はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第20章 ジェイソンの提言

私たちにとって当たり前と思っていても、よく考えると理解できないことが多々ある。母国語を表現するために漢字・ひらがな・カタカナと三種類の表音文字を使い分けている民族であっても、どうして・なぜと考えさせることがある。

普段気付かなかったことを気づかせてくれるのが外国人である。そう云われればそうだと納得させてくれたのが厚切りジェイソンの芸である。彼の芸の一部と、日本に対する提言を著した書籍「日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy」から彼の提言を紹介する。

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1 厚切りジェイソン

 1-2 厚切りジェイソンとは

1986年4月9日生の厚切りジェイソン(あつぎりジェイソン )の本名は、Jason David Danielsonという。アメリカ合衆国出身の在日IT企業役員で、ワタナベエンターテインメント所属のお笑いタレントである。

アメリカ・ミシガン州出身で小さな頃から勉学が得意、出された宿題を学校から帰宅する車の中でさっさと済ませてしまい、17歳の時にミシガン州立大学に飛び級入学し、その後イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校・大学院を卒業した。

現在、ITベンチャー企業「テラスカイ」の会社役員でグローバルアライアンス部長も務めている。日本語能力試験1級(現N1レベル相当)を取得し、ザブングルの営業を観に行った際に、ジェイソンは必死に手を挙げて選ばれ腕相撲で加藤と対戦した。

この時から加藤との交流が始まり、会社を辞めなくても芸人を目指せるとしてワタナベコメディスクールの土日コースで芸を磨いた。社業とお笑い芸人とを両立させた活動をしているが、芸人仕事のため半休を取ったり取締役会を途中で抜けたりもしているという。

胸板が厚い事と神奈川県厚木市在住である事から芸名を「厚切りジェイソン」とした。漢字の勉強で生じた素朴な疑問を元にネタを作る事が多く、同じく漢字のネタ(人文字)を持つTIMのゴルゴ松本にネタを見せて助言を依頼している。

近年は「Whyという叫びネタ」は卒業し、内容が面白ければそれでいいのじゃないかと考えるようになったそうだ。日本人の生活や労働スタイルについて考察し、日本に対する自身の提言を著した書籍「日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy」にまとめた

商慣習については「周りの意見に左右されすぎ、小さな頃からそうするべきだと教え込まれている」「無駄な会議、作業、資料作成が多すぎる」など、個々の意見や活動を尊重し労働現場をもっと合理化すべきであるという考えを持っている。

やりたいことがあればもうやってるからと、厚切りジェイソンはいう。「やりたいことがあるのにやらない人がいるけど、それはなんでなのかな?なんで待てるんだろう。いつかやってみたいななんて思ってたら、ずっとやらないでしょ」と言うのも的を得ている。

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 1-2 厚切りジェイソンの芸

相当前の事だったがテレビで厚切りジェイソンの芸を見た。漢字のネタでホワイトボードに漢数字で「一」「二」「三」と順に書いて漢字の書くパターンが読めたとうなづく。次に「四」と書いて「Why japanese people」と叫んだ。確かにパターンが違う。

止まるという字の下に少しと書いて歩くと読むが、休んでいる状態が歩くと云う字になるのはおかしい。金偏に同じと書いて銅と読むが、銅と金は同じではない。獣偏に守ると書いて狩だが、狩は殺すことじゃないか。これも「Why(なぜ)」になる。

ことわざにも疑問がある。蛙の子は蛙ではなくオタマジャクシだろう負けるが勝ちは負けてるんだから勝ちじゃないだろう。七転び八起きは7回転んだら7回起き上がる、8回起き上がるのはおかしい腐っても鯛は食中毒を起こすだろう

「人間」という漢字は人そのものを表すのに「人の間」とはどういうことか。「着服」は「服を着る」と書くのに悪いこととして扱われるのはなぜだろう。「必死」と書いても必ず死ぬならものごとをやる意味が無いだろう。

日本人は神社の参拝を非常に丁寧に行うのに、神様が乗った神輿を乱暴に担ぐのはなぜだろう。気象衛星ひまわりによるハイレベルの天気予報の技術があるのに、晴れて欲しい時にてるてる坊主に頼るのはなぜだろう

大和撫子を代表してひな人形や文金高島田を代表する繊細な美の文化があるのに、羽子板で負けるとどうして墨で顔に落書きをするのだろう。節分に鬼を退治するためにどうして大豆を武器として使うのか。出初式で梯子乗りを披露するとき、どうして梯子で逆立ちをするのか。

鯉のぼりは一番下から「子供、母、父」の順番で並んでいる、なら一番上は祖父になるのに吹流しを付けているのはなぜか。お祝いなどに水引や風呂敷など結びを大切にするのに、サラリーマンが酔っぱらうと頭にネクタイを結ぶのはなぜか。

その厚切りジェイソンが日本に対する自身の提言を著した書籍「日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy」を2015年に発売した。彼が何を私たちに伝えたいのか、なるほどと同感できることを紹介し、コメントはジェイソの提言を曲げずに要約した。

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2 ジェイソンの提言

 2-1 仕事への取り組み

  2-1-1 仕事について

上司から言われるまで待っている新卒をよく見かけるが、言われる前に何かやる意欲が欲しい。ジェイソンはITベンチャー企業の部下に対して「こういう結果がほしい」というだけで、部下は「分かりました」といろいろ動いてくれるそうだ。ジュエソン

希望した結果までたどりつかなくても、部下から「あれとこれとを試した結果、これでもいいですか」と報告を受ける。それがジェイソンが希望した結果よりいいものだったとしたら、「いいね、こっちにしよう」と答える。これが進化である。

使いものにならない結果になっても、考え方と理由を探り出すことによって間違った分岐点がわかり、逆に新しい何かが生まれるかもしれない。しかし、上司であるいまの40~50代が新卒として社会人になった時代はインターネットは発達していなかった。

世界の環境がものすごく変わっているのを意識せずに、その人たちが新卒の時に教わったことをいまも新入職員に教えている。新しい時代が来ているのに、昔ながらのやり方を学生時代に教えているから日本の教育は「Why」と言われるのだ

  2-2-2 この仕事をすることで何が変わるのか

なぜ働くのかを自分で考えて結論を見つけ、どうすればこの仕事を楽しめるのかを考える。それだけでも、かなり違うはずだ。どんな仕事をしても楽しくないと思うのであれば仕事を好きなやり方でやっていないだけじゃないかな

  2-1-3 常に改善しようとする

云われたことをそのままやるのじゃなく、なぜそういうやり方なのかを考えてもっと良い方法はないか考え、改善する方法を常に考えることが大切だ

  2-1-4 失敗を怖がらない

失敗や結果にならないことを積み重ねると、多少のコストがかかったとしてもその人のトレーニングになるし、意外と立派な考えを持つようになる。新入社員が失敗すると会社は大損害を被り、倒産するだろうか。そこまでの仕事を新入社員にまかせるだろうか。

  2-1-5 正しくない可能性を認める

失敗の過程を検証すると、どこが間違っているか分かる。その結果になった理由を掘り下げていくと、間違った側も軌道修正できる。

  2-1-6 論理と現実で判断する

「これ売れる」というだけで売れるなら苦労はしない。なぜ売れる、どうやって売る、そのために何をする、この質問に答えられるかが重要である

  2-1-7 人を説得できる

自分から動き、常に改善しようとして失敗を怖がらず、正しくない可能性を認めて論理と現実に基づいて冷静に話し合うことができれば、説得力が生まれる。これが生きていくうえで一番重要なスキルだろう。

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 2-2 生き方について

  2-2-1 重要なのは決断で放棄は無責任

二つの選択肢から選ばなくちゃいけない状況のときに、どちらを選ぼうとも人生に影響がなければどうでもいいことになる。仕事や将来にかかわる重要なことであれば理由をあげて片方を選ぶ。重要な決断を放棄するのは無責任で卑怯だ

  2-2-2 理由をはっきりさせる

考えるべきことは、きちんと自分で考えて答えを出そう。面倒くさいと逃げていたら、将来を見据えることすらできなくなってしまう。責任をもって選択することから逃げてはいけないんだ。

  2-2-3 やりたいことは常にやるようにする

アメリカの老人ホームで働いていた人の書いたレポートで、死ぬ直前の人が後悔したことで一番多かったのは「もっと自分のために生きればよかった」だそうだ。夢が完璧に実現できなくても、失敗ではない。いろいろ気づくし、その経験を活かして別のこともできる。唯一つの失敗は、やらないことと、あきらめること

  2-2-4 頑張ったかどうかは自分がきめること

本当に頑張ったかどうかは自分しか知らない。結果が褒められるべきであって、過程が評価されることはない。頑張ったかどうかはまわりじゃなく自分で決めることだ。本当に頑張ったとき、最善を尽くしたときは自分で自分を褒めるべきだ。他人の誉め言葉は意味のないお世辞に過ぎない。

  2-2-5 自分自身で満足できるかどうかが大切

好きな仕事を続けることが幸せになるとは限らないよ。僕が思う幸せの定義は「自分の人生に満足していること」。プライベートはもちろん、仕事も含めて、すべてが入った形で自分が満足しているかどうか。幸せかどうかは他人と比較するんじゃなく、自分自身が満足できているかどうかが大切なんだ

  2-2-6 自己ベストの更新を優先する

日本の教育は1位、2位とランク付けするから上へ行かなければと思う。アメリカは自分の点数に満足できるならいいと、自己ベストの更新を優先する。自分との闘いなんだ。誰よりも輝く自己ベストを目指そう。それが会社のためでも、自分のためでもある。

  2-2-7 意味のないことを続けても意味がない

いまの仕事が将来何かにつながるのであれば、スキルになるから続けてもいいと思うけど、繋がることが見込めないならムダ。ポイントはやりがいがなくても、自分が成長しているかどうかが大切

  2-2-8 楽しくやれば
        イヤイヤじゃなく続けられる

作業の前に考えること。この仕事に意味はあるのか、将来的にどこへ繋がっているのか、社会にどんな影響を与えるのかを考えると仕事が楽しくなるに違いない

  2-2-9 なぜと考える

ゼロから始めるのか、すでに知識がある状態で始めるかで圧倒的な差がつく。教科書にのっていることは、人類の知的財産のなかでもえりすぐりの「知っておいたほうがいい」ということ

すべてのステップが、仮設→実験→分析→反省だよ。まず「こうなればああなるかな」と仮説を立ててやってみる。結果を見てどうやら希望どおりにならなかった。じゃどうすればいいのかな。人生のすべてはこの繰り返しじゃないかのかな

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 2-3 すばらしい一生のために

  2-3-1 楽しい1日を

毎朝目が覚めて「眠い」というなら、前の日は早く寝ろ。毎晩飲み会をして「眠い」のなら、飲み会を止めろ。毎朝、今日も嫌な1日が始まると思って過ごしていたら、生きている意味はあるの。「今日はこれをやる日だ」とわくわくするほうが、楽しい1日を過ごせる

  2-3-2 本音で付き合うことが大切

日本では本音で付き合う人はあまりいない。みんな建前ばかりで、何を考えているのか分からない。アメリカ人はストレートにはっきり言うよ。お世辞と言う社交辞令はあるけれど、日本ほどいわない。本音で話せない友達なんて必要ないでしょう

  2-3-3 自分でものごとを考える

何か問題が起きたら、環境やまわりを責めても解決するかい。自分がコントロールできないことはしょうがないから、考えないほうが良い。他人に求めても責任を取ってくれないよ。幸せになるのも、不幸になるのも自分の責任なんだ。

  2-3-4 待っていても良くならない

自分んで道を選んできたから今の自分がいる。自分の人生だから自分で決めなくては。誰に何を言われようが関係ないだろう。後悔は時間の無駄だからしない、後悔と反省は違うからね。

  2-3-5 一度きりの人生をムダにしない。

自分の人生だから自分で決める。自分の人生であなたは主人公だ。他人にどう思われてもいい、堂々とものごとを恐れずに生きよう。人生は何とかなる。せっかくだから楽しもう。みんなに感謝と愛情を忘れずに。唯一つの失敗は挑戦しないこと。

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参考文献:日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy(ぴあ株式会社)。