1 世界を眺めると
1-1 諸国の歴史
イギリスの歴史は、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの連合王国時代となり複雑です。アイルランドを植民地化して北米東海岸に13植民地を形成し、英仏戦争でカナダを植民地としました。
ジャマイカ、シンガポール、マレーシヤ、中国、ビルマ、ケニア、タンザニア、ナイジェリア、ガーナを植民地化し、ニュージーランド、サモア、トンガ、フィジー、ソロモン諸島もイギリス領としました。イギリスの元植民地は70ヶ国以上もありました。
アメリカの歴史は1620年イギリス国教会の弾圧を受けた清教徒102人が、メイフラワー号でイギリスから新天地アメリカへ移民しました。寒さと病気のため半数以上の人が死亡し、インディアンの助けにより生き残った人々は理想社会の建設に向ってひたすら働きました。
増え続ける移民は土地を奪い入植者達の邪魔者となったインディアンの虐殺は1890年まで続きました。アメリカの歴史は1776年の独立記念日から始まり、アメリカインディアンの歴史は文字がないため無視されたままです。
ロシアのキエフ公国がモンゴルに支配され、その後モスクワ公国として独立し、凍らない海を求めて南下しました。ヨーロッパや中央アジア、日本と戦争し、第一次大戦中にも革命が起きロマノフ皇帝が亡命し、ソヴィエト政権が誕生し社会主義国となりました。
社会主義が拡大してアメリカとの代理戦争が始まりましたが資金難で崩壊すると、社会主義を捨てたロシア連邦が成立しました。アフガニスタン、グルジア、ウクライナ侵攻など戦争には積極的な国民性です。
中国では漢民族の王朝が誕生しても内部腐敗で衰退し、異民族である契丹・モンゴル・満州・女真族などが支配しました。中国に成立した政権は、前の政権の業績を否定するため1966年の文化大革命により旧文化・旧思想は完全に破棄されてしまいました。
漢字は中国から日本へ渡来しましたが、日清戦争後に中国人留学生が教科書を祖国に持ち帰り、現代中国語で使われている漢字の7~8割は日本起源の文字が多いそうです。
1-1 中華民族のご都合主義
2000年にカンボジアを訪れた江沢民は、ポルポト政権時代の住民大虐殺に関与した中国の「過去」を問われ「謝罪と反省」を求められた。ところが彼は「過去ではなく、未来のみを語ろう。過去にこだわり過ぎては前進できない」と反対に説教を始めた。
日本に対しては「過去を鏡にしないと、未来を語っても意味がない」と言っているにもかかわらずである。江沢民のような病的・自己中心的で独善的なご都合主義は、彼にかぎらず中国人ならだれもが持つ民族性である。
「時と所が変れば事物も変わる。だから言行が変っても矛盾でも、自家撞着(じかどうちゃく=同じ人の言動や文章が前とあととで矛盾すること)でもない」という考えが通用するのが中国である。
2010年にスタンフォード大学が行った調査報告について、ピーター・ドウス名誉教授がSapioに「日米中韓台の比較研究で分かった一番公正な歴史教科書は日本」と題した論文を寄稿しています。中国と韓国と日本の教科書についての調査結果を抜粋しました。
歴史学の観点から見て最も問題が多いのは中国の教科書だ。中国の教科書は全くのプロパガンダになっている。共産党のイデオロギーに満ちており、非常に政治化されている。太平洋戦争に関してほとんど記述がなく、広島・長崎の原爆投下もほとんど言及していない。
中国の教科書は2004年に改定されているが、改定後は中国人の愛国心を謳い日本との戦いを強調している。内戦の話は後退し抗日戦線での勇ましい描写が増えた。南京事件などをより詳細に記述するなど、日本軍による残虐行為もより強調されている。つまり中国人のナショナリズムを煽っている。
韓国の教科書は、特にナショナル・アイデンティティーの意識の形成に強く焦点を当てている。自分たち韓国人に起こったことを詳細かつ念入りに記述している。韓国の教科書は中国で起きた戦争に関する記述が希薄だ。
韓国は日本の中国に対する行為には興味はなく、日本が自分たちに行ったことだけに関心がある。私が驚愕した一つの例は、主要な韓国の教科書には広島長崎の原爆投下の記述がないことだ。それほどまでに彼らは自己中心的にしか歴史を見ていない。
今回比較した中では日本の教科書が最も愛国的記述がなく、戦争の賛美などは全くしていない。日本の中国進出についてのくだりは全く事実をそのまま伝えており、当時の軍と政府のリーダーたちの責任だとしている。非常に平板なスタイルでの事実の羅列であり、感情的なものがない。
比較文化学者である中国生まれの韓国人である金文学は、日中韓新東洋三国事情で次のように述べている。
1945年8月15日、日本の敗戦により朝鮮半島は独立を迎えた。ところが、その独立の到来の方法が問題であった。有名な韓国の民族知識人ハム・ソクホンの言を借りれば、「それは盗みのように現れた不意の開放であった」。
しかも「この開放は天から落下したものであり、韓国人が日本と戦って自力で勝ち取ったものではない」と看破する。(中略)理念の高い国では、ナショナル・アイデンティティを立て直す際に、いつも外に敵を作ってそれを攻撃することで再構築を狙うのである。中国も韓国も北朝鮮も、またアメリカも皆そうである。
うその産地といえば東洋ではやはり中国がダントツだろう。私が東洋三国を回りながら、個人的に感じたところでは、日本人がもっとも正直で一般的にうそが苦手である。中国人のうそは一つの名物であり、韓国人はうそよりほらの方に才能がある。
中国のうその中でも、うその報告が最も有名である。中国の統計の数値は世界でもっとも信頼性に欠けると言われる。極端な話では、人民日報は西暦の日数のみが真実で、ほかはみなうそというジョークさえある。
ところで韓国人は日本人に対して「在日韓国人を差別している」と批判し、そしてそれが「反日」や「克日」の大きな原因にもなっているが、客観的に見たところ、韓国人が持っている差別意識はもっとひどいものがあると指摘したい。
自分の同胞さえ寛大に受け入れることができない民族に「統一」をうんぬんする資格があるのかと言いたいほどである。一方的に日本を攻める前に、自分自身をよく反省してもらいたい。