1 安定した水の供給
水道局は、地震などの災害時においても必要とされる方へ水道水を届けることが使命と考え、災害に強い水道システムの構築と応急給水体制の整備に取り組まれてます。
1-1 施設の耐震化
浄水場、配水池、ポンプ場などの水道施設は、耐震診断で想定される地震に対する耐震性を評価し、計画的に耐震壁の設置や床・壁・柱のコンクリートの増し打ちなどで耐震化を進めています。
耐震診断の評価を受けて平成9年から平成16年にかけ、藻岩浄水場、水質試験所、清田排水池、真駒内排水池、硬石山水管橋などの耐震化を完了しました。今後も継続的に耐震化を実施します。
1-2 管路の耐震化
札幌市の配水管は管体強度に優れたダグタイル管を採用し、平成20年度末での使用率は約99%に達しています。地震によって管そのものが割れたり、折れたりすることは少ないといえます。阪神淡路大震災でも耐震管に被害はなかったそうです。
ただし、継手と呼ばれる配水管の接続部分が地震による地盤変動で抜け出す恐れがあります。そこで、新しい配水管を布設する場合や古い管を更新する際には、継手の抜け出しを防ぐ機能の付いた耐震管を使用しています。
緊急時給水管路は、老朽化した幹線の中に新たな耐震管を入れて災害時に給水可能な構造とすることで、老朽管更新と災害対策の2つの目的を同時に達成した施設です。都心部の道路に埋設されており、平常時は配水管として飲料水と生活用水を供給しています。
1-3 重要施設供給ルート
平成19年度から、災害時基幹病院(災害時の拠点となる病院)や透析医療機関、収容避難場所などの災害時重要施設へ向かう配水管を、優先的に耐震化する事業を進めています。これにより給水タンク車による運搬給水に頼らなくても断水を回避することができ、災害時の医療活動を支障なく継続することが可能となります。
平成19年度は札幌市立病院他3施設、平成20年度は札幌医科大学附属病院他6施設への管路耐震化を終えました。現在は「救急告示医療機関」や「透析医療機関」に向かうルートを、地域のバランスも考慮しながら耐震化を進めています。
1-4 配水ブロック化
市内に網の目のように張り巡らされた配水管網を、100~200平方メートルの広さの115のブロックに分割しています。配水管網を細かく分割することにより、漏水等の事故が発生しても他のブロックへの影響が最小限になり、復旧作業も進めやすいシステムを構築しています。
配水管や仕切弁・消火栓などの維持管理に必要な情報は、全てマッピングシステムと呼ばれる地図情報を基本としたコンピュータシステムで管理しています。このシステムは、地震などで配水管が損傷を受けた場合にその影響範囲をすばやく確認することができ、迅速な復旧対応が可能となるそうです。
2 応急給水施設等の充実
2-1 災害時の応急給水目標
万が一、阪神淡路大震災のような大規模な地震で配水管が折れるなど広範囲におよぶ断水被害が発生した場合に、施設が復旧するまでの間は応急的な給水により市民へ水道水を届けられるよう整備を進めています。
第一段階 災害発生から3日目まで
目的:生命維持のため1人1日3リットルを確保
対策:応急給水拠点施設(救急貯水槽、緊急時給水管路)
第二段階 4日目から6日間まで
目的:炊事と洗濯など最低限の生活維持のため1人1日20リットルを確保
対策:運搬給水拠点施設(緊急遮断弁付き排水池)
2-2 給水施設設置状況
札幌市内に、緊急貯水槽が31ヶ所、運搬拠点と給水拠点が14ヶ所、緊急給水管路が5.5km設置されています。
2-3 緊急貯水槽
昭和62年度から順次「緊急貯水槽」が整備され、第一号は水道局本局庁舎に設置しました。緊急貯水槽は貯水用のタンクではなく、内部は常時水道水が流れているので、新鮮な水が蓄えられています。
平成21年度末には局庁舎や公園など33ヶ所に設置され、白石料金センターには緊急深井戸も設置されました。これにより総貯水量は6千立方メートルとなり、対象人口約67万人へ1人1日3リットルで3日分の飲料水を供給することができます。
白石料金センターは敷地が狭くても地下水が豊富であることから、既存の緊急貯水槽の中で唯一の深井戸タイプにしました。井戸であれば排水管網の整備が不要で、他の庁舎にある管路タイプの緊急貯水槽に比べ建築費が安価になります。但し、ポンプ等の維持管理は必要です。
2-4 緊急時給水管路
老朽している水道管の幹線には、公園などの避難場所や官公庁、企業の本店や支店、大学病院などが集中していました。そこで、老朽化した幹線内に新しい管を挿入し、管路の両端に設置した緊急遮断弁により災害時に管内部の水を確保できるよう、パイプインパイプ工法でリニューアルを図りました。
これにより、都市の中枢機能を守る飲料水と生活用水や消火用水を確保する管路を整備できました。被災時に応急給水や消火活動ができるよう「緊急時給水口」の表示柱を立てて、消火栓と給水栓を兼用する給水口を設置しています。
2-5 緊急遮断弁付排水池
災害時の応急給水目標の「第二段階」で、4日目以降の飲料水を確保します。設置された緊急遮断弁付排水池は14ヶ所で、貯水量は約81千立方メートルです。
破損した管路などの施設が復旧するまでの間、緊急遮断弁付排水池の飲料水は応急的な給水を行うために給水加圧タンク車で給水拠点施設へ運搬します。
右上写真は、札幌市水道局のWebページから転載した緊急遮断弁付排水池の内部です。
3 災害時に備える連携
3-1 札幌市の災害時協定
札幌市は次の協定を結んでいます。
・ 17大都市水道局災害相互応援に関する覚書及び実施細目
17大都市。札幌市は仙台市と相互に第一応援都市になっています。
・ 日水協北海道支部災害時相互応援に関する協定及び指針
日本水道協会北海道支部
・ 災害時等における水道の応急活動に関する協定
財団法人札幌市水道サービス協会
・ 災害時における水道の応急活動に関する協定
札幌管工事協同組合
・ 札幌市水道局災害時協力員制度
水道事業に関する経験と知識を有する水道局OB
3-2 防災訓練の充実
平成14年度は仙台市に置いて、平成19年度は札幌市で、仙台市と札幌市の合同防災訓練を実施しました。
3-3 緊急時貯水槽は
札幌市水道局は緊急貯水槽の取り扱い方の説明会を連合町内会単位で開催しています。要請を受けて実施した平成16年度から平成20年度までの説明会に1,440名の参加者がありました。
DIGと略される災害図上訓練に、緊急貯水槽の設置位置と操作法も含めることも被災者支援に必要なことでしょう。緊急貯水槽のカギは水道局が保管していますが、今後は緊急貯水槽を設置した学校にカギの保管することも検討しています。
緊急貯水槽が公園にある場合などは、協力業者や地域の代表者に依頼することも検討していますが、セキュリティの問題もあり熟考しています。
4 災害時のアドバイス
4-1 台車の用意
ア. 10リットル以上の給水袋は重たい
イ. お年寄りによる長い距離の運搬は大変
ウ. 台車(シニヤカーなど)があれば便利
エ. 隣近所が協力し合って運搬する
4-2 飲料水の保存
ア. 清潔でふたのできる容器に保存
イ. 日陰の涼しいところに保管・・・・3日から1週間
ウ. 冷蔵庫・・・・・1~2週間
エ. 1人1日3リットルで3日分がめやす
4-3 なぜ3リットル必要か
人間の体では、栄養物やホルモン類が水に溶かされて体全体へ運搬され、不要なものも水に溶かされて排出されています。水の摂取・排出を繰り返すことで生命を維持し、水は体温を一定に保っています。
成人は1日に体重1kg当たり50mlLの水分が必要となります。体重70kgの成人は、1日に50ml×70kgg=3,500mlの水分が必要となる計算です。1日の摂取・排出量は、どちらも2.5リットルとされ、これに若干の余裕を加えて3リットルの水を1日分の目安として備蓄をお願いしています。
地震発生直後は水が出ても、しばらくして断水になることがあります。水道水保存用の容器や鍋、バケツ、浴槽などにくみ置きしておきましょう。また、赤水や濁った水が出ることがありますが、トイレなどの雑用水に利用できますので、バケツなどにくみ置きすることも考えましょう。