はげちゃんの世界

人々の役に立とうと夢をいだき、夢を追いかけてきた日々

第81章 マンション最新情報

大規模修繕協議会主催の第36回大規模修繕セミナーで講師は泉徳彦札幌支部長が説明されました。国土交通省が重い腰を上げて、マンション修繕費の段階増額方式と管理計画認定制度、マンション長寿命化促進税制に取り組み始めたそうです。

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1 第三者管理方式の整備

 1 第三者管理方式とは

管理者を組合員ではなく外部の専門家に任せる方式です。第三者管理方式のパターンは三通りあります。

① 理事会がある場合

   管理者=理事長  第三者が管理者である理事長に就任する場合。

② 理事会がある場合

   管理者≠理事長  第三者が管理者に就任し、区分所有者の理事長は管理者では
   ない場合。

③理事会がない場合 

   第三者が管理者に就任し、理事長がいない場合。

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 2 第三者管理方式の始まり

管理組合役員の担い手不足(高齢化や無関心)

2017年6月に標準管理規約の改定が行われ、外部専門家が理事長・監事として就任が可能になりました。

2017年6月に外部専門家の活用ガイドラインが策定され、第三者管理方式の導入検討砲身が公表されました。

第三者管理方式は、投資・リゾートマンションですでに普及し、制度整備で居住用マンションでも第三者管理方式が増加し始めました。

 3 第三者管理方式の導入状況

管理者の選任状況

管理者の選任状況

[出典]平成20年度、平成25年度、平成30年度マンションン総合調査(端数処理の関係上、合計が100%にならない場合があります。)

想定されていたマンション管理士よりも、管理会社が管理者になる割合が増加していました。管理会社の約半数が新築マンションで第三者管理方式を展開しています。

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 4 問題事例と検討状況

通帳と印鑑の保管①

 通帳と印鑑の管理状況

通帳と印鑑の保管


 管理会社で保管が76%、管理組合名義が80%、管理会社・管理者個人が20%という結果でした。

通帳と印鑑の保管②

通帳と印鑑の保管

(事例)管理会社元社員による管理組合財産の着服

2015~2023年の期間で、決算報告書と残高証明書は改ざんされ、通帳も開示していないのに区分所有者は信用していたのです。

元社員は担当している14組合のうち8組合の印鑑を所持していました。したがって、自由に預金からお金を引き出せる立場にあったのです。

管理組合財産の横領・着服される事件はいまだに年数件発生しています。右上の写真は、2024年2月25日付マンション管理新聞の写しです。

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通帳と印鑑の保管③

(検討状況)管理組合講座の印鑑等は漢字が保管を必須にすべきです。

通帳と印鑑の保管

監事は総会決議で選任することが必須です。

少なくとも1人は外部専門家(マンション管理士等)を選任し、組合員からも選任することが事故防止のために望ましいと言えます。

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 5 管理者の権限

(問題事例)標準管理規約における総会・理事会の議決事項が管理者単独でできるようになっています。

(例)・ 管理費及び使用量の額並びに賄課聴取の決定
   ・ 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
   ・ 仕様細則等の制定、変更または廃止
   ・ 専有部分の修繕委関する承認または不承認
   ・ 管理費等の未納者への訴訟・法的措置
   ・ 管理者による監事の選任

(検討事項)
   ・ 標準管理規約の総会決議事項を管理者権限としない。
   ・ 理事会決議事項について管理者権限の許容事項を整備。
   ・ その他に追加すべき事項を検討中。

管理者の指定・任期

(問題事例)

規約に管理会社を管理者として記載している
  特別決議が必要。管理者の変更はハードルが高い。

(検討状況)
 ・ 管理者の指定は総会のお決議で選任・解任
   (規約に管理会社名を等を記載しない)
 ・ 管理者の人気を規約に設ける。任期を原則1年。
   (毎年開催する総会で選任決議)

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組合員の総会招集権

(問題事例)
  ・ 総会招集要件が標準管理規約よりも高く設定
    (他の要件が付加されている)


  ・ 総会招集要件が削除されている
    (通常は組合員の5分の1以上で議決権の5分の1以上)

(検討状況)
 ・ 総会招集件の設定を整備・明確化

日常の管理における取引・プロセス・情報開示

(問題事例)
  ・ 日常的な工事報告が事後報告になる
  ・ エレベータの修繕工事の費用説明がない
  ・ 不要な修理を強いるケースがみられる

(検討状況)
  ・ 管理者と同一グループへの発注は集会決議による承認必衰に
  ・ 管理者ができる発注金額の設定(○万円以下)

管理者が管理会社の場合は、利益相反の可能性は残ります。

大規模修繕における取引・プロセス・情報開示

(問題事例)
  ・ 自社グループに相見積もりなく発注(割高な費用負担)
  ・ 設計管理方式で進めても
     管理者(=管理組合)の意向で修繕内容・施工業者選定が決定

(注意)
  同一グループが選ばれた場合、施工会社の意向によって発注された管理組合の財産が
 毀損される恐れがある。

(検討状況)
 ・ 案A.組合員で修繕委員会を設立して進める
    管理者は関与せず

・ 案B.管理者が組合員アンケート等で意見を募りながら進める
    管理者の姿勢によっては、そのグループ会社に有利な誘導の危険性も

大規模修繕は組合員で薦めるのが望ましい。

意見反映の体制づくり

(問題事例)
  ・ 総会以外で組合員の意見を伝える機会がない

(例)
  ・ 意見箱の設置やオンライン意見聴取)
  ・ アンケート調査の実施・投票制度の導入)
  ・ 意見交換・相談会の実施)
  ・ コールセンタ-やメールによる相談窓口の設定

(検討状況)
 ・ 組合員の意見反映のため五の体制づくりについて
 ・ どのような規定を設けるか?
 ・ 管理意識の熟成をどうしていくか

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 2 検討スケジュール

検討スケジュール


 マンション関係者との調整を踏まえ、改正外部専門家と活用ガイドラインを取りまとめ中です。近いうちに公開予定です。(公益財団法人)マンション管理センター

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2 段階増額積立方式

 1 2つの積立方式

修繕積立金の積立方式は、均等積立方式と段階増額積立方式の2通りがあります。

段階増額積立方式

積立方式の採用割合は、均等積立方式が41.4%、段階増額積立方式が43.4%となっています。

近年分譲されるマンションのほとんどは「段階増額積立方式」が採用されています。積立方式

計画当初から最終年まで増額平均3.6倍※10倍を超えるケースもあります。(修繕積立金基金を含まず)

予備認定マンション:(公財)マンション管理センターで新築マンションを対象に認定したマンション[出典]予備認定マンションの長期修繕計画を元に国土交通省作成

急激な増額で積立金が払えず、滞納が増えて積立金不足に拍車をかける結果になるかも。

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 2 引き上げ計画(案)

基準額…均等積立方式とした場合の月々の修繕積立金

積立方式

初期額は、基準額の0.6倍以上、最終額は基準額の1.1倍以内。

(例)50戸のマンションの場合

設置条件 工事費総額:3億6千万円(戸当たり720万円)

     計画期間:30年間(360か月)

50戸のマンション例

「安すぎず・高すぎない」 均等に近い形で徴収していくことが目的となる。

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3 規約見直し検討状況

マンション関係者との調整を踏まえ、改正マンション標準管理規約を取りまとめ中です。近いうちに公表を予定しています。公益財団法人マンション管理センター

検討スケジュール

主な検討項目①

・ デジタル技術の活用(ITを活用した監査、遠隔地での規約の閲覧など)

・ EV7用充電設備の設置推進(使用細則の必要性、決済用要件の明確化など)

・ 管理業者が管理者となる場合への対応

・ 所在不明への対応(組合員名簿の更新等、所在不明糖区分所有者の探査費用の請求
  など)

マンションを取り巻く社会情勢の変化や法制度の改正などに対応して見直しが必要。

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主な検討項目②

・ 図書の保管(規約原本の更新、総会資料の保管など)

・ 管理に関する情報開示(修繕積立金の変更予定、修繕積立金の不足金額の明確化な
  ど)

・ 宅配ボックス、置き配(決議要件の明確化、優良な仕様細則の検討など)

・ 管理運営等に影響を及ぼす事案の発生への対応

・ 管理費等の徴収にかかる費用の生理

・ 区分所有法の改正への対応

マンションを取り巻く社会情勢の変化や高精度の法制度の改正に対応して見直しが必要。

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4 管理計画認定制度

 1  管理計画認定制度とは

適切な管理計画を持つマンションを地方公共団体が認定

・ 審査項目は17項目(運営、管理規約、経理、長期修繕計画など)

・ 地方公共団体の独自基準・インセンティブ有

・ 1つでも基準を満たしていなければ「非認定」

積立方式

 2 認定取得の効果

・ 区分所有者の管理への意識が高く保たれ、管理水準を維持向上

・ 適正に管理されたマンションとして、市場において評価

・ 適正に管理されたマンションの地域価値の維持向上

・ 住宅支援機構の優先措置が受けられる

 ・ フラット35(2022年4月~)当初5年間は年025%引き下げ
  ・ マンション共用部リフォーム融資(2022年10月~)年0.2%引き差が
  ・ マンションすまい・る債の利率の上乗せ

 認定を受けたマンションが市場で評価
  2025年に不動産ポータルサイトに認定情報を掲載予定

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 3 認定状況は

認定マンションは着実に増えています。 管理計画認定マンションは622件。新築マンション対象の予備認定は1245件(2024年3月現在)

高島平ハイツの例

 4 札幌市の状況

・ マンション管理実態調査の実施(2020年)

・ 第一回検討委員会開催(2022年8月)

・ 第二回検討委員会開催(2022年9月)

・ 第三回検討委員会開催(2022年11月)

・ パブリックコメント実施(2023年2月)

・ 札幌市マンション管理適正化推進計画策定(2023年4月)

・ 管理計画認定制度開始(2023年5月)

※ 独自基準はなし、市への選定手数料は無料、同意があれば札幌市ホームページに認
  定マンションを掲載(3月現在28件)

 5 申請費用

長期修繕計画の事前確認をマンション管理センターへ直接依頼した場合

事前確認先(マンション管理センター)への手数料
  1万円(システム利用料)+1万円(事前確認審査料)=2万円

札幌市への認定申請手数料  無料(事務手数料)

合計2万円+長期修繕計画の数や事前確認の方法によって異なる。

事前確認審査は、マンション管理士で事前確認講習を終了したものになるが、地方公共団体によって事前確認をしなくても申請を受け付けている。

街頭する地方公共団体に連絡

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5 長寿命化促進税制

 1 長寿命化促進税制①

長寿命化に失する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特別措置の創設(期間:2023年4月1日~2025年3月31日)

要件を満たすマンションにおいて


背景


「修繕積立基の確保」「大規模修繕の実施」に向けた管理組合胃の合意形成を後押し

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 2 長寿命化促進税制②

適用要件 マンションの要件


工事の要件


認定マンションで「修繕積立金を増額しなくても認定が取れたマンションは対象外」

(修繕積立金の引き上げの合意形成を後押しするのが制度の狙い)

申請手続き


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 3 出張勉強会のご案内

大規模修繕協議会は、台紙募集全の不安や疑問を解消します。

・ 大規模修繕の概要、流れと仕組み住民集会

・ 大規模修繕全の流れ、
    スケジュール

・ 修繕委員会の立ち上げ方

・ 長期修繕計画の見直し

・ 設計管理方式などの進め方

・ 広報周知、合意形成のポイント

・ 透明性、公平性を確保できる選定方法

情報共有により組合員同士の情報格差を減らし、合意形成をスムーズに。

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参考文献:大規模修繕協議会大規模修繕セミナーのテキスト。