1 共用部の基礎知識
1 共用部の設備
・ 給水設備 給水管、貯水槽、給水ポンプ
・ 排水設備 排水管、排水ポンプ
・ 空調・換気設備 エアコン、換気扇、換気口、換気ガラリ
・ 電灯設備 電灯、配電盤、幹線・避雷針
・ 情報・通信設備 テレビ共聴設備、電話回線、インターネット、インターホン、
宅配ボックス
・ 消防設備 屋内消火栓設備、自動火災報知機、連結送水管設備
・ 昇降機設備 昇降機(エレベーター)
・ 立体駐車場設備 自走式、機械式
2 設備トラブル事例
1 エレベーターの故障
高層階に住む住民への影響
・ 階段での昇り降りの負担(高齢者、妊婦、子ども、病人や怪我をしている人)
・ 重い荷物の運搬(買い物帰り、引っ越し)
・ 緊急時の避難が困難(火災、大きい地震)
その他住民への影響
・ 待ち時間が長くなり、ストレス増加
・ 配達業者や訪問客への対応が不便に
生活の不便さだけでなく、安全や安心までも脅かされる。
2 給水設備のトラブル
・ 断水による日常生活への影響(トイレが使えない、お風呂に入れない、洗濯ができ
ない、料理ができない)
・ 健康への影響(乳幼児、高齢者、病気の方)
・ 水漏れによる被害(階下住居への漏水、漏電・火災、建物の強度低下、カビ発生)
・ 復旧までの時間(数時間から数日間、原因特定や修理に時間がかかる)
日常生活が麻痺し、住民の健康や安全までも脅かされる
3 排水設備のトラブル
・ 排水不良による日常生活への影響
・ トイレ・キッチン・お風呂場など、水が流れにくくなったり、詰まって使用できな
くなる。
・ 特にトイレが使えない場合は、非常に不便で不衛生。
・ 排水不良が長引くと、悪臭や害虫が発生する可能性がある。
4 漏水・逆流による被害
・ 自分の部屋だけでなく、階下の住宅にも被害が及ぶ可能性がある。
・ 排水管からの汚水漏れは悲惨な状況。悪臭・衛生面で問題がある。
・ 復旧までの時間と費用
5 復旧までの時間と費用
・ 数時間化から数日、原因特定や修理に時間がかかる。
・ 修理費用も高額になる場合があり、住民への経済的負担が大きくなる。
不衛生な環境と水浸しによる被害で、日常生活が崩壊する。
2 管理組合の設備の維持管理
1 計画的な点検
・ 法定点検(建築設備定期検査、消防設備等点検、昇降機の定期点検)
・ 定期点検(給排水設備点検、電気設備点検、ガス設備点検)
・ 日常点検(組合員のベランダ点検、理事会の共用部点検、管理員による勤務時の目
視点検)
2 適切な修繕
・ 故障・不具合発生時の迅速な対応。
・ 長期修繕計画に基づいた毛行け区的な修繕。
・ 緊急時の対応体制の整備(災害等による設備の損傷)
計画的な点検と適切な修繕による、設備の良好な状態の維持。
3 排水管の点検
排水管の定期清掃(高圧洗浄でスルーインホースを使用)
・ これまでは、ワイヤーブレードホースを使用していた。
・ スルーインホース(内層:柔軟なナイロンチューブ、外層:シリコンPVCでコー
ティング)
配管への優しさ、柔軟性でスムーズな挿入。高い洗浄性など。
排水管の高圧洗浄には、ワイヤーブレードホースよりも配管を傷つけにくいスルーインホースがお薦めである。
4 長期修繕計画で設備工事
長期修繕計画を見なおしてわかる設備工事の見落としがないか。
・ 長期修繕計画作成時の認識不足
・ 吸水・排水設備の劣化や寿命に対する認識が不足。
・ 修繕・更新費用が高額になるため、長期修繕計画に含めることで修繕積立金の値上
げにつながることを懸念した。
・ 専門家から適切なアドバイスが得られず、長期修繕計画に含める必要を感じなかっ
た。
築30年までに予定されていない修繕項目がある。(給排水管設備、排水設備、避雷針設備の取り換え)など、定期的に長期修繕計画を見直し、現状合致した計画に見直す必要がある。
5 その他
・ 組合員の意識向上(共用部設備の重要性、維持管理の必要性についての理解)
・ 情報共有と透明性の確保(点検・修繕移管する情報の共有、透明性の高い管理
運営)
・ 専門家との連携(設計事務所、管理会社?)
・ 修繕積立金の適切な管理(主往来の修繕への備え)
長期的な視点で設備の維持管理を行う。