はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第13章 太陽系の彗星と流星

私たちが住む太陽系を構成する天体には、恒星である太陽を中心に惑星、準惑星と、太陽系小天体である小惑星、彗星(すいせい)、流星、太陽系外縁天体等があります。彗星は、本体の大きさが数キロメートルから数十キロメートルのとても小さな天体です。

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1 彗星のふるさと

 1) オールトの雲は未確認

惑星とは異なる公転軌道をもつ彗星はどこからやってくるのでしょう。彗星の故郷は、「オールトの雲」「エッジワース・カイパーベルト」の2つが考えられています。太陽系創成期には、原始太陽系円盤に存在していた微惑星が合体して惑星が作られたと考えられています。

オールトの雲は、太陽から約1光年のところを球状に取り囲んでいる、小惑星や氷、ちりなどが多く存在する領域を指しますが、観測では実証されていません。重力散乱で外惑星によってはじき飛ばされた天体が、太陽の重力圏でとどまってできたとされています。

エッジワース・カイパーベルトはまたは単にカイパーベルトは、地球から約50億km離れた太陽系の果てに、太陽系最古の始原天体「微惑星」の生き残りと考えられる半径1kmの小天体が星周円盤の一種です。 恒星の周りに存在しガス成分をほとんど含まず、固体微粒子を主成分とする円盤は残骸円盤と呼ばれ赤外線の放射で観測されます。

星周円盤は、星の周りに存在するガスを主成分とする円盤を指します。若い星の周りに存在するガスを主成分とする星周円盤は、惑星形成の現場という意味を込めて原始惑星系円盤とも呼ばれます。

太陽から遠い場所にあった氷と塵は入り混じって氷微惑星となりました。この氷微惑星のうち、大きく成長した惑星によって太陽系の外側へと散らされたものがオールトの雲、海王星より外側の領域で惑星の成長途中で取り残されたものがエッジワース・カイパーベルトになったと考えられています。

太陽系外縁天体とは、1992年にうお座の中で1つの小惑星が発見されました。その天体は普通の小惑星とは大きく軌道が異なり、海王星の外側をまわる天体は千個以上もの数になっています。このような天体が太陽系外縁天体とよばれる天体で現在では冥王星もその1つと考えられています。

オールトの雲は、太陽系の外側・太陽から数万天文単位付近をぐるりと大きく球殻状に取り囲む氷微惑星の集まりで、長周期彗星はここからやってくると考えられています。エッジワース・カイパーベルトは、氷微惑星が海王星軌道の外側にほぼ黄道面に沿った軌道で分布している場所で、短周期彗星はここからやってくると考えられています。

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 2) 彗星の正体

太陽系の果てに到達する太陽周りの軌道を周回するZTF彗星は、NASAによると5万年ぶりに北半球ではほぼ1月いっぱい夜明けの空に現れます。今後数週間でさらに明るくなれば、2023年1月下旬にかけては肉眼でも見えるようになる可能性があります。

ZTF彗星は2023年2月1~2ZTF彗星日にかけて地球に最接近し、地球から約4200万キロの距離を通過します。地球に近づくと北極星の近くに現れ、夜の早い時間に観測できます。周囲を取り巻く明るい緑色のコマで恒星との見分けがつきます。

彗星は本体の大きさが数キロメートルから数十キロメートルのとても小さな天体です。成分はそのおよそ8割が水(氷の状態)で、二酸化炭素、一酸化炭素、その他のガス、そして微量の塵(ちり)から成ります。

いずれも、それぞれの場所にある氷微惑星が何らかの原因(惑星の引力)で軌道を変え太陽系の内側へ向かう軌道に変化し、やがて太陽に近づいて「コマ」や「尾」を持つ彗星へと姿を変えるのです。

このように太陽から遠く離れた冷たい場所をふるさととする彗星は、太陽系が生まれた頃の惑星形成時の情報をそのまま閉じ込めて太陽に向かって進んでくるのです。夜空にぼんやりと輝き、地球に近づくとほうきのような長い尾をひく彗星は、その姿から「ほうき星」とも呼ばれます。

彗星の主成分は水(氷)で、表面に砂がついた「汚れた雪だるま」にたとえられます。太陽に近づくと、その熱で彗星本体(核)の表面が少しずつとけて崩壊します。そのときに本体の氷が蒸発し、ガスと塵も一緒に表面から放出されます。

その結果、彗星の本体がぼんやりとした淡い光に包まれるように輝いて見えます。これは「コマ」と呼ばれます。さらに、本体から放出されたガスと塵がほうきのように見える「尾」を作ります。彗星の尾は、その成分と見え方から大きく2種類に分けられます。

一つは、ガスが作る「イオンの尾(または、プラズマの尾)」です。放出された電気を帯びたガス(イオン)は、太陽風に流されて太陽とは反対の方向に細長く伸びます。もう一つは、塵が作る「ダストの尾(または、塵の尾)」です。

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 3) 小惑星との区別

放出された塵は、太陽の光の圧力(光圧)を受けて太陽とは反対の方向に伸びますが、塵のサイズによって圧力の受け方が異なるために、彗星の軌道面に広がった幅のある尾になり、イオンの尾とは異なる様子になります。

一部の粒の大きな塵は、彗星と同じように彗星の軌道を周回し続けます。これが流星群のもとになるのです。このような彗星のコマや尾が目立って観測され始めるのは、彗星が太陽からおよそ1天文単位前後 、つまり地球の軌道程度まで近づいてからです。

彗星が太陽に近づくほど本体から放出されるガスや塵の量が多くなるため、コマは明るくなり、尾も明るく長く伸びます。天文単位(てんもんたんい)とは太陽系の距離を測るのに便利な単位で、太陽から地球までの距離を1天文単位と表します。

1天文単位は約1億5000万kmです。光は1秒間に約30万km進みます。太陽系の外の宇宙の距離を表すには、光年という単位が使われます。1光年は光が1年間に進む距離のことで、約9兆5000億kmです。

しかし、太陽に近づいた際にどの程度明るくなるか、地球からどのように見えるかは、彗星本体のサイズや表面の状態、成分、さらに地球との位置関係によっても異なるため、正確な予測は難しいのです。

もともと、観測されたときにコマや尾といった物質の蒸発が見られる非恒星状の天体が彗星、そういった蒸発が見られない恒星状の天体が小惑星とされていました。しかし、近年は、小惑星と認識されていた天体が、彗星のような蒸発活動が見られたために後から彗星とされたものや、逆に、彗星のような軌道を持ちながら蒸発が見られない小惑星のような天体も発見されています。

最近では、小惑星帯の中にも彗星活動を示す天体が見つかっています。このことから、彗星と小惑星の区別が次第にあいまいになっていると言うことができます。

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 4) 彗星の名前

彗星の名前には、発見者の名前が、発見・報告の早い順に最大で3名まで付けられます(一部例外もあります)。発見者名は個人や観測グループ、天体観測衛星の場合など様々です。個々の彗星を区別できるよう、正式には符号を付けることになっています。

まず、発見された年号と、発見時期を表すアルファベット、その時期何番目に発見されたかを表す数字が付けられます。さらに先頭には「C/」もしくは「P/」という符号が付けられますが、「C/」は彗星として発見された場合、さらに周期彗星として確認された場合には「P/」となります。

2013年3月に太陽に近づく「パンスターズ彗星」は、2011年6月前半の時期に発見された4番目の彗星です。そして一度太陽に接近して戻ってこない彗星(周期彗星ではない)のため「C/」が先頭に付けられています。そしてこの符号の後には括弧書きで「PANSTARRS」という発見者(観測プロジェクト)の名前が表記されています。

小説や歌の歌詞などでもよく耳にする「彗星」。その形から「ほうき星」とも呼ばれています。この記事では、一体どんなものなのか概要や構造、種類、よく似た形をしている「流れ星」との違いがおわかりでしょうか。

広い宇宙空間に存在し、我々人類の天文学の対象となる物体を総称して「天体」と呼びます。彗星とは太陽系のはるか彼方からやってくる氷塊のことで、核と呼ばれる部分の80%が水、残りの20%は一酸化炭素や二酸化炭素などの気体と砂粒や塵でできています。

彗星は大きさも1~10kmほどで、公転軌道も太陽を中心に回っているわけではありません。タイミングがよければ地球上からでも観測することが可能です。尾を引いている形から「ほうき星」とも呼ばれています。

核を気体や塵などさまざまな物質が覆っていることから、「汚れた雪玉」とたとえられることもある彗星。その構造は、本体である核とそこから放射状に伸びる「イオンテール」と「ダストテール」という2つの尾で構成されています。

核は80%の水と20%の塵でできていて、太陽からの放射圧と太陽風の影響で発散するガス体が「尾」のうように見えているのです。尾は進行方向とはまったく関係なく、太陽から遠ざかるように伸びています。

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 5) 彗星の魅力

突然のように現れて夜空に長い尾をたなびかせる彗星は、古来から忌まわしきものと言われてきました。大彗星の出現は天変地異の前触れなどとされていたようです。彗星の正体が分からなかった時代の人々は、人ハレー彗星心を惑わす不思議なものと映ったのでしょう。

彗星には大きく分けて、長周期のものと短周期のものです。彗星もまた惑星と同じように太陽系を構成する天体です。彗星が太陽に近づいた時に観測される、彗星頭部が明るく拡散状に広がった領域をコマと呼びます。中心にある彗星核から放出されたガスとダストで構成されます。

彗星は通常、中心部に輝く核と、それを取り巻くボーッとしたコマ、尾から構成されています。中にはコマがほとんどなく恒星状に見えるものや、尾がなく球状星団のように見えるもの、核がはっきりせず淡い雲のように見えるものなどがあり、様々です。

核は、彗星の中心部に輝く固体部分です。非常に小さなもので、過去に実際に核の大きさが測られた彗星は、現在のところハレー彗星など数個だけです。ハレー彗星の前回の回帰の際に接近した各国の探査機によって7×7×15kmのじゃがいも型の核がとらえられました。そして、その表面の所々かハレー彗星らガスやチリがジェット状に吹き出しているのもあわせて観測されました。

コマは、核から吹き出したガスやチリが核を取り巻いているもので、大きさは10万~100万キロメートルもある巨大な塊です。コマは、太陽からのエネルギーの影響で放出されるものですから、彗星が遠くにあるときにはほとんど見られません。通常の場合彗星が太陽から2~33天文単位くらいまで近付くと発生することが知られています。

しかし、何といっても彗星の最大の特徴は、その尾にあります。明るく長い尾を伸ばした大彗星の姿ほど素晴らしいものはありません。まさにほうき星そのものの姿を見せてくれます。核から放出されたガスやチリが長く伸びて彗星の尾となります。

ガスは太陽から吹きつける太陽風によって、太陽の正反対側にほぼ直線状に伸びていきます。これをタイプの尾、またはイオンの尾と言います。一方、チリは核からの放出速度と彗星本体の速度との関係から、新たな太陽周回軌道を運動するようになります。この時放出時期やチリの大きさの分布など、いくつかの要素が絡み合って曲線状に伸びていきます。これをタイプⅡの尾、またはダストの尾といいます。

さらに、彗星の中には、太陽の方向に向かう尾を見せるものがあります。大きく曲ったダストの尾が、見かけ上反対方向に伸びる尾として見えるもので、これを特にアンチテイルと呼んでいます。このタイプの尾は、地球が彗星の軌道面を通過するときに、その位置関係から見られるものでほぼ直線状に見えます。

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 6) 長周期と短周期

彗星は放射状の光で、流れ星は直線的な光なので、実際に観測してみるとその差は一目瞭然です。彗星は大きく「周期彗星」「非周期彗星」の2つに分けることができます。

この2つの差は「離心率」というもので、離心率とは軌道の形がどれくらい円から離れているかを示す数値です。完全な円は0で、楕円へと細長く形を変えるごとに数値は上がっていきます。「周期彗星」は離心率が1未満のものを指します。公転周期が数年のものから100年を超えるものまで、300年を超える星が登録されています。

代表的なものとして「ハレー彗星」が挙げられるでしょう。初めて周期性が確認されたため、登録番号1番が割り振られています。その周期は75.4年で、人間の寿命を考えると一生に1度見られるかどうかです。

「非周期彗星」は離心率が1以上のものを指していて、公転周期が定義できず、1度太陽を通過した後は二度と戻ってこない、または数十万年以上の周期であるため観測不可能な場合が分類されます。

非周期彗星のなかで離心率が1以上であったとしても、周期が200年以上のものを「長周期彗星」、200年以下のものを「短周期彗星」と分けています。

エンケ彗星は2013年9月24日に地球へ近づき、日の出の直前に明け方の空にしか見えません。肉眼で見えるとは予想されていませんが、双眼鏡で観察できるようになる可能性があります。ハートレー第2彗星は2023年9月26日に地球へ近づき小型望遠鏡でも観測できます。

彗星はかすかでぼやけていて検出が難しい天体であるため、彗星の位置を確実に把握しておくことが最善です。2023年には、10等級以上になる可能性のある彗星が少なくとも10個発生するでしょう。これらの彗星のいくつかは、双眼鏡や肉眼でさえ見えるようになるかもしれません。

ZTF彗星を今すぐ見ることができます。すでに7等級に達しており、大きな双眼鏡や望遠鏡で簡単に観測できます。この彗星は、かんむり座の中にあります。ヘラクレス座のキーストーンのアステリズムと、うしかい座の明るい星のアルクトゥルスの間です。彗星は真夜中過ぎにすぐに見えるようになり、夜明け前に空で最も高く上昇します。

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2 流星のふるさと

 1) 流星は漂う小さな塵

夜空に突然、尾を引いて飛ぶように見える光体で流れ星ともいいます。これらは太陽系内を運動している微小な天体が地球に突入してきて、上層の大気と衝突し発熱して輝くものです。

これらの天体は、いずれも秒速数十キロメートルの速度で太陽の周りを公転しており、地球と正面衝突あるいは追突といった突入方向によって差ができますが、遅いもので秒速10km、速いものでは秒速70kmぐらいの速さで衝突してきます。

流星体は地球の上層大気と衝突し発熱して蒸発し、前面の大気も共にプラズマ状態となって輝いて見えますが、やがて消滅します。一般に速いものは高空で発光し、遅いものは低空で発光しますが、多くは地上110kmから80kmぐらいの高さで輝きます。

とくに明るい流星を火球とよび50km以下の高さまでくるものも多く、まれには満月のように明るい火球もあります。反対に望遠鏡でなければ認められないほど微光の流星もあり、暗いものほどその数は多くなります。明るい流星ではしばしば通過のあとに光の筋を残すことがあり、流星痕(こん)とよばれますが、多くは数秒程度で消滅します。

流星は通常1時間に数個は見られますが、一地点で見られる流星は限られています。地球の全表面では肉眼で認められるぐらいのものだけで、毎日数千万個の流星が降り注いでいると見積もられています。

毎年、同じ時期にとくに多くの流星が見られるのが流星群です。これは、流星体の群が回っている決まった軌道が地球の軌道と交差しているため、その交点で決まった方向から地球に突入してくるものです。

これら流星群に属さない一般の流星を散在流星といいます。流星群の活動期には毎時数十個という多くの流星が見られるので目につきやすいのですが、流星全体では散在流星のほうが多くを占めていると考えられています。

彗星が太陽の近くに回帰するたびに、ガスの蒸発とともに数多くの微粒子が放出されることは、彗星の尾にプラズマの尾と塵(ちり)の尾が見られることからよく知られています。こうして吐き出された塵粒子がしだいに軌道上に分散して流星群をつくると考えられています。

流星の大部分は彗星を起源とするものと考えられていますが、小さい小惑星といえる固い石状のものも数は少ないが存在します。後者は大気中で発光をつづけ、残った部分が隕石として地表に落下することもあります。

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 2) 流星の正体

彗星と流れ星はどちらも「光る尾を引いた星」というイメージですが、まったくの別物です。もっとも大きな違いは星の成り立ちです。彗星は先述したとおり、氷の核と塵で構成されていて、太陽風の風を受けることで溶けて放出された粒子が太陽に照らされ、尾を引いているように見えます。

一方の流れ星は、宇宙空間を漂う無数の小さな塵が地球の重力に引っ張られ、大気圏で燃えることによって見ることができるのです。また彗星には公転軌道があり、軌道上に沿って宇宙空間を進行していくため、観測することができれば地球に接近する日を特定することができます。

しかし流れ星は何の軌道にも関係なく宇宙空間を漂っていて、ある時突然地球の重力に引っ張られ大気圏に突入してくるため、発生日を予測することが非常に難しいのです。

晴れた夜空を眺めていると、通常は1時間に数個程度の流星を見ることができますが、季節や時間帯によって出現数はまちまちです。一晩のうちでは、夜半前よりは夜半過ぎのほうが出現数が多くなります。

流星の中には、消滅後に経路に沿って淡い痕跡を残すものがあります。これを「痕」といいます。一瞬で消えてしまう短い痕(短命痕)もあれば、数秒から数分にわたってぼんやりと光る永続痕もあります。永続痕は、上空の大気の流れによって形が変わっていくようすがわかります。

国際天文学連合(IAU)の定義と解説に基づくと、流星とは、「宇宙から来る固体の天体がガス状の大気に高速で突入するときに発生する光及びそれに伴う物理現象(熱、電離、衝撃)」のことになります。

有名な例が1994年のシューメーカー-レビー第9彗星の木星衝突である。木星では最近は数年に一度程度、流星現象が地上観測から確認されています。月面でも微小天体の衝突に伴う発光現象が観測されているが、大気のない天体で起きる発光は流星ではなく衝突閃光と呼ばれます。

星は十分高い密度の大気を持つならどんな惑星や衛星でも起きます。惑星大気中における速度、質量、平均自由行程の組み合わせが適切な状態になれば、流星物質、小惑星、彗星などの固体からなる天体はどれでも流星となります。

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3 流星群

 1) 出現する流星群

流星の多くは無秩序に現れるように見えます。しかし、毎年決まった時期に、天球上のある点を中心として四方八方に飛ぶ流星の一群があります。これらを「流星群」といいます。放射の中心点を「放射点」といい、その位置の近くにある星座や恒星の名前をとって、「ペルセウス座流星群」「みずがめ座η流星群」などと呼ばれます。

流星群のもとになる流星物質の起源は彗星や小惑星といわれています。彗星の軌道上には彗星が撒き散らした塵があり、地球がその塵の集まりの中を通過するときに流星が降り注ぎます。流星のもとになる塵は地球の大気に平行に飛び込んできますが、経路を天球上に投影すると放射状に流星が流れるように見えます。

各流星群の元になる天体を「母天体」と呼びますが、有名なペルセウス座流星群の母天体は109P/スイフト・タットル彗星です。地球軌道と彗星軌道の交点を地球が通過するのは8月13日ごろとなります。

地球は毎年このころに、彗星が残していった塵の帯を通過します。そして、この日がペルセウス座流星群の出現が最も多くなる日(「極大日」と呼ぶ)となります。

 流星群名 極大日    特徴(株式会社アストロアーツ資料より転載)
しぶんぎ座流星群  01/04  1時間あたり50個以上の出現。極大のピークは短い。速度がやや速く、痕を残すものは少ない。3大流星群の1つ。
4月こと座流星群  04/22  1時間あたり10個程度の出現。平均光度は2等級と比較的明るい。まれに突発的な大出現が見られる。
みずがめ座η流星群  05/06  ハレー彗星を母天体とする流星群。南半球では1時間あたり100個程度。日本からは条件悪く1時間あたり10個程度の出現。速度が速く、青白く、痕を残すものが多い。
みずがめ座δ南流星群  07/30  あまり明るくなく、ゆるやかに飛ぶのが特徴。みずがめ座δ北流星群もある。
やぎ座α流星群  07/30  出現数は多くないが、ゆっくりと流れて末端で爆発するものが多い。
みずがめ座ι南流星群  08/04  7月中旬から9月上旬まで長期間の活動が見られる。みずがめ座ι北流星群もある。
ペルセウス座流星群  08/13   スイフト・タットル彗星が母天体。1時間あたり80個以上の出現。1991年には日本で1時間あたり300個を超える出現が観測された。3大流星群の1つ。
はくちょう座κ流星群  08/18  出現数は少ないが、明るくて最後に爆発するものがある。
10月りゅう座流星群  10/09   かつては「ジャコビニ流星群」とも呼ばれていた。ふだんはほとんど見られないが13年ごとに大出現することがある。
オリオン座流星群  10/21  ハレー彗星が母天体。1時間あたり10個程度の出現。速度は速く、平均光度は2等級と比較的明るく、永続痕を残すものが多い。
おうし座流星群  11/03  北群と南群に分かれていて、活動期間は10月中旬から11月末まで。1時間あたり3個程度。速度は遅く経路は長い。
しし座流星群  11/18  母天体は周期33年のテンペル・タットル彗星。2001年に日本で1時間あたり数千個という大流星雨。平均光度1.5等級で、痕を残すものが多い。
ふたご座流星群  12/14  母天体はファエトン。1時間あたり50個以上の出現。速度がやや速く、平均光度2等級、その1割が0等級より明るい。3大流星群の1つ。
こぐま座流星群  12/23  母天体は周期14年のタットル彗星。1980年にヨーロッパで1時間あたり50個以上の出現。通常はそう多くない。

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 2) 日本の隕石

日本の隕石については、国立科学博物館理工学研究部の米田成一さんの研究成果を転載しました。

隕石は「始原的な隕石」と「分化した隕石」とに大きく2種類に分けることができます。「始原的な隕石」は全体が融けた形跡のない、46億年前に太陽系ができた頃の物質をそのまま集めたものと考えられます。これに対して「分化した隕石」は一度全体が融け、化学的な分別を受けた隕石です。

「始原的な隕石」はすべて「球粒隕石」です。球粒隕石は落下する隕石の大多数で、87%を占める岩石質の隕石です。「球粒」と呼ばれる直径数ミリメートルの丸い粒がたくさん入っている事からそう名付けられました。

球粒と球粒の間は非常に細かい鉱物の結晶で埋められています。多くはここに鉄とニッケルを主成分とする金属を含むので、球粒隕石のほとんどは磁石にくっつきます。

球粒隕石は鉄や金属の含有量などにしたがって、いくつかの化学的グループに分類されます。金属をほとんど含まず、炭素や水といった揮発性の成分を多く含むものは炭素質球粒隕石(Cグループ)といいます。反対に金属を多く含むものは、頑火輝石球粒隕石(Eグループ)といいます。

実はどちらの隕石も元素としての鉄は20~30%含んでいます。しかしEグループはすべての鉄が金属なのに対し、Cグループではほとんどの鉄が酸化物として鉱物の中に入っているのです。

これらの中間にあたるのが、金属の多い方からH、L、LLと呼ばれる3つのグループです。Hは鉄が多い、Lは鉄が少ない)、LLは鉄も金属も少ないという意味です。Hは球粒隕石の39%、Lは44%、LLは9%と最もよく落下する隕石のため、3グループをまとめて普通球粒隕石と呼ぶことがあります。

これに対してCグループは5%、Eグループはたった2%という大変珍しい種類の球粒隕石です(残りの1%はいくつかの珍しい隕石と分類が2つ以上にまたがる隕石)。日本には神戸隕石を含めて41件の球粒隕石が知られていますが、Cグループは神戸隕石が初めて、Eグループは1906年に長野県に落下した木島隕石だけです。

球粒隕石は化学的グループによる分類に加え、球粒がはっきり見られるかどうか等の特徴で、さらに岩石学的タイプと呼ばれる1~7の数字が付けられます。1と2はCグループのみに使われる特別な番号ですが、3~7は他のグループでも使用されます。

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 3) 隕石の分類

球粒の形が判別しにくくなるにしたがって、大きな数字が付けられます。これは隕石に融けるほどではありませんが、熱や圧力が加わって徐々に変成していったためと考えられています。これらの理由から岩石学的タイプは“熱変成度”とも呼ばれています。

球粒隕石の分類は、前述の化学的グループと岩石学的タイプを組み合わせて、H5、L6…というように表します。中でもC1は球粒が見られず、水分を20%、炭素を3%も含んでいるという特別な隕石で、その組成は、太陽系ができた当時のままに保たれています。

このため最も始原的な隕石であると言われていますが、世界でまだ10個も見つかっていません。また、他のCグループの隕石も、太陽系ができた時代の様子を探る貴重な資料として盛んに研究がなされています。そのため最近はさらに細かな分類が行われ、代表的な隕石の名前のイニシャルをCの後ろに付けた、CI、CM、CO、CV、CK…といった分類名を使うようになっています。

「分化した隕石」は、岩石質の「無球粒隕石」、鉄とニッケルを主成分とする金属でできた「鉄隕石(隕鉄)」、金属と岩石質の部分が半分ずつある「石鉄隕石」)の3種類に大きく分けられます。

石鉄隕石は、金属部分と岩石質部分が半分ずつ混じりあう隕石です。岩石質部分がほぼカンラン石という鉱物だけでできたパラサイト、様々な鉱物が入っているメソシデライトの2種類が知られています。石鉄隕石は、金属でできた核とそれを囲む岩石質のマントルとの境目の部分であると考えられています。

あるいは、金属の中に比較的重いカンラン石が押し込まれ、核自体がパラサイトのようになっている場合があるとも考えられています。落下してくる割合は隕石全体のわずか1パーセントあまりですが、日本では1898年、高知県にパラサイトである「在所隕石」が落下しました。落下が目撃されたパラサイトは、世界中で4件しかありません。

鉄隕石は鉄とニッケルを主成分とする金属の塊です。球粒隕石には多いもので金属が30%ほど含まれていますが、球粒隕石が融けると金属は重い(比重が大きい)ため下の方に集まります。こうして大量の金属が集まり固まったものが鉄隕石です。

地球の核(コア)も同じようにしてできたと考えられるので、まだ誰も見たことがありませんが、鉄隕石のような物質でできているかもしれません。落下してくる割合は隕石全体の4%と少ないのですが、割れにくく地表の岩石とは全く違うため、昔に落下したものが発見されやすくなります。

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 4) 鉄隕石

そのため、知られている隕石全体での割合は高くなっています。日本では8件の鉄隕石が確認されていますが、落下が目撃されたものはそのうち3件だけです。

鉄隕石の表面を磨き、薄い酸で溶かすと、きれいな筋模様の出るものがあります。発見者の名をとって「ウィドマンシュテッテン構造」と呼ばれていますが、これは鉄とニッケルの含有量が違う2つの相が鉄隕石の中に存在し、ニッケルの多い部分が酸に溶けにくいために起こる現象です。

この2つの相ができるには、100万年に数度~数百度という非常にゆっくりした速度で隕石が冷えなくてはなりません。したがって、この模様を人工的に作ることは不可能なのです。

鉄隕石は、この筋模様が見えるか、筋の幅はどれくらいかということで、分類されてきました。全体のニッケルの含有量が6%以下程度だと、相が1つだけになり、模様がでません。この種類をヘキサヘドライトと呼びます。

ニッケルを6~20%程度含んでいて模様ができるものを、オクタヘドライトと呼びます。ニッケルが多くなるにつれて筋の幅が狭くなるので、粗・中・細といった言葉をつけて分けています。

ニッケルがさらに多くなると、筋が細かくなりすぎて模様が分からなくなります。これをアタキサイトと呼びます。しかし最近は、ニッケル含有量と微量元素の化学組成から成因が関係する化学的グループに分けることが一般的になりました。

微量元素の含有量の多い方から少ない方へI~IVという数字を付け、さらに細かな特徴でA、B、Cなどの記号を付けます。この結果、鉄隕石は、IA、IIDというような十数個程度のグループに分けられています。

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参考文献:国立天文台、NASA(アメリカ航空宇宙局)、株式会社アストロアーツ、国立科学博物館理工学研究部の研究成果。