臭が弱いことが必要条件になります。入念に体をなめて毛づくろいをするのは、体臭を拭い取って排泄するためと考えられています。
平成13年3月25日に開催された「町内会総会」で、ネコのトイレと化しているマンション駐車場の実態を解消できないか相談をしました。ご意見をいただいてネコの忌避剤を購入し、ブロック塀の水抜き穴へ差し込んでおくと猫は駐車場に近寄らなくなりました。
過去の成功経験により、29日に猫の忌避剤を一階バルコニーの砂利上に一瓶まきました。忌避剤の効力は5~10日程度ですが、ただよう独特の臭いはニャンともできません。糞尿の臭気による苦情がないので実害はないと思われますが、敏感な方々は少々の間ガマンをお願いします。
理事長任期が切れる前に残りの半分を散布すると糞を見かけなくなりました。でも、近いうちに再び悪夢が襲ってくるかもしれません。
2 飼い犬騒動
2-1 まさか!
1992年(平成4)年6月に新築マンションへの入居が始まり、10月20日の夕方「一階の区分所有者が、直上階のお宅で大型犬が走り回る音が嫌だと防音工事をしました。」と管理会社の職員より連絡がありました。
2000(平成12)年6月の定期総会で理事長(兼町内会班長)に選任されて出席した町内会の役員会で、マンションの一階で大型犬を飼育しているマナー違反の区分所有者がいると指摘されました。
「バルコニーでブラッシングをしている。」「サイクリングロードでブラッシングをして、すきとった毛をそのままにして戻っていく姿をみた」。そして「バルコニーをトイレにしてるのを知ってるかい」。まさかと耳を疑いましたが、複数の目撃者の話を否定できない雰囲気でした。
翌日の朝、一階のバルコニーをフエンスの下から覗き込みました。量販店で市販されている木製すのこ板を二枚並べて、上にループカーペットが敷かれています。バルコニー下へ下りている雨水管の敷石が濡れて強い異臭を放っていました。
数日後、植木鉢を取りに一階のトランクルームへ向かうと、バルコニーで二頭の大型犬がうろうろしています。少々離れて遠回りしましたが、トランクルームへ近づくとフエンスの下から睨みつけるように低く唸り始めました。体が大きいだけに恐怖感を覚えます。
天気の良い日は、バルコニーでうろうろしている大型犬の姿を見かけるようになりました。そばを通りかかる人を見ると威嚇するような唸り声をだします。そのうち、夜もバルコニーへ出しているようで遠吠えまで聞こえるようになりました。
2001(平成13)年3月255日の町内会総会で、一階の家はゴールデンレトリバーが三頭、二階の家でも一頭を飼育しているとの話題がでました。ネコの糞尿臭と混じった犬の糞尿臭が、風向きによって中小路を歩いているときにも感じるとそうです。総会終了後、ネコとイヌの糞尿が町内で深刻な問題となっていることを、理事会報第80号でマンションの居住者にお知らせしました。
糞尿の臭気が漂ってご近所が迷惑していること、草むらに糞便を垂れ流しにしていることを理事会で説明しましたが「そんな非常識なことはありえない。何かの間違い。」と三人の理事は誰一人信じません。町内会の役員会に出ていた苦情をお伝えし、明るい時に一階バルコニーだけでも確認するようお願いしました。
2-2 気づいた人々
2001年(平成13)年7月1日午前9時、自分たちできれいにしようとボランティアの方々が集まりました。管理会社が行う特別清掃は、共用部の廊下と階段を洗剤を使って水洗し、ワックスを塗り重ねるので廊下は黒ずんできました。借りたポリッシャーでワックスを剥離し、床を洗浄して滑り止め効果のあるワックスを塗布する作業です。
事前清掃で共用部の二階廊下へあがったボランティアの7名は驚きました。エレベーターの昇降口から大型犬を飼育している区分所有者宅まで、Pタイルの床の上に点々と血が落ちています。大型犬は雌犬であることがわかりました。
廊下の血の跡と一階のバルコニーを見たボランティアの方々は、美観を損なう共用部の使い方について疑問を感じました。他の居住者はこのような状態をどのように感じるでしょう。アンケートを実施すべきとの声が上がり、ペット問題と真剣に取り組まなければならない時期に至ったようです。
2-3 飼育者のおはなし
翌月の理事会で、バルコニーの状態をみてきた理事たちは声をあげず、注意すべきか黙認するのか対応策を問いかけても反応はありません。ご近所迷惑を放置できないからと説得してようやく注意すべきに合意しましたが、その役を買って出る者も付き合ってくれる人もいません。理事長という立場で一階の区分所有者宅を訪問しました。
「毛が飛んでくるとか臭いがひどいと、だれが迷惑しているんですか。名前を教えてください。どのような状態か聞いて調べ、本当にひどければ謝ってきます。二階の人が飼育している犬の散歩を見て、かわいいと思いペット店を紹介してもらいました。迷惑という人は、犬を飼ってみないから可愛さがわからないのでしょう。
犬が道路の草むらに糞便をするのは自然の行為じゃないですか。外でクサリにつながれている犬は、毛替わり時期に毛すきをしなくても毛は風に飛ばされてきれいになります。これも自然の姿じゃないですか。生きるということは周囲の人に迷惑をかけているものです。あれも迷惑これも迷惑といっていたら社会生活はできません。迷惑はお互い様です。少しは大人になってください。
犬が嫌がれば吠えるのは当たり前のことで、吠えるのは人間のほうに問題があるからです。犬の糞はすぐ片付けていますよ、翌朝まで放置することなんかありません。それに、バルコニーをどう使おうが私たちの勝手です。人の家のことに口をはさみ、プライバシーにまで立ち入らないでください」。
不条理な言葉と剣幕に唖然となり、ドアを閉められ二の句がつけません。迷惑をかけないようにという要望も聞けない状態をどうすべきか、理事会で問いかても意見は皆無でした。理事たちは自分に直接関係ないことは無視しているようでした。
一階のバルコニーに犬の便が放置されるようになり、床には小便の流れた痕跡がはっきり残され、雨水管下の敷石は変色し始めました。理事会のつど監事は、「隔壁越しに隣家へ飛んでくる犬の毛が洗濯物に付着していました、風向きによっては糞便の臭いが室内へ入ってきます。」と窮状を訴えます。町内会で聞く苦情などをどうすべきか問いかけましたが理事たちの反応はなく、ようやく居住者の意見を聞くアンケートの実施が承認されました。
2-4 アンケートの実施
2001年(平成13年)年10月20日の理事会報第99号でアンケート実施のお知らせを周知しました。
町内会総会前の役員会でサイクリングロードでの毛すき行為や糞便放置の指摘があり、犬小屋マンションと呼ばれているうわさばなしなども聞きました。区分所有者より、風に舞って部屋の中に入り込む長い毛や独特の臭気、走り回るうるさい足音や恐怖感を覚える唸り声。神経に障る甲高い鳴き声や、ボランティア清掃時に驚いた床の汚れ。美観を損なう共用部の使い方についての苦情も耳にしています。資産価値の低下を防止して「マンションにおける良好な居住環境の確保を図」るためにも、ペット問題と真剣に取り組まなければならない時期にきました。
これまでに行われた訴訟の判決文も入手できました。盲導犬や介護犬育成協力をしたりイヌやネコに罪がないことも知っていても、大多数の区分所有者の共同の利益を考えなければなりません。どうすべきか決めるのはあなたです。近日中にアンケートを実施しますのでご協力をお願いいたします。
2002(平成14)年2月1日にアンケートの目的と記入上の留意点などを添付してアンケートを実施しました。
2-4-1 アンケートの目的
ペット飼育から生じるトラブルは、人間の感情的側面が介在しているだけに解決が難しく、どうしても権利にばかり気を取られて弱者や被害者の救済が遅れがちとなります。解決策の策定に当たっては様々な飼育の問題点と効用を念頭におくことが大切とされ、規制の仕方についても物言えぬ方々の願いを汲み取らなければなりません。これらのことを総合的に勘案し、我々のマンションにとってどういうやり方がふさわしいか話し合う必要があり、事前にマンション居住者の意識を把握することが重要と考えました。
2-4-2 アンケートの作
アンケートは、共通意識、飼育者の意識、非飼育者の意識の三部構成で、嫌悪感や弁解などの感情が増長されるような記述式を避け、択一式回答と複数回答可の二種類を設けました。設問は、インターネットで入手できた様々な問いかけを利用しています。
2-4-3 アンケートの回収
2002年(平成14)2月1日現在の居住世帯20戸と、不在区分所有者6戸の計26戸へアンケート用紙を配付した。居住者20戸より全員回答を、3名の不在区分所有者より返信をいただき、現在空き戸室となっている区分所有者の回答を加え、全21戸分の集計結果としてまとめました。お二人の不在区分所有者のアンケート回答は参考としています。
2-5 アンケート結果
2-5-1 全世帯への設問
・ 過去にペットを飼育の有無
61.5%の方々がペット飼育経験ありと回答された。しかし、家族を含めた居住者全員を対象としていなかったため集計結果に疑問が生じた。
・ 過去の飼育動物と飼育期間
犬7票、猫3軒、小鳥3票、ハムスター2票、金魚や熱帯魚1票、兎1票。ペットの死水を取られた方々は8票。
・ 現在ペット飼育中か
ペット飼育は5票。
・ ペット飼育にむいているか
工夫しだい11票、むかない9票、ペット飼育者無回答1票。
ご意見:非飼育者より「大型犬は飼育に向いていない」。
・ マンションでのペット飼育
ルールや合意があれば9票、迷惑がかからなければ8票、禁止すべき4票。
ご意見:非飼育者より「小さな愛玩動物は可、大型犬は困る」。
・ ペット飼育設備のあるマンションの存在
テレビなどで見た9票、新聞で見た7票、人から聞いた3票、知らない1票、無回答1票。
・ 飼育ペットの被害
飼育者に苦情を言う12票、理事会に連絡する8票、損害賠償を求める1票。
ご意見:ことを大きくすべきでない。
・ マンションでペット問題があるか
(複数回答可)理事会報掲載程度のことは知っている8票、問題視されてもやむを得ないことがある7票、問題に思える現場を見ている5票、問題はない4票、苦情を言われたことがある1票、苦情を言ったことがある1票、無回答1票。
2-5-2 飼育者への設問
・ 飼育されているペット
A宅(ゴールデンレトリバー2頭、ラブラドールレトリバー1頭)、B宅(ゴールデンレトリバー1頭)C宅(ミニュチュアダックスフンド1棟)、D宅(ミニウサギ1匹、ハムスター1匹)、E宅(ハムスター1匹、金魚1匹)。
・ 飼育開始理由
A宅(とてもかわいいから)、B宅(無回答)、C宅(犬が大好きだから)、D宅(子どもが買ってきたため)、E宅(子どもがほしがった。金魚すくいですくったので仕方なく)。
・ 飼育準備は
ペットの習性や本能を学んだ5票、ペット問題の内容を理解した1票、しつけ方の訓練を受けた1票、飼い主の義務を学んだ1票。
ご意見:ペット問題の争点を調べた。管理会社や管理人に相談した。近所のご意見を聞いた。
・ ペット飼育での実践
(複数回答可)他人や近所に迷惑をかけないようしつける3票、畜犬登録をした3票、毎年予防注射を受けている3票、相談できるペットショップやかかりつけの獣医がある3票、任意の伝染病ワクチンを受けた2票、年一回はペットの健康診断を受けている2票、飼い主としてリーダーシップをとっている2票、ペット飼育訓練や研修を受けている1票。
・ 迷惑防止の実践例
(複数回答可)臭いで迷惑がかからないよう処理3票、音で迷惑をかけないよう処置3票、体毛を排水口へ流さない処置3票、廊下や階段の汚れ拭き取り2票、建物内でマーキング行為禁止2票、住居内トイレ以外での排泄禁止2票、体毛散乱防止処置1票、マンション入口での足ふき1票、共用部では抱きかかえる1票、対物対人賠償保険に加入1票、グットシチズンテストを受けている1票。
※ 人間の良きパートナーとして、社会に適合できるようにしつけられているかどうか、愛犬の社会性と飼育者のマナーを問うのが「グットシチズンテスト」で、優良家庭犬普及協会が年2回実施しています。
・ 散歩の時間帯
A宅は6~7時&20~21時。B宅はに日中不定期&21時~。C宅は17時~19時。
ABC宅とも、散歩中の糞は「必ず取る」と回答。
・ 散歩中の排泄ヶ所
外ではさせない。あちこち。公園、道路横など。
・ご意見:通常、犬は基本的に舗装部分では排泄しません。草や土の上でする自然に従順な生物です。
・ アルファー症候群と予防の知識
A宅とB宅のみ聞いたことはある。
・ ペット飼育ルールは
必要4票。
ご意見:苦情は内容次第。ペットに関しては、好きな人嫌いな人で意見が対立することが考えられる。飼う側のマナーは必要だが、人と人であっても共同生活の中では迷惑をかけるときもある。それは人と動物でも同じこと。お互い様の思いやりでそれぞれの暮らしを尊重すべき。
2-5-3 非飼育者への設問
・ ペットを飼育しない理由
(複数回答可)マンション住まいだから9票、手間がかかるから7票、留守が多いから6軒、迷惑をかける恐れがあるから5票、禁止されているから3票、住まいが狭いから3票、別れがつらいから2票、嫌いだから1軒、飼育したいと思わない1票、特別の理由はない1票。
※ 賃貸の契約書に、マンションに住んでいる方々に迷惑がかかるから、動物を飼育してはならないと書いてあります。
・ ペット飼育について
ルールを守れば13票、飼ってほしくない3票、未記入5票。
・ ペット飼育不可理由
(複数回答可)マンションは動物が好きな人や嫌いな人がいるから6票、マナーを守らない人がいるから5票、臭いや毛がへやにはいってくるから5票、道路などに排泄物を放置されるから3票、唸り声や泣き声が嫌いだ3票、洗濯物や布団に体毛がつくから3票。
・ 迷惑したことは
鳴き声が嫌いだ6票、排泄物などの異臭が部屋に入ってくる3票、唸り声がいやだ2票、飛びつかれそうになった1票、洗濯物に毛が付いた1票、バルコニー横を通った時いきなり吠えられた1票、バルコニーのそばで排泄物臭を感じた1票、迷惑はない3票(五階住人)。
3 アンケート後の対応
3-1 専門家のご意見
2002(平成14)年4月6日の理事会報第110号で、アンケート結果について日本愛玩動物協会認定の一級愛玩動物飼養管理士のご意見をいただき特集しました。
大型犬を3頭飼育しているのは「集合住宅では動物は飼えない」とのイメージを持っている一般的居住者にはかなりショッキングだったと思います。このことから、「この人非常識」「問題の多い人」との先入観をもって批難の目で見ている可能性もないとはいえません。もう少し被害状況を科学的に検証してみる事が必要になるかもしれません。確認したいのですが、規約の文言はどうなっていますか。
原始規約にペットに関する規定はありません。原始使用細則に動物の文字が含まれるのは、「他の居住者の迷惑または、危害を及ぼす恐れのある動物・植物を飼育・研究すること。」「バルコニーで動物を飼育、研究すること。」の二項目のみです。
ペットトラブルはどれくらい前に浮上しましたか。
入居して四ヶ月目ころに、ペットが走り回る騒音で悩んだ区分所有者が天井に防音工事をしたと管理会社から伺いました。防音工事をされた方から、足音以外になにかを引っかくような音がすごいというお話も聞きました。犬を飼育されているご家庭は夫婦と当時は幼児の三人家族で、騒音で悩んでいたのは独身女性です。家の中が静かなので走り回る音が響くとのことでした。飼い主はたいしたことはないと判断されたようですが、独身女性から二度とペットを飼育してほしくないとのご意見をいただきました。
また、三頭飼育されているお宅がいつも話題になります。一階と二階の方々より、夜中(午後11時や午前2時頃)に吼える声が聞こえて目覚めるとのお話がありました。窓を開けると尿の臭いや毛が入ってくる、という苦情も多いですね。
本来、防音対策は音を出す方がするものですが、やっていないようですね。一方的な意見だけかもしれませんが、一応何気なく情報があると感情論になった時は役に立つかもしれません。
嫌いだからといって専有部分での飼育に関して他人が拒絶をするのはおかしい事ですし、アレルギーという理由は出まかせの場合もあり、医師にその診断書を出してもらう事が必要になりえます。また、別の居室で飼われている動物が原因でアレルギーになることは、かなり難しいと獣医・医師共に同意見です。ただ、常にアレルギーの人の場合は廊下であったり、洗濯物などに毛がついていると症状が出ることがあります。
アンケートで、迷惑がかからなければ飼育を認めても良いと思われる方が3/4以上いますね。他のトラブルがあってからのコミュニティと比べればやりやすい方ですよ、良かった。ルールを決めて、もし違反したならペナルティを課す。こういう民意だと考えてよいかと思います。
私もアンケートの結果を見てホッとしました。寛容の精神を持たれた大人の方が多いようです。外や駐車場で苦情をお聞きしているときも、常識やルールを守ってくれればという言葉がいつも聞かれます。
やっぱりね、という感じです(汗)。先入観もあるかと思いますが、他の飼育者や飼育したいと思っている方が気の毒です。
結婚した娘は、マンション暮らしで雌猫を飼っています。飼育前に可否について意見を求められたとき、理事長を窓口にして管理組合に相談すること、アレルギーの方がいないか確かめること、上下階や同一階の方々のご意見をお聞きすること、自分さえ良ければは社会人としてのルール違反などと助言しました。結果的に、居住されているみなさん方のご了解をいただいて楽しい日々をすごしているようです。時期的なものでしょうが、ご理解いただいた方々に(異性を求める)異声で迷惑をかけないようにと最近虚勢手術を受けました。
アンケートにある、マンションは動物が好きな人も嫌いな人も住んでいる共同空間だから、唸り声や鳴き声が嫌だからというのは、好き嫌いで人の権利を奪う事は出来ませんからまず重要ではありません。臭いや体毛が部屋に入ってくるからというのは、恐らく飼い主が夏場窓を開け放している事が多いのでしょう。また、ブラッシングなどをしている時の飛ばさない対策、窓を閉めて行うとか、掃除をしてから窓を開けるなどをしていない可能性があります。また、ペットのトイレをバルコニーで干しているかもしれません。
臭いや体毛はバルコニーに犬が出ている時間帯のことで、ブラッシングもバルコニーで行い、ドレンに吸い込まれた毛がバルコニー下に落ちていることもあります。共用部であるバルコニーはトイレではないので、目的外使用は管理規約の定めに基づいて文書で排除通知をとの声もあります。
バルコニーで排泄させるということを、トイレトレーをおけばいいと勘違いしているかもしれません。実際そういうお宅がありました。また消毒等の洗浄をしないで、トイレトレーをバルコニーで干せばにおいが残っている事もあります。洗った水をバルコニーの排水溝に流せば臭いが染み付くこともあります。ただ、バルコニーで洗濯物を干していて毛が付着するというのは、マンション外の動物でも場所によってあることですので、マンションの犬猫の問題とは決め付けられません。
臭いは、隣戸に気になるほど伝わるというと少し問題です。室内がカーペットで2頭のゴールデンレトリバーと暮らしている飼い主さんの家でも犬やそのベットに顔を近づければ犬独特の臭いがしますが、空気清浄機がなくても部屋に臭いが漂っているということはありませんでしたし、特別そのお宅が掃除好きという事もありません。日頃気を使っていれば、近隣宅まで臭いで迷惑をかけないことも無理な話ではありません。
マナーを守らない人がいるからというのは、マナーが曖昧なためなのでルールとして項目を決めればすみます。ルールを設けても絵に書いた餅にならないよう、連帯責任を課す運営サークルも作らせるべきです。また、道路などに排泄物が放置されるから、規約(細則)に「町内の共有施設や住宅周辺の環境及び衛生の保持に努める。」など、近隣への配慮も記載しておきます。
また、苦情を言う側が問題の場合もあります。兵庫県で共同住宅の説明をされた公社の方は、苦情を言う側が「犬がワンと吠えた事さえ問題視する。理解が足りない。」という非飼育者の問題も意見交換会で上げていました。本来は飼い主のサークルなどでトラブルは誤解なのか、飼い主側の不手際なのかを判断し、改善策や指示は飼い主同士でやってもらいます。指導の回数も決め、全く改善が見られない飼い主には会からの脱退=飼育差し止め等を要求し、訴訟等になった場合は費用の一部を問題飼い主に負担させるなど、罰則が今回重要になるかもしれません。
一代限りの原則飼育禁止にするにも、飼い主の会の立ち上げを急いだ方が夏に向けて良さそうです。また、会ができるまで、理事会から「臨時飼育細則」を出して飼育を増やさないよう(反発して駆け込みで大型犬を飼育開始したような所もありました)、指導を出して見ることは必要だと思われます。
3-2 ペット問題の判決
マンション管理セミナーの講師をされた弁護士より、裁判の判例はペット問題についてどのように考え、どう対応すべきかの指針を与えてくれると伺いました。ペット問題についての裁判はこれまで7件ありました。
マンション管理センター発行の『マンション管理判例集』から、引用の承認をいただいて2003(平成15)年4月13日の理事会報第111号に掲載しました。ここでは、インターネットで検索できる程度に要約し、ペット問題の争点と判決に至った考え方のみをお知らせしました。
3-2-1 マンションで動物の飼育を一律に全面禁止する管理規約は無効か(平成6年8月4日東京高等裁判所)
区分所有法に定める「共同の利益に反する行為」というのは、動物を飼育する行為を一律に含むものではなく、動物の飼育により他人に迷惑をかける行為をさすのであり、具体的な被害が発生する行為に限定されるべきである。マンションでの動物飼育を一律に全面禁止する管理規約は無効でないか。
マンション内における動物の飼育は、一般に他の区分所有者に有形無形の影響を及ぼすおそれのある行為であり、これを一律に共同の利益に反する行為として管理規約で禁止することは区分所有法の許容するところであると解され、具体的な被害の発生する場合に限定しないで動物を飼育する行為を一律に禁止する管理規約が無効であるとはいえない。
3-2-2 野鳩の餌付けをしていた賃貸契約者への契約解除請求(平成7年11月21日東京地方裁判所)
賃貸契約者がベランダの手摺に餌箱を取り付けて野鳩に餌を与え始め、最近ではベランダの窓を開放して室内で鳩の飼育をするばかりか、室内でも野鳩の餌付けを始めた。このようなことをする人の退去を認め、他の居住者が受けた損害を賠償すべきである。
専有部分についての占有を終了させるための訴えを総会で決議し、使用貸借契約の解除の請求についても訴えの提起に踏み切ることを決議したものであり、マンションの管理上および多大な金銭上の損害を被らせた餌付け等の行為は不法行為である
3-2-3 犬の飼育禁止と損害賠償の請求(平成8年7月5日東京地方裁判所)
マンション専有部分で犬を飼育している者に対し、管理組合規約の規定に基づいてマンション内での犬の飼育中止を求め、飼育中止の要請を拒否して犬の飼育を継続したために訴訟を起さざるを得なくなったことは、不法行為に該当するので損害賠償を管理組合に支払うよう求める。
具体的な実害が発生した場合に限って規制することとしたのでは、不快感等の無形の影響の問題に十分対処することはできず、実害が発生した場合にはそれが繰り返されることを防止することも容易でないことが考えられる。したがって、規約の適用に明確さと公平さを期すことに鑑みれば、禁止の方法として具体的な実害の発生を待たず、類型的に有形無形の影響を及ぼす危険のおそれの少ない小動物以外の動物の飼育を一律に禁ずることにも合理性が認められる。
3-2-4 飼育禁止は権利の乱用ではないか(平成10年3月26日最高裁判所)
犬をはじめとするペットを飼育する権利は憲法13条及び29条によって保障された重要な権利であり、具体的被害なくして犬の飼育差止め請求をするのは権利の濫用である。
東京地方裁判所の判断は、証拠関係に照らし正当として是認することができ、その過程に違法はない。論旨は違憲をいう点を含め、独自の見解に基づいて原判決の法令違背をいうものにすぎず、裁判官全員一致の意見で本件上告を棄却する。
なお、中高層共同住宅使用規則モデル、ペット飼育細則例1と2、ペットクラブ会則例」、前月に札幌市内で販売されたマンションの「ペット飼育細則」は割愛しました。
3-3 区分所有者の意志
アンケートの結果と日本愛玩動物協会認定の一級愛玩動物飼養管理士のご意見、ペット問題の判決などを周知して、どのように取り組むべきか「区分所有者の意志」を確認するアンケートを実施しました。不在区分所有者と賃貸居住者を含めて26枚配付しましたが、2軒の在住区分所有者は督促しても提出がなく回収率は92%でした。
5月18日現在でペット(小鳥及び観賞魚以外)を飼育しています
飼育している3票、飼育していない17票。
ペット飼育についてあなたの最終決断はどちらですか
ペット禁止5票、条件付きで飼育許可18票。
ペットの飼育禁止方法
管理規則や使用細則に飼育禁止条項を新設して議決8票、総会で飼育禁止を審議して議決2票。
5月15現在飼育のペットについて
飼育マナーの改善後は一代限りの飼育を認める12票、一切飼育を認めない1票。
他の人居迷惑をかけないために
飼育者による仮称ペット飼育委員会の設立5票、飼育者以外も含めた仮称ペット飼育委員会の設立14票。
飼育者のマナー向上のために
仮称ペット飼育委員会によるペット飼育細則の制定11票、理事会原案によるペット飼育細則の制定8票。
3-4 絶句した出席者
管理人に見てほしいものがありますと呼ばれました。「共用部の清掃後はごみを捨てて掃除機の内部を清掃していますが、最近は三回に一回は掃除機内を清掃しなければなりません。西棟の一階と東棟の二階以外の階にも毛が散乱しています。マンション出入口扉の開閉時に風が入るので一階から六階までの廊下には飛ばされた毛が散らかります。除機の中を見てください、これで三回分です。この内部を清掃するのに1時間以上かかります。吸い込んでいるごみの大部分は犬の毛です、なんとかしてもらえませんか」。
2002年(平成14)年6月23日の定期総会で、出席者より「理事会報の記事は一方的で、特集したペット問題の記事がしつこすぎる。」「なにも問題がないのに取り上げるのはおかしい。」という強烈な意見がでました。「理事会は複数の方々から苦情をいただき、現状を確認したうえで問題を提起しています。アンケートの結果では、飼育禁止を望まれている方が5分の1いらっしゃいました。
理事会報の記事は一方的とのご意見ですが、理事会報の最終部に「管理組合へのご要望やご意見、改善すべき点などがございましたら、下記へ電話をいただくかメモで理事長のメールボックスへお知らせください。」と毎号標記し、自由にご意見をいただける機会を設けています。マンション管理セミナーの講師をされた弁護士が理事会報の標記をご覧になり、「たとえ裁判沙汰の問題がもちあがった場合でも、理事会は門戸を開いていると認められる。」との評価をくだされました。
なにも問題がないとおっしゃいますが、電気掃除機のゴミパックの内容物を持参したのでご覧ください。エントランスホールに散乱している犬の毛がドアを開けるたびに管理人室内へ舞い込み、六階廊下までも風に乗って散らばっているのが現状です。散乱している犬の毛を清掃するのは管理人の業務ではありません。管理人さんにもご迷惑をおかけしているので、このような事態を多数決だけで解決せず、多くのご意見をいただきながら話し合いたいので問題を提起しました。」と私の考え方を説明しました。
アンケートの分析結果を踏まえ、「飼育者以外も含めた仮称ペット飼育委員会を設立してペット飼育細則の制定を図り、飼育者のマナーを向上させながら現在飼育している動物は一代限りの飼育を認める」ことを審議いただき承認されました。
総会で承認された仮称ペット飼育委員を公募すると四階の区分所有者1人の応募しかありません。どうしようと考えていると、1ヶ月後に姉と暮らすことになりましたと転居されました。理事長は南面大規模改修の準備に追われ、ペット問題に目を向ける余裕がなくなりました。
2003(平成15年)年8月31日の臨時総会で、仮称ペット飼育委員会の委員を募集しても皆無であることを報告し、今後どのように進めていくかを話し合いましたがペットの飼育者は欠席しました。このため、南面大規模改修の工事説明会終了後に話し合いを持つこととしました。
2003(平成15年)年9月3日の理事会報第147号で「引き続きバルコニー使用で話し合います、ペット飼育者は必ずご参加ください」とお知らせしました。
臨時総会で話題が出ましたが、大型犬の飼育者が出席されていないことから工事説明会に引き続いてベランダの使用についての話し合いをもつことになりました。ペット飼育者は必ずご参加のうえご意見をお聞かせください。
ア. 現状説明
1) 現在室内で大型犬を飼育されているご家庭が二軒あります。管理規約と使用細則に飼育に関する規定がないことから、飼育が黙認されています。
2) 管理者から見た建物内部の状態について
3) 管理者から見たバルコニーの使用状態について
イ. 将来への危惧
1) 南面改修工事でベランダはウレタン防水塗装を行います。この機会に、ペット飼育のあり方をルール化することが望まれます。
2) 今後、予想される被害の例を説明します。たとえば、602号で大型犬を飼育し、ベランダで排泄させたとします。当然排泄物は排水溝を伝い、さらに縦といを通って一階まで、各階のベランダの一部に臭気を染み付けながら、風向きによっては洗濯物に排泄物の飛沫を飛ばしながら地面へと落ちていきます。この場合、臭気がひどいから止めてほしいという5~1階の方々の主張は通るでしょうか。答えはノウです。止めることはできないのです。一階を黙認している以上、六階は禁止するというわけにはいかないのです。マンションという同一建物内で、例外があってはならないのです。
ウ. 処置しなければならない管理上の問題
1) 話し合いによる臭気汚染の除去
2) 参考法令など 区分所有法第6条第1項・区分所有法第13条・区分所有法第57条第1項・管理規約 別表第3 バルコニー等の専用使用権(用法 バルコニーは緊急時の避難通路として)
しかし、2003年9月7日の南面改修工事の施工会社の工事説明会もペット飼育者は出席されません。
3-5 飼育者との話し合い
南面大規模改修の打ち合わせで、バルコニーの雨水排水用ドレンの付け根から水漏れの痕跡があると言われて見に行きました。フェンスに上ってバルコニー床面のドレンをみると、二軒はきれいでした。三頭の犬を飼育しているお宅のドレンは、毛が付着して詰まっているような状態です。
理事会でドレンの写真や掃除機内部の吸い込んだごみの写真を見せると、五階の理事と六階の副理事長から毛が風に乗って飛んでいるのを見かけた、床に毛が落ちているのを見かけたとの発言がありました。工事責任者へ「悪臭を放つ共用部のアンモニヤ汚染部分をどうするか」の回答が必要となり、犬を三頭飼育している一階の区分所有者へ最近の掃除機内部の写真を添付して9月15日の理事会へ強制的に参加を要請しました。
やっと顔を見せた三頭の犬の飼育者ご夫婦より意思表示がありました。「バルコニーの床が南面大規模改修でウレタン防水となるため、犬を出すこともトイレに使うこともしません。一階のエントランスホール内に落ちている抜け毛は管理人が来る前に清掃して迷惑をかけません。風除室のガラス戸が汚れたら乾かないうちにふき取ります。西棟内の臭気を消すための消臭剤を置かせてください」。
ご夫婦にお引き取りいただいた理事会で、バルコニーから伸びている雨水管から流れ落ちて染み込んでいる三頭の犬の尿、同一位置に駐車場を通過するペットがマーキングしている土壌汚染をどうすべきかご意見を求めました。混合した臭気で複合汚染されている状態を放置できず、工事責任者へどのように回答するか意見を求めましたが発言はありません。
3-6 光触媒で消毒
2002年(平成14)年10月11日にみえた清掃資材販売会社の社長が、「いまテレビなどで話題になっている光触媒のサンプルをもらったので試してください」と、百ミリリットル入りの容器を置いていきました。
2002(平成14)年10月11日の理事会報第157号で「汚染土砂を産業廃棄物として処分、汚染物質は光分解で無害化」をお知らせしました。
改修工事の廃棄物は重いので、土のう袋には持ち運べる程度しか入れることができません。工事責任者の許可を得て、産廃ごみ箱内部を漁りました。土のう袋に廃棄物を口まで詰めていくと、6枚の土のう袋がカラになりました。
コンクリートブロックの1.5倍の広さの穴を掘り、掘り起こした土砂はすべて土のう袋につめて産廃ごみ箱へ捨てました。産廃ごみ箱は14日の午後、処分のために専用車が運んでいきました。穴は、駐車場のブロック塀そばに積もっている車粉と、側溝清掃時の土砂類を埋めてならしました。
砂利が塗れて見える右側の写真は、水溶性酸化チタン溶液を原料とした光触媒を噴霧したものです。酸化チタンは太陽光に含まれる紫外線で科学反応を起し、付着している有害物質を水と二酸化炭素に分解します。人畜無害で、脱臭と除菌効果があります。
2003年(平成15)年10月26日に五階の区分所有者が引っ越し、新たな区分所有者が引っ越してきました。玄関で犬を抱えた高齢者に出会ったので「現在、飼い犬のことで問題になっていることがあり、飼育規則が必要ではないかと考えているんですよ。」と声をかけました。すると、「規則をつくったって、守る奴なんかいるか。」と、捨て台詞を残してエレベータに乗られました。
4 町内会の怒り
2004(平成16)年6月6日、平成16年度定期総会開催日の朝、町内会の会長・副会長・会計部長・環境部長・総務部長より、マンション管理組合の定期総会で組合員へ飼育マナー違反について厳重注意事項を周知するよう依頼されました。改善がなされない場合は、飼育者を町内会の役員会と総会へ召致しておはなしを伺いますと、これまでにない強い要請です。
マンション管理組合の理事長である私は対応に苦慮していることから、許可をいただいて町内会名で町内会員全員へ「警告文」を配付しました。
ア. サイルリングロードや公園で、犬をつなぐクサリをはずして公園内で運動させる飼い主の姿を見かけます。クサリをはずす行為は禁止されていますし、公園は犬の運動施設ではありません。即座におやめくださいますようお願いいたします。
イ. サイルリングロードや公園で、飼い主が犬に糞便をさせている姿を見かけます。公園は主に幼児や小学生が遊ぶところですから衛生面も特に注意しなければならず、町内会の役員は交代で清掃をしています。糞便で汚れた草むら中で、あなたはご自分のお子様を遊ばせるでしょうか。他人の子供のこともお考えいただき、公園で糞便をさせる行為はお止めくださいますようお願いいたします。
ウ. サイルリングロードや公園で、飼い主が犬の毛すきをしている姿を見かけます。すきとった毛を風に飛ばされるままにしているため、風下にあるお宅の庭木や網戸に張り付き窓を開けたときに室内へ飛び込んで嫌悪感を与えています。犬の毛すきは、飛散しないように自宅内で換気を止めて行うべきものです。今後は、表での毛すき行為はお止めいただきますようお願いいたします。
エ. 他町内の飼い主や飼い犬も、公園を訪れていることは知っています。今後飼育マナー違反といえる迷惑行為を発見しだい町内会役員が厳重注意を行います。この旨を近日中に回覧でお知らせいたします。
5 悪夢のあと
飼育者はエントランスホールを管理人が来る前に清掃すると約束しましたが、きちんと清掃していたのは最初の2~3日だけで次第に回数が減り、1ヶ月にはやめてしまったようです。エントランスホールや風除室に毛が散乱し、ときには糞便も落ちていることがありました。
2008(平成20)年9月、あまりにもひどい状態なので飼育者宅を訪問しましたが、インターホンを鳴らしても返事はありません。エントランスホールが汚れすぎているので、約束通り清掃してくださいとメールボックスへメモ書きを入れても改善されません。やむを得ず、このままでは犬をマンション内へ入れることを禁止することになりますと、配達証明郵便で注意しました。
消臭剤はエントランスホールの花瓶などを置く棚に置かれていました。マンション入口の扉を開けると正面のもっとも目立つ位置になります。訪問者から嫌な臭いがするマンション、犬小屋マンションとのささやきが聞かれるようになりました。
しかし、改善されたこともありました。バルコニーのすのこ板とループカーペットは撤去され、トイレが姿を消すとバルコニーで犬の姿を見かけることがなくなくなりました。駐車場に漂っていた臭気は消え、三頭飼育者の車には運搬用の頑丈なゲージが三箱積まれていました。助手席に犬を乗せて出かける区分所有者の姿も見かけるようになりました。サイクリングロードや公園での毛すき行為はなくなり、町内道路ふちの草むらから糞が消えました。町内や公園で大型犬の姿を見かけることもなくなりました。
高齢だったミニチュアダックスフンドは寿命を全うしました。管理人のご苦労に手を合わせながら時間が解決するのを祈っているうちに、二階のゴールデンレトリバーは病死しました。一階のゴールデンレトリバー2頭は相次いで寿命を全うし、ラブラトールレトリバーもあの世へ旅立ちました。そして、マンションから犬の姿が消えました。
6 動物飼育の細則
6-1 細則草案の提示
2010(平成22)年5月の定期総会で「原始管理規約と原始使用細則の早期改正」が承認されました。犬の飼育について問題が出たときに実施したアンケートに対する日本愛玩動物協会認定の一級愛玩動物飼養管理士のご助言、「マナーを守らない人がいるというのは、マナーが曖昧なためでルールとして項目を決めればすみます。ルールを設けても絵に書いた餅にならないよう、連帯責任を課す運営サークルも作らせるべきです。」に基づいて練った試案を、21010年(平成22)年5月27日の理事会報第310号で「愛護動物飼育に関する細則草案」として提示しました。
動物は人に自尊心、責任感、必要とされている気持ち、自立心や安堵感、笑いや楽しみをもたらし、ストレスや孤独感を癒すという緩衝作用があります。話し相手となるような愛護動物が身近にいると、一人暮らしの高齢者の感情調整や意欲向上、痛み緩和などにも役立ち、「アニマル・セラピー(療法)」よりも「アニマル・ヒーリング(癒し)」効果が認められています。
しかし、動物は触れるのはもちろん見るのも嫌という人もいます。「動物の毛」が原因となるアレルギー体質の人もいます。法治国家では、基本的な規制を定めて守ることを義務として規制の中での自由を認めています。
ペットクラブという名称は安易に使われ会則や細則も安易に扱われる傾向が強いと考えられます。これを踏まえ、「ペット」を「愛護動物」、「ペットクラブ」を「愛護動物飼育会」としました。細則の章の必要理由などを述べた「コメント」、必要理由を文章化した「モデル条文」、マンションの所在地状況等の個別事情等を「考慮事項」で述べたうえで、管理規約の条文をどのように表現すべきかを示す「条文草案」の順にまとめました。
6-2 細則の承認
2010(平成22年)年5月31日の理事会報第311号で「愛護動物飼育に関する細則と愛護動物飼育会」の細則原案を提示しました。2010年7月14日の理事会報第316号で、様々なご意見を加味した「愛護動物飼育に関する細則と愛護動物飼育会」の修正案を提示しました。
2011(平成23)年5月の定期総会で、「愛護動物飼育に関する細則(案)」と「愛護動物飼育会会則(案)」が21票中20票(動物飼育未経験で委任状未提出者1名)で承認されました。ペット飼育に関する問題が持ち上がってから20年、飼育者と理事たちの顔色を伺いながら決断を鈍らせた私の優柔不断が解決を長引かせたのです。