はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第37章 大規模修繕の準備

マンション管理組合活動の中でも、最大エネルギーを要するのが大規模修繕工事と言われます。安全で快適な生活を続ける上で、建物の外観や設備、機能を適切に維持する必要があります。どのように準備を進めて逝くべきか様々なセミナーを受講して学びました。

1 高齢者に優しいマンション

給水設備大規模改修工事を施工されたS工業の社長より「共用部のバリアフリー改修についてのセミナーがあります」とのご案内をいただき、平成21年4月26日に札幌市産業振興センターで開催された「第7回マンション大規模修繕セミナー」に参加しました。セミナーの概要は、2009(平成21)年5月10日発行の理事会報第277号でお知らせしました。

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1) 安心して暮らせるマンション

終の棲家(ついのすみか)として、いつまでも暮らせるマンションつくりがいま一番求められています。建物の安全安心と防犯対策として、長時間録画できるタイプの防犯カメラを共用玄関やエレベータ内部、駐車場や通路への設置が急増しています。居住者の火災と緊急時の通報システムの設置を行った管理組合もあり、建物のバリアフリー化は多くの課題に対するひとつの答えです

バリアフリー化やユニバーサル化という言葉が使われていますが、どのようなことかご存知でしょうか。「床に段差がないこと・壁に手すりがついていること・通路や入口が車椅子で通れること」でしょうか。バリアフリー化は、高齢者や障害を負った方々が生活するうえで障壁(バリア)となる部分を取り除き(フリー)、より生活しやすくすることを意味しています

設計業界ではバリアフリー化より範囲を広げた、ユニバーサルデザインという考え方が使われるようになってきました。ユニバーサルデザインとは、対象が高齢者や障害を負われた方々だけではなく世界中の全ての人が対象となります。小さな単位でいえば、皆さんの周りの家族の一人ひとりが対象となります。このことを踏まえて安心して暮らせるマンションとはどういうものか考えてみましょう。

安心して暮らせるはずの住宅で、多くの方が命を落としていることをご存知でしょうか。平成19年度の統計で交通事故の死亡者は5,744名、住宅内事故での死亡者は12,415名で、住宅の施設・設備に起因する事故死者は5,569名でした。死亡事故の発生した部屋別年齢別の死亡者数は次のようになります。

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死亡場所死亡人数65歳未満65歳以上主な死亡原因
浴室3,566人 404人3,162人浴槽内で溺死
廊下・ホール1,167人 164人1,003人スリップやつまづき
階段  433人 115人  318人転落
その他  403人 224人  179人

平らだと思っている廊下やホールの床にも危険が潜んでいます。廊下の床材によっては雨などの水が原因で滑って転倒する危険性があります。とくに寒冷地の場合は冬季間の雪でさらに滑りやすくなり非常に危険です。ノンスリップ材質ですと床は滑りにくくなりますし、万が一転んでも体にダメージが少ない材質に変えることも必要です。

転倒時のけがの軽減(安全性)、保湿性のアップと音の軽減(快適)、抗菌性がある(清潔)、表面がコーティングされている(掃除がラク)、耐久性がある(長持ち)などを検討して、滑らせない・支える・つまずかせないことが重要です

廊下とホールに手すりがついていれば、つかまって歩くことができるので転倒する危険性も少なくなります。手すりは一般的な高さ(75~85cm)と、子供や高齢者(60~65cm)向きがセットになっている樹脂製のものがあります。

また、握りやすい太さを考えることも必要で、しっかり握れる手すりの太さは直径34cmとされています。昼間でも暗い廊下や階段などは、手すりを発光(蓄光=周囲の明かりや蛍光灯の光を蓄積)タイプにすると、天候の悪いときや災害時にも位置が確認できる(右側写真)ので危険回避につながります

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2) 大規模修繕の具体的な方法

建築年数、建物の規模、大規模修繕の予定の有無にかかわらず全てのマンション管理組合にとって切実な問題であり、大規模修繕の準備を終えるだけで多くの管理組合の役員は疲れ果ててしまいます。1年ごとに交代する理事が大規模修繕に対処するのは不可能で、任期を延長して対応しても結果責任を問われかねないなどの負担が大き過ぎます

工事規模が大きければ、裏でどんなことをしているか分からないとの噂話も流され、理事会業務を管理会社へまかせきりの理事長や理事経験者からの批判が多いとのデータもあります

あらたに修繕が必要な部分が出てくると「理事長、あんたは今まで何をしていたんだ」と現職理事の中から批判も出てきます。大規模修繕は相談相手となるパートナーがいなければ理事会だけで手に終えるものではありません

建物に人が住みながら進められる工事がマンションの大規模修繕であり、新築工事と大きく異なる点です。このような工事を経験した人は意外に少なく、どんな不便があるのかを簡単に説明することは難しいと感じています。分譲マンションの管理組合は、組合員の集合体ですから管理組合の意思を統一するためには多くの手続きと時間がかかります。

多くの管理組合ではこれらの要因から、大規模修繕工事を人任せにしてしまい、結果として満足できない工事となってしまうこともしばしばあります。試しに、管理会社名にリフォームの文字を追加してインターネットで検索すると、あまりにも多い不平不満や批判に目を覆いたくなります。ですから、みなさまには「自分のマンションは自分で守る」ことをあきらめないでほしいのです。

管理組合がマンションの大規模修繕を実施するには次の準備が必要です。

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ア.  修繕の目的を明確にする

建物の安全性の確保を行い、耐用年数をできるだけ伸ばすことです。住環境の維持だけではなく向上も目指します

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イ. 組合員の合意形成を図る

大規模修繕の実施は総会で決議しますが、そのための検討事項や決議内容を節目ごとに組合員に周知してゆくことが合意形成に必要不可欠です。また、組合員の要望を上手く引き出し多くの意見に耳を傾けることが欠かせません。公平性と透明性のある対応が望まれます。

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ウ. 工事費用を確保する

工事費用は修繕積立金の範囲内で済ませることをどこの管理組合からも強く要望されます。しかし、積立金の額が必要な工事費用に足りない場合は一時金の徴収や借り入れが必要になります。できるだけ早い時期に工事の概算工事金額を把握して組合員に報告し、組合員に無理をかけない形で工事費用の確保に努めなければなりません

これらの準備を実行するには、更に「準備活動を行う組織を作る・活動のスケジュールを作る・大規模修繕に関する情報を集める」という、三つの具体的な行動が必要になります。

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2 暮らしやすいマンション

2009(平成21)年10月17日10時~15時まで、札幌市産業振興センターセミナールームでマンション大規模修繕協議会と株式会社アーバン・プランニング共催の第8回マンション大規模修繕セミナーが開催されました。セミナーの概要は、2009(平成21)年10月31日発行の理事会報第290号でお知らせしました。

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1) 三つの最重要ポイント

安かろう悪かろうにならない大規模修繕工事費の効果的な削減方法は、長期的な視野に立つことと建物の特性に合わせることが基本的な考え方になります。費用を削減する方法の一点目は、「同じ破損や劣化を繰り返さない」ことです。不具合の原因を特定して改良しないと、再度同じ破損や劣化が繰り返され結果的にコストが上がります。調査診断を実施して建物の特性に応じた対策を講じ、同じ修繕を繰り返さないことで次回以降の修繕工事費が減額できます。

費用を削減する方法の二点目は「劣化度によって材料を使い分ける」ことです。建物のすべての部位が一様に劣化するわけではありません。一日のうちで日の当たる時間が長い部分や直接雨の影響を受ける部分と、北側外壁や庇の下などでは建物の傷みが異なります。劣化度に合わせた材料を選定し、劣化度に合わせた修繕周期を考えます。また、新築時に考慮されていない部分やマンションの傷みやすい部分など、その劣化度により補修材料を使い分けることも重要となります。

   

費用を削減する方法の三点目は「修繕の目的を正しく理解する」ことです。建物を修繕するのは建物の長命化をはかることですから、進化した材料を取り入れ、破損や劣化を予防し、建物の弱点を補強することです。また、リスクが伴うコスト削減方法は避けます。ゴンドラ工法は部分の修繕工事には向きますが外壁全体の工事には不向きです。足場が不安定で横への移動が制限されます。足場は工事費の10~15%を占めますが、不具合の箇所を直ちに確認できすばやい対応などで工期の短縮がはかれる利点があります。

正しいコスト削減方法は小まめなメンテナンスをすることです。定期的な建物点検を理事会が行い、不具合があれば放置せずに専門家の意見を聞いて補修することです。ひび割れが多い壁面の補修は、応急補修の仕方によって使用したシーリングの撤去費用がかかる場合があり、既成タイルでの改修は美観を損なう結果を招きます。専門家の意見を聞くことで後日必要となる費用を削減することができます。建物修繕の目的は建物の長命化をはかり、安心で快適なマンション生活をおくれるようにすることです

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2) 七つのポイント

建物の外装であるタイルと防水についての専門的な解説でした。建物の外装材であるタイルにヒビが入るメカニズム、タイル焼成のスケジュール、最新の修繕材料と建築設備機器のメリットとデメリットも、大規模修繕協議会というメーカーに依存しない団体のためはっきりしていました。屋上防水層の撤去工法と再生工法、熱・トーチ・自着工法について詳しい説明があり、私達のマンションは再生工法と自着工法が適しているように思えました。

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3 賢い大規模修繕

2009(平成21)年10月18日13時から札幌市産業振興センターセミナールームで建物診断設計事業協同組合(略称「建診協」)北海道支部主催の第61回建診協マンション勉強会が開催されました。セミナーの概要は、2009(平成21)年10月31日発行の理事会報第290号でお知らせしました。

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見方・考え方・進め方

事例紹介は、9月3日に沖縄県浦添市内の分譲マンション(右側写真、琉球タイムスより転載)の事故で、A棟の二階部分の廊下が手すりと共に約20mにわたり崩れ落ちました。むき出しの鉄筋、無残に垂れ下がるコンクリート、入居者の大半が60歳以上の高齢者世帯で病気を抱えた人もいるそうです。

廊下が崩れ落ちた原因は建築資材と造りが悪いだけではなく管理と住民が悪い典型的な事例でした。自主管理のマンションに管理組合はなく、修繕積立金もなく、修繕は誰かがやるだろうと他人任せ、誰一人建物のことを何も考えずに35年を経過した結果でした。つい先日見てきたフランスのパリでは、マンションに居住すると当然のことのようにコミュニティーへ参加します。住人同志の交流を図りながら協力し合って建物の維持管理に当たるため、1904年に建てられた鉄筋コンクリートのマンションでもなんら問題がないのです。

コミュニティーへの参加を避ける人がプライバシーを振りかざすという話を時々聞きます。プライバシーというものは良いコミュニティーで守られ、コミュニティーがなければ守られないものなのです。人との付き合いをさけて暮らしていれば周囲の人はかえって興味を抱くでしょう。何をしている人だろうから始まり、あんなことをしていた、こんなことをしていたに尾ひれがついて、人前にでられないようなことをしている不審者との噂が立ち始めます。人との付き合いがあれば誤解を招くことも噂が広がることもないのです

マンションでの生活は集うことがもっとも重要視されています。異世代交流を行い、居住者の潜在的なニーズを顕在化して具現化することが大切です。古くなったら建て替えではなく、管理組合を組織しているのは建物を全員で維持管理するためであることを忘れてはいけないのです

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大規模修繕は、資産価値を向上させるためのものではありません。居住者にとって暮らしやすいマンションを作り上げていくことが目的で、マンションの使用価値を上げることは生活価値の向上を実現します。マンション管理の本質は「自治」であって「統制」ですから、一人ひとりが他人に迷惑をかけない自覚が大切です。

戸建住宅の世帯主、は自ら情報を集め、自ら決定し、自ら実施し、自ら責任を負っています。区分所有者は、公正・公平・公開を原則の管理組合組織をつくりながら、自らの役割を放棄してどうするのでしょう。自らの財産は当然としても、他人の財産の価値を落としていることに気付かないのでしょうか

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3 維持保全の取り組み

2009(平成21)年10月24日13時半から札幌市産業振興センターセミナールームでLLP改修設計センター北海道支部主催のマンション管理セミナーが開催され、建築物調査業務基準改定委員を務められた佐藤紀男一級建築士より「定期調査制度とマンションの関わりについて」の講演がありました。セミナーの概要は、2009(平成21)年10月31日発行の理事会報第290号でお知らせしました。

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1) 定期検査制度の改正趣旨

定期検査制度の改正趣旨は、対処療法的な建物の維持保全ではなく、専門家による点検を通してこれまで以上に建物を健全な状態に保つための具体的な方策を区分所有者に認識させようとするものです。管理組合は定期調査を依頼するだけではなく、調査結果を必ず確かめて建物を保全するための方策を検討しなければ何の意味もなくなります。大規模修繕パートナープレゼンテーション時に質問した、タイルが浮いて(右側写真)剥落の危険性がある事例も紹介されました。

LLP改修設計センター長の柏木義清一級建築士より「マンションの劣化」について、屋上の劣化、モルタルのひび割れ、外壁タイルの亀裂と剥離、外部鉄部の錆、配管設備の劣化、経年や生活様式の変化による各設備と機能及びデザインの陳腐化について、改修前と改修後の写真を基に解説がありました。「大規模修繕工事のポイント」では、危険箇所の改修、躯体劣化要因の排除、美観、機能とデザインのグレードアップ、住みながらの工事などについて注意点が示されました。

人が歳と共に老化するように建物も老化し、人に寿命があるように建物にも寿命があります。人の場合は早期発見と早期治療が有効であり、建物も定期診断と計画修繕が必要です。管理会社へ任せきりにせず、最低でも3ヶ月に1回、できるだけ毎月建物と設備の点検を理事会が実施してください

法定点検以外で、給水装置(給水ポンプ、蓄圧ポンプ、増圧給水装置、加圧給水装置、制御機器関係)、排水装置(雨水排水ポンプ、釜場ポンプ、雑排水ポンプ、ブロワーポンプ、汚水排水ポンプ、蓄留槽配管と弁類、制御機器関係)、電気設備(共用分電盤、換気設備、照明設備、遠隔監視装置、TV共聴設備、排水枡関係、樋と堅間及び通気管)などの点検は欠かせません。大規模修繕工事実施の際は、毎月の建物と設備点検の結果を元にし設備機器の改修も合わせて検討すべきと訴えていました

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4 やすらぎとくつろぎの空間

2010(平成22)年2月28日9時半からホテルニューオオタニで建装工業株式会社主催のマンション管理セミナーが開催され、フリーライターの山本健治氏より「安全安心のためのやすらぎとくつろぎの空間」の講演がありました。セミナーの概要は、2010(平成22)年3月6日発行の理事会報第298号でお知らせしました。

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1) 助け合いでやすらぎが生まれる

むかしの親はこどもを叱った。近所の人も他人の子を叱った。怒られることで、こどもたちはことの善悪や助け合うことを学んできた。だから、いつも叱られていた人が理事長さんに多い。いまの親も近所の人もこどもを叱らない。善悪は身に付かず助け合うことを忘れる。良好な人間関係をつくれないから、自分のことしか考えられない大人になってしまう。自分のために人を利用し自分さえよければと孤立している家族を「個族」という

おせっかいでも良いから孤立させないように声をかけよう。できる者だけでもいい、できる範囲でいい。マンション生活は仲良くすることが基本、喧嘩するのが目的ではない。レジメからおはなしの内容をご推察ください。

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2) いまの日本に不足しているのは
 「3A」と「3Y」

3A、それは「安心」「安全」「安定」の三つ・。

3Y、それは「やさしい心」「やわらかい人間関係」「安らげる家庭・地域・社会」

   

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3) いま日本が直面している問題、
 それは「か・き・く・け・こ」

か 格差の拡大と固定化。

き 競争第一・勝つことがすべてに。

く 空洞化・ものづくり・地方・精神(倫理・道徳の倒壊)。

け 経済の不安定。

こ 高齢化・国際化,そして「個族」の増加。

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4) 安全安心のための、やすらぎと
 くつろぎの空間づくりに必要なこと

あ 明るく挨拶しあえる関係づくり。

い 生き生き共同作業をしあえる関係づくり。

う 浮き浮きスポーツ、趣味、ライフワーク、ボランティアなどに参
  加。

え 笑顔で毎日が送れる健康と支え合い。

お おたがいさまの気持ちを大切に。

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5) 安全と安心はマンション全体と
 住民それぞれの日頃の備えから

自覚    いつ、どんな災害や犯罪が起きても不思議ではない社会に
      なった自覚を。

備え    防犯防災訓練の実施と参加,防犯防災機器の設置と使用法
      の訓練。

助け合い  隣人関係、防災防犯組織、連絡体制、地域・行政・警察と
      の連携。

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6) 阪神淡路大震災での
 私のボランティア経験からの教訓

・ マンション住民のまとまりが第一、相互信頼と連帯、助け合い精神
  がなにより。

・ マンション住民の自立自助の気構えがボランティア活動を有効にす
  る。

・ 情報のキャッチと住民全体での共有化。

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5 長期修繕積立金の適正額

2010(平成22)年3月7日午後1時から町内会館へ一般社会法人マンション大規模修繕協議会より相馬一級建築士と泉二級建築士がおいでになり、プロジェクターを利用しながら「適切な修繕積立金の額」についてセミナーを提供いただきました。セミナーの概要は、2010(平成22)年3月6日発行の理事会報第299号でお知らせしました。

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1) 現状を認識しよう

国土交通省が2008年に行った調査によると、20.7%の管理組合が修繕積立金の不足を感じ、役員のなり手不足やマンション管理への無関心、ルール違反者の増加といった懸念材料と比肩する結果となっていますマンション管理新聞によれば、2009年下半期(7月~12月)に、全国で新規に分譲された民間マンションの中から580件14,702戸を対象に「管理費等の初期設定調査」を実施すると、㎡当たりの管理費は平均で8円アップ。修繕積立金も高値を更新中で平均値は、築10~16年で9,000円以上、築17年以上は1万円以上となっているそうです。

ア. 修繕積立金の値上げは家計を圧迫する

修繕積立金はAタイプ75.66㎡×㎡単価200円=15,132円と、Bタイプ67,27㎡×㎡単価200円=13,454円ですから、小規模マンションを考慮に入れても適正値からそれほど外れていないと言えます。建物診断時に重大な損傷が発見されない限り金額の見直しは不要と思われます

イ. 委託管理業務費の値上げも家計を圧迫する

藪ヘビにならないよう、管理会社への打診は取り止めとしました。

ウ. 駐車場使用料に依存できない理由

・ 第1期定期総会の出来事  過去の事実を認識しました。

・ 近隣の駐車場使用料金の実態  これまで黙認してきたことへの疑問
 も出ました。

・ 相場以上の負担を強いられてきた車保有者  相場に合わせて値下げ
 は当然でしょう。

・ 車が減れば管理費は赤字に
   高齢化は止められず、赤字が出たら全員で負担するしか方法があり
  ません。仮に、車を保有している60歳以上の区分所有者が車を手放
  すと、12,000円×12ヶ月×4台=年間576,000円の収
  入減となります。年間576千円の減収を補うには、単純計算で㎡単
  価145円を㎡単価175円に増額しなければなりません。

不況が続けば、年齢に関係なく本人やご家庭の事情で車を手放される方がないとはいえず、車が減るたびに値上げが必要となります。

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ウ. 管理費のあるべき姿

専有部の面積に応じてだれもが平等になる管理費にしなければなりません。駐車台数によって管理費の増減が発生しないように、駐車使用料収入を外して管理費の必要額を考えてみましょう。平成21年度の一般会計収入から雑収入を除いた4,892,400円が最低限必要な額と仮定します。この額に最も近づけると,単純計算で管理費は「㎡単価258円」となります。委託管理費の改定があれば負担はさらに増加します。

駐車場使用料を12,000円から近隣の相場に合わせて8,000円として計算すると、現在と同様のサービスを受けるには車の未保有者と保有者のいずれも負担額が増加します。これが、専有部の面積に応じてだれもが平等に負担すべき管理費の姿なのです。

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エ. 差が有りすぎる認識

日本マンション管理士会連合会の事務局長は、築年数が古い建物ほど所有者の高齢化が進み、賃貸に出す所有者も増え、管理組合の役員の担い手が不足する傾向が大都市でみられるといいます。共通認識の持てなかったマンションの末路が、東札幌まくらぎ町内会設立30周年記念誌「ふるさとまくらぎ」に以下のように記録されています。

「昭和51年、鉄筋コンクリート三階建て六戸の本格的な分譲マンションが建設され、完売されて自主管理のための管理組合が設立された。全世帯は町内会に加入したがマンションの住人は自分だけの世界に閉じこもりがちで、区分所有者の豊田氏以外は町内会総会や町内清掃に参加することもなく、持ち家住人とのコミュニケーションを図ることはむずかしかった。

築十年を経過したころより区分所有者に分担された清掃業務の手抜きが起こりはじめた。名前だけの役員や様々な理由をつけて役員を引き受けない者が現われ、スラム化が進行して管理組合は機能を失い始めた。階段の鉄製手摺は腐食で所々が痩せ、支柱は床部分で固定不良が起きていた。各階のコンクリート製階段の角やふちが崩れ落ち、共用部廊下の耐火ボード製天井板と内壁はしみが付いて変色し、湿気排出用換気扇は破損したままで放置された。塗装が劣化した外壁モルタルに無数のクラックが走り、モルタルの欠落部分には防水シートや金網が現われていた。

補修の話し合いが出来ないまま建物の劣化が加速しはじめると住民の霧散が起こり、廃墟の様を呈した分譲マンションは建築後わずか20年で解体処分された。」

マンションという共同住宅で生活する意味をだれもが問い直し、現実を直視すべき時期が来ています。

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オ. カビとコケが生えて陳腐化した管理規約類

私達の管理規約と標準管理規約を対比すると20項目以上の相違があります。細かな相違はかなりの数で、基本となる考え方の違いがあるため現在の管理規約のままでは関連法の適用を受けることは難しい状態です。

同居の配偶者や親子等が役員を務めることや、賃貸居住者にも役員の一翼を担っていただくことが認められています。適正化法施行規則の改正で会計担当理事の新設と義務違反者に対する措置の細分化、町内会との連携がとれるマンション居住者のコミュニティ形成も管理組合業務として義務付けられました。管理規約に役員の業務内容を定め、誇りと責任を持てるよう工夫することも薦められています。

管理組合改革案の全貌をお知らせした後、平成22年度当初から管理規約と使用細則の全面改正と必要な規程類の整備に取組むことが必須との声もでました

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カ. 役員選出はどのような方法で

様々なご意見がありました。役員経験の少ない順序で輪番を作成し早めに公表して自覚を促すべきでないでしょうか。やり方が分からないとか、そんなことまでできないというの、他の人の苦労を認めない気持ちの表れでしょう。長年苦労した役員は他の人が同じ年数を経験するまで輪番から外すべきでは・・・。

挨拶もしない人のためにと思えば馬鹿らしい気持ちも分かりますが、名前だけの役員を選ぶと後始末は真面目に仕事をしている人に帰ってくるので意味がないような気がします。要望をするだけでなく、解決策の提案と実現への助力も含めていただくと改善が早まるのではなどのご意見もでていました。

役員の善意を期待するだけでなく、感謝の気持ちを表すことが大切というのが共通した考えでした

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キ. 八年後に訪れる限界点

米国の小説家マーク・トウェインは「やったことは例え失敗しても20年後には笑い話にできる。しかし、やらなかったことは20年後には後悔するだけだ。」との格言を残しました。米国の心理学者トーマス・ギロビッチは「人間は行動した後悔より、行動しなかった後悔の方が深く残る。」と説きました。現実から逃避せず、手遅れにならないうちに前へ進む時期が来ています。

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ク. 幸せを求めて話し合いませんか

平成15年7月13日の第11期定期総会で、「南面大規模修繕に備えて理事の増員」が承認されました。平成23年度の大規模修繕は前回よりも規模が大きいため、準備に奔走する理事長の業務は増加の一途をたどっています。管理規約改正の前ですが、平成21年度総会で理事の1名増員を提案することを考えています。任期は平成22年度と233年度の2年間、役員経験のない方から選出すべきでしょう。

大規模修繕が近い時期だけに、居住されている区分所有者の大多数が参加されると考え、懇談会と懇親会用にお茶とお菓子を用意しました。しかし、見るも無残な結果となり、少ない参加者にお願いして購入品をお持ち帰りいただきました。

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6 満員盛況の大規模修繕セミナー

2010(平成22)年4月17日午後1時から札幌市産業振興センターで開催された一般社会法人マンション大規模修繕協議会の第9回大規模修繕セミナーは、朝日新聞社、北海道新聞社、建通新聞社の後援を得て、定員を上回る150名参加という盛況でした。セミナーの概要は、2010(平成22)年5月5日発行の理事会報第305号でお知らせしました。

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1) 長期修繕計画書は

相馬一級建築士より長期修繕計画の説明がありました。長期修繕計画書は修繕積立金算出の根拠になります。長期修繕計画で今後30年間の修繕に必要な工事金額の総計を求め、30年で割ると1年分の修繕積立額になり、これを全体の専有面積で割ると「1㎡当りの修繕積立金年額」となります。

長期修繕計画では「項目、単価、数量、周期」を明確にします。修繕項目は、地域やマンションの特性を考慮(立地条件、気候風土、設備等)し、修繕の必要性を検討(アルミサッシ、アルミ手摺り取替え等)し、修繕積立会計と一般会計の区分(配水管洗浄等)の明確を図ります。項目が足りないと積立金は不足し、項目が過剰だと積立金は上がります。管理組合は専門家の意見を参考にして計上すべき項目を決定します

マンションにより仕様が異なるので、修繕数量は全てを積算することが最善です。メリットは数量が正確であれば見直し時も有効になりますが、デメリットは数量積算に時間がかかり費用も高額になることです。修繕単価は一般的な設計単価を使用する方法があります。単価が高めのため安心感がありますが、工事金額が上がるため積立金も上がるというデメリットがあります。実勢単価を使用する場合は専門家に依頼すべきで、仕様、材料、工法により単価が変わるので修繕周期を含めた検討が必要になります。

一般的な修繕周期は12年(立地条件、材料、工法により周期は変化)です。設備と電気の修繕周期は、各文献や協会により耐用年数が違います。修繕周期により総工事金額が大きく変わり調査により修繕周期を決定します

考慮すべき重要なポイントは、「物価変動や消費税値上げをどうするか、専有部の給排水修繕をどうするか、作成した内容をどう伝えるか」で、分かりやすい計画書で組合員に理解してもらうことが必要となります。長く住み続けるには定期的な修繕が必要で、値上げや修繕一時金は難しくなることから計画的な準備と組合員の総意を大切にすることです。

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