はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第17章 屋上防水層の危機

屋上の防水層を点検して、アルミアングルとの隙間をふさぎ、金属腐食爆裂を発見して応急処置をし、禿たり裂けていく防水層を補修し続けました。19年目で大規模修繕を迎えると、工事関係者に屋上の防水層を補修した理事長を見たことがないと言われました。

1 最初の発見

1-1 防水層の損傷発見

1996(平成8)年11月20日の理事会報第48号で「屋上ドア塗装工事」をお知らせしました。

屋上への出入口(エレベーターの保守やルーフドレンの清掃用)の扉の下部と、扉を抑えつ建具部分は腐食し始めています。

金属が長時間水に浸かっていたり、断続的に水没を繰り返していると酸化することは知られています。この酸化状態をみますと、そうとう長い期間にわたって断続的に、15cm程度の水が屋上に溜まっていたと推測できます。

壁の防水被膜が裂けていますから、そこから内部へ水は浸透したはずです。コンクリートが水を吸うと鉄筋を腐食させます。乾くときにまた壁面やタイルに亀裂を残します。

管理組合の役員はもちろん管理人も管理会社の職員も屋上へ出ることはなく、初代の理事長である私が鍵を預かってボランティアで屋上点検をしていました。屋上出入口の扉の下部が腐食し始めているのを点検中に、防水層が裂けているのを発見しました。塔屋の踊り場に剣先スコップがあるので、エレベーターの点検技術者が除雪する際に誤って傷つけたと推定できます。

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1-2 管理会社へ補修依頼

1996(平成9)年2月5日の理事会報第50号で「屋上出入口の横、防水層の亀裂は補修されていなかったので(管理会社へ)再度依頼しました。」とお知らせしました。

1996(平成9)年3月1日の理事会報第51号で「屋上出入口の横、防水層の亀裂は雪解け後でないと着工不可能と(管理会社から)連絡がありました。」とお知らせしました。

1996(平成9)年5月28日の理事会報第52号で「屋上防水壁の亀裂は、雪解け後に着工しますと(管理会社から)連絡があったままです。」とお知らせしました。

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1-3 第二期役員へ引き継ぎ

1996(平成9)年6月20日の理事会報第54号で「工事関係についてこれだけは知っておいて」をお知らせしました。

屋上出入口の横、防水壁の亀裂は雪解け後に着工しますと(管理会社から)連絡があったままになっています。時間の経過とともに雨水がしみ込んでセメントや鉄筋を劣化させます。とりあえず樹脂系のボンドを購入してふさぎました。工事費は支払い済みです。

金属製の柱の付け根が腐食していますのでサビを落としてから、サビ止めを塗布しそのうえにペンキを塗る約束でした。右が半年後の修繕状態です。こんな仕事で代金はしっかり取りました。

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2 防水層の状態

1996(平成14)年5月19日の理事会報第116号で「屋上の防水幕の異常を発見」をお知らせしました。

ふたつの写真中央の壁をご覧ください。コンクリートの壁を覆う防水幕が膨らんでいます。指で押すと引っ込みますが離せば元通りに戻ります。まるで中に水がたまっているような膨らみ具合と、弾力ある感触です。

防水幕を抑えているステンレス板と防水幕の境目に施されたシーリングが劣化し、雨水が入ったのではないかと考えられます。水が浸透して抜けた空間に、現在は空気がたまっているように思えます。東西の五階と六階に同様な部分が多々ありますので、建築会社に診てもらうよう管理会社の担当者にお願いしました。

右の写真は、屋上北側の壁と防水層です。よく見ると、壁と防水層の間に隙間があります。この隙間は東西に7.2mほど連続し、隙間の巾はおよそ2cm程度あります。北側の外壁がサイクリングロード側へ向かって倒れかけている、わけではありません。防水層の縮みによるのだそうです。左の写真は屋上西側の壁と防水層の隙間です。1m程度のものが断続して無数にあります。

デジカメで撮影した50枚ほどの写真をCD-ROMに焼いて、ツアー参加されてコンピュータをもたれていそうな方々へ贈呈しました。さらに、管理会社へ1枚贈呈し、調査の時の訪れた建築会社の分も管理人室に用意しました。CD-ROMに記録した中の一枚が右の写真です。防水シートが屋上表面に出ている状態をとらえています。奥の壁をつたった雨水は、防水シートの下へ流れ込むでしょうね

5月16日夜、「建築会社と連携して屋上を重点に調査を行うことになりましたので日程が決まりしだい連絡します」と、管理会社の担当係長より対応状況をお知らせいただきました。時間が取れれば、理事長も立ち会うことにしました。

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3 捨てる神がいれば

2002年(平成14年)年6月10日の理事会報第54号で「技術者三名の目視調査」をお知らせしました。

6月8日13時20分、大規模修繕コンサルティング業務費用の見積もりを依頼していました建物診断建築設計協同組合の技術者が3名おみえになり、2時間にわたって施設設備の目視調査を行いました。

最初は西側五階屋上の防水状態を確認しました。管理会社を通してマンションを建てた建築会社に点検をお願いしていましたが見捨てられた状態ですので、マンションツアーで発見した防水層のふくらみを見ていただきました。素人は、笠木と防水層の接点から水が浸透して膨らみ、水が抜けたあとに空気層ができていると推定していた部分です。

打診棒で広い範囲を叩きながら反響音を聞いていましたが、防水層を銀色の太陽光反射材入り防水塗料を塗布するだけで、まだまだ持ちますという判断でした。下の戸室で雨漏りがするようになったら、全面の防水層を取り除いてやり直さなければなりませんが、それまでもたせたほうがいいでしょう。屋上防水は一般的に三層構造になっていますから、一箇所を切り取って内部を見るというわけにはいきません。切り取った部分は一層だけ防水層を貼り付けますから、接着部分劣化による雨水浸透のほうが恐ろしいのです。これは、躯体コンクリートと防水層を密着させる接着剤がはがれて、その間に空気層が出来たものと思います。どこも雨漏りがしていなければ、このままにしてもたせましょう。へんに触るよりも、もつだけもたせるというのが屋上防水の基本です

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4 恐怖を超えて

2003(平成15)年7月1日の理事会報第140号で「やり遂げた屋上のシーリング」をお知らせしました。

理事会が問題視しているのは、マンションツアーで目視した屋上のパラペットで、立上がり部分が所々あなたの、失礼、理事長のおなかのように膨らんでいたことです。

パラペットにかぶせた防水層は、ずり落ちないようにアルミアングル笠木で押え、ネジ止めされています。このネジが鉄製(通常はステンレス製)のため、サビて浮き上がっています。左の写真でお分かりいただけますが、アルミアングル笠木が浮いて防水層とのあいだに隙間ができてしまいました

この隙間へ、雨水などが流れ込みます。防水層のしたへ回り込んだ水は、コンクリート内部へ浸透し、鉄筋を酸化させてしまうのです。

セメントと砂利を混ぜて水で溶いたのが生コンクリートですが、これを枠の中へ流し込むと、しだいに水が抜けて乾燥します。水が抜けた分だけ圧縮するわけではありません。硬いコンクリートの内部は、水の抜けた穴だらけのスカスカ状態なのです。スカスカに水が溜まってもタイルが邪魔で出られず、重力に耐えられなくなると建物の内側に噴き出します。五階や六階の被害はチョロチョロ程度でも、下へ行くほど水の量は多くなります。一階の天井を破壊して流れ落ちた惨状写真も見てきました。恐ろしい光景です。

6月24日の午後3時で、屋上の防水強化作業が終わりました。防水層とアルミアングル笠木の接触部分とネジを、水が入らないように変成シーリング材で埋めてしまいました。

右の写真のエレベータ機械室屋上部分(九階に相当する高さ)は理事さんにご尽力いただき防水層と建物との隙間やエレベータ機械室への階段裏のシーリングは、副理事長さんにお手伝いいただきました。

使用した変成シーリング材は13本、その他シーリングガン、デコレーションケーキへらと命綱などを加えても8,852円ですみました。理事さん副理事長さんごくろうさまでした。ありがとうございました。

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5 一級建築士の点検

2004(平成16)年5月20日の理事会報第184号で「施設設備点検と消防設備点検を実施」をお知らせしました。

17日(月)13時から管理会社の一級建築士による施設設備点検がありました。この時間帯は消防設備点検と重なっているので手が回らないと、管理員さんが施設設備点検を延期してもらうよう管理会社営業所長へ電話をしていました。そこへ入社したばかりの一級建築士が見えられ、一日に二軒しか回れずローテーションを組んでいるので何とか今日実施したい。このあともビッシリ予定が入っているため延期すると点検時期が相当遅くなるというので、消防設備点検は管理員さんに立会いをお願いして、施設設備点検は理事長が案内することにしました。

屋上防水層の劣化が進み始めていました。昨年のマンションツアーと屋上笠木防水のときも、建物診断と南側改修工事の時も気づかなかったので、雪が少なかった凍害によるものと思われます。劣化部へ近づくと、表面が剥がれかけている部分などはカラスが好んでツツキそうな形状をしています。

写真で見ると汚らしく、とても触るような勇気がありません。ここから雨水が入るようになったら、下の階へいくほど被害が大きくなるのは当然でしょうね。

一級建築士のお話では、取り敢えずシルバーペイントで防水をしなければ防水層が紫外線で劣化し破れる恐れがあるそうです

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6 防水層のシルバー塗装

2004(平成16)年6月4日の理事会報第186号で「屋上防水層の劣化防止」をお知らせしました。

6月2日午後、一級建築士の寺地さんが、南面改修工事の一年目点検打ち合わせで見えられました。ついでで申し訳なかったのですが、屋上防水層の写真をお見せして管理会社の一級建築士が早急にシルバー塗装を急ぐようにとしたお話を伝え、どのようにすればよいか費用や施工などについて相談に乗ってもらいました。

写真の状態で放置しておくと当初予定の10年どころか5年も持ちそうにないので、南面改修工事業者の一年目点検の時に見積もりをお願いしてはどうかとアドバイスをいただきました。人件費だけみたいな仕事ですから3~4万円もあれば十分と思えるそうです。

マンションツアーのときにご確認いただきますが、放置しておけばどんどん劣化が進行します。雨が降り続く季節になる前に、理事会報第174号でお知らせした部分と同時に一般会計の修繕費で補修予定です。

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2004(平成16)年6月24日の理事会報第189号で「防水層のシルバー塗装が完了」をお知らせしました。

17日(木)は朝から晴天に恵まれて風もなく、良い条件の下で午前9時より屋上防水層のシルバートップコート塗装が始まりました。外壁と笠木の接点に隙間がある部分は、プライマーと変性シリコンで塞ぎました。一人が駐車場側にダンボールで壁を作り、もう一人が刷毛で塗料を塗っていました。エレベータ機械室の屋上と塔屋部分、東西棟の玄関(風除室)屋上もすべてが銀色に輝いています。

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7 防水層の再補修

2007(平成19)年7月5日の理事会報第224号で「屋上防水層を変性シリコンで補修」をお知らせしました。

久しぶりに休みをもらえた副理事長さんより申し出をいただき、定期総会で承認いただいた平成19年度事業計画「理事会が実施する補修」を6月26日に行いました。

平成15年6月の補修時に理事さんよりご寄贈いただいた安全ベルトに命綱をつけ、日差しの弱い午前8時から屋上の防水層を押さえるアルミアングルとネジの防水補修を開始しました。

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8 金属腐食膨張で爆裂

8-1 落ちている一列のサビ

2007(平成19)年7月15日の理事会報第225号で「新たに発見した劣化箇所」をお知らせしました。

西棟五階屋上にあるルーフドレン覆い金物のサビを落とし作業時に、屋上出入口の扉を開けると腐食した金属が一列になって落ちています。鏡を差し込んで水切り板の下を見ると、コーキングが爆裂して口を開け、,扉枠は原形をとどめないまでに腐食して金属板はなくなっていました。東棟も同じ箇所に穴が開いて金属腐食が進行しています。

左下から西棟五階屋上出入口に落ちている腐食した金属片、金属腐食膨張で爆裂したコーキングの様子、東棟五階屋上出入口の水切り台下と腐食状態の写真です。劣化状態は東棟より西棟のほうが進行しています。

管理会社が年四回実施の「共用部点検報告」にこの部分の記録はありません。共用部点検報告書の要改善箇所の写真は18年5月44ヶ所、18年8月37ヶ所、18年11月43ヶ所、19年2月38ヶ所、19年5月19箇所と、改善処置が保留中でも減少しています。管理委託契約書の設備管理業務に「点検の際に対応を必要とする損傷等が発見された場合には、速やかに甲に状況を報告し改善提案を行う」「点検を行った結果、改善が必要と認められた場合は,乙は甲に速やかに報告し改修工事の提案を行います」と記載があっても点検していなければ報告も改善提案も不可能でしょう。私たちが点検しなければ悪くなるのを止めることができないのが現実です。

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8-2 放置できない状態

屋上の面積計算でお貸しした竣工図面の返却時に、大手デベロパーの担当者に事情を話して現場を見ていただきました。

「2~3年ではこのような状態にならないので、相当以前から劣化が始まったと考えられます。五階の住戸から雨漏りのお話は出ていませんか、苦情が出ても不思議ではない状態ですよ。扉枠と周囲のタイルやコーキングの状態を調べても、どこから水が入ったのか分かりませんが考えられることはひとつあります。エレベータ塔屋に溜まった雨水などは樋をつたって落ち、樋の下にある四角いコンクリートの上で跳ね上がります。何年もかかって跳ねた水が防水層を固定しているコーキングに穴を開け、毎年相当量の雨水や雪解け水が建物内部へ入り込んでいると推測できます。西風が吹いているときに雪が降り始めれば、雪も内部へ入ったと考えるのが自然です+。

この状態は放置できません。建物劣化を止めるために防水専門会社の屋上砂利固定作業が決まったらついでにコーキングをしてもらいませんか。エレベータ塔屋や六階屋上のどこからか水が入っていれば、コーキング後に再び金属腐食で爆裂現象が起きます。今回は取りあえず水が入るのを防いで、再び爆裂現象が起きたときに抜本的な対策を講ずるようにお勧めします。」

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8-3 漏水対策で応急処置

2007(平成19)年7月29日の理事会報第226号で「爆裂部をごみ袋で密閉」をお知らせしました。

札幌の雨不足は深刻な状態となりました。しかし、いつ豪雨に見舞われるかは誰もわからずマンション五階に住まわれる方々は心穏やかとは言えないでしょう。理事会報第225号でお知らせした箇所、五階屋上出入口の水切り板下にできたコーキング爆裂部から雨水が流れ込み、天井や家具が損傷するかもしれない恐れも考えられるからです。

25日17時半、ごみ袋を広げて影響のありそうな範囲を覆い綿テープで止めました。買い物帰りの副理事長の奥様に、作業のお手伝をいいただきました。ありがとうございます。

雨も風も入らないように全体を密閉したのでご安心ください。この箇所が原因の漏水は起きないと思います。

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9 防水層に20cmの亀裂

2007(平成19)年8月12日の理事会報第227号で「爆裂部をごみ袋で密閉」をお知らせしました。

6月26日に副理事長と二人でコーキングを作業したときはなかった亀裂で、8月6日午後の日本防水総業株式会社による屋上防水点検時に発見しました。20cmにわたって防水層表面が口を開け、この亀裂の真下は504号住戸のトイレにあたります。

点検に来られた屋上の砂利を抑える工事の方に、変性シリコンでコーキングすれば問題ありませんねと問いかけると、「アルミアングルと防水層の隙間も居住者の方々が埋められたのですか、私たちの仕事を取らないでくださいよ」と苦笑されました。

翌7日朝、綿テープを小さくちぎって下から重ね貼りし、変性シリコンで全体を覆い隠しました。表面をバターナイフで伸ばしましたが素人の悲しさ滑らかになりません。漏水については当分の間このままで心配ないと思います。

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10 爆裂部の補修完了

2007年(平成19)年10月30日の理事会報第234号で「屋上防水層の補修工事が完了」をお知らせしました。

10月24日(水)の午前8時40分に施工技術者三名と施工技術担当者が見えました。(中略)五階東側と西側屋上出入口水切り板の下の爆裂部分は出入口の扉の枠を押える金属部分まで腐食が進行しているそうです。覗き込んでいた技術者は密閉すると結露が発生する恐れがあるかもしれないと危惧されましたが、爆裂したままで冬を迎えるわけにはいかないことから変性シリコンで密閉しました。大規模修繕時にはかなり大掛かりな補修が必要とおおしえをいただきました。

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11 防水メーカーの調査結果

2007(平成19)年9月14日の理事会報第230号で「防水メーカーによる調査内容」をお知らせしました。

11-1 防水層の状態

8月10日に防水メーカーの営業主任が、目視、指触、打診の方法により防水層の状態を調査し、防水メーカーという立場で既存防水層の劣化状況及び防水の機能判定、改修工事の工法と仕様書を作成して9月5日にお届けいただきました。

「当該箇所は現在、平面部がアスフアルト防水砂利撒き仕上げ、立ち上がり部がアスファルト防水露出仕上げで施工されています。

アスファルト防水平面部の状況は、防水層の上に断熱材と砂利が敷かれているため確認することができませんので表層の調査となっております。屋上平面部の状況は保護層である砂利の固定度が確実に低下してきております。特に、断熱材の目地の部分において顕著であり今後砂利飛散の危険性が増大すると判断されます。従いまして、改修時にはアスファルト露出防水断熱仕様で改修されることをお勧めいたします。

立ち上がり部防水層につきましては、保護塗料の塗り替えが実施されており良好な状態であるといえます。しかしながら、部分的に防水層のフクレが確認されます。フクレはそれ自体が漏水につながる劣化現象ではありませんが、フクレ部に圧力がかかることにより防水層の破断につながりやすい危険な劣化現象です

防水層のパラペット端末は水切りの形状となっておりません。暴露しているシーリングの寿命は長くても7~8年と考えるのが一般的ですので、水切りの形状となっていない部位ではシーリングの劣化に伴い、防水層の裏側に雨水が廻り込むことになります。現在はシーリングの補修工事が実施されており、幸い雨水の浸入は確認されていませんがシーリングの劣化に伴い雨水進入の危険性は今後増大すると判断されます。

防水層の寿命を検討するさいの指針となるものとして、一般に旧建設省が主体となり構成された総合技術開発プロジェクト(通称:総プロ)によって作成された「建築防水耐久性向上技術」の中の「防水層の標準耐用年数」が適用されています。これは、総プロによる実際の現場の検証結果に基づくもので、それによると「アスファルト防水保護仕上げの場合は17年」と示されています。実際の耐用年数は建物の立地条件や防水仕様、工法、気象条件などの諸条件によって相違が出てくるので、一様に耐用年数を工法ごとに規定することは困難ですがある程度の目安になると考えられます。

風除室屋根は今回立ち入り調査を行っておりません。ただし、当該部位についてはアスファルト防水露出仕上げとなっていることから屋上防水層より確実に劣化は進行していると判断されます。大規模修繕工事と同時期に改修工事を行うことをお勧めいたします。

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11-2 総合判定

防水層状態の調査結果を総合して判断いたしますと本建物の屋上、塔屋屋上、風除室屋根の防水は改修時期を迎えていると判断され、本建物においては速やかな全面防水改修工事計画の立案と実施をお勧めいたします。

防水改修工事には既存防水層を撤去して新たな防水層を設ける方法と、それらを残したまま防水する(立ち上がりは防水層を撤去する)工法があります。前者を撤去工法、後者をかぶせ工法と呼びます。いずれの工法にもそれぞれ長短所がありますが、一般的には撤去工事のさいの騒音と埃害がすくなく、防水層を撤去した場合の降雨による二次的漏水被害もなく、ストパフォーマンスが高い、工期が短いといったメリットのある、かぶせ工法が主流です。本建物についてはすべての部位において「かぶせ工法」が適用できます。

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12 階段袖壁に亀裂発生

2007(平成19)年11月6日の理事会報第235号で「屋上防水層の手直し工事も完了」をお知らせしました。

結果的には防水層の補修というよりも砂利の飛散防止工事、東西棟エレベータ機械室への階段防水と階段袖壁のシーリング補修、五階屋上出入口水切り板下の防水層爆裂部補修の工事となりました。

10月26日の社内検査で施工技術担当者が指摘した手直し部分、東棟五階屋上南西側角のシーリング補修、東棟エレベータ機械室階段袖壁の補修(下の中央写真がbefore,下の左端写真がafter)補修は雨の影響で延期を余儀なくされ(中略)、好天に恵まれた11月5日午前中に実施し完了を確認しました。

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13 亀裂は35ヶ所に

2008(平成20)年10月31日の理事会報第264号で「西棟五階屋上防水層に最長亀裂 降雪前に変性シリコンで補修」をお知らせしました。

10月24日の管理会社建物点検に立会い、9月30日の月末点検できなかった防水層の異常を感じ、雨の上がった翌日防水層のつなぎ目に亀裂を発見しました。気温の低下で全体が急激に縮まり、弱くなっている部分に亀裂が生じたと考えられます。亀裂の長さは最大で18cm、亀裂巾の最大値はクラックスケールで11.4mmありました。屋上全体の防水層を調査すると次のような状態でした。

ア. 西棟五階屋上 17ヵ所(最大長18cm1ヶ所,10cm以上14ヶ所)
 イ. 東棟五階屋上 15ヵ所(最大長12cm1ヶ所,亀裂巾は狭い)
 ウ. 六階屋上西側  5ヵ所(最大長10cm1ヶ所,亀裂巾は狭い)
 エ. 六階屋上東側  3ヵ所(亀裂巾は狭く,左下写真防水層断裂1ヵ所)

部分的にかなり深くまで達している箇所もあり、雨や融雪水が内部へ浸透して凍結するとひび割れが広がって漏水の原因をつくります。これからは雨が続く予報が出ているので補修を急ぐ必要があると思い、パートナーの一級建築士のご意見を参考に変性シリコンと専用ガンを購入して10月27日に補修しました。防水層は平成22年度にかぶせ工法で全面改修を予定していますが、最悪の場合は平成21年度に繰り上げざるを得ません。

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14 夏は補修の連続

2010(平成22)年7月14日の理事会報第316号で「雑草は抜き取り コケはそのままに 防水層の塗装剥がれに変性シリコン塗布」をお知らせしました。

屋上の防水層露出部を覆っている、紫外線から保護するためのシルバー塗装がかなり劣化しています。雨の痕跡が消えた11日午前中に、マンションツアーでご覧いただいた屋上の雑草をすべて抜き取りました。

東棟五階屋上の保護塗料が剥がれ落ちた三箇所は、変性シリコンで補修しました。剥がれた箇所の周囲もゴワゴワの状態で、衝撃を与えるといまにも剥がれ落ちそうです。防水層を改修する来春までもってほしいと祈る状態です。

防水層の表面に茶色のシミや無数のしわが表れ、剥がれそうな部分にも変性シリコンを塗布しました。

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15 大規模修繕まで頼むぞ

2010(平成22)年10月4日の理事会報第324号で「半年後には消え去る老化の痕跡」をお知らせしました。

防水層の表面に茶色の斑点が目立つようになりました。シルバー塗装が劣化して表面に無数の茶色いシミが現れています。大規模修繕では、このようにシミの目立つ肌に厚化粧を施し、砂利を取り除いて新しい防水層を上からかぶせます。下の防水層と上の防水層の間には空気集まる所ができるので、この空気を逃すための脱気塔を新設します。

防水層の耐用年数はおよそ10年ですが、建築当初に耐用年数10年の防水層が19年間もの長い間保ちました。きちんと管理すれば同様の年数は大丈夫でしょう。当然のことながら、管理会社に任せておけば10年で更新となります。マンション管理を任せっぱなしで無関心者が多いところはお金で解決するしかありません

防水層を抑える砂利の表面に無数の亀裂ができました。今年の夏は雨に加えて湿度と気温が高く、砂利の下にある断熱材は水を吸って膨れ上がり気温の上昇で収縮を繰り返しました。断熱材と断熱材の間に砂利がすべり落ち、表面に無数の亀裂状痕跡を残しました。

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16 ボランティアの終焉

2011(平成23)年6月222日の理事会報第346号で「防水層とアルミアングルの接点を防水 五年に一度はメンテナンスが必要」をお知らせしました。

平成15年6月12日の屋上点検で、防水層とアルミアングルとの間に隙間ができているのを発見しました。アルミアングルを外さなくても隙間があれば雨水が染み込みます。体が落下するかもしれない危険な箇所ですが故寺地一級建築士にご指導いただき変性シリコンで補修しました。さらに、平成19年6月25日にも変性シリコンで補修をしなおしました。

今回の大規模修繕ではプロがシーリングを実施しました。これまでの補修経験から、5年毎の防水層保護塗装実施時にシーリングも更新すれば20年以上の耐久も夢ではありません。

大規模修繕工事を終えて翌年の定期総会で理事長任期満了で辞任すると、女性の新理事長と新副理事長が訪ねてきて「もう、屋上点検のボランティアはしなくてもいいです。」と屋上出入口のカギを回収していきました。管理会社の管理業務主任に頼み、屋上の点検も高齢者の管理員業務にしたそうです。

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