はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第84章 設備の知識(1)

日常生活に直結するマンションの設備について、あなたはどこまで知っていますか。大規模修繕協議会主催の第37回大規模修繕セミナーが札幌市産業振興センターで開催されました。講師は泉徳彦札幌支部長です。講演内容を要約しました。

阪神淡路大震災、東日本大震災、能登半島地震、奥能登豪雨災害など、大災害が発生すると最も困るのは食事トイレでした。阪神淡路大震災の時は、トイレが用意できなかったため汚物や臭気で大変な状態でした。 赤丸防災カバン 赤丸防災カバン

東日本大震災を経験された防災士と消防士が協力監修された、あかまる防災カバンには他の非常持ち出し袋などにはない防災携帯用除水器や簡易トイレなど、いざという時に必要になる用品が揃っているので、区分所有者へ備えるよう推薦しましょう。
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1 共用部の基礎知識

 1 共用部の設備

・ 給水設備  給水管、貯水槽、給水ポンプ

・ 排水設備  排水管、排水ポンプ

・ 空調・換気設備  エアコン、換気扇、換気口、換気ガラリ

・ 電灯設備  電灯、配電盤、幹線・避雷針

・ 情報・通信設備  テレビ共聴設備、電話回線、インターネット、インターホン、
  宅配ボックス

・ 消防設備  屋内消火栓設備、自動火災報知機、連結送水管設備

・ 昇降機設備  昇降機(エレベーター)

・ 立体駐車場設備  自走式、機械式

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 2 設備トラブル事例

 

  1 エレベーターの故障

高層階に住む住民への影響

・ 階段での昇り降りの負担(高齢者、妊婦、子ども、病人や怪我をしている人)

・ 重い荷物の運搬(買い物帰り、引っ越し)

・ 緊急時の避難が困難(火災、大きい地震)

その他住民への影響

・ 待ち時間が長くなり、ストレス増加

・ 配達業者や訪問客への対応が不便に

生活の不便さだけでなく、安全や安心までも脅かされる。

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  2 給水設備のトラブル

・ 断水による日常生活への影響(トイレが使えない、お風呂に入れない、洗濯ができ
  ない、料理ができない)

・ 健康への影響(乳幼児、高齢者、病気の方)

・ 水漏れによる被害(階下住居への漏水、漏電・火災、建物の強度低下、カビ発生)

・ 復旧までの時間(数時間から数日間、原因特定や修理に時間がかかる)

日常生活が麻痺し、住民の健康や安全までも脅かされる

 

  3 排水設備のトラブル

・ 排水不良による日常生活への影響

・ トイレ・キッチン・お風呂場など、水が流れにくくなったり、詰まって使用できな
  くなる。

・ 特にトイレが使えない場合は、非常に不便で不衛生。

・ 排水不良が長引くと、悪臭や害虫が発生する可能性がある。

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  4 漏水・逆流による被害

・ 自分の部屋だけでなく、階下の住宅にも被害が及ぶ可能性がある。

・ 排水管からの汚水漏れは悲惨な状況。悪臭・衛生面で問題がある。

・ 復旧までの時間と費用

 

  5 復旧までの時間と費用

・ 数時間化から数日、原因特定や修理に時間がかかる。

・ 修理費用も高額になる場合があり、住民への経済的負担が大きくなる。

不衛生な環境と水浸しによる被害で、日常生活が崩壊する。

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2 管理組合の設備の維持管理

 1 計画的な点検

・ 法定点検(建築設備定期検査、消防設備等点検、昇降機の定期点検)

・ 定期点検(給排水設備点検、電気設備点検、ガス設備点検)

・ 日常点検(組合員のベランダ点検、理事会の共用部点検、管理員による勤務時の目
  視点検)

 2 適切な修繕

・ 故障・不具合発生時の迅速な対応。

・ 長期修繕計画に基づいた毛行け区的な修繕。

・ 緊急時の対応体制の整備(災害等による設備の損傷)

計画的な点検と適切な修繕による、設備の良好な状態の維持。

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 3 排水管の点検

排水管の定期清掃(高圧洗浄でスルーインホースを使用)

・ これまでは、ワイヤーブレードホースを使用していた。

・ スルーインホース(内層:柔軟なナイロンチューブ、外層:シリコンPVCでコー
  ティング)

配管への優しさ、柔軟性でスムーズな挿入。高い洗浄性など。

排水管の高圧洗浄には、ワイヤーブレードホースよりも配管を傷つけにくいスルーインホースがお薦めである。

 4 長期修繕計画で設備工事

長期修繕計画を見なおしてわかる設備工事の見落としがないか。

・ 長期修繕計画作成時の認識不足

・ 吸水・排水設備の劣化や寿命に対する認識が不足。

・ 修繕・更新費用が高額になるため、長期修繕計画に含めることで修繕積立金の値上
  げにつながることを懸念した。

・ 専門家から適切なアドバイスが得られず、長期修繕計画に含める必要を感じなかっ
  た。

築30年までに予定されていない修繕項目がある。(給排水管設備、排水設備、避雷針設備の取り換え)など、定期的に長期修繕計画を見直し、現状合致した計画に見直す必要がある。

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 5 その他

・ 組合員の意識向上(共用部設備の重要性、維持管理の必要性についての理解)

・ 情報共有と透明性の確保(点検・修繕移管する情報の共有、透明性の高い管理
  運営)

・ 専門家との連携(設計事務所、管理会社?)

・ 修繕積立金の適切な管理(主往来の修繕への備え) 

長期的な視点で設備の維持管理を行う。

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3 設備の更新時期と内容

 1 給水設備

給水管はどこにあるかわかりますか。

給水管の位置


 排水管はどこにあるかわかりますか。

排水管の位置

    合流式         分流式2系統       分流式3系統

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 2 給水設備の老朽化放置

  1 漏水発生の事故

・ 配管の腐食や亀裂で共用部分や専有部分への漏水が発生漏水

・ 階下への漏水は多額の損害賠償や修繕費用
  が発生、住民トラブルの原因に

・ 漏水箇所によっては建物の寿命を縮めるこ
  とに

  2 断水や水圧低下の発生

・ 配管の劣化や詰りで断水や水圧低下

・ 日常生活に支障をきたす(トイレの使用)

・ 火災事故時の消火活動に影響を及ぼす

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  3 水質悪化

・ 貯水槽や配管の劣化により、赤水や異臭が発生

・ 健康被害を及ぼす可能性がある(乳幼児、高齢者)

  4 資産価値の低下

・ 給排水設備の老化は、マンション全体の資産価値を低下させる

 ※ マンション総合保険の保険料は、築年数、漏水件数で変動

・ 買い手や借り手が見つかりにくくなる

  5 修繕費用の高騰

・ 老朽化を放置すると、修繕範囲が拡大し、修繕費用が高額になる可能性がある

・ 緊急性の高い工事が必要になった場合、計画的な修繕よりも費用がかさむことが予
  想される

生活や住民のマンション全体の価値に悪影響を及ぼす

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 3 最近の給水設備

  1 更新工事が主流に

・ マンションの寿命は80年、100年と長くなり、厚生工事を繰り返すよりも更新
  工事を

 ※ 1回の更新工事で済ませるほうが、長期的に安心で経済的

  2 多くの費用がかかることも

・ 専有部分との一体工事が主流に(共用部分専有部分の配管の接続箇所が台所やトイ
  レの水回りのための内層復旧工事が必要)

・ 埋設管の対応

・ 管理規約の改定が必須(工事の低事範囲、費用負担)

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  3 借入で実施したマンションも

・ 長期修繕計画で専有部分との一体工事を見込んでいない

・ 長期修繕計画の見直し(修繕積立金の値上げ)

 ※ 分譲マンションの修繕への助成金~住宅金融支援機構と連携で利子補給(東京
   都)

給水設備の更新工事は、やるやらないではなくいつ実施するか。更新は一度で済むため借入金の余裕がある早い段階の実施が理想

 4 給排水設備の調査診断

「事例」築24年マンションの給排水設備調査診断

マンションの概要

・ 築24年 100戸 
 ・ 築25年に長期修繕計画で給排水設備工事を予定

調査診断の経緯

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1 給排水設備自主点検の実施

・ 竣工図書の確認:ステンレス管を使用(耐用年数40年以上)⇒更新不要では?

・ 配管確認:実際には演歌ビニルライニング鋼管(耐用年数25~30年程度)を使
  用

2 設計事務所による調査診断

・ 給水設備:状態良好

・ 排水設備:状態不良(排水不良、通気管のサビ)

3 長期修繕計画の見直し断

・ S給水設備、大規模修繕工事を先延ばし、2ンWン⑤に排水設備胃の更新工事を予定

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竣工図書と地齋の配管が異なるケースは少なくない。
  設計事務所による調査診断は現状を正確に把握し、長期修繕計画の見直しを行うこと
 で、無断コストを削減できる

 項目    簡易調査 設計事務所による調査
目的目視で確認できる範囲の劣化状態の把握、概算費用の見積もり会って物の構造、配管の材質・劣化状況、給水方式などを総合的に把握
調査方法目視、内視鏡調査など書類調査、現地調査(目視、水圧測定、内視鏡調査、抜管調査、肉厚調査など)アンケート、部屋タイプ別調査など
調査範囲共用部分の配管一部、専有部分の配管の一部、メーター回りなど共用部分おお給排水管、通期管、竪管、雑排水管、汚水管、合流管、横主管、埋設管、施入部分の給排水管、給湯管など
調査結果レ㏍状態の概要、概算費用詳細な劣化状況、修繕計画、詳細な見積もり、長期修繕計画への反映
工事内容への影響適切な広報を選定できない可能性、工事範囲が明確でない可能性適切な広報の選定、工事範囲の明確化、長期的な維持管理

詳細調査は、給水設備の長命化、安心・安全な居住環境の意確保、そして、組合員にとってより納得感のある修繕工事の実現に貢献。

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 5 現状確認調査

書類調査 竣工書類、工事履歴を確認

配管の種類、広報の確認・把握、工事に関する注意点、問題点の洗い出し

アンケート調査 全戸調査(部屋タイプ別)による状況把握

不具合特性の見極め、室内状況、納まりの確認、リニューアルの有無、配管接続方法の確認

既存の給排水設備の状況、組合員・居住者の要望及び改修工事の制約条件を把握

現状確認


 内視鏡調査・抜管検査・超音波肉厚検査・X線透過調査などで、配管内部の腐食や劣化の程度、ひじ割れ、閉塞状況など、目視では確認できない配管の損傷状況を詳細に把握。

調査方法

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 6 給水管の代表的な種類と耐用年数

 配管の種類 特徴 更新時期更生
亜鉛メッキ管以前は主流だった材質。錆やすく、耐用年数が短い15~20年
塩化ビニルライニング鋼管鋼の内側に塩化ビニルをライニングしたもの。亜鉛メッキ鋼管より錆にくい25~30年
一般配管用ステンレス鋼管錆びにくく耐久性が高い40年以上×
水道用ポリエチレン管柔軟性があり、耐久性に優れる40年以上×
水道用硬質塩化ビニル管耐食性、耐薬品性に優れる40~60年×
水道用架橋ポリエチレン管・ポリブデン管耐熱性、耐圧性、耐薬品性に優れる40年以上×


 配管の種類によって更新時期や厚生の火強い右成が大きく異なる。金属系の配管は、経年劣化や錆のリスクが高いため要注意。

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 7 排水管の代表的な種類と耐用年数

 配管の種類 特徴 更新時期更生
配管用炭素鋼管(SGP)一般的な鋼管。強度が高い。20~30年
排水用硬質塩化ビニル管(VU)軽量で施工しやすい、耐薬品性にすぐれている40~60年×
排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管鋼管の内側に演歌ビニルをライニング。SGPより錆にくい30~40年△劣化状態
耐火二層管内側に耐火皮膜を施した鋼管。火災の延焼防止に有効40年以上△被膜劣化状態
排水用鋳鋼管強度が高く、耐久性に優れる。重量があるため施工に手間がかかる50年以上△管の状態


 配管の種類によって更新時期や厚生の必要性が大きく異なる。金属系の配管は、経年劣化や錆のリスクが高いため要注意。

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 8 給水設備の厚生工事の種類

樹脂ライニング工法、電気防食工法

 更生の種類   樹脂ライニング工法  電気防食工法
工法概要配管内部にエポキシ樹脂などを塗布し、新しい内面を形成する排水管に電流を流し、腐食の進行を抑制
メリット短期工法で施工可能。既存の配管を生かせるため、コストを抑えられる。耐薬品性、耐摩耗性に優れる既存の配管を生かせるため、コストを抑えられる。長寿命化が期待できる
デメリット管径が小さくなる。複雑な形状の配管には適用できない場合がある蜀費用が高い。専門的な知識が必要
適用範囲劣化が軽度から中程度の配管。直線的な配管劣化が中程度から重度の配管。腐食が進行している配管
その他樹脂の種類によって耐用年数や費用が異なる定期的な点検が必要


 厚生工事をする場合は、特許工法ではなく第三者機関の認定工法を選ぶ方は望ましい

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 9 排水設備の厚生工事の種類

樹脂ライニング工法、FRP工法

 更生の種類樹脂ライニング工法 FRP工法
工法概要既存の配水管の内面に、エポキシ樹脂などを塗布・硬化させ、新しいねい面を形成する工法既存の配水管の内面に、ガラス繊維などを含む強化プラスチックをライニングする工法
メリット施工が比較的容易。費用が比較的安い。狭小地でも施工可能耐久背・耐食性が高い。強度が高い。柔軟性があり地震に強い
デメリット耐久性がFRPより低い。厚塗りすると排水能力が低下するな脳性がある。温度変化に弱い施工費用が高い。施工に高度な技術が必要。既存間の変形に追従できない場合がある
適用範囲竪管・横管。劣化が軽度~中程度の配管。コストを抑えたい場合。工期を短縮したい場合中程度~重程度の配管。耐久性耐震性を重視する場合
その他樹脂の種類(エポキシ樹脂、ウレタン樹脂など)。下地処理の重要性。施工後の厚さ確認HRPの種類(ガラス繊維、炭素繊維など)。巻き付け工法とインバート広報。施工後のき強度確認


 厚生工事をする場合は、特許工法ではなく第三者機関の認定工法を選ぶ方は望ましい

厚生工事(樹脂管アイニング工法)の施工時は、騒音・振動(機会の稼働音、振動)、断水・減水(配管内部の洗浄時)、臭気(薬剤)、工事中の立会い・内層復旧が必要な場合も

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 10 直結給水方式への切り替え

新鮮な水を給水、維持管理費の低減化(ポンプ電気、定期点検、清掃、メーターの交換直結給水方式費用が水道局負担に)、受水槽室がある場合はスペースを有効に活用できる

切り替えによってトータルで経済的に

総会承認後は、衛生面・経済面のメリットを説明、災害時・給水制限時にお備えを伝える(受水槽撤去後に防災倉庫を設置し水を確保など)

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