1 マンション管理の問題点
阪神淡路大震災、東日本大震災、能登半島地震、奥能登豪雨災害など、大災害が発生すると最も困るのは食事とトイレでした。阪神淡路大震災の時は、トイレが用意できなかったため汚物や臭気で大変な状態でした。
東日本大震災を経験された防災士と消防士が協力監修された、あかまる防災カバンには他の非常持ち出し袋などにはない防災携帯用除水器や簡易トイレなど、いざという時に必要になる用品が揃っているので、区分所有者へ備えるよう推薦しましょう。
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1 共同住宅とは
集合住宅は不動産業などで一般的に使われる業界用語で、共同住宅は建築基準法における法律上の区分として使われる言葉です。法的には、共同住宅は一棟の建物に複数の住戸が入った物件で、不特定多数の人が出入りする特殊建築物と定義されています。
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共同住宅のなかには、「○○コーポ」や「◇◇ハイツ」と名付けられた物件もありますが、アパートやマンションと違いはありません。ちなみに、コーポは共同住宅という意味で、ハイツは丘や高台を意味する英語に由来しています。
マンションは、鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造などの共同住宅で、3階以上の中高層のものです。アパートとの明確な区別はなく、各物件を取り扱う不動産会社ごとの基準をもとに、独自にマンションと呼び分けているケースもあります。
共同住宅には、必ず入居者同士で共通して利用する共用部分があります。エントランスをはじめ、通路・エレベーター・階段などは共用部分に当たります。一戸の専有権を持つた人を区分所有者といい、ベランダは専有者が管理する共用部分とされています。
共同住宅の専有部分とは、世帯ごとで独占的に利用できるスペースを指します。基本的には、外部に接しない居室やその内部にある設備などは専有部分に該当します。原則として各世帯の自由に使える部分となり、掃除などの管理も個人の判断に任されます。
住戸数の多い共同住宅では、その分、入居者数を集める必要があり、立地条件のいい場所に建てられている物件も多く見られます。例えば、すぐ近くに駅や大型商業施設があるなど、利便性の高い環境にある住まいを選びやすいのも大きな特徴です。
警視庁の発表によると、いわゆる空き巣などの侵入窃盗の発生率がもっとも高いのは、「一戸建住宅」というデータがあります。一方、共同住宅では侵入窃盗の発生率は大幅に低い傾向がありますが、共用部での性犯罪が多く犯人が捕まらない傾向があります。
2 驚くような体験
管理会社は管理の専門家といわれますが、管理会社に対する不平不満を口にしない管理組合の役員はほとんどいません。この原因はほとんどの場合、管理委託契約書の調印前の検討が足りないことや、契約内容を知らなすぎることが原因といわれます。
管理会社は、管理委託契約書の内容に沿って業務を行います。管理委託契約書に調印する前に、自分たちが委託したい業務内容を精査し、その後契約調印すべきです。管理会社が作ってきた管理契約書に、疑問を持たずに調印した管理組合が悪いとも言えます。
管理組合との契約更新は毎年自動更新ではなく、毎年契約し直すことになっています。契約の更新前に自分たちが委託したい業務内容を精査し、その後契約を調印すべきです。標準管理委託契約書はひな形であって、あなたのマンションに適合するとは限りません。
管理会社は無数にあります。すべての管理会社が、契約通りに仕事をしていると思ったらあなたは素人です。管理委託契約書に書かれていても、知らぬ顔で平然と信頼を裏切る管理会社や管理業務主任もいます。実際に、私が体験したことをご紹介しましょう。
管理会社は第三者へ管理業務を委託することができます。管理会社は専門的なエレベータの保守点検をできないので、エレベータメーカーのメンテナンス会社に業務を再委託します。ここで問題になるのは再委託料です。
常識的に考えれば再委託料は費用の一割程度で、二割になれば暴利と云えましょう。管理会社は電話を掛けたり、打ち合わせが必要になるので諸経費がかかると説明します。本音を言えば、勉強しない区分所有者たちはどうにでもなると足元を見ているのです。
マンション管理の勉強会でエレベータメンテナンスの平均額を教わり、札幌市内のメンテナンス料の調査集計表をいただきました。50数棟のマンションのメンテナンス料を平均すると、私のマンションのほぼ半額だったので、真実を突き止める方法を伺いました。
独立メンテナンス会社2社に見積もりを依頼すると、総会議案書に掲載された料金の約半額です。管理会社を通さずにメンテナンス会社と直接契約すると、独立メンテナンス会社の見積もりと同額になり、8年間で500万円を管理会社に搾取されていました。
3 信じられないことも
水道料を入居者から正しく徴収して正しく支払っていれば、共用部分の使用量を補填しても赤字になることはありません。しかし、管理会社が水道局に、入居者が移動するたびに、正確な入居者数などを届け出ていないと赤字になります。
また、水道料金をマンションの住戸に一戸ずつ請求して徴収するのではなく、水道事業者としては管理組合に一括請求し、一括徴収したほうが手間を省けることになり経費を節約できます。徴収額と請求額に誤差が生じた余剰金を、水道差収金と呼んでいます。
水道査収金が収入に計上されないのを不思議に思い、検針票をチェックすると140万円を超えていました。この水道差収金を、着服している管理会社が多いそうです。管理業務担当者に問い合わせると一瞬青ざめ、管理会社は次年度予算に全額を計上しました。
揚水ポンプのメンテナンスを見学していると管理会社員は誰もいないのに、修繕立ち会い費用として25%を加算して請求していました。修繕工事の立ち合いも管理会社職員は10分程度でいなくなり、修繕費用に3割も上積みした管理会社がありました。
建物巡視で、受水槽の架台に真っ赤なサビを発見しました。半日の有給休暇をもらい受水槽清掃に立ち合いました。受水槽の清掃後に給水すると、吸水用ホースの途中にピンホールが開いていたので、二本の筋になった水は壁と架台の上に落ちていきます。
水が漏れているよ!と大声を上げると、作業員がビニールテープをさがしに走り補修しました。清掃作業が終わってから水槽室へ降りてみると、サビがひどかった部分はびしょ濡れです。しかも受水槽の壁をつたった水は、下の架台にしずくとなって落ちています。
作業が終わると、作業員はぬれた架台を拭き取ることもせずに帰り、管理人の作業後の後始末確認もありません。サビの発生原因がわかりました。管理委託契約の管理員業務に「立会い業務」とありますが、管理員は共用部の階段を清掃していました。
札幌市山鼻のマンションで水が出なくなる事故が発生しました。誰もが気づかないうちに受水槽架台に発生したサビは鉄骨の中心部まで腐食し、水槽の重量に耐えきれなくなった架台が折れて受水槽が崩壊しました。管理会社も管理組合も責任を擦り合っています。
4 マスコミの報道
管理会社と管理組合のもめごとについて、平成13年4月2日の北海道新聞は次のように伝えた。要約すると「マンション管理委託費に問題があるとしてマンション住民らでつくる管理組合が、管理会社から委託費の一部を返還させる例が札幌市内で増えている。
判明しているだけでも6件で2千万円。(中略)マンションは、各戸の所有者が管理組合をつくり、廊下やエレベータといった共用部分の清掃、保守などを行う。組合は個々の業者と直接契約すればよいが、マンション管理会社に一括して委託するところが多い。
豊平区内のAマンションの場合、管理組合によると管理会社の業務不履行等が分かり、平成6年から平成11年までの委託費一部535万円を返還させた。建物の法定点検は築後6年目から始めたのに、5年目まで検査料計15万円を経費として支出していた。
また、管理会社に委託していないエレベータの保守を、取引先にさせていた。気付いた組合が直接保守会社と契約すると月約4万円安くなり、約5年間で242万円の損失が判明した。中央区内のBマンションは、管理組合によると約270万円返還させた。
全戸に緊急通報システムを完備しているが、利用するかどうかは各戸が判断して申し込む。管理会社は全戸申し込んだことにして料金を取るなどしていた。Cマンションも、管理会社が物品を購入した際の領収書が無いなど、経理がずさんで100万円を返させた。
中には、住民から集めたはずのガス代を納期に遅れて払ったため、延滞金をガス会社から請求された例もあった。6件の返金は、いずれも平成11年から今年にかけて。こうした問題に対し、会社側は、返金したが理由や金額はいえないとAマンションの管理会社。
通報システムを全戸に設置した以上使うのが自然だ。ほかに領収書がきちんとしてないなど事務ミスがあり、和解金として払ったとBマンションの管理会社は説明している。住民が管理に無関心で管理会社任せにした結果、高くてずさんな業務が横行している。
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5 金銭事故の数々
管理会社テスのフロント担当者が、平成15年に3箇所の管理組合から約1654万円を着服していました。また、西部ガスリビングのフロント担当者が、平成20年までに約2840万円を着服していました。
太平ビルサービスの住み込み管理人が、平成20年までに管理費・積立金など約1億8千万円を着服していました。日本ハウズイングのフロント担当者が、平成20年までに約352万円を詐取していました
伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社の社員が、平成20年までに5箇所の管理組合から約1120万円を詐取し、大京アステージの係長が、平成20年までに19箇所の管理組合から約8000万円を詐取していました。
友愛ビルサービスの管理員が、平成20年までに2450万円を着服し、東急コミュニティのフロント担当者が、平成21年までに約360万円を着服していました。また、イオンディライトの管理員が、約2000万円を着服していました。
星光ビル管理の会計担当女性社員が、平成24年までに6箇所の管理組合から約4000万円を着服していました。更に、大阪府吹田市のマンション管理会社「ビケンテクノ」の元課長も、管理組合の修繕積立金約4700万円を着服していました。
2015(平成27)年12月5日付のマンション管理新聞で「被害金額過去最大級、11億7800万円の着服の疑い」が報道されました。新潟のリゾートマンションの前理事長が、16年間にわたって着服していたという事件でした。
埼玉県東松山のマンション管理組合は管理会社に預金通帳を保管させ、理事長が印鑑を保管していました。紛失を装って理事長が預金通帳の再発行手続きを行い、管理組合の預金口座より約1000万円を横領しました。
青梅市のマンション元理事長は、大規模修繕工事施工者と共謀し、工事代金に1597万5千円を水増して管理組合に損害を与え、葛飾区の元理事長は130回にわたり5千万円を口座から引き出して、着服したことが判明し逮捕されました。
6 傍観してはいけない
一口にマンションと言っても、小規模のものから数十世帯という中規模なもの、団地型と言われる大規模なものまであります。マンションに住むには、快適な生活環境と資産価値を維持していくため、居住者全員が協力し合わなければなりません。
マンションを購入した区分所有者は、総会で設立された管理組合の構成員となります。「私は組合員にならない」などという勝手は許されず、同じ建物に住むからには、火災・地震・風害・水害・雷害、盗難、強盗、障害、殺人など、運命共同体の一員となります。
管理組合は「マンション適正化法指針」に沿って、マンションを管理する義務があります。区分所有者は、その組合員の一員としての役割を適切に果たさなければなりません。「やりたい人に任せておけばいい」と傍観していると財産は破綻への道を進みます。
管理組合の構成員になった人は全員、管理規約などの団体的拘束を受け、勝手に脱退することはできません。専有部分は手放せますが、共用部分を売ることはできません。賃借人は一定の義務を負いますが、管理組合の構成員になることはできません。
区分所有法は建物の保存や管理を円滑に行うために、管理組合の業務を執行する管理者(理事長)や理事、監事を選任すること、マンションの個別の運営ルール(管理規約)を定めること、団体として意思決定を行うために総会を開くことなどを定めています。
一般的な管理組合は総会が最高の意思決定機関であり、理事長・理事による理事会が中心となって実際の管理業務を進めます。理事と監事は総会決議や管理規約で置くことが定められていますが、監事は特別な存在です。
監事は理事とは別に総会で選出されますが、監事に選出された人は理事たちの管理業務や会計業務を監査します。管理組合の管理業務は総会決議に基づいているか、業務遂行に不正や手抜きはないか、管理会社は管理委託契約通りに業務を行っているかなどです。
管理会社に管理業務を丸投げすると、あなたも他の居住者もきっと後悔します。漫然としていると、区分所有者の貯めた資金も、資産である建物も失います。このサイトでは規模に関係なく、どんなマンションでも区分所有者が管理できる方法を解説しています。
7 傍観者も職責を問われる
これまで紹介の事故は、監事がきちんと会計監査をしていれば事故を防げました。管理組合役員は常に帳簿や請求書と領収書、預金通帳の残高を確認します。区分所有者と管理組合と管理に携わる人々を守るため、監事は理事長立ち合いで毎月監査をすべきです。
2016(平成28)年に、「理事長と会計監査に賠償責任 東京高裁、善管注意義務違反を認める」と報道されました。会計担当役員の着服で多額の資金を失った管理組合が預金通帳などの確認を行っていれば、被害の発生を回避できたと認定されたのです。
通帳を提示するように求めず横領行為を見過ごしてきたとして、当時の理事長と副理事長、会計監査担当役員に対し、善管注意義務違反に基づく損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が、昨年10月1日東京高裁でありました。
裁判長は副理事長を除く2人の善管注意義務違反認めた一審判決を支持し、理事長と会計担当役員に連帯して、464万1300円を支払うよう命じる判決を言い渡し、他の役員は着服に加担していないが、理事長や監査の職責が問われた結果となりました。
また、東京地裁の判決で、理事長と会計担当の善管注意義務違反を認めました。会計監査に対して、偽造された残高証明書を信用し、会計担当が保管し簡単に確認できた預金通帳で、残高をチェッしなかったのは善管注意義務違反と認定しました。
理事長に対し、会計業務を会計担当理事に委嘱し、会計監査が監査を行っていたとしても、規約で理事長が収支報告をすべき責任者に定められている点から、「収支報告書を確認・点検して会計業務が適切に行われていることを確認すべき義務があった」と指摘。
通帳の残高を確認せず、適正な監査がおこなわれているかどうかの確認もない点から注意義務違反を認めた。区分所有者に対しても「会計を含め管理運営への関心が低く、役員に任せるままであったことも着服行為が継続して行われた原因の一つ」と結論付けた。
そして、着服の損害を「理事長と会計監査だけに負担させることはできない」とし、被害額の九割を過失相殺しました。これにより被害額の九割は管理組合(修繕積立金を納めた区分所有者)の損失となったのです。