はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

  第15章 遺言と遺言書

2016(平成28)年10月27日午後、札幌市家庭裁判所主催の「裁判所市民講座終活」で籏本純子主任書記官の「遺言書検認手続について」、札幌大通公証役場の佐藤崇公証人の「公正証書遺言について」の講演要約です。帰宅して学んだ事項を捕捉しました。

1 遺産相続の知識

 1-1 相続とは

被相続人(死亡した人)の権利義務の一切(被相続人の法律上と地位)をそっくりそのまま相続人が引き継ぐことです。

・ プラス財産   不動産、預金、預貯金、債権、株式など。

・ マイナス財産  借金、未払金、契約上の義務、保証人の義務など。

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 1-2 相続の基本事項

① 法律で定めているのは「相続人の範囲」です。

② 法律で定めているのは「1/2や1/3という相続割合」です。

③ 個別の不動産や現金を含む動産は、すべてが相続人の共有となります。

④ 金銭債権(貸金や預貯金)は、法律上は相続割合に応じて自動的に分割されます。
  ただし、預貯金の分割分の払戻請求は非現実的です。では、どうすべきか順を追って
  考えていきましょう。

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 1-3 相続人の範囲

遺産を相続できる権利のある人々(以下、「相続人」という。)の範囲は法律で定められています。

① 配偶者と子は必ず相続人になります。

② 子同士、親同士、兄弟姉妹同士は均等割りです。

③ 子がいる = 親&兄弟姉妹は相続人になれません。

④ 親がいる = 兄弟姉妹は相続人になれません。

⑤ 子も親もいない = 兄弟姉妹が相続人になれます。

⑥ 代襲相続 = 先に死んだ子の子、孫、曾孫、玄孫、先に死んだ兄弟姉妹の甥、姪
  が代わりに相続することができます。

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 1-4 相続する割合

遺産を相続できる権利のある人々(以下、「相続人」という。)の相続する割合(相続分)は法律で定められています。

共同相続人相続する割合相続する割合
配偶者&子配偶者1/2子(グループ)1/2
配偶者&直径尊属配偶者2/3直径尊属(グループ)1/3
配偶者&兄弟姉妹配偶者3/4兄弟姉妹(グループ)1/4

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 1-5 相続開始後の手続

どの財産を誰に帰属させるか(誰が相続するか)を決めなければなりません。決め方は三通りあります。

① 相続人全員が参加して、全員一致で「遺産分割協議」を行います。

② 全員が納得しなければ、家庭裁判所の「調停や審判」を受けます。

③ それでも結論が出ない場合は、最終決着手段として「民事裁判」で決着させます。

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 1-6 なにが問題となるか

① 最悪のケースは、長期間にわたる「骨肉の争い」が続くことです。

② 所在不明者や消息不明の相続人がいた場合は、不在者の財産管理人を選任しなけれ
  ばなりません。所在不明者や消息不明の相続人が現れるまでの期間ですから誰もが遠
  慮します。

③ 相続人数が多数の場合は、合意形成が困難になる場合もあります。

これらの問題を避けるために「遺言」という方法があります。なぜなら、遺産を残す人が生きているうちに自分の考えで何を誰に相続させるかを決めることができるからです。

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 1-6 法定相続では対応が難しい

① 内縁の妻(または夫)に相続権はありません。

② 遺産を残す被相続人の子や親が生きていない場合は、疎遠な兄弟姉妹や姪と甥にも
  相続権が発生します。

③ 親身の世話をしてくれた子と、ほったらかしの子の相続分は均等割りになります。

④ お世話になった人々(子の嫁、知人や団体)に遺産を渡すことができません。

これらの問題を避けるために「遺言」という方法があります。なぜなら、遺言は遺産を残す人が生きているうちに、自分の考えで相続権のない人に遺産を譲ったり、相続の割合を変えることができるからです。

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 1-7 遺言をすると

① 遺産分割協議が必要な相続分(相続割合)の指定を変更できます。
    例えば、妻に1/3、長男に1/2、長女に1/6。

② 個別財産を相続する者を指定できます。
    例えば、妻に自宅(土地と建物)、長男にA銀行の定期預金、長女にワールド自
   動車の株券。

③ 清算型の指定もできます。
    例えば、全財産を換価して、妻に1/3、長男に1/2、長女に1/6。

④ これらを組み合わせることも自由自在にできます。

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2 遺言とは

遺言は一般的に「個人が自分の死後のために残した言葉や文章」のことです。法律上の遺言制度は「人が亡くなる前に、その財産や身分に関する最終の意思表示を形にし、亡くなった後にその意思表示の実現を図る」ものと定義されています。例えば、元気な時は秘密にしていたが、入籍していない女性とその子の認知をする場合などもあります。

財産分与については、相続人が「妻・子2人(長男と長女)」の場合、法律で定められた相続の割合は「妻2分の1、長男4分の1、長女4分の1」となります。法律で定められた相続の割合を変更したい場合は、遺言により変更することができます

例えば、相続人が「妻・子2人(長男と長女)」の場合で、「自分が亡くなったら土地と建物の権利は妻へ、A銀行の預金は長男へ、B銀行の預金は長女へ与えたい」と遺言することで最終の意思表示をすることができます。

遺言書があり、実際にその通りに相続人が財産を取得できるようにするためには、単に「遺言書がある」というだけでは認められません。遺言をする人は亡くなる前に、法律で定められた方式に従って遺言をしなければなりません。遺言書を見つけた人は裁判所で遺言書検認手続をしなければなりません

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 2-1 遺言をする能力

① 遺言をする能力とは
  ・ 遺言する内容を具体的に決めることのできる能力。
  ・ 遺言することによって死後自分の財産がどうなるかを理解できる能力。

② 遺言できる年齢
  ・ 未成年者でも満15歳以上であれば遺言できます。

③ 遺言の時期
  ・ 遺言能力の問題のない時期に遺言をすることが大切です。遺言は、「思い立ったが吉日」、「善は急げ」と云われます。

④ 遺言能力のないものの遺言書は無効になります。

 2-2 遺産相続の範囲

民法には、遺産を受け取れる可能性がある範囲の人(相続人)が定められ、法律で定められている相続人(法定相続人)には、それぞれ遺産を受けとれる順位が決められています。

必ず法定相続人になれる人は被相続人の配偶者(妻や夫)で、優先順位の高い上位者から相続が行われます。下位の相続者は遺言がない限り、上位者より優先して相続が行われることはありません。

法定相続分は、基本的には相続人同士の話し合い(遺産分割協議)で行われるものですが、必ずしも法定相続分で遺産を分割する必要はありません。つまり、配偶者(妻)に全部の遺産を渡すことを相続人全員が同意していれば、法定相続分で分割する必要はありません。

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 被相続人の養子も実子と同じように法定相続人となります。つまり、養子になった子は実の両親の遺産と、養親の遺産の両方を相続できる可能性があるということです。但し、特別養子縁組をしている場合は、養親の遺産だけの相続になります。

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 2-3 遺産相続の順位

  2-2-1 第一順位

直系卑属は被相続人の子です。もし子が被相続人より先に死亡していれば孫が相続人となります。また、被相続人に養子がいれば養子も相続人になれます。胎児も生きて生まれれば相続人となり、婚姻関係にない内縁の者との子も、認知を受けていれば相続人になります。

  2-2-2 第二順位

直系尊属は被相続人の父母や祖父母です。配偶者や子の相続人がいない場合は、父母、祖父母などの直系尊属が相続人になります。実父母も養父母も相続人となり、父母が死亡している場合は、祖父母がいれば祖父母が相続人となります。

  2-2-3 第三順位

兄弟姉妹、配偶者も子も父母もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。もし兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっていれば、その子(甥や姪)が相続人となります。

※ 孫や甥や姪が相続人に代わって相続人なることを「代襲相続」といいます。法律上、原則的には夫・妻や子でないと相続人にはなれません。被相続人に身寄り(法定相続人)が1人もいない場合は、遺産は国のものになります。

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 2-4 遺言書作成の利点

① 遺産を残す人(被相続者)に子や親がいない場合に、「配偶者に全財産を相続させ
  る」という遺言があれば、被相続者の兄弟姉妹がいても妻がすべての財産を相続する
  ことができます。

② 相続権のない世話になった人々や団体(例えば、内縁の夫や妻・子の嫁・知人・慈
  善団体)に遺産を贈呈することができます。

③ 孝行息子や孝行娘に、法定相続分を超える遺産を承継できます。したがって、不幸
  者が継承できる遺産を減らせます。

④ 相続人同士が不仲や疎遠な場合は、個別財産の帰属族を遺言することで、骨肉の争
  いを未然に防止できます。

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3 遺言の種類

 3-1 自筆証書遺言

自筆証書遺言で法律の決められた要件は次の4つとなります。
 ・ 全文が遺言者の自筆である。
 ・ 特定ができる日付が記載されている。
 ・ 遺言者の署名がされている。
 ・ 遺言者の押印がされている。

 3-2 公正証書遺言

遺言者をする人は本人であることを証明するための実印や印鑑証明書などを揃えます。次に2人(以上)の証人と一緒に公証役場へ行って、遺言者が遺言の内容を口頭で述べます。公証人は適切なアドバイスなどで、遺言者にとって最善と思われる遺言書作成の手助けをしてくれます。遺言者が公証人役場まで行けないときは、遺言者の自宅又は病院等へ公証人に出張してもらうことも可能です。

公正証書遺言は、遺言者が述べた遺言の内容を公証人が筆記します。公証人が筆記したものを、遺言者と証人に読み上げたり閲覧させます。遺言者本人と証人が筆記したものを確認した後は署名押印します。最後に、公証人が手続きに従って作成した旨を付記して署名押印します。

 3-3 秘密証書遺言

遺言の内容を知られずに、その存在を明確にしておきたい場合に利用しますが、実際にはほとんど利用されていません。遺言する人は、遺言書の承認になってもらう人を2人以上選任します。未成年者、遺言者の推定相続人と受遺者(遺贈を受ける人)、配偶者と直系親族、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇い人は証人になれません。

証人となってくれる人を伴って公証人役場へ出向き、公証人と証人の前で封筒の中身は自筆証書遺言と同様の方法で作成された遺言書だということと氏名と住所を告げます。その後、公証人が提出日と申述内容を封紙に記載し、遺言者、証人それぞれが署名押印します。署名押印が終わったら、秘密証書遺言の手続きは完了となります。

ただし、封印された遺言書は遺言者1人で作成され、公証人による文面のチェックも無いので、不備があったとしても訂正はされません。証人にも遺言内容は秘密ですが、遺言を残したという事実は知られてしまう事になります。

 3-4 遺言の撤回や修正

遺言書や遺言内容、はいつでも撤回したり、書き直すことができます。

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4 遺言書の利点と不利点

 4-1 自筆証書遺言

① メリット
  ・ いつでもどこでも作成が可能です。
   紙・筆記用具・印鑑(実印・認め印・三文印)があれば手軽に作成できます。

② デメリット
  ・ 字が書けないと作成できません。
  ・ 方式が厳格ですべて手書き、訂正方法が細かく規定されています。
  ・ 内容が法的に不備なため、無効な遺言となる可能性があります。
  ・ 偽造・破棄・隠匿・改ざんの可能性が生じます。
  ・ 家庭裁判所の検認手続きが必要です。

 4-2 公正証書遺言

  4-2-1 公証人とは

法務大臣によって任命された法務大臣の監督を受ける国家公務員です。

  4-2-2 公正証書とは

公務員である公証人が、国民の依頼(嘱託)により作成する権利義務に関する公文書です。

  4-2-3 遺言公正証書とは

公証人が作成する公文書である遺言書です。公正証書の作成費用は、内閣の定めた政令である公証人手数料令に規定された手数料・日当・旅費などです。

① メリット
  ・ 遺言の内容について公証人と相談しながら、遺言者の希望に沿うように作成でき
   ます。
  ・ 法的に不備や無効の遺言になる心配はありません。
  ・ 遺言書の原本を公証人役場で保管するため、偽造・破棄・隠匿・改ざんの心配は
   ありません。
  ・ 写しを紛失した場合は再発行ができます。
  ・ 家庭裁判所の検認手続きが不要です。

② デメリット
  ・ 法務大臣が定めた手数料と手間暇がかかります。
  ・ 証人2名の準備が必要です。

 4-3 予備的遺言

子どもと親がいない場合に妻や兄弟姉妹が相続人の場合、妻に「全財産を相続させる」との遺言書を作成しましたが、妻が先に死亡してしまいました。この場合は遺言書が無効となるので、これを避けるには予備的遺言を行います。

例えば、
  ① 全財産を相続させる。
  ② 妻が先に死亡した場合は、全財産を公益法人育児放棄児童支援協会に遺贈する。

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5 遺言書の発見時

 5-1 遺言書の発見者

遺言した人が亡くなり遺言書が発見されました。遺言書を保管していた方または発見したご家族(相続人)は、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して「検認」を請求しなければなりません。遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。

検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

公正証書遺言以外の自筆証書遺言と秘密証書遺言に関しては、裁判所による遺言書の検認を受けない限り、勝手に開封してはいけないことになっています。自筆証書遺言や秘密証書遺言を勝手に開封してしまった場合は、5万円以下の過料が課せられるので注意しましょう。

公正証書遺言以外の遺言書を検認手続せずに遺言内容を実行した場合、5万円以下の罰金が科されます。さらに、遺言書の中に不動産に関する内容が記載されていた場合は登記手続が発生しますが、検認手続きがされていない遺言書では登記手続きができません。また、金融機関も検認を受けていない遺言書では手続を行ってくれません。

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 5-2 検認に必要な書類

検認尾申立て費用
  ・ 遺言書1通につきにつけ800円と連絡用の郵便切手を必要枚数。

必要書類
  ・ 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本。
  ・ 相続人全員の戸籍謄本。
  ・ 遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している場合、その子(及びその代襲者)
   の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本。
  ・ 遺言者の直系尊属(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:相続人が
   祖母の場合、父母と祖父))で死亡している方がいらっしゃる場合、その直系尊属
   の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本。

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 5-3 遺言者に必要な心遣い

遺言書を作成した場合は、亡くなる前に同居者名義の預金通帳に最低二ヶ月分の生活費と光熱水費などの支払資金を用意しておきましょう。預貯金口座の大半が被相続人名義になっているような場合は、これを忘れると遺族は路頭に迷うことになります。

「検認」を受けてから手続きが終了するまでは約1ヶ月以上の期間がかかります。その間は銀行口座が凍結されて払い戻しなどが出来なくなるため、被相続人と同居していた相続人がいろいろな支払いや生活資金に困るという事態が発生します。

相続放棄申述の期限や相続税申告の期限も中断しないため、同時進行でこれらの手続も検討する必要があります。相続問題に詳しい弁護士に依頼すれば当然費用が発生します。遺族を悩ませないことも先に逝く者の心遣いです。

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6 検認手続き

 6-1 検認期日のお知らせ

家庭裁判所は、申立人と相続人全員に「検認期日」をお知らせします。

検認期日というのは、
 ・ 家庭裁判所で遺言書を開封し、その形式や形状を調査確認する日です。
 ・ 申立人は検認日に出席しなければなりません。
 ・ 相続人全員が揃わなくても手続きは行われます。

検認手続きの申し立てをした後は、自由に取り下げることができません。取り下げる場合は裁判所の許可が必要になります。

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 6-2 検認期日の当日

・ 申立人は遺言書を発見した状況や保管の状況について裁判官に説明します。

・ 申立人は遺言書を裁判官に提出し、裁判官は出席した相続人立会いの下で封筒を開
  封します。

・ 申立人と出席した相続人は、遺言書の形式とその他の状況を確認します。

・ 申立人と出席した相続人は、遺言書の筆跡や印影について裁判官に意見を述べま
  す。

・ 裁判所は、申立人と出席した相続人からの意見を記録に残します。(検認期日で聞
  いた意見をもとに、遺言書の有効や無効を判断するわけではありません。)

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 6-3 検認期日の終了

家庭裁判所で開封確認された遺言書のままでは、遺言の執行(例、預金通帳の名義変更など)はできません。

家庭裁判所に検認済証明(家庭裁判所で検認筒付きを終えた遺言書であることの証明)を申請します。

検認済証明の付いた遺言書の交付を受けます。

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 6-2 遺言書検認の申し出件数

項目平成23年平成24年平成25年平成26年平成27年
札幌   234   305   333   280   264
全国15,11316,01416,70816,84316,888

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7 遺言執行の注意点

 7-1 相続財産の遺留分

相続人のために民法上確保された一定割合の相続財産を「遺留分」といいます。遺言書で書かれた内容は、法定相続人や法定相続分よりも優先されます。しかし、「自分が死んだら、愛人に全財産をあげる」という遺言書が作られてしまうと、残された家族は気の毒です。このため、民法では最低限相続できる財産を「遺留分」として保障しているのです

遺留分が保障されている権利者は、被相続人の配偶者、子ども、父母(直系尊属)です。ただし、被相続人の子どもがいる場合は、父母に遺留分はありません。なお、法定相続人の第3順位である兄弟には遺留分は保障されていません。

① 法定相続人が100%相続できる最低保証割合は、法定相続分の二分の一です。但
  し、兄弟姉妹には遺留分はありません。

② 遺留分の留意点
  ・ 遺留分を侵害する遺言自体は有効です。
  ・ 遺留分減殺請求権は、自分の遺留分が侵害されたことを知ってから1年、知不知
   にかかわらず相続開始後10年で消滅します。
  ・ 法定相続分より多く相続したものが遺留分権利者に金銭で不足分を返納させるこ
   とができます。

③ 遺留分の割合

共同相続人遺留分割合遺留分割合
配偶者と子配偶者1/4子(グループ)1/4
配偶者と直系尊属配偶者1/3直系尊属(グループ)1/6
配偶者と兄弟姉妹配偶者1/2兄弟姉妹(グループ)0/0
配偶者がいない子(グループ)1/2直系尊属(グループ)1/3

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 7-2 遺言執行者の選任

遺言執行者は、遺言の内容を実現する人です。遺言書に「遺言執行者を〇〇と指定する」などの記載がない場合や、指定されている遺言執行者が亡くなっていた場合などは、家庭裁判所に「遺言執行者の選任」の申し立てをしなければなりません。この場合、選任された遺言執行者に対して報酬を支払うことも考えなくてはなりません。

① 遺言執行者は、相続財産の管理を含め、遺言の執行に必要な一切の行為をする権限
  と義務があります。

② 遺言執行者がいれば、相続人は遺言の執行を妨げる行為をすることが禁止されま
  す。

③ 遺言執行者がいれば、相続人全員の印鑑(印影)をそろえなくても、遺言執行者が
  単独で遺言を執行できます。

④ 遺言執行者は相続人や受遺者でもかまいません。

⑤ なるべく本人の了解をえて指定することが大切です。

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 7-3 遺言の有効と無効

検認手続きを終えた遺言書は「有効な遺言」とは限りません。遺言が有効か無効かを確定させるには、別の手続が必要になります。

・ 遺言無効確認(調停・訴訟)

・ 証書真否確認訴訟

現実に執行できる遺言書かどうかは、土地や建物であれば法務局、預金であれば銀行など、または、弁護士や司法書士にお尋ねください。

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