はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第13章 障がい者支援のあり方

2010(平成22)年11月25日、STV北2条ビル六階会議室で札幌市ボランティア研修センター主催の「災害ボランティア養成講座」が開講され、NPO法人ゆめ風基金理事の八幡隆司氏の講演より「障がい者支援のあり方」の要約です。

赤丸防災カバン 赤丸防災カバン

東日本大震災を経験された防災士と消防士が協力監修された、あかまる防災カバンには他の非常持ち出し袋などにはない防災携帯用除水器や簡易トイレなど、いざという時に必要になる用品が揃っているので、区分所有者へ備えるよう推薦しましょう。
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1 障がい者市民の状況

1-1 災害時の状況

1-1-1 阪神淡路大震災

ア. 避難所は7日程度の生活の場という位置づけであった。

イ. 想定された以上の災害で、避難所は人であふれ、避難生活が長期化した。

ウ. 障がい者の避難先はなかった。

エ. 半壊であっても自宅に留まらざるを得なかった。

オ. 親戚などを頼って被災地の外へ脱出した。

カ. 障がい者宅訪問は約2ヶ月後に開始された。

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1-1-2 新潟県中越地震以後

新潟県中越地震・中越沖地震で状況はどのように変わったのだろうか。

ア. 障がい者が避難所へいかない事実は変わらない。

イ. 中越地震を教訓に変わった防災マニュアル
  ・ 担当部局別の支援から、時系列を基にして優先順位を決めた支援へ。
  ・ それでも、洋式トイレが刈羽村に届いたのは48時間後。

ウ. 障がい者へのニーズは調査は格段に早くなった
  ・ 障害者支援センターから被災障がい者支援センターへ。
  ・ 障がい者宅訪問は約1週間後に開始された。

エ. 能登の地震から正式に福祉避難所が設置された。

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1-1-3 台風や集中豪雨時の備え

ア. タオルの備え付けが必要(どこでも用意されていなかった)。

イ. 避難所そのものが浸水したところがいくつもあった。

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1-2 障がい者が必要とする支援

ア. 避難をうながす情報の伝達手段の確保・・・・特に、視覚障がい者

イ. 避難所までの移動手段の確保

ウ. 避難所のバリアフリー化と避難機関の生活支援(ヘルパーなど)

エ. 常備薬を必要とする人や医療を受けている場合は医療支援が必要

安否確認については日常の情報共有が必要だろうか。災害時にのみ公開という方法があると思われる。

すべての障がい者市民が上記のような支援を必要としているわけではありません。障がい者市民の身体的な要因、家族や地域でのつながりなどの環境的な要因と、災害の危険性の3つを総合して支援を考える必要があります。

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2 障がい者等への取り組み

2-1 災害時要援護者支援ガイドラインについて

2005年3月 災害時要援護者の避難支援ガイドライン作成(旧ガイドライン)

2006年3月 ガイドライン改定(新ガイドライン)

2007年3月 災害時要援護者対策等の進め方について(報告書)

ア. 旧ガイドラインのときに「避難準備情報」が設けられる
    避難準備情報は、障がい者市民・高齢者のためだけのものか?

イ. 夜間の避難呼びかけ
    危険性とカラフリを恐れないために、行政と市民との合意形成が必要。

ウ. 新ガイドライン
    情報共有方式による災害時要援護者把握が強調される?

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2-2 水防法の改正

2005年 福祉施設への連絡を防災計画に盛り込むこととした。

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2-3 消防長の取り組み

2006年3月 災害時要援護者避難支援プラン作成に向けて
    災害時要援護者避難支援アクションプログラムの検討。

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2-4 全国民生委員・児童委員連合会の取り組み

創立90周年事業「災害時一人も見逃さない運動」。

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2-5 厚生労働省

2008年6月 福祉避難所の設置・運営に関するガイドライン。

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3 避難所にひそむ問題

3-1 厚生労働省のガイドライン

避難所で生活ができなければ、災害時要援護者登録は意味がありません。厚生労働省の「福祉避難所の設置・運営に関するガイドライン」に、福祉避難所利用者の把握、福祉避難所と使える施設などの選定、福祉避難所の設置(協定)、福祉避難所の周知、福祉避難所の運営マニュアルの作成や避難訓練の実施などが網羅されています。
 しかし、

ア. 避難所へ行って何をするのか・・・・・だれも知らない

イ. 避難所のカギを持っている人は来るのか・・・・・その人は被災していないのか

ウ. だれが避難所のリーダーなのか・・・・・訓練を受けた人はいるのか

エ. 高齢者や障がい者は避難所へ入る余地があるのか・・・・・近所の人々で満員

オ. トイレの問題・・・・・使用したいときはどうするのか、清掃はだれがするのか

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3-2 避難所に対する意識改革

福祉避難所の指定と、一般の指定避難所の改善は同時に必要です。福祉避難所の開設は一般の避難所開設よりも遅れるので、要援護者はまず指定避難所へ避難し、福祉避難所の開設を待って移動するしかなく、しかも指定避難所での過ごし方がむずかしいという現実があります。

災害時に障がい者が避難所へ安心して避難できるようにするには何が必要なのでしょう。大規模な災害では、学校の体育館だけの利用では避難所はパンクします。避難所へ逃げていくとの考えを改め、避難のためにみんなで協力して運営するのが避難所という意識改革が必要です。

障がい者と高齢者の支援は、地域の人が自分たちで避難所を運営できる力を持っていることが前提になります。民間の施設を積極的に自主避難所として活用することで移動距離を最小限にでき、規模が小さいことで助け合いがスムーズとなります。

善意のボランティアが来てくれるのはほぼ3日目からで、最大48時間は地域の人々が協力し合って助け合うことが必要です。

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3-3 地震と水害の違い

水害の時にはできるだけ近い距離での避難が必要になります。指定避難所にとらわれず、近い距離で快適に過ごせる空間を日頃から探しておくことが重要です。避難期間は24時間程度が基本となりますから、普段から知り合いを増やす努力が必要です。

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4 地域のネットワーク

4-1 災害時は自主避難が基本

障がい者市民への支援と関係なく、自主防災組織の必要性は高まっています。障がい者市民への支援は、日頃の福祉サービスを通して災害時でも日常の支援を継続または瞬時に追加できる体制を目指すことが必要です。町内会や自治会の自主防災組織はその補完的なものと考えるべきでしょう。

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4-2 登録制度の課題

災害時要援護者を登録する意味は何のためでしょう、いざという時にそれはどのように役立つのでしょうか。避難情報の伝達、避難行動、避難場所の確保が一体となった避難計画がなければ、災害時には役に立たないのです。

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4-3 要援護者把握と避難計画

計画づくりが目的で、要援護者の把握は手段です。本末転倒を防止しましょう。

可能な限り、日常の福祉サービスで災害時要援護者とのつながりをつくりましょう。このために、地域包括支援センター(高齢者)や地域生活支援事業(障がい者市民)での位置づけが必要となります。

4-3-1 登録が実際の災害で機能しなかった事例

消防局で火災や地震・大雨などの災害が発生したとき、自力での避難が困難な方をすみやかに救助するため「災害弱者情報管理事業」を行い要支援者を登録していましたが、災害時には電話が殺到して登録者の支援が遅れました。(2005年の宮崎市での水害)

ファックスで連絡を取って互いに確認する予定でしたが、停電でファックスが使えなくなってしまい、情報が伝わらなかったことを確認できませんでした。(2004年の豊岡市の水害)

連絡体制の在り方の具体的な方法が決められていなかったため、避難支援が遅れました。(2005年の東京都杉並区の水害)

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4-3-2 対応策として

ケアマネージャーを中心としたサービス提供事業者が災

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4-4 プライバシー問題

新ガイドラインで共有情報方式の積極的な活用が盛り込まれましたが問題点はないでしょうか。名簿は守秘義務を課したとしても流出してしまうことが多く、その危険性を考えることが必要です。名簿ではなく、コミュニティの希薄さのほうが問題なのです。

日頃から福祉サービスを活用している人は孤立しにくいと思われますが、そうでない人は災害時に孤立しやすくなります。情報共有の前に、手挙げ方式の積極的な推進を図り、防災意識を高めることが必要です。

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4-5 当事者と地域・行政

当事者は、サービス提供事業者や日頃通っている活動の場を利用し、災害時の対策を立てることが重要です。

地域(町内会・自治会・防災組織)は地域を中心とした防災訓練を行い、災害時の役割分担をして、避難行動を訓練で身に着けておかなければいざという時は何もできません。

行政は日頃サービスを利用していない障がい者や高齢者の把握に努め、地域や福祉サービスと結びつけたり、福祉避難所や支援者などの体制整備を行うことが重要です。

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5 地域の仕組みづくり

5-1 まちづくり

中学生や高校生は避難所の運営にあたって大きな力となります。しかし、日ごろからその訓練ができていないので、学校での防災のあり方を考え直す必要があります。

普段のまちづくりの課題が災害時にはより大きくなって現れます。ですから、コミュニティの強いまちが福祉にも防災にも強いのです。

防災を通じての多世代交流、支援を受ける人と支援する人との交流を進め、幅広い人たちとのコミュニティをつくっていく活動が重要です。単に、「日ごろから地域の人とのつながりを持ちましょう」と言われても、障がい者もあなたも、どうしてよいのかわからないという現実を知ってください。

中学生や高校生は避難所の運営にあたって大きな力となります。しかし、日ごろからその訓練ができていないので、学校での防災のあり方を考え直す必要があります。

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5-2 訓練の見直し

大規模災害では「公助」としてできる部分が少なく、自助と共助による避難が重要となります。しかし、これまでの防災訓練では肝心なことが市民に知らされていないのです。

ア. どこへ逃げるのか・誰が支援するのか

災害時要援護者にとって、どこへ逃げるのか、誰が支援してくれるのかが最大の課題です。大地震の場合は48時間以内の対応とその後の対応を分ける必要があります。豪雨災害等では避難を行うタイミングと場所が重要になり、避難所へ行く経路の確認や支援体制についての防災訓練が必要です。

イ. できるかぎり身近な施設

指定避難所の問題点を考え、改善もしくは近辺の施設の利用を考えるとともに、地域住民の協力を得やすい体制をつくるべきです。指定避難所における要援護者支援を含めた避難所訓練も必要です。

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5-3 体制づくり

拠点となる支援体制づくりのために、拠点をどうするのか、機材をどうするのか、どのような役割が必要で、だれがそれを担うのかなどの訓練も必要です。ボランティアセンターと連携のとれた当事者・関係団体による支援の仕組みづくりと、人材の育成も必要になります。

謝辞:文中に掲載した写真は、プロジェクターで投影されたものを撮影して転載しました。ありがとうございます。

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