はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第20章 エイリアンとの遭遇

エイリアンは、宇宙空間などの真空中でも生存できる強靭な身体組織、優れた運動能力と強い生存本能から完璧な生命体と評されるSF映画のモンスターです。でも、どこかに未知の超先進文明があり、いつの日かSFが現実になる日が来るかもしれません。

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1 知的生命体を求めて

 1-1 エイリアンとは

エイリアンは、映画「エイリアン」シリーズおよび「エイリアンVSプレデター」シリーズに登場する架空の地球外生命体の通称です。第1作『エイリアン』が公開されるまでは、本来のエイリアンという単語は「異邦人」「外国人」の意味でした。

映画と前後して本来の生息環境ではない人間の世界に入り込んだ「異星人もしくは異星生物」を指す表現としても使われるようになりました。日本においては「宇宙からの未確認生物」「宇宙モンスター」のような意味で使われることのほうが多いと言えます。

西洋の古い大聖堂や修道院の多くには「ガーゴイル」と呼ばれる彫刻が設置されています。12世紀中頃に建築されたイギリス・スコットランドのペイズリー修道院にあるガーガーゴイルゴイルが、映画エイリアンのモデルではないかと言われます。

ガーゴイルは雨どいの機能を持つ、怪物をかたどった彫刻のことを指します。屋根にガーゴイルが設置され、雨どいから伝って来た雨が怪物の口や様々な場所から流れるように設計されています。

怪物をかたどるのは、魔除けという意味や、逆に聖なる土地へ怪物が入れないことを示す為、聖なる地の罪を外へ吐き出す為、異教が混じり込んだ為など様々な説があります。エイリアン

ペイズリー修道院はプロテスタント系の教会で、何度かの火災に遇いました、1900年初頭の再建の際、南西の回廊の上にあった12体のガーゴイル像は新しく作り替えられました。11体は中世様式の像ですが、1体だけは79年後に上映された有名SFホラー映画「エイリアン(右側写真)」に登場したエイリアン像を作ってしまったようです。

2023年9月12日、メキシコ議会でUFO(未確認飛行物体)に関する初の公聴会が開かれ、「地球外生命体の遺体」とされる2つの物体が公開されました。全長約60cmで褐色がかった白色、縦長の頭蓋骨と平べったい顔で、手の指はそれぞれ3本でした。

ミイラ

ペルーの鉱山で発見され、1000年ほど前のものと判明しました。メキシコ議会で「ナスカの宇宙人ミイラ」として紹介されましたが、CTスキャンとX線検査で動物や人間の骨を組み合わせてつくられたものと判明しました。古代人のユーモアのようです。

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 1-2 ドレイクの方程式

人類がエイリアンと接触しようとしても、宇宙は障壁だらけです。宇宙は、ファーストコンタクトを阻止しようとしているかのようです。エイリアンは宇宙のどこかにいると信じて探索はいまも続いています。

45年前プエルトリコのアレシボ天文台から、宇宙へ向けて強力な電波が発射されました。ファーストコンタクトを働きかけるメッセ-ジです。これは、銀河系の中あるいは銀河系の外に存在するかもしれない、地球外文明と交アレシボ天文台流しようとした初のメッセ-ジです。

メッセ-ジは今も2500光年離れた球状星団M13に向かって進んでいます。メッセ-ジには地球の概要や地球の位置、私達のDNA情報まで含まれています。異星人に「こんにちわ」ということ。そして、他に知的生命がいるかという問いに答えることです。

果たして宇宙に知的生命はいるのでしょうか。そして、メッセージは受け取ってもらえるのでしょうか。地球の生命は地殻が固まるとすぐ誕生しました。もし他でも生命の進化が起きているなら、宇宙にはコンタクトの取れる文明がどれほどあるのでしょう。

天文学者のフレンク・ドレイクはこの問題に答える方程式を考え出しました。銀河系で1年間に誕生する恒星の数×生命に適した環境の惑星の数×その惑星で生命が発生する確率×その生命が高度に進化する確率といったような計算をすると、銀河系にはおよそ1万の知的文明があることになります。

ドレイクの方程式が示された頃に比べると、銀河系の理解は飛躍的に進みました。今では太陽系の外の惑星、系外惑星もいたるところで見つかっています。これまでに4000個以上見つかり、発見数は毎日増えています。専門家によればこれは氷山の一角です。

宇宙のいたるところに惑星があるのなら、生命もまたしかりと言えそうです。あの方程式が考案されたころには、まだ系外惑星の存在は知られていませんでした。しかし、恒星の数より惑星の数の方が多いとみられているのです。

生命は簡単には誕生しないとしても、足場となる惑星がこれほどあるのです。となると宇宙にはかなりの生命が存在しているはずですし、先進的な地球外文明も無数にありそうです。これはSFではない科学です。

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 1-2 ブレイクスルー・リッスン

もし宇宙に無数の地球外文明が存在するとしたら、未だに遭遇できていないのはなぜでしょう。理由の一つには広大さが考えられます。この無数ともいえる札幌の夜景を見てください。

札幌の夜景


 それぞれの明かりが銀河系の恒星だとしましょう。この銀河系の恒星の中に1万の知的文明があるということです。問題は銀河系には数千億の恒星があること、地球外文明はこの辺ではなく街の反対側にあるかもしれないのです。

私たちは銀河系の郊外にいます。ここから銀河系の遠い方の果てまではおよそ7万五千光年、電波の速度は光と同じです。つまり銀河系の反対側まで電波を届けたかったら、7万五千年かかるということです。

太陽系の位置


 45年枚に発信されたメッセ-ジは2万5千年かかる旅路のまだ入り口にいるのです。確かに宇宙は広大です。しかし、最新の技術を結集すればなんとかなるかも知れません。地球外生命を探すのに科学的に有効な方法があります。

ブレイクスルー・リッスンと呼ばれるプロジェクトです。世界中の最新の電波望遠鏡や光学望遠鏡が協力して探索するのです。ブレイクスルー・リッスンの対象は地球に近い百万個の恒星と百万個の銀河です。

ブロジェクトではまず地球近隣の1700個の恒星に耳を傾けました。しかし、沈黙が続いています。何も聞こえてこないのです。でも、それが地球外生命が存在しないということを意味するわけではありません。成果が出るのはこれからかもしれません。

忍耐のいる一大プロジェクトです。ドレイクの方程式で1万の地球外知的文明が推定されました。でも天の川銀河にはおよそ2千5百億個の恒星があるのです。文明が存在する確率はわずか2千5百億分の1、簡単には見つからないわけです。

宇宙は広大なので、異星人の電波が届くまでにも膨大な時間がかかります。届いた時にはもう手遅れということもあり得ます。届くまでに時間がかかったら、その文明はとっくに滅びている可能性もあるのです。

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2 タイミングの問題

 2-1 カルダシェフ・スケール

過去にわたしたちに接触を求めてきた文明があったかもしれません。彼らはドアをノックしたかったのに、こちらにそのドアがなかったというわけです。地球が誕生から46億年がたちました。知的生命が進化し、技術を発達させるのに十分な時間です。

宇宙の年齢を考えると地球は若輩者です。地球は46億歳ですが、私たちが技術を使いこなせるようになったのはつい最近です。宇宙は138億歳、地球より古い惑星系はたくさんあります。ロケットを作れて電波も探知できる人類はすごいと思っていませんか。

でも、知的エイリアンはそんなものじゃない。技術的に何百万年も先を言っているかもしれないのです。私達よりずっと長いエイリアン社会があったとしたら、その技術のレベルはどれほどのものでしょう。その指標となるのがカルダシェフ・スケールです。

カルダシェフ・スケールは、使いこなせるエネルギーの総量によって地球外文明を三つのタイプに分けています。タイプ1は自分の惑星の全エネルギーを、タイプ2は恒星の全エネルギーを、タイプ3は銀河の全エネルギーを使いこなせます。

残念ながら私たちはタイプ1に届いていません。まだ地球の全エネルギーを使えていませんから0.7ぐらいです。タイプ2またはタイプ3に到達した超先進文明があれば、恒星の全エネルギーを利用できる夢のような設備を作っているかも知れません。

高度に発達した文明は、膨大なエネルギー需要を賄う恒星をソーラーパネルですっぽりと覆っているかもしれません。これは発案者の名を取ってダイソン球と呼ばれます。もし宇宙のどこかにダイソン球が存在するとしたら、私たちはそれを探知できるでしょうか。ダイソン球

ダイソン球は完全に恒星を覆っていて恒星の光は見えないはずですが、赤外線は探知できます。パネルは太陽光を吸収して温まっているはずですから、熱赤外線が出るのです。暗いのに熱赤外線をはなっていたらダイソン球かもしれません。

2015年NASAの赤外線探査衛星ワイズが集めた10万個の銀河のデータを調査しました。ダイソン球が発する赤外線のような、高度に発達した文明の兆候を見つけるためでしたがカラフリでした。先進文明からの赤外線は見つかりませんでした。

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 2-2 グレートフィルター

宇宙の年齢を考えれば、他の文明が発達する時間は十分にあったはずです。見つからないのはタイミングの問題で、ひょったしたら過去に接触を図った文明があったかもしれません。ファーストコンタクトを妨げているものをグレートフィルターと呼びます。

人類はここを越えられないという境界です 。地球のような生命をはぐくむ環境はいとも簡単に壊れます。そのため知的生命はすぐ滅びてしまうのかもしれません。破壊的爆発、ガンマ線バーストが発生したら、その通り道にある惑星は軒並み不毛の地になります。

知的生命がこうした天災を生き延びたとしても、自らの行為で破滅を招くかもしれません。私たちの経験からわかるように、技術の発展とともに気候を変動させたり、大量破壊兵器を開発したり、つまり発達した文明は長続きしないのです。

長続きしないのなら、いま地球外文明と接触しようとしても巡り合えないでしょう。もし滅亡した異星文明が見つかったら、それは人類への究極の警告です。環境汚染や戦争で死滅してしまった文明を見つけたら、鏡を覗き込んだような思いをすることでしょう。

先進的な異星人が死のフィルターを逃れていることを願うばかりです。たとえ今現在、異星人が存在するとしてもファーストコンタクトは至難の業です。エイリアンとの出会いを描いた映画は、物理の法則を破ってしまっています。

宇宙の物理法則はコンタクトのチャンスを減らしています。宇宙は膨張しているからです。加速しているのです。2018年2月、オクラホマ大学のチームは38億光年彼方の銀河に惑星が存在することを示すデータを発表しました。

質量は月か木星ぐらいの惑星が無数にあるというのです。これまで私たち銀河系の外で惑星が発見されたことはありませんでした。これからはたくさん発見されるかもしれません。銀河系だけでも数兆個の惑星があり、宇宙には2兆個も銀河があります。

つまり惑星の総数は兆×兆の単位になります。しかし、系外惑星を見つけてもそこに生命がいるとは限りません。私達からのコンタクトに対し宇宙は沈黙したままです。地球外生命の探査は今のやりかたのままでは、よほどの幸運に恵まれない限り無理でしょう。

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 2-3 スーパーアース

そんな幸運はめったになにので、こちらから探しに行かなければなりません。NASAの探査機ニューホライズンズは数十億キロ彼方の冥王星を探査し、その先へと進んでいます。いつの日か私たちは銀河系の外まで探査機を送り込めるようになるかもしれません。

しかし、銀河系の外の惑星を訪れようとすると、宇宙の物理法則がミッションを妨げます。私たちから330万光年離れた天体は秒速74万キロ、時速27万キロで遠ざかっているのです。現在の科学で最も遠くまで行っているのは、ボイジャー1号と2号です。

40年以上前に打ち上げられ、時速6万キロ以上で進んでいます。時速6万キロはかなりの高速ですが、ボイジャーの周りの天体はその4倍以上の速度で地球から離れているのです。さらに遠くの銀河にたどり着くのは絶望的です。ボイジャー1号

宇宙の膨張速度は距離に比例します。距離が2倍なら遠ざかる速度は2倍、距離が3倍なら遠ざかる速度は3倍になります。これを38億光年離れた銀河に当てはめてみましょう。この銀河は秒速8万キロ以上で遠ざかっているのです。

いつの日か私たちは、光の速度で飛ぶ探索器を作れるようになるかもしれません。けれども、遥か彼方の銀河はそれよりも早い速度で遠ざかっているのです。何物も光の速度を越えて移動できませんが、宇宙の膨張のスピードは光速を越えられるのです。

2019年探査衛星テスが31光年先に生命が存在しうる惑星を発見しました。3つの系外惑星のうちの1つは、恒星から適度な距離にあって生命が存在できる「ハビタブルゾーン」内にあり、地球の6.1倍の質量を持つスーパーアース「GJ357d」です。

うみへび座にあるM型わい星「GJ357」は、太陽に比べ40%低温で、質量や大きさも太陽の3分の1ほどです。この恒星から適度な距離を周回している「GJ357d」は、ちょうど良い気温を保っているので表面に液体の水が存在できる可能性があります。

スーパーアースは地球に似ていますが質量が大きいのです。つまり重力もそれだけ大きいということになります。惑星の環境は地球とかなり違うでしょう。そしてそこに住む生命は、体の作りが頑丈で背はあまり高くはないでしょう。

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 2-4 二足歩行はしない

スーパーアースは至る所にあります。質量が太陽の10分の1しかない赤色惑星の周りをまわる惑星や、連星を回る惑星、この場合太陽が2つあることになります。あらゆる大きさの恒星の周りに、あらゆるタイプの惑星が見つかっています。

そして、生物というものは、想像以上に適応力があるということもわかってきました。でもエイリアンが、私たち人間の姿かたちをしているなんてあり得ません。SF映画のように2本足で歩くなんて、まさか。プレデター

知的エイリアンがコンタクトを求めて地球へやってきたとしましょう。もし彼らの故郷がスーパーアース、あるいは赤色矮星を回る惑星であったらそこで発生したエイリアンは地球の環境に耐えられないかもしれません。

環境が違う系外惑星で生物は、全く違う進化をしていることでしょう。例えば地球よりも少しだけカリウムが多かったり、平均気温が高かったり大気は濃かったり、そうした生態系のわずかな差であっても生態系はまるで違ってきます。

エイリアンが地球を訪れたとしたら、この生態系に適用できるのでしょうか。ファーストコンタクトがとれないのは、エイリアンが地球に着陸したとしたら、宇宙船から1歩でた途端に、この環境では生きていけないとさとるかもしれません。

ファーストコンタクトには生物学的な問題があるのです。しかし、惑星科学者のジェニー・ラデボーは、地球上にも信じられない環境で適応している生物がいるといいます。グレートソルト湖の塩分濃度は海の10倍近ですが、生命はたくましく生きています。

湖の水を調べると、他界線分濃度の中に無数の微生物が生息していました。こうした環境に適応した微生物を極限環境微生物と呼びます。生物は環境に適応する能力を持っていることが分かります。

エイリアンは先進的な秘術によって生物学的な壁を打ち破ることができるかもしれません。最初に出合うエイリアンはロボットかもしれませんね。先進文明は生物学的な脳と体を離れて旅にでる人工知能を生み出しているかもしれません。

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 2-5 情報伝達の障害

私たちは知性や意識のことを人間にしか宿らない神秘的なものと思い込んでいます。コピーすることは不可能だと。けれどもAI革命が進むめば知性を、そしておそらくは意識でさえも情報の処理に過ぎないということになるでしょう。

エイリアンはコンピュータか何かに意識をダウンロードして、AIに旅を肩代わりさせるかもしれません。不死身の存在としてやってくるのです。不死身のAIが地球にやって来ても、まだ障壁があります。言葉の壁です。人類にはおよそ7千の言語があります。

それぞれの言語は発音の仕組みが違います。動物も独自のコミュニケーションの能力を持ちます。SF映画は異星人と出会ってすぐにコミュニケーションを取れますが、全く違う環境から来た知的生命体と話すことがどれほど難しいことか分かるでしょう。

英語やフランス語、イタリア語などで話しかけても、そんなローカルな言語が通じるはずがありません。すぐに解読するのは不可能です。エイリアンと人類を隔てる言葉の壁、これを乗り越えるには地道な努力を重ねるしかなさそうです。

遥かに進んだ異星人が、私たちが達していないレベルの話をしても理解できません。猫も結構頭がいいと思いますが、メールを送っても理解できないのと同じです。私達からコンタクトを取ると、ロケットを作れる技術があれば共通の科学言語が通じるでしょう。

進んでいる方が遅れている方に合わせれば対話は可能でしょう。エイリアンは金属資源を求めて地球へやってくるのでしょう。SF映画に出てくるファーストコンタクトは往々にして危機を招きます。エイリアンの侵略、人類は滅亡の危機に瀕します。

インデペンデンスデー


 エイリアンとの接触は控えた方がよいのでしょうか。例えば、ずっと高度なエイリアンが銀河の向こうからメールを送ってきたとします。30年後にこちらに着くと、心配するのはその時になったらいと言っていられますか。いいや、震えあがるでしょう。

しかし、私たちは数十年前から居場所を知らせています。地球上で電波が飛び交い始めてからおよそ100年、電波を出していれば異星人に探知されても不思議ではありません。異星人が興味を示している徴候はなく、地球に目を付けた異星人はいないようです。

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 2-6 地球侵略に魅力はない

彼らの宇宙船の中継基地に、地球を使用したいと思えばできるでしょう。異星人が近づいてこないのは、自分たちより遅れた文明には興味がないからかもしれません。SF映画では取り上げられますが、エイリアンから見て地球は侵略する価値があるでしょうか。

よくあるストーリのひとつに、エイリアンが人間を食べるというのがあります。でも、科学的にはおそらくあり得ません。エイリアンは人間の体を消化できるのでしょうか。食べ物を消化するには消化器官から分泌される酵素が欠かせません。

私たちが食べられるのは、その食べ物がどの消化酵素で分解できるかで決まります。それはきっとエイリアンも同じです。エイリアンが人間の体を消化するには、わたしたちと似たような生化学が必要です。彼らの惑星も地球の環境に似ていなければなりません。

エイリアンが食べ物を目当てに地球へ来ることはなさそうです。では、エイリアンの故郷が砂漠のようだったら、地球の水が必要かもしれません。確かに地球は水の惑星です。でも、宇宙には大量の水をたたえている天体もあります。

木星とエウロパ木星の衛星エウロパでは、厚さ25キロの氷の層が深さ150キロの氷の海に浮かんでいるとみられます。推定される水の量は、地球上のすべての海の2倍以上です。エウロパは太陽系を代表するウオーターワールドです。わざわざ地球まで来ないでしょう。

地球よりも小さな惑星の方が、重力に逆らって水をくみ上げるには楽です。エウロパの重力は地球の8分の1なのです。では、地球のほかの資源は。鉄とかチタン、プラチナを求めてやってくるかもしれません。これらの資源で宇宙船を補修できるかもしれません。

金属が不足している惑星にとっては、ぜひとも入手したいものかもしれません。金属資源は地球の奥深くに眠っています。地球ができた当時、鉄の大部分は地球の核へ沈み込みました。他の金属もです。それを取り出すのはかなり大変です。

金属資源を求めるのなら小惑星帯に目を付けた方がよさそうです。ブシケという小惑星は全体がほぼ鉄とニッケル、地球の核のような小惑星です、直径250キロのブシケのほうが、金属採取に向いています。エリアンがわざわざ地球に来る理由が見当たりません。

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 2-7 高速電波バースト

それとも、実はすでにエイリアンからの信号を受け取っていたが解読できなかったのかもしれません。宇宙のかなたから来た謎の電波が、エイリアンからの電波だったのでしょうか。高速電波バーストは持続時間が極めて短く、しかも繰り返えし発生することもあります。

2018年7月カナダのチャイム電波望遠鏡が突発的な電波を探知しました。ほんの一瞬の強烈な電波、高速電波バーストと呼ばれるものです。とてつもなく強い電波が突発的に放射されて、太陽とは桁違いの明るさで輝きます。でも一瞬で消えてしまいます。

電波望遠鏡


 ほとんどの高速電波バーストは一度だけです。同じ場所で繰り返すことはありません。ところがこの時は、何日かするとまた同じ場所で放射されました。何十億光年彼方のバーストも探知されています。発しているエネルギーはとてつもなく巨大です。

巨大なものと言えば超新星爆発、ガンマ線バーストもありますが、高速電波バーストは持続時間が極めて短くしかも繰り返して発生することもあります。電磁波にはさまざまな波長があります。最も波長が長いのが電波、長距離通信に適しています。

私たちが電波を使い始めて100年以上、テレビや携帯電話、探査機との通信にまで使われています。地球外生命はもっと大規模に電波を使っているかもしれません。高速電波バーストは、とても幅広い周波数の電波ですから通信に適しません。

エイリアンの通信としたらお粗末です。周波数の幅が広いと電波はゆがみやすくなります。これが宇宙の物理法則です。宇宙空間にはごく薄いガスが漂っています。放たれた電波は相互作用をしますが、相互作用は周波数によって変わります。

もし幅広い電波を宇宙の誰かが受け取ったら、それはゆがんでいるでしょう。エイリアンが高速電波バーストを送っているとしたら、地球に届いたときは解読不能になっています。天文学者は電波バーストの発生を天体現象に求めています。

高速電波バーストの候補として考えられるの、超新星爆発の後に残る天体の中性子星です。太陽ほどの大きさなのに直径は一つの町位です。重い星が超新星爆発を起こした後に残る高密度の天体です。強い磁場を持つものは高速で回転し、電波のビームを放ちます。

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3 恒星間天体の出現

 3-1 オウムアムア

私たちは生まれて数10年しかたっていない中性子星をみつけたのかもしれません。強烈な電波を放つので検出できるのです。謎の高速電波バーストは天体現象なのか、エイリアンの挨拶なのかいずれにしてもファーストコンタクトはまだ実現していません。

エイリアンを否定しませんが、こういう場合はまず天体現象を考えてみるべきでしょう。宇宙は奇妙な天体があふれていますから、それで説明がつかなかったらエイリアンの出番です。エイリアンが本当に存在するとしたら宇宙は出会いを妨げているようです。

しかし、どんな障壁が多くても一縷の望みはあります。科学者は本気で地球外生命を探しているのです。たくさんの観測機関参加して昼も夜も毎日、探し求めているのです。でも、まだ見つかりません。

2017年に史上初めて発見された恒星間天体「オウムアムア」は不思議な天体です。太陽系の外から突如やってきた来訪者に、天文学界は大きく沸き立ちました。ガスを吹き出していないので彗星とは異なります。

銀河系の外から地球へ向かい、発見時にはすでに地球から遠ざかりつつありました。エイリアンの宇宙船ではないかと騒ぐマスコミもありました。2017年10月19日に発見された「オウムアムア」という小天体です。

オウムアムア


 太陽系外から飛来した小天体「オウムアムア」は葉巻型で、岩石質か金属質と思われました。世界中のプロやアマチュアの天文学者らがこの天体を観測し、NASAの軌道計算結果で恒星間天体であることが確認されました。

恒星間天体とは、太陽系の外の惑星系からなにかの拍子に飛び出して漂流し、たまたま太陽系へやってきた小惑星や彗星などの天体を指します。 恒星間天体が太陽系にやってくることは理論的に予測されましたが、実際に発見されたのはこの時が初めてです。

発見された時点で、オウムアムアは地球から遠く離れた場所にあり、さらに遠ざかっていたため、いったいどんな天体なのかはほとんどわかっていません。後の研究で窒素の氷であることが推定されました。

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 3-2 ボリソフも恒星間天体

現在オウムアムアは、太陽に対して秒速約26キロという速さで飛んでおり、すでに土星の公転軌道を超え、2030年代後半に太陽系を抜け星間空間に入ると予想されます。でも現代の技術で、太陽系外の天体について調べることができるかもしれません。

高速で飛び去っているオウムアムアを探査するには、それ以上の速さで探査機を飛ばして追いつく必要があり、そのため、天体の引力を利用して軌道を変えるスイングバイと、太陽で軌道変更を行うことで必要なエネルギーを獲得することが考えられました。

「パワード・スイングバイ」とも呼ばれる方法ですが、たとえば太陽で行う場合は、太陽軌道の中で最も太陽に近づく点でロケットを噴射することになります。太陽の近くは灼熱であるため、探査機に頑丈な耐熱シールドを装備する必要があり実現性は難しかった。

そこで2028年2月9日に打ち上げ、2回の地球スイングバイと1回の金星スイングバイで、ロケットによる軌道変更する。木星でのオーベルト効果による軌道変更を経て、打ち上げから22年後の2050年1月29日にオウムアムアに追く方法です。

研究チームは軌道を再検討した結果、太陽でのオーベルト効果による軌道制御を使わずに、ほぼ同じ時間でオウムアムアに追いつける新しい軌道を発見しました。2022年1月13日にその成果をまとめた論文が発表されました。

また、2028年3月7日に打ち上げ、26年後の2057年3月1日にオウムアムアに到着する案や、2023年8月22日に打ち上げ、一度木星を使って黄道面から離れ、その6年後にふたたび木星に戻り、オーベルト効果による軌道変更を行います。

これにより2051年8月155日にオウムアムアに到達する案も示されています。オウムアムアの正体を解き明かすためには、先日打ち上げられたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡でも不可能であり、探査機で訪れて直接探査するほかないのです。
ボリソフ

2019年には猛スピードで、太陽系を横切る二度目の恒星間天体が訪れました。この天体はガスを噴き出す彗星でした。ガスの成分が太陽系の彗星と同様の成分です。この恒星間天体はボリソフと名付けられました。

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参考資料:BS12ディスカバリー傑作選「エイリアンの痕跡」、映画エイリアン、プレデター、インデペンデンスデーなど。

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