3 知らされない国々の飢餓問題
NHKをはじめ日本のマスコミは非常に閉鎖的である。テレビや新聞で取り上げられる海外の情報はほんの一部で、多くは日本人に都合よく編集された情報ばかりである。国外の情報にアクセスしただけで投獄される国がある時代に、日本だけは自由に海外のニュースにアクセスできるが、世界の人々の苦労や危機に興味を持たない楽天家ばかりである。
日本では、介護保険料や健康保険料の自己負担額が値上がりし、長時間労働は相変わらずで働く人の半分近く非正規雇用、女性差別もまだまだ厳しく、電車ではベビーカーが助けてもらえない。ツイッターでは世界一冷たくひどい国という不平不満が渦巻いている。
しかし、NHKや日本のマスコミが流さない海外の情報を見ると、日本人に生まれたことがいかにラッキーで恵まれているかを知ることになる。不平不満を言えるほど幸せで、世界中の大半の国に比べるとこんなに恵まれた国はないのである。
中東は情勢が複雑な地域ということもあり、紛争が多い地域として有名である。そんな中東では多くの人々が紛争により困窮を極めている。さらに、支援物資を送ることも難しい場所に住んでいる人々も多いことから、飢餓や貧困が深刻化しているのが現状である。
中東とは、インド以西の西アジアとアフリカ北東部の総称で、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教などの唯一神信仰の発祥の地である。多くの民族、宗教が混在しているため、争いが幾度となく繰り返されてきた。神々は紛争を好む傾向があるようだ。
中東には、アフガニスタン・アラブ首長国連邦・イエメン・イスラエル・イラク・イラン・オマーン・カタール・クウェート・サウジアラビア・シリア・トルコ・バーレーン・ヨルダン・レバノン・パレスチナの16か国があり、裕福な国と貧困に苦しむ国の差が広がっている。
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1) イエメンの飢餓問題
イエメンは中東最貧国と言われ、2011年のイエメン危機から経済状況が悪化の一途を辿っている。内乱およびサウジアラビアなどによる経済制裁によって内戦は激化、食糧と燃料は不足し子どもの栄養不足率は世界最悪レベルである。
内戦によって田畑を失い、農業に必要な燃料の高騰でイエメン国民は仕事をすることができず、若者を含めた労働者の失業率が増え、イエメンの飢餓・食糧問題は深刻化している。
とある機関では、多くのイエメン国内避難民に対して食糧支援や栄養支援を行っているが、紛争の激化によって思うように支援を行うことができずイエメン国内の食料事情は悪化していく一方である。
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2) イラクの飢餓問題
イラクは、1880年以降のイラン・イラク戦争、クウェート侵攻、そして湾岸戦争によって国際社会からフセイン政権への経済制裁が行われたことで、社会経済に大きな打撃を受けた。
経済制裁では、イラク政府に圧力をかけることが目的だったが、実際は子どもや女性といった弱い立場の人を苦しめる事態となり、飢餓・食糧問題を抱えることになった。
さらに2014年から3年間、モースル市を始めとするイラク北部・西部の多くの都市が武装勢力により占拠され、米国が主導する「有志連合」の支援を受けたイラク軍が掃討のために激しい紛争が起こった。紛争によって多くの避難民が生まれ人々の家や公共施設なども破壊された。
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3) アフガニスタンの飢餓問題
アフガニスタンは断続的に内戦や紛争が起きている国である。戦闘行為が起こるたびに住居や道路、信号機、バスなどの交通インフラ、電気や上下水道などが破壊されている。農作物の生産も思うように行えず、衛生環境も最悪な状態で生活している。
アフガニスタンでは内戦や紛争だけではなく、干ばつが起きていることによって食糧問題はさらに深刻化している。こうした食糧不足や断続的な内戦によって、アフガニスタンの国民たちは国外へと難民として逃れている。
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4) シリアの飢餓問題
2011年に始まったシリア危機は、戦闘行為が継続して情勢の安定化の見通しが見えない中、約57万人以上とも言われる死者及び数万人といわれる行方不明者約550万人以上の難民、約610万人の国内避難民を発生させており、今世紀最悪の人道危機と言われる状況が継続している。
シリアでは紛争の長期化によって電気、ガス、水道などの多くの社会的インフラが破壊され、シリア国民の生活は安定とは程遠いものとなっている。失業によって多くの人々は収入を得られない状況に置かれている。
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5) レバノンの飢餓問題
レバノンはキリスト教やイスラム教など18の宗教・宗派が入り混じった国家のため、幾度となく宗教間の争いが起こってきた。紛争により首都ベイルートはこれまで何度も破壊されてきたことから、多額の復興費用によってレバノン財政は圧迫されている。
レバノンでは、2019年の大規模反政府デモの影響を受けて経済危機が起きており、国民生活が悪化するようになった。さらに2020年にはベイルート爆発が起こり、食糧供給ルートの断絶によってレバノン国民の多くが食糧不足に苦しめられている。
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6) オマーンの飢餓問題
オマーンは中東の中でも裕福な国として知られている。しかし、オマーンでは紛争や災害の多い周辺諸国から難民を受け入れていることから、栄養不足の人々もいるため、飢餓食糧問題と無縁な国というわけではない。
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7) サウジアラビアの飢餓問題
サウジアラビアは裕福な国だが、外国人労働者が油田やガス田・精製所にて出稼ぎ労働を行っている。その一方、サウジアラビアの人々の雇用が低迷して、働く手段のない人々は飢餓・食糧問題に直面をしている。
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8) ヨルダンの飢餓問題
ヨルダンは2008年に起こったリーマン・ショック以降、経済が低迷している。2011年に発生したシリア危機に伴い、ヨルダンは65万人以上のシリア難民を受け入れた。
ヨルダン国内のシリア難民はヨルダン人口の約7%に相当し、あまりの数の多さによってシリア難民への対応が難しくなってきた。ヨルダン経済・財政状況が悪化していることから、ヨルダンの人々も苦しい生活を送っている。
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9) リビア内線
2011年に起こった大規模な反政府勢力のデモが発端で、40年以上最高権力者として政権を握っていたカダフィ大佐が命を落とした。イスラム過激派の勢力が強大化し、空港周辺でロケット砲を打ち合う大規模な戦いに発展し、100人前後が死亡し、400人以上が負傷した。
2019年の4月にリビア国民軍がトリポリへの進軍を宣言し、イスラム過激派の勢力は政府側の拠点を空爆した。このためトリポリからは8000人以上の市民が戦乱を避けるために避難を続けている。
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