1 北海道の犯罪情勢
北海道内の「刑法犯認知件数の推移」は暫定値では平成15年から5年連続で減少し、平成19年度中は60,904件となっています(平成20年1月現在、北海道警察本部生活安全企画課)。
平成18年度の重要犯罪である、殺人、強盗、放火、略取誘拐・人身売買、強制わいせつの認知件数は773件で検挙件数は468件、検挙率は60.5%でした。在日外国人犯罪は341件で、検挙人員は211人、国籍別では中国人が94人、ロシア人が64人で、全体の75%を占めています。
2008(平成20)年3月8日、ホテルニューオータニ札幌で開催された建装工業株式会社主催マンションセミナー。日本マンション学会東京支部長で中央学院大学法学部の平澤修准教授の講演「マンションにおける犯罪と防犯対策」より「防犯対策」の要約です。
北海道内の「刑法犯認知件数の推移」は暫定値では平成15年から5年連続で減少し、平成19年度中は60,904件となっています(平成20年1月現在、北海道警察本部生活安全企画課)。
平成18年度の重要犯罪である、殺人、強盗、放火、略取誘拐・人身売買、強制わいせつの認知件数は773件で検挙件数は468件、検挙率は60.5%でした。在日外国人犯罪は341件で、検挙人員は211人、国籍別では中国人が94人、ロシア人が64人で、全体の75%を占めています。
住宅侵入は凶悪犯罪へと発展します。住宅侵入犯は「窃盗」を目的としていても、在室者がいれば「強盗」へ変貌し、在室者が女性であれば「強姦」、抵抗すれば「殺人」へと発展します。
意外に思われますが、住戸の玄関ドアから侵入するケースが多く、オートロックに安心しきって施錠がおろそかになることが考えられます。バルコニーから侵入されるケースは高層階の住戸がもっとも多く、高層階であることに安心しきってバルコニー側の施錠がおろそかになることが原因と考えられます。鍵をかけている場合でも侵入方法は多々あります。
a. 合鍵で錠開け 家の周りに隠しておいた合鍵を使用する
b. ピッキング 鍵を使わずに特殊工具を使用する
c. カム送り 特殊工具で錠シリンダーを迂回してデッドボルトを作動させる
d. サムターン回し 玄関ドアに穴を開けてサムターンを回す
e. 錠破り バールで扉をこじ開ける、プライヤーでノブを破壊する
f. 窓ガラス割り クレセント取付位置のガラスを割って手で開錠
g. 焼き破り ライターで窓ガラスを熱してヒビを入れ、手で開錠
マンションは安全という居住者の勝手な思い込みが強く、防犯防災に関しての心構えがおろそかであることが狙われる最大の理由です。しかも、住民相互の交流がなく無関心であることなどが誘因となっています。
犯人の側からすれば、マンションは下見がしやすく、家族構成や出勤と帰宅時間を調査しやすい。住戸に侵入した場合は、密室性が高いので少々物音がしても隣近所には伝わりずらいく、非常に好都合の空間といえるのです。
名古屋市中区の無職佐藤被告31歳は2003年7月~2005年7月までの間に12才~37才までの女性15人に対し、強盗強姦5件、強姦致傷4件、強姦3件、強盗強姦未遂1件、強姦未遂1件、強制わいせつ1件をしたとして起訴されました。
被告は、高層マンションの層部は無施錠の部屋が多いことから、昼間に洗濯物の種類などを調べて1人暮らしの女性を探し出し、深夜に配管などを上って部屋へ侵入していました。
名古屋地裁は、「ゆがんだ性的欲求を満たすもので身勝手極まりなく、被害者の中には自殺を図ったものもいる。被告は自分の性格を両親のせいであるかのように供述し、更生の意欲に欠けると言わざるを得ず、終生を矯正施設中でしょく罪の日々を送らせるべき。」と無期懲役を言い渡しました。
埼玉県秩父市の無職堀口被告33歳は、2005年3月8日~4月24日までの間、札幌や仙台など四都道府県で不動産会社の女性従業員に暴行を繰り返したとして、強姦障害で起訴されました。
被告は、札幌や仙台など四都道府県でマンションを探す客を装い、案内させた空き物件で不動産会社の女性従業員を襲う手口で6人を脅迫、うち5人に暴行を加えて4人に全治5日~二週間のけがを負わせたのです。
埼玉地裁は、「被害者の中には妊娠中の女性もいたとして、被害者の恐怖は深く、その後の影響も深刻。被告に酌量の余地はない。」として懲役17年の刑を下しました。
名古屋市中川区の配管工酒井容疑者47歳は、1999年に偽警察手帳で女性をだまして性的暴行を加え、実刑判決を受けて2005年に出所した。2006年5月~6月にかけ横浜市のマンションで偽警察手帳を見せ、「部屋が盗撮されている可能性がある。捜査に協力してください。」と言って部屋へ入り、性的暴行を加えた容疑で逮捕されました。
酒井容疑者は新しい警察手帳の偽物を用意していたのです。本物と同じ黒色で、金色の記章の形も酷似していた。身分証明書に本人の顔写真を張り、愛知県警察高域捜査班主任という架空の役職名と偽名が手書きされていました。
東京市中野区の会社員杉田容疑者29歳は、マンション屋上に女性を連れ込み乱暴したとして逮捕されました。2006年の春頃から、マンションのエレベーター内などで女性が体を触れられるなど数件の強制わいせつ事件が発生し、中野署が杉田容疑者の関与を捜査中でした。
2006年5月31日午前4時半頃、中野区の路上で帰宅途中の20代の女性の後をつけ、女性の自宅マンションのエレベーターに一緒に乗り込み、顔などを殴って脅かしたうえ屋上に連れ込み乱暴した疑いで逮捕されました。杉田容疑者はこのはか、強制わいせつ事件1件について「自分がやった」と認めています。
a. 自動車盗(部品盗を含めてマンション敷地内駐車場が標的)
b. 小さな子どもを狙った犯罪(発生場所の三割近くがマンション敷地内)
c. 女性への性的暴行(発生場所の四割近くがマンションの階段やエレベーター)
d. 放火(認知件数の四割がマンションに対するもの)
e. 高齢者や女性を狙った悪質訪問販売やリフォーム詐欺
f. 投げ落とし殺人
g. 投げ落とし無理心中(母親子ども二人をみちづれにマンション上層階通路から)
一極集中的に人口が増加する札幌で、厳しい冬に対応する住宅としての需要が多く、高齢化社会を反映して生活するうえでの利便性が追及されています。単棟型で30~50戸の中・低層マンションが多く、繁華街や地下鉄駅に近く、高齢者の居住率が高いうえ居住者間の連帯意識が希薄で、セキュリティに問題が多く自治組織も脆弱です。
2007(平成19)年12月14日午後0時25分頃、札幌市白石区本通6丁目北のマンション住居へ侵入した強盗事件が発生しました。一見作業員風の20~30代の男2人が、青色系か水色系の作業服上下に白色軍手をはめていました。犯行時の髪の毛は黒で帽子とメガネは使用していません。
2007(平成19)年11月9日午後5時10分頃、札幌市南区真駒内曙町1丁目1番曙団地路上で発生した殺人未遂事件。犯人は黒っぽい服装の男でセカンドバックをもち、被害者は3歳の男の子で左耳下切創。母親が子どもと帰宅途中、犯人は団地の物置付近から現れて、被害者とすれ違ったのち走って逃走。その直後、母親は子どもの左耳下付近からの出血に気付いたという事件です。
2007年に札幌市白石区内マンションで発生した連続侵入強姦事件で、内三件はオートロック設備のあるマンションで発生しています。犯人がマンション内へ容易に入れたのはなぜでしょう。オートロックは鍵がなければ解除できない、暗証番号を知らなければ解除できないと思い込んでいる人が多過ぎるのです。
3件の連続侵入強姦事件は、オートロックがあるから部外者が入ってこられないという思い込みが招いた悲劇です。被害女性が無警戒に自室から出入りする瞬間を、共用部廊下の死角部分に潜んでいた加害者に狙われています。オートロックの虚弱性を知らな過ぎる結果なのです。
ロックの解除方法を知らなくても「連れ入り」があり、マンション内から人が出ていくときに入れ違いに犯人が内部へ入ることが多いのです。オートロックは安全性への配慮で、開錠してから閉錠するまでの時間に余裕があります。焦らなくても入れ違いに入ることは誰にでもできるのです。
物理的要因として挙げられるのは、外部から観察のしやすさい構造、留守の確認が比較的容易、無施錠という油断が多いことです。乗り越えが容易な非常階段出口や非常階段とバルコニーとの距離がわずかで、隔壁もフェンスをつたって乗り越えが可能なところもあります。また、隣接するビルからバルコニーへの飛び移りによる侵入も可能です。
エレベーターは一定時間以上の密室性があり、連れ入りから生ずる犯罪が増加します。駐車場などでは、監視も照明もないことから悪戯や犯罪を誘発させます。集合住宅ゆえに連続する居室による訪問の効率化も物理的要因として挙げられます。
人的な要因としては、来日外人グループによる犯行は土地勘がなくても役割分担による効率的な連続犯行が可能となっています。
マンション内の住戸へ侵入する手口は、無締り狙い、連れ入り(共連れ)後の無締り狙い、サムターン回しとガラス破りにカム送りなどが多く、このうち、さして技術を必要としない「サムターン回し」とガラスの「焼き切り」が主流となっています。ガラスの「焼き切り」は、携帯用ガスバーナーを用いて、ほとんど音を立てずに1分30秒程度で開けられるという実験結果があります。
侵入窃盗全体の15%を占める「無締り狙い」は、朝のごみだしなどのわずかな隙をついて行われることが多く、共用玄関にオートロックを採用しているとの過信から、施錠しないで室外へ出た隙に侵入されています。
これらの侵入を許しているのは、連れ入りが容易になされても気に留めないこと、住民の7割がお互いの顔を知らない現実、よほど人相や風体がおかしくなければ無関心でありたいとする住民意識です。
マンションでの犯行は、実行犯と見張り役という2人以上で協力する形をとることがしばしばです。共用廊下でひとつのフロアがつながっている形態のマンションは注意が必要です。また、玄関ドアから侵入したのち、バルコニーづたいに連続して隣戸へ侵入する場合もあります。
駐車場や駐輪場では、車上狙いや自動車部品の窃盗、自動車盗以外に乗り物破損行為も目立っています。
エレベーター内では恐喝を含む強盗。居室内では、居直り強盗や事後強盗、強盗致死傷などが発生しています。
宅配業者を装った押し込みの例もあり、用心に限界がありますが、とくに女性が一人でいるようなときや高齢者宅では注意が必要です。
エレベーター内や階段などでは強制わいせつ行為があり、特に高層マンションでの危険性は大きいのです。居室内へ押し入り、強制わいせつ行為や強盗強姦などの被害も発生しています。
ひとたび居室内に入り込むと、そこは密室空間であり犯罪がエスカレートする危険性が大きくなり、マンション侵入犯罪の特徴といえる。
マンションに対する放火は想像以上に多く全体の4割を占めています。建物以外のごみ置き場などへの放火や、器物損壊の手段としての放火もあります。
種々の詐欺商法で、消火器販売やリフォーム詐欺などを含めた悪質訪問販売も後を絶たない状態です。
迷惑行為としては、エレベーターの汚損、集合郵便受けで郵便物の窃盗と毀損や違法チラシの配布、マンション壁などへの落書き、ごみ置き場への不法投棄などもあります。
高層階からの投げ落としや、ものを投げ落とすことで傷害や殺人となることもありうるとされています。
マンションという集合住宅の宿命である密集性がもたらす居住者間トラブルと、居住者の無関心さが犯罪の原因として挙げられています。介護を必要とする高齢者増加と放置、管理組合の責任ともいえるバリアフリー化をしないことによる老人の転倒事故も起きています。また、区分所有者であることの認識欠如(非協調性)と、管理組合理事としての自覚のなさから管理会社に対する過度の信頼、単年度という理事任期の限界も原因として挙げられています。
居室を利用した犯罪としては、古典的には賭博、売春の場所や麻薬・覚せい剤密売拠点としての利用されていたことがありました。現代では、匿名性や密室性を利用した様々な犯罪の温床となり得る可能性を秘めています。
居住者間のトラブルから住民間の不和が生じて嫌がらせ、器物破損や暴行と障害、果ては殺人が発生することもあります。(例:神奈川県平塚市で1974年に発生した「ピアノ殺人事件」などです。)
少年非行とヴァンダリズム(破壊行為)で、設備等や自動車自転車などへの破壊行為などもあります。
管理規約違反行為としては、共用部を物置に利用することやペットの飼育、違法駐車などがあげられます。
子どもたちが独立して残された「高齢者夫婦二人暮らし」、さらにはその利便性から新たに入居してくる「高齢者独居」増加、地域社会から孤立することの危険性があります。
悪徳訪問販売(詐欺商法)による被害が増加し、電気水道工事の際の不要不急の付帯工事、部品取替えなどによる被害、年金を担保にローンを組まされて生活が破綻したケースもあります。
失火や漏水などで加害者となる高齢者が増加し、日常生活の中での些細なけがなどで病院通いや食料の買い出しができなくなった独居老人の衰弱死も起きています。
管理組合が保有する組合員の情報(家族構成、年齢、性別、職業など)を外部に漏らすこと自体が犯罪となるわけでありませんが、その情報が訪問販売者などによって悪用され種々の犯罪につながる危険性があります。
理事長による横領と背任など、居住者の無関心、人任せ、区分所有者としての自覚の欠如がもたらす犯罪は小規模マンションでしばしば生じています。組合員でない単なる居住者が組合員になりすまして管理業務を一切取り仕切り、長年にわたって管理委託費や修繕費などを架空のリフォーム業者(実は自分自身)に支払わせていた例もあります。
管理会社による横領や詐欺もあり、理事が面倒だからと「おまかせ管理」としている場合に生じやすいことがわかっています。犯罪とはいえないまでも、管理委託費を言いなりに支払っていた例は非常に多いのです。
防犯の基本原則は「犯罪者を近づけない工夫」です。
不法侵入者による下見(マンションへの接近やマンション観察)をさせないことが重要です。外来者への声かけ(一見、宅配業者や集金人にみえても声をかける。逆にそのように見えるものから挨拶をされて油断したケースもあった。)や、建物周囲や面している道路の清掃活動、自主防犯組織による日常見回りなどが、不審者を近寄らせない効果があります。理事長(建物管理者)や副理事長(兼、防火管理者)、また理事の日常的巡回だけでは不足というのが現実です。
東京都品川区の駅隣接マンションでは、住民が有償ボランティアで清掃業務などを分担して管理員業務を行い、お互いが顔見知りとなり建物の隅々まで目が届くようになりました。
東京都大田区のマンションは防犯カメラの設置もなく、逆転の発想で玄関ホール内にある集会室を地域住民に開放(居住者の一名は必ず参加)することで、建物内外に人が集まる工夫をしています。
建物内外に人が集まる工夫として、花壇の世話や建物前の除雪などが挙げられます。
マンション玄関への防犯カメラの設置(顔を正面から写せるように設置することが重要で、カメラの存在をわからせることが必要です。横にモニターを付設するのも効果的)、人目の行き届かない場所やエレベーター内や駐車場にも設置すべきです。
建物内は死角をなくす工夫が必要で、駐車場や駐輪場などは防犯灯などを設置して暗がりを減らすことが重要です。防犯カメラを設置する時はモニターを付設して、画面に映っている姿をみせることがもっとも重要です。
清潔で整頓された住環境を維持する努力が大切で、些細ないたずらや破壊行為であるからと放置しておくことが重大な犯罪につながる可能性があります。汚いマンションには犯罪者が集まり、きちんとしているマンションに犯罪者は近寄りません。清潔で整頓された住環境は、それほど目が行き届いていると犯罪者は考えます。アメリカにおける「破れ窓理論 broken windows theory」に学ぶことが重要です。
ドアとガラス戸の強化(侵入者が破壊をあきらめる強度)、補助錠の追加、防犯ベルの設置などが考えられます。
犯罪者は侵入に時間がかかることを嫌います。ドアや窓の開錠に5分もかかれば6~7割、10分かかれば9割の犯罪者はあきらめます。一階バルコニーへ入りにくくする工夫も必要です。
共用自動車や共用自転車の活用を図りましょう。利用頻度が少ないにもかかわらず各自が車や自転車を所有するのではなく、駐車場不足や駐輪場の混乱防止に努めるべきです。共用システムを構築することで無駄がなくなり、かつ整然とした駐車・駐輪環境が生み出され、ひいては犯罪防止も期待されるのです。
居住者としての日常生活を営んでいないもの(日常的交流を行わない者)への注意や、区分所有法第59・60条に基づく義務違反者の排除が必要となります。
居住者の連携(住民連携活動)による高齢者への日常的配慮や、場合によって介護サービスや社会福祉協議会、さらには警察との連携も必要です。もちろん、高齢者同士の連携も必要です。
名前だけでなく理事長就任資格の検討も必要でしょう。情報管理の徹底と専門知識への一定の理解が必要です。どうしてもおかしいと思ったら、当事者同士で争ってこじれる前に専門家(弁護士やマンション管理士)に相談するほうが良い場合が多いのです。
住民の連携がハード面での不足を補い、防犯効果を高めることができます。そのためには、管理組合と町内会や自治会などとの緊密な連携が必要となります。さらに、近隣マンション管理組合との情報交換や協力も不可決です。
同時に、警察から地域犯罪情報を頻繁にもらうことで重点的防犯活動を実施することができます(近時の警察、関連諸団体並びに民間組織の防犯への取り組みなど)。自主防犯活動団体は全国で2万以上存在し、北海道と札幌の例を紹介します。
○ 北海道アパート・マンション防犯連絡協議会
防犯連絡協議会は、都市部を中心に中高層マンションなどの建設が進む中で、隣人間のコミュニケーションの希薄化や匿名化などが顕著となる一方、共同住宅を対象とした侵入犯罪が多発していることから、共同住宅にかかわりを持つ関係機関・団体が協働して犯罪抑止に取り組み、安全で安心な住みよい地域社会の実現に寄与する目的に、平成18年9月30日に設立されました。
防犯連絡協議会の活動は、国または地方高級団体が行う防犯対策などへの協力、犯罪などを発生させない環境の整備と設備の普及、関係機関や団体との連携と各種防犯活動への参加、共同住宅居住者が行う犯罪など防止活動への支援、防犯思想の普及に向けた広報啓発、住宅に関する防犯指針の普及などを行っています。
札幌市「山の手セーフティ・ネット」
地域住民300人がメンバーとなって平成16年2月に発足し、地域内の子ども保護のため通学路のパトロールを地元タクシー会社と連携(下校時にタクシーが2台が巡回)しています。高齢者や障がい者の安全確保にも配慮し、「声かけ」が常態化するよう啓発活動を行っています。
パトロール用のジャンバーと腕章を用意し、警察や自治体との連携を図り、広報紙を発行しています。
マンションでの犯罪は、ひとたび起きると大きな不安と不信感を住民相互の間に生じさせてしまうこともあり、その後の生活に大きな支障をきたすことにもなりかねません。部外者が入りにくいと思われていたマンションが標的とされる犯罪が増加し、マンション周辺でも変質者や不審者の横行などで、いついかなる犯罪が発生するかわからない不安も生じるようになりました。
ハード面で安全性の向上が大きく望めない経年マンションでも、住民の相互信頼関係を熟成させ、防犯意識を向上させて不審者を近づかせない工夫をするなら、安心で快適に居住できるマンションを維持できるといえます。
築年数が増えるにつれて建物と居住者の双方が高齢化し、建物の維持と管理のみならず居住者の生活の安心安全という面でも困難さが増大します。すなわち、どちらも丈夫で長持ちさせるには、それ相応の細やかな配慮が必要です。とりわけ、老若男女を問わない独居の増加に比例する犯罪被害の増加は絶対に阻止されなければなりません。その際「自助→共助→公助」ということを念頭に置くべきです。
管理会社への「お任せ管理」だけではなく、「信頼できる専門家の助言を基礎とした自主管理」を行うことが、安全で快適なマンション生活を続けるために最も肝要です。自主管理に居住者が参加することで、日常的に緊密で和やかな人間関係が保たれるようになります。それぞれの創意工夫をお願いします。