1 陥没する化粧タイル
2000(平成12)年4月末、築後8年目で西棟外玄関前のインターロッキングが陥没し始めたそうで、管理会社は建築会社へ修理を依頼して補修費用は38,900円と定期総会で報告しました。写真や見積書などは保存されず、どのような状態になったのか確認することはできません。
2001(平成13)年4月上旬に東棟玄関前のインターロッキングは北側の化粧タイルが陥没し、敷き詰められている化粧タイルは少々沈下して一部はゆがんだ状態になりました。
2001(平成13)年5月6日の理事会報第85号で、「外階段北側陥没穴と玄関周囲のアスファルト補修」をお知らせしました。
4月5日付け文書でアスファルト陥没穴の補修をいただき、続いて4月25日付け文書で要請した現地調査は、5月1日午後4時から白石区役所土木センターの職員2名で実施され、休暇をもらって立ち会いました。
理事長の要請は「道路上の雨水がマンション東側の玄関前に流れ込み、途中にある排水溝は用をなしません。玄関前にたまった雨水は、敷き詰めてある化粧ブロックの下砂を流し去り、二年に一度は補修しなければなりません。
今年は雪解け水が大量に集まったので下の砂を流し去り、外階段北側には陥没穴ができました。幅5cm、深さ40cmもの穴が長さ1mに渡ってでき、補修業者に見積もりを依頼すると道路の下まで穴があいているので道路の補修が先と云われました。道路の補修を考慮いただきながら最善の方策を教えてください。」というものです。
2 いただいた助言
調査結果は「玄関前に道路上の雨水が溜まるような構造で、砕石を入れずに砂の上に化粧ブロックを並べているのは設計上問題がありすぎます。外階段北側の陥没穴ですが、ご覧のとおり地面の下に申し訳程度のモルタルを敷いて砂を乗せ、その上に化粧ブロックを並べているだけですから、車のタイヤなどが乗ればモルタルは割れます。そうなると、建物の壁や階段をつたい落ちた雨水や、道路からの排水溝へ向かう雨水が流れ込むようになるのは避けられません。
西側の玄関もそうですが、もっとも良い方法は、化粧ブロックと砂をすべて取り除いて砕石を入れ、階段の最下段の中間位から傾斜をつけて「全体をアスファルト舗装」にすることです。このままでは建物地下の基礎部分へ雨水が浸透し、土とコンクリートの間に隙間を造ってしまいます。補修費の削減も考慮されるなら、砕石を入れてから全体をアスファルト舗装することをお勧めします。」というものでした。
陥没穴には職場から持ってきた木材を挟み込んでいますが、2~3日雨が降れば穴は次第に大きくなって危険性が増します。理事長としては、砕石を入れて全体をアスファルト舗装するのが最善と考えています。
3 美観を優先?
区分所有者にアンケートでご意見を求めるとお二人より、「美観をそこなうので購入したときの状態に復元すべき。」とのご意見をいただきました。
理事会では問題点を検討しました。大規模修繕の実施時期には区分所有者の修繕積立金月額の負担増が避けられず、2~3年後に実施される場合は不足額の臨時徴収も避けられないでしょう。年金生活者が増加して費用負担が重荷になることは明白であり、安価な費用で比較的長持ちのする補修は各世帯の負担を少なくできます。
しかし、美観の保全に努めたいとの願いも理解できるので、「購入時の状態に復元する場合」と「全体をアスファルト舗装する場合」の二通り見積もりを取り、修繕費用額と耐久度を示したうえで再提案することにしました。東側玄関前はもちろんですが、昨年補修した西側玄関前の化粧ブロック敷設部分も沈下し始めました。
4 個人判断の対象外
2001年(平成13)年6月7日の理事会報第87号に、「冷静な対応をお願いします共用部は個人判断対象外なのです」の記事が掲載しました。補修業者の現場確認があるので、陥没穴をふさいでいた木材を取り出していたときのことです。
東側玄関外の北側にできた陥没穴を埋めてくださった方がいらっしゃいます。いつ補修工事をするのか分からず、見るに見かねた善意で補修されたのでしょう。美観を損なうとイライラさせて申し訳ありません。お気持ちは痛いほどわかりますが、理事会として、立場上お伝えしなければならないことがあります。ご好意はありがたいのですが、せっかくの行為は共同生活を営む上でのルール違反となることを御理解いただきたいのです。
マンションの管理規約には、「第21条 敷地及び共用部等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。」「第31条 管理組合は、次の各号に掲げる業務を行う。一、管理組合が管理する敷地及び共用部分等の保安、保全、保守、清掃。」という定めがあります。
管理組合は管理規約と使用細則の定めに基づき、総会で承認された事項の具体化などを理事会で話し合いながら遂行しています。インターロッキングの修繕については、2~3年おきに費用をかけて修復するのがいいのか、簡易修復で比較的長期間持たせるべきか、抜本的な大改修が良いのか、費用負担で苦しむことにならないかなどを含めて、将来的にもかなりの出費を伴うことから、区分所有者全員の合意を求める必要があると判断しました。
過日のアンケート結果から、更に二通りの見積もりを取ることになりました。見積書が届いた時点で再検討し、望ましい方向へむかって一定の結論を出し、再度ご意見を伺うことにしたとお知らせしています。
理事会はなんでもすぐにできる、というわけにはいかないのです。見積もりを取るにしても相手の都合もあります。生活を支える仕事をもっている関係で簡単に休みを取ることもできません。理事会の動きはできるだけ早めに理事会報でお知らせしています。予定よりも若干遅れていることは認めますが、投げ出しているわけではないのです。
共用部の状態を気づいた方が、自分の判断で補修しても良いとなったら大変です。本人の善意からでたことであっても、管理組合や理事会の存在を否定し共用部を私物化していると思われるのです。そして、事故が発生したら責任問題がつきまとうのです。よかれと思った行為が、どれほど大きな波紋を呼ぶか冷静にお考え下さい。どなたにも言えることですが、共用部を自分の都合で利用したり修復することはできないのです。ルールはあなた自身を守るためにあることをお忘れなく。
5 登録業者の工事
2001(平成13)年6月7日の理事会報第87号で「入居時の状態への、復元工事を決定!」をお知らせしました。
第七回理事会と修繕計画作成委員会での話し合いを受けて、理事会報第85号で補修方法の提案を行いましたところ、工事実施について反対の方はありませんが、お二人より現状復元の希望をいただきました。理事会報第86号でお知らせしましたが、修繕費用額と耐久度を示したうえで再提案するため複数の業者に現場確認を依頼しました。
業者の見積もりに立会い、「購入時の状態に復元する場合」と「全体をアスファルト舗装する場合」の二通りの見積もりが必要と説明しますと、どの業者も「アスファルト舗装は美感を損なうので不適当です。きちんと工事をすれば、2~3年で沈下することはありません。」「じゃあ、これまでの工事はいいかげんだったということか。」「いいえ、私どもが工事をすれば簡単におかしくなることはありません。」といいます。
インターロッキングは階段一段目の中間まで高めにして道路側へ傾斜をつくり、これまでのように雨水が流れ込んで水溜りができないようにしてもらいます。
理事会は、札幌市競争入札参加資格者として登録され、建物修繕実績がありまじめな仕事が評価されている業者に「購入時の状態に復元する」ことを原則に、インターロッキングは階段一段目の中間まで高めにして道路側へ傾斜をつくり、雨水が流れ込んで水溜りができないようにする工法で、16万5千円を提示した業者に工事を発注しました。
2001(平成13)年6月23日の工事の様子を見て間違いに気付きました。土木センター職員の助言を忘れ、砕石を入れずに「購入時の状態に復元する」工事だったのです。
6 すばやい対応
2002(平成14)年4月中旬の巡回中にマンション北側道路のアスファルトに穴が開いていました。メジャーを差し込んでみると深さは15cmあり、体重で陥没したら足を骨折するかもしれません。
昨年補修した東棟インターロッキングの縁石角、測量の基点がある道路側が沈下しています。測量基点と道路の隙間にメジャーを入れると17cmの深さがありました。自転車が通り抜けていくこともあるので、陥没したら怪我をする危険性があります。
北側道路の穴があいた部分は、「ガス会社が工事をしたところなのできちんと補修するように云ってある」と、4年前に土木センターの維持管理係より説明伺いました。様々な事情があることは理解できますが、事故が発生してからでは遅すぎます。
土木センターの維持管理課長宛の補修依頼文書に、平成13年4月17日発行の理事会報第83号を添付して持参しました。事情をご理解いただき一週間後に工事が終わりました。
7 考えた改善策
2003年(平成15)年4月に入ると、東棟玄関前のインターロッキングが再び陥没し始めました。崩れた状態の化粧タイルの間へ、雪解け水が音を立てて流れ込んでいます。北側の道路と接する位置の化粧タイルも沈下が始まっています。インターロッキングへの立ち入りを禁止するため、百円ショップから購入した鉢に土を詰め、冬囲い用の竹を立てて紐を張りました。
2003(平成15)年4月18日の理事会報第136号で「インターロッキングの改修工事」をお知らせしました。
北海道マンション問題支援ネットワークの元代表が推薦された業者で、昨年代表がお住まいのマンションでインターロッキングが広範囲で陥没したのを見せていただき、その修繕を担当された業者の工事結果も見てきました。道内一の技術をお持ちとうかがっています。
パートナーの一級建築士をお招きして見積内容を検討しました。この結果、後者の提案された修理方法と費用が妥当とされ、事故防止と美観を損ねることから、平成14年度の修繕費で早急に工事をすべきと決定されました。
上部左の写真でわかるように、道路のマンホールよりも位置が低いので雨水や雪解け水がインターロッキングへ流入して砂を流し去ります。陥没状況を見に来られた二業者は、このまま放置すると雨が降るたびに陥没してあと60~80cmは下がるので早めの修繕が必要とのことでした。
インターロッキング全体を玄関外階段一段目と同じ高さに引き上げて、表面は入居した当時と同じ状態に復元します。インターロッキング外側にある長方形の縁石を、玄関外階段一段目と同じ高さのものに交換して水の浸入を阻止する方法を考えました。
理事長が考えた改善策での見積書がそろったので、5月12日開催の理事会へパートナーの一級建築士をお招きして見積内容を検討しました。一社の費用が妥当とされ、事故防止と美観を損ねることから早急に工事をすべきと決定しました。
8 侵入水を遮断
2003(平成15)年6月3日の理事会報第137号で、インターロッキングの改修工事終わる」をお知らせしました。
5月26日の午前8時より午後3時にかけ、東側インターロッキングで強風に舞い上がる砂を頭から浴びながら工事が行われました。砂利をつき固めて砂を入れ、三種類の石を規則正しく並べていくと敷地が変形していることがわかりました。階段部分より庭園側東角(測量基点)は10cmほど南側へ広くなっています。しかも、石の組み合わせは規則性を保つと変形し、建築完成時点は三種類の石が正しい配列になっていないことも分かりました。
このままでは美観が損なわれると、電動カッターをもちいて誤差3mm以内という精度で石を切り出し、不足した長方形の大きな石四個を倉庫へ取りに戻って補充されました。工事の内容は写真でお分かりいただけると思いますが、インターロッキング施工は道内一といわれる施工会社です。
排水枡よりインターロッキングが低いので、雪解け水が流れ込んで砂も砂利も流されました。すべてを取り除いて穴を塞ぎ、全体を高さ15cmの縁石で囲み、砂利を入れて突き固めてから、砂を入れて石を敷き詰めました。平らになるように機械で突き固め、縁石の外側を測量基点の高さまでアスファルトを敷き詰めて、踏み外すなどの捻挫事故を防止し、雪解け水や雨水が滞留しないように傾斜をつけました。工事費用は税込で173,250円です。
インターロッキングの全体を高さ15cmの縁石で囲み、縁石の外側を測量基点の高さまでアスファルトを敷き詰めて踏み外すなどの捻挫事故を防止し、雪解け水や雨水が滞留しないように傾斜をつけました。